特許訂正審判
2017-390025
スプリングブレーキチャンバー
- 審判番号
- 2017-390025
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-243936
- 登録番号
- 特許第6039367号(P6039367)
- 請求日
- 2017年03月30日
- 審決日
- 2017年05月30日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ナブテスコオートモーティブ 株式会社
- 【請求人代理人】中嶋 恭久
- 審判長/審判官
- 審判長 冨岡 和人
- 審判官 小関 峰夫
- 審判官 中川 隆司
- 分類
- P141 .852-Y (B60T) / P141 .853-Y (B60T) / P141 .854-Y (B60T) / P141 .855-Y (B60T) / P141 .856-Y (B60T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6039367号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6039367号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6039367号は、平成24年11月5日に出願されたものであり、以降の主な手続は以下のとおりである。
平成28年 5月25日 拒絶理由通知
同年 8月 1日 意見書及び手続補正書
同年 9月30日 特許査定
同年11月11日 設定登録
同年12月 7日 特許掲載公報発行
平成29年 3月30日 本件訂正審判の請求
第2 請求の要旨
本件訂正審判の請求の要旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、特許第6039367号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その内容は次のとおりである(以下、「本件訂正」という。)。
1 訂正事項1
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の、特許請求の範囲の請求項1に、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触し、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触しない」と記載されているのを、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触せず、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触する」に訂正する(下線は、訂正箇所を示すものであり、請求人が付与。以下、同様。)。
2 訂正事項2
本件特許明細書等の、明細書の段落【0009】に、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触し、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触しない」と記載されているのを、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触せず、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触する」に訂正する。
第3 当審の判断
上記訂正事項1及び訂正事項2について検討する。
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的について
ア 本件特許明細書等の記載
本件特許明細書等には、下記の記載がある。
(ア) 「【請求項1】
一次側チャンバーを構成する片側有底円筒状の第1ケースと、二次側チャンバーを構成する円筒状の第2ケースと、両ケースを連結する連結ケースとを備えるスプリングブレーキチャンバーにおいて、
前記連結ケースの第1ケース側の開口端部に形成され、開口側に向かって縮径したテーパ形状の内側位置決め部と、
前記第1ケースの開口端部に形成され、開口側に向かって拡径したテーパ形状の外側位置決め部と、を備え、
前記内側位置決め部と前記外側位置決め部との間には、軸シールとなるシール部材と、前記シール部材を保持する保持部と、が設けられ、
前記保持部は、2つの凸条部によって形成される凹部であって、
前記内側位置決め部の外側に前記外側位置決め部を装着することで、前記連結ケースに対して前記第1ケースを位置決めし、前記外側位置決め部の先端部をかしめることで前記内側位置決め部に前記外側位置決め部を取り付け、
前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触し、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触しない
ことを特徴とするスプリングブレーキチャンバー。」
(上記の記載事項を、以下、「訂正前の請求項1」という。)
(イ) 「【0016】
【図1】パーキングブレーキ時のスプリングブレーキチャンバーを示す断面図。
【図2】フットブレーキ時のスプリングブレーキチャンバーを示す断面図。
【図3】ブレーキ解除時のスプリングブレーキチャンバーを示す断面図。
【図4】スプリングブレーキチャンバーの第1ケースと連結ケースとの接続部分を示す拡大図。
【図5】一次側チャンバー内に過大圧力が加えられた際のスプリングブレーキチャンバーの第1ケースと連結ケースとの接続部分を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】」
(ウ) 「【0032】
図4に示されるように、連結ケース6の第1ケース4側の開口端部には、開口側に向かって縮径したテーパ形状の内側位置決め部18が形成されている。連結ケース6の第1ケース4側の開口端部の外面には凹部6aが形成されているので、凹部6aを構成する2つの凸条部6b,6cの先端部がテーパ形状となっている。
【0033】
第1ケース4の開口端部4aには、開口側に向かって拡径したテーパ形状の外側位置決め部17が形成されている。第1ケース4の外側位置決め部17のテーパ形状に連結ケース6の内側位置決め部18のテーパ形状を嵌め合わせる。このため、テーパに沿って連結ケース6に対する第1ケース4の位置が決まるので、連結ケース6と第1ケース4との位置決めを容易に行うことができる。そして、連結ケース6の内側位置決め部18の外側に第1ケース4の外側位置決め部17を装着し、外側位置決め部17の先端部をかしめることで内側位置決め部18に外側位置決め部17を取り付ける。」
(エ) 「【0038】
さて、図2及び図3に示されるように、パーキングブレーキが解除された状態では、一次側チャンバー2内の第1制御室に圧縮空気が供給される。このとき、万が一、圧力調整が不十分で過大圧力が一次側チャンバー2内の第1制御室に加えられた場合には、図5に示されるように、連結ケース6と第1ケース4とが離間する方向に連結ケース6と第1ケース4とが引っ張られ、内側位置決め部18のテーパ部分と外側位置決め部17のテーパ部分との間に隙間ができる。そして、内側位置決め部18と外側位置決め部17との間に設けられたOリング8による締め代を容易に低下できる。よって、この隙間及び締め代から圧縮空気を排出することで、圧力を低下させて破損を防止できる。
【0039】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)連結ケース6の内側位置決め部18のテーパ形状に第1ケース4の外側位置決め部17のテーパ形状を嵌め合わせることで連結ケース6と第1ケース4とを装着する。このため、万が一、圧力調整が不十分で過大圧力が一次側チャンバー2内の第1制御室13に加えられた場合には、連結ケース6と第1ケース4とが離間する方向に連結ケース6と第1ケース4とが引っ張られ、連結ケース6の内側位置決め部18のテーパ部分と第1ケース4の外側位置決め部17のテーパ部分との間に隙間ができる。よって、この隙間から圧縮空気を排出することで、圧力を低下させて破損を防止できる。また、連結ケース6と第1ケース4との装着部分を変更することで、破損を防止できるので、別部材を設けることによるコストや質量が増加することもない。
【0040】
さらに、テーパに沿って連結ケース6に対する第1ケース4の位置が決まるので、連結ケース6と第1ケース4との位置決めを容易に行うことができる。
(2)連結ケース6の内側位置決め部18と第1ケース4の外側位置決め部17との間を軸シールとした。このため、万が一、圧力調整が不十分で過大圧力が一次側チャンバー2内の第1制御室13に加えられた場合には、連結ケース6と第1ケース4とが離間する方向に連結ケース6と第1ケース4とが引っ張られ、内側位置決め部18のテーパ部分と外側位置決め部17のテーパ部分との間に隙間ができた際に、締め代を容易に低下できる。よって、この低下した締め代から圧縮空気を排出することで、圧力を低下させて破損を防止できる。」
(オ) 図4には、凸条部のうち第1ケース4の開口端部4aの開口側に位置する凸条部6cが外側位置決め部17と接触せず、凸条部のうち第1ケース4の開口端部4aから離間する側に位置する凸条部6bが外側位置決め部17と接触することが看取されるから、図4には、「凸条部のうち第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が外側位置決め部と接触せず、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触する」ことが図示されているといえる。
イ 訂正の目的の検討
前記「ア(イ)」及び「ア(ウ)」の記載を参酌すれば、訂正前の請求項1の「前記内側位置決め部の外側に前記外側位置決め部を装着することで、前記連結ケースに対して前記第1ケースを位置決めし、前記外側位置決め部の先端部をかしめることで前記内側位置決め部に前記外側位置決め部を取り付け」るとの状態は、一次側チャンバー内に過大圧力が加えられた際の状態を示す図5ではなく、図4に図示されていることが明らかである。
そうすると、同じ訂正前の請求項1の「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触し、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触しない」(以下、「訂正前の記載」という。)との状態も、同様に、図4に図示されているべきものである。
しかしながら、訂正前の記載は、図4に図示された前記「ア(オ)」の内容と整合していないから、訂正前の記載は誤記であって、図4に図示された「凸条部のうち第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が外側位置決め部と接触せず、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触する」(前記「ア(オ)」を参照。以下、「訂正後の記載」という。)が正しいことは明らかであり、当業者はたやすくこのことを認識し得たものと認められる。
したがって、訂正事項1は、請求項1の、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触し、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触しない」を、「前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部の開口側に位置する第1凸条部が前記外側位置決め部と接触せず、前記凸条部のうち前記第1ケースの開口端部から離間する側に位置する第2凸条部が前記外側位置決め部と接触する」と、誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
(2) 新規事項について
訂正後の記載は、図4に図示されているから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3) 特許請求の範囲の拡張・変更について
前記「(1)イ」のとおり、訂正前の記載は誤記であることが明らかであって、当業者であれば、訂正前の記載を、その記載どおりにではなく、訂正後の記載の趣旨に理解するのが当然であるから、そのような当業者の理解を前提とするならば、本件訂正の前後で特許請求の範囲は同一であり、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということはできない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4) 独立特許要件について
訂正事項1は、前記「(1)イ」のとおり、誤記を訂正するものである。
そこで、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下、「訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討するに、訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に伴って、それ自体の記載内容が特許請求の範囲の記載との関係で不整合が生じている記載を、特許請求の範囲の記載との整合を図るため、明細書の段落【0009】を訂正するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2) 新規事項について
前記「1(2)」と同様の理由により、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3) 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、特許請求の範囲の記載との整合を図るものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
第4 まとめ
以上のとおり、本件審判の請求に係る訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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