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特許拒絶査定不服審判

2017-011569

高いガラス転移温度を有する2Kポリウレタン系

審判番号
2017-011569
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-559167外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月03日
審決日
2018年06月05日
公報発行日
2018年12月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C08G) / P18 .572-Z (C08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-559167「高いガラス転移温度を有する2Kポリウレタン系」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/127734、平成27年 4月 2日国内公表、特表2015-510011〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年2月25日(パリ条約による優先権主張 2012年2月28日(2件) 何れも欧州特許庁(EP))を国際出願日とする特許出願であって、平成27年8月28日に手続補正書が提出され、平成28年7月20日付けで拒絶理由が通知され、同年10月25日に意見書が提出されたが、平成29年3月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月3日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年10月27日付けで前置報告がなされ、平成30年2月6日付けで上申書が提出されたものである。 第2 平成29年8月3日付けの手続補正に係る補正の却下の決定 [補正の却下の結論] 平成29年8月3日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成29年8月3日付けの手続補正(以下、「当審補正」という。)は、平成27年8月28日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の、 「【請求項1】 20mPa・s~3000mPa・s(EN ISO 2555、25℃)の粘度を有し、 ・10~80重量%の、200g/mol~3000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1種のポリオール、 ・5~70重量%の少なくとも1種のポリイソシアネート、 ・0~10重量%の添加剤 を含有する二成分型ポリウレタン組成物であって、該組成物は2:1~1:2のNCO:OH比を有し、ポリイソシアネートが使用され、ここで、ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている、二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項2】 混合物は1000mPa・s(25℃)未満の粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項3】 前記ポリイソシアネートとして、MDIおよびそのカルボジイミドおよび/またはウレトンイミン誘導体が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項4】 前記ポリオールとして、2.5より大きい平均官能価を有する、ポリエステルポリオールおよび/または特にポリエーテルポリオールが使用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項5】 架橋された組成物が、60℃を超える、特に100℃を超えるガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項6】 第3級アミンまたはSn、TiまたはBi化合物、特に環状α-ヒドロキシケトンまたは1-アルキル-2,3,4-トリフェノール誘導体または環状第3級アミンから選択される環状錯生成剤を有するSn触媒が、触媒として存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項7】 組成物は触媒を含有しないことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項8】 混合物は、実質的に溶媒、可塑剤、カルボン酸および/または顔料を含有しないことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項9】 外部型に繊維材料を充填し、該型中に請求項1~8のいずれかに記載の液状二成分型ポリウレタン組成物を加圧下で導入する、繊維複合材料の製造方法。 【請求項10】 繊維材料を充填した外部型を供給し、請求項1~8のいずれかに記載の液状二成分型ポリウレタン組成物を真空を適用して導入する、繊維複合材料の製造方法。 【請求項11】 繊維含量は60体積%以上の量である、請求項9または10に記載の方法。 【請求項12】 混合物は120℃以下の温度で架橋される請求項11に記載の方法。 【請求項13】 架橋された請求項1~8のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物がマトリックス材料として存在する、有機および/または無機繊維から構成される繊維材料を含有する繊維複合材料。 【請求項14】 繊維含量が60体積%以上の量である、請求項13に記載の繊維複合材料。 【請求項15】 架橋されたバインダーマトリックスがウレトンイミン基を有する、請求項14に記載の繊維複合材料。」 を、 「【請求項1】 20mPa・s~3000mPa・s(EN ISO 2555、25℃)の粘度を有し、 ・10~80重量%の、100g/mol~3000g/molの数平均分子量を有し、 少なくとも1種の3個のOH基を有するポリエーテルポリオール及び/又は3個の末端OH基を有するポリエステルポリオール、 ・5~70重量%の少なくとも1種のポリイソシアネート、 ・0~10重量%の添加剤 を含有する二成分型ポリウレタン組成物であって、該組成物は2:1~1:2のNCO:OH比を有し、ポリイソシアネートが使用され、ここで、ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている、二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項2】 混合物は1000mPa・s(25℃)未満の粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項3】 前記ポリイソシアネートとして、MDIおよびそのカルボジイミドおよび/またはウレトンイミン誘導体が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項4】 前記ポリオールとして、2.5より大きい平均官能価を有する、ポリエステルポリオールおよび/または特にポリエーテルポリオールが使用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項5】 架橋された組成物が、60℃を超える、特に100℃を超えるガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項6】 第3級アミンまたはSn、TiまたはBi化合物、特に環状α-ヒドロキシケトンまたは1-アルキル-2,3,4-トリフェノール誘導体または環状第3級アミンから選択される環状錯生成剤を有するSn触媒が、触媒として存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項7】 組成物は触媒を含有しないことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項8】 混合物は、実質的に溶媒、可塑剤、カルボン酸および/または顔料を含有しないことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物。 【請求項9】 外部型に繊維材料を充填し、該型中に請求項1~8のいずれかに記載の液状二成分型ポリウレタン組成物を加圧下で導入する、繊維複合材料の製造方法。 【請求項10】 繊維材料を充填した外部型を供給し、請求項1~8のいずれかに記載の液状二成分型ポリウレタン組成物を真空を適用して導入する、繊維複合材料の製造方法。 【請求項11】 繊維含量は60体積%以上の量である、請求項9または10に記載の方法。 【請求項12】 混合物は120℃以下の温度で架橋される請求項11に記載の方法。 【請求項13】 架橋された請求項1~8のいずれかに記載の二成分型ポリウレタン組成物がマトリックス材料として存在する、有機および/または無機繊維から構成される繊維材料を含有する繊維複合材料。 【請求項14】 繊維含量が60体積%以上の量である、請求項13に記載の繊維複合材料。 【請求項15】 架橋されたバインダーマトリックスがウレトンイミン基を有する、請求項14に記載の繊維複合材料。」 とするものである。 2 補正の目的について 当審補正は、下記補正事項1及び2を内容とするものである。 <補正事項1> 当審補正前の旧請求項1に記載の、ポリオールの数平均分子量について、「200g/mol~3000g/mol」と特定されていたのを、「100g/mol~3000g/mol」と特定する。 <補正事項2> 当審補正前の旧請求項1に記載の、ポリオールについて、「少なくとも1種の3個のOH基を有するポリエーテルポリオール及び/又は3個の末端OH基を有するポリエステルポリオール」と特定する。 上記補正事項2は、当審補正前の旧請求項1において、ポリオールの種類を特定するものであるから、当審補正前の旧請求項1を減縮するものといえるものの、上記補正事項1は、当審補正前の旧請求項1において、ポリオールの数平均分子量について、その数値範囲の下限値を「200g/mol」から「100g/mol」とするものであって、これは当審補正前の旧請求項1を拡張するものであることは明らかであり、減縮するものとはいえない。 そして、補正事項1は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 そうすると、補正事項1を含む当審補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものに該当するものではない。 3 むすび 以上のとおりであるから、補正事項1を含む当審補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 当審の判断 1 本願発明 上記のとおり、当審補正は却下されたので、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成27年8月28日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び明細書(以下、併せて「本願明細書等」という。)の記載からみて、前記特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「20mPa・s~3000mPa・s(EN ISO 2555、25℃)の粘度を有し、 ・10~80重量%の、200g/mol~3000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1種のポリオール、 ・5~70重量%の少なくとも1種のポリイソシアネート、 ・0~10重量%の添加剤 を含有する二成分型ポリウレタン組成物であって、該組成物は2:1~1:2のNCO:OH比を有し、ポリイソシアネートが使用され、ここで、ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている、二成分型ポリウレタン組成物。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、本願の請求項1に係る発明は、引用文献2(特開平5-155966号公報)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものを含むものである。 3 引用刊行物 刊行物:特開平5-155966号公報(平成28年7月20日付け拒絶理由通知書における引用文献2。以下、「引用例」という。) 4 引用例の記載事項 本願の優先日前に頒布された刊行物である引用例には以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与したものも含む。 (1)「【請求項1】 a)150までのヒドロキシル当量及び4ないし8の官能性を有するポリオール、 b)1900より多いヒドロキシル当量及び2ないし4の官能性を有するポリエーテル-ポリオール、及び c)2ないし3の官能性を有するポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン(これらは各々、150ないし500のヒドロキシル当量を有する)、又は前記2種の混合物、 からなる、特にジフェニルメタン系のポリイソシアネートとの反応のためのポリオール成分。 【請求項5】 ジフェニルメタン系のポリイソシアネートと混合物を硬化させるために充分な総量で請求項1記載の少なくとも1種のポリオール成分とからなるポリウレタン成形品の製造のための反応混合物。 【請求項6】 カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン5ないし20重量%、一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー2ないし10重量%、及びモノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物(この混合物は、順に4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン45ないし90重量%並びに2,4′-及び2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン10ないし55重量%からなる)70ないし93重量%からなるポリイソシアネート成分を含む請求項5記載の反応混合物。 【請求項10】 ジフェニルメタン系のポリイソシアネートをベースとする成分が、請求項1記載の少なくとも1種のポリオール成分(これは、適切であれば予め中間的に貯蔵されていた)と適切であれば請求項5記載の反応混合物を与えるためのポリウレタン技術において慣用の他の添加剤との混合物を硬化させるために充分な総量で混合され、次いで得られた混合物が成形され次いで硬化されるポリウレタン成形品の製造方法。」(特許請求の範囲、請求の範囲1、5、6及び10) (2)「このために、反応混合物はジフェニルメタン系のポリイソシアネートと本発明の少なくとも1種のポリオール成分とから、適切であれば例えば前記セクションに記載されたような助剤及び添加剤の添加を伴って第一に製造される。 本発明はそれ故、ジフェニルメタン系のポリイソシアネートと混合物の硬化のために充分な総量の前記の少なくとも1種のポリオール成分とからなるポリウレタン成形品の製造のための反応混合物にも関するものである。 “ジフェニルメタン系のポリイソシアネート”は、この場合分子当たり少なくとも2個の遊離イソシアネート基を含むジフェニルメタンの誘導体を意味するものと理解されたい。室温又は僅かにのみ高められた温度で液体であるポリイソシアネートが通常好ましい。適するポリイソシアネートの例は、モノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体(MDI)例えば4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン又は2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン、又はこれらの混合物、例えば2,4′-異性体60重量%と4,4′-異性体40重量%との混合物である。MDIポリマー種、即ち一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは通常8までの値を取る)で表わされる物質も適する。適切であれば、前記ポリマー種はモノマーとの混合物として用いることもできる。この混合物はそれ故、例えば二核含有率(n=0)30ないし70重量%、三核含有率(n=1)15ないし40重量%及び適切であれば多核含有率(n>1)15ないし30重量%を有する混合物であってよい。前記混合物及び同様の混合物は、市販品を入手することもできる。例えばジイソシアナトジフェニルメタンと低分子量のジ-又はトリオールとの反応により得ることができるようなウレタン化ジイソシアナトジフェニルメタン、カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン又は上記の如きジイソシアナトジフェニルメタン誘導体のウレタン化若しくはカルボジイミド化混合物も特に適している。ビュレット基又はアロファネート基を有するジイソシアナトジフェニルメタン誘導体を使用することも可能である。 カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン5ないし20重量%、一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー2ないし10重量%、及びモノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物(この混合物は、順に4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン45ないし90重量%並びに2,4′-及び2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン10ないし55重量%からなる)70ないし93重量%からなるポリイソシアネート成分は特に良好な性質を有する。前記組成物のポリイソシアネート成分の例は、デスモドゥールCD(商標名;DesmodurCD)約70重量%とデスモドゥールVL50(商標名;DesmodurVL50)約30重量%との混合物である。…ジフェニルメタン系のポリイソシアネート助剤を用いて相対的に純粋な色調のポリウレタン材料を製造するために、最も純粋な入手し得る4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタンがポリイソシアネート成分として今まで使用された。しかしながら、相対的に純粋な4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタンは0℃ないし室温で晶析する傾向があり、そしてそれ故例えば低温で貯蔵することができない。しかしながら、上記の如く中間色のポリイソシアネート成分は上記範囲内の低温でさえも流動可能性を残している。本発明はそれ故、上記ポリイソシアネート成分を含む反応混合物にも関するものである。」(段落【0027】~【0030】) (3)「本発明の反応混合物は、通常70と130との間のイソシアネート係数(100倍された、イソシアネート基の数と反応混合物中のイソシアネート基と反応することが可能な基の数との商)に相当し、好ましくは90と110との間のイソシアネート係数に相当する慣用量のポリイソシアネートを含む。」(段落【0031】) (4)「前記反応混合物は、通常例えば500ないし1500mPa.s.の範囲内の非常に低い混合粘度を有する。」(段落【0033】) (5)「【実施例】 実施例1 ポリオール成分は、構成要素a)としてサッカローズを用いて出発したポリプロピレングリコールとグリセロールを用いて出発したポリプロピレングリコールとの混合物〔平均ヒドロキシル当量140(CAS No.56731-02-3に相当する)を有する〕10重量部、及び構成要素b)としてトリメチロールプロパンを用いて出発したポリアルキレングリコール〔これは、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位とからなり、そしてヒドロキシル当量2150(CAS No.52624-57-4に相当する)を有する〕の表1に示す重量部、及び構成要素c)としてヒドロキシル当量200とヒドロキシル官能性2とを有するポリプロピレングリコール(CAS No.25322-69-4)から製造される。4週間後、種々の成分からなるポリオール成分について表1に記載した特別の均質度を決定することができる。 【表1】 実施例2 ポリオール成分は下記構成要素を混合することによって製造される。 重量%  成分/構成要素に相当する          CAS NO. 62.26   平均ヒドロキシル当量140を有するサッカロ ーズを用いて出発したポリプロピレングリコー ルとグリセロールを用いて出発したポリプロピ レングリコールとの混合物(商標名;ルプラノ ール3321)               a)56731-02-3 5.11   トリメチロールプロパンを用いて出発し、そし てエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド 単位とからなり、ヒドロキシル当量2150の ポリアルキレングリコール(商標名;ルプラノ ール2042)               b)52624-57-4 4.00   当量325を有するポリテトラヒドロフラン     25190-06-1 9.72   実施例1からのポリプロピレングリコール    c)25322-69-4 8.37   グリセロールを用いて出発し、そしてエチレン オキシド単位とプロピレンオキシド単位とから なり、ヒドロキシル当量1340のポリアルキ レングリコール(商標名;ルプラノール200 0)                    d) 9082-00-2 8.00   ポリソルブF690-003(商標名;Polyso rbF690-003)/乾燥剤           1344-00-9 0.96   N-メチルジエタノールアミン/触媒         105-59-9 0.30   消泡剤                       63148-53-8 1.28   二酸化チタン                    13463-67-7 前記混合物は、密度1.08g/ml(20℃)及び粘度2240mPa.s.(20℃)を有する白色液体である。これは、幾つかの液体相を生成することなく少なくとも6箇月間室温で貯蔵することができる。 実施例3 他のポリオール成分は下記構成要素を混合することによって製造される。 重量%  成分/構成要素に相当する          CAS NO. 31.7   テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレ ンジアミン〔クアドロールL(商標名;Quadro l L〕                   a) 102-60-3 28.0   トリメチロールプロパンを用いて出発し、そし てエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド 単位とからなり、ヒドロキシル当量2150の ポリアルキレングリコール(商標名;ルプラノ ール2042)               b)52624-57-4 13.8   当量325を有するポリテトラヒドロフラン     25190-06-1 15.6   グリセロールを用いて出発し、そしてエチレン オキシド単位とプロピレンオキシド単位とから なり、ヒドロキシル当量1340のポリアルキ レングリコール(商標名;ルプラノール200 0)                    d) 9082-00-2 6.6   ポリソルブF690-003(商標名)/乾燥 剤                        1344-00-9 2.9   N-メチルジエタノールアミン/触媒         105-59-9 0.6   消泡剤                      63148-53-8 0.8   黒色染料                     13463-67-7 前記混合物は、密度1.01-1.03g/ml(25℃)及び粘度1550-1750mPa.s.(25℃)を有する黒色液体である。それは172℃の引火点を有し、そして幾つかの液体相を生成することなく数箇月間室温で貯蔵することもできる。 実施例4 ポリイソシアネート成分は、デスモドゥールCD(商標名;部分カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン)70重量%とデスモドゥールVL50(商標名;工業級ジイソシアナトジフェニルメタン)30重量%とから製造される。このイソシアネート成分は、密度1.22g/ml及び粘度30mPa.s.(25℃)を有する。 それは、実施例2のポリオール成分と77対100の重量比で手作業で混合される。得られた混合物は25分の可使時間を有し、そしてそれ故特に手作業での注型のために適している。この混合物の硬化は、表2に示す性質を有するポリウレタン材料を与える。 実施例5 ポリイソシアネート成分としての粗工業級ジイソシアナトジフェニルメタン(混合物)は、実施例3のポリオール成分と80対100の重量比で機械的に混合される。得られた混合物は40秒の可使時間を有し、そして反応射出成形法によって成形品に加工される。これは、表2に示す性質を有するポリウレタン材料を与える。 前記反応混合物の他の部分は、100×40×1mmの寸法を有する幾つかのストリップ様成形品に注型成形する。室温で約5分後、この成形品は約20のショアーD硬度を有し、そして成形型から丁度除去することができる。前記材料は、成形型から除去後即座に中心において約90°前記ストリップのうちの最初の一つを曲げることによって(曲げ軸は、前記ストリップの40mm広幅に平行に走っている)、硬化相中に生じるであろう幾分かの脆化度に関して試験される。他のストリップを次いで、除去された状態において室温で更に硬化させる。続く時間中に、上記試験は各々の場合において更に5分後に前記ストリップのうちの他の一つを用いて行われる。 実施例6 実施例4に使用されるポリイソシアネート成分は、実施例3のポリオール成分と77対100の重量比で機械的に混合される。得られた混合物は55秒の可使時間を有し、そして実施例5の如く反応射出成形法によって成形品に変換され、表2に示す性質を有するポリウレタン材料が得られる。 【表2】 *室温 **14時間/80℃で硬化後 ***フラクチャーなし 硬化中の脆化相は、実施例4及び6で使用した反応混合物の何れにおいても全く見出されなかった。 実施例7 ポリオール成分は下記構成要素を混合することによって製造される。 重量%  成分/構成要素に相当する          CAS NO. 62.26   平均ヒドロキシル当量140を有するサッカロ ーズを用いて出発したポリプロピレングリコー ルとグリセロールを用いて出発したポリプロピ レングリコールとの混合物(商標名;ルプラノ ール3321)               a)56731-02-3 6   トリメチロールプロパンを用いて出発し、そし てエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド 単位とからなり、ヒドロキシル当量2150の ポリアルキレングリコール(商標名;ルプラノ ール2042)               b)52624-57-4 13.7   ヒドロキシル当量200(官能性2)を有する ポリプロピレングリコール          c) 8.37   グリセロールを用いて出発し、そしてエチレン オキシド単位とプロピレンオキシド単位とから なり、ヒドロキシル当量1340のポリアルキ レングリコール(商標名;ルプラノール200 0)                    d) 9082-00-2 8.00   ポリソルブF690-003(商標名)/乾燥 剤                        1344-00-9 0.96   N-メチルジエタノールアミン/触媒         105-59-9 0.30   消泡剤                     63148-53-8 ポリオール成分は、例えば実施例4に記載したポリイソシアネート成分と100対80の重量比で機械的に混合される。得られた混合物は32分の可使時間を有し、そしてそれ故手作業での注型に特に適している。表3に示す性質を有するポリウレタン材料は、この混合物を硬化させることによって得られる。 実施例8 ポリオール成分は下記構成要素を混合することによって製造される。 重量%  成分/構成要素に相当する          CAS NO. 62.26   平均ヒドロキシル当量140を有するサッカロ ーズを用いて出発したポリプロピレングリコー ルとグリセロールを用いて出発したポリプロピ レングリコールとの混合物(商標名;ルプラノ ール3321)               a)56731-02-3 6   ヒドロキシル当量2000、分子量4000を 有するSANポリマー-ポリオール〔ポリウラ ックスRP1464(商標名;Polyurax RP 1464)〕                b) 13.72   ヒドロキシル当量200(官能性2)を有する ポリプロピレングリコール          c) 8.37   グリセロールを用いて出発し、そしてエチレン オキシド単位とプロピレンオキシド単位とから なり、ヒドロキシル当量1340のポリアルキ レングリコール(商標名;ルプラノール200 0)                    d) 9082-00-2 8.00   ポリソルブF690-003(商標名)/乾燥 剤                        1344-00-9 0.96   N-メチルジエタノールアミン/触媒          105-59-9 0.30   消泡剤                     63148-53-8 ポリオール成分は、例えば実施例4に記載したポリイソシアネート成分と100対80の重量比で機械的に混合される。得られた混合物は30分の可使時間を有する。表3に示す性質を有するポリウレタン材料は、この混合物を硬化させることによって得られる。 実施例9 ポリオール成分は下記構成要素を混合することによって製造される。 重量%  成分/構成要素に相当する          CAS NO. 62.26   平均ヒドロキシル当量140を有するサッカロ ーズを用いて出発したポリプロピレングリコー ルとグリセロールを用いて出発したポリプロピ レングリコールとの混合物(商標名;ルプラノ ール3321)               a)56731-02-3 6   ヒドロキシル当量2000、分子量6000を 有するポリウレタン分散-ポリオール〔デスモ フェン1920D(商標名;Desmophen 192 0D)〕                  b) 13.72   ヒドロキシル当量200(官能性2)を有する ポリプロピレングリコール          c) 8.37   グリセロールを用いて出発し、そしてエチレン オキシド単位とプロピレンオキシド単位とから なり、ヒドロキシル当量1340のポリアルキ レングリコール(商標名;ルプラノール200 0)                    d) 9082-00-2 8.00   ポリソルブF690-003(商標名)/乾燥 剤                        1344-00-9 0.96   N-メチルジエタノールアミン/触媒         105-59-9 0.30   消泡剤                     63148-53-8 ポリオール成分は、例えば実施例4に記載したポリイソシアネート成分と100対80の重量比で機械的に混合される。得られた混合物も30分の可使時間を有する。表3に示す性質を有するポリウレタン材料は、この混合物を硬化させることによって得られる。 【表3】 *室温 **14時間/80℃で硬化後」(段落【0042】~【0060】) 5 引用例に記載された発明 摘示(1)において、請求項1を引用する請求項5をさらに引用する請求項6に係る発明に着目し、摘示(1)の記載を総合すれば、引用例には、次のとおりの発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているといえる。 「(A)a)150までのヒドロキシル当量及び4ないし8の官能性を有するポリオール、 b)1900より多いヒドロキシル当量及び2ないし4の官能性を有するポリエーテル-ポリオール、及び c)2ないし3の官能性を有するポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン(これらは各々、150ないし500のヒドロキシル当量を有する)、又は前記2種の混合物からなる少なくとも1種のポリオール成分と、 (B)カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン5ないし20重量%、一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー2ないし10重量%、及びモノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物(この混合物は、順に4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン45ないし90重量%並びに2,4′-及び2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン10ないし55重量%からなる)70ないし93重量%からなるポリイソシアネート成分とを含み、 ポリイソシアネート成分とポリオール成分とが混合物を硬化させるために充分な総量で混合される、ポリウレタン成形品の製造のための反応混合物。」 6 対比 本願発明と引用例発明とを対比する。 (1)引用例発明の「(A)ポリオール成分」と本願発明の「ポリオール」とを以下に対比する。 引用例発明の「ポリオール成分」は、「a)150までのヒドロキシル当量及び4ないし8の官能性を有するポリオール」と「c)2ないし3の官能性を有するポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン(これらは各々、150ないし500のヒドロキシル当量を有する)、又は前記2種の混合物の少なくとも1種」とを含有するものである。 ここで、ヒドロキシル当量と官能基(水酸基)の数を掛け合わせたものが数平均分子量となるから、これらa)及びc)は、本願発明の「200g/mol~3000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1種のポリオール」と重複一致する範囲を包含している。 そうすると、引用例発明の「ポリオール成分a)及びc)」は、本願発明の「200g/mol~3000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1種のポリオール」に相当する。 (2)引用例発明の「(B)ポリイソシアネート成分」と本願発明の「ポリイソシアネート」とを以下に対比する。 引用例発明の「(B)ポリイソシアネート成分」は、「カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン5ないし20重量%、一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー2ないし10重量%、及びモノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物(この混合物は、順に4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン45ないし90重量%並びに2,4′-及び2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン10ないし55重量%からなる)70ないし93重量%からなる」ものである。 ここで、「カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン」、「モノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物」の分子量は、それぞれ「456」、「250」である。 そして、「一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー」の分子量は、「131n+250」で表され、その場合のNCO基の数は、「n+2」で表され、このNCO当量は、(131n+250)/(n+2)で表されるものであることが計算され、例えば、n=1の場合には、分子量が「381」で、NCO当量が「127」であり、摘示(2)の記載からすれば、「nは通常8までの値を取る」ものと認められるところ、仮にn=10の場合であっても、分子量が「1560」で、NCO当量が「130」であって、nが最大でもNCO当量が「131」未満であることが理解される。 そうすると、(B)ポリイソシアネート成分中の元の全NCO基に対するカルボジイミド化しているNCO基の割合について、そのとり得る存在量を計算すると、最小となるのは、「カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン」を5重量%、「モノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物」を93重量%及び「一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー」としてn=1のものを2重量%含む場合であるから、この場合のカルボジイミド化しているNCO基の割合は、2.7mol%と計算される。 また、斯かるNCO基の量が最大となるのは、「カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン」を20重量%、「一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー」としてnが大きいものを10重量%及び「モノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物」を70重量%含む場合であるから、この場合のカルボジイミド化しているNCO基の割合は、10.8mol%と計算される。 そうすると、引用例発明の(B)ポリイソシアネート成分中の元の全NCO基に対するカルボジイミド化しているNCO基の割合は、2.7~10.8mol%であり、本願発明の「ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている」と重複一致する範囲を包含している。 してみると、引用例発明の「(B)カルボジイミド化ジイソシアナトジフェニルメタン5ないし20重量%、一般式OCN-〔C6 H4 〕-CH2 -〔〔-〔C6 H3 (NOC)〕-CH2 -〕〕n -〔C6 H4 〕-NCO(式中、nは≧1)で表わされる種類のジイソシアナトジフェニルメタンポリマー2ないし10重量%、及びモノマー状ジイソシアナトジフェニルメタン異性体混合物(この混合物は、順に4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタン45ないし90重量%並びに2,4′-及び2,2′-ジイソシアナトジフェニルメタン10ないし55重量%からなる)70ないし93重量%からなるポリイソシアネート成分」は、本願発明の「ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている」、「ポリイソシアネート」に相当する。 (3)以上のことから、本願発明と引用例発明との一致点及び相違点は、次のとおりのものであるといえる。 <一致点> 「・200g/mol~3000g/molの数平均分子量を有する少なくとも1種のポリオール、 ・少なくとも1種のポリイソシアネート、 を含有するポリウレタン組成物であって、ポリイソシアネートが使用され、ここで、ポリイソシアネートの3~25mol%のNCO基がカルボジイミドおよび/またはウレトンイミンに変換されている、ポリウレタン組成物。」 である点。 <相違点1> 組成物の粘度に関し、本願発明では、「20mPa・s~3000mPa・s(EN ISO 2555、25℃)の粘度を有し」と特定するのに対して、引用例発明では、そのような特定がない点。 <相違点2> ポリオールとポリイソシアネートの使用量に関し、本願発明では、「10~80重量%のポリオール」及び「5~70重量%のポリイソシアネート」と特定するのに対して、引用例発明では、「ポリイソシアネート成分とポリオール成分とが混合物を硬化させるために充分な総量で混合される」点。 <相違点3> NCO:OH比に関し、本願発明では、「組成物は2:1~1:2のNCO:OH比を有し」と特定するのに対して、引用例発明では、そのような特定がない点。 <相違点4> ポリウレタン組成物に関し、本願発明では、「二成分型」と特定するのに対して、引用例発明では、「二成分型」と明記されていない点。 7 判断 (1)相違点1について 引用例には、組成物の粘度について「前記反応混合物は、通常例えば500ないし1500mPa.s.の範囲内の非常に低い混合粘度を有する。」(摘示(4))と記載されており、当該粘度が何度の温度において測定したものであるのか直接的に記載していないものの、引用例の実施例2では「20℃」での粘度が、同じく実施例3、4では「25℃」での粘度が、それぞれ記載されている(摘示(5))。 そうすると、引用例における摘示(4)の記載は、25℃における粘度、あるいはせいぜい20℃における粘度であると解するのが自然である。そして、当該粘度は、20℃と25℃とで数値が大きく相違するものではない。 してみると、引用例発明において、引用例の摘示(4)の記載を基に、混合物の粘度を当該記載の程度に決定することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (2)相違点2について 引用例発明では、ポリオールとポリイソシアネートの使用量に関し直接的に特定していないものの、引用例には、イソシアネート成分はポリオール成分と「77対100の重量比」(実施例4及び6)、「80対100の重量比」(実施例5)で混合され、ポリオール成分はイソシアネート成分と「100対80の重量比」(実施例7ないし9)で混合されたことが記載されており(摘示(5))、イソシアネート成分とポリオール成分とが77~80対100の重量比であるとは、ポリオール成分が55.6~56.5重量%とイソシアネート成分が43.5~44.4重量%で混合するものを意味し、仮に、イソシアネート成分とポリオール成分とが逆の比率であるとしても、ポリオール成分が43.5~44.4重量%とイソシアネート成分が55.6~56.5重量%で混合するものを意味するものである。 そうすると、引用例発明において、引用例の摘示(5)の記載を基に、ポリオール成分とイソシアネート成分の使用量を当該記載の程度に決定することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (3)相違点3について 引用例には、NCO:OH比に関し、「本発明の反応混合物は、通常70と130との間のイソシアネート係数(100倍された、イソシアネート基の数と反応混合物中のイソシアネート基と反応することが可能な基の数との商)に相当し、好ましくは90と110との間のイソシアネート係数に相当する慣用量のポリイソシアネートを含む。」(摘示(3))と記載されており、当該70と130との間のイソシアネート係数とは、0.7:1~1.3:1のNCO:OH比、すなわち1.3:1~1:1.43のNCO:OH比を意味するものである。 そうすると、引用例発明において、摘示(3)の記載を基に、イソシアネート係数すなわちNCO:OH比を当該記載の程度に決定することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (4)相違点4について 引用例発明は、「(A)ポリオール成分」と、「(B)ポリイソシアネート成分」とを含み、「ポリイソシアネート成分とポリオール成分とが混合物を硬化させるために充分な総量で混合される」、「ポリウレタン成形品の製造のための反応混合物。」に係るものであるから、二成分型と明記されていないとしても、実質的に二成分型のポリウレタン組成物であるといえる。 そもそも、ポリウレタン組成物の技術分野において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との二成分型として使用することは、技術常識にすぎない。 そうすると、相違点4は、本願発明と引用例発明との実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用例発明において、二成分型を採用することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (5)効果について 請求人は、平成28年10月25日付け意見書において、「引用文献1~3のいずれにも、ポリイソシアネート成分の貯蔵安定性に関する課題及びその効果を教示又は示唆する記載は全く存在しません。」と主張している(3頁23~25行)。 しかしながら、引用例には、「相対的に純粋な4,4′-ジイソシアナトジフェニルメタンは0℃ないし室温で晶析する傾向があり、そしてそれ故例えば低温で貯蔵することができない。しかしながら、上記の如く中間色のポリイソシアネート成分は上記範囲内の低温でさえも流動可能性を残している。」(摘示(2))と記載されているから、引用例発明においても、低温でさえも流動可能性を残している、すなわち貯蔵安定性に優れるという効果を奏していることは明らかである。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 (6)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、平成27年8月28日に提出された手続補正書により補正された本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 原査定の理由は妥当なものである。 したがって、他の請求項に係る発明についてさらに検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-011569

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