意匠補正却下不服審判
2019-500005
Table lamp
- 審判番号
- 2019-500005
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 補正却下不服審判(補正却下不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-501837外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月26日
- 審決日
- 2019年07月17日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】フロス エス.ピー.エー.
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】小出 俊實
- 【請求人代理人】幡 茂良
- 分類
- D17 .1 -W (D3-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法17条の2第1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第17条の2第1項、意匠法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2017-501837「Table lamp」において、平成30年10月4日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原決定を取り消す。
理由
【理 由】
1 本願の手続の経緯
(1)本願は、2017年3月30日のイタリアへの出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、2017年(平成29年)9月28日の国際意匠登録出願であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品は、「Table lamp」(参考訳:「テーブルランプ」、以下日本語で示す。)であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである(別紙第1参照)。
(2)特許庁審査官は、平成30年(2018年)6月27日付けで以下の拒絶の通報を通知した(発送日:同年7月6日)。
「この意匠登録出願の意匠は、下記に示すように、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しません。
下方からみた態様が十分に開示されていません。そのため、笠と支柱との関係が不明確です。」
(3)出願人代理人は、平成30年(2018年)10月4日付けで、意見書及び手続補正書を提出した。手続補正書における補正の内容は以下のとおりである(別紙第2参照)。
ア 手続補正1
部分意匠の項目を追加した。
イ 手続補正2
願書の意匠の説明を下記のとおりとした。
「The model is a table lamp consisting of a stem and a light diffuser; the stem has a base of hexagonal shape and a vertical pillar; the light diffuser is supported by the pillar and has a circular shape with a maximal diameter greater than the dimension of the base; the light source is housed into the light diffuser. The parts shown by means of broken lines in the reproductions are not part of the claimed design. 1.1)Perspective view from above; 1.2)Front view; 1.3)Back view; 1.4)Left side view; 1.5)Right side view; 1.6)Top view; 1.7)Bottom view; 1.8)Perspective view from below(参考訳:「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径が台座の寸法よりも大きい。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。1.1)上から見た斜視図; 1.2)正面図; 1.3)背面図; 1.4)左側面図; 1.5)右側面図; 1.6)平面図; 1.7)底面図; 1.8)下から見た斜視図」、以下日本語訳で示す。)」
ウ 手続補正3
願書に添付した図面に、図1.8を追加した。
(4)特許庁審査官は、平成30年(2018年)11月14日付け(発送日:同年11月30日)で、平成30年10月4日付けの手続補正書に対して、次の理由により、意匠法第17条の2第1項の規定に基づき、補正の却下の決定をした。
「上記手続補正書により、願書の部分意匠の欄、願書の意匠の説明の欄の記載、及び添付図面の1.8(下方から見た状態の斜視図)について補正されましたが、願書の部分意匠の欄の追加及び願書の記載は補正が認められるものの、添付図面における笠内部を開示する下方から見た状態の斜視図につき、この補正は、出願当初不明確であった意匠登録を受けようとする部分の位置・大きさ・範囲を明らかにするものであって、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず、また、当該欄の記載は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものであることから、結果、上記手続補正書による補正は、出願当初の願書の記載の要旨を変更するものと認められます。」
(5)請求人は、この決定を不服として、平成31年(2019年)2月26日付けで審判を請求した。
2 請求人の主張
請求人は、平成30年(2018年)11月14日付けの補正の却下の決定を取り消すべき事由として、要旨以下のとおり主張した。
本願意匠は、願書に記載の「意匠に係る物品」は「テーブルランプ」であり、願書に添付した図面から「その形態は、全体が、散光器を有した笠部、支柱部、台座部によって構成され、台座部の上面中央から略細長六角柱形状の支柱部を直立させ、その上方略2/3部分にそろばん玉様の突状部を形成し、その支柱部の先端部に略扁平円錐台形状の笠部を取付けた態様」であるが、不透明材質の笠部によって明確にされていなかった「笠内部」を、「手続補正3」によって明確にした。
その根拠は、願書に記載の「意匠の説明」において、「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径が台座の寸法よりも大きい。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。」と明記されていることから、今回の手続補正書において示す図、すなわち「(1.8)下方から見た状態の斜視図」は、通常の知識を有する者が当然に判断し得る照明器具の構成の範囲における支柱上方部の態様の開示であると思料する。
このように、不明確な部位を明確にすることが構成要素の追加となり、意匠の同一性を損なうものがあるとするならば、日本の運用上、不明確な図面を審査官によって提出を求められ、その図面を提出することが要旨の変更と判断され、最終的に拒絶される、という選択肢しかないということになり、国際ハーモナイゼーションの観点からも日本の意匠制度が国際的な対応をしていないということになる。
付言すれば、意匠は、外形状、すなわちフォルムが重要な要素であって、機能上に特徴がある場合は兎も角、通常の知識を有する者が当然に判断できる場合は明確に開示されていない場合もあると思料する。
一般に、テーブルランプにおいて、発光部である照明部分が笠内部に位置することや、支柱の先端部に笠部が取付けられることは通常の態様(形態)であり、本願意匠の場合、散光器を有した笠部であって、支柱の先端部に笠部を上から支柱部を覆うように取付けられたものであるので、それほど特徴的とはいえないので、「下方から見た状態の斜視図」を出願図面として提出しなかったものである。
そして、出願当初から「意匠の説明」に記載されているとおり、笠部の態様(形態)や笠と支柱との関係は、容易に想定し得る範囲であり、当該図を追加する補正は、出願当初に不明であった意匠の要旨を明確にする補正であるので、要旨の変更とはなり得ないものであると思料する。
3 当審の判断
本願について、平成30年10月4日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」ともいう。)により、願書の記載及び願書に添付した図面についてした補正が、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであるか否かについて、以下検討する。
(1)出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面(別紙第1参照)
ア 願書の記載
願書の「意匠に係る物品」には「テーブルランプ」と記載され、「意匠の説明」には、「The model is a table lamp consisting of a stem and a light diffuser; the stem has a base of hexagonal shape and a vertical pillar; the light diffuser is supported by the pillar and has a circular shape with a maximal diameter greater than the dimension of the base; the light source is housed into the light diffuser(参考訳:「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径が台座の寸法よりも大きい。光源はライトデフューザー内部に収納されている。」、以下日本語訳で示す。)」と記載されている。
イ 出願当初の願書に添付した図面
光源が内部に収納されている散光器付きの笠部、支柱部及び台座部から成るテーブルランプについて、上から見た斜視図(1.1)の他、6方向から見た図が(1.2)~(1.7)に表されている。これらの図は、支柱部及び台座部は実線によって表され、笠部は破線によって表されている。
(2)本件補正の願書の記載及び追加した図面(別紙第2参照)
ア 本件補正の願書の記載
部分意匠の項目が追加され、「意匠に係る物品」に補正はなく、「意匠の説明」が「このモデルは軸及びライトディフューザーからなるテーブルランプである。軸は六角形の台座及び垂直の支柱を有する。ライトディフューザーは支柱で支持され円形をしており、最大直径が台座の寸法よりも大きい。光源はライトデフューザー内部に収納されている。破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。1.1)上から見た斜視図; 1.2)正面図; 1.3)背面図; 1.4)左側面図; 1.5)右側面図; 1.6)平面図; 1.7)底面図; 1.8)下から見た斜視図」に変更されている。
イ 本件補正で追加した図面
下から見た斜視図として(1.8)が追加され、支柱部の上部と破線によって表された笠部上面部の底面との接続態様が表されている。
(3)判断
ア 願書の記載の補正について
出願当初の願書添付図面によると、支柱部及び台座部が実線によって表され、光源を含む笠部が破線で表されており、その描き分けた意図は、部分意匠制度を有する我が国においては、実線部分が意匠登録を受けようとする部分であって、破線部分は意匠登録を受けようとする部分に含まれないものと考えられることから、部分意匠の項目を追加する補正及び意匠の説明に、「破線部は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない。」と追記する補正は、出願当初の意匠の要旨を変更するものではない。
また、意匠の説明の中で、図の各番号に「正面図」等のタイトルを加える補正は、その内容が出願当初から想定し得る範囲であり、出願当初の意匠の要旨を変更するものではない。
イ 本件補正で追加した図面について
底面図である図1.7には外周に間隔の小さい二重の円が破線によって表され、六角形状の台座部との間にも円が破線によって表されている。これをその他の図と合わせると、外周の二重の円は笠部の外周部下端の厚みを表し、内側の円は、正面視略扁平円錐台形状の上面部を底面側から見た外縁に相当するから、笠部の内側は空洞であり、円形上面部の周りに外周部が接続していると考えられる。そうすると、支柱と笠部の内側の位置関係は、出願当初から図1.8に表されているとおりであったと認められる。
また、図1.8には支柱部の上部と破線によって表された笠部上面部の底面との接続態様が表されているが、これは、図1.7にみられる台座部の内側に隠れて見えない部分に該当し、支柱部の一部が単に顕現したまでであって、意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ、範囲に変更が加えられてはいない。そして、支柱部の上部の形状が円形であることについても、本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば当然に導き出すことができるといえる。
したがって、手続補正書により追加された「下方から見た斜視図」(図1.8)は、笠部の外周面に隠れた支柱部の態様を開示するものではあるものの、当業者が見た場合、出願当初の笠部の内部が空洞状であることは十分想定され、また、支柱部と笠部との接続態様も出願当初から想定できるものである。そして、部分意匠として意匠登録を受けようとする位置、大きさ、範囲及び形態も、支柱部と台座部を実線で表した出願当初の意匠から、同一性の範囲を超えるものではないから、要旨の変更には該当しないものである。
4 結び
以上のとおりであって、本件補正によっては、出願当初の願書の記載又は願書に添付した図面の要旨を変更したとすることができないものであるから、この補正を意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした決定は、取消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-500005