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特許拒絶査定不服審判

2017-014934

組込型加温冷却装置を備える衣類

審判番号
2017-014934
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-557170外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年10月06日
審決日
2019年10月07日
公報発行日
2020年04月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61F) / P18 .574-Z (A61F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-557170「組込型加温冷却装置を備える衣類」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月29日国際公開、WO2013/124866、平成27年 3月 5日国内公表、特表2015-506800〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)2月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年(平成24年)2月20日 インド)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年10月19日付け:拒絶理由通知 平成29年 1月24日  :意見書、手続補正書の提出 平成29年 6月 1日付け:拒絶査定 平成29年10月 6日  :審判請求書の提出 平成30年11月29日付け:拒絶理由通知 平成31年 3月 4日  :意見書、手続補正書の提出 平成31年 3月29日付け:拒絶理由通知<最後> 令和 元年 7月 2日  :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 令和元年7月2日に提出された手続補正書(以下「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「ユーザーの身体の一部を加温又は冷却するための装置を製造する方法であって、前記方法は、 ヒートシンクを提供するステップと、 エッチング剤を用いて前記ヒートシンクの表面をエッチングして、その有効表面積を増加させるステップと、 前記ヒートシンクを熱電性モジュールに取り付けるステップと、 前記ヒートシンク上に湿潤素材を配置するステップと、 拘束層を備える前記ヒートシンクに前記湿潤素材を固定するステップと、 冷却液を保存する供給タンクを提供するステップと、 前記湿潤素材と前記供給タンクとの間に供給ラインを接続するステップと、を有し、 前記供給ラインは、前記供給タンクから前記湿潤素材まで前記冷却液を輸送するウィッキング素材を備える、方法。」 なお、上記補正は、本件補正前の請求項13について、「冷却液は、熱が加わるのを断つ水素結合を有するスーパーポリマーを含み、それによって、熱を吸収して前記ヒートシンクを冷やす」との発明特定事項を削除するものであるが、これは後記第3 1(明確性)で示すとおり、平成31年3月29日付け拒絶理由通知において明確でないと指摘した箇所を削除したものであるから、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものといえ、特許法第17条の2第5項第4号の明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして上記補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の要件に違反しているものでもない。 第3 当審における拒絶の理由 本件補正前の請求項13に係る発明について、平成31年3月29日付けの当審が通知した拒絶理由通知における拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 1(明確性)「前記冷却液は、熱が加わるのを断つ水素結合を有するスーパーポリマーを含み、それによって、熱を吸収して前記ヒートシンクを冷やす」との記載は、冷却液に熱が加わるのを断った場合、冷却液が熱を吸収することはできないと考えられ、技術的な矛盾を含んでいると認められることから、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2(進歩性)本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1、2に記載された発明及び周知の技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:米国特許出願公開第2010/0107657号明細書 引用文献2:国際公開第2006/109545号 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載事項 (1)本願の優先日前に発行された上記引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。 「[0011] Accordingly, the current disclosure relates to a system and process for heating or cooling the body that can be incorporated into a variety of apparel items. The user may direct a small electronic interface to either supply or remove heat to the insert, thus cooling or heating the individual.」 ([0011] したがって、本開示は、様々な衣料品に組み込むことができる身体を加熱または冷却するためのシステムおよびプロセスに関する。使用者は、挿入物に熱を供給または除去するために、小型の電子インターフェイスを操作することができ、その結果、その使用者個人を冷却または加熱することができる。) 「[0052] In a preferred embodiment, while heat pipes may be used, they are not necessary. An example cross section of this embodiment is shown in FIG. 6 . At least one thermoelectric unit 80 sits against the body of a user. A cushioning gel may be placed between a thermoelectric unit and the user for additional comfort. In addition to cushioning gel, a layer of conductive fabric or other conductive material may be placed between the user and the thermoelectric. A phase change material can be thermally coupled to the side of the thermoelectric facing the torso for storing heat or acting as a heat absorbent material to increase the singe use life lifetime. These lays may be connected by way of an adhesive or other connective material. A battery 82 is attached to the thermoelectric unit such that is provides electricity to the thermoelectric unit. On the hot side of the thermoelectric unit 80 is an aluminum, or similar conductive alloy, metal, or material, such as magnesium, carbon-fiber, and or carbon materials or composites heat sink 84, which may be partially or fully exposed on a hot side of the thermoelectric unit. As previously discussed, when power is supplied to the thermoelectric unit or units, the current causes on side of the thermoelectric unit to absorb heat, which the other side releases heat (the hot side). The thermoelectric unit causes heat to flow from the cool side to the hot side. If the current is reversed the heat will move in the opposite direction, allowing a person to heat rather than cool a body part. As the cool side of the thermoelectric cools the body, the heat is drawn to the hot side of the thermoelectric and through the aluminum or other alloy heat sink 84. [0053] A wicking material 86, such as cotton is disposed on the aluminum heat sink. Wicking material 86 can have water and DNA such that heat is dissipated by the evaporation of water and the breaking of the hydrogen bonds within the DNA. In the heat sink the water can be mixed with DNA to act as heat capacitor. DNA has hydrogen bonds and when the water with DNA is heated the hydrogen bonds break by absorbing heat. The DNA is recharged when the system is switched off such that is supply of heat to the heat sink is stopped. This makes the DNA a good self recharging material to be used in the system according to the present disclosure. Wicking material 86 absorbs energy and facilitates and the dissipation of the energy. A breathable fabric or as another alternative, a porous material coupled to the wicking material allows the water to evaporate into the atmosphere.」 ([0052] 好ましい実施形態では、ヒートパイプを使用してもよいが、それらは必要でない。この実施形態の例示的な断面を図6に示す。少なくとも1つの熱電ユニット80は使用者の身体に接触して位置する。さらに快適にするために、熱電ユニットと使用者の間にクッションジェルを配置することができる。クッションジェルに加えて、導電性布地または他の導電性材料の層を、使用者と熱電素子の間に配置することができる。相変化材料は、1回の使用期間を延ばすために蓄熱もしくは熱吸収材の役割を果たすよう、胴体に面する熱電素子の側面に熱的に結合できる。これらは接着剤または他の結合材料を介して接続する態様とすることができる。電池82は、熱電ユニットに電気を供給するように熱電ユニットに取り付けられている。熱電ユニット80の高温側には、アルミニウム、または同様の導電性合金、金属、またはマグネシウム、炭素繊維、および/または炭素材料などの材料または複合材ヒートシンク84があり、これらは部分的にまたは完全に露出する場合がある。前述のように、1つまたは複数の熱電ユニットに電力が供給されると、電流によって熱電ユニットの側面で熱が吸収され、反対側から熱が放出される(高温側)。熱電ユニットは、低温側から高温側に熱を流す。電流が逆方向になった場合、熱は反対方向に移動し、人は身体の一部を冷やすのではなく、温めることができる。熱電素子の低温側が身体を冷却すると、熱は熱電素子の高温側に引き寄せられ、アルミニウムまたは他の合金ヒートシンク84を通過する。 [0053] 綿などのウィッキング材料86は、アルミニウムヒートシンク上に配置される。ウィッキング材料86は、水の蒸発とDNA内の水素結合の破壊により熱が消散されるように、水とDNAを有することができる。ヒートシンクでは、水をDNAと混合して蓄熱体として機能させることができる。DNAは水素結合を有し、DNAを含む水が加熱されると、熱を吸収して水素結合が破壊される。システムの電源を切り、ヒートシンクへの熱の供給が停止すると、DNAは再充填される。これにより、DNAは、本開示によるシステムで使用される良好な自己再充填材料となっている。ウィッキング材料86は、エネルギーを吸収し、エネルギーの消散を促進する。通気性のある布地、または別の代替手段として、ウィッキング材料に連結された多孔質材料は、水が大気中に蒸発することを可能にする。) 「[0055] Furthermore, as the water evaporates, it may become desirable to add more water to the system. An optional pack may be operatively connected to the system to refill the system as desired. This pack may be carried on a users body and connected at all times or be carried separately and attached when needed. It is desirable to use water as the evaporating liquid, however, other liquids such as ammonia or ethyl alcohol can be used.」 ([0055] さらに、水が蒸発すると、システムに水を加えるようにすることが望ましい。必要に応じてシステムに補充可能とするために、オプションのパックをシステムに動作可能に接続できる。このパックは、ユーザの身体に携帯して常時接続するか、必要に応じて個別に携帯し接続できる。蒸発する液体として水を使用することが望ましいが、アンモニアまたはエチルアルコールのような他の液体も使用できる。) 「図6 」 (2)上記記載事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 段落[0011]の「本開示は、様々な衣料品に組み込むことができる身体を加熱または冷却するためのシステムおよびプロセスに関する。使用者は、小型の電子インターフェイスを操作して挿入物に熱を供給または除去し、人を冷却または加熱することができる。」との記載、段落[0052]の「この実施形態の例示的な断面を図6に示す。少なくとも1つの熱電ユニット80は使用者の身体に接触して位置する。」との記載及び図6から熱電ユニット80を備えたシステムが身体の一部に接している点が見て取れることから、使用者の身体の一部を加熱または冷却するためのシステム、が記載されているといえる。 イ 段落[0052]の「熱電ユニット80の高温側には、アルミニウム、または同様の導電性合金、金属、またはマグネシウム、炭素繊維、および/または炭素材料などの材料または複合材ヒートシンク84があり、これらは部分的にまたは完全に露出する場合がある。」との記載及び図6からヒートシンク84は熱電ユニット80に対して身体の反対側に接して配置されている点が見て取れることから、システムは、ヒートシンク84を有し、ヒートシンク84は熱電ユニット80と接して配置される、といえる。 ウ 段落[0053]の「綿などのウィッキング材料86は、アルミニウムヒートシンク上に配置される。ウィッキング材料86は、水の蒸発とDNA内の水素結合の破壊により熱が消散されるように、水とDNAを有することができる。」との記載から、ヒートシンク84上に、ウィッキング材料86が配置され、ウィッキング材料86は熱を消散可能な水と水素結合を有するDNAを備えた、といえる。 エ 段落[0053]の「綿などのウィッキング材料86は、アルミニウムヒートシンク上に配置される。」との記載及び図6からウィッキング材料86は、ヒートシンク84に固定されるように配置されている、といえる。 オ 段落[0053]の「綿などのウィッキング材料86は、アルミニウムヒートシンク上に配置される。ウィッキング材料86は、水の蒸発とDNA内の水素結合の破壊により熱が消散されるように、水とDNAを有することができる。」との記載、段落[0055]の「さらに、水が蒸発すると、システムに水を加えるようにすることが望ましい。必要に応じてシステムに補充可能とするために、オプションのパックをシステムに動作可能に接続できる。このパックは、ユーザの身体に携帯して常時接続するか、必要に応じて個別に携帯し接続できる。蒸発する液体として水を使用することが望ましいが、アンモニアまたはエチルアルコールのような他の液体も使用できる。」との記載から、システムは、水を有するパックを備え、ウィッキング材料86とパックは動作可能に接続される、といえる。 (3)引用発明 上記(1)、(2)及び段落[0011]の「本開示は、様々な衣料品に組み込むことができる身体を加熱または冷却するためのシステムおよびプロセスに関する。」との記載から、引用文献1には、以下の工程を有する方法(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「使用者の身体の一部を加熱または冷却するためのシステムを衣料品に組み込む方法であり、システムを衣料品に組み込む方法は、 ヒートシンク84を設ける工程、 ヒートシンク84は熱電ユニット80と接して配置される工程、 ヒートシンク84上に、ウィッキング材料86が配置される工程を備え、ウィッキング材料86は熱を消散可能な水と水素結合を有するDNAを備え、 ウィッキング材料86は、ヒートシンク84に固定されるように配置される工程、 水を有するパックを提供し、ウィッキング材料86とパックは動作可能に接続される工程、 を有するシステムを衣料品に組み込む方法。」 2 引用文献2の記載事項 (1)本願の優先日前に発行された上記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 「また、図10では前記わきの下を冷やす冷却部材によるわきの下パット(91)に貯水タンク(101)を設け、貯水タンク(101)の貯水(102)の中に、毛細管現象を利用して吸水材シート(3)に水分を継続的に供給する手段を得る為に、吸水材シート(3)と同じ材料でひも状に構成した吸水芯(103)が接続管(104)の中を通って吸水材シートに接続させる。」(明細書第9ページ第5~9行) 「図10 」 (2)上記記載から、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2技術」という。)が記載されているものと認められる。 「貯水102を有する貯水タンク101を有し、吸水性シート3と貯水タンク101との間に接続管104が接続され、接続管104は、貯水タンク101から吸水性シート3まで水分を供給する、吸水材シート3と同じ材料でひも状に構成した給水芯103を備えた技術。」 第5 対比 本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。 (1)引用発明の「使用者」は、その文言の意味、機能または構成等からみて、本願発明の「ユーザー」に相当する。以下同様に、「システム」は「装置」に、「ヒートシンク84」は「ヒートシンク」に、「設ける」は「提供する」に、「工程」は「ステップ」に、「熱電ユニット80」は「熱電性モジュール」に、「接して配置する」は「取り付ける」に、「ウィッキング材料86」は「湿潤素材」に、「水」は「冷却液」に、「有する」は「保存する」に、「パック」は「供給タンク」にそれぞれ相当する。 (2)引用発明の「システムを衣料品に組み込む方法」は、ヒートシンク84等の使用者の身体を冷却するためのシステムを衣料品に組み込む方法であることから、本願発明の「装置を製造する方法」に相当する。 (3)引用発明の「ウィッキング材料86とパックは動作可能に接続される」は、パックに備えられた水がウィッキング材料86に供給される態様を表していることから、パックとウィッキング材料86間に水を供給する部品により接続されていることは明らかであるところ、本願発明の「湿潤素材と供給タンクとの間に供給ラインを接続する」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 【一致点】 「ユーザーの身体の一部を加温又は冷却するための装置を製造する方法であって、前記方法は、 ヒートシンクを提供するステップと、 前記ヒートシンクを熱電性モジュールに取り付けるステップと、 前記ヒートシンク上に湿潤素材を配置するステップと、 前記ヒートシンクに前記湿潤素材を固定するステップと、 冷却液を保存する供給タンクを提供するステップと、 前記湿潤素材と前記供給タンクとの間に供給ラインを接続するステップと、を有する、 方法。」 【相違点1】 本願発明は「エッチング剤を用いて前記ヒートシンクの表面をエッチングして、その有効表面積を増加させるステップ」を有するのに対して、引用発明では、そのようなステップを有していない点。 【相違点2】 本願発明は「拘束層を備える前記ヒートシンクに前記湿潤素材を固定する」のに対して、引用発明では、ヒートシンクに拘束層を備えているかは明らかでない点。 【相違点3】 本願発明の供給ラインは、供給タンクから湿潤素材まで冷却液を輸送するウィッキング素材を備えるのに対して、引用発明ではウィッキング素材を備えているかは明らかでない点。 第6 判断 上記相違点について、判断する。 (1)相違点1について ヒートシンクにエッチング処理を行うことは、例えば平成30年11月29日付け拒絶理由通知において示した特開2008-172172号公報(段落【0037】、【0038】。以下「引用文献3」という。)及び特開2008-130412号公報(段落【0007】。以下「引用文献4」という。)にも記載されているように、本願優先日前に周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。 そして引用発明と周知技術1とは、ヒートシンクを用いて物体を冷却する点で課題を同じくするものであり、引用発明においてもそのシステムの機能上、熱の伝達面積を大きくして性能を高めようとする課題は当然に内在するものであるから、引用発明に周知技術1を適用し、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。 (2)相違点2について ヒートシンクに拘束層が設けられるとともに、当該拘束層に湿潤素材が固定される点は、例えば実願昭61-174704号(実開昭63-81811号)のマイクロフィルム(明細書第7ページ第20行~第8ページ第19行、図3に記載された放熱板34、ポケット19及びシート20に関する構成を参照。)に記載されているように本願優先日前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。 そして引用発明と周知技術2は、いずれも着用者を冷却する衣類に用いられる放熱部材や当該放熱部材を冷却する部材に関するものであることから、引用発明に周知技術2を適用し、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。 (3)相違点3について 引用文献2には上記第5 2(2)の引用文献2技術が記載されている。 ここで、引用発明は「ウィッキング材料86とパックは動作可能に接続される」ことから、引用発明はウィッキング材料86とパックとが接続される部分を有しているということができ、この部分と引用文献2技術の「接続管104」は、いずれも水を冷却対象となる部材へ供給するという、同様の機能を奏するものであるから、引用発明におけるウィッキング材料86とパックとが接続される部分に、引用文献2技術に記載された「給水芯103」(本願補正発明の「ウィッキング材料86」に相当する。)を設け、本願発明の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。 そして、本願発明の上記相違点1~3に係る効果は、引用発明、引用文献2技術、周知技術1及び周知技術2から、当業者が予測できる範囲内のものである。 請求人は令和元年7月2日提出の意見書において、引用文献3及び4は、そもそも本発明とは全く異なる技術分野の文献であり、当業者がこれらの文献にアクセスする動機がないため、これらの文献を引用文献1及び2に組み合わせる動機は当業者には存在しない、旨主張する。 しかし上述のとおり、引用発明と、引用文献3及び4に例示される上記周知技術1とは、ヒートシンクを用いて物体を冷却する点で課題を同じくするものであることから、引用発明に周知の技術を組み合わせる動機付けはあるといえるため、請求人の上記主張は当を得たものとはいえず、採用することはできない。 (4)小括 してみると、本願発明は、引用発明、引用文献2技術、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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