特許拒絶査定不服審判
2017-009041
無線通信装置
- 審判番号
- 2017-009041
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-166901外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月21日
- 審決日
- 2018年11月14日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H04W) / P18 .55 -Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第159条第1項、特許法第53条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-166901「無線通信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日出願公開、特開2016- 1919〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成21年4月6日の出願である特願2009-092402号の一部を、平成26年2月26日に新たな特許出願とした特願2014-035818号の一部を、平成27年8月26日に更に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 9月25日 手続補正書の提出
平成28年10月31日付け 拒絶理由の通知
平成28年12月14日 意見書及び手続補正書の提出
平成29年 3月16日付け 拒絶査定
平成29年 6月21日 拒絶査定不服審判請求及び手続補正書の提出
第2 平成29年6月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年6月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の概要
本件補正は、平成28年12月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「IEEE802.11の機能を有する無線通信装置であって、
簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第1の数値情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信する受信部と、
前記第1の数値情報と、前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第2の数値情報とを比較する比較部とを備え、
前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が大きい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担う装置として、ビーコンを送信し、
前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が小さい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担わないステーションとして動作する、無線通信装置。」
という発明(以下、本願発明」という。)を、
「IEEE802.11の機能を有する無線通信装置であって、
簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第1の数値情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信する受信部と、
前記第1の数値情報と、前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第2の数値情報とを比較する比較部とを備え、
前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が大きい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担う装置として、ビーコンを送信し、
前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が小さい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担わないステーションとして動作し、
前記第1の数値情報は、前記他の無線通信装置の現在の状況に応じて動的に変化し、
前記第2の数値情報は、前記無線通信装置自身の現在の状況に応じて動的に変化する、
無線通信装置。」
という発明(以下「本件補正発明」という。)とすることを含むものである。
2 補正の適否
(1)新規事項の有無
本件補正により、「第1の数値情報」、「第2の数値情報」がそれぞれ「0から15の値を用いて示される第1の数値情報」、「0から15の値を用いて示される第2の数値情報」とされた。
請求人は審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】(2)補正について」にて、上記補正の根拠は【0031】,図6の記載であるとしている。
本願の当初明細書等には、
「【0010】
(中略)
【図3】図2の各機能を有していることに対する重み付け数値の例を示す模式図である。
【図4】バッテリー残量に応じて変化する重み付け数値を示す模式図である。
【図5】入力装置(ユーザインタフェース)の能力に応じて変化する重み付け数値を示す模式図である。
【図6】図2に示すステーション1とステーション2のそれぞれについて、図3~図5に基づいて重み付け数値を計算した結果を示す模式図である。
(中略)
【0025】
(3)第1の実施形態に係る処理の流れ
以下、ステーション1とステーション2が通信を行う場合に、ネゴシエーションによりいずれの機器がアクセスポイントになるかを決定する手法について詳細に説明する。ステーション1及びステーション2は、共にIEEE802.11相当の機能を有しているものとする。図2は、ステーション1(STA1)とステーション2(STA2)の機能を示す模式図である。
【0026】
図2に示すように、ステーション1とステーション2は、「AC電源接続の有無」、「バッテリー残量」、「最大通信速度」、「利用可能な周波数チャネル数」、「ブリッジ(Bridge)機能」、「サポートする暗号化方式」、「CPUの処理能力」、「ディスプレイ(Display)を装備しているか」、「入力装置」のそれぞれの項目について、所定の機能を備えている。そして、ステーション1とステーション2は、各項目について機能が相違している。そして、本実施形態では、これらの機能に応じて重み付け数値が設定される。
【0027】
図3は、図2の各機能を有していることに対する重み付け数値の例を示す模式図である。図3に示すように、AC電源接続の機能を有している場合は、重み付け数値が“3”とされる。最大通信速度がより速い場合は、重み付け数値が“2”とされる。利用可能な周波数チャネル数が多い場合は、重み付け数値が“1”とされる。Bridge機能を搭載している場合は、重み付け数値が“3”とされる。サポートする暗号化方式が多い場合は、重み付け数値が“1”とされる。CPUの処理能力がより高い場合は、重み付け数値が1とされる。また、ディスプレイを装備している場合は、重み付け数値が2とされる。本実施形態では、重み付け数値が高いほど、アクセスポイントとしての適正が優れていると判断され、ネゴシエーションの際にアクセスポイントになり易くなる。
【0028】
なお、CPU処理能力の数値化について、その手法は特に限定されるものではない。例えば、アクセスポイントとして動作するために十分なCPU処理能力を有しているとその機器の製造者(メーカ)が判断している場合、その機器の重み付け数値は“1”に設定されることができる。また、アクセスポイントとして動作するために十分なCPU処理能力を有していないとその機器の製造者が判断している場合、その機器の重み付け数値は“0”に設定されることができる。
【0029】
図2に示す各機能のうち、バッテリー残量、入力装置の項目については、その程度により重み付け数値が動的に変化して設定される。図4は、バッテリー残量に応じて変化する重み付け数値を示す模式図である。図2の各機能のうち、バッテリー残量については、残量に応じて重み付け数値が設定される。図4に示すように、バッテリー残量が100%~75%の場合は重み付け数値が3とされ、74%~50%の場合は重み付け数値が2とされる。また、バッテリー残量が49%~25%の場合は重み付け数値が1とされ、24%~0%の場合は重み付け数値が0とされる。
【0030】
図5は、入力装置(ユーザインタフェース)の能力に応じて変化する重み付け数値を示す模式図である。図2の各機能のうち、入力装置の能力については、能力に応じて重み付け数値が設定され、より高機能のユーザインタフェースを有している機器がアクセスポイントとされる。図5に示すように、入力装置が無い場合は、重み付け数値が0とされ、入力装置としてプッシュボタンが有る場合は重み付け数値が1とされ、入力装置としてキーボードが有る場合は重み付け数値が2とされる。
【0031】
図6は、図2に示すステーション1とステーション2のそれぞれについて、図3~図5に基づいて重み付け数値を計算した結果を示す模式図である。図1に示すステーション1とステーション2の機能について、図3~図5に従って重み付け数値を決定すると、図6の結果が得られ、ステーション1の重み付け数値(Weight(STA1))は“15”、ステーション2の重み付け数値(Weight(STA2))は“4”となる。
【0032】
図7は、図2に示すステーション1(STA1)とステーション2(STA2)が通信を開始した場合に、どちらの機器がアクセスポイントとして動作するかを決定する流れを示すシーケンス図である。先ず、ステップS10,S20では、ステーション1、ステーション2のそれぞれにおいて、重み付け情報の計算が行われる。ステップS10では、ステーション1が自身の重み付け数値(Weight(STA1))を計算し、ステップS20では、ステーション2が自身の重み付け数値(Weight(STA2))を計算する。
【0033】
次に、ステップS12では、ステーション1が自装置の重み付け数値Weight(STA1)=15をステーション2へ送信する。また、ステップS22では、ステーション2が自装置の重み付け数値Weight(STA2)=4をステーション2へ送信する。
なお、ここでは、各装置が重み付け数値の積算値を送信しているが、特定の機能についてのみ重み付け係数を求めて、これを送信してもよい。また、他のステーションに送る情報は、重み付け数値でなくとも、例えば、図2に示されるような機能の情報自体であってもよい。その場合は、その機能情報を受信したステーション側において、相手ステーションの重み付け数値の計算が行われる。重み付け数値の算出は、機能情報生成・送信指令部108aにて行うことができ、機能情報生成・送信指令部108aは重み付け数値算出部として機能する。」
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
の記載がある。
ここで、【0029】,【0031】及び図4,6等の記載によれば、本件補正発明の第1及び第2の「数値情報」は、各項目の「重み付け数値」の合計と認められるところ、当該合計の取り得る範囲は定義されていない。また、当初明細書等に上記摘記箇所のほかの「重み付け数値」の合計の取り得る範囲に関する記載は認められない。さらに、図6のSTA1の合計は「15」であるところ、図4にはバッテリ残量が100%~75%の場合に重み数値が「3」となることが記載されており、仮に、図6のSTA1のバッテリ残量が100%~75%の場合で他の項目に変更がない場合、図6の「バッテリ残量」の項目が「2」から「3」となり、あわせて、「合計」である重み付け数値は「15」から「16」となることはあきらかである。したがって、【0031】、及び、図6の記載は「0から15の値を用いて示される」ことの根拠にならない。
以上のことから、上記補正により追加された「0から15の値を用いて示される」との点は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
4 独立特許要件について
上記のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが、更に進めて、仮に、本件補正が限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項)を目的とするものであるとして、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1に記載したとおりのものと認める。
(2)引用発明及び周知技術
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第2005/034434号(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「[0003] 例えば、IEEE802.11規格の無線通信装置は、無線通信装置の動作モードとして、アドホックモードであるIBSS (Independent Basic Service Set)モードと、インフラストラクチャモードである BSS (Basic Service Set)モードとの 2種類のモードを備えている。ここで、無線通信装置の動作モードが上記IBSSモードの場合は、無線通信装置の参加や離脱があっても通信を継続できるように、参加する無線通信装置は持ちまわりで親局の機能を果たす。一方、無線通信装置の動作モードが上記BSSモードの 場合は、親局の機能は持ちまわらず特定の機器を事前にユーザが親局に固定しておくことになる。後者の場合には、有線ネットワークにも接続される装置が通常親局として選ばれる。
(中略)
[0059] 〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1および図2に基づいて説明すると以下の通りである。
[0060] なお、以下の説明では、複数の無線通信装置により構成される無線ネットワークシステにおいて、無線通信装置が親局として機能する場合には該無線通信装置を親局と称し、無線通信装置が子局として機能する場合には該無線通信装置を子局と称する。また、無線通信装置が通信品質制御局として機能する場合には、該無線通信装置を通信品質制御局と称する。さらに、無線通信装置が親局および通信品質制御局として機能する場合には、該無線通信装置を、通信品質制御を行う親局と称する。 なお、実施の形態2においても同様とする。
(中略)
[0066] 上記親局機能制御部17は、ビーコンの送出処理を含む親局の処理を行うブロックである。つまり、親局機能制御部17は、無線通信装置1を親局として機能させるものブロックである。この親局機能制御部17は、上記モード制御部21からの指令により親局として機能する。また、親局機能制御部17は、無線通信制御部15との間で、データの送受信を行う。さらに、上記通信品質制御部18との間でもデータの送受信を行う。
(中略)
[0070] 上記モード制御部21は、上記モード判定部22で判定された動作モードに基づいて無線通信装置1の動作を制御する。つまり、このモード制御部21は、モード判定部22からの情報を取得し、これら取得した情報に基づいて、後述するAP固定モード(第1の動作モード)、STA固定モード(第2の動作モード)、および、AP/STAモード(第3の動作モード)のうち何れの動作モードで無線通信装置51を動作させるかを制御する。
[0071] また、上記モード制御部21は、上記動作モード以外の端末機能情報記憶部23に記憶されている情報も取得し、上記AP/STAモードで制御させる際には、この情報に基づき、親局(AP)として動作させるか、子局(STA)として動作させるかを判断する。
[0072] いずれにしても、上記モード制御部は、親局機能制御部17、通信品質制御部18、 および、子局機能制御部19のうち、少なくとも1つの制御部を機能させる。
[0073] 例えば、モード制御部21が、無線通信装置1を親局として動作させると判断した場合には、親局機能制御部17に指令を出して、親局機能制御部17を機能させる。また、モード制御部21が、無線通信装置1を子局として動作させると判断した場合は、子局機能制御部19に指令を出して、子局機能制御部19を機能させる。さらに、モード制御部21が、無線通信装置1を通信品質制御を行う親局として動作させる判断した場合には、親局機能制御部17および通信品質制御部18に指令を出して、親局機能制御部17および通信品質制御部18を機能させる。
[0074] また、上記モード制御部21は、モード表示部24に対して、自装置が、親局として機能しているか、子局として機能しているか、通信品質制御局として機能しているか、または、通信品質制御局を兼ねた親局として機能しているかといった情報を含めた、自装置の通信状態の情報を送信する。
(中略)
[0085] AP(Access Point)固定モードとは、無線通信装置1を親局に設定して、動作制御を行うモードのことである。また、STA(Station)固定モードとは、無線通信装置1を子局に設定して、動作制御を行うモードのことである。さらに、AP/STA(Access Point/Station)モードとは、無線通信装置1を、親局あるいは子局の何れかの局にでも設定可能とし、設定された局として動作制御を行うモードのことである。このAP/STA(Access Point/Station)モードでは、無線通信装置は、先ず子局として起動する。
(中略)
[0123] 上記モード制御部71は、上記実施の形態1で示した機能に加え、周囲に一定数のネットワークを形成する無線通信装置が存在する場合であって、かつ、上記AP/STAモードに動作モードが設定されている場合、無線通信装置51自身と上記周囲の無線通信装置との、親局機能の能力および通信品質制御機能の能力の優劣を判断し、無線通信装置51自身の動作モードを親局とすべきか、あるいは、子局とすべきかを決定する。つまり、無線通信装置51の上記能力が周囲の無線通信装置の上記能力よりも高い場合には、無線通信装置51は品質制御可能な親局として動作するように設定され、低い場合には、子局として動作するように設定される。さらに、モード制御部71は、上述した親局リカバリ機能を制御し、親局機能制御部67、通信品質制御部68、および、子局機能制御部69に対して、リカバリ時の動作を指示する。
(中略)
[0126] 上記端末機能情報通知部78は、他の無線通信装置へ、端末機能情報記憶部73 に記憶される自局(無線通信装置51)あるいは他局(他の無線通信装置)の親局機能の能力および通信品質制御機能の能力を、データフレームとして通知する。通知のタイミングとしては、例えば、上記主電源制御部77から電源の供給が停止したという情報を端末機能情報通知部が受信した場合が挙げられる。
[0127] また、上記無線通信制御部65は、端末機能情報通知部78から上記能力の通知を受け、他の無線通信装置に情報を送る点を除けば、実施の形態1に記載の無線通信制御部15と同一の機能を有する。
(中略)
[0162] また、上記S30において、代理親局を複数台発見できなかった場合(つまり、代理親局を一台だけ発見できた場合)、および、複数台発見できた場合とも、この発見した代理親局に参加したがAP/STAモードに設定されている場合には、これら発見した代理親局と自局との優先度を比較して、自局が代理親局として動作してもよい。
(中略)
[0169] さらに、親局を失う前に端末機能情報記憶部73に保存しておいた、この親局が送出したビーコン情報と、同ネットワーク内の無線通信装置の端末機能情報通知部から得た親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報とを用いてモード制御部71は優先度を決定してもよい。
[0170] このような優先度の決定を実現するために、各無線通信装置はネットワークに参加している間、予め周囲の無線通信装置と、親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報を交換し、これら情報を端末機能情報記憶部73に保存しておく。この場合、自局の親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報は、端末機能情報通知部78によって他の無線通信装置に対してデータフレームとして通知しておく。また、端末機能情報記憶部73に保存した周囲の無線通信装置に関する親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報を自局の情報と共に、別の無線通信装置へ通知転送してもよい。
[0171] このようにして無線通信装置51が収集した、周囲の無線通信装置に関する親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報は、例えば、図6のようになる。
[0172] 同図に示すとおり、端末機能情報記憶部73には、親局機能の能力についての情報として、電力供給状態、設置状態、サポートする伝送速度、サポートする暗号化技術、および、サポートする電力制御技術に関する情報が保存されている。また、通信品質制御機能の能力についての情報として、通信品質保証能力、親局として機能する場合における仕様外の暗号化技術のサポート、および、電力制御技術に関する情報が保存されている。さらに、上記通信品質保証能力の情報としては、無線通信環境の変化に対する対応力、無線通信装置の収容台数、通信品質をサポートできる伝送速度、および、上記対応力、収容台数、伝送速度等の通信品質保証能力を実行するまでの計算速度に関する情報を保存している。また、端末機能情報記憶部73には、無線通信装置51自身のMACアドレス、通信チャネル、現在親局であるか否か、親局の能力があるか否か、および、通信品質制御局として動作可能か否かといった情報もあわせて保存している。そして、これらの情報をもとに、例えば、それぞれの情報に得点を付けておき、その合計点に基づき優先度を決定することができる。
[0173] 同図に示すとおり、MACアドレスが100の無線通信装置は、現在の親局であり、かつ、その通信チャネルが1となっている。この場合、MACアドレスが300の無線通信装置の通信チャネルに関する得点は、通信チャネルが1ではなく2なので例えば0点とし、さらに、親局に関する得点は、現在の親局ではないので例えば0点とする。以下、後述するように、各情報について得点を付す。ただし、この得点の付し方は、一例であって、これに限定されるものではない。
[0174] 例えば親局の能力に関する得点は、能力がある無線通信装置は10点、能力のない無線通信装置は0点とする。
[0175] 上記電力供給状態に関する得点は、電力をAC電源から得ている無線通信装置については5点、バッテリーから得ている無線通信装置は0点とする。また、設置状態に関する得点は、据え置き型の無線通信装置については 5点、ポータブル型の無線通信装置については0点とする。さらに、上記伝送速度に関する得点は、伝送速度が最大36Mbpsの無線通信装置については10点、最大24Mbpsの無線通信装置については8点とする。また、上記暗号化技術に関する得点は、αという親局の暗号化技術をサポートしている無線通信装置については5点とし、サポートしていなければ0点としている。さらに、上記電力制御技術に関する得点は、Aという電力制御技術を サポートしている無線通信装置については5点とし、サポートしていない無線通信装置については0点とする。また、上記通信品質制御局として動作可能か否かに関する得点は、無線通信装置が、通信品質制御局として動作可能であれば20点とし、動作可能でなければ0点とする。
[0176] ここで、電力をAC電源から得ている無線通信装置の得点をバッテリーから得ている無線通信装置の得点よりも高くしている理由は、親局はビーコンを送出し続けるため、消費電力が子局に比べて高くなり、AC電源の供給があることが好ましいからである。また、電池駆動の場合には、電池残量が大きいほど好ましいといえる。」
上記摘記事項及び当業者の技術常識によれば次のことがいえる。
(ア)[0003]の記載から、引用例1に記載の「無線通信装置」は「IEEE802.11規格の無線通信装置」が含まれる。
(イ)[0071]の「上記AP/STAモードで制御させる際には、この情報に基づき、親局(AP)として動作させるか、子局(STA)として動作させるかを判断する。」との記載、及び、[0085]の「AP(Access Point)固定モードとは、無線通信装置1を親局に設定して、動作制御を行うモードのことである。また、STA(Station)固定モードとは、無線通信装置1を子局に設定して、動作制御を行うモードのことである。」との記載より、親局はAccess Point(アクセスポイント)、子局はStation(ステーション)を示すものと認められる。
また、[0070]-[0073]には、無線通信装置をモード制御部が親局(アクセスポイント)として機能させるか、子局(ステーション)として機能させるか判断することが記載されている。
さらに、[0123]に「無線通信装置51自身と上記周囲の無線通信装置との、親局機能の能力および通信品質制御機能の能力の優劣を判断して、無線通信装置51自身の動作モードを親局とすべきか、あるいは、子局とすべきかを決定する」ことが記載され、さらに、[0126], [0170]には、無線通信装置は自局の親局機能の能力をデータフレームとして通知することが、[0170]には、無線通信装置が「周囲の無縁通信装置と、親局機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報を交換」することが記載されている。
ここで、[0172]によれば、無線通信装置の親局機能の能力についての情報として、「電力供給状態、設置状態」といった装置の状態に関するものが含まれる。また、[0176]によれば、無線通信装置の親局機能の能力についての情報から得られる得点に関し、「電池駆動の場合は、電池残量が大きいほど好ましいといえる」との記載されており、引用例1には、親局機能の能力についての情報として「電池残量」を含み得るといえる。
以上から、引用例1には「親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置を決定するための親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報をIEEE802.11規格の他の無線通信装置から受信する手段」が記載されているといえる。
(ウ)[0162]の「これら発見した代理親局と自局との優先度を比較して、自局が代理親局として動作してもよい」、[0170]の「このような優先度の決定を実現するために、各無線通信装置はネットワークに参加している間、予め周囲の無線通信装置と、親局(アクセスポイント)機能の能力および通信品質制御機能の能力についての情報を交換し」、[0172]の「そして、これらの情報をもとに、例えば、それぞれの情報に得点を付けておき、その合計点に基づき優先度を決定することができる。」との記載より、引用例1には「無線通信装置の自局の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点から決定した優先度と、周囲の無線通信装置の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点から決定した優先度を比較する」手段が記載されているといえる。
(エ)[0066]によれば、親局はビーコンの送出処理は親局の処理に含まれ、[0169]によればビーコン情報は親局が送出しているから、親局(アクセスポイント)として機能する無線通信装置はビーコンを送出し、それ以外の無線通信装置は子局(ステーション)として動作することが明らかである。したがって、引用例1には「比較により自局の優先度が高い場合自局が親局(アクセスポイント)として、ビーコンを送出」すること、「比較により自局の優先度が低い場合自局が子局(ステーション)として動作する」ことが記載されているといえる。
以上を総合すると、引用例1には、
「IEEE802.11規格の無線通信装置であって、
親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置を決定するための親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報をIEEE802.11規格の他の無線通信装置から受信する手段と、
無線通信装置の自局の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点から決定した優先度と、周囲の無線通信装置の親局(アクセスポイント)機能の能力等から求めた得点の合計点から決定した優先度を比較する手段とを備え、
比較により自局の優先度が高い場合自局が親局(アクセスポイント)として、ビーコンを送出し、
比較により自局の優先度が低い場合自局が子局(ステーション)として動作する、
無線通信装置。」
との発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
イ 引用例2
原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-235989号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【要約】
【課題】 ネットワーク上に存在する複数のデバイスの中から1台のマスターデバイスを動的に選定可能で、しかも、マスターデバイスの選定時点で、マスターデバイスとしての適性が最も高いデバイスがマスターデバイスに選定されるネットワークシステムの提供。
【解決手段】 マスターデバイスとして機能するデバイスは、自身のマスター適性値が一番高い場合(S320:YES)、他のデバイスに優先度を通知して(S340)、管理下に置く。一方、他のデバイスのマスター適性値が一番高い場合(S320:NO)、他のデバイスにマスターデバイスになるように通知する(S330)。以降は、マスターデバイスになるように通知されたデバイスがマスターデバイスとして機能し、自身はマスターデバイスとなったデバイスの管理下に移行する。」(第1ページ第24-38行)
(イ)「【0136】
なお、図1においては、便宜的に全部で4台の画像処理装置3,3,5,5を図示してあるが、さらに多くの画像処理装置(デバイス)がLAN7に接続されていてもよい。
[システムの動作および機能の概要]
以上のように構成されたネットワークシステムにおいて、ネットワーク上のデバイス(本実施形態では、画像処理装置3,3,5,5)は、それぞれが後述する処理を実行することにより、いずれか1台がマスターデバイスとして機能し、マスターデバイス以外のデバイスが一般デバイスとして機能する。どのデバイスがマスターデバイスとして機能するかは、後述する処理の中で決定されるが、概略を説明すると、本システムにおいては、各デバイスにシステム内における順位が付与され、この順位が高いデバイスほど優先的にマスターデバイスとして機能する状態に移行する仕組みとなっている。以下、この順位のことを優先度ともいう。
(中略)
【0142】
[デバイスが稼働を開始したときに関連する処理]
以下、このようなネットワークシステムを実現するためにネットワーク上の各デバイス(本実施形態では、画像処理装置3,3,5,5)が実行する処理について説明する。なお、以下の説明においては、特に必要がない限り、画像処理装置3と画像処理装置5とを特に区別することなくデバイスと称する。
【0143】
まず、デバイスの電源がONにされたときの処理について、図3に基づいて説明する。
デバイスの電源がONにされると、デバイスは、まず、ブロードキャストにてマスター適性値を送信する(S105)。マスター適性値は、先に説明したデバイスの優先度を決定するために利用される値で、本実施形態では、(不揮発性RAM容量)×(連続運転性指標:FAX機能があるデバイスは2、FAX機能が無いデバイスは1)という演算によって求まる値が、マスター適性値として送信される。すなわち、不揮発性RAM容量が大きいほどマスター適性値は大きい値となり、また、FAX機能があるデバイスはマスター適性値が大きい値となる。後述する処理では、このマスター適性値が大きいほど優先度が高いと判断され、その結果、最もマスター適性値の大きいデバイスがマスターデバイスとして機能する状態になる。このようにして優先度を決めるのは、不揮発性RAM容量が大きいほど、バックアップデータを保存する能力が高いので、マスターデバイスとして適していると考えられ、また、FAX機能があるデバイスは電源を落とさない可能性が高く、ネットワーク内で常時アドレス帳データの提供を行ったりデバイスの増減を監視したりすることができる可能性が高いので、マスターデバイスとして適していると考えられるためである。
(中略)
【0148】
次に、上記S105の処理で送信されるマスター適性値のパケットをデバイスが受信した際、その受信イベントに対応する割り込みルーチン(=イベントハンドラ;以下、イベントハンドラと称する。)として実行されるマスター適性値パケット受信処理について、図4に基づいて説明する。
【0149】
マスター適性値パケットをデバイスが受信したことに伴って、デバイスがこの処理を開始すると、デバイスは、まず、自機動作パラメータは「マスター」か否かを判断する(S205)。自機動作パラメータは、デバイスがマスターデバイスとして機能する状態にあるか一般デバイスとして機能する状態にあるかを示すフラグで、自機動作パラメータが「マスター」でない場合は(S205:NO)、そのまま処理を終了する。すなわち、このマスター適性値パケット受信処理では、デバイスが一般デバイスとして機能する状態にある場合、実質的な処理を実行しない。
【0150】
一方、自機動作パラメータが「マスター」である場合(S205:YES)、そのデバイスはマスターデバイスとして機能する状態にあるので、デバイスは、管理情報と比較して優先度を解析する(S210)。管理情報は、マスターデバイスとして機能するデバイスが後述する処理によって作成し、自機内の記憶領域(例えば、HDD307,507)に記憶している情報である。この管理情報には、図5に例示するように、ID、優先度、IPアドレス、マスター適性値を1組として、複数組のデータが登録されるようになっている。S210の処理では、受信したマスター適性値を、管理情報内に記録されたマスター適性値と比較することにより、マスター適性値を送信したデバイスが、現在のマスターデバイスより優先度の高いデバイス(=マスター適性値の大きいデバイス)であるか否かを解析する。
【0151】
そして、S210の処理によって解析した結果、相手(=マスター適性値を送信したデバイス)がマスターになるべきであれば(S215:YES)、デバイス(=現在のマスターデバイス)は、相手にマスターになるように通知し(S220)、この処理を終了する。一方、S210の処理によって解析した結果、自身(=現在のマスターデバイス)が引き続きマスターデバイスとして機能すべきであれば(S215:NO)、管理情報の作成を実行して(S225)、この処理を終える。なお、S225の処理は、S125の処理と同等な処理であるが、詳細についてはこの後に説明する。
【0152】
次に、上記S125、およびS225の処理に相当する管理情報の作成処理について、図6に基づいて説明する。
この処理を開始すると、デバイスは、ブロードキャストで、全デバイスにマスター適性値を返信するように指示し(S305)、所定時間(例えば、5秒間)ウエイトして(S310)、その間に他のデバイスからの返信を受信する。そして、受信したマスター適性値パケットおよび自身のマスター適性値に基づいて、先に説明した管理情報(図5参照)を作成し(S315)、その管理情報を参照して自分のマスター適性値が一番高いか否かを判断する(S320)。なお、S305の処理によるブロードキャストに対する応答がなかった場合、管理情報には自身しか登録されていないので、当然、自身のマスター適性値が一番高いと判断される。
【0153】
ここで、自分(=現在のマスターデバイス)のマスター適性値が一番高くはない場合(S320:NO)、一番マスター適性値の高いデバイスにマスターになるように通知して(S330)、この処理を終了する。なお、S330の処理を実行したことに伴って、通知を受けたデバイスでは、後述する優先度変更パケット受信処理(図7参照)が実行されることになる。
【0154】
一方、自分(=現在のマスターデバイス)のマスター適性値が一番高い場合は(S320:YES)、管理下デバイス(=管理情報に登録されたデバイス)に、(1)優先度指定情報、(2)監視用のデバイスのアドレス情報、(3)マスターのアドレス情報、以上3つの情報を含んだパケットを送信する(S340)。なお、S340の処理によって送信されたパケットを受信したデバイス(=管理情報に登録されたデバイス)では、後述する優先度変更パケット受信処理(図7参照)が実行され、マスターデバイス(この処理を実行するデバイス)に対して返事が返されることになる。
【0155】
そこで、S340の処理を終えた後、デバイスは、全ての管理下デバイスから返事があったか否かを判断し(S350)、全デバイスからの返事が得られていない場合は(S350:NO)、所定時間(例えば1秒間)ウエイトし(S355)、その後、タイムアウトか否かを判断して(S360)、タイムアウトでなければ(S360:NO)、S350の処理へと戻る。このS350~S360の処理は、全てのデバイスから返事があるかタイムアウトになるまで繰り返される。
【0156】
このS350~S360の繰り返し処理の中で、タイムアウトとなった場合は(S360:YES)、ネットワーク上に返事を返すべきデバイスが存在しないことを意味するので、デバイスは、既に管理情報の内容が有効ではないものと認識し、S315の処理へと戻って、あらためてS315以降の処理をやりなおす。
【0157】
一方、S350~S360の繰り返し処理の中で、全てのデバイスから返事があった場合(S350:YES)、デバイスは、自機動作パラメータに「マスター」であることを示すフラグをセットし(S365)、この処理を終える。」
上記摘記事項(ア)及び(イ)より、引用例2には、ネットワークシステムのマスタデバイスの決定において(【要約】、【0136】)デバイスは、他のデバイスから、演算によって求まる値である(【143】)マスター適正値を受信し、自分のマスター適正値が一番高いか否かを判断し(【0152】)、自分のマスター適正値が一番高い場合は自機がマスターデバイスとして機能する(【0154】,【0157】)ことが記載されている。
したがって、「ネットワークシステムにおいて、マスターを決定する際に、他のデバイスから演算によって求まる値であるマスター適正値を受信し、自機のマスター適正値と比較して自機がマスターとなることを決定する。」ことは公知技術であると認められる。
ウ 引用例3
原査定の拒絶の理由で引用された特開2004-129042号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【要約】
【課題】マスタの切り替えを効率的に実行することを可能とした通信処理システム、方法を提供する。
【解決手段】マスタとスレーブとによって構成されるネットワークにおいて、各スレーブが、スレーブの能力値をパフォーマンス・パラメータとして算出してマスタに送信し、マスタが、各スレーブからのパフォーマンス・パラメータに基づいて、次期マスタ候補としてのバックアップマスタの選定処理を実行し、選定したバックアップマスタのアドレス、同期情報を含むBM情報を各スレーブに提供する。マスタが離脱した場合に、スレーブは、バックアップマスタ情報に基づいて、次期マスタを決定し、接続処理を即座に実行することが可能となる。」(第1ページ第26-38行)
(イ)「【0057】
まず、図1を参照して、ブルートゥース規格に準拠した無線通信ネットワークとしてのピコネットを形成して、ピコネットを形成した通信処理装置間で、相互に各種のデータを送受信する通信システムの構成例について説明する。
【0058】
前述したように、ブルートゥースを用いた通信においては、通信を制御するマスタと呼ばれる機器と、マスタを介した通信を実行する複数のスレーブと呼ばれる機器によって形成されるネットワーク(ピコネット)において通信が実行される。ブルートゥースにおいては、各機器を識別する情報としてブルートゥースデバイス・アドレスが個々の機器に設定され、ブルートゥースデバイス・アドレスに基づいて、通信対象の特定がなされる。
【0059】
マスタとスレーブからなるピコネットにおいては、1つのマスタに対して、最大7つのスレーブが属することができる。同一のピコネットに属する全ての機器は、周波数軸(周波数ホッピングパターン)と時間軸(タイムスロット)が同期している状態にある。
【0060】
図1においては、パーソナルコンピュータ(PC)101がマスタとして設定され、その他の機器、パーソナルコンピュータ(PC)121、携帯電話122、PDA(Personal Digital Assistants)123、ビデオカメラ124が各々スレーブとして設定された構成例を示している。
【0061】
これらの1つのマスタと複数のスレーブによって構成されるピコネットは、他の外部ネットワークと接続しない独立したネットワーク(アドホックモード)として存在することも、あるいはインターネット、あるいは他のピコネット等、他のネットワークにマスタを介して接続した構成(インフラストラクチャモード)とすることも可能である。
【0062】
このピコネットは、パーソナルエリアネットワーク(PAN)とも呼ばれ、スレーブの各々は、PANU(PANユーザ:PAN User)と呼ばれる。また、他のネットワークと接続された構成(インフラストラクチャモード)におけるマスタは、ピコネットを構成するスレーブ間の通信パケットの中継、すなわちパケット交換処理を実行するとともに、外部接続ネットワークとのパケット交換も実行し、NAP(Network Access Point)と呼ばれる。一方、他の外部ネットワークと接続しない独立したネットワーク(アドホックモード)におけるマスタは、ピコネットを構成するスレーブ間の通信パケットの中継を行ない、GN(Group Ad-hoc Network)と呼ばれる。
【0063】
ブルートゥースにおいては、無線通信で送受信されるデータや、その通信手順に関して、サービス毎に取り決めたプロファイルと呼ばれる仕様が策定されており、このプロファイルに従って、各機器が提供できるサービスが表わされている。PAN(Personal Area Network)プロファイルでは、ピコネットにおけるスレーブ間の通信方法が規定されており、PANプロファイルに基づいて構成されたピコネットに属する機器は、そのピコネットを1つのネットワークとして各種のデータを送受信する。
(中略)
【0097】
そこで、本発明では、図5に示すシーケンス図のステップS16以下の処理として、
(1)マスタによるスレーブからのパフォーマンス情報としてのパフォーマンス・パラメータの取得、
(2)各スレーブから取得したパフォーマンス・パラメータに基づく次期マスタとしてのバックアップマスタ(BM)の設定処理、
(3)各スレーブに対するバックアップマスタ(BM)の情報提供処理、
の各処理を行なう構成とした。
【0098】
以下、これらの処理について、詳細に説明する。図5に示すシーケンス図のステップS16において、マスタ(デバイスA)は、同期処理、セキュリティセットアップ処理、およびSDP処理の終了したスレーブ(デバイスB)との間で、BNEPセットアップ処理を実行する。
【0099】
BNEPは、ブルートゥースネットワーク・エンカプセレーション・プロトコル(Bluetooth Network Encapsulation Protocol)であり、ブルートゥースL2CAP上で、イーサネットパケットをカプセル化して直接転送することを可能としたプロトコルである。BNEPパケットは、BNEPによって、コントロールパケットあるいはデータパケットを送信する際に用いられるパケットである。
【0100】
BNEPパケット構成例を図6に示す。(a)はBNEPパケットのヘッダを含む全体構成を示し、(b)はBNEPパケットの構成例を示している。
【0101】
BNEPパケットのヘッダには、イーサネットパケット送受信用のパケットを示す[GENERAL ETHENET]、[COMPRESSED ETHERNET]、あるいは制御用パケットであることを示す[CONTROL]等のBNEPタイプ(BNEP Type)が設定され、また、拡張ヘッダ(Extention Header)を有するか否かの情報(有り=1、無し=0)としての拡張フラグ(Extention Flag)が格納される。続いて、BNEPタイプに応じたヘッダが続き、さらに、拡張ヘッダ(ExtentionHeader)を有する場合には、拡張ヘッダが付加され、その後にBNEPタイプに応じたペイロードが格納される。
【0102】
(b)はペイロードの一例を示しており、送信先アドレス(Destination Address)、送信元アドレス(Source Address)、ネットワーキングプロトコルタイプ、さらに拡張ヘッダを有する場合には拡張ヘッダが付加され、続いてペイロードを有する。送信先アドレス、送信元アドレスは、例えばブルトゥースデバイス・アドレス(BD Address)である。ネットワーキングプロトコルタイプは、例えばイーサネットタイプに準拠したプロトコルタイプが設定される。
【0103】
本発明の構成においては、ピコネット内の各スレーブはマスタに対して、このBNEPパケットのコントロールパケットを利用し、スレーブの能力値としてのパフォーマンス・パラメータを格納して送信する。マスタは、各スレーブから受信したパフォーマンス・パラメータに基づいて、次期マスタとしての適性を評価し、適性評価値に基づいて、バックアップマスタ(BM)を決定する。
【0104】
BNEPパケットに付加される拡張ヘッダのフォーマットを図7に示す。拡張ヘッダには、パフォーマンス・パラメータの送信、あるいは、バックアップマスタ情報の送信等の種類を示すエクステンション・タイプ(Extention Type)、さらに、他の拡張ヘッダ(Extention Header)を有するか否かの情報(有り=1、無し=0)を示す拡張フラグ(Extention Fjag)、拡張ヘッダのデータ長(Extention Length)、さらに、ペイロード(Extention Payload)が格納される。例えば、コントロールパケットは拡張ヘッダとして他のBNEPパケットに付加して格納することが可能である。
【0105】
ネットワーク(ピコネット)内のスレーブから、マスタに対して送信するパフォーマンス・パラメータの具体例を図8に示す。パフォーマンス・パラメータはスレーブの各々のデータ処理能力の評価要素毎の能力値、すなわち、マスタとして選定される機器に適しているか否かを判定するための指標値として適用可能な要素毎の評価値である。
【0106】
図8に示す例では、バッテリ残量、CPU能力、メモリリソース、電界強度値(RSSI:Radio Signal Strength Indicator)、および、マスタ設定可否情報の各々をスレーブの各々のデータ処理能力の評価要素として、それぞれをパフォーマンス・パラメータとした例を示している。それぞれのパフォーマンス・パラメータにはパラメータ識別子として0x01~0x05の識別子が付与されている。なお0xは16進数を示す。
【0107】
各パフォーマンス・パラメータ中、バッテリ残量~RSSIの各々については、スレーブが予め保持するパラメータ算定基準に基づいて、パフォーマンス・パラメータの値を0x00~0xFFの範囲(1byte=256種類)で設定する。例えば、最低パフォーマンス=00であり、最高パフォーマンスをFFとして設定する。」
上記摘記事項によれば、「ピコネット内の各スレーブはNetwork Access Pointであるマスタに対して、スレーブの能力値としてのバッテリ残量等のパフォーマンス・パラメータを送信し、マスタは、各スレーブから受信したパフォーマンス・パラメータに基づいて、次期マスタとしての適性を評価し、適性評価値に基づいて、バックアップマスタを決定する。」ことは公知技術であると認められる。
(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
本件補正発明の「IEEE802.11の機能を有する無線通信装置」と「IEEE802.11規格の無線通信装置」とは、表現上の差違にすぎない。
イ 本願の発明の詳細な説明【0016】の記載によれば、本件補正発明の「簡易的アクセスポイントの機能を担う装置」は、あらかじめアクセスポイント及びステーションの機能を決定しておかず、事後的にアクセスポイントを決定し、当該アクセスポイントとして決定された無線通信装置を含むと認められる。してみれば、引用発明の「親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置」は本件補正発明の「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置」に相当する。また、前記「(2)ア(イ)」より、引用発明の親局(アクセスポイント)機能の能力は、「装置状態を示す」ものも含んでいる。してみれば、引用発明の「親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置を決定するための親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報」と、本件補正発明の「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第1の数値情報」とでは、「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す情報」である点で共通する。また、引用発明の「受信する手段」は本件補正発明の「受信部」に対応する。
これより、本件補正発明の「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第1の数値情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信する受信部」と引用発明の「親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置を決定するための親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報をIEEE802.11規格の他の無線通信装置から受信する手段」とでは、「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信する受信部」との点で共通する。
ウ 本件補正発明の「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される」第1及び第2の「数値情報」と引用発明の「親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点」とでは、「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す」「数値情報」との点で共通する。そして、本件補正発明の「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第1の数値情報」と引用発明の「周囲の無線通信装置の親局(アクセスポイント)機能の能力等から求めた得点の合計点」とでは、「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第1の数値情報」との点で共通し、本件補正発明の「前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第2の数値情報」と引用発明の「無線通信装置の自局の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点」とでは、「前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第2の数値情報」との点で共通する。また、引用発明において、「親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点」から優先度を求めていることから、前記合計点同士を比較して優先度を求めていることは明らかである。よって、引用発明が本件補正発明の「比較部」に相当するものを有することは明らかである。
してみれば、本件補正発明の「前記第1の数値情報と、前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す0から15の値を用いて示される第2の数値情報とを比較する比較部」と引用発明の「無線通信装置の自局の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点から決定した優先度と、周囲の無線通信装置の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点から決定した優先度を比較する手段」とでは、「第1の数値情報と、前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第2の数値情報とを比較する比較部」とを備える点で共通する。
エ 本件補正発明の「前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が大きい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担う装置として、ビーコンを送信し」と、引用発明の「比較により自局の優先度が高い場合自局がアクセスポイントとして、ビーコンを送出し」とでは、「比較の結果に基づき前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担う装置として、ビーコンを送信し」との点で一致する。
オ 本件補正発明の「前記比較の結果に基づき、前記第1の数値情報よりも前記第2の数値情報が小さい場合、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担わないステーションとして動作し」と引用発明の「比較により自局の優先度が低い場合自局がステーションとして動作する」とでは、「前記比較の結果に基づき、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担わないステーションとして動作し」との点で一致する。
してみれば、本件補正発明と引用発明とでは、
「IEEE802.11の機能を有する無線通信装置であって、
簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信する受信部と、
簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第1の数値情報と、前記無線通信装置自身が有する、簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第2の数値情報とを比較する比較部とを備え、
比較の結果に基づき前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担う装置として、ビーコンを送信し、
前記比較の結果に基づき、前記無線通信装置は、前記アクセスポイントの機能を担わないステーションとして動作する
無線通信装置」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
受信部に関して、本件補正発明では数値情報である「第1の数値情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信」するのに対し、引用発明では、無線通信装置が数値情報とは特定されていない「親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報」を他の無線通信装置から受信する点。
(相違点2)
比較部に関して、本件補正発明では「装置状態を示す0から15の値を用いて示される」第1の数値情報及び第2の数値情報とを比較するのに対し、引用発明では、第1の数値情報及び第2の数値情報に対応する「合計点」については、値の範囲は特定されていない点。
(相違点3)
本件補正発明は更に「前記第1の数値情報は、前記他の無線通信装置の現在の状況に応じて動的に変化し、前記第2の数値情報は、前記無線通信装置自身の現在の状況に応じて動的に変化する」との発明特定事項を有し、これにより、「前記第1の数値情報」及び「第2の数値情報」は、「現在の状況に応じて動的に変化」するものであるのに対し、引用発明の「周囲の無線通信装置の親局(アクセスポイント)機能の能力等から求めた得点の合計点」、及び、「無線通信装置の自局の親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報等から求めた得点の合計点」は、「現在の状況に応じて動的に変化」するものであるか否かが特定されていない点。
(4)判断
前記相違点について検討する。
(相違点1,2)
前記「(2)イ」より「ネットワークシステムにおいて、マスターを決定する際に、他のデバイスから演算によって求まる値であるマスター適正値を受信し、自機のマスター適正値と比較して自機がマスターとなるかを決定する。」ことは公知である。ここでマスター適正値は数値情報であることは明らかである。してみれば、引用発明の「親局(アクセスポイント)として機能させる無線通信装置を決定するための親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報をIEEE802.11規格の他の無線通信装置から受信する」ことに代えて、「簡易的なアクセスポイントの機能を担う装置を決定するための装置状態を示す第1の数値情報を、IEEE802.11の機能を有する他の無線通信装置から受信」することは、当業者が容易に想到することができた事項である。
そして、一般に、数値情報の取り得る範囲は、当業者が適宜設計的に決定できるものであるから、引用発明の「合計点」を「0から15の値を用いて示される」ものとすることは、当業者が適宜なしえる事項である。
(相違点3)
前記「(2)ア(イ)」より、引用発明の「親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報」には「電池残量」のような動的に変化する装置状態を示すものが含み得るといえる。さらに、前記「(2)ウ」より、「ピコネット内の各スレーブはNetwork Access Pointであるマスタに対して、スレーブの能力値としてのバッテリ残量等のパフォーマンス・パラメータを送信し、マスタは、各スレーブから受信したパフォーマンス・パラメータに基づいて、次期マスタとしての適性を評価し、適性評価値に基づいて、バックアップマスタを決定する。」ことは公知技術である。すなわち、無線通信ネットワークのアクセスポイント及びステーションの動的な決定において、無線通信装置間で交換する情報を無線通信装置のバッテリ残量等の現在の状況に応じて動的に変化するものとすることは、公知である。よって、本願補正発明の「第1の数値情報」及び「第2の数値情報」に対応する引用発明の「合計点」を「前記第1の数値情報は、前記他の無線通信装置の現在の状況に応じて動的に変化し」、「前記第2の数値情報は、前記無線通信装置自身の現在の状況に応じて動的に変化する」ものとすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び引用文献2,3に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、及び、引用文献2,3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 まとめ
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正が、仮に、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるとしても、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年6月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年12月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2 1に記載のとおりのものと認めるである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例1-3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであり、請求項1に対して
引用例1 国際公開第2005/034434号
引用例2 特開2006-235989号公報(周知技術を示す文献)
が引用されている。
3 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用発明は、前記「第2 4 (2)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 4」で検討した本件補正発明から「0から15の値を用いて示される」、「前記第1の数値情報は、前記他の無線通信装置の現在の状況に応じて動的に変化」、「前記第2の数値情報は、前記無線通信装置自身の現在の状況に応じて動的に変化」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が前記「第2 4」に記載したとおり、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本源発明も、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。(なお、本願発明と引用発明とでは前記「第2 4」における相違点3に対応する相違は存在しない。)
なお、本願出願人は平成28年12月14日に提出された意見書において、本件補正発明は「装置状態を示す第1の数値情報よりも装置状態を示す第2の数値情報が大きい場合に、無線通信装置は、アクセスポイントの機能を担う装置として」動作すること、「装置状態は、例えば本願の図4に示されたバッテリ残量などの現在の装置状態が該当」すること、一方、引用例1,2に記載されたものは「親局機能を示す「能力情報」に基づいて、親局として機能するか否かを決定する」ものであり、引用例1-3にはいずれも装置状態を示す第1及び第2の数値情報をもちいるものではない旨主張している。
しかしながら、上記主張に関しては前記「第2 4」で検討したとおりであって、特に「装置状態」について、引用発明は、親局(アクセスポイント)機能の能力についての情報が電池残量を含むものであり、引用例3のパフォーマンス・パラメータはバッテリ残量を含むものである。したがって、いずれも「バッテリ残量などの現在の装置状態」を用いるものである。
してみれば、出願人の上記主張は、引用例の記載を適切に解釈したものではなく、採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-009041