特許拒絶査定不服審判
2017-003350
排気ターボチャージャ
- 審判番号
- 2017-003350
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-552251外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月07日
- 審決日
- 2017年11月08日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボーグワーナー インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】大賀 眞司
- 【請求人代理人】百本 宏之
- 分類
- P18 .113-Z (F02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-552251「排気ターボチャージャ」拒絶査定不服審判事件〔2013年7月25日国際公開、WO2013/109433、平成27年2月2日国内公表、特表2015-503708〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯・本願発明
本願は、2013年1月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年1月17日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成28年5月24日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年8月31日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月28日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年11月8日)、これに対し、平成29年3月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
そして、本願の請求項1ないし22に係る発明は、平成28年8月31日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
入口スタブ(3)を有するタービンハウジング(2)を有し、
前記入口スタブ(3)を排気ガス供給装置(5)に固定するための接続装置(4)を有する、排気ターボチャージャ(1)であって、
前記接続装置(4)が差し込み式接続装置として設計され、
前記差し込み式接続装置(4)が、両端にシール装置(4A、4B;4A’、4B’;4A”、4B”;11A、11B)が設けられる管部分(6;11)を有する、
排気ターボチャージャ(1)。」
第2 引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2011/113793号(以下「引用文献」という。)には、「INTERNAL COMBUSTION ENGINE COMPRISING A CONNECTING ASSEMBLY FOR A CYLINDER HEAD」(シリンダヘッドへの連結構造を備えた内燃機関)に関して、図面(特に、Fig.1ないしFig.3参照)とともに、次の事項が記載されている。なお、ウムラウト記号は記載を省略し、また、仮訳は引用文献のパテントファミリーである特表2013-522525号公報をもとに当審が作成した。
1 2ページ8行~17行
「Es ist ・・・(中略)・・・zu befestigen. 」
(仮訳)
本発明の目的は、上述した短所を解消し、シリンダヘッドにつながる空気・ガス通気路部材を固定するための方法であって、固定の容易化ならびに省スペース取付けを可能とする固定方法を開発することである。
本発明により上記課題は、空気・ガス通気路部材の少なくとも1つの固定装置はシール部材とは空間的に離れて配置され、好ましくは、空気・ガス通気路部材はシリンダブロックにのみ固定されることによって達成される。ただし、空気・ガス通気路部材をシリンダヘッドにのみ固定するまたは一部シリンダブロックに一部シリンダヘッドに固定することもできる。(上記公報の段落【0006】及び段落【0007】)
2 3ページ24行~4ページ20行
「Funktionsgleiche Teile ・・・(中略)・・・werden konnen. 」
(仮訳)
各実施形態に共通して、機能的に同一の部品には同一の符号が付されている。
図1および図2は、シリンダブロック1とシリンダヘッド2とを有する内燃機関を示している。シリンダヘッド2は、図3~5から看取されるように、シリンダヘッド2の長辺側領域2aで通気口3aに流入または同所から発する複数本の給排気交換路3を有している。これらの給排気交換路3は吸気路または排気路であってよい。本実施形態において、給排気交換路は排気路によって形成されている。給排気交換路3には空気・ガス通気路部材4が接続されており、これはたとえばマニホルドつまり吸気マニホルドまたは排気マニホルドあるいは接続装置たとえばターボチャージャによって形成されていてよい。本実施形態において、空気・ガス通気路部材4は、排気ターボチャージャ6のハウジングに固定連結されているまたは排気ターボチャージャと一体に形成された排気マニホルド5によって形成されている。排気ターボチャージャ6の排気タービンは符号Tで、チャージャは符号Cでそれぞれ表されている。
排気マニホルド5は固定手段7たとえば固定ボルト8によってシリンダブロック1に固定されている。シリンダヘッド2への排気マニホルド5の固定は行われない。それゆえ、この実施形態において、排気マニホルド5は柔軟なシール部材または柔軟可動するように構成された剛性シール部材9を介して給排気交換路3と連結されている。この種の柔軟に作用するシール部材9の種々の実施形態は図3~図5に示されている。重要な点は、シール部材9はシリンダヘッド2と排気マニホルド5との相対運動を相殺することができるということである。シール部材9は少なくとも部分的に球片形状ないし球体切断形状を有していてよい。
図3には、両端に球体切断形状に形成された接続領域10、11を有すると共に、これらの接続領域の間に蛇腹19が形成されていてよい一体型のシール部材9が示されている。このシール部材9は軽度の圧嵌めによって通気口3a、5aに嵌め込まれる。球体切断形状によって、軸方向、半径方向および斜め方向のずれ変位をシール部材9によって吸収することができる。(同段落【0015】ないし段落【0017】)
3 4ページ32行~5ページ4行
「Wesentlich ist, ・・・(中略)・・・ kompensieren konnen.」
(仮訳)
重要な点は、排気マニホルド5のシール機能と固定機能とが分離されることである。これによって、排気マニホルド5は、排気マニホルド5とシリンダヘッド2の間のシール部材9から切り離されて、少なくとも1つの固定手段7によって固定することができ、この場合、排気マニホルド固定のために造成されるボルト力は所要のシール圧の造成にはなんらの役割も果たさない。シール部材9のシール圧はシールないし所定のシールスペースの形態、機能および/またはサイズによってのみ決定される。シールはその熱および/または振動に起因する排気マニホルド5のすべての変形および変位を吸収および/または相殺することができなければならない。(同段落【0019】)
4 上記2の「このシール部材9は軽度の圧嵌めによって通気口3a、5aに嵌め込まれる。」との記載及び【図3】からみて、シール部材9が軽度の圧嵌めによって嵌め込まれる形式のシール部材9として設計されていることが理解できる。
これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「排気マニホルド5を有するハウジングを有し、
前記排気マニホルド5をシリンダヘッド2に連結するためのシール部材9を有する、排気ターボチャージャ6であって、
前記シール部材9が軽度の圧嵌めによって嵌め込まれる形式のシール部材9として設計され、
前記嵌め込まれる形式のシール部材9が、両端に球体切断形状に形成された接続領域10、11が設けられる蛇腹19を有する、
排気ターボチャージャ6。」
第3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「排気マニホルド5」は前者の「入口スタブ(3)」に相当し、以下同様に、「ハウジング」は「タービンハウジング(2)」に、「シリンダヘッド2」は「排気ガス供給装置(5)」に、「シール部材9」は「接続装置」に、「球体切断形状に形成された接続領域10、11」は「シール装置(4A、4B;4A’、4B’;4A”、4B”;11A、11B)」に、「蛇腹19」は「管部分(6;11)」に、「排気ターボチャージャ6」は「排気ターボチャージャ(1)」にそれぞれ相当する。
また、後者の「軽度の圧嵌めによって嵌め込まれる形式のシール部材9」は、「嵌め込まれる」ことから、前者の「差し込み式接続装置」に相当するといえる。
後者の「連結するためのシール部材9」と前者の「固定するための接続装置(4)」とは、「連結するための接続装置」という限りで共通する。
したがって、両者は、
「入口スタブを有するタービンハウジングを有し、
前記入口スタブを排気ガス供給装置に連結するための接続装置を有する、排気ターボチャージャであって、
前記接続装置が差し込み式接続装置として設計され、
前記差し込み式接続装置が、両端にシール装置が設けられる管部分を有する、
排気ターボチャージャ。」
である点で一致し、以下の点で一応相違している。
〔相違点〕
接続装置に関して、本願発明は、入口スタブを排気ガス供給装置に「固定するための」ものであるのに対し、
引用発明は、排気マニホルド5をシリンダヘッド2に連結するためのものである点。
第4 当審の判断
そこで、相違点について検討する。
本願発明の接続装置(4)は、「固定するための」ものであるとともに、「差し込み式」であるから、差し込みにより固定するものと認められる。そこで、差し込みにより固定することの技術的意義を把握するために、本願の明細書を参照すると、「この目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。差し込み式接続装置として設計された接続装置を設けることにより、継手内のある程度の自由度が付与され、組立角度に僅かな偏差がある場合にも、問題が生じないことが保証される。特に、設計における固有の自由度により、精密な組立位置からの角偏差を特に補償することが可能になるので、シールの問題がない。」(段落【0004】ないし段落【0006】)との記載がある。この記載によれば、差し込みにより固定することは、組立位置からの角偏差を補償することができる程度に自由度が付与された状態で差し込まれ固定することと解される。
他方、引用発明のシール部材9は軽度の圧嵌めによって嵌め込まれる形式のものである。そして、引用文献には、「シール部材9はシリンダヘッド2と排気マニホルド5との相対運動を相殺する」(前記「第2」の「2」)との記載、「球体切断形状によって、軸方向、半径方向および斜め方向のずれ変位をシール部材9によって吸収することができる」(同)との記載、及び「シールはその熱および/または振動に起因する排気マニホルド5のすべての変形および変位を吸収および/または相殺する」(前記「第2」の「3」)との記載がある。これらの記載によれば、引用発明の軽度の圧嵌めによって嵌め込まれる形式は、シリンダヘッド2と排気マニホルド5とのずれ変位や変形を吸収することができる程度に圧嵌めしたものといえる。
そうすると、引用発明における「連結する」ことと本願発明における「固定する」こととに差異が認められないから、引用発明の「連結するためのシール部材9」は本願発明の「固定するための接続装置(4)」に相当する。
したがって、相違点は実質的な相違点ではなく、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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