意匠拒絶査定不服審判
2017-007952
Shade of a lamp
- 審判番号
- 2017-007952
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-500784外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月02日
- 審決日
- 2018年04月09日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フロス エス.ピー.エー.
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】小出 俊實
- 【請求人代理人】吉田 親司
- 分類
- D18 .113-WY (D3-9)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-500784「Shade of a lamp」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)7月17日のイタリア共和国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,2015年(平成27年)10月2日の国際意匠登録出願であって,平成29年(2017年)6月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであるが,同年8月1日付けで当審において拒絶理由の通知がなされ,これに対し,同年12月1日に意見書が提出されたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「Shade of a lamp」(参考訳,「ランプ用笠」,以下,日本語訳で示す。)であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第1参照)
第3 当審における拒絶の理由及び引用意匠
当審における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成27年(2015年)6月11日に受け入れた
konradin-Verlag Robert Kohlhammer GmbHが発行した外国雑誌「moebel interior design」4号61巻48頁(右下の背面側および正面側から見た2図)所載
「電気スタンド」の笠の意匠であって,その形態は,同雑誌に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)
第4 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「ランプ用笠」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「電気スタンド」の笠であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠の記載等を総合すれば,本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも,卓上もしくは床上等に載置して使用する照明器具用の笠であるから,共通するものである。
2.両意匠の形態
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。(本審決において,本願意匠の添付図面の表記は,「Fig.6.1」を「斜視図」,「Fig.6.2」を「右側面図」,「Fig.6.3」を「左側面図」,「Fig.6.4」を「正面図」,「Fig.6.5」を「背面図」,「Fig.6.6」を「平面図」,「Fig.6.7」を「底面図」とし,引用意匠の図面の向きを本願意匠に合わせるものとする。)
(1)共通点
基本的構成態様として,
ア.全体(笠部)は,正面視,略縦長小判形状の薄板で,背面側の下方寄り左右中央部を頂点とする略扁平楕円錐形としたものである点。
具体的な態様として,
イ.笠部の頂点の位置について,全体の高さの下から約4分の1強の高さの位置を頂点とし,その頂点から,笠部の下端部に向かって,正背面側それぞれに垂線を1本ずつ形成したものである点。
(2)差異点
具体的な態様として,
A.背面部の態様において,本願意匠は,全体が,背面視,略縦長小判形状であるのに対し,引用意匠は,背面視,略縦長小判形状とし,その下端部中央から垂下する略縦長細棒状の支持部を一体状に形成したものである点,
B.正背面部において,本願意匠は,頂点から,垂線を挟んで,左右斜め下方向に鋭角な等辺を形成しているのに対し,引用意匠は,このような等辺は形成していない点,
C.色彩及び透光性について,引用意匠は,全体が薄い水色で透光性を有しているものであるのに対し,本願意匠は,形状のみの態様である点。
3.類否判断
以上の共通点及び差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態については,以下のとおりである。
(2)両意匠の形態
(2-1)共通点の評価
基本的構成態様に係る共通点ア.及び具体的態様に係る共通点イ.は,笠部の構成において共通するものであり,これらの点は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
(2-2)差異点の評価
これに対して,差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すわなち,まず,差異点A.の背面部の態様について,本願意匠が,全体を笠部のみの態様としているのに対し,引用意匠は,笠部に,略縦長細棒状の支持部を一体状に形成した態様としたものであるから,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
また,差異点B.の正背面部において,頂点から左右斜め下方向に鋭角な等辺を形成しているか否かの点については,等辺が笠部の下端部近傍に形成されており,それ自体,さほど目立つものではないが,等辺を形成していない引用意匠が,一体状に形成される支持部の付け根部分に当たり,需要者が注意を払う部分であるといえるものであるから,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
一方,差異点C.の色彩及び透光性の有無については,本願意匠は,形状のみによって表されたものであり,色彩を付したものではなく,また,透光性の有無についても,この種物品の分野においては,笠部を不透明としたり,やや透光性を有するものとすることは,ごく普通に見受けられるものであるから,これらが,両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものである。
以上のとおり,差異点C.が両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものであるが,差異点A.が両意匠の類否判断に与える影響は大きく,差異点B.も両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから,差異点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が,共通し,両意匠の形態において,差異点が両意匠の類否判断に与える影響は,共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,需要者に与える視覚的印象が異なるというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,当審の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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