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特許拒絶査定不服審判

2017-012525

中継システム、上位中継装置、中継方法及びコンピュータプログラム

審判番号
2017-012525
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-024624外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月24日
審決日
2018年07月17日
公報発行日
2018年10月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 24624「中継システム、上位中継装置、中継方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-154152〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年2月12日の出願であって、平成29年1月18日付けで拒絶理由が通知され、平成29年3月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年6月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年8月24日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年8月24日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成29年8月24日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。) 「通信装置と通信を行う下位中継装置と、前記下位中継装置と複数のネットワークとの間で通信の中継を行う上位中継装置とを備える中継システムであって、 前記下位中継装置は、 前記通信装置が接続しているネットワーク識別子に基づいて、回線を識別するための識別情報を選択する選択部と、 選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与する付与部と、 前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部と、 を備え、 前記上位中継装置は、 前記下位中継装置から送信された前記送信用データ内のTCIのフィールドに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部と、 選択された送信先に対して、前記送信用データ内のTCIのフィールドから前記識別情報が取り除かれた送信用データを送信する送信部と、 を備える中継システム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成29年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「通信装置と通信を行う下位中継装置と、前記下位中継装置と複数のネットワークとの間で通信の中継を行う上位中継装置とを備える中継システムであって、 前記下位中継装置は、 前記通信装置が接続しているネットワーク識別子に基づいて、回線を識別するための識別情報を選択する選択部と、 選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与する付与部と、 前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部と、 を備え、 前記上位中継装置は、 前記下位中継装置から送信された前記送信用データ内のTCIのフィールドに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部と、 選択された送信先に前記送信用データを送信する送信部と、 を備える中継システム。」 2 補正の適否 本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「上位中継装置」の「送信部」について、上記のとおり「選択された送信先に対して、前記送信用データ内のTCIのフィールドから前記識別情報が取り除かれた送信用データを送信する送信部」であるとの限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載した、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 (2) 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2007-266942号公報(平成19年10月11日出願公開。以下「引用文献」という。原査定時の「引用文献2」である。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 段落【0024】-【0027】 「【実施例】 【0024】 図1には、本発明の一実施例としての無線LANシステムの全体構成が示されている。同図に示す無線LANシステムは、アクセスポイント(以下、「AP」と略称する)10と、このAP10との間で無線LANに従い通信を行う複数の加入者端末(以下、「STA」と略称する)20~20(STA1~k)とを備える。AP10は、有線LANを介してVLAN(Virtual LAN:仮想LAN)スイッチ30経由で複数の有線ネットワーク40~40(1~n)に接続される。各有線ネットワーク40~40には、図の例ではサーバや端末PC等の端末50~50や、IP網60が接続されている。 【0025】 AP10は、無線信号の送受信制御及びQoS制御を行うハードウェアとソフトウェアと、1つの物理APを複数の論理的なAP(仮想AP)のように運用する機能、すなわち仮想AP機能を備える。また、このAP10は、無線LANと有線LANとのインタフェース機能を有し、このインタフェース機能により、加入者端末20と、有線LAN側に位置するサーバや端末PC等の端末50との間のデータ通信を中継する。AP10の仮想AP機能を用いて運用される複数の仮想AP11~11(VAP1~m)は、複数のAPとしてふるまうことができ、それぞれの仮想AP11~11毎に認証・暗号方式を設定することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 STA20は、AP10内の各仮想AP11~11(VAP1~m)に割り当てられたSSID(Service Set ID)を指定することで加入する仮想AP11を選択し、その結果、AP10内で仮想AP11とSTA20のMACアドレスが関連付けられる。このSTA20は、各仮想AP11~11にあらかじめ割り当てられたタグID(VLANタグID)に基づくVLANを通して有線ネットワーク40~40(1~n)と通信する。」 イ 段落【0028】-【0037】 「【0028】 図2は、AP10の内部構成例を示す。 【0029】 同図に示すAP10は、STA20との間で仮想AP11毎に通信を行う無線インタフェース部1と、有線LANとの間で仮想AP11毎に通信を行う有線インタフェース部3と、両インタフェース1、3間に接続される主処理部(本発明のQoS制御決定手段を成す)2と、この主処理部2に接続されるAP保守管理部4とを備える。 【0030】 AP保守管理部4は、オペレータからの監視制御のコマンドを処理し、主処理部2に対して、QoSカテゴリ別にAP10としてのシステムQoSレベルと仮想AP11毎のQoSレベルの設定、SSID(Service Set Identifier)と仮想AP11の対応情報の設定、そしてVLANタグIDと仮想APとの対応情報の設定を行う機能を備える。 【0031】 有線インタフェース部3は、有線LANとの間でデータの送受信を行い、Ethernet(登録商標)仕様及びIEEE802.1Q仕様のプロトコル処理を行う機能を備え、受信フレームを主処理部2に送信する。 【0032】 無線インタフェース部1は、STA20との間で無線信号の送受信を行うとともに、無線LANプロトコル処理及びQoS制御を行う機能を備え、STA20の加入時に指定したSSIDをSTA20のMACアドレスとともに記憶する機能を備え、フレームを受信すると受信フレームとともにそのフレームの送信元MACアドレスに対応するSSIDを主処理部2に送信する機能を備える。さらに、STA20からQoS提供要求メッセージを受信した場合には、そのメッセージとともにそのメッセージの送信元MACアドレスに対応するSSIDを主処理部2に通知し、主処理部2からはその返信であるQoS提供応答メッセージを受信して、STA20にQoS提供応答メッセージを送信する。 【0033】 主処理部2は、有線インタフェース部3、無線インタフェース部1、AP保守管理部4の各々から受信するデータをどの仮想AP11のものであるかを識別し、有線インタフェース部1(当審注:「無線インタフェース部1」の誤記と認める。)、無線インタフェース部3(当審注:「有線インタフェース部3」の誤記と認める。)、AP保守管理部4に割り振って送るデータ中継機能を備える。 【0034】 主処理部2で保持するQoSレベル情報を図3に、SSIDと仮想AP11の対応情報を図4に、VLANタグIDと仮想AP11の対応情報を図5に示す。 ・・・(中略)・・・ 【0036】 図4に示すSSIDと仮想APの対応情報(対応テーブル)2bには、SSID NET1~mと、仮想AP番号1~mとが互いに対応付けて設定されている。図中の例では、SSID NET1が仮想AP番号1に、SSID NET2が仮想AP番号2に、SSID NET3が仮想AP番号3に、SSID NET4が仮想AP番号4に、SSID NETmが仮想AP番号mにそれぞれ対応付けて設定されている。 【0037】 図5に示すVLANタグIDと仮想APの対応情報(対応テーブル)2cは、VLANタグID1~mと、仮想AP番号1~mとが互いに対応付けて設定されている。図中の例では、VLANタグID1が仮想AP番号1に、VLANタグID2が仮想AP番号2に、VLANタグID3が仮想AP番号3に、VLANタグID4が仮想AP番号4に、VLANタグIDmが仮想AP番号mにそれぞれ対応付けて設定されている。」 ウ 段落【0069】 「【図面の簡単な説明】 【0069】 【図1】本発明の実施例に係る無線LANシステムの全体構成を示す図である。 【図2】本発明の実施例において、アクセスポイントの内部構成を示すブロック図である。 【図3】本発明の実施例において、QoSレベル情報(QoSレベル設定テーブル)の例を示す図である。 【図4】本発明の実施例において、SSIDと仮想APとの対応情報(対応テーブル)の例を示す図である。 【図5】本発明の実施例において、VLANタグIDと仮想APとの対応情報(対応テーブル)の例を示す図である。 【図6】本発明の実施例において、無線LANの利用者端末からのQoS提供要求に応答する場合の正常処理フローを示す図である。 【図7】本発明の実施例において、有線ネットワーク側からのデータを受信して利用者端末に送信する場合の正常処理フローを示す図である。 【図8】本発明の実施例において、図6及び図7に示す正常処理に基づいて実施される仮想AP運用の例を示す図である。 【図9】本発明の実施例において、図6及び図7に示す正常処理に基づいて実施される時間帯やAPの混雑状況に応じて変更可能な仮想AP運用の例を示す図である。 【図10】データのQoS情報とQoSカテゴリとのマッピングの例を示す図である。」 上記各記載から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「無線LANシステムは、アクセスポイント(AP)10と、このAP10との間で無線LANに従い通信を行う複数の加入者端末(STA)20~20(STA1~k)とを備え、 AP10は、有線LANを介してVLANスイッチ30経由で複数の有線ネットワーク40~40(1~n)に接続され、各有線ネットワーク40~40には、サーバや端末PC等の端末50~50や、IP網60が接続され、 AP10は、無線LANと有線LANとのインタフェース機能を有し、このインタフェース機能により、加入者端末20と、有線LAN側に位置するサーバや端末PC等の端末50との間のデータ通信を中継し、 STA20は、AP10内の各仮想AP11~11(VAP1~m)に割り当てられたSSIDを指定することで加入する仮想AP11を選択し、このSTA20は、各仮想AP11~11にあらかじめ割り当てられたVLANタグIDに基づくVLANを通して有線ネットワーク40~40(1~n)と通信し、 AP10は、STA20との間で仮想AP11毎に通信を行う無線インタフェース部1と、有線LANとの間で仮想AP11毎に通信を行う有線インタフェース部3と、両インタフェース1、3間に接続される主処理部2と、この主処理部2に接続されるAP保守管理部4とを備え、 AP保守管理部4は、SSIDと仮想AP11の対応情報の設定、そしてVLANタグIDと仮想APとの対応情報の設定を行う機能を備え、 有線インタフェース部3は、有線LANとの間でデータの送受信を行い、Ethernet仕様及びIEEE802.1Q仕様のプロトコル処理を行う機能を備え、受信フレームを主処理部2に送信し、 無線インタフェース部1は、STA20との間で無線信号の送受信を行うとともに、無線LANプロトコル処理及びQoS制御を行う機能を備え、フレームを受信すると受信フレームとともにそのフレームの送信元MACアドレスに対応するSSIDを主処理部2に送信する機能を備え、 主処理部2は、有線インタフェース部3、無線インタフェース部1、AP保守管理部4の各々から受信するデータをどの仮想AP11のものであるかを識別し、無線インタフェース部1、有線インタフェース部3、AP保守管理部4に割り振って送るデータ中継機能を備え、 主処理部2は、SSIDと仮想AP11の対応情報、VLANタグIDと仮想AP11の対応情報を保持する、 無線LANシステム。」 (なお、引用文献の図5には、VLANタグと「SSID」を対応させる図示があるが、引用文献では、上記段落【0034】、【0037】、【0069】等で一貫して、図5を、VLANタグIDと「仮想AP」を対応させる対応テーブル2cであると説明しているから、引用文献の図5の図示は誤記と認められる。このため、上記引用発明の認定において、引用文献の図5は対象としていない。) (3) 周知文献の記載事項 原査定時に引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、「播口陽一、“NETWORK TECHNOLOGY 15 VLAN(Virtual LAN:仮想LAN)”、UNIX MAGAZINE、第14巻、第3号、株式会社アスキー、1999年3月、p.65-73(以下「周知文献」という。原査定時の「引用文献4」である。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。 ア 「IEEE802.1Q VLAN」の項(68ページ左欄下から2行目-右欄1行) 「IEEE802.1Q VLAN 802.lQ[1]は、IEEEによって標準化されたタグ付きVLANです。」 イ 「フレーム・フォーマット」の項(68ページ右欄2行-下から3行目) 「フレーム・フォーマット 802.lQではEthernetのフレーム・フォーマットが拡張されています。図5に802.lQのフレーム・フォーマットを示します。太線で示されたフィールドが802.1Qに固有のヘッダです。 ●Type 802.lQフレームはEthernet、LLC、LLC/SNAPのすべてのエンコーディングにおいて0x8100をTypeフィールドの値としてもちます。プロトコルタイプ(Type)あるいは長さフィールド(Length)は、TCIフィールドの直後に置かれます。 ●TCI (Tag Control Information) TCIフィールドはそのフレームが所属するVLANおよびそのフレームの優先度を示します。TCIフィールドのフォーマットを図6に示します。 ◆user-priority そのフレームがもつ優先度を示します。このフィールドは3ビットで、0~7の8種類の優先度を表すことができます。このフィールドの値の使用法については後述します。 ◆CFl (Canonical Format Indicator) 通常、このビットは0にセットされます。0にセットされた場合、ヘッダにはE-RIF(Embedded Routing Information Field)は含まれません。このビットが1にセットされた場合、ヘッダには可変長のE-RIFが含まれます。RIFは始点ルーティンダ・ブリッジ(source routing bridge)において用いられる属性です。Ethernetで始点ルーティング・ブリッジを用いることはほほないと思われるので、E-RIFの構造については省略します。 ◆VID (VLAN IDentifier) そのフレームがどのVLANに所属するかを示す識別子で、長さは12ビットです。なお、0(Null VID)、1(デフオルトPVID)、0xfff(実装のために予約)の3つについては予約されています。Null VIDおよびデフオルトPVIDについては後述します。」 ウ 「IEEE802.1Qブリッジの動作」(68ページ右欄下から2行目-70ページ左欄1行) 「IEEE802.1Qブリッジの動作 IEEE802.lQブリッジの動作は以下のようになります。 1.フレームを受信 2. user_priorityフイールドの再生成 3.そのフレームのVIDを決定(Ingress Rule) 4.検索に用いるブリッジテーブルを決定 5.ブリッジテーブルを検索 6.検索が成功した場合、検索で得た出カポートマップから受信ポートを取り除く。検索が失敗した場合にはフレームを廃棄 7. VIDを検索キーとしてVLAN登録テーブル(VLAN registration table)を検索する。検索の結果として、 ●member set そのVLANに到達可能な出カポートの集合 ●untagged set そのVLANに向けてフレームを出力する際、VLAN タグを取り除いて出力しなければならないポートの集合 を取得 8.得られた出カポートマップの全ポートについて、 a.出カポートがuntagged setに含まれている場合にはVLANタグを含まないフレーム b.出カポートがuntagged setに含まれない場合は再生成されたuser_priorityフィールドの値に従ってVLANタグを含むフレーム を出力(Egress Rule)」 エ 「Egress Rule」(71ページ右欄1行-72ページ左欄8行) 「Egress Rule VLANタグに対応していないホストはVLANタグを取り除くことができません。したがって、これらのホストが接続されているポートにはVLANタグのないフレームを送出する必要があります。一方、VLANタダに対応していないホストが接続されていないポート、すなわちVLANタグに対応した機器のみ、あるいはVLANタグに対応した機器および802.1dブリッジのみが接続されたポートには、VLANタグの付いたフレームを出力する必要があります(そうしなければVLANの機能を有効に利用することはできません)。 802.lQブリッジは各フレームの出力時に、そのフレームをタグ付きフレームとして出力するのか、タグを取り除いて従来のタグなしフレームとして出力するのかを決定する必要があります。これを決定するのがEgress Ruleです。 Egress RuleはVLANごとに管理される次の2つのデータベースからなります。 ●member set そのVLANに至るポートの集合 ●untagged set そのVLANに至るポートのうち、VLANタグを含まないフレームを送出するポートの集合 member setはGVRPによって自動的に得られますが、untagged setは管理者が登録する必要があります。 なお、同じポートが、あるVLANではuntagged set に含まれるが、別のVLANでは含まれないといった設定も可能です。たとえば、フレームがVLAN green (VID=10)に所属する場合はポート1にはタグなしフレームを送出するが、VLAN red(VID=20)に所属する場合はポート1にはタグ付きフレームを送出するというような設定ができます (図8)。」 (4) 引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)  引用発明の「加入者端末(STA)20」は、本件補正発明の「通信装置」に相当する。 引用発明の「アクセスポイント(AP)10」は、本件補正発明の「下位中継装置」に相当する。 引用発明の「複数の有線ネットワーク40~40(1~n)」は、本件補正発明の「複数のネットワーク」に相当する。 引用発明の「VLANスイッチ30」は、本件補正発明の「上位中継装置」に相当する。 よって、引用発明の複数の「加入者端末20」が「AP10との間で無線LANに従い通信を行」い、AP10が「VLANスイッチ30経由で複数の有線ネットワーク40~40(1~n)に接続され」、AP10が「データ通信を中継」する「無線LANシステム」は、本件補正発明の「通信装置と通信を行う下位中継装置と、前記下位中継装置と複数のネットワークとの間で通信の中継を行う上位中継装置とを備える中継システム」に相当する。 (イ) 引用発明の「アクセスポイント(AP)10」と、本件補正発明の「下位中継装置」とを対比すると、以下のことがいえる。 a.引用発明の「SSID」は、「STA20は、AP10内の各仮想AP11~11(VAP1~m)に割り当てられたSSIDを指定することで加入する仮想AP11を選択し」ているから、本件補正発明の「前記通信装置が接続しているネットワーク識別子」に相当する。 引用発明の「VLANタグID」は、本件補正発明の「回線を識別するための識別情報」に相当する。 b.引用発明の「AP10」の「主処理部2」は、「有線インタフェース部3、無線インタフェース部1、AP保守管理部4の各々から受信するデータをどの仮想AP11のものであるかを識別し、無線インタフェース部1、有線インタフェース部3、AP保守管理部4に割り振って送るデータ中継機能を備え」るとともに、「SSIDと仮想AP11の対応情報」と、「VLANタグIDと仮想AP11の対応情報」を保持している。 また、引用発明の「AP10」の「主処理部2」は、無線LANとの「無線インタフェース部1」から、受信フレームに対応する「SSID」を通知されるから、「主処理部2」の上記「データ中継機能」のうち、受信したデータが「どの仮想AP11のものであるかを識別」する処理は、SSIDに対応する仮想APを識別する処理であるといえる。 また、「主処理部2」の上記「データ中継機能」のうち、受信したデータを、有線LANとの「有線インタフェース部3」に振り分けて送る処理に着目すると、「有線インタフェース部3」では、「IEEE802.1Q仕様(これは、上記(3)「ア」に記載されるとおり、タグ付きVLANの標準規格である。)のプロトコル処理」が行われており、これは、「VLANタグ」を付与する処理にほかならないから、「主処理部2」の後段でVLANタグを「付与」するために、これに先立って、付与すべきVLANタグが「選択」されているのは明らかである。 よって、「VLANタグIDと仮想AP11の対応情報」を保持する引用発明の「主処理部2」において、SSIDにより識別された仮想APに対応するVLANタグが選択されていることは明らかであるといえる。 したがって、「有線インタフェース部3、無線インタフェース部1、AP保守管理部4の各々から受信するデータをどの仮想AP11のものであるかを識別し、無線インタフェース部1、有線インタフェース部3、AP保守管理部4に割り振って送るデータ中継機能を備え、主処理部2は、SSIDと仮想AP11の対応情報、VLANタグIDと仮想AP11の対応情報を保持する」引用発明の「AP10」の「主処理部2」は、本件補正発明の「前記通信装置が接続しているネットワーク識別子に基づいて、回線を識別するための識別情報を選択する選択部」に相当する。 c.引用発明の「AP10」の「有線インタフェース部3」は、「有線インタフェース部3は、有線LANとの間でデータの送受信を行い、Ethernet仕様及びIEEE802.1Q仕様のプロトコル処理を行う機能を備え」ており、ここで「IEEE802.1Q仕様(のプロトコル処理」とは、「VLANタグ」を付与する処理にほかならないから、本件補正発明の「前記下位中継装置」の「選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与する付与部」と、「前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部」と、引用発明の「AP10」の「有線インターフェース部3」は、「前記下位中継装置」の「選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データに付与する付与部」と、「前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部」である点で共通するといえる。 (ウ) 引用発明の「VLANスイッチ30」と、本件補正発明の「上位中継装置」とを対比すると、以下のことがいえる。 a.「AP10は、有線LANを介してVLANスイッチ30経由で複数の有線ネットワーク40~40(1~n)に接続され、各有線ネットワーク40~40には、サーバや端末PC等の端末50~50や、IP網60が接続され」、「STA20は、各仮想AP11~11にあらかじめ割り当てられたVLANタグIDに基づくVLANを通して有線ネットワーク40~40(1~n)と通信し」ている引用発明における「VLANスイッチ30」が、「スイッチ」の名称どおり、VLANタグに基づいて、送信先(「各有線ネットワーク40~40」)を選択する機能を備えていることは明らかである。そのため、引用発明におけるこのような機能は、本件補正発明の「前記下位中継装置から送信された前記送信用データ内のTCIのフィールドに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部」と、「前記下位中継装置から送信された前記送信用データに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部」である点で共通するといえる。 b.「VLANスイッチ30経由で複数の有線ネットワーク40~40(1~n)に接続され」る、引用発明の「VLANスイッチ30」が、本件補正発明の「選択された送信先に対して、前記送信用データ内のTCIのフィールドから前記識別情報が取り除かれた送信用データを送信する送信部」と、「選択された送信先に対して、前記送信用データを送信する送信部」である点で共通する構成を備えていることは明らかである。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「通信装置と通信を行う下位中継装置と、前記下位中継装置と複数のネットワークとの間で通信の中継を行う上位中継装置とを備える中継システムであって、 前記下位中継装置は、 前記通信装置が接続しているネットワーク識別子に基づいて、回線を識別するための識別情報を選択する選択部と、 選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データに付与する付与部と、 前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部と、 を備え、 前記上位中継装置は、 前記下位中継装置から送信された前記送信用データに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部と、 選択された送信先に対して、前記送信用データを送信する送信部と、 を備える中継システム」 [相違点1] 本件補正発明では、「前記下位中継装置は」、「選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与する付与部」を備え、「前記上位中継装置は」、「前記下位中継装置から送信された前記送信用データ内のTCIのフィールドに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部」を備えるのに対し、引用発明では、「回線を識別するための識別情報」が「送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与」されることが特定されていない点。 [相違点2] 本件補正発明では、「前記上位中継装置は」、「前記送信用データ内のTCIのフィールドから前記識別情報が取り除かれた送信用データを送信する送信部」を備えるのに対し、引用発明では、TCIのフィールドから「回線を識別するための識別情報」が取り除かれてから送信されることは、特定されていない点。 (5)判断 [相違点1]について 引用発明の「AP10」(本件補正発明の「下位中継装置」に相当する。)の「有線インタフェース部3」は、「IEEE802.1Q仕様のプロトコル処理を行う機能を備え」るから、当然に、IEEE802.1Qの規格に準拠して動作するものである。 周知の「IEEE802.1Q」規格では、VLANタグを、「TCIフィールド」に付与することが規定されている(上記(3)「イ」を参照。)。 よって、引用発明の「AP10」の「有線インタフェース部3」において、IEEE802.1Qの規格に従って、VLANタグを、「TCIフィールド」に付与することで、上記[相違点1]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。 [相違点2]について 引用発明の「VLANスイッチ30」(本件補正発明の「上位中継装置」に相当する。)は、IEEE802.1Qの規格に準拠して動作する「AP10」と、VLANタグIDに基づくVLANを構成するから、「AP10」と同様に、IEEE802.1Qの規格に準拠して動作することが明らかである。 周知の「IEEE802.1Q」規格では、VLANタグに対応していない機器にデータを送信する場合、VLANタグを取り除いて従来のタグ無しフレームとして送信し、VLANタグに対応した機器にデータを送信する場合、VLAN機能を有効利用するために、VLANタグ付きのフレームを出力するべきことが規定されている(上記(3)「ウ」を参照。)。 よって、引用発明の「VLANスイッチ30」において、IEEE802.1Qの規格に従って、VLANタグに対応していない「サーバや端末PC等の端末50~50や、IP網60」に対してデータを送信する場合、VLANタグを取り除いて従来のタグ無しフレームとして送信することで、上記[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (6)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年8月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「通信装置と通信を行う下位中継装置と、前記下位中継装置と複数のネットワークとの間で通信の中継を行う上位中継装置とを備える中継システムであって、 前記下位中継装置は、 前記通信装置が接続しているネットワーク識別子に基づいて、回線を識別するための識別情報を選択する選択部と、 選択された前記識別情報を、前記通信装置から送信される送信用データ内のTCI(tag control information)のフィールドに付与する付与部と、 前記識別情報が付与された送信用データを前記上位中継装置に送信する送信部と、 を備え、 前記上位中継装置は、 前記下位中継装置から送信された前記送信用データ内のTCIのフィールドに付与された前記識別情報に基づいて前記送信用データの送信先を選択する送信先選択部と、 選択された送信先に前記送信用データを送信する送信部と、 を備える中継システム。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、 理由1 この出願の請求項1-11に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、 理由2 この出願の請求項1-11に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、 というものである。 引用文献1:特開2006-033431号公報 引用文献2:特開2007-266942号公報 引用文献3:特開2007-028084号公報 引用文献4:播口陽一、“NETWORK TECHNOLOGY 15 VLAN(Virtual LAN:仮想LAN)”、UNIX MAGAZINE、第14巻、第3号、株式会社アスキー、1999年3月、p.65-73 3 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2及びその記載事項は、前記第2[理由]2「(2) 引用文献の記載事項」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「送信部」に係る限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(4)、(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-012525

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