特許拒絶査定不服審判
2017-005049
食品用組成物および脂質吸収抑制剤
- 審判番号
- 2017-005049
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-211331外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月07日
- 審決日
- 2018年04月16日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】富士フイルム株式会社
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 【請求人代理人】福田 浩志
- 分類
- P18 .121-Z (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-211331号「食品用組成物および脂質吸収抑制剤」拒絶査定不服審判事件〔平成26年4月17日出願公開,特開2014-64505号〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件拒絶査定不服審判に係る出願(以下「本願」という。)の手続の経緯は概ね以下のとおりである。
平成24年 9月25日 特許出願
平成27年11月24日付け 拒絶理由通知書
平成28年 1月26日 意見書及び手続補正書提出
同年 5月31日付け 拒絶理由通知書
同年 8月 9日 意見書提出
同年12月26日付け 拒絶査定
平成29年 4月 7日 拒絶査定不服審判の請求
同年 5月15日 手続補正書(審判請求書の請求の理由を補正するもの)提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成28年1月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「海藻ポリフェノールと,茶抽出物と,サラシア属植物抽出物と,を含有する食品用組成物であって,
海藻ポリフェノールが褐藻類由来であり,
茶抽出物が緑茶抽出物であり,
海藻ポリフェノールのリパーゼの50%阻害濃度(IC50値)が0.01μg/ml以下であり,
サラシア属植物抽出物のスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が200μg/ml以下である食品用組成物。」
第3 引用例
1 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献8として示された特開2009-137899号公報(以下「引用例」という。)には,以下の事項が記載されている。(「・・・」は記載の省略を意味し,下線は当審が付した。以下同じ。)
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物の粉砕物または抽出物を含有することを特徴とする腸内有害菌の低減剤。
【請求項2】
スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が50μg/ml以上1000μg/ml以下の活性を示すことを特徴とする,請求項1に記載の腸内有害菌の低減剤。
【請求項3】
さらにカテキンを1~50質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の腸内有害菌の低減剤。
【請求項4】
さらにリパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2~80%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の腸内有害菌の低減剤。
・・・
【請求項12】
請求項1~4のいずれかに記載の腸内有害菌の低減剤を含有する飲食品または飲食品材料。」
(1b)「【0002】
サラシア属植物の根や幹はインドやスリランカの伝統医学アーユルヴェーダにおいて天然薬物として利用されてきた。スリランカではサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)の根皮がリュウマチ、淋病、皮膚病の治療に有効であるとともに、初期糖尿病の治療に用いられると伝承されている。インドではサラシア・オブロンガの根が同様の治療に用いられるほか、サラシア・キネンシス(S. chinensis)も糖尿病の治療に用いるとされている(非特許文献1)。
【0003】
このようにサラシア属植物には糖尿病の予防や初期治療に有効であることが伝承されている。近年ではサラシア属植物に血糖値上昇抑制作用があり、その作用メカニズムがα-グルコシダーゼ活性阻害に基づく糖吸収抑制作用によるものであることが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
また、サラシア属抽出成分に含まれ、α-グルコシダーゼ活性阻害作用を有する化合物(特許文献1~3)や、α-グルコシダーゼ活性阻害作用を基にした抗糖尿病剤としての応用例が知られていた(特許文献4~5)。」
(1c)「【0008】
本発明により,腸内有害菌の低減剤,その有効性を生かした食品または薬剤が提供される。特に,腸内のpH低下,腸内のアンモニア濃度の低減,腸内の腐敗産物濃度の低減,腸内のビフィズス菌産生促進,肌荒れ改善という新たな効果を提供する。」
(1d)「【0015】
本発明において,フラボノイドは茶,ブドウ,タマネギなどの各由来物から得ることができる。ここで,由来物とは,生体の少なくとも一部から抽出されるものを意味する。抽出には,例えば,上記サラシア属植物の抽出物を調製する方法が適用され,抽出物の形態も上記と同様のものが可能であり,例えば,抽出後の濾液のままで,または濃縮もしくは希釈した状態またはその乾燥粉末の形態で,あるいはそれらの混合物のいずれの形態であってもよい。
カテキン類を含む茶抽出物は,ツバキ科の常緑樹である茶の木より作製する。茶の木は,インドやスリランカ,東南アジアで栽培されているアッサミカと中国や日本で栽培されているカメリア・シネンシスのどちらも用いられる。抽出には,通常,好ましくは水,アルコール,含水アルコールを用いる。より好ましくは,抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は,30~90質量%,好ましくは40~70質量%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥,凍結乾燥などが挙げられるが,これに限られるものではない。
【0016】
茶抽出物中には,ポリフェノールやカテキン類などの抗酸化物質を含有する。カテキン,エピカテキン,ガロカテキン,エピガロカテキン,カテキンガレート,エピカテキンガレート,ガロカテキンガレートまたはエピガロカテキンガレートが含まれていることが好ましく,特に,エピガロカテキンガレートを含有することが好ましい。
本発明の本発明の腸内有害菌の低減剤は,該茶抽出物を,0.1~40質量%含有することが好ましく,0.5~35質量%含有することが更に好ましく,1.0~30質量%含有することが特に好ましい。」
(1e)「【0023】
本発明の腸内有害菌の低減剤は,特にカテキンを1~50質量%含有することが好ましい。カテキンとしては,緑茶由来のもの等が特に好ましい。
また,本発明の腸内有害菌の低減剤は,リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2~80質量%含有することが好ましい。リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールとしては,烏龍茶由来のもの,ブドウ由来のもの,リンゴ由来のもの,ライチ由来のもの,松樹皮由来のもの,カンカ由来のもの等が特に好ましい。」
(1f)「【0031】
(実施例1)
サラシア・レチキュラータとサラシア・オブロンガの根及び幹の部分を粉砕後,熱水抽出工程を経て得られた液をスプレー乾燥し,サラシアエキス末を得た。
このサラシアエキス末を用いて以下の配合をした粉末を作成し,[実験法1]記載の方法でスクラーゼIC50値を測定した。
また,市販の黒烏龍茶(サントリー製)を凍結乾燥して烏龍茶パウダーを作成した。
このパウダーは豚膵リパーゼ活性を有意に阻害することを確認した。
また,緑茶抽出物として,太陽化学製 サンフェノン100s(カテキン55質量%含有)を使用した。
これらを用いて以下の表1に示す配合成分を打錠し,試料1~12を作成した。」
(1g)「【0032】
」
(1h)「【0036】
本発明の試料摂取により,腸内有害菌であるクロストリジウム(Clostridium)属菌及びエンテロバクター(Enterobacter)属菌が有意に低減し,善玉菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌が増えることがわかった。また,糞便のpHとアンモニア量がどちらも有意に低下し腸内有害菌の棲みにくい環境(通常,中性pH付近が有害菌が繁殖し易い)になっていることが明らかとなった。
【0037】
サラシアの摂取量については,試料4,6より試料5の方が良い結果となった。試料6摂取群の被験者のうち3名が下痢を引き起こしたためと推察される。
更に,サラシアとカテキンを併用した試料9摂取群が最も良好な腸内環境へと変化した。
烏龍茶パウダー単独摂取では腸内有害菌が増える傾向だが,サラシアやカテキンを併用することにより抑えられることがわかった。」
(1i)「【0040】
本発明の試料摂取により腸内の腐敗産物量が有意に低下し,肌の状態や疲れ易さが顕著に改善した。
また,腐敗産物の中でも特にインドール量とスカトール量の低減が見られた。
試料3のリパーゼ阻害物の摂取は腸内の腐敗産物を増やし肌の状態を悪化させたが,試料10~12に見られるような本発明の構成にすることで良好な状態になることがわかった。」
2 引用発明
引用例の請求項12の記載は,請求項4,請求項3,請求項2及び請求項1の記載を全て引用したものを含むものであって,当該請求項の内容として,請求項1,2,3,4の内容を全て備えたものが把握できる。したがって,上記(1a)より,引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「サラシア属植物の粉砕物または抽出物を含有し,
スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が50μg/ml以上1000μg/ml以下の活性を示し,
カテキンを1~50質量%含有し,
リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2~80%含有する
腸内有害菌の低減剤
を含有する飲食品または飲食品材料。」
第4 進歩性の検討
1 対比
(1)本願発明と引用発明を対比すると次のとおりである。
ア 引用発明の「サラシア属植物の粉砕物または抽出物」のうち「抽出物」は,本願発明の「サラシア属植物抽出物」に相当する。
イ 本願発明の「海藻ポリフェノール」は,腸内でのリパーゼの働きを阻害する目的で用いられているものであるから,引用発明の「リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類」と,本願発明の「リパーゼの50%阻害濃度(IC50値)が0.01μg/ml以下」である「海藻ポリフェノール」とは,「リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール」の限りで一致する。
ウ 引用発明の「飲食品または飲食品材料」のうち「飲食品材料」は,本願発明の「食品用組成物」に相当する。
(2)以上を踏まえると,両者は,次の一致点と相違点とを有する。
<一致点>
リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールと,サラシア属植物抽出物と,を含有する食品用組成物。」
<相違点1>
本願発明では,「緑茶抽出物」を含有するのに対して,引用発明では,「カテキン」を含有する点。
<相違点2>
本願発明では,サラシア属植物抽出物について「スクラーゼの50%阻害濃度(以下「スクラーゼIC50値」という。)が200μg/ml以下」と特定されているのに対して,引用発明では,サラシア属植物の抽出物を含むものの,そのスクラーゼIC50値については特定されておらず,腸内有害菌の低減剤について「スクラーゼIC50値が50μg/ml以上1000μg/ml以下」と特定されている点。
<相違点3>
「リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール」について,本願発明では,「褐藻類由来」の「海藻ポリフェノール」であって「リパーゼの50%阻害濃度(以下「リパーゼIC50値」という。)が0.01μg/ml以下」のものと特定されているのに対して,引用発明では,ポリフェノール類の具体的な種類等について特定がない点。
2 判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用例には,「カテキンとしては,緑茶由来のもの等が特に好ましい。」(上記(1e))と記載され,また,実施例でも「緑茶抽出物として,太陽化学製 サンフェノン100s(カテキン55質量%含有)を使用した。」(上記(1f))と記載されているところ,引用発明の「カテキン」として「緑茶抽出物」を採用することは,当業者にとって格別の創作能力を要することではない。
(2)相違点2について
引用例の「サラシア属植物には糖尿病の予防や初期治療に有効であることが伝承されている。近年ではサラシア属植物に血糖値上昇抑制作用があり、その作用メカニズムがα-グルコシダーゼ活性阻害に基づく糖吸収抑制作用によるものであることが報告されている」(上記(1b))という記載や,実施例1の試料5や試料6のスクラーゼIC50値(上記(1g))からみて,引用発明の「サラシア属の粉砕物または抽出物」が,スクラーゼ活性阻害効果を有するものとして含有されることは明らかである。
そして,上記(1g)をみると,引用例の実施例1においても,サラシアエキス末は,スクラーゼIC50値が200μg/ml以下のものが用いられている。(例えば,【表1】の試料1は,結晶セルロース250mgのみ配合するものであるが,そのスクラーゼIC50値が2000より大きいことからして,結晶セルロースにスクラーゼの活性を阻害する機能はほとんどないことが見て取れる。一方,同試料5は,結晶セルロース150mgにサラシアエキス末100mgを配合するものであるが,そのスクラーゼIC50値は182である。これより,実施例1のサラシアエキス末のスクラーゼIC50値は,200μg/ml以下である蓋然性がきわめて高い。)
したがって,引用発明のサラシア属植物の抽出物を,スクラーゼIC50値が200μg/ml以下のものとすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
(3)相違点3について
ア 食品の分野で用いられるリパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールとして,海藻類の一種である褐藻類のアスコフィラム・ノドサムの抽出物たる海藻ポリフェノールは,上記効果について優れたものとして,本願出願前に当業者においてよく知られていたものである(原査定の拒絶の理由に引用文献2として示された特開2005-170836号公報のほか,同引用文献9として示されたBr. phycol. J., 1984, Vol.19, No.2, pp.189-202, p.189 "Inhibitors of mammalian digestive enzymes and polyphenols in some brown marine algae"も参照。)。
また,市販されている理研ビタミン社製「海藻ポリフェノール」は,リパーゼIC50値は0.01μg/ml以下(本願明細書の【0031】)であり,相違点3に係る「海藻ポリフェノール」は,本願出願前に当業者に既に知られていたといえる。
イ 一方,引用発明のポリフェノール類についてみると,「本発明の腸内有害菌の低減剤は,リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2~80質量%含有することが好ましい。リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールとしては,烏龍茶由来のもの,ブドウ由来のもの,リンゴ由来のもの,ライチ由来のもの,松樹皮由来のもの,カンカ由来のもの等が特に好ましい。」(上記(1e))と記載されており,これにより,当業者であれば,引用発明の上記ポリフェノール類は,リパーゼ活性阻害効果を有するものであれば,特段その種類等を制約されないものと理解できる。
また,引用発明は,上記第3の「2 引用発明」に示したように,リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類の含有割合を「2~80%」と広範に認めるものであり,仮にリパーゼIC50値が小さい(すなわち,脂質吸収抑制効果の高い)ポリフェノール類であっても,そのリパーゼIC50値に応じて上記含有割合を調整することで,上記(1c)に示される効果を奏し得るものである。(上記(1c)のうち,「腸内の腐敗産物濃度の低減」や「肌荒れ改善」等の効果は,本願発明同様,リパーゼ阻害効果を有するポリフェノール類を用いることによる弊害を,サラシア属植物抽出物やカテキンで抑制することによる効果であることは,上記(1h)や(1i)より明らかである。)そうすると,当業者であれば,引用発明の上記ポリフェノール類は,リパーゼIC50値についても特定の範囲に制約されるものではないと理解できる。
ウ そして,本願発明において,リパーゼ阻害効果を有するポリフェノールを,褐藻類由来の海藻ポリフェノールであって「リパーゼIC50値が0.01μg/ml以下」のものとすることは,所望のリパーゼIC50値を有する公知のポリフェノールを採用したにすぎず,格別の技術的意義は認められないところ,引用発明において上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
また,本願発明の効果についてみても,引用発明及び上記公知の海藻ポリフェノールから,当業者が予測できる範囲内のものである。
エ なお,本願発明と引用発明とが同質の効果を有することは,平成29年5月15日提出の手続補正書の「(2-2)本願発明と引用発明との対比」に,「引用文献8(当審注;引用例)に記載の発明において,本願発明の効果(腸内環境を損なうことなく脂質吸収を良好に抑制することができる食品組成物又は脂質吸収抑制剤を提供できるとの効果)と同質の効果が奏されているとしても,」とあるように,審判請求人も認めるところである。
ちなみに,審判請求人は,上記記載に続けて,「烏龍茶ポリフェノールよりも褐藻類由来の海藻ポリフェノールの方が,脂質の吸収を抑制する効果が顕著に高く(即ち,リパーゼのIC50値が100倍以上であり),かつ,その摂取によって腸内環境がより顕著に損なわれるのであるから,本願発明の効果は,引用文献8に記載の発明の効果と比較して,量的に際立って優れているといえる。」と述べ,本願発明の効果が,引用例の効果に比べて量的に優れている旨主張しているが,それが格別なものでないことは次に示すとおりである。
すなわち,リパーゼIC50値は,ポリフェノールの種類のみならず,その抽出の仕方や精製の程度等によって様々な値のものが想定されることは技術常識である。また,同量のポリフェノールを比較すると,リパーゼIC50値が小さく脂質吸収抑制効果が高いものほど(小腸における脂質吸収が抑制される結果大腸内が栄養環境になるのだから),一般には腸内有害細菌の増殖傾向が大きくなることも当業者にとって自明である。そして,引用例に,「烏龍茶パウダー単独摂取では腸内有害菌が増える傾向だが,サラシアやカテキンを併用することにより抑えられることがわかった。」(上記(1h)),「試料3のリパーゼ阻害物(当審注;烏龍茶パウダーを含みサラシアエキス末や緑茶抽出物を含まない試料)の摂取は腸内の腐敗産物を増やし肌の状態を悪化させたが,試料10~12(当審注;烏龍茶パウダーとサラシアエキス末や緑茶抽出物を含む試料)に見られるような本発明の構成にすることで良好な状態になることがわかった。」(上記(1i))とあるように,烏龍茶パウダー(リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類)の摂取による腸内細菌の増殖傾向を,サラシアやカテキンの併用によって抑制できることは,本願出願前によく知られている。
そうすると,本願発明の奏する効果は,上述のように,引用発明と所定のリパーゼIC50値(範囲)を有する公知の海藻ポリフェノールとから当業者が予測できる範囲のものであり,何ら格別なものではない。
また,そもそも審判請求人が主張する格別な効果の前提である「(褐藻類由来の海藻ポリフェノールの)摂取によって腸内環境がより顕著に損なわれる」ことは,リパーゼIC50値だけでなく,その摂取量(含有量)に大きく関係するし,「腸内環境がより顕著に損なわれる」ことに対する抑制効果も,海藻ポリフェノールの含有量に対する緑茶抽出物やサラシア属植物抽出物の含有量を定めることにより有効か否かを論じられるものであるところ,本願発明はその特定を欠いたものである。したがって,上記格別な効果に係る主張は,請求項1の記載に基づかないものともいえる。
(4)小括
よって,本願発明は,引用発明及び上記公知の褐藻類由来の海藻ポリフェノールに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を有さない。
第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると,このような特許を受けることができない発明を包含する本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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