特許拒絶査定不服審判
2017-006943
遊技機
- 審判番号
- 2017-006943
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-176240外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月15日
- 審決日
- 2018年01月22日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-176240号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月26日出願公開、特開2013-255773号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月8日(優先権主張:平成24年5月15日)の出願であって、平成28年4月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月9日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月24日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年2月1日付け(発送日:2月14日)で補正却下の決定とともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年5月15日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、平成28年6月23日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。
(補正前:平成28年6月23日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技媒体が通過する通過部と、
当該通過部を遊技媒体が通過したことを検知する媒体検知手段と、
当該媒体検知手段により前記通過部を遊技媒体が通過したことが検知されたことに基づいて予め定められた媒体検知用処理を実行する媒体検知用処理実行手段と、
異常な事象の発生を検知する異常検知手段と、
当該異常検知手段により前記異常な事象の発生が検知されたことに基づいて予め定められた異常検知用処理を実行する異常検知用処理実行手段と、
を備えた遊技機において、
前記異常検知手段は、前記媒体検知手段と一体のユニット体として設けられており、
前記ユニット体を複数有し、
複数の前記ユニット体のうちの第1のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、複数の前記ユニット体のうちの第2のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段と、
遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過しにくい又は通過できない第2状態とに切換可能な可変通過手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記可変通過手段を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する切換制御手段と、
を備え、
前記第1のユニット体は、前記可変通過手段に対して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
(補正後:本件補正である平成29年5月15日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技媒体が通過する通過部と、
当該通過部を遊技媒体が通過したことを検知する媒体検知手段と、
当該媒体検知手段により前記通過部を遊技媒体が通過したことが検知されたことに基づいて予め定められた媒体検知用処理を実行する媒体検知用処理実行手段と、
異常な事象の発生を検知する異常検知手段と、
当該異常検知手段により前記異常な事象の発生が検知されたことに基づいて予め定められた異常検知用処理を実行する異常検知用処理実行手段と、
を備えた遊技機において、
前記異常検知手段は、前記媒体検知手段と一体のユニット体として設けられており、
前記ユニット体を複数有し、
複数の前記ユニット体のうちの第1のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、複数の前記ユニット体のうちの第2のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられており、
前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段と、
遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過しにくい又は通過できない第2状態とに切換可能な可変通過部と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する切換制御手段と、
前記可変通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて、所定数の遊技媒体の払い出しを行う払出手段と、
前記払出手段による遊技媒体の払出制御を実行する払出制御手段と、
を備え、
前記第1のユニット体は、前記可変通過部に対して設けられており、
前記第2のユニット体は、前記払出手段に対して設けられていることを特徴とする遊技機。」
2.補正の適否
(1)補正後の請求項1に記載された発明特定事項である「前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段と、遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過しにくい又は通過できない第2状態とに切換可能な可変通過部と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する切換制御手段と」を備える点、及び、「前記第1のユニット体は、前記可変通過部に対して設けられて」いる点は、補正前の請求項2に記載された発明特定事項を付加したものであり、その際、補正前の「可変通過手段」を、補正後の「可変通過部」と補正し、「特定通過部」との対応関係をわかりやすくしたものである。
(2)補正後の請求項1に記載された「前記可変通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて、所定数の遊技媒体の払い出しを行う払出手段と、前記払出手段による遊技媒体の払出制御を実行する払出制御手段と、を備え、」「前記第2のユニット体は、前記払出手段に対して設けられている」点は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第2のユニット体」について、設置箇所を特定することにより、補正前の請求項1又は2に記載された「複数の」「ユニット体」を限定するものである。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲の請求項1又は請求項2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A~Nについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。
「A 遊技媒体が通過する通過部と、
B 当該通過部を遊技媒体が通過したことを検知する媒体検知手段と、
C 当該媒体検知手段により前記通過部を遊技媒体が通過したことが検知されたことに基づいて予め定められた媒体検知用処理を実行する媒体検知用処理実行手段と、
D 異常な事象の発生を検知する異常検知手段と、
E 当該異常検知手段により前記異常な事象の発生が検知されたことに基づいて予め定められた異常検知用処理を実行する異常検知用処理実行手段と、
を備えた遊技機において、
F 前記異常検知手段は、前記媒体検知手段と一体のユニット体として設けられており、
G 前記ユニット体を複数有し、
複数の前記ユニット体のうちの第1のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、複数の前記ユニット体のうちの第2のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられており、
H 前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段と、
I 遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過しにくい又は通過できない第2状態とに切換可能な可変通過部と、
J 前記判定手段による判定結果に基づいて、前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する切換制御手段と、
K 前記可変通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて、所定数の遊技媒体の払い出しを行う払出手段と、
L 前記払出手段による遊技媒体の払出制御を実行する払出制御手段と、
を備え、
M 前記第1のユニット体は、前記可変通過部に対して設けられており、
N 前記第2のユニット体は、前記払出手段に対して設けられていることを特徴とする遊技機。」
(2-1)刊行物1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願(優先日:平成24年5月15日)前に頒布された刊行物である特開2011―78504号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【0010】
本発明による遊技機は、遊技球を用いて所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、外枠(例えば、外枠2A)と、外枠に対して開放可能に設置された前面枠(例えば、前面枠2B)と、前面枠の開放を検知する開放検知手段(例えば、ドアスイッチ96)と、磁気を検出して検出信号を出力する磁気検出手段(例えば、磁界検出素子130)と、磁気検出手段が検出信号を出力したことにもとづいて報知を行う報知手段(例えば、演出表示装置9、スピーカ27、LED等の発光体)と、開放検知手段が前面枠の開放を検知している間、報知手段による報知を禁止する報知禁止手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS902の処理を実行する部分)とを備えたことを特徴とする。
そのような構成によれば、不正行為を検知するための磁気検出手段および不正行為を報知するための報知手段が設けられていても、作業中などの遊技店員等に煩わしさを感じさせないようにすることができる」
(イ)「【0023】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
【0024】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開放状態とされる。可変入賞球装置15が開放状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。また、可変入賞球装置15が閉放状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。」
(ウ)「【0029】
特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示(確定)させることである。
【0030】
特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「-」を示す記号をはずれ図柄にする。」
(エ)「【0038】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
【0039】
遊技領域6には、遊技球の入賞にもとづいてあらかじめ決められている所定数の景品遊技球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29,30,33,39も設けられている。入賞口29,30,33,39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aで検出される。」
(オ)「【0050】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0051】
乱数回路503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0052】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。なお、ドアスイッチ96からの信号も、入力ドライバ回路58を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。」
(カ)「【0055】
また、主基板31には、互いに直交する3軸に沿って配置されたアモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して各々の変化量にもとづく検出電圧を出力する構成の磁界検出素子(磁気センサ)130と、磁界検出素子130の検出電圧にもとづいて磁石が遊技機近傍に存在するか否か判定する磁界検出用回路140とが設けられている。アモルファスワイヤは、アモルファス磁性体を細線状(例えば、太さ100μm)に形成したものである。
【0056】
磁界検出用回路140は、磁石が遊技機近傍に存在すると判定した場合に、エラー信号を出力する。エラー信号は、入力ドライバ回路58を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される。遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号が入力されると、CPU56は、遊技機に設けられている演出装置(演出表示装置9、スピーカ27、LED等の発光体)を用いて、異常報知(不正行為発見報知)を行うための制御を実行する。」
(キ)「【0082】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図6に示すステップS20~S35のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。」
(ク)「【0090】
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。」
(ケ)「【0212】
図26は、第3の実施の形態(実施の形態3)における磁界検出素子(磁気センサ)の設置場所の一例を示す説明図である。図26に示す例では、4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが、遊技盤6の外側四隅に設置されている。なお、図26において、破線の円形は、磁界検出素子130A,130B,130C,130Dの磁界検出可能範囲を示す。磁界検出素子130A,130B,130C,130Dの磁界検出可能範囲は、遊技盤6の前面のほぼ全体(遊技領域の全体)をカバーしている。なお、図26に示す例では、磁界検出素子130A,130B,130C,130Dのいずれか1つ以上によって遊技領域の全体がカバーされているが、各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する磁界検出素子130A,130B,130C,130Dを使用してもよい。また、第3の実施の形態では、4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが設置されているが、それよりも多い数の磁界検出素子が設置されていてもよい。」
(コ)「【0361】
なお、上記の各実施の形態および各変形例では、始動入賞にもとづいて特別図柄表示器8に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると大当りになるタイプの遊技機(第1種パチンコ遊技機ということにする。)を例にしたが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域(特定領域:V入賞領域)への入賞があると大当りになるタイプの遊技機(第2種パチンコ遊技機ということにする。)にも本発明を適用することができる。
【0362】
第2種パチンコ遊技機では、電動役物の入口および特定領域が不正行為を受けやすいので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140は、特に、電動役物の入口および特定領域に遊技球を不正に誘導する行為を発見できるように設けられていることが好ましい。第2種パチンコ遊技機では、不正に遊技球を特定領域に入賞させることによって直接的に大当りを発生させることができ遊技店が被る損害が大きいので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140による効果は大きい。しかし、この実施の形態で例示した第1種パチンコ遊技機についても、始動入賞口に遊技球を不正に誘導したり、大入賞口に遊技球を不正に誘導したりする不正行為によって遊技店が損害を被るおそれがあるので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140を設けることは効果的である。」
上記(ア)~(コ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(a、b)上記(イ)【0023】には、「演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、・・・第1始動口スイッチ13aによって検出される」と、同【0024】には、「第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、・・・第2始動口スイッチ14aによって検出される」と、上記(エ)【0038】には、「大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される」と、上記同【0039】には、「入賞口29,30,33,39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aで検出される」と、それぞれ、記載されている。
よって、刊行物1には、遊技球が入賞する第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39と、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39の、それぞれに入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ13a、第2始動入賞口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aが記載されているといえる。
(c)上記(キ)【0082】には、「CPU56は、・・・第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。」、上記(ク)【0090】には、「CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)」と記載されている。
よって、刊行物1には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづき、スイッチ処理や賞球処理を行うCPU56が記載されているといえる。
(d、e)上記(ア)【0010】には、「本発明による遊技機は、遊技球を用いて所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、・・・磁気を検出して検出信号を出力する磁気検出手段(例えば、磁界検出素子130)と、磁気検出手段が検出信号を出力したことにもとづいて報知を行う報知手段・・・とを備え」ること、「不正行為を検知するための磁気検出手段」、上記(カ)【0055】、【0056】には、「磁界検出素子130の検出電圧にもとづいて磁石が遊技機近傍に存在するか否か判定する磁界検出用回路140・・・は、磁石が遊技機近傍に存在すると判定した場合に、エラー信号を出力する。エラー信号は、・・・遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される。遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号が入力されると、CPU56は、・・・異常報知(不正行為発見報知)を行うための制御を実行する」ことが、それぞれ、記載されている。
よって、刊行物1には、不正行為を検知するために磁気を検出する磁界検出素子130と、磁界検出素子130の検出電圧にもとづいて磁界検出用回路140が出力したエラー信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力されると異常報知を行うための制御を実行するCPU56、を備えた遊技機が記載されているといえる。
(g)上記(ケ)【0212】には、「4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが、遊技盤6の外側四隅に設置されている。・・・磁界検出素子130A,130B,130C,130Dの磁界検出可能範囲は、遊技盤6の前面のほぼ全体(遊技領域の全体)をカバーしている。・・・各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する磁界検出素子130A,130B,130C,130Dを使用してもよい」と記載されている。
よって、刊行物1には、4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが設置され、各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する磁界検出素子130A,130B,130C,130Dを使用することが記載されている。
(h)上記(ウ)【0029】には、「特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、・・・開始され、・・・表示結果(停止図柄)を導出表示する」と、同【0030】には、「特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する」と、上記(オ)【0051】には、「特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定する」と、それぞれ、記載されている。
よって、刊行物1には、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞した後、特別図柄表示器8において開始される特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定することが記載されている。
(i)上記(エ)【0038】には、「特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、・・・開閉板が開放状態に制御されることによって、・・・大入賞口が開放状態になる」と記載されている。
よって、刊行物1には、開閉板が開放状態に制御されることによって開放状態になる大入賞口がが記載されている。
(j)上記(エ)【0038】には、「特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、・・・大入賞口が開放状態になる」と記載されている。
また、上記(オ)【0052】には、「大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する」と、そして、同【0050】には、「遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである」と、それぞれ、記載されている。
そうすると、刊行物1には、特別図柄表示器8に特定表示結果が導出表示されたときに生起する特定遊技状態において、開閉板を開放状態に制御することによって大入賞口を開放状態とするCPU56が記載されているといえる。
(k、l)上記(ク)【0090】には、「CPU56は、・・・カウントスイッチ23・・・の検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、・・・カウントスイッチ23・・・がオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する」と記載されている。
よって、刊行物1には、カウントスイッチ23がオンしたことにもとづく入賞検出に応じて出力される、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて駆動される球払出装置97と、払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する払出制御用マイクロコンピュータが記載されている。
(m)上記(コ)【0361】には、「始動入賞にもとづいて特別図柄表示器8に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると大当りになるタイプの遊技機(第1種パチンコ遊技機ということにする。)」、同【0362】には、「第2種パチンコ遊技機では、電動役物の入口および特定領域が不正行為を受けやすいので、磁界検出素子130・・・は、特に、電動役物の入口および特定領域に遊技球を不正に誘導する行為を発見できるように設けられていることが好ましい。・・・第1種パチンコ遊技機についても、・・・大入賞口に遊技球を不正に誘導したりする不正行為によって遊技店が損害を被るおそれがあるので、磁界検出素子130・・・を設けることは効果的である」と、それぞれ、記載されている。
そうすると、刊行物1には、磁界検出素子130は、大入賞口に対する不正行為を発見できるように設けることが記載されているといえる。
以上(ア)~(コ)の記載事項及び上記(a)~(m)の認定事項を総合すれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a~mは発明の構成を分説するため当審で付した。)。
「a 遊技球が入賞する第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39と、
b 第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39の、それぞれに入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ13a、第2始動入賞口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aと、
c 第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづき、スイッチ処理や賞球処理を行うCPU56と、
d 不正行為を検知するために磁気を検出する磁界検出素子130と、
e 磁界検出素子130の検出電圧にもとづいて磁界検出用回路140が出力したエラー信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力されると異常報知を行うための制御を実行するCPU56と、
を備えた遊技機において、
g 4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが設置され、各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する磁界検出素子130A,130B,130C,130Dを使用し、
h 第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞した後、特別図柄表示器8において開始される特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定し、
i 開閉板が開放状態に制御されることによって開放状態になる大入賞口と、
j 特別図柄表示器8に特定表示結果が導出表示されたときに生起する特定遊技状態において、開閉板を開放状態に制御することによって大入賞口を開放状態とするCPU56と、
k カウントスイッチ23がオンしたことにもとづく入賞検出に応じて出力される、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて駆動される球払出装置97と、
l 払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する払出制御用マイクロコンピュータと、
を備え、
m 磁界検出素子130は、大入賞口に対する不正行為を発見できるように設けられている遊技機。」
(2-2)刊行物2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願(優先日:平成24年5月15日)前に頒布された刊行物である特開2010―230451号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(サ)「【0001】
本発明は、遊技盤(いわゆるパチンコ台)で用いる金属球である遊技球(いわゆるパチンコ玉)の有無(あるいは通過)を検出し、遊技球の個数の検出などに利用される遊技球検出装置並びに遊技球検出方法に関するものである。」
(シ)「【0003】
ところで、上述したような遊技球検出装置が遊技盤上に設けられた入賞口を通過する遊技球の検出等に用いられた場合、外部から強い電波を照射して遊技球の通過を誤検出させるような不正行為を防止する必要がある。このような不正行為による誤検出を防止するものとして、外部から照射される電波を電波センサで検出し、電波センサが電波を検出したときは遊技球の検出を無効とし、併せて警報音を鳴動する遊技球検出装置が提案されている。」
(ス)「【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、外部から電波が照射されたことによる誤検出を確実に防止することができる遊技球検出装置並びに遊技球検出方法を提供することにある。」
(セ)「【0017】
一般に、遊技盤(パチンコ台)は遊技球(パチンコ玉)をパチンコ台の背面側から前面側へ賞玉又は貸玉として払い出している。この賞玉や貸玉の払い出しのために、パチンコ台には遊技球払い出し装置が設けられている。この遊技球払い出し装置は、パチンコ台の上部に設けられて払い出し指令された所定数の遊技球(パチンコ玉)を当該パチンコ台の前面下部に位置する上皿又は下皿に払い出すものであって、上皿又は下皿に払い出す遊技球の個数を遊技球検出装置を使って計数し、計数された個数が前記払い出し指令による所定数に達したときに払い出し動作を停止するようになっている。ここで、従来技術で説明したように外部から電波を照射する不正行為によって、実際には遊技球が有る(通過している)にも関わらず、遊技球が無い(通過していない)と遊技球検出装置が誤検出した場合、遊技球払い出し装置が遊技球を際限なく払い出してしまう虞がある。本発明に係る遊技球検出装置並びに遊技球検出方法は、上述したような不正行為による遊技球払い出し装置の誤動作を防ぐことを目的としており、以下、図面を参照して本実施形態を詳細に説明する。」
(ソ)「【0021】
上述のように構成される第1及び第2の近接センサS1,S2は、図2(d)に示すように長手方向に沿った側面同士を密接させるように並べた状態で、遊技球払い出し装置によって払い出しされる遊技球が第1の近接センサS1の通過孔2を通過する箇所に設置される。」
(タ)「【0024】
ここで、本実施形態の遊技球検出装置では、実際に遊技球の有無(通過)を検出する第1の近接センサS1と、外部から照射される電波を検出する第2の近接センサS2とが、金属部材3を除く構成が同一である同種の近接センサで構成されているため、第1の近接センサS1に誤検出させる周波数帯域の電波を第2の近接センサS2で確実に検出することが可能であり、照射される電波の周波数帯域に依存しない。したがって、本実施形態の遊技球検出装置によれば、外部から電波が照射されたことによる誤検出を確実に防止することができる。しかも、第1の近接センサS1と第2の近接センサS2とを同一構造の近接センサから得ることができるためにコストダウンが図れるという利点もある。尚、図3に示すように第1の近接センサS1のセンサ本体1と第2の近接センサS2のセンサ本体1とを一体に形成すれば、さらにコストダウンが図れるとともに小型化も可能となる。」
上記(サ)~(タ)の記載事項から、以下の事項が導かれる(「刊行物2の記載事項」という。)。
「遊技盤で用いる金属球である遊技球の有無を検出し、遊技球の個数の検出などに利用される遊技球検出装置において、外部から電波を照射する不正行為による遊技球払い出し装置における遊技球の有無に関する誤検出を防ぐことを目的として、実際に遊技球の有無を検出する第1の近接センサS1のセンサ本体1と、外部から照射される電波を検出する第2の近接センサS2のセンサ本体1とを一体に形成し、遊技球払い出し装置によって払い出しされる遊技球が第1の近接センサS1の通過孔2を通過する箇所に設置された遊技球検出装置」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)~(m)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。
(a)引用発明の「遊技球」及び「第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技媒体」及び「通過部」に相当する。
よって、引用発明の「遊技球が入賞する第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39」は、本願補正発明の「遊技媒体が通過する通過部」に相当する。
(b)引用発明の「第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口、入賞口29,30,33,39の、それぞれに入賞した遊技球を検出する」ことは、本願補正発明の「当該通過部を遊技媒体が通過したことを検知する」ことに相当するから、引用発明の「第1始動口スイッチ13a、第2始動入賞口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a」は、本願補正発明の「媒体検知手段」に相当する。
(c)引用発明の「第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづ」くことは、本願補正発明の「当該媒体検知手段により前記通過部を遊技媒体が通過したことが検知されたことに基づ」くことに相当する。
また、引用発明の「スイッチ処理や賞球処理」は、本願補正発明の「予め定められた媒体検知用処理」に相当する。
よって、引用発明の「CPU56」は、本願補正発明の「媒体検知用処理実行手段」としての機能を有する。
(d)引用発明の「不正行為を検知するために磁気を検出する」ことは、本願補正発明の「異常な事象の発生を検知する」ことに相当するから、引用発明の「磁界検出素子130」は、本願補正発明の「異常検知手段」に相当する。
(e)引用発明の「磁界検出素子130の検出電圧にもとづ」くことは、本願補正発明の「当該異常検知手段により前記異常な事象の発生が検知されたことに基づ」くことに相当する。
そうすると、引用発明の「磁界検出用回路140が出力したエラー信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力されると異常報知を行うための制御を実行する」ことは、本願補正発明の「予め定められた異常検知用処理を実行する」ことに相当するから、引用発明の「CPU56」は、本願補正発明の「異常検知用処理実行手段」としての機能を有する。
(g)上記(d)より、引用発明の「磁界検出素子130」は、本願補正発明の「異常検知手段」に相当するから、引用発明の「4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが設置され」ることは、本願補正発明と、異常検知手段を複数有する点で共通する。
そして、引用発明の「各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130D」は、それぞれが「遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する」ものであるから、そのうちの2つの磁界検出素子を選択した際に、一方の磁界検出素子による検知範囲と、他方の磁界検出素子による検知範囲と、に含まれる範囲に遊技領域に設けられた「特定通過部」が存在することは明らかである。
そうすると、引用発明の「4つの磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが設置され、各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130Dが遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する磁界検出素子130A,130B,130C,130Dを使用」することは、本願補正発明の構成Gと、異常検知手段を複数有し、複数の異常検知手段のうちの第1の異常検知手段における検知範囲と、複数の異常検知手段のうちの第2の異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられている点で共通する。
(h)引用発明の「第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞した」ことは、上記(a)より、本願補正発明の「通過部を遊技媒体が通過した」ことに相当する。
「遊技媒体が通過したことに基づいて」、引用発明の「特別図柄表示器8において開始される特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定」することは、「所定の判定を実行」することといえるから、引用発明は「判定手段」を備えるものである。
そして、引用発明の「第1始動入賞口13または第2始動入賞口14」は、本願補正発明の「特定通過部」に相当するといえる。
そうすると、引用発明の「第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞した後、特別図柄表示器8において開始される特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定」することは、本願補正発明の「前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段」を備えることに相当する。
(i)上記(a)より、引用発明の「大入賞口」は、本願補正発明の「通過部」に相当し、「遊技媒体が通過」可能なものであるから、引用発明の「開閉板が開放状態に制御されることによって開放状態になる大入賞口」は、本願補正発明の「遊技媒体が通過可能な第1状態」になる通過部に相当する。
そうすると、引用発明の「大入賞口」が「開閉板が開放状態に制御され」ない状態は、開閉板が閉じた状態であるから、本願補正発明の「第1状態よりも遊技媒体が」「通過できない第2状態」に相当するということができ、よって、「第1状態」と「第2状態」とを有する引用発明の「大入賞口」は、本願補正発明の「第1状態」と「第2状態とに切換可能な可変通過部」に相当する。
よって、引用発明の「開閉板が開放状態に制御されることによって開放状態になる大入賞口」は、本願補正発明の「遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過できない第2状態とに切換可能な可変通過部」に相当する。
(j)上記(i)によると、引用発明の「開閉板を開放状態に制御することによって大入賞口を開放状態とする」ことは、開閉板を閉状態から開放状態とすることであるから、本願補正発明の「前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態と」することに相当する。
上記(h)より、引用発明の「特別図柄表示器8」に「表示結果が導出表示」されるのは、本願補正発明の「判定手段による判定」が行われたときであるから、引用発明の「特別図柄表示器8に特定表示結果が導出表示されたときに生起する特定遊技状態」は、本願補正発明の「前記判定手段による判定結果に基づ」くものに相当する。
そして、引用発明は、「特定遊技状態において」、「大入賞口を開放状態」とするものであるから、「特定遊技状態」が終了すれば、「大入賞口」の「開放状態」も終了するものであり、「特定遊技状態」であるか否かに応じて、「大入賞口」を「開放状態」とするか否か「切換制御」しているといえる。
そうすると、引用発明の「特定遊技状態において」、「大入賞口を開放状態とする」ことは、本願補正発明の「判定結果に基づいて、前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する」ことに相当し、よって、引用発明の「CPU56」は、本願補正発明の「切換制御手段」の機能を有するものといえる。
(k)引用発明の「カウントスイッチ23がオンしたことにもとづく入賞検出に応じて」は、本願補正発明の「前記可変通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて」に相当する。
そして、引用発明の「賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて駆動される」ことは、本願補正発明の「所定数の遊技媒体の払い出しを行う」ことに相当する。
よって、引用発明の「球払出装置97」は、本願補正発明の「払出手段」に相当する。
(l)引用発明の「払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する」ことは、本願補正発明の「前記払出手段による遊技媒体の払出制御を実行する」ことに相当する。
よって、引用発明の「払出制御用マイクロコンピュータ」は、本願補正発明の「払出制御手段」としての機能を有する。
上記(a)~(l)の対比により、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技媒体が通過する通過部と、
B 当該通過部を遊技媒体が通過したことを検知する媒体検知手段と、
C 当該媒体検知手段により前記通過部を遊技媒体が通過したことが検知されたことに基づいて予め定められた媒体検知用処理を実行する媒体検知用処理実行手段と、
D 異常な事象の発生を検知する異常検知手段と、
E 当該異常検知手段により前記異常な事象の発生が検知されたことに基づいて予め定められた異常検知用処理を実行する異常検知用処理実行手段と、
を備えた遊技機において、
G’ 異常検知手段を複数有し、
複数の異常検知手段のうちの第1の異常検知手段における検知範囲と、複数の異常検知手段のうちの第2の異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられており、
H 前記特定通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて所定の判定を実行する判定手段と、
I 遊技媒体が通過可能な第1状態と、当該第1状態よりも遊技媒体が通過できない第2状態とに切換可能な可変通過部と、
J 前記判定手段による判定結果に基づいて、前記可変通過部を前記第2状態から前記第1状態とし、その後前記第2状態とする切換制御を実行する切換制御手段と、
K 前記可変通過部を遊技媒体が通過したことに基づいて、所定数の遊技媒体の払い出しを行う払出手段と、
L 前記払出手段による遊技媒体の払出制御を実行する払出制御手段と、
を備える遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明では、異常検知手段は、媒体検知手段と一体のユニット体として設けられているのに対し、引用発明では、このような特定がされていない点(構成F)。
[相違点2]
本願補正発明では、ユニット体を複数有し、複数の前記ユニット体のうちの第1のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、複数の前記ユニット体のうちの第2のユニット体における前記異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられているのに対し、引用発明では、異常検知手段を複数有し、複数の異常検知手段のうちの第1の異常検知手段における検知範囲と、複数の異常検知手段のうちの第2の異常検知手段による検知範囲と、に含まれるように、遊技媒体が通過可能な特定通過部が設けられている点(構成G)。
[相違点3]
本願補正発明では、第1のユニット体は、可変通過部に対して設けられているのに対し、引用発明では、可変通過部である大入賞口にカウントスイッチ23が設けられ、磁界検出素子130は、大入賞口に対する不正行為を発見できるように設けられている点(構成M)。
[相違点4]
本願補正発明では、第2のユニット体は、払出手段に対して設けられているのに対し、引用発明では、このような特定がされておらず、払出手段に媒体検知手段が設けられているか否かも明らかでない点(構成N)。
(4)判断
上記相違点について検討する。
相違点1~4は、「ユニット体」に関する事項であり、関連するのでまとめて検討する。
刊行物2の記載事項の「第1の近接センサS1」、「第2の近接センサS2」は、それぞれ、遊技球の有無を検出するもの、外部から照射される電波を検出するものであるから、本願補正発明の「媒体検知手段」、「異常検知手段」に相当する。
そして、刊行物2の記載事項の「第1の近接センサS1のセンサ本体1」と、「第2の近接センサS2のセンサ本体1とを一体に形成」したものは、本願補正発明の「一体のユニット体」に相当するといえる。
また、刊行物2の記載事項の、「第1の近接センサS1のセンサ本体1」と、「第2の近接センサS2のセンサ本体1とを一体に形成」し、「遊技球払い出し装置によって払い出しされる遊技球が第1の近接センサS1の通過孔2を通過する箇所に設置」されたことは、本願補正発明の「ユニット体は、前記払出手段に対して設けられている」ことに相当する。
さらに、引用発明において、大入賞口に対する不正行為を発見できるように設けられた磁界検出素子130は、可変通過部である大入賞口を検知対象とするものであるから、カウントスイッチ23と共に磁界検出素子130を大入賞口の近傍に設ける動機付けはある。
加えて、刊行物2には、上記(シ)【0003】に摘記したように、入賞口を通過する遊技球の不正行為による誤検出を防止する遊技球検出装置についても記載されており、刊行物2の記載事項の遊技球検出装置を入賞口における遊技球の有無に関する誤検出を防ぐように設置することが示唆されているといえる。
そして、磁気による不正に関わる引用発明も、電波による不正に関わる刊行物2の記載事項もいずれも遊技球通過部に対する非接触の不正行為を非接触型の検出器で検出するものである点で共通する。
したがって、引用発明の可変通過部である大入賞口に設けられた媒体検出手段であるカウントスイッチ23と可変通過部である大入賞口に対する不正行為を発見できるように設けられた異常検知手段である磁界検出素子130を、刊行物2の記載事項に倣って、第1の近接センサS1と第2の近接センサS2のように一体のユニット体として、上記相違点1、3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明の球払出装置97が媒体検知手段を設けていることは自明であるから、引用発明の複数設けた異常検知手段のうちの第2の異常検知手段を、刊行物2の記載事項に倣って、媒体検知手段と一体のユニット体として、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
さらに、これらの結果として、上記相違点2に係る本願補正発明の構成が導かれることは、明らかである。
(5)審判請求人の主張について
審判請求書において、請求人は、「引用文献2の遊技球払い出し装置における第1の近接センサS1と第2の近接センサS2との一体式のセンサを、引用文献1の磁界検出素子に適用したとしたうえで、更に、引用文献1の特別可変入賞装置20にも、一体式のセンサを設けるようにしたとしても、これら一体式のセンサにおける磁界検出素子の検知範囲の重複する位置に始動入賞口13,14が存在するようになるとは考えられない。このようにするためには、両センサの検知範囲を調節したり、両装置の位置や始動入賞口13,14の位置を調節したりする必要があるところ、引用文献1や引用文献2にはそのような記載や示唆は何らされていない。これは、引用文献1において検知範囲を重複させていることや、その重複させている位置に始動入賞口13,14を設けている、という技術的思想が開示されていないことからも明らかである。」と主張している(7頁12~22行)。
この主張について検討すると、上記(3)(g)で検討のとおり、引用発明の「各々の磁界検出素子130A,130B,130C,130D」は、それぞれが「遊技領域の全体をカバーできるような特性を有する」ものであるから、そのうちの2つの磁界検出素子を選択した際に、一方の磁界検出素子による検知範囲と、他方の磁界検出素子による検知範囲と、に含まれる遊技領域に「特定通過部」が存在することは明らかである。
よって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
よって、本願補正発明は引用発明、刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本願補正発明は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年6月23日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で補正前として記載されたとおりのものである。
1.刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1、2の記載事項、引用発明は、上記第2の3.(2-1)、(2-2)に記載したとおりである。
2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の2.(1)、(2)で示した限定事項を省いたものであるから、上記第2の3.(3)で示した[相違点3]、[相違点4]に係る構成が省かれることとなる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の3.(3)で示した[相違点1]、[相違点2]と同様の相違点のみで相違し、当該相違点に係る本願発明の構成については、上記第2の3.(4)と同様の理由により、引用発明と刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易になし得たものである。
3.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明と刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-006943