特許訂正審判
2025-390138
建築物
- 審判番号
- 2025-390138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-179392
- 登録番号
- 7233766
- 請求日
- 2025年09月30日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社田中構造設計
- 【請求人代理人】村松 義人
- 審判長/審判官
- 審判長 澤田 真治
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 家田 政明
- 分類
- P141 .841-Y (E04B) / P141 .851-Y (E04B) / P141 .856-Y (E04B) / P141 .857-Y (E04B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7233766号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7233766号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7233766号の請求項1~2に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年11月2日に出願され、令和5年2月27日にその特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和7年9月30日に訂正審判の請求(以下「本件訂正請求」という。)がなされた。
第2 請求の趣旨
特許第7233766号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の、
「 垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
桁行方向と平行をなす外壁部を形成する前記柱において桁行方向に隣り合う前記柱の間に前記柱と一体的に形成された桁行方向耐力壁と、
前記桁行方向と平行をなす前記外壁部を形成する前記柱において梁間方向に対向する前記柱の間に一方の前記柱寄りの位置に立設された壁柱と、前記柱と前記壁柱との間に前記柱及び前記壁柱と一体的に形成された梁間方向耐力壁と、を備え、
前記柱並びに前記壁柱の前記桁行方向における柱幅と、前記梁間方向耐力壁の壁厚と、が同等である建築物。」
という記載を、
「 垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
桁行方向と平行をなす外壁部を形成する前記柱において桁行方向に隣り合う前記柱の間に前記柱と一体的に形成された桁行方向耐力壁と、
前記桁行方向と平行をなす前記外壁部を形成する前記柱において梁間方向に対向する前記柱の間に一方の前記柱寄りの位置に立設された壁柱と、前記柱と前記壁柱との間に前記柱及び前記壁柱と一体的に形成された梁間方向耐力壁と、を備え、
前記壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側には、当該壁柱と一体的にされた前記梁間方向耐力壁が存在しないようにされており、
前記柱並びに前記壁柱の前記桁行方向における柱幅と、前記梁間方向耐力壁の壁厚と、が同等である建築物。」
と訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の、
「 前記梁の梁幅が、前記梁間方向耐力壁の壁厚と同等である請求項1記載の建築物。」
という記載を、
「 垂直方向に立設された複数の柱と、前記柱を繋いで水平方向に架けられた梁と、を備えた鉄筋コンクリート造の建築物であって、
桁行方向と平行をなす外壁部を形成する前記柱において桁行方向に隣り合う前記柱の間に前記柱と一体的に形成された桁行方向耐力壁と、
前記桁行方向と平行をなす前記外壁部を形成する前記柱において梁間方向に対向する前記柱の間に一方の前記柱寄りの位置に立設された壁柱と、前記柱と前記壁柱との間に前記柱及び前記壁柱と一体的に形成された梁間方向耐力壁と、を備え、
前記柱並びに前記壁柱の前記桁行方向における柱幅と、前記梁間方向耐力壁の壁厚と、が同等であり、
前記梁の梁幅が、前記梁間方向耐力壁の壁厚と同等である建築物。」
と訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1に係る発明における、「前記桁行方向と平行をなす前記外壁部を形成する前記柱において梁間方向に対向する前記柱の間に一方の前記柱寄りの位置に立設された壁柱と、前記柱と前記壁柱との間に前記柱及び前記壁柱と一体的に形成された梁間方向耐力壁と、を備え」た建築物において、「前記壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側には、当該壁柱と一体的にされた前記梁間方向耐力壁が存在しないようにされ」たとする特定を付加する、訂正である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の段落【0012】には、
「【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低層建築物から高層建築物に至るまで広く施工可能であり、室内に柱や梁が現出せず、耐震性に優れ、コンクリート使用量を低減することができる建築物を提供することにある。」と記載され、本件特許に係る建築物において、「耐震性に優れ」ること、及び、「コンクリート使用量を低減すること」を、発明が解決しようとする課題として挙げている。
また、本件明細書等の【発明を実施するための形態】の段落【0021】~【0023】には、
「【0021】
柱1、梁2,3,4、桁行方向耐力壁6、壁柱7及び梁間方向耐力壁8は、建築物100を形成する他の部分と同様に鉄筋コンクリートで形成されている。
【0022】
図3~図5に示すように、建築物100においては、各構面に壁柱7を配置することにより、柱1、壁柱7及び梁2で囲まれた一体構造をなす梁間方向耐力壁8が形成されている。また、桁行方向Xと平行をなす外壁部5を形成する複数の柱1において桁行方向Xに隣り合う柱1,1の間に、柱1,1及び梁4と一体構造をなす桁行方向耐力壁6が形成されている。
【0023】
このように、建築物100においては、桁行方向X及び梁間方向Yの両方向に耐力壁(桁行方向耐力壁6、梁間方向耐力壁8)を設けているので、特許文献1に記載された壁式ラーメン架構に比べ、耐震性が大幅に向上する。」と記載され、「柱1、梁2,3,4…壁柱7及び梁間方向耐力壁8は、建築物100を形成する他の部分と同様に鉄筋コンクリートで形成され」るとともに、「柱1、壁柱7及び梁2で囲まれた」部位には、「梁間方向耐力壁8が形成されている」ことが記載されている。
一方、本件明細書等の【図4】、【図5】には、以下の図示がある。
「【図4】
[図:0001436102000001.jpg]
」
「【図5】
[図:0001436102000002.jpg]
」
本件明細書等の段落【0021】~【0023】の記載を踏まえ、これら【図4】及び【図5】を参照すると、「柱1、壁柱7及び梁2で囲まれた」部位には、「梁間方向耐力壁8が形成されている」ことが理解できるとともに、同一階で対向する2つの「壁柱7」及び「梁2」で囲まれた部位、即ち、「壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側」には、符号「8」が付された「梁間方向耐力壁」は記載されておらず、また、他の符号が付された構成も記載されていないことから、本件明細書等には、「壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側」の部位には、少なくとも「梁間方向耐力壁」が存在しないものが記載されていたといえる。
そして、本件特許発明の課題の「耐震性に優れ」ること、及び、「コンクリート使用量を低減すること」に鑑みれば、明細書等の【発明を実施するための形態】には、建築物として耐震性能の上で必要な柱、梁、耐力壁等の構造材を設けるとともに、省略できる部位のコンクリート使用量を低減することを実現する建築物が記載され、その【図4】及び【図5】においても、上記課題を解決するために必要な構成が記載されていたものと認められるので、これら【図4】及び【図5】には「壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側には、当該壁柱と一体的にされた前記梁間方向耐力壁が存在しない」ことが記載されていたものと認められる。
そうすると、訂正前の請求項1に係る発明の「建築物」において、「壁柱の前記梁間方向耐力壁側の反対側には、当該壁柱と一体的にされた前記梁間方向耐力壁が存在しない」と特定することは、明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)に示したとおり、訂正前の請求項1に係る発明について特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、当該要件について検討すると、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、本件訂正前の請求項1の記載を書き下して、請求項1の記載を引用しないものとする、訂正である。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)に示したとおり、訂正前の請求項2に係る発明について、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)に示したとおり、訂正前の請求項2に係る発明について、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)に示したとおり、訂正前の請求項2に係る発明について、特許法126条1項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、請求項2に係る発明について、同ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正は、行われていない。
したがって、本件訂正後の請求項2に係る発明について、同条7項の規定は適用されず、本件訂正後の請求項2に係る発明がいわゆる独立特許要件を満たすか否かは、本件訂正審判において判断すべき事項とはならない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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