特許拒絶査定不服審判
2017-014539
粒子検出器を用いた粒子検出方法および粒子検出システム
- 審判番号
- 2017-014539
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-225974外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年10月02日
- 審決日
- 2018年08月17日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ギャレット・サーマル・システムズ・リミテッド
- 【請求人代理人】山田 卓二
- 【請求人代理人】中野 晴夫
- 分類
- P18 .121-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-225974「粒子検出器を用いた粒子検出方法および粒子検出システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開、特開2015- 72278〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)6月10日(パリ条約による優先権主張 2008年6月10日 オーストラリア、2008年6月26日 オーストラリア、2008年6月26日 オーストラリア、2008年6月26日 オーストラリア、2009年5月1日 オーストラリア)を国際出願日として出願した特願2011-512783号の一部を、平成26年11月6日に新たに外国語書面出願したものであって、平成27年9月29日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月31日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月5日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年5月23日付けで拒絶査定されたところ、同年10月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成29年10月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年10月2日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項5の記載は、補正前の請求項6から、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「監視対象領域を照射するように構成された複数の光源であって、各光源は、第1および第2の波長を含む光を監視対象領域に放射するように構成され、少なくとも2つの波長は、対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長と、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長とを含む、複数の光源と、
カメラを含み、該カメラは、像形成光学系および複数の画素を含むセンサを有する受信機であって、視野を有し、複数の光源の各々からの光を監視対象領域を横切った後で、異なる画素または画素群で受信するように構成され、受信機の視野内の複数の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された受信機と、を備え、
各光源および受信機はともに、個々の仮想のビーム検出器を定義するものであり、
受信機は、視野内の同じ領域において各光源から第1および第2の波長を含む光を受信し、
各光源からの光ビームは、光センサに入射し、監視対象領域を横切って進み、受信機を照射することにより、監視対象領域に進入した粒子が、光センサの受信する光量を減少させ、
受信機と接続され、各光源に対応する受信機の視野内の領域において、受信機によって生成された信号を処理し、仮想のビーム検出器の各々によって検出される粒子レベルを表わす出力を生成するように構成されたプロセッサと、を備え、
各仮想のビーム検出器について、プロセッサは、少なくとも第1および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、第1および第2の波長での受信光の相対強度の変化に基づいて、対象の粒子が仮想のビーム検出器によって検出されたか否かを表わす出力を提供する、粒子検出システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年1月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6の記載は、次のとおりである。
「監視対象領域を照射するように構成された複数の光源であって、各光源は、第1および第2の波長を含む光を監視対象領域に放射するように構成される、複数の光源と、
カメラを含み、該カメラは、複数の画素を含むセンサを有する受信機であって、視野を有し、複数の光源の各々からの光を監視対象領域を横切った後で、異なる画素または画素群で受信するように構成され、受信機の視野内の複数の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された受信機と、を備え、
各光源および受信機はともに、個々の仮想のビーム検出器を定義するものであり、
受信機は、視野内の同じ領域において各光源から第1および第2の波長を含む光を受信し、
各光源からの光ビームは、光センサに入射し、監視対象領域を横切って進み、受信機を照射することにより、監視対象領域に進入した粒子が、光センサの受信する光量を減少させ、
受信機と接続され、各光源に対応する受信機の視野内の領域において、受信機によって生成された信号を処理し、仮想のビーム検出器の各々によって検出される粒子レベルを表わす出力を生成するように構成されたプロセッサと、を備え、
各仮想のビーム検出器について、プロセッサは、少なくとも第1および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、第1および第2の波長での受信光の相対強度の変化に基づいて、対象の粒子が仮想のビーム検出器によって検出されたか否かを表わす出力を提供する、粒子検出システム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項6に記載した発明を特定するために必要な事項である「各光源」及び「受信機」について、それぞれ、「少なくとも2つの波長は、対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長と、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長とを含む」こと、及び「像形成光学系」を有することの限定を加えるものであって、補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項5に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項5に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-179266号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。以下同じ。)
(引1-ア)
「【0038】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、発光ユニットと受光ユニットとを相互に分離して対向配置した分離型の煙感知器に関する形態である。
【0039】
(煙感知器の構成)
まず、実施の形態1に係る煙感知器の構成を説明する。図1は本実施の形態1に係る煙感知器の構成を概念的に示す図である。この図1に示すように、煙感知器1は、発光ユニット10と撮像ユニット20とを備えて構成されている。これら発光ユニット10と撮像ユニット20とは、数十m~数百m程度の距離を隔てて、監視範囲を挟んで相互に対向するように配置される。
【0040】
発光ユニット10は、検出光を発光するものであり、特許請求の範囲における発光手段に対応する。この発光ユニット10は、筐体11の内部に光源12を収容して構成されており、光源12を連続的に点灯又は間欠的に点滅させることによって、検出光を監視範囲に向けて投光する。なお、図示においては光源12を電球として示しているが、撮像ユニット20の後述する撮像手段によって撮影可能な限りにおいて任意の種類の光源を採用可能であり、例えば、撮像ユニット20の後述する撮像手段が赤外線カメラとして構成されている場合には、光源12を赤外光源としてもよい。また、光源12に、その他のレンズ、反射鏡、あるいは、すりガラス等の拡散板を組み合わせて、発光面のサイズを大きくする構成としてもよい。あるいは、光源12の光を、撮像ユニット20に適切に入射させるためには、レンズや凸面反射鏡にて絞ったり、光源12をビーム状光としてもよい。
【0041】
ここで、発光ユニット10における撮像ユニット20との対向面には、遮光板13が設けられている。この遮光板13は、発光ユニット10にて発光された検出光を所定形状に遮蔽するもので、特許請求の範囲における遮蔽手段に対応する。この遮光板13は、所定形状(図示では星形状)の投光窓14を備えており、発光ユニット10から投光された光のうち、この投光窓14を通過した光のみが、監視範囲に向けて検出光として投光される(すなわち、投光窓14の開口面は、検出光が投光される発光面として機能する)。この投光窓14は、従来のスポット式の煙感知器の光軸よりも遥かに広い開口部として形成されており、従って、この投光窓14を通過して投光される検出光は、従来のスポット式の煙感知器の検出光よりも比較的広い領域に向けて投光される。また、投光窓14は単なる開口部とせず、すりガラス等の拡散板を設け、発光ユニット10の光を拡散させることで当該発光ユニット10の光ムラをなくす構成としてもよい。なお、投光窓14の形状は任意であり、例えば、1つの遮蔽板13に同一形状の投光窓14を複数設け、これら複数の投光窓14のそれぞれを介して投光された検出光を1つの撮像ユニット20にて受光するようにしてもよい。
【0042】
一方、撮像ユニット20は、図示のように、2次元センサ21、画像メモリ22、画像処理部23、及び、判定部24を筐体25の内部に収容して構成されている。このうち、2次元センサ21は、監視範囲を撮像するもので、特許請求の範囲における撮像手段に対応する。この2次元センサ21は、具体的には、CCD(Charge Coupled Devices)素子を2次元的に配列したエリアセンサとして構成されている。ただし、撮像手段としては2次元画像を実質的に撮像可能なものであればよく、例えば、検出光を1次元センサ(ラインセンサ、リニアセンサ)にて走査して撮像してもよい。
【0043】
画像メモリ22は、2次元センサ21にて撮像された画像を記憶する画像記憶手段であり、例えば、画像を揮発的に記憶するフレームメモリ(フレームバッファ)として構成される。
【0044】
画像処理部23は、2次元センサ21にて撮像され画像メモリ22にて記憶された画像を処理する画像処理手段である。この画像処理部23は、例えば、画像処理IC(Integrated Circuit)と、この画像処理IC上にて動作する画像処理プログラムとから構成されている。この画像処理部23による処理内容の詳細については後述するが、画像処理部23は、機能概念的に、前処理部23a、探索処理部23b、及び、輝度算定部23cを備えて構成されている。前処理部23aは、画像に対するノイズ除去等の前処理を行なう前処理手段である。探索処理部23bは、画像の中から、検出光の発光面を探索するもので、特許請求の範囲における発光面探索手段に対応する。輝度算定部23cは、探索された発光面の輝度を判定するもので、特許請求の範囲における輝度算定手段に対応する。
【0045】
判定部24は、画像処理部23にて算定された発光面の輝度を、所定の閾値と比較することにより、監視範囲における煙の発生の有無を判定するもので、特許請求の範囲における判定手段に対応する。この判定部24は、例えば、ICと、このIC上にて動作する判定処理プログラムとから構成されている。この判定処理プログラムには、パラメータとして各種の閾値が設定されており、例えば、画像処理部23にて算定された発光面の輝度が所定閾値より低下した場合には、煙が発生(火災が発生)したものと判定し、火災発生の旨を示す火報信号を出力する。また、判定部24は、画像処理部23から後述する探索不能信号を受けた場合にも、煙が発生(火災が発生)したものと判定して火報信号を出力する。」
(引1-イ)
「【0057】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態1によれば、煙自体を撮影するのではなく、発光面を撮影しているので、煙が拡散されて薄く広がった場合であっても、この煙の濃度の影響を直接的に受けることがないので、煙を確実に検出することができる。また、煙自体の多階調画素信号の低下を監視するのではなく、あくまで発光面の輝度を監視しているので、煙の色と背景の色との関係に影響されることなく、安定的で確実な煙検出を行うことができる。あるいは、発光面の形状に基づいて煙の有無を判定できるので、発光面の輝度を算定することなく煙判定を行なうことができ、判定処理を一層簡易で高速に行なうことができる。また、発光面を自動的に探索するので、経年変化による柱や壁の歪等によって二次元センサと発光面との相対位置が変化した場合であっても、この発光面の位置を自動的に特定してその輝度変化を算定でき、長期間に渡って安定的で確実な煙検出を行うことができる。また、上記具体的に示した発光面探索と輝度算定とを組み合わせることで、正確な煙検出を行うことができる。さらに、発光面を探索した後、当該探索した発光面自体の輝度に基づいて煙判定を行なっているので、光源としては発光面を形成するものを最低1つ設けておけばよく、発光面探索後の煙判定のためにさらに他の光源を用いるような必要がない。また、遮蔽板を発光ユニットに設けているので、撮像ユニットの光学系については従来の分離型煙感知器と同じものを利用できるので、煙感知器の構造が容易である。」
(引1-ウ)
「【0075】
〔実施の形態6〕
次に、本発明に係る実施の形態6の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態6は、実施の形態1の煙感知器を複数組並設して構成された煙感知システムに関する形態である。ただし、特に説明なき構成は実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0076】
図13は、実施の形態6に係る煙感知システムの構成を概念的に示す図である。この図13に示すように、煙感知システム6は、1つの監視範囲に対して2つの煙感知器6A、6Bを並設して構成されている。各煙感知器6A、6Bは、発光ユニット10と撮像ユニット20とを備えて構成されている。ここで、煙感知器6Aの発光ユニット10の投光窓14Aと、煙感知器6Bの発光ユニット10の投光窓14Bとは、相互に異なる所定形状とされている。そして、煙感知器6Aの探索処理部23bは、投光窓14Aに合致する形状の領域のみを発光面として探索し、煙感知器6Bの探索処理部23bは、投光窓14Bに合致する形状の領域のみを発光面として探索する。
【0077】
(実施の形態6の効果)
このように本実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、煙感知器6Aの検出光が柱や壁等の構造物によって反射等されて他の煙感知器6Bの2次元センサ21に入射して撮像された場合においても、発光面の形状の違いに基づいて自己の発光面を特定できるので、外乱光の影響を自動的に排除でき、煙検出の確実性を維持することができる。」
(引1-エ)
「【0078】
〔実施の形態7〕
次に、本発明に係る実施の形態7の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態7は、実施の形態1の煙感知器のうち発光ユニットを複数組並設して構成された煙感知システムに関する形態である。ただし、特に説明なき構成は実施の形態6と同様であるものとし、実施の形態6と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態6で使用したものと同一の符号を付する。
【0079】
図14は、実施の形態7に係る煙感知システムの構成を概念的に示す図である。この図14に示すように、煙感知システム7は、1つの撮像ユニット20の2次元センサ21の視野内に発光ユニット10Aと10Bを備えて構成されている。ここで、発光ユニット10Aの投光窓14Aと、発光ユニット10Bの投光窓14Bとは、相互に異なる所定形状とされている。そして、撮像ユニット20の探索処理部23bは、投光窓14Aに合致する形状と投光窓14Bに合致する形状を交互に発光面として探索する。
【0080】
(実施の形態7の効果)
このように本実施の形態7によれば、実施の形態6と同様の効果に加えて、監視範囲内の火災判定領域を2つ持つことができる。また、1台の撮像ユニット20で、より広範囲の監視領域を持つことができる。あるいは、2つの発光ユニット10A、10Bの煙検出結果をあわせて判断することで煙検出の確実性を向上することができる。」
(引1-オ)図1には、以下の図面が示されている。
(引1-カ)図13には、以下の図面が示されている。
(引1-キ)図14には、以下の図面が示されている。
(イ)引用文献1に記載の発明
(引1-キ)の図14には、2次元センサ21は視野を有し、2次元センサ21の視野内に2つの監視範囲A及びBがあることが記載されていることを含め、上記(ア)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「煙感知器1は、発光ユニット10と撮像ユニット20とを備えて構成されており、これら発光ユニット10と撮像ユニット20とは、数十m~数百m程度の距離を隔てて、監視範囲を挟んで相互に対向するように配置され、
発光ユニット10は、検出光を発光するものであり、この発光ユニット10は、筐体11の内部に光源12を収容して構成されており、光源12を連続的に点灯又は間欠的に点滅させることによって、検出光を監視範囲に向けて投光し、撮像ユニット20の撮像手段が赤外線カメラとして構成されている場合には、光源12を赤外光源とし、光源12の光を、撮像ユニット20に適切に入射させるためには、光源12をビーム状光とし、
ここで、発光ユニット10における撮像ユニット20との対向面には、遮光板13が設けられており、この遮光板13は、所定形状の投光窓14を備えており、発光ユニット10から投光された光のうち、この投光窓14を通過した光のみが、監視範囲に向けて検出光として投光され、すなわち、投光窓14の開口面は、検出光が投光される発光面として機能し、
一方、撮像ユニット20は、2次元センサ21、画像メモリ22、画像処理部23、及び、判定部24を筐体25の内部に収容して構成され、このうち、2次元センサ21は、監視範囲を撮像するもので、この2次元センサ21は、CCD素子を2次元的に配列したエリアセンサとして構成されており、2次元画像を撮像可能なものであり、
画像メモリ22は、2次元センサ21にて撮像された画像を記憶する画像記憶手段であり、
画像処理部23は、2次元センサ21にて撮像され画像メモリ22にて記憶された画像を処理する画像処理手段であり、この画像処理部23は、画像処理ICと、この画像処理IC上にて動作する画像処理プログラムとから構成されており、画像処理部23は、探索処理部23b、及び、輝度算定部23cを備えて構成されており、探索処理部23bは、画像の中から、検出光の発光面を探索するものであり、輝度算定部23cは、探索された発光面の輝度を判定するものであり、
判定部24は、画像処理部23にて算定された発光面の輝度を、所定の閾値と比較することにより、監視範囲における煙の発生の有無を判定するものであり、この判定部24は、ICと、このIC上にて動作する判定処理プログラムとから構成されており、この判定処理プログラムには、パラメータとして各種の閾値が設定されており、画像処理部23にて算定された発光面の輝度が所定閾値より低下した場合には、煙が発生(火災が発生)したものと判定し、火災発生の旨を示す火報信号を出力する、煙感知器1であり、
当該煙感知器1のうち発光ユニット10を複数組並設して構成された煙感知システム7であって、
1つの撮像ユニット20の2次元センサ21の視野内に発光ユニット10Aと10Bを備え、ここで、発光ユニット10Aの投光窓14Aと、発光ユニット10Bの投光窓14Bとは、相互に異なる所定形状とされており、そして、撮像ユニット20の探索処理部23bは、投光窓14Aに合致する形状と投光窓14Bに合致する形状を交互に発光面として探索し、
2次元センサ21は視野を有し、2次元センサ21の視野内に2つの監視範囲A及びBがある、
煙感知システム7。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭51-127786号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(引2-ア)
「本発明は煙の中を透過する光の煙による減衰を測定して煙の存在を感知する煙感知器に関する。
従来から煙の存在を、煙を透過する光が煙の存在のために受ける減衰の大きさを測つて感知する煙感知器が存在した。
この種の感知器の最も大きな欠点は、標準となる光源の明るさが時の経過と共にほこりや光源自身の老化のために弱くなつたり、光の強さを測定する受光素子が経年変化や温度変化によつて感度を変化させたりする為に、煙が存在しないにも拘らず恰も煙が存在するかのようになる点であり、これをどうするかという所に問題がある。
この為に一つの光源に対して二つの受光素子を距離をかえて設置したり、二つの光源と二つの受光素子を用いたり、波長の異なる二つの光を光源に用いたりする方法が提案されていた。
本発明は波長の異なる二つの光を光源に用いる方法による煙感知器の改良に関するものである。
煙の中を光が通過する時、光の波長によつて減衰する量が異なることが知られている。この減衰は煙の粒子による吸収と散乱によつて起る。
この散乱は回折散乱とレイレイ散乱(当審注:レイリイ散乱の誤記と認める。)によつて起るがこれらは何れも波長依存性がある。
従つて波長の異なる二つの光を一つの受光素子に入れてやると、煙のないときは二つの波長の光は両方共減衰せずに入るが、煙がある時は異なつた減衰を受けて入射光量に差を生ずる。この差は煙の濃度によつて定まるからこの差を検出することによつて煙の濃度を知ることが出来る。
従来この方式を採用する時、二つの波長の光を作るのに二つの光学フイルタを装着した回転円板を用いて作つていた。
しかしこの方法は機械的回転部を有するので保守上と価格上不利であった。
本発明はこの不利をなくするための方法を提供することを目的とする。」(第1頁左下欄第19行~第2頁左上欄第14行)
(引2-イ)
「第1図は本発明の実施例を示す回路図で1は電源、2は切換スイッチ、3と4は夫々波長の異なる光を放射する光源、5は煙を導入する煙道、6は受光素子、7は切換スイツチ、8と9はサンプルホールド回路、10は割算回路、11は出力回路である。光源3と4は例えば発光ダイオードのような特定の波長の光を放射する光源である。発光ダイオードの場合赤外線を放射するもの、赤色を放射するもの、緑色を放射するもの等が知られている。
本発明では例えば緑色を放射するダイオードと赤外線を放射するダイオードを夫々3と4の光源として用いる。
これらの発光ダイオードは周知のように小型であるのでこれらを光源3と4として密着させて設置し共に受光素子6を指向させると、これらの光の通路は煙道内の殆んど同じ所を通過する。
煙道5に煙が入ると光源3及び4の光は煙によって夫々の波長に特有の減衰を受ける。
今切換スイッチ2と切換スイツチ7を同期させて切換えてやると、サンプルホールド回路8と9には夫々光源3が煙道5を通過したときの光量と光源4が煙道5を通過したときの光量が記憶される。
今煙のないときのサンプルホールド回路8と9の記憶量が共にI0になるように予め調整しておいたとする。
しかる時は煙の存在するときのサンプルホールド回路の記憶量Iはランバート.ベアの法則に従って次式で表わされる。
I=I0.exp(-μc)...(1)
(1)式においてcは煙の濃度、μは吸収係数で光源の波長や煙の性質によって定まる量である。
今光源3の波長によるμをμ3、光源4によるそれをμ4とし、サンプルホールド回路8、9の出力を割算回路10に導くと、割算回路10の出力aは次式で示される。
a=exp{-(μ3-μ4)c}...(2)
(2)式で明らかなように光源の強さや受光素子の感度等で定まる量I0は消去されている。
(2)式でμ3、μ4は夫々定数とみなしてよいから出力aは濃度cのみによって定まる変数となる。換言すれば出力aは濃度cを表わす量となる。
(2)式にみられるように濃度cの小さい所では出力aは濃度cに略比例して減少する。
発光ダイオード3と4を略同じ場所においておくとその汚れ方は略同じであるし、又その温度特性も同じ発光ダイオードという点で似たようなものである。
故に本発明によるときは感知器製造の初期において煙のないときのサンプルホールド回路8と9の出力が等しくなるように調整しておけば、その後の温度変動や汚れに対して補正の必要のない感知器が得られる。」(第2頁左上欄第16行~右下欄第9行)
(引2-ウ)第1図には、以下の図面が示されている。
(イ)引用文献2に記載の技術的事項
上記(ア)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「波長の異なる二つの光を光源に用いる方法による煙感知器であって、
緑色を放射するダイオードと赤外線を放射するダイオードを夫々3と4の光源として用い、
これらを光源3と4として密着させて設置し共に受光素子6を指向させると、これらの光の通路は煙道内の殆んど同じ所を通過し、
煙道5に煙が入ると光源3及び4の光は煙によって夫々の波長に特有の減衰を受け、
切換スイッチ2と切換スイツチ7を同期させて切換えてやると、サンプルホールド回路8と9には夫々光源3が煙道5を通過したときの光量と光源4が煙道5を通過したときの光量が記憶され、
サンプルホールド回路8、9の出力を割算回路10に導くと、割算回路10の出力aは次式で示され、
a=exp{-(μ3-μ4)c}
光源3の波長によるμ(吸収係数で光源の波長や煙の性質によつて定まる量)をμ3、光源4によるそれをμ4とし、μ3、μ4は夫々定数とみなしてよいから出力aは濃度cを表わす量となり、
煙の中を光が通過する時、光の波長によつて減衰する量が異なることが知られているため、従つて波長の異なる二つの光を一つの受光素子に入れてやると、煙のないときは二つの波長の光は両方共減衰せずに入るが、煙がある時は異なった減衰を受けて入射光量に差を生じ、この差は煙の濃度によつて定まるからこの差を検出することによって煙の濃度を知ることが出来る、
煙感知器。」
(3)対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「監視範囲(「監視範囲A及びB」)」、「発光ユニット10Aと10B」、「検出光」及び「煙」は、それぞれ、本件補正発明の「監視対象領域」、「複数の光源」、「光」及び「対象の粒子」に相当する。
また、引用発明は、「発光ユニット10Aと10B」からの各「検出光の」「発光面の輝度が所定閾値より低下した場合には、煙が発生(火災が発生)したものと判定」するから、引用発明の各「検出光」が、本件補正発明の「少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長」を含んでいることは明らかである。
よって、引用発明の各「検出光を監視範囲に向けて投光」する「発光ユニット10Aと10B」は、本件補正発明の「監視対象領域を照射するように構成された複数の光源であって、各光源は、第1および第2の波長を含む光を監視対象領域に放射するように構成され、少なくとも2つの波長は、対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長と、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長とを含む、複数の光源」のうち、「監視対象領域を照射するように構成された複数の光源であって、各光源は、第2の波長を含む光を監視対象領域に放射するように構成され、少なくとも波長は、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長を含む、複数の光源」に相当する構成を備えるものといえる。
(イ)
a 引用発明の「撮像手段」は、「発光ユニット10Aと10B」からの各「検出光」を検出(受信)するものであるから、本件補正発明の「受信機」に相当する。また、引用発明の「CCD素子」は、本件補正発明の「画素」に相当するところ、引用発明の「CCD素子を2次元的に配列したエリアセンサとして構成されて」いる「2次元センサ21」は、本件補正発明の「複数の画素を含むセンサ」に相当する。そして、引用発明の「撮像ユニット20の撮像手段」である「赤外線カメラ」は、「2次元センサ21」を含み、さらに、赤外線カメラである以上、像形成のための光学系を備えることは自明であることから、引用発明の「赤外線カメラとして構成されている」「撮像手段」は、本件補正発明の「像形成光学系および複数の画素を含むセンサを有する受信機であ」る「カメラ」に相当する。
b 引用発明の「2次元センサ21」と像形成のための光学系が「有」する「視野」は、本件補正発明の「受信機」が「有」する「視野」に相当する。
c 引用発明の「発光ユニット10Aと10B」と「2次元センサ21」は、「監視範囲を挟んで相互に対向するように配置され」ていることから、「発光ユニット10Aと10B」からの各「検出光」が、「監視範囲」を通過した後、検出(受信)するものである。よって、引用発明の「2次元センサ21」と像形成のための光学系を含む「撮像手段」は、本件補正発明の「複数の光源の各々からの光を監視対象領域を横切った後で」、「受信する」「受信機」に相当する構成を備えるものである。
d 引用発明の「2次元センサ21」と像形成のための光学系は、「2つの監視範囲A及びB」を含む「2次元センサ21の視野内」を「2次元画像」として「撮像」するものであるから、「2次元センサ21」が検出する各「検出光の発光面」を、「2次元センサ21」上の異なる領域に結像することは明らかである。してみれば、引用発明の「撮像手段」は、本件補正発明の「異なる画素または画素群で受信するように構成され」る「受信機」に相当する構成を備えるものである。
e 引用発明の「2次元センサ21」は、「2つの監視範囲A及びB」を含む「2次元センサ21の視野内」を「2次元画像」として「撮像」するものであるから、「2次元センサ21の視野内」の「2つの監視範囲A及びB」において検出(受信)された「検出光」の強度信号を生成していることは明らかである。してみれば、引用発明の「撮像手段」は、本件補正発明の「受信機の視野内の複数の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された」に相当する構成を備えるものである。
f 以上のことから、引用発明の「撮像手段」は、本件補正発明の「カメラを含み、該カメラは、像形成光学系および複数の画素を含むセンサを有する受信機であって、視野を有し、複数の光源の各々からの光を監視対象領域を横切った後で、異なる画素または画素群で受信するように構成され、受信機の視野内の複数の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された受信機」に相当する構成を備えるものといえる。
(ウ)引用発明の「発光ユニット10A」と、「2次元センサ21」が「発光ユニット10A」からの「検出光の発光面」を検出する領域は、機能上、仮想のビーム検出器とみなすことができ、また、「発光ユニット」「10B」と、「2次元センサ21」が「発光ユニット」「10B」からの「検出光の発光面」を検出する領域も、機能上、仮想のビーム検出器とみなすことができる。してみれば、引用発明の各「発光ユニット10Aと10B」及び「2次元センサ21」はともに、本件補正発明の「各光源および受信機はともに、個々の仮想のビーム検出器を定義するもの」に相当するものといえる。
(エ)引用発明の「2次元センサ21」は、「2次元センサ21の視野内」の「2つの監視範囲A及びB」において「発光ユニット10Aと10B」からの各「検出光」を検出(受信)するものであるから、引用発明の「撮像手段」は、本件補正発明の「受信機は、視野内の同じ領域において各光源から第1および第2の波長を含む光を受信し」のうち、「受信機は、視野内の領域において各光源から第2の波長を含む光を受信し」に相当する構成を備えるものである。
(オ)上記(ア)で対比したとおり、引用発明の「検出光」は、本件補正発明の「光」に相当し、また、上記(イ)aで対比したとおり、引用発明の「撮像手段」は、本件補正発明の「受信機」に相当し、さらに、引用発明の「検出光」及び「2次元センサ21」は、それぞれ、本件補正発明の「光ビーム」及び「光センサ」に相当するところ、引用発明は、「発光ユニット10Aと10B」からの各「検出光」を、「監視範囲A及びB」を通過させて、「2次元センサ21」で検出し、各「検出光の」「発光面の輝度が所定閾値より低下した場合には、煙が発生(火災が発生)したものと判定」することから、引用発明は、本件補正発明の「各光源からの光ビームは、光センサに入射し、監視対象領域を横切って進み、受信機を照射することにより、監視対象領域に進入した粒子が、光センサの受信する光量を減少させ」に相当する構成を備えるものである。
(カ)
a 引用発明の「画像処理部23は、画像処理ICと、この画像処理IC上にて動作する画像処理プログラムとから構成され」、「判定部24は、ICと、このIC上にて動作する判定処理プログラムとから構成されて」いることから、引用発明の「画像処理部23」と「判定部24」は、本件補正発明の「プロセッサ」に相当する。
b 引用発明の「画像処理部23」は、「2次元センサ21にて撮像された画像」「の中から、検出光の発光面を探索」し、「探索された発光面の輝度を判定するものであり」、「判定部24」は、「画像処理部23にて算定された発光面の輝度を、所定の閾値と比較することにより、監視範囲における煙の発生の有無を判定するものであ」るから、引用発明の「画像処理部23」と「判定部24」は、「2次元センサ21」と接続されていることは明らかである。よって、引用発明の「画像処理部23」と「判定部24」は、本件補正発明の「受信機と接続され」た「プロセッサ」に相当する構成を備えるものである。
c 上記bのとおり、引用発明の「画像処理部23」は、「2次元センサ21にて撮像された画像」「の中から、検出光の発光面を探索」し、「探索された発光面の輝度を判定するものであり」、その後、「画像処理部23にて算定された発光面の輝度を、所定の閾値と比較することにより、監視範囲における煙の発生の有無を判定するものであ」るから、ここでの「発光面の輝度」は、本件補正発明の「粒子レベルを表わす出力」に相当する。
d 以上のことから、上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、引用発明の「画像処理部23」と「判定部24」は、本件補正発明の「受信機と接続され、各光源に対応する受信機の視野内の領域において、受信機によって生成された信号を処理し、仮想のビーム検出器の各々によって検出される粒子レベルを表わす出力を生成するように構成されたプロセッサ」に相当する構成を備えるものである。
(キ)引用発明の「判定部24」は、「画像処理部23にて算定された発光面の輝度が所定閾値より低下した場合には、煙が発生(火災が発生)したものと判定し、火災発生の旨を示す火報信号を出力する」ものである。したがって、上記(ア)~(ウ)及び(カ)を踏まえると、引用発明の「判定部24」は、本件補正発明の「各仮想のビーム検出器について、プロセッサは、少なくとも第1および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、第1および第2の波長での受信光の相対強度の変化に基づいて、対象の粒子が仮想のビーム検出器によって検出されたか否かを表わす出力を提供する」ことのうち、「各仮想のビーム検出器について、プロセッサは、少なくとも第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、第2の波長での受信光の強度の変化に基づいて、対象の粒子が仮想のビーム検出器によって検出されたか否かを表わす出力を提供する」ことに相当する構成を備えるものである。
(ク)引用発明の「煙感知システム7」は、本件補正発明の「粒子検出システム」に相当する。
イ 一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。
(一致点)
「監視対象領域を照射するように構成された複数の光源であって、各光源は、第2の波長を含む光を監視対象領域に放射するように構成され、少なくとも波長は、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長を含む、複数の光源と、
カメラを含み、該カメラは、像形成光学系および複数の画素を含むセンサを有する受信機であって、視野を有し、複数の光源の各々からの光を監視対象領域を横切った後で、異なる画素または画素群で受信するように構成され、受信機の視野内の複数の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された受信機と、を備え、
各光源および受信機はともに、個々の仮想のビーム検出器を定義するものであり、
受信機は、視野内の領域において各光源から第2の波長を含む光を受信し、
各光源からの光ビームは、光センサに入射し、監視対象領域を横切って進み、受信機を照射することにより、監視対象領域に進入した粒子が、光センサの受信する光量を減少させ、
受信機と接続され、各光源に対応する受信機の視野内の領域において、受信機によって生成された信号を処理し、仮想のビーム検出器の各々によって検出される粒子レベルを表わす出力を生成するように構成されたプロセッサと、を備え、
各仮想のビーム検出器について、プロセッサは、少なくとも第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、第2の波長での受信光の強度の変化に基づいて、対象の粒子が仮想のビーム検出器によって検出されたか否かを表わす出力を提供する、粒子検出システム。」
(相違点)
本件補正発明では、監視対象領域に放射する光は、「第1および第2の波長を含む光」であり、「少なくとも2つの波長」は、「対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長」を含み、受信する各光源からの光は、視野内の「同じ」領域において「第1および第2の波長を含む光」でり、「第1」および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、「第1」および第2の波長での受信光の「相対」強度の変化に基づいて、対象の粒子が検出されたか否かを表す出力を提供するのに対し、引用発明では、本件補正発明のように「第1の波長」に関連する特定がなされていない点。
ウ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)引用文献2には、上記(2)イ(イ)のとおりの技術的事項が記載されており、すなわち、引用文献2に記載の技術的事項には、「煙の中を光が通過する時」の「減衰する量が異なる」「波長の異なる二つの光」を「煙道内の殆んど同じ所を通過」させて「一つの受光素子に入れ」、「二つの波長の」「入射光量」「の差を検出することによって煙の濃度を知る」ことが記載されている。
そこで、引用文献2に記載の技術的事項と本件補正発明とを対比すると、引用文献2に記載の技術的事項の「波長の異なる二つの光」、「煙」、「煙道内の殆んど同じ所」、及び「『二つの波長の』『入射光量』『の差』」は、それぞれ、本件補正発明の「第1および第2の波長を含む光」、「対象の粒子」、「視野内の同じ領域」、及び「第1および第2の波長での受信光の相対強度の変化」に相当する。そして、引用文献2に記載の技術的事項の「二つの波長」は、「煙の中を光が通過する時」の「減衰する量が異なる」ことから、本件補正発明の「対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長と、少なくとも該粒子によって影響される少なくとも第2の波長」に相当する。また、引用文献2に記載の技術的事項の「煙の濃度を知る」ことは、煙の存在を知ることを含むことから、本件補正発明の「対象の粒子が検出されたか否かを表す出力を提供する」ことを含む。
してみると、引用文献2に記載の技術的事項には、上記相違点に係る本件補正発明の構成である、監視対象領域に放射する光は、「第1および第2の波長を含む光」であり、「少なくとも2つの波長」は、「対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長」を含み、受信する各光源からの光は、視野内の「同じ」領域において「第1および第2の波長を含む光」であり、「第1」および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、「第1」および第2の波長での受信光の「相対」強度の変化に基づいて、対象の粒子が検出されたか否かを表す出力を提供する、という構成が記載されていると認められる。
(イ)また、引用文献2では、「従来から煙の存在を、煙を透過する光が煙の存在のために受ける減衰の大きさを測つて感知する煙感知器が存在した。
この種の感知器の最も大きな欠点は、標準となる光源の明るさが時の経過と共にほこりや光源自身の老化のために弱くなつたり、光の強さを測定する受光素子が経年変化や温度変化によつて感度を変化させたりする為に、煙が存在しないにも拘らず恰も煙が存在するかのようになる点であり、これをどうするかという所に問題がある」(引2-ア)ために、「波長の異なる二つの光を光源に用いる方法による煙感知器」である引用文献2に記載の技術的事項を採用している。
そして、引用発明は、「波長の異なる二つの光を光源に用いる方法による煙感知器」でないことから、引用発明においても、引用文献2に記載の背景技術と同様の「欠点」が内在していることが明らかであるので、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項を適用する動機付けは存在する。
(ウ)してみると、引用発明において、上記「欠点」を解決するために、上記引用文献2に記載の技術的事項を適用し、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ)そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(オ)したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年10月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年1月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項6に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の要旨は次のとおりである。
本願の請求項1~11に係る発明は、引用文献1(特開2007-179266号公報)に記載の発明及び引用文献2(特開昭51-127786号公報)に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から「各光源」及び「受信機」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明は、上記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-014539