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意匠補正却下不服審判

2019-500004

Table lamp

審判番号
2019-500004
法域
意匠
審判種別
補正却下不服審判(補正却下不服の審決)
出願番号
意願2017-501842外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年02月26日
審決日
2019年07月23日
公報発行日
2021年12月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
D17 .1 -Z (D3-3)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法17条の2第1項意匠法60条の24
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第17条の2第1項、意匠法第3条第1項、意匠法第60条の24、意匠法第17条の2
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2017-501842「Table lamp」において、平成30年10月4日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 本願の手続の経緯 (1)本願は、2017年3月30日のイタリアへの出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、2017年(平成29年)9月28日の国際意匠登録出願であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品は、「Table lamp」(参考訳:「テーブルランプ」、以下日本語で示す。)であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである(別紙第1参照)。 (2)特許庁審査官は、平成30年(2018年)6月27日付けで以下の拒絶の通報を通知した(発送日:同年7月6日)。 「この意匠登録出願の意匠は、下記に示すように、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しません。 下方からみた態様が十分に開示されていません。そのため、笠と支柱との関係が不明確です。」 (3)出願人代理人は、平成30年(2018年)10月4日付けで、意見書及び手続補正書を提出した。手続補正書における補正の内容は以下のとおりである(別紙第2参照)。 ア 手続補正1 部分意匠の項目を追加した。 イ 手続補正2 願書の意匠の説明を下記のとおりとした。 「The model is a table lamp consisting of a stem and a light diffuser; the stem has a base of hexagonal shape and a vertical pillar; the light diffuser is supported by the pillar and has a circular shape with a maximal diameter substantially equal to the dimension of the base; the light source is housed into the light diffuser. The parts shown by means of broken lines in the reproductions are not part of the claimed design. 1.1)Perspective view from above; 1.2)Front view; 1.3)Back view; 1.4)Left side view; 1.5)Right side view; 1.6)Top view; 1.7)Bottom view; 1.8)Perspective view from below(参考訳:「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径はおおむね台座の寸法と同じである。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。1.1)上から見た斜視図; 1.2)正面図; 1.3)背面図; 1.4)左側面図; 1.5)右側面図; 1.6)平面図; 1.7)底面図; 1.8)下から見た斜視図」、以下日本語訳で示す。)」 ウ 手続補正3 願書に添付した図面に、図1.8を追加した。 (4)特許庁審査官は、平成30年(2018年)11月14日付け(発送日:同年11月30日)で、平成30年10月4日付けの手続補正書に対して、次の理由により、意匠法第17条の2第1項の規定に基づき、補正の却下の決定をした。 「上記手続補正書により、願書の部分意匠の欄、願書の意匠の説明の欄の記載、及び添付図面の1.8(下方から見た状態の斜視図)について補正されましたが、願書の部分意匠の欄の追加及び願書の記載は補正が認められるものの、添付図面における笠内部を開示する下方から見た状態の斜視図につき、この補正は、出願当初不明確であった意匠登録を受けようとする部分の位置・大きさ・範囲を明らかにするものであって、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず、また、当該欄の記載は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものであることから、結果、上記手続補正書による補正は、出願当初の願書の記載の要旨を変更するものと認められます。」 (5)請求人は、この決定を不服として、平成31年(2019年)2月26日付けで審判を請求した。 2 請求人の主張 請求人は、平成30年(2018年)11月14日付けの補正の却下の決定を取り消すべき事由として、要旨以下のとおり主張した。 本願意匠は、願書に記載の「意匠に係る物品」は「テーブルランプ」であり、願書に添付した図面から「その形態は、全体が、散光器を有した笠部、支柱部、台座部によって構成され、台座部の上面中央から略細長六角柱形状の支柱部を直立させ、その上方略2/3部分にそろばん玉様の突状部を形成し、その支柱部の先端部に略扁平円錐台形状の笠部を取付けた態様」であるが、不透明材質の笠部によって明確にされていなかった「笠内部」を、「手続補正3」によって明確にした。 その根拠は、願書に記載の「意匠の説明」において、「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径はおおむね台座の寸法と同じである。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。」と明記されていることから、今回の手続補正書において示す図、すなわち「(1.8)下方から見た状態の斜視図」は、通常の知識を有する者が当然に判断し得る照明器具の構成の範囲における支柱上方部の態様の開示であると思料する。 このように、不明確な部位を明確にすることが構成要素の追加となり、意匠の同一性を損なうものがあるとするならば、日本の運用上、不明確な図面を審査官によって提出を求められ、その図面を提出することが要旨の変更と判断され、最終的に拒絶される、という選択肢しかないということになり、国際ハーモナイゼーションの観点からも日本の意匠制度が国際的な対応をしていないということになる。 付言すれば、意匠は、外形状、すなわちフォルムが重要な要素であって、機能上に特徴がある場合は兎も角、通常の知識を有する者が当然に判断できる場合は明確に開示されていない場合もあると思料する。 一般に、テーブルランプにおいて、発光部である照明部分が笠内部に位置することや、支柱の先端部に笠部が取付けられることは通常の態様(形態)であり、本願意匠の場合、散光器を有した笠部であって、支柱の先端部に笠部を上から支柱部を覆うように取付けられたものであるので、それほど特徴的とはいえないので、「下方から見た状態の斜視図」を出願図面として提出しなかったものである。 そして、出願当初から「意匠の説明」に記載されているとおり、笠部の態様(形態)や笠と支柱との関係は、容易に想定し得る範囲であり、当該図を追加する補正は、出願当初に不明であった意匠の要旨を明確にする補正であるので、要旨の変更とはなり得ないものであると思料する。 3 当審の判断 本願について、平成30年10月4日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」ともいう。)により、願書の記載及び願書に添付した図面についてした補正が、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであるか否かについて、以下検討する。 (1)出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面(別紙第1参照) ア 願書の記載 願書の「意匠に係る物品」には「テーブルランプ」と記載され、「意匠の説明」には、「The model is a table lamp consisting of a stem and a light diffuser; the stem has a base of hexagonal shape and a vertical pillar; the light diffuser is supported by the pillar and has a circular shape with a maximal diameter substantially equal to the dimension of the base; the light source is housed into the light diffuser(参考訳:「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径はおおむね台座の寸法と同じである。光源はライトデフューザー内部に収納されている。」、以下日本語訳で示す。)」と記載されている。 イ 出願当初の願書に添付した図面 光源が内部に収納されている散光器付きの笠部、支柱部及び台座部から成るテーブルランプについて、上から見た斜視図(1.1)の他、6方向から見た図が(1.2)~(1.7)に表されている。これらの図は、支柱部及び台座部は実線によって表され、笠部は破線によって表されている。 (2)本件補正の願書の記載及び追加した図面(別紙第2参照) ア 本件補正の願書の記載 部分意匠の項目が追加され、「意匠に係る物品」に補正はなく、「意匠の説明」が「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径はおおむね台座の寸法と同じである。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。1.1)上から見た斜視図; 1.2)正面図; 1.3)背面図; 1.4)左側面図; 1.5)右側面図; 1.6)平面図; 1.7)底面図; 1.8)下から見た斜視図」に変更されている。 イ 本件補正で追加した図面 下から見た斜視図として(1.8)が追加され、支柱部の上部と破線によって表された笠部上面部の底面との接続態様が表されている。 (3)判断 ア 願書の記載の補正について 出願当初の願書添付図面によると、支柱部及び台座部が実線によって表され、光源を含む笠部が破線で表されており、その描き分けた意図は、部分意匠制度を有する我が国においては、実線部分が意匠登録を受けようとする部分であって、破線部分は意匠登録を受けようとする部分に含まれないものと考えられることから、部分意匠の項目を追加する補正及び意匠の説明に、「破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。」と追記する補正は、出願当初の意匠の要旨を変更するものではない。 また、意匠の説明の中で、図の各番号に「正面図」等のタイトルを加える補正は、その内容が出願当初から想定し得る範囲であり、出願当初の意匠の要旨を変更するものではない。 イ 本件補正で追加した図面について 笠部と支柱部がどのように接合されているのかは、出願当初の添付図面だけでは特定することができない。一方、意匠の説明によると「ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径はおおむね台座の寸法と同じである。」との記載があり、これを合わせれば、底面図である図1.7には台座部に隠れて表れていないが、台座部とおおむね同寸の笠部上面部の底面が支柱部の上部と接合して支持されていることが理解され、そうすると笠部の内部は空洞であると考えられ、笠部上面部の底面と支柱部上部の接続態様は、追加された図1.8において矛盾して表されているわけではない。 また、支柱部の上部は、正面図である図1.2の他、図1.3~1.5、及び図1.7をみると、底面視正六角形とする座面部からそのまま支柱部へとつながっていることから、そろばん玉様の突出部の上方、円弧状の先端アーチ部までをそのまま断面六角形状とし、先端アーチの上部には水平の直線が表れ、その上にはそれまであった断面六角形状を示す稜線が表れていないため、支柱部の上部は断面六角形状ではなく、断面円形状に切り替わっているものと考えられる。そうすると、追加された図1.8において表された支柱部上部の形状が断面円形状であることについても、本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば当然導き出すことができるといえる。 しかしながら、補正により追加された図1.8は、意匠登録を受けようとする部分を、台座部及び支柱部に加え、台座の寸法とおおむね同寸とする笠部上面部の底面まで含むものとされている。 これは、出願当初の笠部を破線として表し、台座部及び支柱部を実線で表していた図から当業者が導き出すことができず、出願当初の願書の記載及び添付図面から想定できる範囲を超えているものといわざるを得ない。 したがって、手続補正書により追加された「下方から見た斜視図」(図1.8)は、当業者が見た場合、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ及び範囲について、出願当初の願書の記載及び添付図面から想定できるものではなく、要旨の変更に該当する。 なお、請求人は、「このように、不明確な部位を明確にすることが構成要素の追加となり、意匠の同一性を損なうものがあるとするならば、日本の運用上、不明確な図面を審査官によって提出を求められ、その図面を提出することが要旨の変更と判断され、最終的に拒絶される、という選択肢しかないということになり、国際ハーモナイゼーションの観点からも日本の意匠制度が国際的な対応をしていないということになる。」と主張している。 しかし、意匠法において、審査、審判又は再審に係属している場合に限り、手続の補正をすることができる(意匠法第60条の24)ところ、その補正は出願意匠の要旨を変更しない範囲に限られるとされている(意匠法第17条の2)。その理由は、本願意匠が出願当初から補正後のものであるとして取り扱われるから、出願当初にない新たな要素が加わる等によって、意匠の要旨が変更されてしまう補正まで認めてしまうと、第三者に不利益を与えるからである。出願当初の意匠の要旨を変更する補正がされた以上、出願日を維持する合理的理由はなく、請求人の主張を採用することはできない。 4 結び 以上のとおりであって、平成30年(2018年)10月4日付けでした補正は、願書に部分意匠の項目を追加する補正及び意匠の説明を変更する補正については、出願当初の願書の記載の要旨を変更するものではないが、願書添付図面に図1.8を加える補正については、出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものであるから、意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-500004

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