特許拒絶査定不服審判
2017-016663
遊技機
- 審判番号
- 2017-016663
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-167867外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月08日
- 審決日
- 2018年10月24日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社大一商会
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-167867号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-221335号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯の概要
本願は、平成22年7月27日に出願した特願2010-168711号の一部を平成26年12月19日に新たな特許出願(特願2014-257960号)とし、さらにその一部を平成28年8月30日に新たな特許出願(特願2016-167867号)としたものであって、平成28年8月31日に手続補正書が提出され、平成29年1月17日に手続補正書が提出され、平成29年6月6日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年8月14日付け(発送日:平成29年8月18日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年8月1日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年9月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A~Sは、分説するため当審で付した。)は、平成30年9月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「A 遊技者の操作によって遊技球を打ち込む打球発射装置と、
B 該打球発射装置によって遊技球が打ち込まれる遊技領域、及び該遊技領域内に配置され打ち込まれた遊技球を受入可能とされた受入口を少なくとも有する遊技盤と、
C 該遊技盤の前記受入口への遊技球の受入れに応じて所定数の遊技球を賞球として払出すとともに貸球要求信号に基いて所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な払出装置と、
D 前記払出装置から払出された遊技球を流通させる連絡樋(343)と、
E 前記連絡樋を流通した遊技球を貯留可能とすると共に底面が所定位置へ向って低くなるように傾斜する貯留部(311a)と、
F 前記貯留部の奥側の壁を形成する奥板部(340)と、
G 前記連絡樋を流通した遊技球を前記貯留部へ流入させる流入口(341)と、
H 前記貯留部に貯留されている遊技球を一列に整列させる傾斜部(311c)と、
I 前記傾斜部に整列されている遊技球を前記打球発射装置へ供給する供給口(342)と、を有する遊技機であって、
J 前記貯留部の前記傾斜部を前記奥板部の前方に形成し、
K 前記傾斜部の上流側には、前記奥板部方向へ下り傾斜する傾斜面(311b)を有し、前記傾斜部は、前記傾斜面の下流側に連続しており、
L 前記傾斜部の正面視右方に下る傾斜角度より急な角度で前記奥板部方向へ下り傾斜する急傾斜面を含み、正面視前後方向の幅が前記供給口へ向かうに従って狭くなるとともに前記傾斜面と連続する第2の傾斜部(311g)を有し、
M 前記払出装置から払出された遊技球が流入することとなる前記連絡樋の入口部の幅に対して、該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が前記貯留部に供給されることとなる前記流入口の幅の方が広く形成されており、
N 前記連絡樋の左右方向の寸法を、1個の入賞に対する賞球数の内最大の賞球数を左右方向に並べられない寸法とし、
O 一方、前記流入口は前記賞球と前記貸球の両方を流入させる共通の流入口として構成されており、
P 前記流入口の相対的に右方の底辺とその直下の前記底面との間は、前記流入口の底辺が前記底面に対して遊技球の外径よりも高く形成し、
Q さらに、前記流入口の相対的に左方の底辺とその直下の前記底面との間は、前記流入口の底辺と前記底面とが殆ど段差がないように形成し、
R 前記底面のうち前記段差の手前側の箇所における底面の奥行幅は、遊技球が2列以上並びうる幅で形成されることを特徴とする
S 遊技機。」
3 当審における拒絶の理由
当審における平成30年8月1日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
「1.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1~10
<引用文献等一覧>
1.特開2007-260154号公報
2.特開2004-255004号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2009-72537号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2002-85745号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2003-340085号公報(周知技術を示す文献)
6.特開平6-246056号公報(周知技術を示す文献)
7.実願昭59-119914号(実開昭60-113089号)のマイクロフィルム
8.特開2000-140390号公報(周知技術を示す文献)
9.実公昭54-7274号公報(周知技術を示す文献)
10.特開2003-265720号公報(周知技術を示す文献) 」
4 刊行物について
(1)刊行物1に記載された事項
当審において平成30年8月1日付けの拒絶理由において引用された刊行物である引用文献1:特開2007-260154号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】本発明は、遊技機の前面に打球発射位置へ供給される遊技球を貯留する球受皿が装着された遊技機に関するものである。」
イ 「【発明を実施するための最良の形態】
・・・
【0017】
また、通常、前面に上球受皿と下球受皿をそれぞれ上下に装着した球受皿二個式のパチンコ遊技機又は一個の球受皿を装着した球受皿一個式のパチンコ遊技機がある。本発明は前記二個式のパチンコ遊技機の上球受皿や一個式のパチンコ遊技機の球受皿のいずれにも適用できるが、この実施の形態にあっては、その一例として一個式のパチンコ遊技機について説明する。図1は本発明に係るパチンコ遊技機の斜視図、図2は同透明板保持枠を開いた状態の斜視図である。パチンコ遊技機Pは、縦長長方形枠状の外枠1を有し、該外枠1の前側に一側を軸着すると共に遊技盤2を設置した本体枠3が開閉自在に装着されている。
【0018】
前記遊技盤2は縦長長方形状に成形され、その前面に内側のガイドレール4aと外側のガイドレール4bとが渦巻状に敷設され、これら内・外側のガイドレール4a,4bに囲まれて遊技部2aが成形される。該遊技部2aには、例えばその中央に各種の情報を変動表示する表示部5aを備えた可変表示装置5が装着され、その下方に遊技球が入賞することにより前記可変表示装置5の表示部5aの情報を変動させる始動入賞口6が装着される。更に、その下方に前記表示部5aの表示が特定の情報(例えば、「7,7,7」)に揃ったとき開閉扉7aを開き、一定の条件の下で一度に多くの入賞球が得られる大型の入賞装置7が装着されている。
【0019】
前記本体枠3の前面に、該本体枠3とほぼ同じ大きさからなりその一側で開閉自在に軸着される合成樹脂製の透明板保持枠8が設けられている。該透明板保持枠8には、遊技盤2前面の遊技部2aに対向して縦長楕円形状の窓開口9が開設され、該窓開口9の裏面に2枚セットの透明板10aであるガラス板または合成樹脂板からなる透明板セット10が配置され、これにより該窓開口9を塞ぐようにしている。そして、透明板保持枠8の前面であって窓開口9の下方に一個の球受皿11が装着される。この球受皿11の詳細については後で説明する。また、球受皿11の一側に後記する発射装置20から発射される打球としての遊技球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル12が装着される。
・・・
【0021】
本体枠3の下部前面の一側に合成樹脂製の零れ球防止装置16が配置される。この零れ球防止装置16は、透明板保持枠8を前側へ開いたときその零れ球防止装置16から遊技球が前側へ零れ落ちないようにするためのものであって、図3、図4に示すように内部が空洞であって正面横長長方形状をなす板状に成形される。そして、その中央上部に縦の仕切壁17により左右に隣接して第一球通過口18aと第二球通過口18bが開設されている。また、本体枠3の下部前面の他側に、発射レール19を備えた箱型の発射装置20が配置される。この発射装置20にはロータリーソレノイド(図示せず。)が内装され、発射装置20の前面の球入口21から入球し打球発射位置に置かれる遊技球をロータリーソレノイドにより一個ずつ発射するようになっている。
【0022】
図5に示すように本体枠3の裏側に球払出装置22が配設され、該球払出装置22の下方に上端が該球払出装置22に接続される球排出通路23が設けられる。該球排出通路23はその下端に該球排出通路23よりも横幅の広い球受通路24が設けられている。この球受通路24は前面が開放しており、前記零れ球防止装置16の二つの第一・第二球通過口18a,18bに連通している。前記仕切壁17の後側に該仕切壁17と連続しかつ後端縁が前記球受通路24の前面に達する副仕切壁17aが設けられている。また、球排出通路23は球受通路24の一側すなわち第一球通過口18a側に片寄らせて配置され、常態では、球払出装置22から払い出された遊技球が、球排出通路23を介して第一球通過口18a側へ流下する。図示は省略するが、前記球排出口33の内側で溢れる遊技球をオーバーフローさせて分岐通路42に分岐する前記球受通路24の位置であって分岐通路42と連通する分岐部を、本体枠3の前側に設けるようにしても良い。このようにすれば、零れ球防止装置16に設けられた第一・第二球通過口18a,18bがいずれか一つで済む。」
ウ 「【0026】
球受皿11は、上面が開放されると共に後側を除いた外周面が周側壁11aにより囲われる。該球受皿11の一側に位置しかつパチンコ遊技機Pの前面である透明板保持枠8の前面に球排出口33が開設され、球受皿11の他側に位置しかつパチンコ遊技機Pの前面である透明板保持枠8の前面に副球排出口34が開設される。球受皿11内には、前記球排出口33側に位置して球皿部35aが張設され、副球排出口34側に位置して球皿部35aと連なる球排出面部35bが張設される。球皿部35aはその上面が副球排出口34側に少し下傾し、球排出面部35bはその上面が逆に球排出口33側に少し下傾している。また、この際、球皿部35aの上面と球排出面部35bの上面との交差部に沿って球皿部35aの上面より球排出面部35bの上面の方が遊技球の直径寸法程度高くなる段差を設けるようにしても良い。このように前記交差部に段差を設けることにより、球受皿11の上面における球排出口33と副球排出口34とから排出される遊技球の合流がスムーズに行われる。
【0027】
また、前記球皿部35aには、透明板保持枠8の前面に沿って前記球皿部35aの上面と同じ傾斜で同じ方向へ下傾する整流通路36が設けられ、その下流端部には上面に下流側に向い漸次窄まりその下流端で透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる案内部材37が立設される。該案内部材37の上流側の先端縁が前記球皿部35aと球排出面部35bとの境目に合致している。前記整流通路36に遊技球の直径とほぼ同じ幅の金属帯板が貼着され、その流下端に位置する透明板保持枠8に整流通路36を縦に並んで流下する遊技球を透明板保持枠8の裏面に装着した後記する打球供給装置47に供給するための供給口38が開設される。整流通路36の流下端部の底面すなわち供給口38の前側に遊技球が2個同時に排出できる程度の大きさの第一球抜き口39が開設され、該第一球抜き口39は常態では後記する第一球抜き板50により塞がれている。
【0028】
透明板保持枠8の裏面に、球受皿11に対応位置して合成樹脂製の通路部材40が一体に設けられている。該通路部材40は、その一側に透明板保持枠8を閉じたとき前記第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41が設けられる。また、透明板保持枠8の裏側に沿って他側に少し下傾する分岐通路42が配置される。分岐通路42の上流端に設けられ後側を向く開口42aは、透明板保持枠8を閉じたとき前記第二球通過口18bに繋がるようになっている。一方、分岐通路42の流下端は、前記副球排出口34に連なっている。分岐通路42の流下端部の底面すなわち副球排出口34の後側に遊技球が2個同時に排出できる程度の大きさの第二球抜き口43が開設され、該第二球抜き口43は常態では後記する第二球抜き板86により塞がれている。」
エ 「【0041】
本発明に係る遊技機は上記構成よりなり、次にその作用について説明する。まず、図示しないコイン投入口にコインを投入することにより、球払出装置22から所定量の貸球としての遊技球が払い出される。これら遊技球は球排出通路23、球受通路24を流下し球排出口33を介して球受皿11の球皿部35aに貯留される。その内、一部の遊技球は整流通路36に流入して整流されながら供給口38を介して打球供給装置47内の球誘導路51に到達し、球送り部材53によりその最先端の遊技球が停止させられる。
【0042】
この状態で、遊技者が打球力調整ハンドル12を所定の方向に所定量回動することにより球送り部材53が水平面内で往復回動し、その最先端に位置する遊技球を順次球送口52を介して発射装置20に供給する。該発射装置20に供給され打球発射位置に置かれた遊技球はロータリーソレノイドにより打ち出される。打ち出された遊技球は発射レール19を介して外側ガイドレール4bに沿って飛走し、遊技盤2面の遊技部2aに打ち込まれて遊技が行なわれる。その間、始動入賞口6などに遊技球が入賞して入賞球が発生すると、その遊技球により指定された個数の賞球としての遊技球が前記球払出装置22から払い出され、球排出口33を介して球受皿11の球皿部35aに排出される。」
オ 【図1】
カ 【図4】
キ 【図5】
・認定事項
ク 【0026】に「・・・球皿部35aはその上面が副球排出口34側に・・・下傾し、・・・」と記載され、分岐通路部位の平面断面図である【図4】に、整流通路36の上流に球皿部35aが設けられることが図示され、分岐通路部位の平面断面図である【図4】のX-X線断面を示す【図5】に、球皿部35aが透明板保持枠8側に下傾することが図示されている。
したがって、刊行物1には、整流通路36の上流に、上面が副球排出口34側及び透明板保持枠8側に下傾する球皿部35aが設けられていることが示されていると認められる。
ケ 【0027】に「前記球皿部35aには、・・・その下流端部には上面に下流側に向い漸次窄まりその下流端で透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる案内部材37が立設される。・・・前記整流通路36に・・・、その流下端に位置する透明板保持枠8に整流通路36を縦に並んで流下する遊技球を透明板保持枠8の裏面に装着した後記する打球供給装置47に供給するための供給口38が開設される。・・・」と記載され、分岐通路部位の平面断面図である【図4】に、整流通路36に沿って、透明板保持枠8の前面に対向する案内部材37が設けられていることが図示されている。
したがって、刊行物1には、整流通路36に沿って、下流側に向い漸次窄まり、整流通路36の供給口38が開設される下流端で、透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる案内部材37が立設されることが示されていると認められる。
コ 【0022】に「球払出装置22から払い出された遊技球が、球排出通路23を介して第一球通過口18a側へ流下する」と記載され、【0028】に「前記第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41が設けられる」と記載され、【0041】に「遊技球は球排出通路23、球受通路24を流下し球排出口33を介して球受皿11の球皿部35aに貯留される」と記載され、分岐通路部位の平面断面図である【図4】に、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅と球排出口33の幅が略同一であることが図示されている。
そうすると、刊行物1には、球払出装置22から払い出された遊技球が流下することとなる、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅に対して、連絡樋41を通過して後方から前方に流下する遊技球が球皿部35aに供給されることとなる球排出口33の幅が略同一に形成されていることが示されていると認められる。
サ 【0028】に「第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41」と記載されている。
そうすると、刊行物1の分岐通路部位の平面断面図である【図4】に、第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41の下辺の幅方向に3個程度の遊技球を並べることが可能であることが図示されていると認められる。
シ 刊行物1のパチンコ遊技機の斜視図である【図1】に球排出口33の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に段差が形成されることも図示されている。
そして、分岐通路部位の平面断面図である【図4】の球排出口33の中央を通るX-X線断面を示す【図5】に、球排出口33の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、遊技球の直径よりも短く、遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しいことが図示されている。
また、【0026】に「球皿部35aはその上面が副球排出口34側に少し下傾し」との記載から、刊行物1には、球皿部35aの上面が、副球排出口34側に向かうにつれ、低くなることが記載されている。
そうすると、球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面における段差の長さよりも長くなり、同様に、球排出口33の、球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面における段差の長さよりも短くなるといえる。
したがって、刊行物1には、球排出口33の中央を通るX-X線断面における球排出口33の副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しく、
球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも長く、
球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも短いことが図示されていると認められる。
ス 分岐通路部位の平面断面図である【図4】のX-X線断面を示す【図5】に、球皿部35aの上面のうち、球排出口33の中央を通るX-X線断面付近における奥行き方向に6個程度の遊技球を並べることが可能であることが図示されていると認められる。
上記ア~エの記載事項、上記オ~キの図面の図示内容、及び、上記ク~スの認定事項を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~sは、本願発明のA~Sに対応させて付与した。)。
「a 遊技者が打球力調整ハンドル12を所定量回動することにより、遊技球を一個ずつ発射する発射装置20(【0021】、【0042】)と、
b 発射装置20から打ち出された遊技球が打ち込まれる遊技部2aがその前面に成形され、遊技部2aに装着される始動入賞口6などを有する遊技盤2(【0018】、【0042】)と、
c 始動入賞口6などに遊技球が入賞して入賞球が発生すると、その遊技球により指定された個数の賞球としての遊技球を払い出し、コイン投入口にコインを投入することにより、所定量の貸球としての遊技球を払い出す球払出装置22(【0041】、【0042】)と、
d 球払出装置22から払い出された遊技球が流下する第一球通過口18aと、球排出口33とを繋ぐ連絡樋41(【0022】、【0028】)と、
e 内部に、球排出口33側に位置し、球払出装置22から払い出された遊技球が排出される球皿部35aが張設され、副球排出口34側に位置して球皿部35aと連なる球排出面部35bが張設され、球皿部35aの上面が副球排出口34側に下傾し、球排出面部35bはその上面が逆に球排出口33側に下傾している球受皿11(【0026】、【0042】)と、
f 前面に球受皿11が装着される透明板保持枠8(【0019】)と、
g 球払出装置22から払い出された賞球としての遊技球を、球受皿11の球皿部35aに排出する球排出口33(【0042】)と、
h 球皿部35aに設けられ、球皿部35aの上面と同じ傾斜で同じ方向へ下傾し、遊技球の直径とほぼ同じ幅の通路に遊技球を縦に並んで流下させる整流通路36(【0027】)と、
i 透明板保持枠8に開設され、整流通路36を縦に並んで流下する遊技球を打球供給装置47に供給するための供給口38(【0027】)とを備える遊技機(【0001】)であって、
j 整流通路36を透明板保持枠8の前面に沿って設け(【0027】)、
k 整流通路36の上流に、上面が副球排出口34側及び透明板保持枠8側に下傾する球皿部35aが設けられ(認定事項ク)、整流通路36は、透明板保持枠8の前面に沿って球皿部35aの上面と同じ傾斜で同じ方向へ下傾し(【0027】)、
l 整流通路36に沿って、下流側に向い漸次窄まり、整流通路36の供給口38が開設される下流端で、透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる案内部材37が立設され(認定事項ケ)、
m 球払出装置22から払い出された遊技球が流下することとなる、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅に対して、連絡樋41を通過して後方から前方に流下する遊技球が球皿部35aに供給されることとなる球排出口33の幅が略同一に形成されており(認定事項コ)、
n 第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41の下辺の幅方向に3個程度の遊技球を並べることが可能であり(認定事項サ)、
o 貸球、入賞球は、球排出口33を介して球皿部35aに排出され(【0041】、【0042】)、
p 球排出口33の中央を通るX-X線断面における球排出口33の副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しく、球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも長く(認定事項シ)、
q 球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも短く(認定事項シ)、
r 球皿部35aの上面のうち、球排出口33の中央を通るX-X線断面付近における奥行き方向に6個程度の遊技球を並べることが可能である(認定事項ス)、
s 遊技機(【0001】)。」
(2)刊行物2に記載された事項
当審において平成30年8月1日付けの拒絶理由において引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である引用文献7:実願昭59-119914号(実開昭60-113089号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)には、には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「本考案はパチンコ機の前面枠下部に装着する装飾仮に関するものである。」(第2頁第2~3行)
イ 「本考案は、かかる要請に応えるべくなされたものにして、堅牢且つ機能性に富み、受皿の貯留量の増加が図れると共に取付が容易で、前面枠下部をも補強する装飾板の提供を目的とするものである。」(第3頁第14~18行)
ウ 「基板13の右側には操作部11の支軸が通る貫通穴14を穿ち、又、基板13の中央には前面枠下部IAの開口部40に嵌挿され(第7図)、賞球分流樋16の端口21から受皿l0に賞球を導く排出穴22を設ける。
基板13の排出穴22には、第7図に示す通り、前記端口21に当接される側となる排出穴22の始端開口部41と、受皿10に当接される側となる排出穴22の末端開口部42との間に、始端開口部41から末端開口部42に向って次第に穴を拡張した拡張室30を形成してある。従って、末端開口部42は始端開口部41より大きく開口することになる。この拡張室30は排出穴22の左右両側や、伺れか一方側に設けるとよい。」(第6頁第4~18行)
上記ア~ウの記載事項から、刊行物2には、次の事項(以下「刊行物2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「賞球分流樋16の端口21に当接される側となる排出穴22の始端開口部41と、受皿10に当接される側となる排出穴22の末端開口部42との間に、始端開口部41から末端開口部42に向って次第に穴を拡張した拡張室30を形成し、末端開口部42は始端開口部41より大きく開口させたパチンコ機。」
5 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A~Sと刊行物発明の構成a~sについて、それぞれ(a)~(s)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「遊技者が打球力調整ハンドル12を所定量回動すること」は、本願発明における「遊技者の操作」に相当する。
そして、刊行物発明における「遊技球を一個ずつ発射する」ことは、本願発明における「遊技球を打ち込む」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「発射装置20」は、本願発明における構成Aの「打球発射装置」に相当する。
(b)刊行物発明における「発射装置20から打ち出された遊技球が打ち込まれる遊技部2a」は、本願発明における「打球発射装置によって遊技球が打ち込まれる遊技領域」に相当する。
そして、刊行物発明における「遊技部2aに装着される始動入賞口6など」は、本願発明における「遊技領域内に配置され打ち込まれた遊技球を受入可能とされた受入口」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「遊技盤2」は、本願発明における構成Bの「遊技盤」に相当する。
(c)刊行物発明における「始動入賞口6などに遊技球が入賞」することは、本願発明における「少なくとも該遊技盤の受入口への遊技球の受入れ」に相当する。
そして、刊行物発明における「入賞球が発生すると、その遊技球により指定された個数の賞球としての遊技球を払い出す」ことは、本願発明における「(遊技球の受入れ)に応じて所定数の遊技球を払出す」ことに相当する。
また、刊行物発明における「コイン投入口にコインを投入することにより、所定量の貸球としての遊技球を払い出す」ことと、本願発明における「貸球要求信号に基いて所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な」こととは、「所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な」ことで共通する。
したがって、刊行物発明における構成cの「始動入賞口6などに遊技球が入賞して入賞球が発生すると、その遊技球により指定された個数の賞球としての遊技球を払い出し、コイン投入口にコインを投入することにより、所定量の貸球としての遊技球を払い出す球払出装置22」と、本願発明における構成Cの「遊技盤の受入口への遊技球の受入れに応じて所定数の遊技球を賞球として払出すとともに貸球要求信号に基いて所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な払出装置」とは、「遊技盤の受入口への遊技球の受入れに応じて所定数の遊技球を賞球として払出すとともに、所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な払出装置」である点で共通する。
(d)刊行物発明における「球払出装置22から払い出された遊技球が流下する第一球通過口18aと、球排出口33とを繋ぐ」ことは、本願発明における「払出装置から払出された遊技球を流通させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成dの「連絡樋41」は、本願発明における構成Dの「連絡樋」に相当する。
(e)刊行物発明における「内部に、球排出口33側に位置し、球払出装置22から払い出された遊技球が排出される」ことは、本願発明における「連絡樋を流通した遊技球を貯留可能とする」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「球皿部35aの上面」は、本願発明における「底面」に相当する。
また、刊行物発明における「副球排出口34側に下傾」することは、本願発明における「所定位置へ向って低くなるように傾斜する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eの「球受皿11」は、本願発明における構成Eの「貯留部」に相当する。
(f)刊行物発明における「球受皿11が装着される」「前面」は、本願発明における「貯留部の奥側の壁」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成fの「透明板保持枠8」は、本願発明における構成Fの「奥板部」に相当する。
(g)刊行物発明における「球払出装置22から払い出された賞球としての遊技球」は、構成dより「連絡樋41」を「流下」することから、本願発明における「連絡樋を流通した遊技球」に相当する。
そして、刊行物発明における「球受皿11の球皿部35aに排出する」ことは、本願発明における「貯留部へ流入させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成gの「球排出口33」は、本願発明における構成Gの「流入口」に相当する。
(h)刊行物発明における「球皿部35aに設けられ」、「遊技球の直径とほぼ同じ幅の通路に遊技球を縦に並んで流下させる」ことは、本願発明における「貯留部に貯留されている遊技球を一列に整列させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成hの「整流通路36」は、本願発明における構成Hの「傾斜部」に相当する。
(i)刊行物発明における「整流通路36を縦に並んで流下する遊技球を打球供給装置47に供給する」ことは、上記(h)より、本願発明における「傾斜部に整列されている遊技球を打球発射装置へ供給する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成iの「透明板保持枠8に開設され」た「供給口38」は、本願発明における構成Iの「供給口」に相当する。
(j)刊行物発明における構成jの「整流通路36を透明板保持枠8の前面に沿って設け」ることは、上記(h)より、本願発明における構成Jの「貯留部の傾斜部を奥板部の前方に形成」することに相当する。
(k)刊行物発明における「上面が副球排出口34側及び透明板保持枠8側に下傾する球皿部35a」は、本願発明における「奥板部方向へ下り傾斜する傾斜面」に相当する。
そして、刊行物発明における構成kの「整流通路36は、透明板保持枠8の前面に沿って球皿部35aの上面と同じ傾斜で同じ方向へ下傾」することは、本願発明における構成Kの「傾斜部は、傾斜面の下流側に連続」することに相当する。
(l)刊行物発明における「整流通路36に沿って、下流側に向い漸次窄まり、整流通路36の供給口38が開設される下流端で、透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる」ことは、本願発明における「正面視前後方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成lの「整流通路36に沿って、下流側に向い漸次窄まり、整流通路36の供給口38が開設される下流端で、透明板保持枠8の前面と遊技球1個分前側へ離れる案内部材37が立設され」ることと、本願発明における構成Lの「傾斜部の正面視右方に下る傾斜角度より急な角度で奥板部方向へ下り傾斜する急傾斜面を含み、正面視前後方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる第2の傾斜部を有」することとは、「正面視前後方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる部材を有」することで共通する。
(m)刊行物発明における「球払出装置22から払い出された遊技球が流下することとなる、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅」、「連絡樋41を通過して後方から前方に流下する遊技球が球皿部35aに供給されることとなる球排出口33の幅」は、それぞれ、本願発明の「前記払出装置から払出された遊技球が流入することとなる前記連絡樋の入口部の幅」、「該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が前記貯留部に供給されることとなる前記流入口の幅」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成mの「球払出装置22から払い出された遊技球が流下することとなる、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅」に対して、「連絡樋41を通過して後方から前方に流下する遊技球が球皿部35aに供給されることとなる球排出口33の幅」が「略同一」に「形成されて」いることと、本願発明における構成Mの「前記払出装置から払出された遊技球が流入することとなる前記連絡樋の入口部の幅」に対して、「該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が前記貯留部に供給されることとなる前記流入口の幅」の方が「広く」「形成されて」いることとは、「前記払出装置から払出された遊技球が流入することとなる前記連絡樋の入口部の幅」に対して、「該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が前記貯留部に供給されることとなる前記流入口の幅」が「形成されて」いることで共通する。
(n)刊行物発明における「第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41」は、本願発明における「連絡樋」に相当する。
そして、刊行物発明における「下辺の幅方向」は、本願発明における「左右方向」に相当する。
また、刊行物発明における「第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41の下辺の幅方向に3個程度の遊技球を並べることが可能であ」ることは、「下辺の幅方向」の寸法が、「最大3個の遊技球を並べることが可能」な寸法であることを意味するものである。
さらに、本願発明における構成Kの「連絡樋の左右方向の寸法を、1個の入賞に対する賞球数の内最大の賞球数を左右方向に並べられない寸法」とすることは、連絡樋の左右方向の寸法を、所定数の賞球数を左右方向に並べられる寸法とすることである。
したがって、刊行物発明における構成kの「第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41の下辺の幅方向に3個程度の遊技球を並べることが可能であ」ることと、本願発明における構成Kの「連絡樋の左右方向の寸法を、1個の入賞に対する賞球数の内最大の賞球数を左右方向に並べられない寸法と」することとは、「連絡樋の左右方向の寸法を、所定数の賞球を左右方向に並べられる寸法」とすることで共通する。
(o) 刊行物発明における構成oの「貸球、入賞球は、球排出口33を介して球皿部35aに排出され」ることは、本願発明における構成Oの「流入口は賞球と貸球の両方を流入させる共通の流入口として構成され」ることに相当する。
(p)刊行物発明における「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差」は、本願発明における「流入口の相対的に右方の底辺とその直下の底面との間に」「形成」される「段差」に相当する。
そして、刊行物発明における「球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さ」よりも長いことは、「遊遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等し」い「長さ」よりも長いことを意味する。
そうすると、刊行物発明における構成pの「球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも長」いことと、本願発明における構成Pの「前記流入口の底辺が前記底面に対して遊技球の外径よりも高」いこととは、「遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さ」よりも長い段差を形成する点で共通する。
(q)上記(p)と同様に、刊行物発明における構成qの「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差の長さは、球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも短」いことは、「遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等し」い「長さ」よりも「短い」ことを意味する。
そうすると、刊行物発明における「球排出口33の中央を通るX-X線断面において形成される段差の長さよりも短」いことと、本願発明における「前記流入口の底辺と前記底面とが殆ど段差がない」こととは、「遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さ」よりも短い段差を形成することで共通する。
(r)刊行物発明において、「球排出口33の中央を通るX-X線断面付近」には、構成l、mによると「球排出口33の」「下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に」「段差」が「形成される」ものである。
そして、刊行物発明において、「段差」の手前側に「球皿部35aの上面」が位置することは明らかである。
また、刊行物発明における「球皿部35aの上面」は、上記(e)より、本願発明における「底面」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「球皿部35aの上面のうち、球排出口33の中央を通るX-X線断面付近における奥行き方向」の寸法は、本願発明における「底面のうち段差の手前側の箇所における底面の奥行幅」に相当する。
さらに、刊行物発明における「6個程度の遊技球を並べることが可能である」ことは、本願発明における「遊技球が2列以上並びうる幅で形成される」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成rは、本願発明における構成Rに相当する。
(s)刊行物発明における構成sの「遊技機」は、本願発明における構成Sの「遊技機」に相当する。
よって、両者は、次の点で一致し、相違点1~6で相違する。
[一致点]
「A 遊技者の操作によって遊技球を打ち込む打球発射装置と、
B 該打球発射装置によって遊技球が打ち込まれる遊技領域、及び該遊技領域内に配置され打ち込まれた遊技球を受入可能とされた受入口を少なくとも有する遊技盤と、
C’該遊技盤の前記受入口への遊技球の受入れに応じて所定数の遊技球を賞球として払出すとともに、所定数の遊技球を貸球として払出すことが可能な払出装置と、
D 前記払出装置から払出された遊技球を流通させる連絡樋と、
E 前記連絡樋を流通した遊技球を貯留可能とすると共に底面が所定位置へ向って低くなるように傾斜する貯留部と、
F 前記貯留部の奥側の壁を形成する奥板部と、
G 前記連絡樋を流通した遊技球を前記貯留部へ流入させる流入口と、
H 前記貯留部に貯留されている遊技球を一列に整列させる傾斜部と、
I 前記傾斜部に整列されている遊技球を前記打球発射装置へ供給する供給口と、を有する遊技機であって、
J 前記貯留部の前記傾斜部を前記奥板部の前方に形成し、
K 前記傾斜部の上流側には、前記奥板部方向へ下り傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜部は、前記傾斜面の下流側に連続しており、
L’正面視前後方向の幅が前記供給口へ向かうに従って狭くなる部材を有し、
M’前記払出装置から払出された遊技球が流入することとなる前記連絡樋の入口部の幅に対して、該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が前記貯留部に供給されることとなる前記流入口の幅が形成されており、
N’前記連絡樋の左右方向の寸法を、所定数の賞球を左右方向に並べられる寸法とし、
O 一方、前記流入口は前記賞球と前記貸球の両方を流入させる共通の流入口として構成されており、
P’前記流入口の相対的に右方の底辺とその直下の前記底面との間に、遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも長い段差を形成し、
Q’さらに、前記流入口の相対的に左方の底辺とその直下の前記底面との間に、遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも短い段差を形成し、
R 前記底面のうち前記段差の手前側の箇所における底面の奥行幅は、遊技球が2列以上並びうる幅で形成される
S 遊技機。」
[相違点1](構成C)
払出装置における所定数の遊技球の貸球としての払出しに関して、
本願発明は、貸球要求信号に基くのに対して、
刊行物発明は、そのような構成を有するか不明である点。
[相違点2](構成L)
正面視前後方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる部材に関して、
本願発明は、傾斜部の正面視右方に下る傾斜角度より急な角度で奥板部方向へ下り傾斜する急傾斜面を含み、正面視前後方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる第2の傾斜部であるのに対して、
刊行物発明は、そのような構成を有するか不明である点。
[相違点3](構成M)
本願発明は、払出装置から払出された遊技球が流入することとなる連絡樋の入口部の幅に対して、該入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が貯留部に供給されることとなる流入口の幅の方が広く形成されているのに対して、
刊行物発明は、球払出装置22から払い出された遊技球が流下することとなる、第一球通過口18aに当接する側の連絡樋41の幅に対して、連絡樋41を通過して後方から前方に流下する遊技球が球皿部35aに供給されることとなる球排出口33の幅が略同一に形成されている点。
[相違点4](構成N)
連絡樋の左右方向の寸法に関して、
本願発明は、1個の入賞に対する賞球数の内最大の賞球数を左右方向に並べられない寸法であるのに対して、
刊行物発明は、そのような構成を有するか不明である点。
[相違点5](構成P)
流入口の相対的に右方の底辺とその直下の底面との間の構成に関し、
本願発明は、流入口の底辺が底面に対して遊技球の外径よりも高く形成しているのに対して、
刊行物発明は、遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも長い段差を形成している点。
[相違点6](構成Q)
流入口の相対的に左方の底辺とその直下の底面との間の構成に関し、
本願発明は、流入口の底辺と底面とが殆ど段差がないように形成しているのに対して、
刊行物発明は、遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも短い段差を形成している点。
6 当審の判断
(1)相違点1(構成C)について
遊技機の技術分野において、賞球及び貸球を行う払出装置において、貸球を貸球要求信号に基づいて行うことは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、当審拒絶理由で引用された特開2004-255004号公報の【0049】、特開2009-72537号公報の【0119】、特開2002-85745号公報の【0033】を参照。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項1とは、払出装置により賞球及び貸球を行う遊技機である点で共通する。
したがって、刊行物発明の球払出装置22に上記周知の技術事項1を適用して、貸球を貸球要求信号に基いて行うことは、当業者が適宜なし得たものである。
(2)相違点2(構成L)について
遊技機の技術分野において、貯留部に貯留された遊技球を供給口にスムーズに供給するために、遊技球を供給口に供給する通路の傾斜角度より急な角度で通路側へ下り傾斜する急傾斜面を含み、奥行方向の幅が供給口へ向かうに従って狭くなる傾斜部を貯留部に設けることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、拒絶の理由で引用された特開2003-340085号公報の【0050】、【図3】~【図9】に示された整流樋33、案内面40、球逃げ部41や、特開平6-246056号公報の【0010】、【0016】、【図5】に示された球整列部11、逆山形状の傾斜面13を参照。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、刊行物発明の案内部材37は、整流通路36の下流端に形成した供給口へ遊技球をスムーズに案内させる機能を有することは明らかである。 したがって、刊行物発明と上記周知の技術事項2とは、供給口へ遊技球をスムーズに案内させる点で共通するものである。
よって、刊行物発明の案内部材37に上記周知の技術事項2を適用して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。
(3)相違点3(構成M)について
刊行物2記載事項の「賞球分流樋16の端口21に当接される側となる排出穴22の始端開口部41」は、本願発明における「払出装置から払出された遊技球が流入することとなる連絡樋の入口部」に相当する。
また、刊行物2記載事項の「受皿10に当接される側となる排出穴22の末端開口部42」は、本願発明における「入口部を通過して後方から前方に流下する遊技球が貯留部に供給されることとなる流入口」に相当する。
そして、刊行物2記載事項において、「末端開口部42は始端開口部41より大きく開口」することから、「始端開口部41」の開口幅より、「末端開口部42」の開口幅の方が広く形成されるものである。
したがって、刊行物2記載事項は、上記相違点3に係る本願発明の構成Mに相当する。
そして、刊行物発明において、球受皿11に貯留可能な遊技球の量を増加させる要求のあることは、当業者における自明の課題である。
したがって、刊行物発明と刊行物2記載事項とは、受皿の貯留量の増加を図るという共通の課題を解決するものである。
よって、刊行物発明に刊行物2記載事項を適用して、球排出口33の手前に拡張室を形成し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(4)相違点4(構成N)について
刊行物発明は、構成kより、「第一球通過口18aと球排出口33とを繋ぐ連絡樋41の下辺の幅方向に3個程度の遊技球を並べることが可能であ」る。
また、刊行物発明は、構成cより、「始動入賞口6などに遊技球が入賞して入賞球が発生すると、」「球払出装置22」から、「その遊技球により指定された個数の賞球としての遊技球を払い出す」ものである。
そして、遊技機の技術分野において、始動入賞口などの入賞口に遊技球が入賞すると、最大で15個程度の遊技球を払い出すことは、本願の遡及日前に当業者における技術常識である(例えば、当審拒絶理由で引用された特開2000-140390号公報の【0024】、【図3】、特開2004-255004号公報の【0033】を参照。)。
したがって、刊行物発明において、遊技機の技術分野における技術常識を考慮して、「始動入賞口6などに遊技球が入賞して入賞球が発生すると、」「球払出装置22」から、連絡樋41の下辺の幅方向に並べることが可能である3個程度の遊技球よりも多い、最大で15個程度の遊技球を払出し、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(5)相違点5(構成P)について
刊行物発明においては、「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側」の「段差の長さ」は、少なくとも「遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも長」く(構成p)、さらに、球皿部35aの上面が副球排出口34側に下傾している(構成e)ことから、刊行物発明における「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34側」の「段差の長さ」は、より副球排出口34側により近い位置であるほど長くなるものと認められる。
また、遊技機の技術分野において、球排出口から球貯留部への遊技球の合流をスムーズに行うために、球排出口の底面と球貯留部の底面の段差として、遊技球の直径寸法より長い段差を形成することは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、当審拒絶理由で引用された特開2000-140390号公報の【0019】、【図3】(b)、実公昭54-7274号公報の第2図、特開2003-265720号公報の【図1】、【図28】、【図30】を参照。以下「周知の技術事項3」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項3とは、遊技球を貯留する貯留部と、遊技球を貯留部に供給する流入口とを有する遊技機である点で共通する。
そうすると、刊行物発明に上記周知の技術事項3を適用して、球排出口33から球受皿11の上面へ排出される遊技球の合流をスムーズに行うために、球排出口33の中央を通るX-X線よりも副球排出口34側に設けられる段差(例えば、球排出口33の底面のうち、最も副球排出口34側に近い部分の段差)において、球排出口33の中央を通るX-X線断面における「遊技球同士の谷間に遊技球が転がり状態で流下し得る高さよりも長い」段差として、「遊技球の直径寸法より長い」段差を設けて、上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が必要に応じてなし得たものである。
(6)相違点6(構成Q)について
刊行物発明においては、「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側」の「段差の長さ」は、少なくとも「遊技球同士の谷間に流入口からの遊技球が転がり状態で流下し得る高さにほぼ等しい高さよりも短」く(構成q)、さらに、球皿部35aの上面が副球排出口34側に下傾している(構成e)ことから、刊行物発明における「球排出口33の中央を通るX-X線より副球排出口34と反対側」の「段差の長さ」は、より副球排出口34側から遠い位置であるほど短くなるものと認められる。
また、遊技機の技術分野において、流入口の相対的に左方の底辺とその直下の底面との間に形成される段差に関して、流入口の幅方向の一端側において、殆ど段差がない状態とすることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、上記特開2000-140390号公報の【0019】、【図3】(b)や、特開平8-19648号公報の【図1】、【図3】を参照。以下「周知の技術事項4」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項4とは、遊技球を貯留する貯留部と、遊技球を貯留部に供給する流入口とを有する遊技機である点で共通する。
そうすると、刊行物発明における「X-X線より副球排出口34と反対側の下辺と、下辺の真下の副球排出口34側に少し下傾する球皿部35aの上面との間に形成される段差」に上記周知の技術事項4を適用して、「副球排出口34と反対側」のより副球排出口34側から遠い位置において「殆ど段差がない」ように構成し、上記相違点6に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。
(7)請求人の主張について
審判請求人は、平成30年9月18日付け意見書において、本願発明の進歩性に関して、次のとおり主張している。
「(4)特許法第29条第2項のご指摘について
本願発明は特に、「前記流入口は前記賞球と前記貸球の両方を流入させる共通の流入口として構成されており、前記流入口の相対的に右方の底辺とその直下の前記底面との間は、前記流入口の底辺が前記底面に対して遊技球の外径よりも高く形成し、さらに、前記流入口の相対的に左方の底辺とその直下の前記底面との間は、前記流入口の底辺と前記底面とが殆ど段差がないように形成」に特徴を持つものであります。
本願発明は、これらの構成により、賞球連絡樋343を介して前後方向へ略真直ぐに流入してきた遊技球は、主に段差の少ない球流入口341の中央寄りも左側の部分を通って貯留皿311内へ流入することとなるので、段差の少ない分、球流入口341から貯留皿311へ落下する遊技球の位置エネルギー(落下エネルギー)も小さく、貯留皿311へ与える負荷を軽減させて貯留皿311が破損するのを防止することができるようになり、(段落【0209】に記載)また、賞球連絡樋からの遊技球が棚部を通って第二傾斜面へ直接流入し、第三傾斜面へ遊技球を供給することができるようになり、かつ、棚部を介して貯留皿内へ流入する遊技球が、貯留皿内に貯留された遊技球の上側に流入することとなり、遊技球同士が横方向へ押し合うのを抑制して遊技球の流動性が低下するのを防止することができると共に、上から流入する遊技球により下側の遊技球(特に皿奥板の前面と当接した遊技球)は横方向への移動が促され、自然と球詰りを解消させることができるようになり、貯留皿内で遊技球の球詰りが発生するのを良好に防止することができ、貯留皿内の遊技球を気にすることなく遊技を継続させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになる(段落【0212】に記載)という、本願発明特有の効果を奏することが可能となります。」
しかしながら、既に上記「(5)相違点5(構成P)について」及び「(6)相違点6(構成Q)について」で示したとおり、当該主張に係る本願発明の構成は、刊行物発明に上記周知の技術事項3、4をそれぞれ適用することにより、当業者が適宜なし得たものであり、また、本願発明により奏される効果も、当業者が、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項3、4から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(8)小括
よって、本願発明は、刊行物発明、刊行物2記載事項、及び、上記周知の技術事項1~4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-016663