特許拒絶査定不服審判
2017-012502
ビデオゲーム処理装置、およびビデオゲーム処理プログラム
- 審判番号
- 2017-012502
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-121653外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月23日
- 審決日
- 2018年10月16日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社スクウェア・エニックス
- 【請求人代理人】須藤 浩
- 【請求人代理人】海田 浩明
- 【請求人代理人】上田 侑士
- 【請求人代理人】浅見 浩二
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .357-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-121653「ビデオゲーム処理装置、およびビデオゲーム処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月 6日出願公開、特開2014-208258〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件出願は、平成26年6月12日出願の分割出願(原出願の出願日:平成24年8月31日)であって、平成26年9月4日、平成28年3月7日、同年11月28日に手続補正がされ、平成29年5月18日付けで平成28年11月28日にされた手続補正が却下されるとともに拒絶の査定(送達日:同年5月23日 以下「原査定」という。)がされ、同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がされ、これと同時に手続補正がされ、当審で平成30年4月19日付けで拒絶理由を通知し、同年6月25日に手続補正がされたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年6月25日に補正された特許請求の範囲の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであり、その記載は次のとおりである。
「タッチパネルを備える表示装置の表示画面に仮想コントローラを表示してビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記コンピュータに、
プレイヤ操作に応じて形態が変化する仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示機能と、
前記仮想コントローラの形態に応じた方向に基づいてプレイヤキャラクタの移動を制御する制御機能とを実現させ、
該制御機能では、
前記タッチパネルに対する所定条件を満たすスライド操作を受け付けた場合、前記プレイヤ操作ではなく前記所定条件を満たすスライド操作を受け付けたと判定し、前記仮想コントローラの形態を変更することなく前記仮想カメラを移動する処理を実行する機能を実現させ、
前記プレイヤ操作を受け付けた場合、前記プレイヤ操作を受け付けてから当該プレイヤ操作が終了するまで前記プレイヤキャラクタの位置を制御し、かつ当該プレイヤ操作が終了した場合に前記プレイヤキャラクタに関する制御を行う機能を実現させ、
前記仮想コントローラ表示機能では、前記所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作を前記プレイヤ操作として受け付ける機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。」
3 刊行物に記載された事項
(1)平成30年4月19日付けの拒絶理由通知で引用した特開2011-141632号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付与した。以下同じ。)
ア 「【0001】
本発明は、例えばビデオゲームなどの各種アプリケーションの制御を行うデバイスに適用されるユーザインタフェース技術に関する。」
イ 「【0023】
さらに、本発明のユーザインタフェース処理プログラムは、アプリケーションを制御させるユーザインタフェース処理プログラムであって、コンピュータに、プレイヤのタッチパネルの接触操作による表示画面の押下を受け付ける押下受付処理と、該押下受付処理にて前記表示画面の押下を受け付けたときに、押下された前記表示画面上の位置である押下位置を検出する押下位置検出処理と、前記押下受付処理にて前記表示画面の押下を受け付けたことに基づいて、前記押下位置検出処理にて検出した押下位置に応じた所定位置に仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示処理と、前記表示画面上に表示された前記仮想コントローラの操作を受け付ける操作受付処理と、該操作受付処理にて受け付けた操作に応じて前記アプリケーションを制御する操作対応制御処理とを実行させるためのものである。」
ウ 「【0036】
図3は、本例における仮想コントローラの例を示す説明図である。図3(A)に示すように、仮想コントローラ101は、略円形に形成されたコントローラ本体102と、コントローラ本体102の中心位置から任意の方向に移動可能な操作部103とからなる。なお、仮想コントローラ101の形状や構成はこれに限定されない。」
エ 「【0041】
表示部13は、制御部11の制御に従って、プレイヤの操作に応じたゲーム画面を表示する表示装置である。表示部13は、例えば、液晶表示装置によって構成される。」
オ 「【0047】
図5は、ビデオゲーム処理装置100の筐体100Aに設けられた表示部13の表示画面13Aに表示されたゲーム画面の例を示す説明図である。ここでは、図5に示すように、ゲームフィールドに、プレイヤPにより操作可能な状態にあるプレイヤキャラクタP1と、制御部11により操作されるノンプレイヤキャラクタP2とが存在する場合を例に説明を行なう。
【0048】
キャラクタ移動処理において、制御部11は、プレイヤPにより表示画面13Aが押下されたか否か(すなわち、表示画面13Aに設けられたタッチパネルが押下された否か)を判定する(ステップS101)。
【0049】
表示画面13Aが押下されたと判定すると(ステップS101のY)、制御部11は、表示画面13A(表示画面13Aに設けられたタッチパネル)の押下状態が終了したか否かを判定し(ステップS101A)、表示画面13Aの押下状態が終了していなければ(ステップS101AのN)、ステップS101にて表示画面13Aが押下されたと判定したときから所定時間(例えば、0.1秒)が経過したか否か判定する(ステップS101B)。所定時間が経過する前に表示画面13Aの押下状態が終了した場合には(ステップS101AのY)、ステップS101に戻る。このように、所定時間が経過する前に表示画面13Aの押下状態が終了した場合に処理を中止する構成としているので、表示画面13Aに瞬間的に触れるようなタップ操作などを排除することができ、不要な場合に仮想コントローラ101を表示しないようにすることが可能となる。なお、タップ操作は、仮想コントローラ101を表示するための操作とは別の入力操作として受け付けるようにすればよい。
【0050】
表示画面13Aの押下状態が終了することなく所定時間が経過したと判定すると(ステップS101BのY)、制御部11は、押下位置を算出し、初期押下位置として仮想コントローラ管理テーブル12aに記憶する(ステップS102)。
【0051】
初期押下位置を記憶すると、制御部11は、初期押下位置を中心として仮想コントローラ101を表示画面13Aに表示する(ステップS103)。」
カ 「【0056】
一方、ステップS104にて、プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると(ステップS104のY)、制御部11は、初期位置に対する現押下位置に基づいて操作部103の表示位置を変更する(ステップS107)。
【0057】
操作部103の表示位置を変更すると、制御部11は、仮想コントローラ管理テーブル12aを参照して、操作部103の位置が「歩行」を示しているか否かを判定する(ステップS108)。ここで、操作部103の位置が「歩行」を示していると判定すると(ステップS108のY)、制御部Cは、初期位置から見て操作部103が表示された方向(すなわち、初期押下位置から現押下位置への方向)に応じて、プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理を開始(または継続)して(ステップS109)、ステップS104に遷移する。
【0058】
図7は、このときのゲーム画面の例を示す説明図である。図7に示すように、初期押下位置からプレイヤPの指201による現押下位置までの方向と同じ方向に向かって、プレイヤキャラクタP1の歩行動作を実行される。」
キ 「【0086】
イベントアイコン表示処理では、先ず、制御部11が、プレイヤキャラクタP1がイベント発生領域内に位置しているか否かを判定する(ステップS301)。ここで、イベント発生領域とは、所定のイベント発生条件が満たされる領域であり、例えば「会話」のイベントであれば、他のキャラクタの表示位置から所定の距離以内の領域がイベント発生領域となる。
【0087】
プレイヤキャラクタP1がイベント発生領域内に位置していると判定すると(ステップS301のY)、制御部11は、イベント発生領域に対応するイベントアイコンを表示画面13Aに表示する(ステップS302)。このとき、イベントアイコンを表示する位置は、イベント発生領域の近傍であってもよいし、仮想コントローラ101の近傍であってもよい。
【0088】
図11は、このときのゲーム画面の例を示す説明図である。図11に示すように、表示画面13Aに表示されるゲーム画面は、プレイヤPの操作に応じて表示された仮想コントローラ101と、移動制御が実行されているプレイヤキャラクタP1と、ノンプレイヤキャラクタP2と、プレイヤキャラクタP1がノンプレイヤキャラクタP2に対するイベント発生領域内に位置していることに応じて表示されたイベントアイコン301とを含む。
【0089】
イベントアイコンを表示すると、制御部11は、表示画面13A(表示画面13Aに設けられたタッチパネル)の押下状態が終了したか否かを判定する(ステップS303)。ここで、押下状態が終了していないと判定すると(ステップS303のN)、制御部11は、ステップS301に遷移する。
【0089】
イベントアイコンを表示すると、制御部11は、表示画面13A(表示画面13Aに設けられたタッチパネル)の押下状態が終了したか否かを判定する(ステップS303)。ここで、押下状態が終了していないと判定すると(ステップS303のN)、制御部11は、ステップS301に遷移する。
【0090】
一方、押下状態が終了したと判定すると(ステップS303のY)、制御部11は、プレイヤキャラクタP1の動作(歩行動作または走行動作)と仮想コントローラの101の表示を終了し(ステップS304)、イベントアイコン301の表示位置が押下されることによるイベントアイコン301の選択を受け付ける(ステップS305)。ここで、イベントアイコン301の選択を受け付けない場合(ステップS305のN)、制御部11は、ステップS301に遷移する。
【0091】
一方、イベントアイコン301の選択を受け付けると(ステップS305のY)、制御部11は、イベントアイコン301に対応するイベント、すなわちプレイヤキャラクタP1とノンプレイヤキャラクタP2との会話イベントに必要な処理を実行して(ステップS306)、ステップS301に遷移する。」
ク 前記の記載を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が開示されていると認められる。
「ビデオゲームなどの各種アプリケーションの制御を行うデバイスに適用されるユーザインタフェース処理プログラムであり、コンピュータに、プレイヤのタッチパネルの接触操作による表示画面の押下を受け付ける押下受付処理と、押下位置に応じた所定位置に仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示処理と、前記アプリケーションを制御する操作対応制御処理とを実行させ、仮想コントローラは、略円形に形成されたコントローラ本体102と、コントローラ本体102の中心位置から任意の方向に移動可能な操作部103とからなり、表示部13は、表示装置であり、表示部13には表示画面13Aがあり、表示画面13Aに設けられたタッチパネルが押下された否かを判定し、表示画面13Aが押下されたと判定すると、表示画面13Aが押下されたと判定したときから所定時間が経過したか否か判定し、表示画面13Aの押下状態が終了することなく所定時間が経過したと判定すると、制御部11は、押下位置を算出し、初期押下位置を中心として仮想コントローラを表示画面13Aに表示し、プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると、初期位置に対する現押下位置に基づいて操作部103の表示位置を変更し、初期位置から見て操作部103が表示された方向(初期押下位置から現押下位置への方向)に応じて、プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理を開始し、初期押下位置からプレイヤPの指201による現押下位置までの方向と同じ方向に向かって、プレイヤキャラクタP1の歩行動作を実行され、プレイヤキャラクタP1がイベント発生領域内に位置していると判定すると、制御部11は、イベント発生領域に対応するイベントアイコンを表示画面13Aに表示し、イベントアイコンを表示すると、制御部11は、表示画面13Aに設けられたタッチパネルの押下状態が終了したか否かを判定し、押下状態が終了したと判定すると、制御部11は、プレイヤキャラクタP1の動作と仮想コントローラの表示を終了し、イベントアイコン301の選択を受け付けると、制御部11は、イベントアイコン301に対応するイベント、すなわちプレイヤキャラクタP1とノンプレイヤキャラクタP2との会話イベントに必要な処理を実行するユーザインタフェース処理プログラム。」
(2)平成30年4月19日付けの拒絶理由通知で引用した特開2011-258151号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0066】
更に、ゲーム装置1は、各操作ボタン14A~14K及びアナログ操作子14Lとは別の入力装置として、さらにタッチパネル13を備えている。タッチパネル13は、下側LCD12の画面上を覆うように装着されている。なお、本実施形態では、タッチパネル13は、例えば抵抗膜方式のタッチパネルが用いられる。ただし、タッチパネル13は、抵抗膜方式に限らず、任意の押圧式のタッチパネルを用いることができる。また、本実施形態では、タッチパネル13として、例えば下側LCD12の解像度と同解像度(検出精度)のものを利用する。ただし、必ずしもタッチパネル13の解像度と下側LCD12の解像度とが一致している必要はない。
【0067】
本実施形態では、このタッチパネル13は照準の位置の変更を指示する操作と、仮想カメラの向き及び位置の変更を指示する操作をプレイヤから受け付ける。タッチパネル13に対する操作に基づく具体的な照準の位置の変更方法、仮想カメラの向き及び位置の変更方法については説明を後述する。
【0068】
また、下側ハウジング11の右側面には、挿入口(図1に示す破線)が設けられている。挿入口は、タッチパネル13に対する操作を行うために用いられるタッチペン27を収納することができる。なお、タッチパネル13に対する入力は、通常タッチペン27を用いて行われるが、タッチペン27に限らずプレイヤの指でタッチパネル13を操作することも可能である。」
イ 「【0059】
以下、本実施形態にかかるゲーム装置1の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるゲーム装置の外観図である。ゲーム装置は、本発明のプログラムを実行することで、本発明の情報処理装置として機能する。」
ウ 「【0107】
(地上戦ステージにおけるスライド操作による仮想カメラの向き、位置の変更)
次に、図9~図11を用いてスライド操作中の仮想カメラ向き及び仮想カメラ位置の移動について説明する。図9は地上戦ステージにおける表示画面の一例を示す図である。この図9の例では、タッチペン27が図6で示すタッチ位置から更にスライド量a2だけスライド操作されている。従って、この例では、タッチペン27はタッチオンした位置からスライド量a(スライド量a1+スライド量a2)移動している。この例では、照準G3がスライド量a1に応じた移動量で移動すると照準移動可能範囲の境界に到るが、本実施形態では、照準G3が境界位置に到るまではスライド操作によって照準G3の位置が変更され、到った後には、スライド操作によって仮想カメラCaの向きと位置の移動が行われる。
【0108】
すなわち、仮想カメラCaの向きおよび向きは、照準G3が境界に至った後のスライド操作の方向に応じた方向にスライド量a2に応じた度合いで変更される。
【0109】
なお、以下の説明において、照準G3がX軸方向の境界位置に至ってからのX軸方向(タッチパネル13の座標系におけるX軸方向)のスライド量をa2xとし、照準G3がY軸方向の境界位置に至ってからのY軸方向(タッチパネル13の座標系におけるY軸方向)のスライド量をa2yとして説明する。
【0110】
図10はスライド操作中における仮想カメラCaの向き及び位置の水平方向における変更を示す図である。仮想カメラCaの位置は、プレイヤキャラクタG1の代表点P2を含む水平面において、当該P2を中心とする所定半径r1の円上に設定される。すなわち、仮想カメラCaの水平方向についての移動可能範囲(仮想カメラ移動可能範囲)はこの円上である。そして、図1の右方向(X軸正方向)にスライド操作があったときには、照準G3がX軸方向の右側境界に至った後、仮想カメラCaの位置が現在位置からC1の方向にスライド量a2xに応じて移動する。また、図1の左方向(X軸負方向)にスライド操作があったときには、照準G3がX軸方向の左側境界に至った後、仮想カメラCaの位置がデフォルト位置からC2の方向にスライド量a2xに応じて移動する。
【0111】
そして、仮想カメラCaの向きは仮想カメラCaの移動後においてもプレイヤキャラクタG1の代表点P2を向くように変更される。同図では、仮想カメラCaの向きは、デフォルトでは矢印Aの方向を向いていたが、位置の変更後には矢印Bの方向に向くように変更されている。上述したように仮想カメラCaの位置はスライド量a2xとスライド操作の方向に応じて変更されるため、仮想カメラCaの向きもスライド量a2xとスライド操作の方向に応じて変更されることになる。」
エ 図9は次のものである。
オ 前記の記載を総合すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が開示されていると認められる。
「ゲーム装置は、タッチパネルとタッチペンを備え、タッチパネル13に対する入力は、通常タッチペン27を用いて行われ、タッチペン27はタッチオンした位置から、スライド量a1+スライド量a2移動し、照準G3がスライド量a1に応じた移動量で移動すると照準移動可能範囲の境界に到り、仮想カメラCaの向きおよび向きは、照準G3が境界に至った後のスライド操作の方向に応じた方向にスライド量a2に応じた度合いで変更されるプログラム。」
4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
(1)刊行物1発明の「ビデオゲームなどの各種アプリケーション」は、本願発明の、「ビデオゲーム」に相当し、以下同様に「ユーザインタフェース処理プログラム」は「ビデオゲーム処理プログラム」に、「タッチパネル」は「タッチパネル」に、「表示画面」は「表示画面」に、「コンピュータ」は「コンピュータ」に、「仮想コントローラ」は「仮想コントローラ」に、「プレイヤキャラクタP1」は「プレイヤキャラクタ」に相当する。
(2)刊行物1発明の「表示部13は、表示装置であり、表示部13には表示画面13Aがあり」、その「表示画面13A」には「タッチパネル」が設けられているのであるから、刊行物1発明のタッチパネルが設けられた表示画面のある表示装置であるところの「表示部13」は、本願発明の「タッチパネルを備える表示装置」に相当する。
(3)前記「(1)」のとおり「アプリケーション」は本願発明の「ビデオゲーム」に相当するから、刊行物1発明の「コンピュータに、」「押下位置に応じた所定位置に仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示処理と、前記アプリケーションを制御する操作対応制御処理とを実行させ」ることは、本願発明の「タッチパネルを備える表示装置の表示画面に仮想コントローラを表示してビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させる」ことに相当する。
(4)刊行物1発明の「ドラッグ操作」は、「プレイヤPによる」から、プレイヤ操作であるといえる。
刊行物1発明の「仮想コントローラは、略円形に形成されたコントローラ本体102と、コントローラ本体102の中心位置から任意の方向に移動可能な操作部103とからな」るものであるから、「操作部103」は「仮想コントローラ」の一部であり、「プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると、初期位置に対する現押下位置に基づいて操作部103の表示位置を変更」することは、プレイヤ操作により「仮想コントローラ」の形態が変化することといえる。
よって、刊行物1発明の「プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると、初期位置に対する現押下位置に基づいて操作部103の表示位置を変更」することは、本願発明の「仮想コントローラ」が「プレイヤ操作に応じて形態が変化する」ことに相当する。
また、刊行物1発明は「仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示処理」を「実行」するから、本願発明1の「仮想コントローラ表示機能」を備えているといえる。
(5)刊行物1発明の「初期位置から見て操作部103が表示された方向(初期押下位置から現押下位置への方向)」は、本願発明の「前記仮想コントローラの形態に応じた方向」に相当するといえるから、刊行物1発明の「初期位置から見て操作部103が表示された方向(初期押下位置から現押下位置への方向)に応じて、プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理を開始」することは、本願発明の「前記仮想コントローラの形態に応じた方向に基づいてプレイヤキャラクタの移動を制御」することに相当する。
また、刊行物1発明は、本願発明の「プレイヤキャラクタの移動を制御する制御機能」を備えているといえる。
(6)刊行物1発明の「プレイヤキャラクタP1の歩行動作」は、歩行により「プレイヤキャラクタP1」の位置が変化することであるといえるから、刊行物1発明の「プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理」をすることは、本願発明の「プレイヤキャラクタの位置を制御」することに相当する。
刊行物1発明の「プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定」した後、「タッチパネルの押下状態が終了したか否かを判定し、押下状態が終了したと判定する」までの期間は、本願発明の「プレイヤ操作を受け付けた」後、「プレイヤ操作を受け付けてから当該プレイヤ操作が終了するまで」の期間に相当する。
刊行物1発明において、「プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると、」「プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理を開始し、」「タッチパネルの押下状態が終了したか否かを判定し、押下状態が終了したと判定すると、プレイヤキャラクタP1の動作」「を終了」することは、本願発明の「前記プレイヤ操作を受け付けてから当該プレイヤ操作が終了するまで前記プレイヤキャラクタの位置を制御」することに相当する。
刊行物1発明の「プレイヤキャラクタP1とノンプレイヤキャラクタP2との会話イベントに必要な処理を実行する」ことにおいて、「プレイヤキャラクタP1」がおこなう会話イベントに必要な処理をすることは、本願発明の「プレイヤキャラクタに関する制御を行う機能を実現」することに相当する。
よって、刊行物1発明の「プレイヤPによるドラッグ操作を受け付けたと判定すると、」「プレイヤキャラクタP1の歩行動作に必要な処理を開始し、」「タッチパネルの押下状態が終了したか否かを判定し、押下状態が終了したと判定すると、プレイヤキャラクタP1の動作」「を終了し」、「プレイヤキャラクタP1」「の会話イベントに必要な処理を実行する」ことは、本願発明の「前記プレイヤ操作を受け付けた場合、前記プレイヤ操作を受け付けてから当該プレイヤ操作が終了するまで前記プレイヤキャラクタの位置を制御し、かつ当該プレイヤ操作が終了した場合に前記プレイヤキャラクタに関する制御を行う機能を実現させ」ることに相当する。
そうすると、両者は以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「タッチパネルを備える表示装置の表示画面に仮想コントローラを表示してビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記コンピュータに、
プレイヤ操作に応じて形態が変化する仮想コントローラを表示する仮想コントローラ表示機能と、
前記仮想コントローラの形態に応じた方向に基づいてプレイヤキャラクタの移動を制御する制御機能とを実現させ、
該制御機能では、
前記プレイヤ操作を受け付けた場合、前記プレイヤ操作を受け付けてから当該プレイヤ操作が終了するまで前記プレイヤキャラクタの位置を制御し、かつ当該プレイヤ操作が終了した場合に前記プレイヤキャラクタに関する制御を行う機能を実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。」
[相違点]
本願発明が「前記タッチパネルに対する所定条件を満たすスライド操作を受け付けた場合、前記プレイヤ操作ではなく前記所定条件を満たすスライド操作を受け付けたと判定し、前記仮想コントローラの形態を変更することなく前記仮想カメラを移動する処理を実行する機能を実現させ」るとともに、「前記仮想コントローラ表示機能では、前記所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作を前記プレイヤ操作として受け付ける機能を実現させる」のに対して、刊行物1発明はそのようなものでない点。
5 判断
相違点について検討する。
(1)本願発明の相違点に係る構成である「タッチパネルに対する所定条件を満たすスライド操作を受け付けた場合」、「プレイヤ操作ではなく前記所定条件を満たすスライド操作を受け付けたと判定し」、「仮想コントローラの形態を変更することなく」「仮想カメラを移動する処理を実行する機能を実現させ」るとともに、「前記仮想コントローラ表示機能では、前記所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作を前記プレイヤ操作として受け付ける機能を実現させる」との記載からは、「タッチパネルに対する所定条件を満たすスライド操作」や「所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作」における「所定条件」とは具体的にどのような条件であるのか、及びそのようなスライド操作がそれぞれどのような操作を意味するのかが必ずしも明確でないことから、この点に関して、発明の詳細な説明の記載を参酌すると、発明の詳細な説明の段落【0045】、段落【0046】及び段落【0054】の記載によれば、「所定条件を満たすスライド操作」の実施態様である「仮想カメラの位置を移動するためのスライド操作」とは、「視点操作領域702に対するスライド操作」のことであることが理解でき、「所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作」の実態態様である「プレイヤ操作」とは、フィールド表示領域に表示される「仮想コントローラ」に対する操作であることが理解できるから、本願発明の相違点に係る「所定条件」とは、具体的に「特定の領域におけるスライド操作」を含むものであって、「所定条件を満たすスライド操作」とは、「タッチパネルの所定領域におけるスライド操作」を「所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作」とは、「タッチパネルの当該所定領域とは異なる領域におけるスライド操作」を含むものである。
(2)ここで、タッチパネルにより複数の異なる目的の入力操作を受け付けるに際して、それぞれの入力操作を区別して受け付けることが可能であることが必要であり、そのためにタッチパネルの複数の異なる所定領域においてそれぞれの入力操作を受け付けるようにすることは、本願出願前に、タッチパネルによる入力を受け付ける技術分野の当業者にとって例を挙げるまでもなく技術常識であって常套手段にすぎない。
(3)刊行物2発明は、前記「3(2)オ」のとおり、「ゲーム装置は、タッチパネルとタッチペンを備え、タッチパネル13に対する入力は、通常タッチペン27を用いて行われ、タッチペン27はタッチオンした位置から、スライド量a1+スライド量a2移動し、照準G3がスライド量a1に応じた移動量で移動すると照準移動可能範囲の境界に到り、仮想カメラCaの向きおよび向きは、照準G3が境界に至った後のスライド操作の方向に応じた方向にスライド量a2に応じた度合いで変更されるプログラム。」であるから、刊行物2発明は、本願発明の相違点に係る「スライド操作を受け付け」「仮想カメラを移動する処理を実行する機能」を備えるものといえる。
そして、刊行物1発明におけるプレイヤキャラクタの表示を変更するために、刊行物2発明を適用することにより、「スライド操作を受け付け」「仮想カメラを移動する処理を実行する機能」を備えるようにすることに格別の困難性はない。
(4)その際、仮想コントローラに対する入力と「仮想カメラを移動するための「スライド操作」とを区別するためには、その「スライド操作」を仮想コントローラ表示領域とは異なる「所定の領域」において受け付けるように構成することは、上記(2)の技術常識に鑑みると、当業者であれば当然考慮すべき設計的要素というべきであるし、仮想コントローラの入力と区別する入力がされた場合に、仮想コントローラの形態を変更しないことは当然の帰結である。
(5)上記(2)ないし(4)によれば、刊行物1発明に刊行物2発明を適用して、「タッチパネルの仮想コントローラ表示領域とは異なる所定の領域におけるスライド操作を受け付けた場合に、仮想コントローラの形態を変更することなく仮想カメラを移動する処理を実行する機能を備える」ようにすることは当業者が容易に想到し得ることであるといえる。
(6)そして、前記(1)で検討したことに照らせば、刊行物1発明に刊行物2発明を適用して、本願発明の相違点に係る「タッチパネルに対する所定条件を満たすスライド操作を受け付けた場合」、「プレイヤ操作ではなく前記所定条件を満たすスライド操作を受け付けたと判定し」、「仮想コントローラの形態を変更することなく」「仮想カメラを移動する処理を実行する機能を実現させ」るとともに、「前記仮想コントローラ表示機能では、前記所定条件を満たすスライド操作とは異なる操作を前記プレイヤ操作として受け付ける機能を実現させる」ことになることは明らかである。
(7)本願発明の効果については、刊行物1発明及び刊行物2発明並びに技術常識に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1発明に刊行物2に記載事項並びに技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-012502