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特許拒絶査定不服審判

2017-018558

ハイブリッドスピンナ支持体

審判番号
2017-018558
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-556953外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月14日
審決日
2018年08月20日
公報発行日
2019年02月22日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F02K) / P18 .575-Z (F02K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-556953「ハイブリッドスピンナ支持体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年8月14日国際公開、WO2014/123685、平成28年5月26日国内公表、特表2016-515176〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)1月21日(パリ条約による優先権件主張外国庁受理2013年2月8日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月30日付け(発送日:平成28年9月6日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成29年3月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年8月7日付け(発送日:平成29年8月15日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年12月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成29年12月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年12月14日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正前の平成29年3月2日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 航空機エンジンの支持リング(40)であって、 内側表面及び外側表面を有し、前記航空機エンジンの軸方向に延び且つ前方端部及び後方端部を備えるサスペンダ(42)を備え、 前記サスペンダ(42)は、 前記前方端部から半径方向内側に向けて延びる、複数の開口(49)を備える前方フランジ(46)と、 軸方向構成要素を有し円周方向に延びる流れ面と、 前記内側表面及び外側表面の一方に前記後方端部に隣接して設けられた周方向に延びる溝(66)と を備え、 前記流れ面は、第1の前方端に第1の半径方向位置と、第2の後方端に第2の半径方向位置とを有し、 前記支持リングは、前記サスペンダの前記溝(66)内で円周方向に延びてこれと係合するベルト(44)をさらに備え、 前記サスペンダは、第1の材料で形成され、前記ベルトは、前記第1の材料とは異なる第2の異なる材料で形成され、 前記流れ面は、滑らかであるか又は輪郭形成されたものの一方である、 支持リング。」 (2)そして、本件補正により、上述の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された(下線は、請求人が補正箇所を示すために付したものである。)。 「【請求項1】 航空機エンジンの支持リング(40)であって、 内側表面及び外側表面を有し、前記航空機エンジンの軸方向に延び且つ前方端部及び後方端部を備えるサスペンダ(42)を備え、 前記サスペンダ(42)は、 前記前方端部から半径方向内側に向けて延びる、複数の開口(49)を備える前方フランジ(46)と、 軸方向構成要素を有し円周方向に延びる流れ面と、 前記内側表面に前記後方端部に隣接し且つ該後方端部に向け肉厚になるラグ(60)に隣接して設けられた周方向に延びる溝(66)と を備え、 前記流れ面は、第1の前方端に第1の半径方向位置と、第2の後方端に第2の半径方向位置とを有し、 前記支持リングは、前記サスペンダの前記溝(66)内で円周方向に延びてこれと係合するベルト(44)をさらに備え、 前記サスペンダは、第1の材料で形成され、前記ベルトは、前記第1の材料とは異なる第2の異なる材料で形成され、 前記流れ面は、滑らかであるか又は輪郭形成されたものの一方である、 支持リング。」 2.補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「内側表面及び外側表面の一方に前記後方端部に隣接して設けられた周方向に延びる溝(66)」に関し、「内側表面及び外側表面の一方に」について「内側表面に」との限定を付加し、さらに「後方端部に隣接し」に加えて「且つ後方端部に向け肉厚になるラグ(60)に隣接し」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件補正発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 ア 本件補正発明 本件補正発明は、上記1.(2)に記載したとおりのものである。 イ 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2011/0103726号明細書には、「COMPOSITE LOAD-BEARING ROTATING RING AND PROCESS THEREFOR」に関して、図面(特に、図6ないし図9を参照。)とともに次の記載が記載されている。(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。) (ア)「[0007]A significant advantage of this invention is the ability to produce and utilize composite rings for load-bearing applications, by which manufacturing and materials costs and/or weight can be reduced without compromising the load-bearing functionality of the rings. Other aspects and advantages of this invention will be better appreciated from the following detailed description.」 (イ)「[0021]The forward and aft retainer rings 28 and 30 represented in FIGS.1 and 6 provide a relatively simple structure for loosely capturing or retaining the platform 16 without any additional hardware. Axial and radial clearance may be provided between the platform 16 and the retainer rings 28 and 30 to allow the platform 16 to move in response to an impact, such as a bird strike, promoting the distribution and dissipation of the impact. Fan platform retention in this manner has been utilized in commercial aircraft engines, such as the GEnx(○の中にR) and GE90(○の中にR) engines manufactured by the General Electric Company. In these engines, the forward and aft platform retainer rings 28 and 30 are manufactured from metal, typically a titanium alloy, such as machined Ti-6Al-4V ring-rolled forgings. Though titanium alloy retainer rings 28 and 30 of the type shown in FIGS.1 and 6 perform extremely well, the present invention provides retainer rings formed of composite materials and configured to achieve the structural performance of the retainer rings 28 and 30. In so doing, retainer rings of this invention provide the potential for reductions in both weight and cost over the titanium retainer rings 28 and 30 of FIGS.1 and 6.」 (ウ)「[0029] FIG.7 is a detailed view showing the forward platform retainer ring 28 of FIG. 6 as having been replaced with a forward platform retainer ring assembly 58 comprising a composite ring 90 and a metal flange 92. FIG. 8 is an isometric view of the ring assembly 58, and FIG.9 is an isolated cross-sectional view of the composite ring 90. Similar to the composite aft retainer ring 60 of FIGS.2 through 5, the composite ring 90 is fabricated from at leastone PMC lamination 93. As such, the discussion regarding the materials and fabrication of theaft retainer ring 60 are applicable to the composite ring 90, and will not be repeated here. [0030] Similar to the forward retainer ring 28 of FIG.6, the forward retainer ring assembly 58 of FIG.7 has a generally U-shaped cross-sectional profile, with a radially outer leg 94 that forms an integral shroud whose outer surface defines an inner flowpath boundary surface for air moving through the fan section 10. In contrast to the retainer ring 30 of FIGS. 2 through 5, the outer leg 94 terminates with a projection or lug 96 that defines an abutment surface 95 for retention of the fan platform 16. A radially inner leg 98 of the ring assembly 58 defines a flange 100 by which the ring assembly 58 is secured (bolted) to the rotor disk 14. The spinner 26 is shown as supported by the ring assembly 58 as a result of being secured with bolts 107 to a midportion 106 of the ring assembly 58 between the legs 94 and 98. As evident from FIGS.7 and 8, the composite ring 90 defines the outer leg 94 of the ring assembly 58, the metal flange 92 defines the inner leg 98 of the ring assembly 58, and flange portions 102 and 104 of the ring 90 and flange 92 overlap each other to define the midportion 106 of the ring assembly 58. As such, the integral shroud that defines the inner flowpath boundary surface for air moving through the fan section 10 is defined by the composite ring 90, and particularly the outer leg 94 defined by the composite ring 90, and the lug 96 that defines the abutment surface 95 is defined by the composite ring 90, and particularly the distal end of the outer leg 94 defined by the composite ring 90. While shown as being fabricated separately, it is foreseeable that the composite ring 90 could be fabricated as an integral portion of the spinner 26 to further simplify the design and reduce the weight. [0031] FIG.9 is a cross-sectional view of the composite ring 90 showing the placement of two inserts 108 and 110 within the lug 96 at the distal end of the outer leg 94. Both inserts 108 and 110 are preferably fabricated from preforms that are separate from the laminate preform(s) used to integrally form the outer leg 94 and flange portion 102 of the composite ring 90. Similar to the insert 78 of the aft retainer ring 60 of FIGS.2 to 5, the purpose of the insert 108 is to carry both circumferential and radial loads during rotation of the fan section 10. For this reason, and similar to the insert 78 of FIG.3, the insert 108 is preferably constructed from a separate preform or tape containing fiber reinforcement material or from hoop-wound uniaxial fibers, and the fibers within the insert 108 are continuous and oriented predominantly in the hoop direction of the composite ring 90. The remaining insert 110 is disposed radially outward from the insert 108, and is intended to create a scalloped outer contour visible in the view of FIG.8. The insert 110 may be a single insert whose thickness varies in the circumferential direction of the composite ring 90, or can be one of multiple inserts selectively placed along the circumference of the composite ring 90 to create the scalloped outer contour.」 (エ)上記(ウ)の特に段落[0030]における「外表面がファンセクション10を通る空気移動のための内側流路境界面を形成するインテグラルシュラウドを形成する放射状の外側脚部94」との記載及び図7ないし図9の外側脚部94の形状に係る図示内容からみて、外側脚部94は、「内側表面及び外側表面を有し、航空機エンジンの軸方向に延び且つ前方端部及び後方端部」を備え、さらに「第1の前方端に第1の半径方向位置と、第2の後方端に第2の半径方向位置とを有」した、「軸方向構成要素を有し円周方向に延びる流れ面」を備えているといえる。 そして、このような外部脚部94は、「流れ面は、滑らかであるか又は輪郭形成されたものの一方」を有するといえる。 (オ)上記(ウ)の特に段落[0030]における「スピナー26は、脚部94と98の間のリング組立体58の中央部106をボルト107で固定する結果として、リング組立体58によって支持される」との記載及びボルト107によるスピナー26をリング組立体58による支持は、外側脚部のフランジ102を挿通することによりなされているとの図示内容並びにボルト107によるスピナー26の固定は、複数の場所で行われるとの技術常識を踏まえれば、フランジ部102は「複数の開口」を備えているといえる。 (カ)上記(ウ)の特に段落[0031]における「図9は、外方脚部94の遠位端のラグ96内に配置した2つのインサート108および110を示した複合リング90の断面図」との記載及び「インサート108内の繊維は連続しており、複合リング90の周方向に主として向けられる」との記載並びに図9のインサート108の配置に係る図示内容をみると、後方端部且つラグ96に隣接して周方向に延びる空間があり、インサート108は空間内に配置されているといえる。 これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「航空機エンジンの複合リング90であって、 内側表面及び外側表面を有し、前記航空機エンジンの軸方向に延び且つ前方端部及び後方端部を備える外側脚部94を備え、 前記外側脚部94は、 前記前方端部から半径方向内側に向けて延びる、複数の開口を備えるフランジ部102と、 軸方向構成要素を有し円周方向に延びる流れ面と、 前記後方端部に隣接し且つラグ96に隣接して設けられた周方向に延びる空間とを備え、 前記流れ面は、第1の前方端に第1の半径方向位置と、第2の後方端に第2の半径方向位置とを有し、 前記複合リング90は、前記外側脚部94の前記空間内で円周方向に延びて配置するインサート108をさらに備え、 前記外側脚部94は、PMC積層体93で形成され、前記インサート108は、繊維強化材料からなる別個の成形品またはテープ、あるいは環状に巻き付けた単繊維から形成され、 前記流れ面は、滑らかであるか又は輪郭形成されたものの一方である、 複合リング90。」 なお、当審で作成した上記(ア)ないし(ウ)の仮訳は以下の通りである。 (ア)「[0007]本発明の重要な利点は、製造及び材料のコスト及び/又は重量を、リングの荷重支持機能を損なうことなく低減することができる、荷重支持用途のための複合リングを製造し利用する能力である。本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明からより良く理解されるであろう。」 (イ)「[0021]図1及び図6に示される前方及び後方保持リング28および30は、追加のハードウェアなしにプラットフォーム16を緩く捕捉または保持するための比較的簡単な構造を提供する。軸方向および半径方向の隙間は、バードストライクのような衝撃に対応によるプラットフォーム16の移動を許し衝撃の分散と消失を促進するため、プラットフォーム16と保持リング28及び30の間に設けられる。 このようなファンプラットフォーム保持は、ゼネラル・エレクトリック・カンパニイによって製造されたGEnx(登録商標)およびGE90(登録商標)エンジン等のような民間航空機エンジンに利用されている。これらのエンジンにおいては、前方及び後方プラットフォーム保持リング28および30は、機械加工されたTi-6Al-4Vリング巻き鍛造品のような、金属、典型的にはチタン合金から製造される。図1および図6に示すタイプのチタン合金の保持リング28及び30は、非常に良好な性能を発揮するが、本発明は、複合材で形成され、保持リング28及び30の構造的性能を達成するように構成された保持リングを提供する。このようにして、本発明の保持リングは、図1及び図6の金属保持リング28および30に比べて重量及びコストの削減の可能性を提供する。」 (ウ)「[0029]図7は、複合リング90と金属フランジ92から構成する前方プラットフォーム保持リング組立体58に置き換えられた図6の前方のプラットフォームの保持リング28を示す詳細図である。図8はリング組立体58の斜視図であり、図9は複合リング90の分離断面図である。図2ないし5の複合後方保持リング60と同様に、複合リング90は、少なくとも1個のPMC積層体93から製造される。このような後方保持リング60の材料と製造の議論は複合リング90に適用可能であるから、ここでは繰り返さない。 [0030]図6の前方保持リング28と同様に、図7の前方保持リング組立体58は、一般的にU字型の断面形状を有し、その外表面がファンセクション10を通る空気移動のための内側流路境界面を形成するインテグラルシュラウドを形成する放射状の外側脚部94を備える。図2ないし5の保持リング30とは対照的に、外側脚部94は、ファンプラットフォーム16を保持する当接面95を画定する突起またはラグ96で終端する。リング組立体58の放射状の内側脚部98は、フランジ100を形成し、リング組立体はこれによりロータディスク14に固定(ボルト締め)される。スピナー26は、脚部94と98の間のリング組立体58の中央部106をボルト107で固定する結果として、リング組立体58によって支持されるものとして示される。図7及び図8から明らかなように、複合リング90は、該リング組立体58の外側脚94を画定し、金属フランジ92はリング組立体58の内側脚98を画定し、複合リング90とフランジ92のフランジ部102と104は互いにオーバーラップするリング組立体58の中央部106を形成している。このように、ファン部10を通って空気移動のための内側流路境界面を形成するインテグラルシュラウドは複合リング90によって画定され、特に複合リング90によって規定される外側脚部94の末端と当接面95を画定するラグ96は、リング90の位置によって規定される、特に外側脚部94の遠位端は、複合リング90によって形成される。別々に製造されたものとして示されているが、複合リング90は、さらに、設計を簡略化し、重量を低減するために、スピナー26の一体部分として作製することができる。 [0031]図9は、外方脚部94の遠位端のラグ96内に配置した2つのインサート108および110を示した複合リング90の断面図である。これらのインサート108及び110は、好ましくは複合リング90の外側脚94とフランジ部102の一体成形に用いられる積層プリフォーム(群)とは別の成形品から製造される。図2ないし5の保持リング60のインサート78と同様に、インサート108の目的は、ファン部10の回転中に円周方向及び半径方向の荷重を伝達することである。このため、図3のインサート78と同様、インサート108は、繊維強化材料からなる別個の成形品またはテープ、あるいは環状に巻き付けた単繊維から構成されることが好ましく、インサート108内の繊維は連続しており、複合リング90の周方向に主として向けられる。インサート110は、インサート108から半径方向外方に配置されて、図8に示す扇形の外側輪郭を作ることを目的とする。インサート110は、外側輪郭を作成するために、複合リング90の周方向において厚みが変化する単一のインサートであってもよいし、複合リング90の周囲に沿って選択的に配置される複数のインサートの1つとすることができる。」 ウ 引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「複合リング90」はその機能、構成および技術的意義からみて前者の「支持リング(40)」に相当し、以下同様に、「外側脚部94」は「サスペンダ(42)」に、「複数の開口」は「複数の開口(49)」に、「フランジ部102」は「前方フランジ(46)」に、「インサート108」は「ベルト(44)」に、「PMC積層体93」は「第1の材料」に、「繊維強化材料からなる別個の成形品またはテープ、あるいは環状に巻き付けた単繊維」は「第1の材料とは異なる第2の異なる材料」にそれぞれ相当する。 そして、後者の「ラグ96」と前者の「後方端部に向け肉厚になるラグ(60)」とは、少なくとも「ラグ(60)」という限りで一致し、後者の「空間」と前者の「溝(66)」とは、「空間」という限りで一致する。 そうすると、後者の「後方端部に隣接し且つラグ96に隣接して設けられた周方向に延びる空間」と前者の「内側表面に前記後方端部に隣接し且つ該後方端部に向け肉厚になるラグ(60)に隣接して設けられた周方向に延びる溝(66)」とは、「後方端部に隣接し且つラグに隣接して設けられた周方向に延びる空間」という限りで一致する。 また、後者の「円周方向に延びて配置するインサート108」と前者の「円周方向に延びてこれと係合するベルト(44)」とは、「円周方向に延びるベルト」という限りで一致する。 したがって、両者は、 「航空機用エンジンの支持リングであって、 内側表面及び外側表面を有し、前記航空機エンジンの軸方向に延び且つ前方端部及び後方端部を備えるサスペンダを備え、 前記サスペンダは、 前記前方端部から半径方向内側に向けて延びる、複数の開口を備える前方フランジと、 軸方向構成要素を有し円周方向に延びる流れ面と、 前記後方端部に隣接し且つラグに隣接して設けられた周方向に延びる空間と を備え、 前記流れ面は、第1の前方端に第1の半径方向位置と、第2の後方端に第2の半径方向位置とを有し、 前記支持リングは、前記サスペンダの前記空間内で円周方向に延びるベルトをさらに備え、 前記サスペンダは、第1の材料で形成され、前記ベルトは、前記第1の材料とは異なる第2の異なる材料で形成され、 前記流れ面は、滑らかであるか又は輪郭形成されたものの一方である、 支持リング。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 「ラグ」に関し、前者は「後方端部に向け肉厚になるラグ」であるのに対し、後者は「ラグ96」であるが、「後方端部に向け肉厚になる」かどうか不明である点。 [相違点2] 「空間」及び「ベルト」に関し、前者は「内側表面」設けられた「溝(66)」であって、「ベルト(44)」は「溝(66)内で円周方向に延びてこれと係合するベルト(44)」であるのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。 エ 判断 相違点について検討する。 相違点1について検討する。 本願明細書の段落【0028】の「脚部48の後方端はラグ60であり、脚部48の前方部分に比べて軸線後方に厚肉である。ラグ60は、2つの別個の材料62、64を定める少なくとも2つの材料で形成される。ラグ60の第1の材料62は、脚部48と一体形成される。第1の材料62とは明確に異なる第2の材料64は、ベルト44を定める。」との記載からみて、本件補正発明の「後方端部に向け肉厚になるラグ(60)」は、脚部40の後方端のベルト44を除く部位であって、少なくとも2つの材料で形成されるものといえる。他方、引用発明の「ラグ96」につき、引用文献の上記イ(ウ)の段落[0030]に「特に複合リング90によって規定される外側脚部94の末端と当接面95を画定するラグ96」との記載があり、また、上記イ(ウ)の段落[0031]における「インサート110は、インサート108から半径方向外方に配置されて、図8に示す扇形の外側輪郭を作ることを目的とする。インサート110は、外側輪郭を作成するために、複合リング90の周方向において厚みが変化する単一のインサートであってもよいし、複合リング90の周囲に沿って選択的に配置される複数のインサートの1つとすることができる。」との記載から、インサート110は複合リング90の外側脚部94の輪郭を作るものであり、複合リング90の周囲に沿って選択的に配置され、又は配置されないものである。そして、図8及び図9から看て取れるラグ96及びインサート110並びにインサート108の関連からみて、引用発明のラグ96は、本件補正発明の「後方端部に向け肉厚になるラグ(60)」に実質的に相当するといえる。 そうすると、相違点1は実質的な相違ではない。仮に実質的な相違であるとしても、引用文献の上記記載、従来技術に関する記載並びにインサート108及びインサート110の役割を参酌して引用発明のラグ96を「後方端部に向け肉厚になるラグ(60)」とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 相違点2について検討する。 一般に、1部材に設けた空間に他部材を取り付けるために、空間を溝として該溝に他部材を係合させる技術は、機械装置の技術分野において広く採用されている技術といえる。そして、引用発明もまた機械装置の技術分野に属するものであり、引用発明のインサート108のラグ96への取り付けにおいて、該技術に基づいて当業者の通常の創作活動により空間を溝とすることを阻害する格別な事由を見出すこともできない。 そして、上記イ(ウ)段落[0031]における引用文献の「インサート110は、インサート108から半径方向外方に配置されて」との記載からみて、引用発明に該周知技術を適用したものは、空間が、外側脚部94の「内側表面」に設けられた「周方向に延びる溝」となることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そうすると、引用発明において、当業者の通常の創作活動により上記相違点2にかかる本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 また、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年12月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成29年3月2日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2 1.(1)に記載のとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前に発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献:米国特許出願公開第2011/0103726号明細書 3.引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2 2.イに記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は前記第2 2.ウ及びエで検討した本件補正発明から、「内側表面及び外側表面の一方に」についての「内側表面に」との限定及び「後方端部に隣接し」に加えて「且つ後方端部に向け肉厚になるラグ(60)に隣接して」との限定を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2 2.ウ及びエに記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-018558

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