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特許拒絶査定不服審判

2017-015292

ポリエン(polyene)系偏光フィルム(film)の製造方法

審判番号
2017-015292
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-164432外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年10月13日
審決日
2019年01月21日
公報発行日
2019年07月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-164432「ポリエン(polyene)系偏光フィルム(film)の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月19日出願公開、特開2015- 34848〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年8月7日に出願された特願2013-164432号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成29年 1月31日 拒絶理由通知(平成29年2月7日発送) 平成29年 5月 8日 意見書、手続補正書 平成29年 6月 2日 拒絶査定(平成29年6月13日発送) 平成29年10月13日 審判請求、手続補正書 平成30年 8月15日 拒絶理由通知(平成30年8月21日発送) 平成30年11月21日 意見書、手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成30年11月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 ポリビニルアルコールフィルムをドライ延伸することで、ドライ延伸フィルムを作製するステップと、 酸触媒を用いて前記ドライ延伸フィルムに脱水反応を行わせるステップと、を含み、 ポリビニルアルコール及び前記酸触媒を含むコーティング液を基板上にコーティングし、乾燥することで、前記ポリビニルアルコールフィルムを作製し、 前記コーティング液は、ポリビニルアルコールの質量に対して前記酸触媒を2質量%以上10質量%以下で含有し、 前記酸触媒は、R-Xで示される構成を有する有機酸であり、Rは、アルキル基、パーフルオロアルキル基、芳香族官能基、及びフッ素置換型芳香族官能基等から選択されるいずれか1つであり、Xは、カルボキシル基及びスルホ基からなる群から選択されるいずれか1つの官能基であることを特徴とする、ポリエン系偏光フィルムの製造方法。」 第3 当審において通知した拒絶の理由 当審より平成30年8月15日付けで通知した拒絶理由のうち、特許法第29条第2項に係る拒絶理由は、概ね次のとおりである。 本願の請求項1ないし9に係る発明は、本願の出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献> 1.特開平8-262228号公報 2.特開2002-174726号公報 3.米国特許第3914017号明細書 4.特開昭62-82030号公報 5.特開2006-89536号公報 第4 当審の判断 1 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 引用文献1(特開平8-262228号公報)には、次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。 ア 「【0001】本発明は、共役二重結合を有するポリマーの偏光層を含みそしてSiOXでシールされた表面を有する耐熱性柔軟性偏光子に関する。本発明は、更にまた、付加的に外部層に接合されているこのタイプの偏光子に関する。 ……… 【0003】種々の基体と接着中間層からの積層品の製造は知られている。US 5,049,427は、ポリアセチレン(PAC)含有ポリマー(POLPAC)の偏光コア層及び透明な外部層を含む積層された偏光子を述べているが、これらの層は特別なポリウレタン-ポリ尿素によって接合されている。 【0004】POLPAC偏光子は既に優れた特性を有するけれども、極端な条件下では安定性がまだ不適切である。90℃で500時間の貯蔵の後では、偏光されていない光に関する偏光子の伝導率が変化していて、伝導率の変化△Tunpolは5%よりも大きい。 【0005】しかしながら、特に高温にさらされる光学ディスプレイ(例えば自動車中のダッシュボード)における使用は、これらの条件下での偏光子の光学特性の減少△Tunpol及び△Pが多くとも5%である場合にのみ可能であり、ここで△Pは偏光度の変化である。例えばPOLPAC偏光子の光学特性は、ガラス板の間への接合の後では100℃で1,000時間一定であることが報告された。しかしながら、このような積層システムは、ディスプレイの製造のためには非常に適切ではない。処理(processing)特性に関してそして柔軟性プラスチックディスプレイの関係においての両方で、柔軟性の偏光子が好ましい。 【0006】それ故、本発明の目的は、上で述べた条件を満たす、共役二重結合を有するポリマーを基にした偏光子を製造することであった。 ……… 【0013】更にまた、本発明は、共役二重結合を有するポリマーの偏光コア層及び両側に付与された透明で柔軟性の外部層を含んで成る積層された柔軟性偏光子であって、SiOX保護層によってシールされたコア層及び外部層がシリケート層によって又は有機接着剤によって接合されていて、そしてこのやり方で積層された偏光子が柔軟性であることを特徴とする偏光子に関する。 ……… 【0023】その表面をSiOXによってシールされた本発明の偏光子のための偏光コア層は、共役二重結合を有するポリマーである。このようなポリマーは知られている。かくして、例えばUS 3,914,017は、ポリマー主鎖中に共役二重結合の領域をもたらすポリビニルアルコールの部分的な脱水を述べている。このようにして生成する共役二重結合の領域は、一般にむしろ短い(平均:2~15C=C)。脱水は、純粋に熱的に又は酸触媒によって実施することができる。 ……… 【0024】好ましくは、偏光コア層は、部分的に脱水されたポリビニルアルコールのもの又はPACのものである。 【0025】偏光コア層は、殊に好ましくは、そのマトリックスが極性基を含むポリマーでありそして少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも98%の最大偏光度P、及び5以上の、好ましくは10以上の最大二色性比QEを有する[両方の場合とも可視光の領域を基にして]PAC含有ポリマー生成物から作られた偏光子である。これらの偏光子は、延伸によって製造された優先方向を有するフィルムの形で用いられる。延伸度εは、200%よりも大きく、好ましくは少なくとも400%、特に好ましくは500%~1,000%である。 【0026】殊に好ましい偏光コア層は、そのマトリックスが部分的に脱水されたポリビニルアルコールであり、そしてその偏光効果が非可視近紫外波長領域(<450nm)から可視波長領域(450~700nm)を経て近赤外領域(700~850nm)に及ぶPAC含有ポリマー生成物から成る。このような部分的に脱水されたPOLPAC偏光子は、 a)使用されるポリビニルアルコールを、アセチレン重合に先立って、脱色によって認識される所望の脱水に到達するまで150~250℃で焼き入れし(tempered)、その後でこの処理されたポリビニルアルコールの溶液中でアセチレンを重合させ、それからフィルムを製造しそして延伸することによって、又は b)そのマトリックスがポリビニルアルコールであるPOLPACフィルムを延伸しそしてその後で焼き入れすることによって[ここで、この焼き入れは空気の存在下で又は空気を排除して実施して長波偏光効果を維持することができる。フィルムはまた、脱水プロセスを加速するために、延伸に先立って又はその後で酸によって、例えばHClガスによって前処理することができる。フィルム製造に先立って、小量の酸、例えば塩化水素酸、リン酸、スルホン酸又はスルホン酸含有物質をポリマーに添加することも同様に可能である。]製造することができる。」 イ 「【0042】実施例5 23μm厚さのポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの鹸化によって製造された;鹸化度:99%)のフィルムを、室温で5分間HClガスの雰囲気にさらし、その後で200℃で7倍の長さに一軸延伸し、そして延伸張力下で更に15分間200℃で保持した。するとフィルムは12μmの厚さであった。偏光によって測定すると、43.9%の透過率及び93.9%の偏光度が得られた。このフィルムを実施例3のやり方でSiOx(x=1.7)によってコートした。90℃での熱試験後の繰り返しの測定は、2%未満の透過率のそして0.9%の偏光度の変化をもたらした。 【0043】実施例6 POLPACフィルムを、気体状HClで処理しそしてアルゴン下で700%だけ、即ち、その元の長さの8倍に延伸し、そしてその後で空気の存在下で200℃で15分間焼き入れした。600nmでの透過率は38.5%であり、そして偏光度は99.99%であった。400nmでの偏光効果は、焼き入れによって81%から96%に上昇した。700nmでの偏光効果は99.8%から98.1%に落ちたに過ぎなかった。SiOXによるコーティング及び90℃での20日間の熱試験の後で、変化は、透過率に関して<2%そして偏光に関して<1%であった。焼き入れをアルゴン下で実施した時には、700nmでの偏光変化は観察されなかった。」 ウ 「【0044】本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。 【0045】1. SiOXでシールされた表面[式中、xは1~2、好ましくは1.1~1.9、特に好ましくは1.4~1.8の任意の所望の値を有する]を有することを特徴とする、共役二重結合を有するポリマーの偏光層を有する耐熱性柔軟性偏光子。 ……… 【0052】8. 前記ポリマーが、部分的に脱水されたポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを含むポリアセチレン、好ましくはポリビニルアルコールを含むポリアセチレンであることを特徴とする、上記1記載の偏光子。 ……… 【0054】10. 前記ポリマーがポリビニルアルコールを含むポリアセチレンであり、そしてこのポリビニルアルコールが、アセチレン重合に先立って又はその後で、150~250℃での焼き入れによって、酸処理によって、又は焼き入れ及び酸処理によって部分的に脱水されることを特徴とする、上記8記載の偏光子。」 (2)引用発明 上記(1)によると、引用文献1には、SiOXでシールされた表面を有する耐熱性柔軟性偏光子において共役二重結合を有するポリマーの偏光層を構成するPOLPAC偏光子の製造方法に関し、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 フィルム製造に先立って小量のスルホン酸をポリマーに添加した、マトリックスがポリビニルアルコールであるPOLPACフィルムを延伸し、その後焼き入れをする、部分的に脱水されたPOLPAC偏光子の製造方法。」 (3)引用文献2の記載 引用文献2(特開2002-174726号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はポリビニレン構造を有するポリビニルアルコール誘導体からなる偏光フィルムに関する。 ……… 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐久性および偏光性能に優れた偏光フィルムを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課題は、1,2-グリコール結合量が1.5モル%以下のポリビニルアルコール(以下、このポリビニルアルコールを、通常のPVAと区別するため、変性PVAと略記することがある。)から得られるポリビニレン構造を有するポリビニルアルコール誘導体からなる偏光フィルムによって達成することができる。本発明の偏光フィルムは、可視光線スペクトルの範囲における偏光性能に優れ、高温高湿下に長期間放置した場合の耐久性にも優れている。」 イ 「【0020】本発明の偏光フィルムは、1,2-グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAを製膜して得られるフィルムを材料にして製造される。PVAからフィルムを製膜する方法としては、樹脂から形成されるフィルム、乾燥ドラム又は乾燥ベルトの上にPVA溶液を流延するキャスト法あるいはダイキャスト法が挙げられる。これらのフィルムの製膜方法におけるPVAの溶剤としては、水、有機溶剤又は水と有機溶剤の混合液が挙げられる。この場合の有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド、フェノール、メタノール、エタノールなどが挙げられる。PVA溶液には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤、二色性染料、無機塩類等を添加することができる。製膜されたPVAフィルムは、必要に応じて熱処理を施してもよい。PVAフィルムの厚みは、5~500μmが好ましく、10~200μmがより好ましく、20~100μmが特に好ましい。 ……… 【0022】PVAフィルムは脱水処理され、これにより、PVAにポリビニレン構造が形成される。PVAフィルムの脱水処理は、脱水促進剤を含有させたPVAフィルムを延伸し、あるいは延伸したPVAフィルムに脱水促進剤を含有させて加熱することにより行うことができる。PVAフィルムに脱水促進剤を含有させる方法としては、脱水促進剤を含有する水溶液にPVAフィルムを浸漬する方法、気体状の脱水促進剤の雰囲気下にPVAフィルムを置く方法、脱水促進剤を含有するPVA溶液を製膜する方法などが挙げられる。脱水促進剤としては、塩酸、硫酸などのプロトン酸、および塩化第二錫、臭化第二錫などのハロゲン化第二錫が挙げられる。脱水促進剤はPVAに対して0.001~10重量%の範囲の量で添加されるのが好ましい。脱水促進剤の量が上記の範囲より少ないと、偏光性能が発現し難くなる傾向がある。脱水促進剤の量が上記の範囲より多いと、効率的な脱水が難しくなることがある。脱水促進剤が添加される時期としては、PVAフィルムの製膜時、PVAフィルムの一軸延伸の前、PVAフィルムの脱水処理の前が挙げられる。脱水促進剤をPVAフィルムの製膜原液に添加する場合には、製膜時の乾燥温度が高すぎるとPVAが熱酸化される恐れがあるので注意を要する。 【0023】PVAフィルムを一軸延伸する方法としては、乾熱延伸、湿式延伸、温水中での延伸、フィルムを吸水させた状態での空気中での延伸などが挙げられる。PVAフィルムを乾熱延伸する際の延伸温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上が特に好ましい。延伸温度は250℃以下であることが好ましく、230℃が以下がより好ましく、220℃以下が特に好ましい。延伸温度は、延伸中のフィルムの延伸状態に応じて変化させてもよい。また、PVAフィルムを乾熱延伸する場合は、PVAの酸化による着色が生じる恐れがあるため、窒素雰囲気下又は真空中などの低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。PVAフィルムは、乾熱延伸中に、偏光性能を有するポリビニレン構造が形成された着色フィルムに変化する。」 (4)引用文献3の記載 引用文献3(米国特許第3914017号明細書)には、次の事項が記載されている。 ア 「BACKGROUND OF THE INVENTION The present invention relates to dichroic light polarizers and to methods for preparing them. More particularly, this invention is concerned with K-sheet type polarizers and their preparation from polyvinyl alcohol graft copolymers obtained by a redox type grafting procedure.」(第1欄4ないし10行) (和訳) 「発明の背景 本発明は、二色性偏光子および二色性偏光子と、それらを調製する方法とに関する。より具体的には、本発明は、Kシートタイプの偏光子およびレドックスタイプのグラフト手順によって得られたポリビニルアルコールグラフト共重合体からのそれらの調製に関する。」 イ 「OBJECTS OF THE INVENTION It is a primary object of this invention to provide K-sheet type polarizers prepared from more than one polymer. More specifically, it is an object of this invention to provide dichroic light polarizers comprising transparent sheets of a PVA graft copolymer, said graft copolymer comprising a PVA backbone onto which are grafted polymeric substituents selected from polymerized monomers having a polymerizable vinyl group on each monomer derivative and polymerized monomers having a polymerizable vinylidene group on each monomer derivative. Another object of the invention is to provide methods for preparing K-sheets from PVA graft copolymers obtained via a redox type grafting procedure. A further object is to provide K-sheet type polarizers containing PVA material which may be dehydrated at lower temperatures than those commonly utilized in prior art procedures. A still further object is to provide K-sheets containing PVA material capable of being dehydrated in the presence of catalysts incorporated in the polarizer sheet.」(第1欄39ないし61行) (和訳) 「発明の目的 本発明の第1の目的は、複数のポリマーから調製されたKシートタイプの偏光子を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、PVAグラフト共重合体の透明シートを含む二色性偏光子を提供することであり、前記グラフト共重合体は、各モノマー誘導体上に重合可能なビニル基を有する重合モノマーと、各モノマー誘導体上に重合性ビニリデン基を有する重合モノマーから選ばれる高分子置換基がその上でグラフト化されるPVA主鎖を含む。本発明の別の目的は、レドックスタイプのグラフト法により得られるPVAグラフト共重合体からKシートを調製する方法を提供することである。 更なる目的は、先行技術の手順で一般的に利用されるものより低い温度で脱水され得るPVA材料を含有するKシートタイプの偏光子を提供することである。さらに別の目的は、偏光子シートに組み込まれた触媒の存在下で脱水され得るPVA材料を含有するKシートを提供することである。」 ウ 「EXAMPLE 1 To a solution containing 55g PVA (C-20 Shimitsu or Gelvatol 1-90 Monsanto or Elvanol 71-30A Dupont) in 600 cc H2O were added 26g ethyl acrylate and 29g methyl methacrylate. Nitrogen gas was bubbled in for 1 hour, the pH was adjusted to 1.5 with conc. HNO3 and 6.0g Ce(NH4)2 (NO3)6 in 15 cc H2O were added. Stirring was continued for 3 hours at room temperature. At the end of this time the conversion of monomer to polymer was quantitative with 16% solids. The emulsion was dialyzed to a pH of 6.0 and then brought to a pH of 7.0 by the addition of a strong acid ion exchange resin which was filtered off, thereby removing NO3 - ion which has been found to inhibit polyvinylene formation. The resultant preparation of ethyl acrylate-methyl methacrylate copolymer grafted onto PVA (1/1 wt) was cast into optically clear films 2-4 mils thick. Anhydrous HCl was fumed over such a sheet at room temperature and the sheet was then stretched for 3 minutes at 90 DEGC and borated with saturated boric acid solution for 5 minutes at 65 DEGC. The resultant K-sheet type polarizer exhibited a dichroic ratio of 80. ……… EXAMPLE 3 K-sheet type polarizers comprised of ethyl acrylate-methyl methacrylate copolymer grafted onto PVA (1/1 wt) and exhibiting approximately the same dichroic ratio as the polarizer in Example 1 were prepared in accordance with the procedure outlined in Example 1 except that phosphoric acid or p-toluenesulfonic acid were also added to the PVA graft copolymer preparation, the amount of each acid added being 1% by weight of the total weight of solids in the emulsion, and fuming of anhydrous HCl over the cast sheet was omitted. 」(第4欄4ないし50行) (和訳) 「実施例1 600ccのH2O中に55gのPVA(C-20 ShimitsuまたはGelvatol 1-90 MonsantoまたはElvanol 71-30A Dupont)を含有する溶液に、エチルアクリレート26gおよびメチルメタクリレート29gを加えた。窒素ガスを1時間バブリングし、pHを濃硫酸で1.5に調整した。HNO3および15ccのH2O中の6.0gのCe(NH4)2(NO3)6を添加した。撹拌を室温で3時間続けた。この時間の終わりに、モノマーのポリマーへの転化率は16%固形分で定量的であった。このエマルジョンをpH6.0に透析し、次いで濾別した強酸性イオン交換樹脂を添加することによりpH7.0にし、これにより、ポリビニル形成を阻害することが判明したNO3-イオンを除去した。PVA(1/1wt)にグラフトされたエチルアクリレートメタクリレート共重合体の得られた調製物を、厚さ2~4ミルの光学的に透明なフィルムにキャスティングした。このようなシートの上に室温で無水HClを蒸散させた後、シートを90℃で3分間延伸し、飽和ホウ酸溶液で65℃で5分間ホウ酸処理した。得られたKシートタイプの偏光子は二色比80を示した。」 ……… 実施例3 PVA(1/1wt)にグラフトされたエチルアクリレートメタクリレート共重合体からなり実施例1の偏光子とほぼ同じ二色比を示すKシートタイプの偏光子を、実施例1に概説した手順に従って調製したが、但し、リン酸もしくはp-トルエンスルホン酸をPVAグラフト共重合体調製物に添加し、各酸の添加量はエマルジョン中の固形分の全重量の1重量%であり、キャストシート上の無水HClの燻蒸は省略した。」 ウ 「8. The process of preparing a dichroic light polarizer comprising a transparent sheet of a graft copolymer, said graft copolymer comprising a polyvinyl alcohol backbone onto which are grafted polymeric substituents selected from polymerized monomers having a polymerizable vinyl group on each monomer derivative, polymerized monomers having a polymerizable vinylidene group on each monomer derivative, and mixtures thereof, said polyvinyl alcohol backbone being substantially molecularly oriented and at least partially dehydrated, comprising: preparing an emulsion of said graft copolymer by mixing a solution containing said polyvinyl alcohol with said polymerizable monomers and a transition metal cation catalyst at a pH of less than 7, said cation catalyst possessing an oxidation potential in acidic media of at least one volt when said cation is reduced to the next lower oxidation state, said cation being stable in acidic media in both of said oxidation states, mixing said emulsion of said graft copolymer with an acid catalyst to incorporate said acid catalyst into said emulsion, casting a sheet of said graft copolymer and acid catalyst from said emulsion, heating said sheet containing said acid catalyst to at least partially dehydrate said polyvinyl alcohol, and stretching said heated sheet to substantially orient the molecules of said polyvinyl alcohol. ……… 10. The process of claim 8 wherein said acid catalyst is p-toluenesulfonic acid.」(第7欄50行ないし第8欄25行) (和訳) 「8.グラフト共重合体の透明シートを含む二色性偏光子の製造方法であって、前記グラフト共重合体は、各モノマー誘導体上に重合性ビニル基を有する重合モノマー、各モノマー誘導体上に重合性ビニリデン基を有する重合モノマー、およびそれらの混合物から選択されたポリマー置換基がその上にグラフト化されたポリビニルアルコール主鎖を含み、前記ポリビニルアルコール骨格は実質的に分子配向し、少なくとも部分的に脱水されており、 前記ポリビニルアルコールを含有する溶液と前記重合可能なモノマーおよび遷移金属カチオン触媒を7未満のpHで混合することにより前記グラフト共重合体のエマルジョンを調整するステップであって、前記カチオン触媒は、前記カチオンが次に低い酸化状態に還元される際に酸性媒体内で少なくとも1ボルトの酸化電位を持ち、前記カチオンは前記酸化状態の両方において酸性媒体中で安定であるステップと、 前記酸触媒を前記エマルジョンに導入するために前記グラフト共重合体の前記エマルジョンを酸触媒と混合するステップと、 前記エマルジョンから前記グラフト共重合体と酸触媒のシートを成型するステップと、 前記ポリビニルアルコールを少なくとも部分的に脱水するように前記シートを酸触媒の存在下で加熱するステップと、 前記加熱されたシートを延伸して前記ポリビニルアルコールの分子を実質的に配向させるステップと、を含む前記製造方法。 ……… 10.前記酸触媒がp-トルエンスルホン酸である、請求項8に記載の方法。」 2 対比 (1)本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「POLPACフィルム」は、「マトリックスがポリビニルアルコールである」から、「ポリビニルアルコールフィルム」といえる。 そうすると、引用発明の「マトリックスがポリビニルアルコールであるPOLPACフィルムを延伸」する工程と本願発明の「ポリビニルアルコールフィルムをドライ延伸することで、ドライ延伸フィルムを作製するステップ」は、「ポリビニルアルコールフィルムを延伸することで、延伸フィルムを作製するステップ」である点で共通する。 イ 引用文献1の段落【0023】の記載(上記1(1)アを参照。)及び当該技術分野の技術常識を勘案すると、引用発明では、延伸された「POLPACフィルム」を「焼き入れをする」ことにより、「POLPACフィルム」中の「ポリビニルアルコール」が「部分的に脱水され」、共役二重結合が形成されること、その際に「スルホン酸」が酸触媒として作用することは明らかである。 そうすると、引用発明と本願発明は、「酸触媒を用いて延伸フィルムに脱水反応を行わせるステップ」を含む点で共通する。 また、引用発明の「スルホン酸」は、スルホ基を有する酸であるから、引用発明と本願発明は、「酸触媒は、R-Xで示される構成を有する酸であり、Xは、カルボキシル基及びスルホ基からなる群から選択されるいずれか1つの官能基である」点で共通する。 ウ 上記イのとおり、引用発明の「POLPAC偏光子」は、「POLPACフィルム」中の「ポリビニルアルコール」が「部分的に脱水され」、共役二重結合が形成されてなるものであるから、「ポリエン」といえる。また、引用発明の「POLPAC偏光子」は、「POLPACフィルムを延伸」してなるから、フィルムである。 そうすると、引用発明の「POLPAC偏光子の製造方法」は、「ポリエン系偏光フィルムの製造方法」に相当する。 (2)以上によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「 ポリビニルアルコールフィルムを延伸することで、延伸フィルムを作製するステップと、 酸触媒を用いて前記延伸フィルムに脱水反応を行わせるステップと、を含み、 前記酸触媒は、R-Xで示される構成を有する酸であり、Xは、カルボキシル基及びスルホ基からなる群から選択されるいずれか1つの官能基である、ポリエン系偏光フィルムの製造方法。」 <相違点1> ポリビニルアルコールフィルムの延伸方法に関し、本願発明では、ポリビニルアルコールフィルムをドライ延伸するのに対し、引用発明では、延伸方法が特定されていない点。 <相違点2> ポリビニルアルコールフィルムの作製方法及び酸触媒の添加方法に関し、本願発明では、ポリビニルアルコール及び酸触媒を含むコーティング液を基板上にコーティングし、乾燥することで、ポリビニルアルコールフィルムを作製するのに対し、引用発明では、フィルム製造に先立ってスルホン酸をポリマーに添加するが、POLPACフィルムの製造方法が特定されていない点。 <相違点3> 酸触媒の含有量及び組成に関し、本願発明では、ポリビニルアルコールの質量に対して酸触媒を2質量%以上10質量%以下で含有し、酸触媒は有機酸であり、R-Xで示される構成のRは、アルキル基、パーフルオロアルキル基、芳香族官能基、及びフッ素置換型芳香族官能基等から選択されるいずれか1つであるのに対し、引用発明では、ポリビニルアルコールの質量に対するスルホン酸の含有量、及びスルホン酸の組成が特定されていない点。 3 判断 (1)相違点1について ポリエン系偏光フィルムの製造にあたり、ポリビニルアルコールフィルムを延伸する方法として、ドライ延伸は、湿式延伸等とともに周知技術である(例えば引用文献2の段落【0023】には、ポリビニレン構造を有するポリビニルアルコール誘導体からなる偏光フィルムの製造工程において、PVAフィルムを一軸延伸する方法として、乾熱延伸、湿式延伸、温水中での延伸、フィルムを吸水させた状態での空気中での延伸などが挙げられることが記載されている(上記1(3)ア、イを参照。)。)。 また、引用文献1において、ポリビニルアルコールフィルムを延伸する方法が具体的に開示された実施例である実施例5及び実施例6では、いずれもドライ延伸を行っている。すなわち、引用文献1には、実施例5において、ポリビニルアルコールフィルムを、室温で5分間HClガスの雰囲気にさらし、その後、200℃で7倍の長さに一軸延伸すること、実施例6において、POLPACフィルムを、気体状HClで処理し、その後、アルゴン下で8倍の長さに延伸することが、それぞれ記載されている(上記1(1)イを参照。)。 してみると、引用発明において、POLPACフィルムの延伸方法としてドライ延伸を採用することは、引用文献1が示唆する範囲内の事項といえる。また、そうでないとしても引用発明において、周知の延伸方法の中からドライ延伸を採用することは、当業者が適宜決定し得る設計的事項にすぎない。 よって、引用発明において、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点2について ポリビニルアルコールを含むコーティング液を基板上にコーティングし、乾燥させてポリビニルアルコールフィルムを作製することは、周知技術である(例えば引用文献2の段落【0020】には、樹脂から形成されるフィルム、乾燥ドラム又は乾燥ベルトの上にPVA溶液を流延してPVAからフィルムを製膜することが記載されている(上記1(3)イを参照。)。)。 しかるに、引用発明において、どのような方法でPOLPACをフィルム化(製膜)するかは、発明の具体化にあたり当業者が適宜決定し得る設計的事項にすぎないというべきところ、上記周知技術の方法を採用することは当業者が適宜なし得たことである。そして、引用発明は、フィルム製造に先立ってスルホン酸をポリマーに添加するものであるから、引用発明に上記周知技術の方法を適用すると、必然的にスルホン酸をPOLPACを含むコーティング液に添加することになる(なお、引用文献2には、脱水促進剤(酸触媒)を含有するPVA溶液を製膜することも記載されている。)。 よって、引用発明に周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)相違点3について 上記1(3)によると、引用文献2には、「PVAフィルムを脱水処理し、PVAにポリビニレン構造を形成するに際し、PVAに対して0.001~10重量%の範囲の量でPVAフィルムに脱水促進剤を添加すること。」(以下「引用文献2技術」という。)が記載されていると認められる。ここで、引用文献2技術の「PVA」及び「脱水促進剤」は、それぞれ本願発明の「ポリビニルアルコール」及び「酸触媒」に相当する。 また、上記1(4)によると、引用文献3には、「ポリビニルアルコールグラフト共重合体のシート中のポリビニルアルコールを部分的に脱水するための酸触媒としてp-トルエンスルホン酸を用いること。」(以下「引用文献3技術」という。)が記載されていると認められる。ここで、引用文献3技術の「ポリビニルアルコールグラフト共重合体のシート」は、本願発明の「ポリビニルアルコールフィルム」に相当し、引用文献3技術の「p-トルエンスルホン酸」は、本願発明の「R-Xで示される構成を有する有機酸」において、「R」として「芳香族官能基」を選択し、「X」として「スルホ基」を選択したものに相当する。 そして、引用発明において、スルホン酸の組成及びその添加量を如何にするかは、必要な脱水反応の程度や反応時間等を考慮して適宜決定すべき設計的事項にすぎないというべきころ、引用文献2技術及び引用文献3技術に照らし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (4)効果について 本願発明によってもたらされる効果を全体としてみても、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項、並びに周知技術から当業者が当然に予測できる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。 (5)意見書について 平成30年11月21日提出の意見書において、請求人は上記相違点2に関し、例えば、「基材上にコーティング液(酸触媒を含まない)をコーティングした後、コーティング液の塗膜に酸触媒水溶液を噴霧する」といった態様も引用文献1に記載の「POLPACフィルムの製造に先立って小量の酸をポリマーに添加する」ことに相当するから、引用発明に周知技術を適用したとしても本願発明の上記相違点2に係る構成には到らない旨主張する。 しかし、請求人が例示したコーティング液の塗膜に酸触媒水溶液を噴霧する態様は、フィルムの製造途中で酸触媒を添加しているのであって、フィルムの製造に先立って酸触媒を添加するとはいえない。すなわち、基板上にコーティング液をコーティングし、乾燥することによりポリビニルアルコールフィルムを作製するに際し、フィルムの製造に先立って酸触媒を添加するとは、コーティング液を基板上にコーティングする前に酸触媒を添加することを意味すると解するべきであるから、予めコーティング液に酸触媒を含ませる態様しか取り得ないことは技術的にみて明らかである。そして、上記相違点2についての容易想到性の判断は、上記(2)のとおりである。よって、上記請求人の主張は採用できない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願発明(本願の請求項1に係る発明)は、引用発明、引用文献1ないし3に記載された事項、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-015292

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