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特許拒絶査定不服審判

2017-009113

復号方法、復号装置、コンピュータプログラム製品、および集積回路

審判番号
2017-009113
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-528975外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年06月21日
審決日
2019年02月19日
公報発行日
2019年08月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04N) / P18 .575-WZ (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-528975「復号方法、復号装置、コンピュータプログラム製品、および集積回路」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月14日国際公開、WO2013/034649、平成26年10月 6日国内公表、特表2014-526818〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)9月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年9月9日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成27年 8月 7日  :手続補正書の提出 平成28年 5月17日付け:拒絶理由通知書 同年 8月23日  :意見書、手続補正書の提出 同年10月31日付け:拒絶理由通知書(最後) 平成29年 2月 7日  :意見書、手続補正書の提出 同年 2月16日付け:平成29年2月7日にされた手続補正に ついての補正却下の決定、拒絶査定 同年 6月21日  :審判請求書、手続補正書の提出 平成30年 4月26日付け:拒絶理由通知書(当審)(最後) 同年11月 7日  :意見書、手続補正書の提出 第2 平成30年11月7日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成30年11月7日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、平成29年6月21日にされた手続補正により補正された請求項1(以下、「補正前の請求項1」という。)を、以下の請求項1(以下、「補正後の請求項1」という。)とする補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所である。) (補正前の請求項1) 「【請求項1】 複数の画素からなる画像の符号化済み対象ブロックを復号する復号方法であって、 前記符号化済み対象ブロックを再構成するステップと 再構成されたブロックをデブロッキングするフィルタリングステップとを含み、 前記フィルタリングステップでは、 第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロックとにおいて、前記第1ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、前記第2ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、 隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素において、少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し、 前記デブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択し、 前記判断及び前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれる 復号方法。」 (補正後の請求項1) 「【請求項1】 複数の画素からなる画像の符号化済み対象ブロックを復号する復号方法であって、 前記符号化済み対象ブロックを再構成するステップと 再構成されたブロックをデブロッキングするフィルタリングステップとを含み、 前記フィルタリングステップでは、 第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロックとにおいて、前記第1ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、前記第2ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、 隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素において、少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し、 前記デブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択し、 前記判断及び前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ、 前記分割は、前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断、および前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる、 復号方法。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「分割」について、「前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断、および前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1に記載したとおりであり、以下に再掲する。 なお、各構成の符号(A)~(F)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A~構成Fと称する。 (本件補正発明) (A)複数の画素からなる画像の符号化済み対象ブロックを復号する復号方法であって、 (B)前記符号化済み対象ブロックを再構成するステップと (C)再構成されたブロックをデブロッキングするフィルタリングステップとを含み、 (C)前記フィルタリングステップでは、 (C1)第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロックとにおいて、前記第1ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、前記第2ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、 (C2)隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素において、少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し、 (C3)前記デブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択し、 (C4)前記判断及び前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ、 (C5)前記分割は、前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断、および前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる、 (A)復号方法。 (2)引用文献、引用発明 (2-1)引用文献1 (2-1-1)引用文献1の記載事項 平成30年4月26日付けで当審が通知した拒絶理由において引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2005/0013494号明細書(2005年1月20日公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付した。) 「[0051] B. Video Decoder [0052] FIG. 3 is a block diagram of a general video decoder system 300. The decoder system 300 receives information 395 for a compressed sequence of video frames and produces output including a reconstructed frame 305. Particular embodiments of video decoders typically use a variation or supplemented version of the generalized decoder 300. [0053]~[0057](略) [0058] When the decoder needs a reconstructed frame for subsequent motion compensation, a frame buffer (e.g., frame buffer 320) buffers the reconstructed frame for use in predicting another frame. In some embodiments, the decoder applies a deblocking filter to the reconstructed frame to adaptively smooth discontinuities in the blocks of the frame.」 (当審による仮訳: [0051]B.ビデオデコーダ [0052]図3は、一般的なビデオデコーダシステム300のブロック図である。デコーダシステム300はビデオフレームの圧縮されたシーケンスについての情報395を受信し、再構成されたフレーム305を含む出力を生成する。ビデオデコーダの特別の実施形態は典型的に一般的なデコーダの変形又は追加されたバージョンを用いる。 [0053]~[0057](略) [0058]デコーダが後の動き補償のために再構成されたフレームを必要とするとき、フレームバッファ(例えばフレームバッファ320)は他のフレームの予測に用いるために再構成されたフレームを格納する。いくつかの実施形態では、デコーダはフレームのブロックにおける不連続性を適応的に平滑化するために、再構成されたフレームにデブロッキングフィルタを適用する。) 「[0099] IV. Block Edge Check and Filtering [0100] For those blocks that pass the above-described deblocking condition, the video encoder 200/decoder 300 further performs a block edge check to determine whether to filter the respective block edge. Conventionally, deblocking filters have analyzed each location along a block edge for edge strength (i.e., for the presence of blockiness), which is computationally expensive. For improved computational efficiency, the video encoder 200/decoder 300 performs a block edge check at a single location per sub-segment of a block edge. This is done in the interest of computational speed and has a negligible cost in terms of reduced effectiveness. [0101] In cases where the video coding standard uses more than one block edge length, the video encoder 200/decoder 300 sub-divides the block edges into segments (e.g., segments whose size is the largest common factor of the block edge lengths). The video encoder 200/decoder 300 then performs the edge strength test (for blockiness) at a single location along a segment. [0102] For example, in embodiment of the video encoder 200/decoder 300 using the current Windows Media Video (WMV) standard, all block edges are either 4 or 8 pixels long. These are broken into continuous segments of 4 pixels length. FIG. 8 shows an example of an 8-pixel length block edge for such embodiment, which the video encoder 200/decoder 300 divides into two 4-pixel segments. In the diagram, the circles represent pixels, and the edge runs in the vertical direction, midway between the pixels on either side. The left and right pixels come from adjacent blocks. As another example, an alternative embodiment of the video encoder 200/decoder 300 for a coding standard with block edges of 12 and 18 pixel lengths may sub-divide the block edges into 6-pixel segments (6 being the largest common factor of 12 and 18). [0103] The video encoder 200/decoder 300 then performs the edge strength test at a subset of locations (e.g., one location) along each segment. As previously remarked, a deblocking filter conventionally would test each row of pixels straddling the block edge for the presence of an artifact by means of a nonlinear edge strength measure, which is computationally expensive. For example, one embodiment of the video encoder 200/decoder 300 with segment size of 4 pixels performs the edge strength test at only one row of pixels in every four rows making up the segment (shown in the diagram as the pixels marked by an ‘x’). Likewise, for horizontal block edges, the video encoder/decoder checks only one column of pixels in every four. Alternative embodiments of the video encoder/decoder can perform the edge strength test at other numbers of the locations per block edge segment fewer than all locations, although one location per segment has proven sufficiently effective at identifying blockiness. Further, alternative embodiments of the video encoder/decoder can use different locations or patterns of locations within a segment, e.g., the first, second or fourth row in lieu of the third row location illustrated in FIG. 8. [0104] The video encoder 200/decoder 300 performs the edge strength test as a function of one or more pixels at either side of the block edge at the respective row location(s), e.g., the rows marked ‘x’ in FIG. 8. FIG. 9 depicts the pixels used in the edge strength test for a segment in one embodiment of the video encoder/decoder. FIG. 10 shows pseudo-code 1000 of the edge strength check function (“edge strength”) performed on these pixels at the respective location within a segment. In this illustrated edge check test embodiment, the video encoder 200/decoder 300 performs an edge check test that is a function of the values of four pixels on either side of the block edge at the per segment row location(s). FIG. 9 depicts the pre-determined pixels used for the test identified as pixels P1 through P8. Pixels P1 through P4 lie in the left block, and P5 through P8 in the right block. In the vertical direction, a similar operation is performed on the third column of pixels within a segment, with four pixels each in the top and bottom blocks used for the edge strength measure. Alternatively, the edge check test may be a function of more or fewer pixels within the row at the test location, e.g., three pixels to each side of the block edge. [0105] The edge strength test function in this embodiment also is based on the quantization parameter-QP, which is a value that controls the amount of quantization by the quantizer 270 (FIG. 2). In this embodiment, the quantization parameter is generally related to the video quality resulting from compression (e.g., at higher quantization, the video quality decreases). In the edge strength test function, the quantization parameter is used as the basis to ease the threshold for applying the deblocking filter, such that the blockiness threshold for applying deblocking filtering is eased as the video quality decreases. In alternative embodiments, the edge strength test function can be based on other quality measurements, and can use other weightings of the pixels values as a measure of blockiness of the block edge segment. [0106] The illustrated edge strength measure results in a true/false determination of whether to apply the deblocking filter on the respective block edge segment. [0107] In general, various alternative embodiments of the video encoder/decoder with deblocking filter described here may be used with longer or shorter definitions of the segment, and with differently located samples for the edge strength measure. [0108] With reference now to FIG. 11 , the block edge segments that pass the edge strength test are subject to filtering. FIG. 11 shows the pseudo-code 1100 of a deblocking filtering operation for one embodiment of the deblocking filter 490 (FIG. 4)/ 590 (FIG. 5) in the video encoder 200/decoder 300. In the illustrated deblocking filter operation, all rows (or columns) straddling the block edge are filtered. The illustrated filtering operation modifies the pixels adjacent to the edge for each row/column of the segment, which in the example shown in FIG. 9 are pixels P4 and PS. This filtering operation is applied to all pixel pairs on either side of the edge within a segment that passes the edge strength test. In particular, the function filter edge shown in FIG. 11 is repeated for all rows (or columns) of the segment.」 (当審による仮訳: [0099]IV.ブロック境界の検査とフィルタリング [0100]上述のデブロッキング条件を満たしたブロックについて、ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、さらに各ブロック境界をフィルタするか否かを決定するためにブロック境界の検査を行う。従来は、デブロッキングフィルタは境界の強さ(つまり、ブロックノイズの存在)をブロック境界に沿った各位置で分析しており、計算コストが高かった。計算効率を改善するために、ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、ブロック境界検査をブロック境界の各サブセグメントの1つの位置で行う。これは、計算速度のためになされ、減少する有効性におけるコストは無視できる。 [0101]ビデオ符号化規格が1より大きいブロック境界の長さを用いる場合、ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、ブロック境界をセグメント(つまり、サイズがブロック境界長さの最大公約数であるセグメント)に副分割する。ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、次に、セグメントに従って1つの位置で(ブロックノイズのための)境界強度テストを行う。 [0102]例えば、最新のウィンドウズ・メディア・ビデオ(WMV)規格を用いたビデオエンコーダ200/デコーダ300の実施形態において、全てのブロック境界の長さは4又は8ピクセルである。これらは4ピクセル長の連続するセグメントに分割される。図8は、そのような実施形態について、ビデオエンコーダ200/デコーダ300が2つの4ピクセルのセグメントに分割した8ピクセル長のブロック境界の例を示す。該図において、円はピクセルを示し、境界が垂直方向であって両側のピクセルの間を通っている。左右のピクセルは隣接するブロックに属している。他の例として、ブロック境界の長さが12及び18ピクセルである符号化規格のビデオエンコーダ200/デコーダ300の別の実施形態では、ブロック境界を6ピクセル(6は12及び18の最大公約数)のセグメントに副分割してもよい。 [0103]ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、次に、各セグメントに沿った位置のサブセット(つまり、1つの位置)において境界強度テストを行う。前述のとおり、従来、デブロッキングフィルタは、非線形の境界強度測定によるアーチファクトの存在のテストを、ブロック境界をまたぐピクセルの各行に対して行っており、計算コストが高かった。例えば、セグメントのサイズが4ピクセルであるビデオエンコーダ200/デコーダ300の一実施形態は、セグメントを構成する各4行のうちの1行のみ(図において‘x’が付されたピクセルとして示されている)に境界強度テストを行う。同様に水平ブロック境界について、ビデオエンコーダ/デコーダは各4列のうちの1ピクセル列のみを検査する。各セグメントに1箇所でブロックノイズの特定には十分効果的であるが、ビデオエンコーダ/デコーダの代替的な実施形態では、境界強度テストを各ブロック境界セグメントの全数よりも少ない他の数の位置で行うことができる。さらに、ビデオエンコーダ/デコーダの代替的な実施形態では、セグメント内の異なる位置や位置パターン、例えば、図8の3行目のかわりに1、2又は4行目を用いることができる。 [0104]ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、各行位置、例えば図8の‘x’が付された列におけるブロック境界のどちらか一方側の1以上のピクセルの関数として境界強度テストを行う。図9は、ビデオエンコーダ/デコーダの一実施形態におけるセグメントの境界強度テストで用いられるピクセルを示す。図10は、セグメント内の各位値におけるこれらのピクセルに行われる境界強度検査関数(“edge strength”)の擬似コード1000を示す。図示された境界検査テストの実施形態では、ビデオエンコーダ200/デコーダ300は、各セグメント列位置におけるブロック境界の一方側の4ピクセルの値の関数である境界検査テストを行う。図9は、ピクセルP1~P8として特定されるテストに用いられる所定のピクセルを示す。P1~P4は左ブロック、P5~P8は右ブロックに存在する。垂直方向において、境界強度測定に用いられる上下ブロックの各4ピクセルを用いて、セグメント内の3番目のピクセル列に類似の処理が行われる。代替的に、境界検査テストは、テスト位置の行内のうちのより多い又はより少ないピクセル、例えばブロック境界の各側3ピクセルの関数であってもよい。 [0105]本実施形態における境界強度テストの関数も、量子化器270(図2)による量子化量を制御する量子化パラメータQPに基づいている。本実施形態では、量子化パラメータは一般に圧縮した結果のビデオ品質に関係する(例えば、高い量子化ではビデオ品質が低下する)。境界強度テストの関数において、量子化パラメータは、デブロッキングフィルタに適用する閾値を緩和するための基準として、デブロッキングフィルタに適用するためのブロックノイズの閾値がビデオ品質の低下に伴い緩和されるように用いられる。代替的な実施形態では、境界強度テストの関数は他の品質測定に基づくこともでき、ブロック境界セグメントのブロックノイズの量としてピクセル値の他の重み付けを用いることができる。 [0106]図示の境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽が決定される。 [0107]一般に、ここで示したデブロッキングフィルタを備えたビデオエンコーダ/デコーダについての様々な代替的な実施形態が、セグメントのより長い又は短い定義や境界強度測定のための異なった位置のサンプルを用いて使用可能である。 [0108]図11について、境界強度テストを通過したブロック境界セグメントはフィルタされる。図11は、ビデオエンコーダ200/デコーダ300におけるデブロッキングフィルタ490(図4)/590(図5)の一実施形態のためのデブロッキングフィルタの処理の擬似コード1100を示す。図示のデブロッキングフィルタ処理において、ブロック境界をまたぐ全ての行(又は列)がフィルタされる。図示のフィルタ処理は、セグメントの各列/行の境界に隣接するピクセルであって、図9の例ではP4とPS(当審注:「P5」の誤記と認める。)のピクセルを変更する。このフィルタ処理は境界強度テストを通過したセグメントに含まれる境界の両側の全てのピクセル対に適用される。特に、図11の関数filter edgeはセグメントの全ての行(又は列)について繰り返される。) 「 」 「 」 「 」 「 」 (2-1-2)引用文献1に記載の技術的事項 上記(2-1-1)に摘記した記載から、引用文献1には、以下(ア)~(イ)の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)段落0051、0052、0058から、引用文献1には、ビデオフレームの圧縮されたシーケンスについての情報を受信し、再構成されたフレームを含む出力を生成するとともに、フレームのブロックにおける不連続性を適応的に平滑化するために、前記再構成されたフレームにデブロッキングフィルタを適用するビデオデコーダが記載されている。そして、ビデオデコーダは、以下に示すビデオ信号の復号に係る処理を行うものである。 (イ)段落0099~0108、図8~11には、デブロッキングフィルタを適用することについて記載されている。 そして、段落0101、0102には、8ピクセル長のブロック境界を2つの4ピクセルのセグメントに分割するものであり、当該ブロック境界は垂直方向であって両側のピクセルの間を通っており、左右のピクセルは隣接するブロックに属していることが記載されている。 段落0103、0104、図9には、サイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8を用いて境界強度テストを行うことが示されている。 段落0103、0104には、同様に水平ブロック境界について、各4列のうちの1ピクセル列のみを検査し、垂直方向において、境界強度測定に用いられる上下ブロックの各4ピクセルを用いて、セグメント内の3番目のピクセル列に類似の処理を行うことが記載されている。 段落0106には、境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽が決定されることが記載されている。 段落0108には、前記境界強度テストを通過したセグメントをデブロッキングフィルタ処理するものであり、ブロック境界をまたぐ全ての行又は列がフィルタされ、前記フィルタ処理は、セグメントの各列/行の境界に隣接するピクセルを変更し、前記フィルタ処理は境界強度テストを通過したセグメントに含まれる境界の両側の全てのピクセル対に適用されることが記載されている。 (2-1-3)引用発明 以上より、引用文献1には、ビデオデコーダのビデオ信号の復号に係る処理が記載されており、当該ビデオデコーダの復号に係る処理に対応した復号方法の発明を認定することができることから、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、各構成の符号(a)~(c5)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成a~構成c5と称する。 (引用発明) (b)ビデオフレームの圧縮されたシーケンスについての情報を受信し、再構成されたフレームを含む出力を生成するとともに、 (c)フレームのブロックにおける不連続性を適応的に平滑化するために、前記再構成されたフレームにデブロッキングフィルタを適用する (a)復号方法であって、 (c)前記再構成されたフレームにデブロッキングフィルタを適用することは、 (c1)8ピクセル長のブロック境界を2つの4ピクセルのセグメントに分割するものであり、当該ブロック境界は垂直方向であって両側のピクセルの間を通っており、左右のピクセルは隣接するブロックに属しており、 (c2)サイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセルを用いて境界強度テストを行うものであり、 (c3)同様に水平ブロック境界について、各4列のうちの1ピクセル列のみを検査し、垂直方向において、境界強度測定に用いられる上下ブロックの各4ピクセルを用いて、セグメント内の3番目のピクセル列に類似の処理を行うものであり、 (c4)境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽が決定されるものであり、 (c5)前記境界強度テストを通過したセグメントをデブロッキングフィルタ処理するものであり、ブロック境界をまたぐ全ての行または列がフィルタされ、前記フィルタ処理は、セグメントの各列/行の境界に隣接するピクセルを変更し、前記フィルタ処理は境界強度テストを通過したセグメントに含まれる境界の両側の全てのピクセル対に適用されるものである (a)復号方法。 (2-2)引用文献2 (2-2-1)引用文献2の記載事項 同じく、平成30年4月26日付けで当審が通知した拒絶理由において引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、再公表特許第2009/123033号(2011年7月28日発行。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付与した。) 「【背景技術】 【0002】~【0003】(略) 【0004】 デブロッキングフィルタは、ブロック境界にまたがる画素ライン毎に、フィルタを適用するかしないか、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかというフィルタ強度計算を行う。その後、デブロッキングフィルタは、画素ラインに含まれる画素値に応じて効果の異なるフィルタを切り替えて適用する。例えば、図2に示されるように、4×4画素ブロック1021と、4×4画素ブロック1022とのブロック境界1031には、4本の画素ライン1041~1044が含まれる。画素ライン1041~1044のそれぞれは、4×4画素ブロック1021の4個の画素1010と4×4画素ブロック1022の4個の画素1010とを含む。画素ライン1041~1044毎に含まれる8個の画素1010の画素値に基づいて適応的にフィルタ強度計算が行われ、フィルタ処理が適用される。すなわち、4×4画素ブロック境界1031に関してフィルタ強度計算が4回行われることになる。」 「【0010】 本発明の観点では、デブロッキングフィルタ処理装置は、典型的フィルタ強度計算部と、典型的フィルタ部とを備える第1のデブロッキングフィルタ処理部を具備する。典型的フィルタ強度計算部は、ブロック単位で符号化された動画像の復号画像データに対して、ブロック境界にまたがる複数の画素ラインのうちの所定の画素ラインを典型的画素ラインとして設定し、典型的画素ラインに含まれる画素値に基づいてフィルタ強度計算を行って典型的フィルタ強度を求める。典型的フィルタ部は、典型的フィルタ強度に基づいて複数の画素ラインに含まれる画素値を平滑化する。」 「【0018】 デブロッキングフィルタ処理部111は、デブロッキングフィルタ処理の対象画素ライン毎にフィルタ強度計算を行う。すなわち、デブロッキングフィルタ処理部111は、1画素ライン1フィルタ強度計算を行い、その結果に基づいて平滑化処理であるフィルタ処理を行う処理部である。デブロッキングフィルタ処理部112は、複数の画素ラインのうちの1画素ラインに対してフィルタ強度計算を行う。すなわち、デブロッキングフィルタ処理部112は、N画素ラインのうちの1画素ラインを典型的画素ラインとして代表させてフィルタ強度計算を行い、その典型的画素ラインのフィルタ強度に基づいてN画素ラインの平滑化処理であるフィルタ処理を行う処理部である。他のN-1本の画素ラインは、典型的画素ラインのフィルタ強度計算値が流用され、各画素ラインに対してフィルタ処理が行われる。したがって、フィルタ処理は行われるが、フィルタ強度計算の処理量は、1/Nになる。」 (2-2-2)引用文献2に記載の技術 引用文献2に記載のデブロッキングフィルタにおいて、デブロッキングフィルタ自体の処理については、背景技術のデブロッキングフィルタのフィルタ処理(段落0004)が用いられていると認められ、上記(2-2-1)に摘記した段落0010、0018の記載から、引用文献2には、次のデブロッキングフィルタ処理技術が記載されているものと認められる。 (引用文献2に記載の技術) N画素ラインのうちの1画素ラインを典型的画素ラインとして代表させて、フィルタを適用するかしないか、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかというフィルタ強度計算を隣接するブロックの各4個の画素値に基づいて行い、その典型的画素ラインのフィルタ強度に基づいてN画素ラインの平滑化処理であるフィルタ処理を行うものであって、他のN-1本の画素ラインは、典型的画素ラインのフィルタ強度計算値が流用され、各画素ラインに対してフィルタ処理が行われる構成を有するデブロッキングフィルタ処理技術。 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (3-1)本件補正発明の構成A~構成Cについて 引用発明の構成bにおいて再構成されたフレームは、構成cのブロックにおける不連続性を有しており、当該不連続性がブロック単位の符号化データの再構成に起因するものであることは、当業者に明らかな事項であるから、構成bの「ビデオフレームの圧縮されたシーケンスについての情報を受信し、再構成されたフレームを含む出力を生成する」ことは、本件補正発明の構成Bの「符号化済み対象ブロックを再構成するステップ」に相当する。 また、構成cの「フレームのブロックにおける不連続性を適応的に平滑化するために、前記再構成されたフレームにデブロッキングフィルタを適用する」ことは、構成Cの「再構成されたブロックをデブロッキングするフィルタリングステップ」に相当する。 そして、構成b及び構成cにより復号を行う構成aの「復号方法」は、構成Aの、構成B及び構成Cを含む「複数の画素からなる画像の符号化済み対象ブロックを復号する復号方法」に相当する。 したがって、構成a~構成cは構成A~構成Cと一致する。 (3-2)本件補正発明の構成C1について 引用発明の構成c1の「ブロック境界」は、本件補正発明の構成C1の、第1ブロックと第2ブロックに区別するものである「第1境界」に相当する。 構成c1の「隣接するブロック」は、ブロック境界の左右のピクセルが属するものであるから、構成C1の「第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロック」に相当する。 構成c2の「サイズが4ピクセルであるセグメント」は、8ピクセル長のブロック境界を2つの4ピクセルのセグメントに分割することにより構成c1の「隣接するブロック」が分割されたセグメントであり、構成c1の左右ブロックにおいてセグメントを分割する境界は、前記ブロック境界に対して垂直なものである。 以上から、構成c1は、構成C1の「第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロックとにおいて、前記第1ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、前記第2ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され」という構成に相当する処理を行うものといえる。 したがって、構成c1は構成C1と一致する構成を有している。 (3-3)本件補正発明の構成C2について 引用発明の構成c2の「境界強度テスト」は、「境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽が決定されるもの」(構成c4)であり、「前記境界強度テストを通過したセグメントをデブロッキングフィルタ処理するものであり、ブロック境界をまたぐ全ての行または列がフィルタされ、前記フィルタ処理は、セグメントの各列/行の境界に隣接するピクセルを変更し、前記フィルタ処理は境界強度テストを通過したセグメントに含まれる境界の両側の全てのピクセル対に適用されるもの」(構成c5)であるから、本件補正発明の構成C2の「少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し」に相当する処理である。 そして、構成c2は前記境界強度テストを「サイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセル」を用いて行うものであって、当該ピクセルは、構成C2の「隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素」に相当する。 よって、構成c2は、構成C2の「隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素において、少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し」に相当する処理を行うものといえる。 したがって、構成c2は構成C2と一致する構成を有している。 (3-4)本件補正発明の構成C3について 前記デブロッキングフィルタを適用する場合に、本件補正発明の構成C3は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成であるのに対し、引用発明は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成を有していない点で、両者は相違する。 (3-5)本件補正発明の構成C4について 引用発明の構成c2において境界強度テストが行われるピクセルである「サイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセル」は、本件補正発明の構成C4の「前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ」という構成の画素に相当する。 また、構成c2の境界強度テストが、本件補正発明の「デブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し」に相当する処理を行うものといえることは、上記(3-3)に示したとおりである。 以上から、引用発明の構成c2は、構成C4の「前記判断及び前記選択」に係る構成のうちの前者の「前記判断」に係る構成である「前記判断に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ、」という構成を有する点で本件補正発明の構成C4と一致する。 しかしながら、上記(3-4)のとおり、引用発明は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成を備えていないから、本件補正発明は、構成C4の「前記判断及び前記選択」に係る構成のうちの後者の「前記選択」に係る構成である「前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ」るという構成を備えているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点で、両者は相違する。 (3-6)本件補正発明の構成C5について 引用発明の構成c3は、水平ブロック境界についても境界強度測定を行うものであるから、左ブロック及び右ブロックの上にもブロックが隣接しているものである。当該「左ブロック」又は「右ブロック」の上に隣接するブロック、及び、「水平ブロック境界」のうち「左ブロック」又は「右ブロック」とそれらの上に隣接するブロックとの間の境界は、本件補正発明の構成Fの「第3ブロック」及び「前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界」に相当する。 ここで、引用発明の構成c3は、垂直方向のブロック境界と同様に、水平ブロック境界について各4列を単位として境界強度テストが行われるものと認められるから、水平ブロック境界も2つの4ピクセルのセグメントに分割していると認められる。 そして、構成c3は、当該垂直方向のブロック境界と同様に、水平ブロック境界について、各4列のうちの1ピクセル列のみである3番目のピクセル列における上下ブロックの各4ピクセルが境界強度テストに用いられるものと認められるから、前記分割された各セグメントにおいて、構成C5の「第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれる」に相当する構成を備えるものである。 したがって、構成c3は、構成C5の「第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断、および前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択」に係る構成のうちの前者の「第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断」に係る構成である「前記分割は、前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる、」という構成を有する点で構成C5と一致する。 しかしながら、上記(3-4)のとおり、引用発明は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成を備えていないから、前記分割について、本件補正発明は、構成C5の「第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断、および前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択」に係る構成のうちの後者の「前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択」に係る構成である「前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる」との構成を備えているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点で、両者は相違する。 (3-7)一致点、相違点 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] (A)複数の画素からなる画像の符号化済み対象ブロックを復号する復号方法であって、 (B)前記符号化済み対象ブロックを再構成するステップと (C)再構成されたブロックをデブロッキングするフィルタリングステップとを含み、 (C)前記フィルタリングステップでは、 (C1)第1境界で区別される第1ブロックと第2ブロックとにおいて、前記第1ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、前記第2ブロックは当該第1境界に垂直なラインに沿って少なくとも第1セグメント、第2セグメントとに分割され、 (C2)隣接する前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメントとの前記第1境界に隣接する両セグメント内の隣接画素において、少なくとも前記隣接画素すべてにデブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し、 (C4’)前記判断に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ、 (C5’)前記分割は、前記第1境界と垂直であって、前記第1ブロックまたは前記第2ブロックのいずれかのブロックと第3ブロックとが隣接する境界である第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用するか否かの判断に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる、 (A)復号方法。 [相違点1] 前記デブロッキングフィルタを適用する場合に、本件補正発明の構成C3は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成であるのに対し、引用発明は、「適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択」する構成を有していない点。 [相違点2] 本件補正発明は、構成C4における「前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ」るという構成を備えているのに対し、引用発明は当該構成を有していない点。 [相違点3] 前記分割について、本件補正発明は、構成C5における「前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる」との構成を有しているのに対し、引用発明は当該構成を有していない点。 (4)判断 上記各相違点について、以下に検討する。 ア 相違点1、相違点2について 引用文献2には、上記(2-2-2)のとおり、N画素ラインのうちの1画素ラインを典型的画素ラインとして代表させて、フィルタを適用するかしないか、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかというフィルタ強度計算を隣接するブロックの各4個の画素値に基づいて行い、その典型的画素ラインのフィルタ強度に基づいてN画素ラインの平滑化処理であるフィルタ処理を行うものであって、他のN-1本の画素ラインは、典型的画素ラインのフィルタ強度計算値が流用され、各画素ラインに対してフィルタ処理が行われる構成を有するデブロッキングフィルタ処理技術が記載されている。 ここで、引用文献2に記載の技術の「フィルタを適用するかしないか、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかというフィルタ強度計算」は、本件補正発明の構成C2の「デブロッキングフィルタを適用するか否かを判断し」、及び、構成C3の「前記デブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択し」に相当する処理を行うものと認められる。 次に、デブロッキングフィルタ処理において引用発明に引用文献2に記載の技術を適用することについて検討する。 引用発明は、構成c2の「サイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセルを用いて境界強度テストを行う」、及び、構成c4の「境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽が決定される」という構成を備えている。 他方、引用文献2に記載の技術は、「N画素ラインのうちの1画素ラインを典型的画素ラインとして代表させて、フィルタを適用するかしないか、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかというフィルタ強度計算を隣接するブロックの各4個の画素値に基づいて行い、その典型的画素ラインのフィルタ強度に基づいてN画素ラインの平滑化処理であるフィルタ処理を行う」という構成を備えている。 ここで、引用発明の構成c2の「セグメントを構成する各4行のうちの1行」と、引用文献2に記載の技術の「N画素ラインのうちの1画素ライン」とは、複数行のうちの1行である点で共通する。 また、引用発明の構成c4の境界強度測定の結果、各ブロック境界セグメントにデブロッキングフィルタを適用するか否かの真/偽を決定することと、引用文献2に記載の技術のフィルタを適用するかしないかというフィルタ強度計算とは、デブロッキングフィルタ処理を行うか否かを判断する処理である点で共通する。 以上から、引用発明と引用文献2に記載の技術とは、複数行のデブロッキングフィルタ処理を行うか否かを判断する処理を、複数行のうちの1行に対し隣接するブロックの各4個のピクセルを用いて行うという共通する技術分野に属するものである。 よって、引用発明の構成c4のサイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセルを用いて行われる境界強度テストにおいて、引用文献2に記載の技術のフィルタを適用するかしないかに係る処理と共に、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかに係る処理も行う構成を適用することは、当業者であれば容易に想到しうることである。 したがって、相違点1に係る構成は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、上記容易想到とされた発明は、フィルタを適用するかしないかに係る処理(デブロッキングフィルタを適用するか否かを判断)に加え、適用する場合にはどの程度の強さで平滑化するかに係る処理(前記デブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度を選択)もサイズが4ピクセルであるセグメントを構成する各4行のうちの1行のみである3行目の左ブロックのP1~P4と右ブロックのP5~P8のピクセルを用いて行われるものとなるから、相違点2に係る構成である「前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ」るという構成も備えるものである。 よって、相違点2に係る構成は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 相違点3について 引用発明は、構成c3のとおり、水平ブロック境界においても垂直方向のブロック境界と同様のデブロッキングフィルタ処理が行われるものであるから、上記アで容易想到とされた「前記選択に用いられるサンプル画素は、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内それぞれに含まれるサンプル画素の一部かつ複数のサンプル画素であって、前記第1ブロックの第1セグメントと前記第2ブロックの第1セグメント内のみに含まれ」るという構成は、水平ブロック境界においても同様に容易に想到しうるものである。 そうすると、当該水平ブロック境界に係る構成は、第2境界を挟んで隣接するセグメントに含まれる各4列のうちの1ピクセル列のみの各4個の画素値に基づいて、適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択が行われるものであるから、前記分割は、「前記第2境界に隣接する画素にデブロッキングフィルタを適用する場合に適用されるデブロッキングフィルタの強度の選択に必要な全ての画素が、前記第2境界を挟むセグメントに含まれるように行われる」ものである。 よって、相違点3に係る構成は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 効果について そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 オ まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年11月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年6月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1において「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に係る平成30年4月26日付けで当審が通知した拒絶理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である米国特許出願公開第2005/0013494号明細書(上記引用文献1)及び再公表特許第2009/123033号(上記引用文献2)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用文献、引用発明 平成30年4月26日付けで当審が通知した拒絶理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項並びに引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献2に記載の技術は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2[理由]2において検討した本件補正発明から、構成Fに係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-009113

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