特許訂正審判
2021-390114
オイルセパレータ
- 審判番号
- 2021-390114
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2016-138862
- 登録番号
- 6238382
- 請求日
- 2021年07月30日
- 審決日
- 2022年01月12日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ナブテスコオートモーティブ 株式会社
- 【請求人代理人】藤井 稔也
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 佐々木 正章
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P141 .855-Z (F01M) / P141 .856-Z (F01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第131条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6238382号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6238382号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成24年2月27日に出願した特願2012-40583号の一部を平成28年7月13日に新たな特許出願としたものであり、平成29年11月10日に特許権の設定登録がされたものであって、令和3年7月30日に本件訂正審判の請求がされたものである。そして、令和3年10月26日付けで当審より訂正拒絶理由が通知され、これに対して、令和3年11月29日に審判請求書、訂正明細書及び特許請求の範囲を補正対象とする手続補正書及び意見書が提出されたものである。
第2 本件補正の内容
令和3年11月29日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、審判請求書、訂正明細書及び特許請求の範囲を補正するものであり、その補正は、以下の事項を含むものである。
(補正事項1)
訂正特許請求の範囲の【請求項1】に、
「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、
導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、
前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、
前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、
前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、
前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有し、
前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める
オイルセパレータ。」とあるのを
「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、
導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、
前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、
前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、
前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、
前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を塞ぐように設けられ、油分を捕獲する前記衝突材を有し、
前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める
オイルセパレータ。」に補正する。
(補正事項2)
訂正明細書の段落【0009】に、
「上記課題を解決するオイルセパレータは、コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有し、前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める。」とあるのを、
「上記課題を解決するオイルセパレータは、コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を塞ぐように設けられ、油分を捕獲する前記衝突材を有し、前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める。」に補正する。
第3 本件補正についての判断
1 補正事項1について
補正事項1は、訂正特許請求の範囲の請求項1に「前記導入口を覆う前記衝突材」とあるのを「前記導入口を塞ぐように設けられ、油分を捕獲する前記衝突材」に補正するものであって、両者は同一でなく、その特定する範囲が異なることは明らかである。
したがって、当該補正は、本件訂正請求の請求の趣旨を変更するものであるから、特許法第131条の2第1項の規定に適合しない。
2 補正事項2について
補正事項2は、補正事項1により補正される請求項1に関係する明細書の補正である。
したがって、補正事項2は、補正事項1と同じ請求の単位に係る補正である。
3 小括
よって、補正事項1及び2に係る本件補正は、特許法第131条の2第1項の規定に適合しないから、本件補正は許可しない。
第4 本件訂正請求の内容
上記のとおり、令和3年11月29日提出の手続補正書による補正は認められないから、令和3年7月30日提出の訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、特許第6238382号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、請求項1~5について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の段落【請求項1】に
「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、
導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、
前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、
前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、
前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める
オイルセパレータ。」とあるのを、
「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、
導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、
前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、
前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、
前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、
前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有し、
前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める
オイルセパレータ。」に訂正する。
(訂正事項2)
明細書の【0009】に
「上記課題を解決するオイルセパレータは、コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める。」とあるのを、
「上記課題を解決するオイルセパレータは、コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲して回収するオイルセパレータにおいて、導入口よりも横断面積が大きく、隔壁によって区画された複数の膨張室と、前記複数の膨張室の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部と、前記膨張室と前記ドレン溜め部とを連通するドレン連通部と、を備え、前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有し、前記ドレン溜め部は、前記複数の膨張室において分離した油分を同一空間に溜める。」に訂正する。
第5 訂正拒絶理由の概要
当審が令和3年10月26日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
(1)訂正の目的について
上記訂正事項1は、訂正前の「複数の膨張室」について、「前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有」することを限定するから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様である。
(2)独立特許要件についての検討
そこで、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明(以下「本件補正発明1~5」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。
本件補正発明1の「導入口を覆う衝突材」は、「衝突材」について、明細書の【0009】及び【0011】に「衝突材」の文言はあるが、何ら具体的な説明がなく、どのような範囲の部材が、導入口に対してどのように配置されていることを特定しているのかが明確でないから、本件補正発明1は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。
また、本件補正発明1を引用する本件補正発明2~5も同様である。
ゆえに、本件訂正は、特許法第126条第項7項の規定を満たしていない。
第6 本件訂正についての判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1は、訂正前の「複数の膨張室」について、「前記導入口側の前記膨張室の容積よりも排出口側の前記膨張室の容積が大きく、前記導入口側の前記膨張室は、前記導入口を覆う前記衝突材を有」することを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様である。
(2)訂正事項2
上記訂正事項2は、訂正事項1により訂正される請求項1の記載に、明細書の段落【0009】の記載を整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする。
2 独立特許要件について
上記1(1)のとおり、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明(以下「本件訂正発明1~5」という。)は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第126条第7項の規定に違反しないか)について以下検討する。
(1)本件訂正発明1について
本件訂正発明1の「前記導入口を覆う前記衝突材」は、「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲」するものであるところ、「衝突材」について、明細書に具体的な説明がなく、どのような範囲の部材が、導入口に対してどのように配置されていることを特定しているのかが明確でない。
ア 「衝突材」とは、その文言及び「コンプレッサで圧縮されて油分を含んだ圧縮空気を筐体内に導入して、衝突材に衝突させることで当該圧縮空気に含まれる油分を分離又は捕獲」するとの記載から、「コンプレッサで圧縮された圧縮空気」が衝突する部材と解されるところ、請求人が、本件審判請求書において、訂正の根拠とする明細書の段落【0030】には「油水分を捕獲する」「ウレタンフォーム(スポンジ等)38」が記載され、【0037】には「ウレタンフォーム38によって捕獲された水分と油分」と記載されているが、衝突するとの記載はない。そして、図3を参照すると、導入口14からのパージエアは、「ウレタンフォーム(スポンジ等)38」内を通過して、パンチングメタル板37の複数の孔を通り、一次膨張室31内のパンチングメタル板37と衝突板34との間の空間を通過して衝突板34に衝突して空気から油分と水分を分離すると理解できる(明細書【0023】~【0032】)から、「ウレタンフォーム(スポンジ等)38」に、導入口14からのパージエアが衝突しているとは理解できない。
仮に、「衝突材」の一実施例が、「ウレタンフォーム(スポンジ等)38」であるとすると、本件訂正発明1の「衝突材」は、通常の意味での「衝突材」と異なることとなるから、その特定する構造の範囲が明確でない。
さらに、単に圧縮空気が当たる部材という程度の意味とすると、膨張室の内壁や膨張室内に設けた部材は全て圧縮空気が当たることとなり、この点でも「衝突材」の特定する範囲が明確でない。
イ また、「導入口を覆う」とは、通常、一面に広がりかぶさって導入口を隠すことを意味し、図3及び4の導入口14とウレタンフォーム38のような関係を指すとは理解しない。
ウ したがって、「導入口を覆う衝突材」とは、どのような「材」が導入口に対して、どのように配置されていることを特定しているのかが明確でない。
ゆえに、本件訂正発明1は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。
また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5も同様である。
(2)小括
ゆえに、本件訂正は、特許法第126条第項7項の規定を満たしていない。
第3 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第126条第7項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
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