特許拒絶査定不服審判
2017-009894
画像形成システム、画像形成装置、および後処理装置
- 審判番号
- 2017-009894
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-263478
- 請求日
- 2017年07月04日
- 審決日
- 2018年11月12日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】八田国際特許業務法人
- 審判長/審判官
- 審判長 吉村 尚
- 審判官 荒井 隆一
- 審判官 尾崎 淳史
- 分類
- P18 .121-WY (G03G) / P18 .536-WY (G03G) / P18 .537-WY (G03G) / P18 .55 -WY (G03G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-263478「画像形成システム、画像形成装置、および後処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日出願公開、特開2016-122154、請求項の数(25)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年12月12日付け:拒絶理由通知書
平成29年2月7日 :手続補正書の提出
平成29年3月28日付け :拒絶査定
平成29年7月4日 :審判請求書の提出
平成30年4月24日付け :拒絶理由通知書
平成30年6月26日 :手続補正書の提出
平成30年8月23日付け :拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年10月5日 :手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成29年3月28日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
この出願の各請求項に係る発明は、以下の引用文献1~7に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等
1.特開2009-196774号公報
2.特開2013-256339号公報
3.特開2012-237924号公報
4.特開2007-279550号公報
5.特開2009-35379号公報
6.特開2013-227088号公報
7.特開平9-110269号公報
第3 当審拒絶理由の概要
1 平成30年4月24日付けの当審拒絶理由の概要
平成30年4月24日付けの当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
(1)本願請求項1-7、9-15、17-19に係る発明は、以下の引用文献1~2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
引用文献等
1.特開2009-196774号公報
2.特開2013-256339号公報
2 平成30年8月23日付けの当審拒絶理由の概要
平成30年8月23日付けの当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
平成30年6月26日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願請求項1~25に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明25」という。)は、平成30年10月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~25に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1~25は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
画像形成装置と当該画像形成装置に連結された後処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
トナー画像が転写された記録シートを加熱および加圧して、当該トナー画像を前記記録シートに定着させる定着部を有し、
前記後処理装置は、
前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、
前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、を有する、画像形成システム。
【請求項2】
前記後処理装置は、
前記加湿部が備えられた第1のシート搬送路と、
前記加湿部をバイパスする第2のシート搬送路と、
前記第1のシート搬送路と前記第2のシート搬送路とを切り替える搬送路切替部と、をさらに有し、
前記電圧印加部は、前記第1のシート搬送路と前記第2のシート搬送路とが合流する箇所より搬送方向下流側に配置されている、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記記録シートが塗工紙であるか否かを判定するシート判定部と、
前記記録シートが塗工紙であると判定される場合、前記記録シートが前記第1のシート搬送路を搬送されるように前記搬送路切替部を制御し、前記記録シートが塗工紙でないと判定される場合、前記記録シートが前記第2のシート搬送路を搬送されるように前記搬送路切替部を制御する搬送路制御部と、をさらに有する、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記記録シートが塗工紙でないと判定される場合、前記記録シートの面積に占める前記トナー画像の面積の割合であるカバレッジが所定値以上であるか否かを判定するカバレッジ判定部と、
前記カバレッジが所定値以上であると判定される場合、前記記録シートに前記電圧が印加されるように前記電圧印加部をオン状態に制御し、前記カバレッジが所定値未満であると判定される場合、前記記録シートに前記電圧が印加されないように前記電圧印加部をオフ状態に制御する第1の電圧制御部と、をさらに有する、請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記加湿部による加湿の後、前記電圧印加部による除電を行う第1の処理と、
前記加湿部による加湿を行わず、前記電圧印加部による除電を行う第2の処理と、
を紙種情報に基づいて切り替える、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記加湿部による加湿の後、前記電圧印加部による除電を行う第1の処理と、
前記加湿部による加湿を行わず、前記電圧印加部による除電を行う第2の処理と、
前記加湿部による加湿も前記電圧印加部による除電も行わない第3の処理と、
を紙種情報および前記記録シートのカバレッジ情報に基づいて切り替える、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記電圧印加部は、前記記録シート上の電荷を除去するように、前記記録シートに前記電圧を印加する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記電圧印加部を複数枚の記録シートが連続的に通過する場合、1枚の記録シートが前記電圧印加部を通過する度に、前記電圧印加部のオン状態とオフ状態とを切り替えて、前記後処理装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する第2の電圧制御部をさらに有する、請求項1~3、5のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記電圧印加部は、所定の電圧が印加される一対の導電性ゴムローラーにより構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
トナー画像が定着される記録シートの面が両面か片面かを示す面情報、記録シートの坪量を示す坪量情報、および前記画像形成装置が設置された場所の周囲の環境を示す環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記加湿部による前記記録シートの加湿量を制御する加湿量制御部をさらに有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項11】
トナー画像が定着される記録シートの面は、両面であり、当該両面が加湿される、請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項12】
トナー画像が定着される記録シートの面が両面の場合の加湿量は、トナー画像が定着される記録シートの面が片面の場合の加湿量よりも大きい、請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
トナー画像が転写された記録シートを加熱および加圧して、当該トナー画像を前記記録シートに定着させる定着部と、
前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、
前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、
を有する画像形成装置。
【請求項14】
前記加湿部が備えられた第1のシート搬送路と、
前記加湿部をバイパスする第2のシート搬送路と、
前記第1のシート搬送路と前記第2のシート搬送路とを切り替える搬送路切替部と、をさらに有し、
前記電圧印加部は、前記第1のシート搬送路と前記第2のシート搬送路とが合流する箇所より搬送方向下流側に配置されている、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記記録シートが塗工紙であるか否かを判定するシート判定部と、
前記記録シートが塗工紙であると判定される場合、前記記録シートが前記第1のシート搬送路を搬送されるように前記搬送路切替部を制御し、前記記録シートが塗工紙でないと判定される場合、前記記録シートが前記第2のシート搬送路を搬送されるように前記搬送路切替部を制御する搬送路制御部と、をさらに有する、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記記録シートが塗工紙でないと判定される場合、前記記録シートの面積に占める前記トナー画像の面積の割合であるカバレッジが所定値以上であるか否かを判定するカバレッジ判定部と、
前記カバレッジが所定値以上であると判定される場合、前記記録シートに前記電圧が印加されるように前記電圧印加部をオン状態に制御し、前記カバレッジが所定値未満であると判定される場合、前記記録シートに前記電圧が印加されないように前記電圧印加部をオフ状態に制御する第1の電圧制御部と、をさらに有する、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記電圧印加部は、前記記録シート上の電荷を除去するように、前記記録シートに前記電圧を印加する、請求項13~16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記電圧印加部を複数枚の記録シートが連続的に通過する場合、1枚の記録シートが前記電圧印加部を通過する度に、前記電圧印加部のオン状態とオフ状態とを切り替えて、前記画像形成装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する第2の電圧制御部をさらに有する、請求項13~15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記電圧印加部は、所定の電圧が印加される一対の導電性ゴムローラーにより構成される、請求項13~18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
トナー画像が定着される記録シートの面が両面か片面かを示す面情報、記録シートの坪量を示す坪量情報、および前記画像形成装置が設置された場所の周囲の環境を示す環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記加湿部による前記記録シートの加湿量を制御する加湿量制御部をさらに有する、請求項13~19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
トナー画像が定着される記録シートの面は、両面であり、当該両面が加湿される、請求項13~20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
トナー画像が定着される記録シートの面が両面の場合の加湿量は、トナー画像が定着される記録シートの面が片面の場合の加湿量よりも大きい、請求項21に記載の画像形成装置。
【請求項23】
画像形成装置に連結される後処理装置であって、
前記画像形成装置の定着部によりトナー画像が定着された記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、
前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、
を有する後処理装置。
【請求項24】
トナー画像が定着される記録シートの面は、両面であり、当該両面が加湿される、請求項23に記載の後処理装置。
【請求項25】
トナー画像が定着される記録シートの面が両面の場合の加湿量は、トナー画像が定着される記録シートの面が片面の場合の加湿量よりも大きい、請求項24に記載の後処理装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
上記引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は審決が付した。以下同じ。)
(1)「【0014】
定着ユニット50は、熱源を有した定着ローラ51と加圧ローラ52とで構成されており、ローラ対51,52のニップ部にて中間転写ベルト9からイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色が2次転写されたシートP上のトナー像を溶かして定着させる。」
(2)「【0029】
シートPは、上記したように斜行が補正されると、レジストローラ対46により所定のタイミングで2次転写部に搬送され、この2次転写部において中間転写ベルト9上のトナー像が転写される。このとき転写しきれずに中間転写ベルト9上に残ったトナーはクリーニング装置37によって回収され、回収トナー容器38へ収容される。トナー像が転写されたシートPは、続いて定着ユニット50に達する。定着ユニット50は、定着ローラ51と加圧ローラ52とでシートP上の像を定着させる。その後、搬送路49を搬送ローラ対53、54によって搬送され、電荷付与ローラ対55を介して積載トレイ56へと搬送される。」
(3)「【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態におけるシート搬送装置としてのシート処理装置を備えた画像形成装置ついて図面を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例を示す断面図である。
【0052】
同図において、200は複写機であり、この複写機200は、画像形成装置201と、折り処理部205と、シート処理装置であるフィニッシャ(シート搬送装置)206とを備えている。画像形成装置201は、カセットに収納されたシートを給送するシート給送部202や、シート給送部202により給送されたシートに画像を形成する画像形成部203等を備えている。この画像形成部203にて画像形成されたシートは、不図示の排出ローラによって画像形成装置201から排出され、折り処理部205に受け渡される。」
(4)「【0073】
次いで、正電荷付与ローラ対801及び負電荷付与ローラ対802について、図9~図13を参照して説明する。なお、図9は中綴じ製本部800を取り出して示す断面図、図10は正電荷付与ローラ対801、及び圧力調整装置8010を取り出して示す斜視図、図11は正電荷付与ローラ対801、及び圧力調整装置8010の側方断面図である。また、図12は正電荷付与ローラ対801、及び圧力調整装置8010の第1の動作例を示す斜視図、図13は正電荷付与ローラ対801、及び圧力調整装置8010の第2の動作例を示す斜視図である。また、正電荷付与ローラ対(電荷付与手段、第1電荷付与部)801及び負電荷付与ローラ対(電荷付与手段、第2電荷付与部)802は、それぞれローラの材質が違うのみで構成が等しいため、以下では正電荷付与ローラ対801についてのみ説明する。
【0074】
図9に示すように、正電荷付与ローラ対801は、搬送ローラ対611等によって搬送されるシートと接触する部材である、ローラ(帯電部材)8011とローラ(圧接部材)8012とを有している。ローラ8011は、不図示のモータからの回転を受けて回転軸8011aを中心に回転する。ローラ8012は、ローラ8012の回転軸部材(不図示)の軸受けを有した支持部材8013がその両端部に取り付けられており、ローラ8011の回転によってシートPが搬送される際に、シートPを介してローラ8011に従動回転する。
【0075】
センサ807(第1電荷量検出手段)は、対象物に帯電した電荷量を検出する例えば非接触型の静電気センサであり、正電荷付与ローラ対801のシート搬送方向の上流側に配置され、搬送されるシートPの電荷量を検出する(図8参照)。」
(5)「【0082】
次に、正電荷付与ローラ対801、センサ807、及び圧力調整装置8010による作用について説明する。
【0083】
すなわち、画像形成装置201からフィニッシャ206に搬送されてきたシートPは、画像形成装置201が有している不図示の帯電器等の影響により、一定の方向(極性)で帯電されている。しかし、フィニッシャ206内における搬送パス620等や、入口ローラ対601等の複数の部材と接触することから、これらとの摩擦に起因してシートPに帯電される電荷量や帯電方向は変化し得る。従って、本実施の形態にあっては、センサ807におけるシートPの電荷量の検出結果によって、シートPが負に帯電していれば正電荷付与ローラ対801を、正に帯電していれば負電荷付与ローラ対802を、それぞれの状況に応じて接触させることができる。例えば、正電荷付与ローラ対801にあっては、圧力調整装置8010のモータM6を回転し、カム8015のホームポジションからの回転量を制御することによって、ローラ8011,8012の接触・非接触の状態を変えることができる。更に、ローラ8011とローラ8012とが接触した状態にあっては、カム8015の回転量を制御することによって両者の間の圧接力を変え、搬送されるシートに付与する電荷量を調整することができるものとなる。これにより、本実施の形態における正電荷付与ローラ対801及び負電荷付与ローラ対802によっては、フィニッシャ206内に搬送されてきたシートPの帯電方向に合わせた電荷を付与することができるようになる。更に、それぞれの接触時には、帯電方向だけでなく、シートPに付与する電荷量をも柔軟且つ有効に変え得るような除電処理を行うことができることとなる。」
(6)引用文献1の、段落【0009】~【0050】は第1の実施の形態に関するもので、【0051】~【0089】は第2の実施の形態に関するものであるが、第2の実施の形態における「画像形成装置」は、第1の実施の形態の「画像形成装置」と同様な「定着ユニット」を有していることは自明である。
上記(1)~(6)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「画像形成装置と、折り処理部と、シート処理装置であるフィニッシャとを備えた複写機であって、
画像形成装置が有する定着ユニットは、熱源を有した定着ローラと加圧ローラとで構成されており、ローラ対のニップ部にて中間転写ベルトからイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色が2次転写されたシート上のトナー像を溶かして定着させ、
シート処理装置であるフィニッシャーでは、
対象物に帯電した電荷量を検出する非接触型の静電気センサは、正電荷付与ローラ対のシート搬送方向の上流側に配置され、搬送されるシートの電荷量を検出し、
センサにおけるシートの電荷量の検出結果によって、シートが負に帯電していれば正電荷付与ローラ対を、正に帯電していれば負電荷付与ローラ対を、それぞれの状況に応じて接触させ、正電荷付与ローラ対が接触した状態でカムの回転量を制御することによって両者の間の圧接力を変え、搬送されるシートに付与する電荷量を調整することができるものとなり、
これにより、シートの帯電方向に合わせた電荷を付与することができるようになり、更に、帯電方向だけでなく、シートに付与する電荷量をも柔軟且つ有効に変え得るような除電処理を行うことができる、
複写機。」
2 引用文献2について
上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)「【0023】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図である。この画像形成システムは、画像形成装置10と、用紙処理装置20とで構成されている。」
【0024】
画像形成装置10は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、用紙Pに帯電像を用いて画像を形成する。画像形成装置10は、原稿読取装置5と、感光体11と、帯電部12と、像露光部13と、現像部14と、転写部15Aと、分離部15Bと、クリーニング装置16と、定着装置18と、画像形成制御部19とを有する。」
(2)「【0028】
用紙収納部17Aに収納された用紙Pは、転写部15Aへ給紙される。転写部15Aは、感光体11の表面上のトナー画像を用紙Pへ転写し、その後、分離部15Bは、トナー画像が転写された用紙Pを感光体11から分離する。中間搬送部17Bは、分離された用紙Pを定着装置18へ搬送する。定着装置18は、用紙Pに対する加熱及び加圧により定着処理を施す。排紙部17Cは、定着処理が施された用紙Pを用紙処理装置20へ排出する。一方、クリーニング装置16は、転写部15Aによりトナー画像が用紙P上へ転写された後の感光体11の表面に残留しているトナーを除去する。
【0029】
用紙Pの両面に画像形成を行う場合、定着装置18により定着処理が施された用紙Pは、搬送路切換ゲート17Dにより、その搬送方向が排紙部17C側とは異なる反転搬送部17E側へと切り換えられる。反転搬送部17Eは、用紙Pをスイッチバックすることにより用紙Pの表裏を反転させた上で用紙Pを転写部15Aへ搬送する。転写部15Aは、トナー画像を用紙Pの裏面へ転写し、当該用紙Pは定着装置18を経て、排紙部17Cから用紙処理装置20へ排出される。」
(3)「【0032】
用紙処理装置20は、画像形成装置10の後段に配置されており、画像形成装置10から供給される用紙Pに対して、用紙Pの所定辺の端部に一つ以上の貫通孔を形成するパンチ処理を行う。この用紙処理装置20は、加湿部30と、切断部としてのパンチ部40と、用紙処理制御部60とを主体に構成されている。なお、用紙処理装置20は、パンチ処理が施された用紙Pに対して、その他の処理(例えば所定の部材により複数枚の用紙を束ねる処理であるリングバインド処理など)を追加的に行うことができる構成であってもよい。」
(4)「【0038】
図2は、用紙処理装置20の要部の構成を拡大して示す説明図である。加湿部30は、用紙Pの搬送経路においてパンチ部40よりも上流側に配置されている。なお、加湿部30の位置を定義する上で「パンチ部40よりも上流側」とは、用紙Pをパンチ部40へと供給するシーンを想定したものであり、そのため、スイッチバック後の用紙Pの搬送経路を基準とした場合には、加湿部30は、用紙Pの搬送経路においてパンチ部40よりも下流側に配置されることとなる。
【0039】
加湿部30は、一対の加湿ローラー31、給水ローラー32、給水槽33を主体に構成されている。図3に示すように、一対の加湿ローラー31は互いに圧接して構成されており、当該ローラーのニップ部が用紙Pの搬送経路と対応して配置されている。一対の加湿ローラー31にはそれぞれ給水ローラー32に接触しており、個々の給水ローラー32はそれぞれ給水槽33に収容されて、その内部に貯水された加湿液、例えば水に浸漬されている。給水槽33には、この給水槽33に所定容量の水が貯水されるように、図示しない水タンクから必要量の水が適宜給水される。
【0040】
この加湿部30において、加湿ローラー31及び給水ローラー32は用紙Pの搬送に対応してそれぞれ回転し、給水ローラー32から加湿ローラー31へと水が補給される。そして、加湿ローラー31から用紙Pへと水が付与されることにより、用紙Pの両面に対する加湿が行われつつ、用紙Pが搬送される。これにより、用紙Pがパンチ部40へと供給されるシーンにおいて、用紙Pの先端が用紙先端ストッパー(ダイ42)に到達するまでに、用紙Pの先端側の所定領域が当該加湿ローラー31を通過する。また、用紙Pがパンチ部40から排出されるシーンにおいて、用紙Pの後端(用紙Pがパンチ部40へと供給されるシーンにおける用紙Pの先端に相当)が加湿部30を抜けるまでに、用紙Pの後端側の所定領域が当該加湿ローラー31を通過する。」
(5)「【0060】
このように本実施形態において、用紙処理装置20は、搬送経路に沿って搬送された用紙Pを処理対象として当該用紙Pの一部を切断するパンチ部40と、この搬送経路においてパンチ部40より上流側に配置されており、搬送される用紙Pに対してパンチ部40により切断されるパンチ領域Paを含んだ用紙Pの所定領域Raを、用紙Pの全面のなかで選択的に加湿する加湿部30と、を有している。
【0061】
かかる構成によれば、用紙Pの全面に対する加湿ではなく、用紙Pの全面のなかでパンチ領域Paを含んだ用紙Pの所定領域Raのみを選択的に加湿することができる。これにより、用紙Pに過分な加湿が施されるといったことを避けることができるので、搬送不良を抑制することができる。また、同一装置内に加湿部30を設けることで、パンチ部40に近接して加湿部30を設けることができ、用紙Pがパンチ部40に至る前に加湿を行うことで、徐電(審決注:「除電」の誤記と認める。)を行うことができる。これにより、パンチ部40に供給される際には、パンチ領域Paの帯電を除去することができる。そのため、パンチ領域Paに相当する切断屑が発生した際には、その切断屑は帯電していないままの状態で発生することとなる。これにより、切断屑が各所に散乱して付着したり、互いに吸着して特定の箇所に集中した状態で堆積したりするといった事態の発生を抑制することができる。その結果、機内の汚れや、切断屑の堆積量を検出するセンサーが早期に反応してしまうといった不都合が抑制することができる。」
上記(1)~(5)を総合すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「画像形成装置と用紙処理装置とで構成される画像形成システムであって、
画像形成装置は、転写部と定着装置を少なくとも有し、転写部は感光体の表面上のトナー画像を用紙へ転写し、定着装置は用紙に対する加熱及び加圧により定着処理を施し、用紙は定着装置を経て排紙部から用紙処理装置へ排出され、
用紙処理装置は加湿部を少なくとも有し、
加湿部は、一対の加湿ローラー、給水ローラー、給水槽を主体に構成され、
この加湿部において、加湿ローラー及び給水ローラーは用紙の搬送に対応してそれぞれ回転し、給水ローラーから加湿ローラーへと水が補給され、そして、加湿ローラーから用紙へと水が付与されることにより、用紙の両面に対する加湿が行われ、
用紙がパンチ部に至る前に加湿を行うことで、除電を行うことができる、
画像形成システム。」
3 引用文献3について
上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)「【0027】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
画像形成装置1は、図1に全体構成を示すように、第1画像形成装置本体1と第2画像形成装置本体2とを有しており、第1画像形成装置本体1と第2画像形成装置本体2との間に、加湿デカーラユニット3、反転排紙ユニット4が用紙搬送方向においてこの順に連結されている。第2画像形成装置本体2の後段に後処理装置5が連結されている。第1画像形成装置本体1内から加湿デカーラユニット3、反転排紙ユニット4、第2画像形成装置本体2、後処理装置5に亘って用紙を搬送する搬送部6が設けられている。」
(2)「【0029】
具体的には、帯電部により帯電された感光体ドラム12a上に、露光部から画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。この際に、適宜の画像倍率に調整した画像データを生成することができる。現像部は、静電潜像が形成された感光体ドラム12aの表面に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像する。現像部によりトナーが付着された感光体ドラム12aは、転写部12bが配置された転写位置で用紙にトナー画像を転写する。感光体ドラム12aは、トナー像の転写後、クリーニング部によって表面の残留電荷や残留トナー等が除去される。
画像が転写された用紙は、定着部13において加熱されて画像の定着がなされ、後段側の加湿デカーラユニット3に排紙される。」
(3)「【0032】
次に、加湿デカーラユニット3の詳細について説明する。
加湿デカーラユニット3内には搬送部6が配置されており、第1画像形成装置本体1から排出された用紙を受け入れて搬送する。搬送部6は、加湿デカーラユニット3内で、第1搬送部30と第2搬送部35とに分岐しており、それぞれへの搬送切替が可能になっている。
第1搬送部30側には、給水タンク31と該給水タンクから水分が供給されて、用紙に水を付与する用紙加湿部32とが設けられている。
また、第1搬送部30と第2搬送部35とは、分岐後、合流しており、合流位置の下流側で搬送部6にデカーラ部36が介設されている。
加湿デカーラユニット3では、用紙に加湿を行う場合には、第1搬送部30で用紙を搬送し、用紙加湿部32で給水タンク31から供給される水分で用紙を加湿する。
用紙に加湿を行わない場合には、第2搬送部35で用紙を搬送し、用紙加湿部32はバイパスする。第1搬送部30と第2搬送部35の合流後は、デカーラ部36で用紙のカール矯正がなされる。したがって、用紙への加湿の有無に拘わらず、カール矯正を行うことができる。
加湿デカーラユニット3内の用紙は、搬送部6で搬送されて後段側の反転排紙ユニット4へと排紙される。」
上記(1)~(3)を総合すると、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
「第1画像形成装置本体と第2画像形成装置本体とを有し、
第1画像形成装置本体と第2画像形成装置本体との間に、加湿デカーラユニット、反転排紙ユニットが用紙搬送方向においてこの順に連結されており、
画像が転写された用紙は、定着部において加熱されて画像の定着がなされ、後段側の加湿デカーラユニットに排紙され、
加湿デカーラユニットでは、用紙に加湿を行う場合には、第1搬送部で用紙を搬送し、用紙加湿部で給水タンクから供給される水分で用紙を加湿し、
用紙に加湿を行わない場合には、第2搬送部で用紙を搬送し、用紙加湿部はバイパスされ、第1搬送部と第2搬送部の合流後は、デカーラ部で用紙のカール矯正がなされ、
用紙への加湿の有無に拘わらず、カール矯正を行うことができる、
画像形成装置。」
4 引用文献4について
上記引用文献4には、次の事項が記載されている。
(1)「【0008】
加熱定着装置から排出された用紙を用紙加湿装置により加湿する事で、用紙の波打ちを低減する事ができる。しかし、用紙の加湿によって用紙の腰(剛性)が大幅に低減する。このため用紙排出手段や、画像形成装置に接続された用紙後処理装置において、ジャム等の用紙搬送不良が多発し信頼性が低下する。」
(2)「【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図であり、該画像形成装置は画像形成装置本体A、用紙加湿装置Bと用紙重ね合わせ装置Cを備えた用紙処理装置、及び用紙後処理装置(フィニッシャ)FSから構成される。」
(3)「【0033】
用紙加湿装置Bは、用紙導入部100、加湿部110及びバイパス搬送部120を備えている。」
(4)「【0037】
加湿部110内に搬入された用紙Sは、搬送ローラR1,R2に挟持されてUターン状に搬送され、圧接して回転する一対の加湿ローラ111A,111Bにより挟持されて水分が付与されて加湿された後、搬送路116を通過して搬送ローラR3,R4によって挟持、搬送され、搬送路107を通過して、バイパス搬送部120の搬送ローラ121に送り込まれる。」
上記(1)~(4)を総合すると、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。
「画像形成装置本体、用紙加湿装置と用紙重ね合わせ装置を備えた用紙処理装置、及び用紙後処理装置から構成され、
用紙加湿装置は、定着装置により加熱処理されて排出された用紙の波打ちを低減させるものであって、用紙導入部、加湿部及びバイパス搬送部を備えており、
加湿部内に搬入された用紙は、圧接して回転する一対の加湿ローラにより挟持されて水分が付与されて加湿される、
画像形成装置。」
5 引用文献5について
上記引用文献5には、次の事項が記載されている。
(1)「【0025】
図1は、本発明の用紙搬送装置の第1実施形態を適用した画像形成装置示す断面図である。この画像形成装置100は、装置100内で原稿用紙の画像を読取って画像データを取得したり、或いは、外部から受信した画像データを取得し、この画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に形成するものであり、その構成を大別すると、原稿用紙搬送部(ADF)101、画像読取り部102、印字部103、記録用紙搬送部104、及び給紙部105からなる。」
(2)「【0031】
印刷部103は、画像データによって示される原稿を用紙に記録するものであって、感光体ドラム21、帯電器22、光書込みユニット23、現像器24、転写ユニット25、クリーニングユニット26、及び定着装置27等を備えている。」
(3)「【0054】
この用紙搬送装置では、図2(a)、(b)に示すように定着装置27の記録用紙排出側に設けられた一対の搬送ローラ41から一対の排紙ローラ46までの範囲で、搬送経路43に加湿気流を供給する。」
(4)「【0059】
加湿装置63は、搬送経路43に加湿気流を送風するものであり、各搬送ローラ41の下流側近傍でかつ搬送経路43の側部に設けてられている。この加湿装置63は、送風ファン64と、送風ファン64の排気側に設けられた加湿部材65とを備えている。加湿部材65は、繊維質もしくは多孔質の部材であり、水分を随時供給されて保持している。送風ファン64から送風された気流は、加湿部材65を通過するが、このときに加湿されて、高湿度の気流(加湿気流と称す)となり、搬送経路43へと吹き出される。」
(5)「【0063】
このような構成において、多数の記録用紙が搬送経路43で次々と高速搬送されたならば、各搬送ローラ41や各排紙ローラ46と記録用紙間の摩擦により大量に紙粉が発生するが、加湿装置63からの加湿気流が搬送経路43に沿って搬送方向Aに流れ、搬送経路43の雰囲気湿度が高く維持されているので、紙粉が静電気を帯び難く、また紙粉の帯電電荷が高湿度雰囲気中で速やかに放電され、紙粉が光学センサ62の検出面62aに静電吸着されることがない。このため、紙粉の付着により光学センサ62の検出感度が劣化したり、誤検出が生じることがない。」
上記(1)~(5)を総合すると、引用文献5には、以下の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されている。
「原稿用紙搬送部、画像読取り部、印字部、記録用紙搬送部、及び給紙部からなり、
印刷部は、画像データによって示される原稿を用紙に記録するものであって、感光体ドラム、帯電器、光書込みユニット、現像器、転写ユニット、クリーニングユニット、及び定着装置等を備えており、
定着装置の記録用紙排出側に設けられた一対の搬送ローラから一対の排紙ローラまでの範囲で、加湿装置により搬送経路に加湿気流を供給し、
加湿装置からの加湿気流が搬送経路に沿って搬送方向に流れ、搬送経路の雰囲気湿度が高く維持されているので、紙粉が静電気を帯び難く、また紙粉の帯電電荷が高湿度雰囲気中で速やかに放電され、紙粉が光学センサの検出面に静電吸着されることがなく、このため、紙粉の付着により光学センサの検出感度が劣化したり、誤検出が生じることがない、
画像形成装置。」
6 引用文献6について
上記引用文献6には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
シートが積載される積載部と、
前記積載部にシートを排出する排出部と、
前記排出部のシート排出方向下流に配置されて、前記積載部に積載前のシートを帯電させる帯電部と、
前記積載部に積載前のシートの電位に応じた補正電圧を前記帯電部に印加してシートを帯電させるように前記帯電部を制御するシート帯電制御部と、を備える、
ことを特徴とするシート積載装置。」
(2)「【0013】
<第1の実施形態>
図1において、100はカラー画像形成装置であり、100Aはカラー画像形成装置本体(以下「装置本体」という)である。なお、カラー画像形成装置は構成上から主に、複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式と、円筒状に配置したロータリ方式とに分類される。また、転写方式としては、感光体ドラムから直接シートにトナー像を転写する直接転写方式と、一旦中間転写体に転写した後シートに転写する中間転写方式とに分類される。」
(3)「【0015】
装置本体100Aには、画像形成部513と、シートSを搬送するシート給送部100Bと、画像形成部513で形成されたトナー画像をシート給送部100Bにより給送されたシートSに転写する転写部100Cとが設けられている。また、装置本体100Aには、シートを搬送するシート搬送装置100Dが設けられている。さらに、装置本体100Aには、カラー画像形成装置100の画像形成動作の制御や、帯電器592(図3参照)による帯電制御等を行う制御部9が設けられている。なお、帯電器592は、排出部としての排紙ローラ対60のシート排出方向下流に配置されて、積載部としての積載トレイ500に積載前のシートを帯電させる帯電部を構成する。」
(4)「【0020】
シート搬送装置100Dは、搬送ユニット54、搬送ローラ装置50、斜行補正部を構成する斜行補正装置55、レジストレーションローラ7、定着前搬送部57、シート積載装置59、反転搬送装置501、両面搬送装置502等から構成されている。」
(5)「【0046】
両面搬送装置502に向かう分岐路590(図1も参照)を分岐させた後、積載トレイ500にシートを排出する排紙ローラ対60の下流に、帯電器(帯電部)592が配設されている。排紙ローラ対60から排出されるシートに対して、シート積載時に上述した適正な静電反発力を与えるための補正電圧Vmを帯電器592に印加する。」
(6)「【0059】
本実施形態では、帯電制御部101aが、電位判定部101bにより判定された電位V0に応じて補正電圧算出部101cで決定された補正電圧Vmに基づき、排出時目標電位V1となるように帯電器592によりシートを帯電させる。これにより、積載シート間に適正な静電反発力を発生させるべく積載トレイ500に排出することができ、積載シート間の接触を抑制することで、シートの良好な積載性を確保できると共に、シート同士の接触による画像品質の劣化を防止することができる。」
上記(1)~(6)を総合すると、引用文献6には、以下の発明(以下、「引用発明6」という。)が記載されている。
「装置本体にはシートを搬送するシート搬送装置が設けられ、
シート搬送装置は、搬送ユニット、搬送ローラ装置、斜行補正部を構成する斜行補正装置、レジストレーションローラ、定着前搬送部、シート積載装置、反転搬送装置、両面搬送装置等から構成されており、
シート積載装置は、シートが積載される積載部と、積載部にシートを排出する排出部と、排出部のシート排出方向下流に配置されて、積載部に積載前のシートを帯電させる帯電部と、積載部に積載前のシートの電位に応じた補正電圧を前記帯電部に印加してシートを帯電させるように帯電部を制御するシート帯電制御部と、を備えており、
排紙ローラ対から排出されるシートに対して、シート積載時に適正な静電反発力を与えるための補正電圧を帯電器に印加し、積載シート間に適正な静電反発力を発生させるべく積載部に排出することができ、積載シート間の接触を抑制することで、シートの良好な積載性を確保できると共に、シート同士の接触による画像品質の劣化を防止することができる、
カラー画像形成装置。」
7 引用文献7について
上記引用文献7には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 像形成体上に形成されたトナー像を転写紙に転写し、転写後に熱によりトナー像を定着し、画像を形成する画像形成装置において、トナー像を定着された転写紙を加湿及び熱圧着して紙くせを除去することを特徴とする画像形成装置。」
(2)「【0029】紙くせ除去部80は超音波加湿器83と熱圧着部84とにより構成され、超音波加湿器83は超音波振動子831を付けた容器に水832を入れて水832の液面が一定になるように制御された状態で、超音波振動子831を振動させ、水を霧状に発生させて加湿するものである。また、熱圧着部84は熱ローラ841により圧着しながら加熱するものである。このことにより、前工程での転写紙のカール除去、転写紙のしわ除去、転写時に帯電、また給送中の至る所でこすれて帯電した転写紙の除電等を行う。なお、加湿することにより電気抵抗が下がり静電気が除去でき、また熱ローラ841での加熱温度は100℃以下で、好ましくは60から95℃である。この加熱により、紙くせ、しわが取り除かれる。」
(3)「【0034】(動作説明)像露光手段13により像形成体10に潜像を形成し、現像器20でトナー像を形成する。一方転写紙Pは給送部40より取り出され、転写部30で前記トナー像が転写される。更に、転写紙Pは定着装置50で熱によりトナー像を定着する。次に、転写紙は超音波振動子831を付けた容器に水832を入れて振動させた超音波加湿器83で加湿し、熱圧着部84で熱ローラ841により加熱する。このことにより、紙くせ除去部80で転写紙のカール除去、転写紙のしわ除去、転写紙の除電等を行う。」
上記(1)~(3)を総合すると、引用文献7には、以下の発明(以下、「引用発明7」という。)が記載されている。
「像形成体上に形成されたトナー像を転写紙に転写し、転写後に熱によりトナー像を定着し、画像を形成する画像形成装置であって、
紙くせ除去部は超音波加湿器と熱圧着部とにより構成され、超音波加湿器は超音波振動子を振動させて水を霧状に発生させて転写紙を加湿するものであり、加湿することにより電気抵抗が下がり静電気が除去できるものであって、
転写紙は定着装置で熱によりトナー像が定着され、次に、転写紙は超音波振動子を付けた容器に水を入れて振動させた超音波加湿器で加湿され、熱圧着部で熱ローラにより加熱され、このことにより、紙くせ除去部で転写紙のカール除去、転写紙のしわ除去、転写紙の除電等を行う、
画像形成装置。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「画像形成装置」は、本願発明1の「画像形成装置」に相当する。同様に、引用発明1の「シート処理装置であるフィニッシャー」及び「複写機」は、本願発明1の「後処理装置」及び「画像形成システム」にそれぞれ相当する。
してみると、引用発明1における「画像形成装置と、折り処理部と、シート処理装置であるフィニッシャとを備えた複写機」と、本願発明1における「画像形成装置と当該画像形成装置に連結された後処理装置とを有する画像形成システム」とは、「画像形成装置と後処理装置とを有する画像形成システム」との概念で共通する。
イ 引用発明1において、「画像形成装置」は「定着ユニット」を有しており、当該「定着ユニット」が、「熱源を有した定着ローラと加圧ローラとで構成されており、ローラ対のニップ部にて中間転写ベルトからイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色が2次転写されたシート上のトナー像を溶かして定着させ」るものである点は、本願発明1の、「前記画像形成装置は、トナー画像が転写された記録シートを加熱および加圧して、当該トナー画像を前記記録シートに定着させる定着部を有し」ている点に相当する。
ウ 引用発明1の「シート処理装置であるフィニッシャー」は「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」を有しており、当該「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」は、「対象物に帯電した電荷量を検出する例えば非接触型の静電気センサであるセンサ」による「シートの電荷量の検出結果」によって、「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」を「(シートに)接触させ」、更に、「両者の間の圧接力を変え、搬送されるシートに付与する電荷量を調整することができるものとなり、これにより、シートの帯電方向に合わせた電荷を付与することができるようになり、更に、帯電方向だけでなく、シートに付与する電荷量をも柔軟且つ有効に変え得るような除電処理を行うことができる」ものである。そうすると、引用発明1において、「正電荷付与ローラ対」の間、あるいは「負電荷付与ローラ対」の間には、それぞれ電位差(電圧)があることは明らかであるから、「搬送されるシート」に「電荷を付与」する「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」は、本願発明1において、「記録シートに電圧を印加する電圧印加部」に相当する。
してみると、引用発明1において、「シート処理装置であるフィニッシャー」が、「搬送されるシート」に「電荷を付与」する「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」を有する点と、本願発明1において、「前記後処理装置は、前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、を有する」点とは、「前記後処理装置は、前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部を有する」点において共通する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点がある。
(一致点)
「画像形成装置と後処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
トナー画像が転写された記録シートを加熱および加圧して、当該トナー画像を前記記録シートに定着させる定着部を有し、
前記後処理装置は、
前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部を有する、画像形成システム。」
(相違点1)
本願発明1においては、「後処理装置」が「画像形成装置」に「連結され」ているのに対し、引用発明1では、「画像形成装置」と「シート処理装置であるフィニッシャ」との間には「折り処理部」があり、「シート処理装置であるフィニッシャ」は「画像形成装置」に連結されているとはいえない点。
(相違点2)
本願発明1においては、「後処理装置」は、「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」を有するのに対し、引用発明1はそのような構成を有していない点。
(相違点3)
本願発明1においては、「電圧印加部」は、「前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する」のに対し、引用発明1においては、「正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対」は、加湿されたシートに電荷を付与する(電圧を印加する)ものではない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み上記相違点2~3について検討する。
ア 引用発明1は、正電荷付与ローラ対または負電荷付与ローラ対を用いて、搬送されるシートに電荷を付与することで除電処理を行うものであり、そのような除電処理を行う前に、用紙の電気抵抗を下げて電荷を移動し易くすることが必要であることは記載も示唆もされておらず、また、本願出願時の技術常識に鑑みても、そのような手段が必要であることが自明な事項であるともいえない。
イ 引用発明2は、「第5 2」のとおりであって、(定着処理が施された)用紙の両面に対する加湿が行われた際には、経験則から考えて、用紙の電気抵抗が下がっていると考えられるので、引用発明2の、加湿ローラーから用紙へと水を付与し、(定着処理が施された)用紙に対する加湿を行って、除電を行う「加湿部」は、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当すると一応いえる。
しかしながら、引用発明2では、用紙の加湿そのものにより除電を行っていることは明らかであり、用紙の加湿後、更に、加湿とは別の除電処理を行うことが必要であることは記載も示唆もされておらず、またこのことが自明な事項であるともいえない。
そうすると、引用発明1では、除電処理を行う前に用紙の電気抵抗を下げて電荷を移動し易くする必要性がなく、他方、引用発明2では、用紙の加湿後、更に、加湿とは別の除電処理を行う必要性がなく、よって、引用発明1に対し引用発明2の「加湿部」を適用する動機付けは存在しない。
ウ 引用発明3(上記「第5 3」を参照。)では、「加湿デカーラユニット」は、画像の定着がなされた用紙を加湿しており、加湿された用紙の電気抵抗は下がっていると考えられるので、当該「加湿デカーラユニット」は、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当すると一応いえる。
しかしながら、引用発明3は、用紙を加湿することで「カール矯正」を行うものであって、引用発明1と目的が異なることは明らかである。
よって、引用発明1に対し、引用発明3の「加湿デカーラユニット」を適用する動機付けは存在しない。
エ 引用発明4(上記「第5 4」を参照。)では、加湿部内に搬入された(定着装置により加熱処理されて排出された)用紙は、水分が付与されて加湿されるものとなっており、加湿された用紙の電気抵抗は下がっていると考えられるので、当該「加湿部」は、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当すると一応いえる。
しかしながら、引用発明4は、用紙を加湿することで「用紙の波打ちを低減させる」ものであって、引用発明1と目的が異なることは明らかである。
よって、引用発明1に対し引用発明4の「加湿部」を適用する動機付けは存在しない。
オ 引用発明5(上記「第5 5」を参照。)は、「加湿装置」により「搬送経路」に供給される「加湿気流」によって、「紙粉が静電気を帯び難く、また紙粉の帯電電荷が高湿度雰囲気中で速やかに放電され、紙粉が光学センサの検出面に静電吸着されることがなく、このため、紙粉の付着により光学センサの検出感度が劣化したり、誤検出が生じることがない」ものであり、記録用紙(記録シート)を加湿して電気抵抗を下げるものではないから、そもそも、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当するものを有していない。
カ 引用発明6(上記「第5 6」を参照。)は、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当するものを有していないことは明らかである。
キ 引用発明7(上記「第5 7」を参照。)は、トナー像が定着された転写紙は超音波加湿器で加湿され、「加湿することにより電気抵抗が下が」っているから、当該「超音波加湿器」は、本願発明1の「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部」に相当すると一応いえる。
しかしながら、引用発明7は、トナー像が定着された転写紙を「加湿することにより電気抵抗が下がり静電気が除去できる」ものであり、静電気の除去後、更に、加湿とは別の静電気の除去処理を行うことが必要であることは記載も示唆もされておらず、またこのことが自明な事項であるともいえない。
よって、上記「イ」と同様、引用発明1に対し引用発明7を適用する動機付けは存在しない。
ク 上記相違点2及び3に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
ケ 本願発明1は上記相違点2及び3に係る発明特定事項を備えることにより、「記録シート同士が静電気力により貼り付いてしまうことを確実に防止することができる。」(段落【0026】参照。)という作用効果を奏するものである。
したがって、上記「ア」~「ケ」により、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~25について
本願発明2~12は本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願発明13~22は、上記「第4」に記載のとおりのものであり、「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、を有する」点は本願発明1と同様であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願発明23~25は、上記「第4」に記載のとおりのものであり、(前記画像形成装置の)「定着部によりトナー画像が定着された記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部と、を有する」点は本願発明1と同様であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
原査定の拒絶の理由の概要は上記「第2」のとおりであるが、上記「第5」~「第6」のとおりであるから、本願発明1~25は、引用発明1ないし7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由通知について
1 平成30年4月24日付けの当審拒絶理由通知について
当審で通知した拒絶の理由のうち、特許法第29条第2項についての拒絶の理由は、それぞれ「第5」及び「第6」で検討済みであるから、ここでは、他の理由について検討する。
(1)平成30年4月24日付けの当審拒絶理由通知では、本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない、との拒絶の理由を通知している。
具体的には、以下のとおりである。
請求項1には、
「前記加湿部により加湿された前記記録シートにバイアス電圧を印加する電圧印加部」
とあるが、「バイアス電圧」の意味するところが不明確であり、発明の範囲が不明確である。
すなわち、電気回路の分野において「バイアス電圧」という用語は、中央が0の交流信号(交流電圧)を、中央が0でない信号(電圧)に変換するための電圧を意味することが一般的であり、そうすると、バイアス電圧が印加された後の電圧値は(中央が0ではないものの)時間的に変動する電圧値となるはずであるが、発明の詳細な説明を参照しても、バイアス電圧が印加された後の電圧が(中央が0ではない)時間的に変動する電圧値である旨の記載はなく(段落【0058】を参照すると、電圧値は時間的に変動していないようにも思われる。)、結局、請求項1に記載された「バイアス電圧」がどのようなものか不明瞭である。
他の請求項についても同様。
また、請求項1に記載された「前記加湿部により加湿された前記記録シートにバイアス電圧を印加する電圧印加部」について、発明の詳細な説明では、例えば、
「【0058】
次に、画像形成システム1は、電圧印加部82をオン状態に制御する(ステップS104)。より具体的には、画像形成システム1のバイアス制御部112が、後処理装置3の電圧印加部82をオン状態に制御して、ステップS103に示す処理で加湿された用紙にバイアス電圧を印加する。ここで、バイアス電圧は、用紙から電荷を除去するための電圧であり、電圧値が予め設定されている。バイアス電圧が印加されることにより、用紙上の電荷が除去される。」
とあるが、記録シートの素材、記録シートにおけるトナー画像の配置や、画像形成装置における様々な要素等に応じて、用紙上の電荷量は様々な値をとり得ると考えられるところ、単にバイアス電圧を印加しただけでは、そのバイアス電圧により与えられる電荷量の絶対値が、用紙上の電荷量の絶対値と一致するとは限らず、用紙から電荷を除去することはできない場合があると考えられるので(与えた逆極性の電荷が不足してもとの極性の電荷の一部が残る、あるいは、逆極性の電荷を与えすぎる)、発明の詳細な説明において、「記録シートにバイアス電圧を印加する」点がどのように実施されているのか不明であり、請求項1に係る発明がどのように実施されるのか不明である。
他の請求項についても同様。
また、請求項8には、
「前記電圧印加部を複数枚の記録シートが連続的に通過する場合、1枚の記録シートが前記電圧印加部を通過する度に、前記電圧印加部のオン状態とオフ状態とを切り替えて、前記後処理装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する第2の電圧制御部をさらに有する」
とあり、発明の詳細な説明では、
「【0077】
(変形例)
なお、上述した実施形態では、用紙の除電を行って、静電気力による用紙同士の貼り付きを防止した。しかしながら、用紙の帯電状態を調整して、用紙間に反発する向きの静電気力を働かせることにより、用紙同士の貼り付きを防止してもよい。
【0078】
図5は、変形例に係る電圧印加処理を説明するための図である。変形例に係る電圧印加処理では、電圧印加部82を用紙が1枚通過する度に、電圧印加部82のオン状態とオフ状態とが切り替えられる。
【0079】
上述したとおり、電圧印加部82は、一対の導電性ゴムローラー82a,82bから構成される。電圧印加部82を通過する用紙Sの上方に位置する導電性ゴムローラー82aは、プラスのバイアス電圧を印加する電源82cに接続されている。一方、用紙Sの下方に位置する導電性ゴムローラー82bは、接地されている。本変形例において、導電性ゴムローラー82aに印加されるバイアス電圧は、画像形成装置2から後処理装置3に供給される用紙の帯電状態を逆転させるための電圧であり、用紙上の電荷を除去するための電圧よりも高い電圧値が設定されている。
【0080】
そして、図5に示すとおり、画像形成装置2から後処理装置3に連続的に供給される用紙Sの帯電状態として、用紙Sの上面がマイナスに帯電しており、下面がプラスに帯電している状態を仮定する。なお、用紙Sの上面および下面には、トナー画像Tがそれぞれ定着されている。
【0081】
この場合、電圧印加部82を用紙Sが通過する際に電圧印加部82がオフ状態であれば、図5(A)に示すとおり、用紙Sの帯電状態は、電圧印加部82の通過前後で変化しない。一方、電圧印加部82を用紙Sが通過する際に電圧印加部82がオン状態であれば、図5(B)に示すとおり、用紙Sの帯電状態は、電圧印加部82の通過前後で逆転する。具体的には、プラスのバイアス電圧が印加されることにより、用紙Sの上面がプラスに帯電し、下面がマイナスに帯電する。本変形例に係る電圧印加処理では、電圧印加部82を用紙Sが1枚通過する度に、電圧印加部82のオン状態とオフ状態とが切り替えられ、1枚毎に用紙Sの帯電状態が逆転される。電圧印加部82を通過した用紙Sはスタッカー装置4に供給され、スタッカー装置4内に積み重ねられる。
【0082】
図6は、スタッカー装置4内に積み重ねられた用紙Sの帯電状態を示す図である。図6に示すとおり、本変形例では、スタッカー装置4内に積み重ねられた用紙Sの各対向面は、互いに同じ極性を有している。このような構成によれば、用紙S間に反発する向きの静電気力F1が働き、用紙S同士が貼り付かなくなる。」
とあるが、この場合も、用紙上の電荷量は様々な値をとり得ると考えられるところ、用紙上の電荷を除去するための電圧よりも高い電圧値をどのように決定するのか不明であり、請求項8の「前記後処理装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する」点がどのように実施されるのか不明であり、結局、請求項8に係る発明がどのように実施されるのか不明である。
(同様な発明特定事項を有する)他の請求項についても同様。
(2)特許法第36条第6項第2号について(「バイアス電圧」の意味について)
本件出願の(独立形式請求項である)請求項1、13及び23では、上記「第2」のとおり、「前記加湿部により加湿された前記記録シートに電圧を印加する電圧印加部」と特定されているので、明確なものとなっている。
よって、この点に関する拒絶理由は解消した。
(3)特許法第36条第4項第1号について(「記録シートにバイアス電圧を印加する」点、及び、「前記後処理装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する」点について)
この点について、平成30年6月26日付けの意見書では、
「用紙上の電荷量は、用紙の種類、周囲の環境、用紙の坪量等の各要素により、決まってくるものであります。そして、そのような要素から、例えば、段落[0058]に記載のように、用紙に印加する電圧を設定することができます。そして、段落[0052]及び図2には、各要素についての検知部が記載されております。
よって、当業者であれば、段落[0052]及び図2の記載から、記録シート上の電荷量を上記検知部により判断し、記録シート電圧を印加するための電圧値を決定できることが理解できるものと思料致します。」
と主張しており、この主張を踏まえれば、発明の詳細な説明は、「記録シートにバイアス電圧を印加する」点、及び、「前記後処理装置からの排出後に重なり合う前記記録シートの対向面の極性が互いに同一となるように前記記録シートの帯電状態を調整する」点について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。
よって、本件出願の発明の詳細な説明は、請求項1~25に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められるので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものであり、この点に関する拒絶理由は解消した。
2 平成30年8月23日付けの当審拒絶理由通知について
(1)平成30年8月23日付けの当審拒絶理由通知では、平成30年6月26日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、との拒絶の理由を通知している。
具体的には以下のとおりである。
補正後の請求項1には(下線は当審が付した。)、
「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートの前記トナー画像を加湿して、前記トナー画像の電気抵抗を下げる加湿部と、」
とあり、この記載では、加湿部は、記録シートに定着されたトナー画像を加湿して、トナー画像の電気抵抗を下げる動作を行うものと認められる。
しかしながら、当初明細書等には、加湿部がそのような動作を行う旨の記載はなく、上記補正後の請求項1に記載されたものは、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項を追加する補正であるといえる。
補正後の請求項13、段落【0009】、【0017】に記載された、
「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートの前記トナー画像を加湿して、前記トナー画像の電気抵抗を下げる加湿部と、」
についても同様である。
補正後の請求項23、段落【0025】に記載された、
「前記画像形成装置の定着部によりトナー画像が定着された記録シートの前記トナー画像を加湿して、前記トナー画像の電気抵抗を下げる加湿部と、」
についても同様である。
補正後の請求項11、21、24、段落【0016】、【0024】、【0025】に記載された、
「当該両面のトナー画像が加湿される」
についても同様である。
上記請求項を直接的または間接的に引用する請求項も、同様に新規事項を追加することとなる。
(2)しかしながら、平成30年10月5日付けの手続補正で、
請求項1、13、段落【0009】、【0017】に記載されていた「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートの前記トナー画像を加湿して、前記トナー画像の電気抵抗を下げる加湿部と、」は、「前記定着部により前記トナー画像が定着された前記記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、」と補正され、
請求項23、段落【0025】に記載されていた「前記画像形成装置の定着部によりトナー画像が定着された記録シートの前記トナー画像を加湿して、前記トナー画像の電気抵抗を下げる加湿部と、」は、「前記画像形成装置の定着部によりトナー画像が定着された記録シートを加湿して、前記記録シートの電気抵抗を下げる加湿部と、」と補正され、
請求項11、21、24、段落【0016】、【0024】、【0025】に記載されていた 「当該両面のトナー画像が加湿される」 は、「当該両面が加湿される」と補正されており、
これらの補正は、当初明細書の段落【0044】、【0057】、【0073】~【0076】等の記載内容と対応するものであり、当初明細書等に記載された事項との関係において新たな技術的事項を導入するものとはいえず、新規事項を追加するものであるとはいえないから、この拒絶理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-009894