特許拒絶査定不服審判
2017-018701
遊技機
- 審判番号
- 2017-018701
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-074660外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月15日
- 審決日
- 2018年09月25日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-74660号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-193102号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成27年3月31日の出願であって、平成28年4月15日に手続補正書が提出され、平成29年2月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月13日付け(発送日:同年9月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年12月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成29年12月15日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年12月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年4月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「遊技領域へ遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、
前記遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるように、遊技者の操作に基づいて前記発射手段による遊技球の発射を制御する発射制御手段と、
前記特定の領域に配置され、遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記特定の領域とは異なる領域に配置される第2入球手段と、
その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて識別情報の動的表示を所定期間実行することが可能な動的表示実行手段と、
前記識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
前記第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、前記識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な判定手段と、
前記判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づいて、前記動的表示実行手段により実行されている前記識別情報の動的表示を、前記所定期間の経過前に終了させることが可能な終了条件が成立していれば終了させる終了手段と、
前記終了条件が成立することで前記終了手段により前記所定期間の経過前に前記識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成29年12月15日付け)における「遊技領域へ遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、
前記遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるように、遊技者の操作に基づいて前記発射手段による遊技球の発射を制御する発射制御手段と、
前記特定の領域に配置され、遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記特定の領域とは異なる領域に配置される第2入球手段と、
その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて識別情報の動的表示を所定期間実行することが可能な動的表示実行手段と、
前記識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
前記第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、前記識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な判定手段と、
前記判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づいて、前記動的表示実行手段により実行されている前記識別情報の動的表示を、前記所定期間の経過前に終了させることが可能な終了条件が成立していれば終了させる終了手段と、
前記識別情報の動的表示が実行されている期間において、前記終了条件が成立する場合に前記終了手段により前記所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1~2のうちの請求項1について、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「報知手段」により「報知」される「示唆態様」に関して、「前記終了条件が成立することで前記終了手段により前記所定期間の経過前に前記識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様」とあったものを「前記識別情報の動的表示が実行されている期間において、前記終了条件が成立する場合に前記終了手段により前記所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0160】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Iは、分説するため審決にて付した。)。
「A 遊技領域へ遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、
B 前記遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるように、遊技者の操作に基づいて前記発射手段による遊技球の発射を制御する発射制御手段と、
C 前記特定の領域に配置され、遊技球が入球可能な第1入球手段と、
D 前記特定の領域とは異なる領域に配置される第2入球手段と、
E その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて識別情報の動的表示を所定期間実行することが可能な動的表示実行手段と、
F 前記識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
G 前記第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、前記識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な判定手段と、
H 前記判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づいて、前記動的表示実行手段により実行されている前記識別情報の動的表示を、前記所定期間の経過前に終了させることが可能な終了条件が成立していれば終了させる終了手段と、
I 前記識別情報の動的表示が実行されている期間において、前記終了条件が成立する場合に前記終了手段により前記所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-268521号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に形成された第1の始動入賞口に遊技球が入賞すると抽選を行う第1の抽選手段と、
前記遊技盤に形成された第1の始動入賞口に遊技球が入賞すると、第1の特別図柄を変動表示させ、変動表示させた第1の特別図柄を停止表示させる第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段により表示させる第1の特別図柄の表示態様を、前記第1の抽選手段による抽選の結果に基づいて決定する第1の表示態様決定手段と、
前記遊技盤に形成された第2の始動入賞口に遊技球が入賞すると抽選を行う第2の抽選手段と、
前記遊技盤に形成された第2の始動入賞口に遊技球が入賞すると、第2の特別図柄を変動表示させ、変動表示させた第2の特別図柄を停止表示させる第2の表示制御手段と、
前記第2の表示制御手段により表示させる第2の特別図柄の表示態様を、前記第2の抽選手段による抽選の結果に基づいて決定する第2の表示態様決定手段と、
前記第1の抽選手段又は前記第2の抽選手段による抽選の結果、大当たりに当選し、前記第1の表示制御手段又は前記第2の表示制御手段により、大当たりに対応する第1の特別図柄又は第2の特別図柄が停止表示すると、前記遊技盤に形成された大入賞口の開閉を行って特別遊技を実行する大当たり時遊技実行手段と、
前記第1の抽選手段又は前記第2の抽選手段による抽選の結果、小当たりに当選し、前記第1の表示制御手段又は前記第2の表示制御手段により、小当たりに対応する第1の特別図柄又は第2の特別図柄が停止表示すると、前記遊技盤に形成された大入賞口の開閉を前記特別遊技のときよりも不利な態様で行う小当たり時遊技実行手段とを有し、
前記第1の表示制御手段により表示される第1の特別図柄と、前記第2の表示制御手段により表示される第2の特別図柄とは、同時期に変動表示することが可能であり、
前記第1の表示態様決定手段は、前記決定した表示態様に基づいて第1の特別図柄が停止表示するタイミングよりも、前記小当たりに対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングが早く到来する場合に、前記小当たりに対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングに合わせて、前記第1の抽選手段による抽選に当選しなかった場合に対応する第1の特別図柄を強制的に停止表示するように、前記決定した表示態様を変更することを特徴とする遊技機。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、遊技の進行速度を調整するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技球の始動入賞口への入賞を契機として抽選を行うと共に図柄の変動表示を開始し、抽選の結果に応じて、変動表示を開始した図柄を停止表示させるようにする遊技機がある。この種の遊技機において、図柄の変動時間を短縮する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
かかる技術では、図柄が変動しているときに短縮ボタンが操作されると、この短縮ボタンが操作されるまでの変動時間を計時し、計時した変動時間に基づいて、予め設定された複数のスキップパターンの1つを選択し、選択したスキップ先にスキップすることで、図柄の変動時間を短縮するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004-188057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、遊技者が遊技球を発射させて行う遊技とは無関係なボタンの操作により図柄の変動時間を短縮するようにしている。また、遊技者がボタンを押すと図柄の変動時間を必ず短縮するようにしている。このように従来の技術では、遊技者が遊技球を遊技領域に発射させて行う遊技とは無関係なボタンの操作により図柄の変動時間を短縮させているので、遊技の進行速度を速めることが容易に行われ過ぎてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技領域に発射された遊技球を用いて遊技の進行を速めることができるようにすることを目的とする。」
ウ 「【0016】
また、遊技盤には、一般入賞口72、第1~第3の始動入賞口62、63、67、第1及び第2の大入賞口91、92、及びアウト口58が形成されている。尚、本実施形態では、普通電動役物65が開放することによってのみ第3の始動入賞口67に遊技球が入賞されるようにしている。
ここで、本実施形態では、遊技者から見て相対的に右側の遊技領域に遊技球を発射させることにより(所謂右打ちをすることにより)、第2の大入賞口92、第2始動入賞口63に遊技球が格段に入賞し易くなるように配置されている一方、第1の大入賞口91、第1の始動入賞口62、第3の始動入賞口67については、遊技者から見て相対的に左側の遊技領域に遊技球を発射させた方が、右側の遊技領域に遊技球を発射させた場合よりも、遊技球が入賞し易くなるように配置されている。」
エ 「【0042】
第1の大入賞口91の右側方には、右打ち表示灯95が設けられている。右打ち表示灯95は、遊技機100における遊技の状態に応じて、遊技領域52のうち、遊技者から見て右側の領域に遊技球を発射させた方が有利である場合に点灯するLEDを備えている。
センター飾り部品64は、半透明の部分を含む成形品であり、演出表示装置60の周囲に設けられている。このセンター飾り部品64は、演出表示装置60を保護したり、遊技機100を装飾したりする等の役割を果たす。
・・・
【0046】
球皿ユニット97は、前枠12の下方に設けられており、遊技球(貸球及び賞球)を一定量貯留する上球皿15及び下球皿16、遊技球を貯留するための機構、遊技球を発射させるための機構に遊技球を送り出すための機構、貯留中の遊技球を出球収容箱(いわゆるドル箱)に抜き出すための球抜き機構、発射ハンドル17、操作スイッチ82、及びスピーカ18等を有する。
操作スイッチ82は、例えば、演出表示装置60に表示される演出画像に基づく操作を遊技者が行うためのものである。
発射ハンドル17は、遊技球を遊技領域52に向けて発射させる際に遊技者により操作される。遊技者が発射ハンドル17を回動操作すると、回動角度に応じた速度で、遊技球が、内レール56及び外レール54により案内されて遊技領域52に向けて発射される。
スピーカ18は、演出としての効果音等の音情報を再生出力する。
【0047】
(規定遊技の概要)
ここで、遊技機100における規定遊技の概要について説明する。
まず、貸し出された遊技球(貸球)が上球皿15に置かれた状態で、遊技者が、発射ハンドル17を、図1に向かって時計回りの方向に回すと、遊技球が、遊技領域52に向けて発射される。遊技領域52に入った遊技球は、遊技領域52に形成されている釘や風車等に衝突して、不規則な動きをしながら、遊技領域52内を上から下に向けて移動する。
【0048】
そして、遊技球が、第1の始動入賞口62又は第3の始動入賞口67に入賞すると、所定数の賞球(本実施形態では4個の賞球)が上球皿15又は下球皿16に払い出されると共に、第1の特別図柄表示装置70に表示される第1の特別図柄と、演出表示装置60の第1の表示領域194に表示される第1の装飾図柄とが変動表示を開始する。その後、第1の特別図柄表示装置70に所定の特別図柄が停止表示すると共に、演出表示装置60の第1の表示領域194に所定の装飾図柄の組み合わせ(例えば同じ装飾図柄)が停止表示すると、「大当たり」となり、通常遊技から第1の特別遊技に遊技が移行する。」
オ 「【0061】
本実施形態では、このことを利用して、「ハズレ」又は「小当たり」に対応する第1の特別図柄が停止表示するタイミングよりも、「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングが早く到来する場合には、「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングに合わせて、「ハズレ」に対応する第1の特別図柄を強制的に停止表示させる。そして、第1の特別遊技を実行した後の「確変モード」及び「時短モード」において、「小当たり」に対応する第2の特別図柄を停止表示させる場合の第2の特別図柄変動表示時間を5秒とし、「小当たり」又は「ハズレ」に対応する第1の特別図柄を停止表示させる場合の第1の特別図柄変動表示時間よりも短くする。このようにすることによって、第1の特別遊技を実行した後の「確変モード」及び「時短モード」では、「大当たり」に対応する第1の特別図柄が停止表示させる場合を除き、第2の始動入賞口63に遊技球が入賞すると、原則として、第1の特別図柄変動表示時間に関わらず、第2の始動入賞口63に遊技球が入賞してから5秒で、「ハズレ」に対応する第1の特別図柄を強制的に停止表示させることができ、第1の特別図柄による遊技の高速化が可能になる。」
カ 「【0071】
以上のように本実施形態では、第1の特別遊技を実行した後の「確変モード」及び「時短モード」において、遊技者が適宜右打ちをすることによって、第1の特別図柄の変動表示を「小当たり」に対応する第2の特別図柄変動表示時間(=5秒)に合わせて強制的に停止表示させることが可能になる。よって、第1の特別図柄による遊技を速めることができる。
また、第1の特別図柄により「大当たり」した場合には、第1の特別図柄変動表示時間を「小当たり」に対応する第2の特別図柄変動表示時間よりも短い時間(=3秒)にすることによって、第1の特別図柄により「大当たり」した場合に、第1の特別図柄が停止表示するタイミングよりも、「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングが早く到来することを可及的に防止することができる。」
キ 「【0097】
(発射制御基板205)
発射制御基板205には、遊技球を遊技領域52中に発射するための発射ハンドル17に接続されている。発射制御基板205は、発射ハンドル17が遊技者により操作されたことを検出し、検出した結果を示す発射操作検出信号をメイン制御基板201に送信する。これにより、メイン制御基板201は、発射ハンドル17が操作されたことを認識する。
【0098】
そして、メイン制御基板201は、上球皿15及び下球皿16に遊技球が一定量以上貯留していない場合に発射許可信号を発射制御基板205に送信する。そうすると、発射制御基板205は、遊技球が遊技領域52に向けて発射されるように発射ハンドル17を制御する。」
ク 「【0110】
(第1、第2の当選判定部305a、305b)
第1、第2の当選判定部305a、305bは、第1、第2の特別図柄抽選部304a、304bにより出力された「一組の乱数」のうち、第1、第2の特別図柄の当否に係る乱数の値に基づいて、第1、第2の特別図柄抽選部304a、304bによる抽選の結果が、「大当たり」、「小当たり」及び「ハズレ」の何れに該当するのかを判定する。続いて、第1、第2の当選判定部305a、305bは、「大当たり」に該当する場合には、「一組の乱数」のうち、第1、第2の特別図柄決定用の乱数の値が、「確変モード」へ移行することを示す当選領域に属するのか、それとも「時短モード」へ移行することを示す当選領域に属するのかに基づいて、特別遊技を実行した後に「確変モード」及び「時短モード」の何れのモード(遊技状態)に移行するのかを判断する。
【0111】
第1、第2の当選判定部305a、305bは、「大当たり」に該当する場合には、フラグ記憶部302に記憶されている第1、第2のボーナスフラグをオンする。このとき、フラグ記憶部302に記憶されている確変フラグ及び時短フラグがオンされている場合には、確変フラグ及び時短フラグをオフする。これにより、「大当たり」に基づく第1又は第2の特別遊技を実行しているときの普通電動役物65の動作が、「通常モード」時の状態に戻る。そして、第1、第2の当選判定部305a、305bは、第1、第2の特別遊技が終了すると、フラグ記憶部302に記憶されている第1、第2のボーナスフラグをオフすると共に、「確変モード」に移行する場合には、フラグ記憶部302に記憶されている第1、第2の確変フラグをオンし、「時短モード」に移行する場合には、フラグ記憶部302に記憶されている第1、第2の時短フラグをオンする。」
上記ア~クの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~iは、本件補正発明の構成A~Cに対応させて付与した。)。
「a 遊技者により操作され、遊技球が遊技領域52に向けて発射されるように制御される発射ハンドル17(【0046】、【0098】)と、
b 遊技者が回動操作して、右打ちをすることにより、遊技球が、回動角度に応じた速度で右側の遊技領域に向けて発射されるように発射ハンドル17を制御する発射制御基板205(【0016】、【0046】、【0098】)と、
c 右側の遊技領域に遊技球を発射させることにより、遊技球が格段に入賞し易くなるように配置されている第2始動入賞口63(【0016】)と、
d 左側の遊技領域に遊技球を発射させた方が、右側の遊技領域に遊技球を発射させた場合よりも、遊技球が入賞し易くなるように配置されている第1の始動入賞口62(【0016】)と、
e 第1の始動入賞口62に遊技球が入賞すると、第1の特別図柄を変動表示させ、変動表示させた第1の特別図柄を停止表示させる第1の表示制御手段(【請求項1】、【0016】)と、
f 大当たりに当選し、第1の表示制御手段により、大当たりに対応する第1の特別図柄が停止表示すると、遊技盤に形成された大入賞口の開閉を行って特別遊技を実行する大当たり時遊技実行手段(【請求項1】)と、
g 第2の始動入賞口に遊技球が入賞すると行われる第2の抽選手段(第2の特別図柄抽選部304b)による抽選の結果が、「小当たり」に該当するのかを判定する第2の当選判定部305b(【請求項1】、【0110】)とを備え、
第1の表示制御手段により表示される第1の特別図柄と、第2の表示制御手段により表示される第2の特別図柄とは、同時期に変動表示することが可能であり(【請求項1】)、
h 第1の特別遊技を実行した後の「確変モード」及び「時短モード」において、
決定した表示態様に基づいて第1の特別図柄が停止表示するタイミングよりも、小当たりに対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングが早く到来する場合に、
第1の特別図柄による遊技を速めるために、遊技者が適宜右打ちをすることによって、「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングに合わせて、第1の抽選手段による抽選に当選しなかった場合に対応する第1の特別図柄の変動表示を強制的に停止表示するように、決定した表示態様を変更する第1の表示態様決定手段(【請求項1】、【0071】)と、
i 遊技機100における遊技の状態に応じて、遊技領域52のうち、右側の領域に遊技球を発射させた方が有利である場合に点灯する右打ち表示灯95(【0042】)
とを備えた遊技機。」
(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A~Hと刊行物発明の構成a~hについて、それぞれ(a)~(h)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「遊技者により操作され」ることは、本件補正発明における「遊技者の操作に基づ」くことに相当する。
そして、刊行物発明における「発射されるように制御される」ことは、本件補正発明における「発射可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「発射ハンドル17」は、本件補正発明における構成Aの「発射手段」に相当する。
(b)刊行物発明における「右側の遊技領域」は、本件補正発明における「遊技領域における特定の領域」に相当する。
したがって、刊行物発明における「遊技球が、回動角度に応じた速度で右側の遊技領域に向けて発射されるよう」にすることは、遊技球が右側の遊技領域に達するように発射されることであるから、本件補正発明における「遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるよう」にすることに相当する。
そして、刊行物発明における「遊技者が回動操作して、右打ちをする」ことは、本件補正発明における「遊技者の操作に基づ」くことに相当する。
また、刊行物発明における「発射ハンドル17を制御する」ことは、遊技球が右側の遊技領域に達するように発射の制御が行われることであるから、本件補正発明における「発射手段による遊技球の発射を制御する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「発射制御基板205」は、本件補正発明における構成Bの「発射制御手段」としての機能を有するものである。
(c)刊行物発明における「右側の遊技領域に遊技球を発射させることにより、第2始動入賞口63に遊技球が格段に入賞し易くなるように配置されている」ことは、すなわち、「右側の遊技領域に」「配置されている」ことである。
そして、上記(b)より、刊行物発明における「右側の遊技領域」は、本件補正発明における「遊技領域における特定の領域」に相当する。
したがって、刊行物発明における「右側の遊技領域に」「配置されている」ことは、本件補正発明における「特定の領域に配置され」ることに相当する。
また、刊行物発明における「遊技球が格段に入賞し易くなる」ことは、本件補正発明における「遊技球が入球可能な」ことに相当する。
ゆえに、刊行物発明における構成cの「第2始動入賞口63」は、本件補正発明における構成Cの「第1入球手段」に相当する。
(d)刊行物発明における「左側の遊技領域に遊技球を発射させた方が、右側の遊技領域に遊技球を発射させた場合よりも、遊技球が入賞し易くなるように配置されている」ことは、すなわち、「左側の遊技領域に」「配置されている」ことであるから、本件補正発明における「特定の領域とは異なる領域に配置され」ることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成dの「第1の始動入賞口62」は、本件補正発明における構成Dの「第2入球手段」に相当する。
(e)刊行物発明における「第1の特別図柄を変動表示させ、変動表示させた第1の特別図柄を停止表示させる」ることは、「第1の特別図柄」が「変動表示」を開始してから、所定時間経過後に「停止表示」させることであるから、本件補正発明における「識別情報の動的表示を所定期間実行する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eの「第1の表示制御手段」は、本件補正発明における構成Eの「動的表示実行手段」に相当する。
(f)刊行物発明における「大当たりに対応する第1の特別図柄が停止表示する」場合は、本件補正発明における「識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合」に相当する。
そして、刊行物発明における「遊技盤に形成された大入賞口の開閉を行って特別遊技を実行する」ことは、本件補正発明における「遊技者に有利となる特典遊技を実行する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成fの「大当たり時遊技実行手段」は、本件補正発明における構成Fの「特典遊技実行手段」に相当する。
(g)上記(d)より、刊行物発明における「第2の始動入賞口に遊技球が入賞する」ことは、本件補正発明における「第1入球手段に遊技球が入球したことに基づ」くことに相当する。
また、刊行物発明における「「小当たり」に該当するのかを判定する」ことは、本件補正発明における「特定条件の成立を判定する」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「第1の表示制御手段により表示される第1の特別図柄と、第2の表示制御手段により表示される第2の特別図柄とは、同時期に変動表示することが可能であ」ることは、「「第1の表示制御手段により表示される第1の特別図柄」の「変動表示」中に、「当選判定部305b」による「第2の抽選手段による抽選の結果が、「小当たり」に該当するのか」の「判定」が実行可能であるといえることから、本件補正発明における「識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成gの「第2の当選判定部305b」は、本件補正発明における構成Gの「判定手段」に相当する。
(h)刊行物発明における「小当たりに対応する第2の特別図柄が停止表示する」ことは、上記(g)より、「第2の当選判定部305b」により「小当たり」に当選したことを前提とするものであるから、本件補正発明における「判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づ」くことに相当する。
そして、刊行物発明における「第1の抽選手段による抽選に当選しなかった場合に対応する第1の特別図柄の変動表示」は、本件補正発明における「動的表示実行手段により実行されている識別情報の動的表示」に相当する。
また、刊行物発明における「「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングに合わせて」「強制的に停止表示する」ことは、本件補正発明における「所定期間の経過前に」「終了させる」ことに相当する。
さらに、刊行物発明における「決定した表示態様に基づいて第1の特別図柄が停止表示するタイミングよりも、小当たりに対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングが早く到来する」ことは、本件補正発明における「(動的表示実行手段により実行されている識別情報の動的表示を)終了させることが可能な終了条件が成立してい」ることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成hの「第1の特別図柄の変動表示を強制的に停止表示するように、決定した表示態様を変更する第1の表示態様決定手段」は、本件補正発明における構成Hの「終了手段」に相当する。
上記(a)~(h)より、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 遊技領域へ遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、
B 前記遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるように、遊技者の操作に基づいて前記発射手段による遊技球の発射を制御する発射制御手段と、
C 前記特定の領域に配置され、遊技球が入球可能な第1入球手段と、
D 前記特定の領域とは異なる領域に配置される第2入球手段と、
E その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて識別情報の動的表示を所定期間実行することが可能な動的表示実行手段と、
F 前記識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
G 前記第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、前記識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な判定手段と、
H 前記判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づいて、前記動的表示実行手段により実行されている前記識別情報の動的表示を、前記所定期間の経過前に終了させることが可能な終了条件が成立していれば終了させる終了手段と、
を有する遊技機。」
[相違点](構成I)
本件補正発明が、識別情報の動的表示が実行されている期間において、終了条件が成立する場合に終了手段により所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段を有するのに対して、刊行物発明は、そのような構成を有するか否か明らかでない点。
(4)判断
ア 相違点について
上記相違点について検討する。
刊行物発明における構成iによれば、「右打ち表示灯95」は、「右側の領域に遊技球を発射させた方が有利である場合に点灯する」ものであるから、刊行物発明は、「右側の領域に遊技球を発射させた方が有利」な期間であることを「右打ち表示灯95」を「点灯」させることにより報知するものであるといえる。
そして、刊行物発明における構成hにおいて、「遊技者が適宜右打ちをする」のは、第1の特別図柄の変動中に「第1の特別図柄による遊技を速める」という、遊技者にとって有利な状態を生じさせるためである。
したがって、刊行物発明における構成hの「第1の特別図柄による遊技を速めるために、遊技者が適宜右打ちをする」場合は、構成iの「右側の領域に遊技球を発射させた方が有利である場合」に含まれるものである。
そして、刊行物発明における構成hの「第1の特別図柄による遊技を速めるために、遊技者が適宜右打ちをすることによって、「小当たり」に対応する第2の特別図柄が停止表示するタイミングに合わせて、第1の抽選手段による抽選に当選しなかった場合に対応する第1の特別図柄の変動表示を強制的に停止表示する」ことは、上記「(3)対比(g)~(h)」において検討したことからみて、本件補正発明における構成Iの「識別情報が動的表示されている期間において、終了条件が成立する場合に終了手段により所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させる」ことに対応する。
ゆえに、刊行物発明における構成iの「右側の領域に遊技球を発射させた方が有利」な期間であることを「点灯」させることにより報知する「右打ち表示灯95」は、右打ちにより「第1の特別図柄の変動表示を強制的に停止表示」させる(構成h)ことが可能であるから、本件補正発明における構成Iの「識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段」に対応する。
さらに、遊技機の技術分野において、大当たり終了後の遊技状態が、遊技者にとって有利な確変期間中であることを、変動表示中を含む確変期間において示唆することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、遊技状態が確変期間中であることを遊技者に示唆する例として、特開2010-158260号公報の【0003】、【0006】や、特開2008-167945号公報の【0019】、【0652】を、遊技状態が確変期間における変動表示中であることを遊技者に示唆する例として、特開2003-199938号公報の【図16】~【図18】、【0121】~【0122】や、特開平9-56890号公報の【0046】~【0047】、【0061】を参照のこと。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、大当たり終了後に遊技状態が、確変状態となることが可能な遊技機である点で共通する。
よって、刊行物発明に上記周知の技術事項を適用して、第1の特別図柄による遊技を速めるために、「識別情報が動的表示されている期間において、終了条件が成立する場合に終了手段により所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させる」ことが可能な期間であることを、動的表示を実行中に「右打ち表示灯95」を「点灯」させることにより示唆可能とし、上記相違点に係る本件補正発明の構成Iとすることは、当業者が容易になし得たものである。
イ 請求人の主張について
請求人は、平成29年12月15日付け審判請求書において、「補正後の本願発明の構成では、識別情報の動的表示が実行されている期間において、所定期間の経過前に停止表示させることが可能な期間であればその報知がされるものであり、初めて遊技を行なう遊技者であっても、直ぐにその機能に気づき遊技を行なうことができるという特有の効果を有するものであって、引用文献1からはその効果が奏するものでないことは明らかです。
一度、遊技を行なった遊技者であれば、その遊技内容について示唆等のサポートがなくても遊技内容を理解して遊技を行なうことができることは当たり前のことであり、遊技内容を事前に知る遊技者のみに知ることのできる示唆態様は、示唆態様とは呼べないものであると思われます。
遊技を行なったことがない遊技者が、時短モードまたは確変モードとなったことで、第1の特別図柄が強制的に停止させられる期間となったことを認識することは通常困難であり、第2の始動入賞口63に遊技球が入球しなければ、その間は、効率よく遊技ができる機能を使用することすら選択することができず、効率の良い遊技ができる機会をある程度の期間逃してしまうという本願発明の構成では生じることのない不具合が生じるものです。」(第4頁第16行~第5頁第2行)と主張する。
そこで請求人の上記主張について検討する。
上記アにおいて検討したように、刊行物発明において、第1の特別図柄による遊技を速めるために、第1の特別図柄による「識別情報が動的表示されている期間において、終了条件が成立する場合に終了手段により所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させる」こと(構成I)が可能な期間であることを、「右打ち表示灯95」を「点灯」させることにより報知することは当業者が容易になし得たものである。
そして、刊行物発明は、「右打ち表示灯95」が点灯していることに直ぐに気が付いた遊技者が右打ちを行い、変動中の第1の特別図柄による変動を強制終了させることにより第1の特別図柄による遊技を速めるという効果を奏するものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
ウ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明及び上記周知の技術事項から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。
そうすると、上記ア~イにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明及び上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(5)まとめ
上記(1)~(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年4月27日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりであるところ、その発明は、次のとおりのものと認める(記号A~Cは、分説するため当審にて付した。)。
「A 遊技領域へ遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、
B 前記遊技領域における特定の領域へ遊技球が到達可能となるように、遊技者の操作に基づいて前記発射手段による遊技球の発射を制御する発射制御手段と、
C 前記特定の領域に配置され、遊技球が入球可能な第1入球手段と、
D 前記特定の領域とは異なる領域に配置される第2入球手段と、
E その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて識別情報の動的表示を所定期間実行することが可能な動的表示実行手段と、
F 前記識別情報が特定の識別情報で停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
G 前記第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、前記識別情報が動的表示されている期間に特定条件の成立を判定することが可能な判定手段と、
H 前記判定手段により特定条件が成立したと判定されたことに基づいて、前記動的表示実行手段により実行されている前記識別情報の動的表示を、前記所定期間の経過前に終了させることが可能な終了条件が成立していれば終了させる終了手段と、
I’前記終了条件が成立することで前記終了手段により前記所定期間の経過前に前記識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様を報知する報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機。」
2 拒絶の理由(平成29年9月13日付け)
原査定の拒絶の理由の概要は、
「2.(進歩性)この出願の下記の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2009-268521号公報
3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、引用文献1である特開2009-268521号公報(前記「刊行物」に対応する。)には、前記「第2 3(2)刊行物に記載された事項」に示した刊行物発明が記載されている。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]3(1)本件補正発明」で検討した本件補正発明の「報知手段」により「報知」される「示唆態様」(構成I)に関して、「前記識別情報の動的表示が実行されている期間において、前記終了条件が成立する場合に前記終了手段により前記所定期間の経過前に当該動的表示が実行されている識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様」とあったものを、「前記終了条件が成立することで前記終了手段により前記所定期間の経過前に前記識別情報の動的表示を終了させることが可能な期間であることを示唆可能な示唆態様」とその限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3(3)対比、(4)判断」に記載したとおり、刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-018701