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特許拒絶査定不服審判

2017-015420

サーバ装置、サービス提供方法、およびプログラム

審判番号
2017-015420
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-120476外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年10月18日
審決日
2019年10月21日
公報発行日
2020年01月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-120476「サーバ装置、サービス提供方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-220214〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成22年12月8日に出願した特願2010-273189号の一部を、平成26年11月27日に新たな特許出願とした特願2014-240599号の一部を、さらに平成28年6月17日に新たな特許出願としたものであって、平成29年4月28日付けで拒絶理由が通知され、同年6月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年7月12日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年10月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成31年3月27日付けで当審より拒絶理由が通知され、令和1年5月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザ毎のユーザデータを記憶するユーザ情報データベースと、 固有の識別情報が対応付けられたアプレットを記憶するアプレットデータベースと、 携帯端末装置における前記ユーザの生体認証に用いられる生体情報、および、前記アプレットを識別するための識別情報を、前記携帯端末装置から受信する受信部と、 前記ユーザ情報データベースに記憶されている前記ユーザデータの中から、前記受信部により受信された前記生体情報に対応付けられている前記ユーザデータを特定するデータ管理部と、 前記データ管理部により特定された前記ユーザデータを用いて、前記アプレットデータベースに記憶されている前記アプレットの中から、前記受信部により受信された前記識別情報に対応付けられている前記アプレットを選択するアプレット管理部と を備えるサーバ装置。」 第3 当審における拒絶の理由 平成31年3月27日付けで当審が通知した拒絶理由のうち理由3(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 1.特開2002-354143号公報 2.特開2004-252501号公報 第4 引用文献の記載事項、引用発明及び周知技術 1.引用文献1の記載事項及び引用発明 当審拒絶理由で引用した、特開2002-354143号公報(平成14年12月6日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。)。 (1)「【0027】次に、携帯電話装置14のIC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証が行われる(図2中○2)。そして、当該相互認証によって互いの正当性が認証されると、ユーザAの操作に応じて、携帯通信機能部20から仮想IC記憶領域サーバ装置13にアプリケーションプログラム選択指示が送信される(図2中○3)と共に、IC21からIC_R/W装置11に仮想記憶領域利用指示が送信される(図2中○4)。次に、携帯通信機能部20およびIC21を介して、IC_R/W装置11と仮想IC記憶領域サーバ装置13とが通信を行い、相互認証を行った後に、IC21を用いたサービスに係わる処理を連携して行う(図2中○5)。このように、通信システム1によれば、IC21がIC_R/W装置11との間でサービスに係わる処理を行う場合に、所定の認証処理を経た後に、仮想IC記憶領域サーバ装置13が当該サーバ装置13内に記憶されたアプリケーションプログラムを実行し、IC_R/W装置11と通信を行いながら、上記サービスに係わる処理を行う。そのため、IC21内のメモリの記憶容量が小さくても、データ量の大きなアプリケーションプログラムを用いたサービス提供が可能になる。 【0028】以下、図1に示す通信システム1の各構成要素について詳細に説明する。〔ゲートウェイ10〕ゲートウェイ10は、携帯電話などの無線通信回線17とネットワーク18との間の通信を中継する装置である。 【0029】〔IC_R/W装置11〕IC_R/W装置11は、サービス提供者の店舗30などに設置され、携帯電話装置14に内蔵されたIC21との間で接触方式あるいは非接触方式でデータの授受を行い、IC21を用いて行われるサービスに係わる処理を行う。本実施形態では、IC_R/W装置11とIC21との間で非接触方式(無線方式)でデータの授受が行われる場合を例示する。IC_R/W装置11は、後述するように、当該サービスに係わる処理を規定したアプリケーションプログラムを記憶および実行する仮想IC記憶領域サーバ装置13と、携帯電話装置14を介して通信を行い、仮想IC記憶領域サーバ装置13によるアプリケーションプログラムの実行に応じて、仮想IC記憶領域サーバ装置13と連携して当該サービスに係わる処理を行う。本実施形態の上記サービスとしては、例えば、本人(個人)認証、電子マネー、電子商取引およびチケット発行などの秘匿性のある処理を伴うサービスがある。 【0030】〔ICサービス提供装置12〕ICサービス提供装置12は、IC_R/W装置11との間で、IC21を用いて行われるサービスに必要なデータの授受を行う。 【0031】〔仮想IC記憶領域サーバ装置13〕仮想IC記憶領域サーバ装置13は、携帯電話装置14のIC21の仮想メモリとして機能し、IC21を用いて行われるサービスに係わるアプリケーションプログラムを記憶し、IC21からの指示に応じて当該アプリケーションプログラムを実行する。図3は、仮想IC記憶領域サーバ装置13の機能ブロック図である。図3に示すように、仮想IC記憶領域サーバ装置13は、例えば、SAM51、メモリ52、制御部53およびI/F部54を有する。 【0032】図4は、図3に示すSAM51の機能ブロック図である。SAM51は、耐タンパ性のハードウェアあるいはソフトウェアのモジュールである。SAM51は、図4に示すように、認証部61、暗号・復号部62、IC制御部63およびIC関連処理部64を有する。認証部61は、後述するIC21との間の相互認証、並びにIC_R/W装置11との間の相互認証を行う。 【0033】暗号・復号部62は、例えば、メモリ52に登録する(書き込む)アプリケーションプログラムの暗号化、並びにメモリ52から読み出したアプリケーションプログラムの復号を行う。 【0034】IC制御部63は、例えば、IC21との間の通信制御を行う。IC関連処理部64は、IC21と間で連携して所定のサービスに係わる処理を行う。 【0035】メモリ52は、IC21の仮想メモリとして用いられ、IC21を用いたサービスに係わるアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ52は、図5に示すように、後述する登録処理によって各ユーザ(携帯電話装置)に予め割り当てられたIC仮想記憶領域60a,60b,60c,・・・を有する。例えば、IC仮想記憶領域60aは携帯電話装置14のユーザAに割り当てられ、IC仮想記憶領域60bはユーザBに割り当てられ、IC仮想記憶領域60cはユーザCに割り当てられている。また、IC仮想記憶領域60aには、例えば図6に示すように、後述するアプリケーションプログラム登録処理によって登録されたアプリケーションプログラム65a,65b,65cが記憶されている。アプリケーションプログラム65a,65b,65cは、それぞれIC21を用いて提供されるサービスに係わる処理を規定したプログラムである。メモリ52は、例えば、2k,4kあるいは8kバイトなどの記憶容量を有している。」(8~9頁) (当審注:○1~○5は、それぞれ○の中に1~5の数字が記されたものを表すものとする。) (2)「【0048】以下、図1に示す通信システム1の動作例を説明する。 〔第1の動作例〕以下、仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合であって、ユーザAによって当該ユーザAが利用するサービスが明示して選択される場合の通信システム1の動作例を説明する。 【0049】図13は、当該説明を行うためのフローチャートである。以下、図13に示す各ステップについて説明する。 ステップST1:ユーザAが図8に示す携帯電話装置14の携帯通信機能部20の操作部35を操作し、当該操作に応じて、図8に示す制御部38が仮想記憶領域利用要求(本発明の利用要求)を生成し、これを仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信する。 【0050】ステップST2:図3に示す仮想IC記憶領域サーバ装置13は、ステップST1で仮想記憶領域利用要求を受信すると、制御部53の制御に基づいて、SAM51が認証要求を生成し、これを携帯通信機能部20に送信する。 【0051】ステップST3:図8に示す携帯通信機能部20は、ステップST2で認証要求を受信すると、制御部38が認証要求を生成し、IC_I/F部36を介して当該認証要求をIC21に送信する。図9に示すIC21は、携帯通信機能部20からの認証要求を、I/F部45で受信する。 【0052】ステップST4:IC21の制御部48は、ステップST3で受信した認証要求に応じて、携帯通信機能部20を介して、仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証を行う。 【0053】ステップST5:ステップST4の相互認証で互いの正当性が認証されると、仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53が、携帯通信機能部20の表示部34に当該携帯電話装置14に対応する仮想記憶領域内容(サービスの内容)を表示させる。 【0054】ステップST6:ユーザAは、ステップST5で表示された仮想記憶領域内容を基に、利用しようとするサービスを操作部35を操作して選択する。これにより、携帯通信機能部20の制御部38が当該選択されたサービスに対応するアプリケーションプログラムを選択することを指示するアプリケーション選択指示を生成し、これを仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信する。 【0055】ステップST7:また、携帯通信機能部20の制御部38は、仮想記憶領域利用指示を生成し、これをIC_I/F部36を介してIC21に送信する。図9に示すIC21は、携帯通信機能部20からの仮想記憶領域利用指示を、I/F部45で受信する。 【0056】ステップST8:ユーザAが、IC21とIC_R/W装置11とが無線通信可能な位置に携帯電話装置14を位置させる。 【0057】ステップST9:ステップST6のアプリケーション選択指示およびステップST7の仮想記憶領域利用指示に応じて、IC21および携帯通信機能部20を介して、IC_R/W装置11と仮想IC記憶領域サーバ装置13とが相互認証を行う。 【0058】ステップST10:ステップST9の相互認証で互いの正当性が認証されると、図3に示す仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53が、ステップST6で受信したアプリケーション選択指示によって特定されるアプリケーションプログラムをメモリ52から読み出して実行を開始する。 【0059】ステップST11:アプリケーションプログラムを実行中の仮想IC記憶領域サーバ装置13と、IC_R/W装置11とが、携帯通信機能部20およびIC21を介して通信を行いながら、相互に連携してサービスに係わる処理を実行する。 【0060】ステップST12:ステップST11の処理が終了すると、仮想IC記憶領域サーバ装置13は、仮想IC記憶領域サーバ装置13の利用履歴、並びにサービスの利用履歴を携帯通信機能部20の表示部34に表示する。」(10~11頁) (3)「【0080】[第3の動作例]以下、図3に示す仮想IC記憶領域サーバ装置13のメモリ52の記憶領域に携帯電話装置14のIC21が使用するIC仮想記憶領域60aを登録(確保)する場合の通信システム1の動作例を説明する。図15は、当該動作例を説明するためのフローチャートである。 ステップST51:ユーザAが図8に示す携帯電話装置14の携帯通信機能部20の操作部35を操作し、当該操作に応じて、図8に示す制御部38が仮想記憶領域登録要求を生成し、これを仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信する。 【0081】ステップST52:図3に示す仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53は、ステップST51で受信した仮想記憶領域登録要求に応じて、図8に示す携帯通信機能部20の表示部34に登録フォーム(登録用画面)を表示させる。 【0082】ステップST53:ユーザAは、表示部34の登録フォームに従って、自らの氏名、住所、電子メ-ルアドレスなどの当該登録に必要な情報を入力する。当該入力された情報は、アンテナ41を介して仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信される。 【0083】ステップST54:仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53は、携帯電話装置14に対してIDおよびワンタイムパスワードを発行し、これを携帯通信機能部20に送信する。 【0084】ステップST55:仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53は、メモリ52内の記憶領域のうち、例えば、図5に示すIC仮想記憶領域60aを携帯電話装置14(ユーザA)に対して仮に確保する。 【0085】ステップST56 携帯通信機能部20は、ステップST54で受信したIDおよびワンタイムパスワードを用いてIC仮想記憶領域60aにアクセスを行う。 【0086】ステップST57:携帯通信機能部20は、パスワードの変更を行う。当該変更されたパスワードは、制御部53によって管理される。 【0087】ステップST58:図3に示す仮想IC記憶領域サーバ装置13は、制御部53の制御に基づいて、SAM51が認証要求を生成し、これを携帯通信機能部20に送信する。 【0088】ステップST59:図8に示す携帯通信機能部20は、ステップST58で認証要求を受信すると、制御部38が認証要求を生成し、IC_I/F部36を介して当該認証要求をIC21に送信する。図9に示すIC21は、携帯通信機能部20からの認証要求を、I/F部45で受信する。 【0089】ステップST60:IC21の制御部48は、ステップST59で受信した認証要求に応じて、携帯通信機能部20を介して、仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証を行う。 【0090】ステップST61:ステップST60の相互認証で互いの正当性が認証されると、仮想IC記憶領域サーバ装置13のSAM51は、IC21から、当該IC21のID(個別データ)を受信する。 【0091】ステップST62:仮想IC記憶領域サーバ装置13のSAM51は、ステップST61で受信したIC21のIDと、ステップST54で発行したIDと、ステップST57で受信したパスワードとを、図5に示すIC仮想記憶領域60aと対応付けて登録する。 【0092】ステップST63:仮想IC記憶領域サーバ装置13は、IC仮想記憶領域60aが携帯電話装置14に割り当てられた旨を携帯通信機能部20に通知する。」(12頁) (4)図2は以下のとおりである。 (5)図3は以下のとおりである。 (6)図5は以下のとおりである。 (7)図6は以下のとおりである。 (8)図13は以下のとおりである。 (9)図15は以下のとおりである。 上記(1)~(9)の記載事項及び図面によれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 上記(1)の【0029】の記載及び図2によれば、「IC_R/W装置11は、サービス提供者の店舗30などに設置され」、「仮想IC記憶領域サーバ装置13と、携帯電話装置14を介して通信を行い、仮想IC記憶領域サーバ装置13によるアプリケーションプログラムの実行に応じて、仮想IC記憶領域サーバ装置13と連携して当該サービスに係わる処理を行う」。そして、「上記サービスとしては」、「電子マネー、電子商取引およびチケット発行などの秘匿性のある処理を伴うサービスがある」。 そうすると、「仮想IC記憶領域サーバ装置13」は、「サービス提供者の店舗30などに設置されるIC_R/W装置11と、携帯電話装置14を介して通信を行い、アプリケーションプログラムの実行に応じて、電子マネー、電子商取引およびチケット発行などの秘匿性のある処理を伴うサービスに係わる処理を行う」ものといえる。 イ 上記(1)の【0031】の記載及び図3によれば、「仮想IC記憶領域サーバ装置13」は、「SAM51、メモリ52、制御部53およびI/F部54を有」し、【0032】の記載によれば、SAM51は、IC21との間の相互認証を行う認証部61を含む。そして、同【0035】の記載、図5及び図6によれば、「メモリ52」は、「携帯電話装置14」の「IC21の仮想メモリとして用いられ、IC21を用いたサービスに係わるアプリケーションプログラムを記憶」し、「登録処理によって各ユーザ(携帯電話装置)に予め割り当てられたIC仮想記憶領域60a,60b,60c,・・・を有」し、「IC仮想記憶領域60aは携帯電話装置14のユーザAに割り当てられ」、「IC仮想記憶領域60a」には、「それぞれIC21を用いて提供されるサービスに係わる処理を規定した」「アプリケーションプログラム65a,65b,65cが記憶され」る。 ウ 上記(3)の記載及び図15によれば、「仮想IC記憶領域サーバ装置13のメモリ52の記憶領域に携帯電話装置14のIC21が使用するIC仮想記憶領域60aを登録(確保)する場合」(【0080】)、「ユーザA」によって入力された「自らの氏名、住所、電子メ-ルアドレスなど」の「登録に必要な情報」が「仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信され」(ステップST53)(【0082】)、「仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53は、携帯電話装置14に対してIDおよびワンタイムパスワード」を「発行」し(ステップST54)(【0083】)、「仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53は、メモリ52内の記憶領域のうち、例えば、図5に示すIC仮想記憶領域60aを携帯電話装置14(ユーザA)に対して仮に確保」する(ステップST55)(【0084】)。そして、「携帯電話装置14」の「携帯通信機能部20は、ステップST54で受信したIDおよびワンタイムパスワードを用いてIC仮想記憶領域60aにアクセス」し(ステップST56)(【0085】)、「パスワードの変更」を行う(ステップST57)(【0086】)。次に、「IC21」と「仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証」が行われ(ステップST60)(【0089】)、「ステップST60の相互認証で互いの正当性が認証されると、仮想IC記憶領域サーバ装置13のSAM51は、IC21のID(個別データ)を受信」する(ステップST61)(【0090】)。そして、「SAM51は、ステップST61で受信したIC21のIDと、ステップST54で発行したIDと、ステップST57で受信したパスワードとを」、「IC仮想記憶領域60aと対応付けて登録」する(ステップST62)(【0091】)。 ここで、「携帯電話装置14に対して」発行される「IDおよびワンタイムパスワード」及び「ステップST57で受信」する「変更」後の「パスワード」は、「ユーザA」の登録処理に対して発行されたものであるから、「携帯電話装置14(ユーザA)に対して発行」されたものといえる。 そうすると、「メモリ52の記憶領域に携帯電話装置14のIC21が使用するIC仮想記憶領域60aを登録(確保)する場合、ユーザAによって入力された自らの氏名、住所、電子メ-ルアドレスなどの登録に必要な情報が仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信され(ステップST53)」、「制御部53は、携帯電話装置14(ユーザA)に対してIDおよびワンタイムパスワードを発行し(ステップST54)、メモリ52内の記憶領域のうちIC仮想記憶領域60aを携帯電話装置14(ユーザA)に対して確保し(ステップST55)」、「ステップST54で受信したIDおよびワンタイムパスワードを用いてIC仮想記憶領域60aにアクセスした携帯電話装置14によってパスワードが変更され(ステップST57)、IC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間の相互認証で互いの正当性が認証されると、SAM51は、携帯電話装置14のIC21のIDを受信し(ステップST61)、ステップST61で受信したIC21のIDと、ステップST54で発行したIDと、ステップST57で受信したパスワードとを、IC仮想記憶領域60aと対応付けて登録」するといえる。 エ 上記(1)の【0027】の記載によれば、「携帯電話装置14のIC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証が行われる(図2中○2)。そして、当該相互認証によって互いの正当性が認証されると、ユーザAの操作に応じて、携帯通信機能部20から仮想IC記憶領域サーバ装置13にアプリケーションプログラム選択指示が送信される(図2中○3)」。 これは、上記(2)の記載及び図13によれば、具体的には、「仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合であって、ユーザAによって当該ユーザAが利用するサービスが明示して選択される場合」(【0048】)、「ステップST1で仮想記憶領域利用要求を受信すると、制御部53の制御に基づいて、SAM51が認証要求を生成し、これを携帯通信機能部20に送信」し(ステップST2)(【0050】)、「IC21の制御部48は、ステップST3で受信した認証要求に応じて、携帯通信機能部20を介して、仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証を行う」(ステップST4)(【0052】)ものである。 そして、「ステップST4の相互認証で互いの正当性が認証されると、仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53が、携帯通信機能部20の表示部34に当該携帯電話装置14に対応する仮想記憶領域内容(サービスの内容)を表示させ」(【0053】)、「ユーザAは、ステップST5で表示された仮想記憶領域内容を基に、利用しようとするサービスを操作部35を操作して選択」し、「これにより、携帯通信機能部20の制御部38が当該選択されたサービスに対応するアプリケーションプログラムを選択することを指示するアプリケーション選択指示を生成し、これを仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信」し(ステップST6)(【0054】)、「仮想IC記憶領域サーバ装置13の制御部53が、ステップST6で受信したアプリケーション選択指示によって特定されるアプリケーションプログラムをメモリ52から読み出して実行を開始する」(ステップST10)(【0058】)。 ここで、図2及び図3によれば、ステップST6で送信される「アプリケーションプログラム選択指示」は、「仮想IC記憶領域サーバ装置13」の「I/F部54」によって受信されることが明らかである。 そうすると、「仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合であって、ユーザAによって当該ユーザAが利用するサービスが明示して選択される場合」、「携帯電話装置14のIC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証が行われ、当該相互認証によって互いの正当性が認証されると」、「制御部53は、携帯通信機能部20の表示部34に当該携帯電話装置14に対応する仮想記憶領域内容(サービスの内容)を表示させ」、「I/F部54は、ユーザAが選択したサービスに対応するアプリケーションプログラムを選択することを指示するアプリケーションプログラム選択指示を受信し」、「制御部53は、ステップST6で受信したアプリケーション選択指示によって特定されるアプリケーションプログラムをメモリ52から読み出して実行を開始」するといえる。 以上ア~エを総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「サービス提供者の店舗30などに設置されるIC_R/W装置11と、携帯電話装置14を介して通信を行い、アプリケーションプログラムの実行に応じて、電子マネー、電子商取引およびチケット発行などの秘匿性のある処理を伴うサービスに係わる処理を行う仮想IC記憶領域サーバ装置13であって、 IC21との間の相互認証を行う認証部61を含むSAM51、メモリ52、制御部53およびI/F部54を有し、 メモリ52は、携帯電話装置14のIC21の仮想メモリとして用いられ、IC21を用いたサービスに係わるアプリケーションプログラムを記憶し、登録処理によって各ユーザ(携帯電話装置)に予め割り当てられたIC仮想記憶領域60a,60b,60c,・・・を有し、IC仮想記憶領域60aは携帯電話装置14のユーザAに割り当てられ、IC仮想記憶領域60aには、それぞれIC21を用いて提供されるサービスに係わる処理を規定したアプリケーションプログラム65a,65b,65cが記憶され、 メモリ52の記憶領域に携帯電話装置14のIC21が使用するIC仮想記憶領域60aを登録(確保)する場合、ユーザAによって入力された自らの氏名、住所、電子メ-ルアドレスなどの登録に必要な情報が仮想IC記憶領域サーバ装置13に送信され(ステップST53)、 制御部53は、携帯電話装置14(ユーザA)に対してIDおよびワンタイムパスワードを発行し(ステップST54)、メモリ52内の記憶領域のうちIC仮想記憶領域60aを携帯電話装置14(ユーザA)に対して確保し(ステップST55)、 ステップST54で受信したIDおよびワンタイムパスワードを用いてIC仮想記憶領域60aにアクセスした携帯電話装置14によってパスワードが変更され(ステップST57)、IC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間の相互認証で互いの正当性が認証されると、SAM51は、携帯電話装置14のIC21のIDを受信し(ステップST61)、ステップST61で受信したIC21のIDと、ステップST54で発行したIDと、ステップST57で受信したパスワードとを、IC仮想記憶領域60aと対応付けて登録し、 仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合であって、ユーザAによって当該ユーザAが利用するサービスが明示して選択される場合、携帯電話装置14のIC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証が行われ、当該相互認証によって互いの正当性が認証されると、制御部53は、携帯通信機能部20の表示部34に当該携帯電話装置14に対応する仮想記憶領域内容(サービスの内容)を表示させ、I/F部54は、ユーザAが選択したサービスに対応するアプリケーションプログラムを選択することを指示するアプリケーションプログラム選択指示を受信し、制御部53は、ステップST6で受信したアプリケーション選択指示によって特定されるアプリケーションプログラムをメモリ52から読み出して実行を開始する、 仮想IC記憶領域サーバ装置13。」 2.引用文献2の記載事項及び周知技術 当審拒絶理由で引用した、特開2004-252501号公報(平成16年9月9日公開。以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。)。 「【0030】 尚、上記認証情報としては認証情報採取用デバイス6及び8によって取得した顔写真の情報を認証情報としたが、認証情報採取用デバイス6及び8を瞳の識別や指紋採取、更には声紋認識可能な装置とすることによって、より広い認証情報を使用することができる。」(6頁) 「【0037】 前述の第2の実施形態では、印刷処理の実行時に予め登録した認証情報を利用したが、本例では更に誰がどれだけプリンタ装置1利用したかの履歴情報を作成する構成である。以下、具体的に説明する。 図4は本例の処理を説明するシステム構成図である。同図において、プリンタ装置1のシステム構成は前述の第2の実施形態と更に異なり、印刷部20の前に課金処理部23を設け、課金処理部23によって課金情報を取得する構成である。また、本例においては課金用ユーザデータベース24を設け、課金処理部23から出力される課金情報を記録する構成である。尚、課金用ユーザデータベース24は記録装置であり、前述の第2の実施形態で使用したユーザ認証データベース(21)も含む構成であり、認証情報に基づくユーザ認証も可能である。 【0038】 先ず、パーソナルコンピュータ2は前述と同様、アプリケーション印刷実行部10によって印刷データを作成し、プリンタドライバ印刷処理部11によって中間コードに変換し、マージ処理部12に出力される。この時、認証用カメラ8cによってユーザの顔写真が撮影され、この顔写真は認証情報としてマージ処理部12に送られ、マージ処理部12において前述の印刷データにマージされる。 【0039】 このようにして作成された認証情報を含む印刷データはプリンタ装置1のデータ受信/分離部13に送られ、印刷データから認証情報(顔写真の情報)が分離され、認証情報照合処理部22へ送られる。 ここで、課金用ユーザデータベース24には、上記のように認証用カメラ6cによって予め登録された認証情報が登録されており、認証情報照合処理部22は供給される認証情報(顔写真のデータ)に従ってユーザ認証データベース21を検索し、登録された認証情報があれば印刷処理OKの指示を行う(判断SがOK)。この場合、印刷部20は印刷処理を行い、印刷結果を前述の排紙部5に出力する。ここで、本例の処理においては、課金処理部23によって課金処理が行われる。」(7頁) 顔写真の情報(顔写真のデータ)や瞳、指紋、声紋による認証情報(段落【0030】)は、生体情報に含まれる。そして、上記段落【0037】~【0039】の記載によれば、プリンタ装置1の課金用ユーザデータベース24は、ユーザ認証データベース(21)を含み、認証情報に基づくユーザ認証も可能であり、パーソナルコンピュータ2から送られた生体情報に従ってユーザ認証データベース21を検索することにより、ユーザ認証データベース21に予め登録された生体情報の中から、送られた生体情報に対応するユーザを特定し、誰がどれだけプリンタ装置1を利用したかの履歴情報を作成し、課金処理を行うものといえる。 そうすると、上記引用文献2に記載されているように、「認証情報として、生体情報を使用すること」は、周知技術である。 第5 対比、判断 1.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「仮想IC記憶領域サーバ装置13」は、本願発明の「サーバ装置」に含まれる。 (2)引用発明の「ユーザA」及び「各ユーザ」は、本願発明の「ユーザ」に含まれ、引用発明の「携帯電話装置14」及び各ユーザの「携帯電話装置」は、本願発明の「携帯端末装置」に含まれる。 (3)引用発明では、「仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合」、「IC21との間の相互認証を行う認証部61を含むSAM51」によって、「携帯電話装置14のIC21と仮想IC記憶領域サーバ装置13との間で相互認証が行われ、当該相互認証によって互いの正当性が認証される」から、当該認証に係るプロセスでは、「仮想IC記憶領域サーバ装置13」は、相手がIC仮想記憶領域60aを割り当てた「携帯電話装置14(ユーザA)」であることを特定するための認証を行っていると解される。 ここで、装置間の相互認証では、一方の装置から認証に必要な認証情報が他方の装置に送られ、他方の装置では、当該認証情報を用いて認証を行うことが技術常識であるから、引用発明の「仮想IC記憶領域サーバ装置13に記憶されたアプリケーションプログラムを利用してIC21を用いたサービスに係わる処理を行う場合」に行われる上記認証に係るプロセスにおいても、「携帯電話装置14」から「仮想IC記憶領域サーバ装置13」に何等かの「携帯電話装置14(ユーザA)」のための「認証情報」が送信されることは明らかである。 そうすると、認証情報として、予めIC仮想記憶領域と対応付けて登録された「携帯電話装置14のIC21のID」、「ステップST54で発行したID」及び(変更後の)「パスワード」が送信されるかどうかは明らかではないとしても、引用発明の「仮想IC記憶領域サーバ装置13」の「I/F部54」は、「携帯電話装置14」から「認証情報」を受信するということができる。 ところで、本願発明の「携帯端末装置における前記ユーザの生体認証に用いられる生体情報」は、令和1年5月27日の手続補正書により補正された事項であり、明細書の「携帯端末装置11の認証情報は、セキュアエレメント76のセキュアIDであるものとしたが、携帯端末装置11をセキュアに認証できる情報であればよい。例えば、携帯端末装置11が携帯電話機である場合には、その電話番号を認証情報としてもよいし、携帯端末装置11が指紋認証等の生体認証機能を備えている場合には、その生体情報を認証情報としてもよい。」(【0187】。下線は当審が付与。)との記載を、その補正の根拠とするものである。そうすると、本願発明の「携帯端末装置における前記ユーザの生体認証に用いられる生体情報」は、携帯端末装置とサーバ装置との間の認証のための情報として用いることを想定したものと解されるから、本願発明の「携帯端末装置における前記ユーザの生体認証に用いられる生体情報」と引用発明の「認証情報」とは、「認証のための情報」である点で共通する。 (4)引用発明では、「SAM51」によって「携帯電話端末14(ユーザA)」の「IC21」の「正当性が認証される」と、「制御部53は、携帯通信機能部20の表示部34に当該携帯電話装置14に対応する仮想記憶領域内容(サービスの内容)を表示させ、I/F部54は、ユーザAが選択したサービスに対応するアプリケーションプログラムを選択することを指示するアプリケーションプログラム選択指示を受信し、制御部53は、ステップST6で受信したアプリケーション選択指示によって特定されるアプリケーションプログラムをメモリ52から読み出して実行を開始する」。 そうすると、「携帯電話端末14(ユーザA)」から受信した「認証情報」に基づく認証によって、携帯電話端末14(ユーザA)が特定され、当該ユーザAに割り当てられたIC仮想記憶領域60aが特定され、「携帯電話端末14(ユーザA)のIC21」の正当性が認証されるといえるから、携帯電話端末14(ユーザA)を特定するための情報や、当該ユーザAに割り当てられたIC仮想記憶領域60aを特定するための情報は、ユーザAの「認証情報」に対応付けられたユーザAの「ユーザデータ」といえ、引用発明は、本願発明と同様、「ユーザ毎のユーザデータを記憶するユーザ情報データベース」を有しているといえる。 また、本願発明の「データ管理部」と引用発明の「SAM51」とは、「前記ユーザ情報データベースに記憶されている前記ユーザデータの中から、前記受信部により受信された前記認証のための情報に対応付けられている前記ユーザデータを特定するデータ管理部」である点で共通する。 (5)引用発明では、「I/F部54」が受信する「アプリケーションプログラム選択指示」によって、「メモリ52」の「IC仮想記憶領域」に記憶されたアプリケーションプログラムの中から、「ユーザAが選択したサービスに対応するアプリケーションプログラム」が特定されるから、個々の「アプリケーションプログラム」は、それを識別するための「固有の識別情報」が対応付けられて記憶されていると解することができる。 そして、本願明細書の「VSE(Virtual Secure Element)アプレット74は、例えば仮想マシン72上で動作するアプリケーションプログラムであり、携帯端末装置11がユーザにより操作されることで、その操作に応じた処理を実行する。」(【0040】)の記載も参照すれば、引用発明の「アプリケーションプログラム」は、本願発明の「アプレット」に相当し、引用発明の「メモリ52」の「IC仮想記憶領域」は、本願発明の「固有の識別情報が対応付けられたアプレットを記憶するアプレットデータベース」に相当する。 また、引用発明の「I/F部54」が受信する「アプリケーションプログラム選択指示」には、「アプレットを識別するための識別情報」が含まれるといえ、上記(3)と総合すると、引用発明の「I/F部54」は、「認証情報」及び「アプレットを識別するための識別情報」を、「携帯電話装置から受信する」といえる。 よって、本願発明の「受信部」と引用発明の「I/F部54」とは、「認証情報、および、前記アプレットを識別するための識別情報を、前記携帯端末装置から受信する受信部」である点で共通する。 (6)上記(4)のとおり、引用発明では、「携帯電話端末14(ユーザA)」から受信した「認証情報」に基づく認証によって、携帯電話端末14(ユーザA)が特定され、当該ユーザAに割り当てられたIC仮想記憶領域60aが特定され、上記(5)のとおり、「制御部53」は、「IC仮想記憶領域」に記憶されたアプリケーションプログラムの中から、「ユーザAが選択したサービスに対応するアプリケーションプログラム」を特定し、これにより、当該アプリケーションプログラムを読み出して実行を開始する。 そうすると、引用発明の「制御部53」は、「SAM51」による認証によって特定された「ユーザデータ」を用いて、「IC仮想記憶領域」に記憶されたアプリケーションプログラムの中から、「I/F部54」により受信された「アプリケーションプログラム選択指示」に含まれる「アプレットを識別するための識別情報」に対応付けられた「アプリケーションプログラム」を選択しているといえるから、本願発明の「前記データ管理部により特定された前記ユーザデータを用いて、前記アプレットデータベースに記憶されている前記アプレットの中から、前記受信部により受信された前記識別情報に対応付けられている前記アプレットを選択するアプレット管理部」に相当するといえる。 以上より、本願発明と引用発明とは、以下の点で、一致し、相違する。 (一致点) 「ユーザ毎のユーザデータを記憶するユーザ情報データベースと、 固有の識別情報が対応付けられたアプレットを記憶するアプレットデータベースと、 認証のための情報、および、前記アプレットを特定するための識別情報を、前記携帯端末装置から受信する受信部と、 前記ユーザ情報データベースに記憶されている前記ユーザデータの中から、前記受信部により受信された前記認証のための情報に対応付けられている前記ユーザデータを特定するデータ管理部と、 前記データ管理部により特定された前記ユーザデータを用いて、前記アプレットデータベースに記憶されている前記アプレットの中から、前記受信部により受信された前記識別情報情報に対応付けられている前記アプレットを選択するアプレット管理部と を備えるサーバ装置。」 (相違点) 認証のための情報が、本願発明では、「携帯端末装置におけるユーザの生体認証に用いられる生体情報」であるのに対し、引用発明では、「認証情報」である点。 2.判断 本願発明は「サーバ装置」に関する発明であるところ、「サーバ装置」側では、「受信部」が受信する「生体情報」が、「携帯端末装置におけるユーザの生体認証に用いられる」ものかどうかは区別できない。そして、「サーバ装置」の発明としてみたときには、「データ管理部」は、予めユーザデータに対応付けられて記憶されているユーザの「生体情報」の中から、「受信部」で受信した「生体情報」と一致するものを特定し、当該一致した「生体情報に対応付けられているユーザデータを特定」しているにすぎない。 すなわち、サーバ装置に予め「携帯端末装置におけるユーザの生体認証に用いられる生体情報」を記憶(登録)しておき、アプレット使用時に携帯端末装置から「携帯端末装置におけるユーザの生体認証に用いられる生体情報」を送信するか、或いは、予めユーザの生体情報を記憶(登録)しておき、アプレット使用時にユーザの生体情報を送信するかによって、「サーバ装置」としての発明の構造、機能等に何ら差異はない。 そして、上記「第4」の2で述べたように、「認証情報として、生体情報を使用すること」は周知技術であるから、本願発明と同じく「サーバ装置」の発明である引用発明において、認証情報として、「生体情報」を用いることは、当業者が容易になし得る。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、その効果も、当業者が予測し得る範囲を超えるものではない。 3.請求人の主張について 請求人は、令和1年5月27日に提出した意見書において、次のように主張している。 ア 「引用文献1乃至3において、“ユーザ情報データベースに記憶されているユーザデータの中から、受信された生体情報に対応付けられているユーザデータを特定し、特定されたユーザデータを用いて、アプレットを記憶するアプレットデータベースに記憶されているアプレットの中から、受信された識別情報に対応付けられているアプレットを選択する”ことについては、開示も示唆もされていません。」 イ 「これにより、請求項1に記載の本願発明によれば、携帯端末装置上でユーザデータを記憶したり、アプレットを実行する必要がないので、携帯端末装置のプラットフォームに依存したり、携帯端末装置の処理能力やメモリの記憶容量に制限されずに、ユーザに対して近接通信に関わるサービスを提供することが可能となるという顕著な作用効果を奏することができます。」 しかし、アについては、上記1及び2で検討したとおりである。 また、イについて、引用文献1の【0175】に「【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、集積回路に内蔵されたメモリの記憶容量の制限を受けることなく、単体の集積回路を用いて多様なサービスを提供できる 通信方法およびそのシステム、通信装置、処理装置およびその方法を提供することができる。」と記載されるように、引用発明も、携帯電話装置のメモリ容量に制限されることなく、多様なサービスを提供するものであるから、請求人が主張する作用効果は、引用発明が奏する作用効果と比べて格別顕著なものとはいえない。 よって、請求人の主張は採用できない。 4.小括 以上より、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-015420

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