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特許拒絶査定不服審判

2017-002694

張設式投影スクリーン組立体

審判番号
2017-002694
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-044944外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月24日
審決日
2018年01月22日
公報発行日
2018年07月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G03B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 44944「張設式投影スクリーン組立体」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月27日出願公開、特開2015-156023〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 本願は、平成22年(2010年)6月14日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年6月12日、米国)を国際出願日とする出願である特願2012-515223号(以下「原出願」という。)の一部を、平成27年(2015年)3月6日に新たな特許出願とした特願2015-44944号であって、同年3月26日付けで手続補正がされ、平成28年1月22日付けで拒絶理由が通知され、同年4月21日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年10月13日付け(送達 同年同月25日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、平成29年2月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年4月12日付けの手続補正で、審判請求書の請求の理由が補充されたものである。 2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成28年4月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 投影スクリーンキットであって、 前記投影スクリーンキットは、複数の投影スクリーンおよび複数のフレームモジュールを含み、 前記複数の投影スクリーンは、第1の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第1のビュー面を有する第1の投影スクリーンおよび第2の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第2のビュー面を有する第2の投影スクリーンを含み、 前記複数のフレームモジュールは、前記複数の投影スクリーンの各々のための組立枠体を画成するよう組み立てられるように構成され、各組立枠体は、前記複数の投影スクリーンとは独立して組み合わさって固定され、前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するような寸法とされ、前記複数の投影スクリーンのための各組立枠体は、前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するために多数のフレームモジュールを必要とし、前記キット内のフレームモジュールの総数は、一度に前記複数の組立枠体の全てを組み立てるのに必要とされるフレームモジュールの合計よりも少ない、投影スクリーンキット。」 3 刊行物の記載 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2005-221609号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、プロジェクタ等から投影される映像を映すために用いられるスクリーンに関し、更に詳しくは、携帯性の良い携帯用スクリーンに関するものである。」 イ 「【0013】 実施の形態1. 図1は、本発明の一実施の形態の携帯用スクリーンを示す図、図2は、図1の枠体の分解斜視図、図3は、枠体からスクリーン幕が剥がされた状態の斜視図である。 携帯用スクリーン1は、枠体2と、枠体2に着脱自在に取り付けられ、折り畳み自在なスクリーン幕3とから構成されている。枠体2は、本例ではアルミニウム製で、図2に示すように複数の連結部材21を抜き差し自在に連結することにより全体として矩形状に構成されたものである。各連結部材21のそれぞれには、連結される他の連結部材21との連結面に、差し込み部22a又はこの差し込み部22aを抜き差し自在に収容する収容部22bが設けられ、かかる構成により各連結部材21同士が抜き差し自在となっている。また、枠体2において、各一対の短辺部2aと長辺部2bのそれぞれは、少なくとも1箇所以上(図には3箇所の場合を例示)で分割され、2つ以上の連結部材21を連結することにより構成されている。このように構成することにより、後に詳述するが、携帯用スクリーン1の収納時に、枠体2を、その短辺部2a及び長辺部2bの長さよりも小型に分解することが可能になる。 【0014】 スクリーン幕3は、例えば黒地の不織布に白色塗装が施されることによって構成され、投写される映像を映し出すスクリーン面3aの周縁に、その周縁を補強する例えば合成皮革製の補強布3bが縫製又は接着などにより接合された構成となっている。補強布3bには、枠体2の表面に間隔を空けて設けられた複数の雌フック部(係止部)31aに係合する複数の雄フック部(係合部)31bが設けられている。補強布3bは多少の伸縮性を有しており、全ての雄フック部31bを対応の雌フック部31aに係合させて枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられるようになっている。 【0015】 このように構成された携帯用スクリーン1を使用する際には、まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成する。そして、スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させる。このようスクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化される。これにより携帯用スクリーン1が投写可能な状態となる。 【0016】 そして、スクリーン使用後は、スクリーン幕3を枠体2から剥がして折り畳むとともに、連結部材21の各差し込み部22aを各収容部22bから差し外して全ての連結部材21の連結状態を解除して枠体2を分解し、折り畳まれたスクリーン幕3とともに収納袋などに収納する。」 ウ 「【0026】 実施の形態3. 実施の形態3は、連結する連結部材21の個数を変えて枠体2を構成することにより、枠体2に、アスペクト比の異なるスクリーン幕3を取り付け可能としたものである。 【0027】 プロジェクタから投影される画像のアスペクト比は、通常4:3あるいは16:9である。このため、枠体2を構成する連結部材21を追加又は削除することにより、アスペクト比が4:3のスクリーンとしても、16:9のスクリーンとしても利用できるようにする。 【0028】 図5は、実施の形態3の携帯用スクリーンの枠体を示す斜視図である。図6は、アスペクト比が4:3の場合と16:9の場合のスクリーンの大きさの比較図である。 ここでは、図6に示すように、アスペクト比が4:3で対角100インチのスクリーンを、高さ寸法はそのままで、16:9のスクリーンに変更する場合を考える。この場合、スクリーンの幅方向を26.6インチ増加させることにより、16:9のスクリーンに変更することが可能である。したがって、これを考慮して寸法設計された連結部材51を、図5に示すように枠体2の一対の長辺部2b側に追加又は削除し、その追加又は削除後の枠体2の大きさにあったスクリーン幕を取り付けることにより、アスペクト比が4:3のスクリーンとしても16:9のスクリーンとしても使用することが可能となる。」 エ 図1~3、5及び6は次のものである。 オ 引用発明 上記アないしエによれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「枠体2と、枠体2に着脱自在に取り付けられ、折り畳み自在なスクリーン幕3とから構成されている携帯用スクリーン1であって、 前記枠体2は、複数の連結部材21を抜き差し自在に連結することにより全体として矩形状に構成され、各連結部材21のそれぞれには、連結される他の連結部材21との連結面に、差し込み部22a又はこの差し込み部22aを抜き差し自在に収容する収容部22bが設けられ、かかる構成により各連結部材21同士が抜き差し自在となり、 前記携帯用スクリーン1を使用する際には、まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成し、そして、スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ、このようスクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化され、これにより携帯用スクリーン1が投写可能な状態となり、 そして、スクリーン使用後は、スクリーン幕3を枠体2から剥がして折り畳むとともに、連結部材21の各差し込み部22aを各収容部22bから差し外して全ての連結部材21の連結状態を解除して枠体2を分解し、折り畳まれたスクリーン幕3とともに収納袋などに収納し、 連結する連結部材21の個数を変えて枠体2を構成することにより、枠体2に、アスペクト比の異なるスクリーン幕3を取り付け可能とした、 携帯用スクリーン1。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平7-333730号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、プロジェクションTVあるいはプロジェクタによる表示像を拡大投影するスクリーンに関する。」 イ 「【0019】図7は、上下フレーム5a及び左右フレーム5bを連結する大略L字状のジョイント19を示しており、図7のジョイントは、特に図2に示されているフレーム5の左上部及び右下部を連結するために使用され、右上部及び左下部を連結するジョイントは図7のジョイントを逆勝手としたものである。このジョイント19には、互いに90度の角度をなす矩形断面を有する二つの挿入部19a、19bが形成されており、挿入部19aが、上下フレーム5aの一端に挿入され、挿入部19bが左右フレーム5bの一端に挿入されて、上下フレーム5a及び左右フレーム5bを互いに90度に保持した状態で強固に連結する。尚、挿入部19bの背面には三角形の断面を有する溝21が長手方向に形成されており、フレーム5を組み立てる場合、この溝21に、左右フレーム5bの内面に形成された突起17を挿嵌することにより、ジョイント19の入れ間違いを防止することができる。」 ウ 引用文献2に記載の事項 上記ア及びイによれば、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。 「プロジェクションTVあるいはプロジェクタによる表示像を拡大投影するスクリーンに関して、スクリーンのフレームの挿入部を他のフレームの一端に挿入して、フレームと他のフレームを保持した状態で強固に連結すること。」 4 対比・判断 (1)本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「携帯用スクリーン1」は、「枠体2と、枠体2に着脱自在に取り付けられ、折り畳み自在なスクリーン幕3とから構成され」、「スクリーン使用後は、スクリーン幕3を枠体2から剥がして折り畳むとともに、連結部材21の各差し込み部22aを各収容部22bから差し外して全ての連結部材21の連結状態を解除して枠体2を分解し、折り畳まれたスクリーン幕3とともに収納袋などに収納」するものである。 ここで、引用発明の、「収納袋などに収納」された、「枠体2を分解し」た複数の「連結部材21」と「折り畳まれたスクリーン幕3」からなるものは、本願発明の「投影スクリーンキット」に相当する。 また、引用発明の「収納袋などに収納」された、複数の「連結部材21」と「折り畳まれたスクリーン幕3」は、「連結する連結部材21の個数を変えて枠体2を構成することにより、枠体2に、アスペクト比の異なるスクリーン幕3を取り付け可能とした」ものであるから、「スクリーン幕3」及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」とから構成される、複数の「スクリーン幕3」を含むものであってよい。 したがって、引用発明の「枠体2と、枠体2に着脱自在に取り付けられ、折り畳み自在なスクリーン幕3とから構成され」、「スクリーン使用後は、スクリーン幕3を枠体2から剥がして折り畳むとともに、連結部材21の各差し込み部22aを各収容部22bから差し外して全ての連結部材21の連結状態を解除して枠体2を分解し、折り畳まれたスクリーン幕3とともに収納袋などに収納」する、「連結する連結部材21の個数を変えて枠体2を構成することにより、枠体2に、アスペクト比の異なるスクリーン幕3を取り付け可能とした」「収納袋などに収納」された、複数の「連結部材21」と「折り畳まれたスクリーン幕3」及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」は、本願発明の「複数の投影スクリーンおよび複数のフレームモジュールを含」む「投影スクリーンキット」に相当する。 イ 引用発明の「スクリーン幕3」及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」がそれぞれスクリーン幕3上に投射される像を表示するように構成されるビュー面を有するものであることは明らかであるから、「スクリーン幕3」及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」を含む複数の「スクリーン幕3」及び「折り畳まれたスクリーン幕3」は、本願発明の「第1の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第1のビュー面を有する第1の投影スクリーンおよび第2の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第2のビュー面を有する第2の投影スクリーンを含」む「複数の投影スクリーン」に相当する。 ウ 引用発明の「連結部材21」は、「使用する際には、まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成し、そして、スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ、このようスクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化され、これにより携帯用スクリーン1が投写可能な状態とな」るものであるから、複数の連結部材21は、複数のスクリーン幕3の各々のための枠体2を画成するよう組み立てられるように構成され、前記複数のスクリーン幕3を支持するような寸法とされるといえる。 したがって、引用発明の「使用する際には、まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成し、そして、スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ、このようスクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化され、これにより携帯用スクリーン1が投写可能な状態とな」る複数の「連結部材21」は、本願発明の「前記複数の投影スクリーンの各々のための組立枠体を画成するよう組み立てられるように構成され」、「前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するような寸法とされ」る「複数のフレームモジュール」に相当する。 エ 引用発明の複数のスクリーン幕3の各々のための「枠体2」が、前記複数のスクリーン幕3のうちの少なくとも1つを支持するために多数の連結部材21を必要とすることは明らかである。 したがって、引用発明の複数のスクリーン幕3のうちの少なくとも1つを支持するために多数の連結部材21を必要とする、複数のスクリーン幕3の各々のための「枠体2」は、本願発明の「前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するために多数のフレームモジュールを必要と」する「前記複数の投影スクリーンのための各組立枠体」に相当する。 オ 上記アないしエによれば、両者は 「投影スクリーンキットであって、 前記投影スクリーンキットは、複数の投影スクリーンおよび複数のフレームモジュールを含み、 前記複数の投影スクリーンは、第1の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第1のビュー面を有する第1の投影スクリーンおよび第2の投影スクリーン上に投射される像を表示するように構成される第2のビュー面を有する第2の投影スクリーンを含み、 前記複数のフレームモジュールは、前記複数の投影スクリーンの各々のための組立枠体を画成するよう組み立てられるように構成され、前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するような寸法とされ、前記複数の投影スクリーンのための各組立枠体は、前記複数の投影スクリーンのうちの少なくとも1つを支持するために多数のフレームモジュールを必要とする、 投影スクリーンキット。」 である点で一致し、下記各点で相違する。 (ア)「各組立枠体」が、本願発明では、「複数の投影スクリーンとは独立して組み合わさって固定され」るのに対して、引用発明は「抜き差し自在に連結する」点(以下「相違点1」という。)。 (イ)「キット内のフレームモジュールの総数」が、本願発明では、「一度に前記複数の組立枠体の全てを組み立てるのに必要とされるフレームモジュールの合計よりも少ない」のに対して、引用発明はこのように特定されない点(以下「相違点2」という。)。 (2)判断 ア 上記相違点1について検討する。 引用発明の「枠体2」は、「複数の連結部材21を抜き差し自在に連結することにより全体として矩形状に構成され、各連結部材21のそれぞれには、連結される他の連結部材21との連結面に、差し込み部22a又はこの差し込み部22aを抜き差し自在に収容する収容部22bが設けられ、かかる構成により各連結部材21同士が抜き差し自在とな」るものとされる。 そして、引用発明の「携帯用スクリーン1」は、「使用する際には、まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成し、そして、スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ、このようスクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化され、これにより携帯用スクリーン1が投写可能な状態とな」るものである。 ここで、引用発明の「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込ん」で「連結」した際の「連結」の強さ程度は「抜き差し自在」と特定されるにとどまる。 しかるところ、引用発明の「枠体2」は、「携帯用スクリーン1を使用する際には」、「まず、連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して枠体2を構成」する作業を行い、その後、当該「連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」に、「スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ」る作業を行うものであるから、「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」は、「スクリーン幕3に設けた全ての雌フック部31aを枠体2に設けた雄フック部31bに係合させ」る作業に支障をきたすことのない状態のものであるといえる。 そうすると、上記「3」「(2)」「ウ」に記載された「引用文献2に記載の事項」を参酌して、引用発明の「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込ん」で「連結」した際の「連結」の程度を、「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」「を保持した状態で強固に連結する」ものとなすことに、格別の技術的困難性は認められない。 そして、引用発明の「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」「を保持した状態で強固に連結」したものを、スクリーン幕3とは独立して組み合わさって固定される程度に「強固に連結」されるものとなすことは容易になし得ることにすぎない。 よって、引用発明において、「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」「を保持した状態」で、独立して組み合わさって固定される程度に「強固に連結」するとともに「抜き差し自在」なものとなし、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。 イ 上記相違点2について検討する。 引用発明の「携帯用スクリーン1」は、上記「(1)」「ア」で検討したとおり、複数の「連結部材21」と「折り畳まれたスクリーン幕3」からなる「携帯用スクリーン1」のキットであって、上記「(1)」「イ」で検討したとおり、「折り畳まれたスクリーン幕3」として、「スクリーン幕3」及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」を含むところ、当該キットに含まれる複数の「連結部材21」の数を、「スクリーン幕3」の枠体2及び「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」の枠体2の両方を同時に組み立てるのに十分な数とするか、「スクリーン幕3」の枠体2あるいは「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」の枠体2の一方を組み立てることができるが同時には組み立てられない、一度に複数の枠体2の全てを組み立てるのに必要とされる連結部材21の合計よりも少ない数とするかは、キットとなすに際して適宜定められる設計的事項にすぎない。 したがって、引用発明の「携帯用スクリーン1」のキットにおけるに含まれる複数の「連結部材21」の数を「スクリーン幕3」の枠体2あるいは「アスペクト比の異なるスクリーン幕3」の枠体2の一方を組み立てることができるが同時には組み立てられない数として、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が必要に応じて適宜なしうる設計的事項にすぎない。 ウ 審判請求書の主張について 請求人は、審判請求書(平成29年4月12日付けの手続補正による請求の理由の補充)において、下記のとおり主張する。 「(7)引用文献1にかかる発明であるスクリーンキットの構成は、その要約や0018段落等に記載されている通り、枠体の各一対の短辺部と長辺部を、それぞれ複数の連結部材を連結することにより構成されているものであるから、使用後は、連結状態を解除することによって、短辺部又は長辺部の長さ寸法よりも小型に分離することができる。したがって、従来の巻取式のものに比べて収納性及び携帯性に優れており、[発明が解決すべき課題]にも明記されている通り、持ち運びが容易となるように、不使用時には充分に小型にすることができることが主な技術的特徴であると解される。即ち、本願発明と引用文献1記載の発明とは、そもそも明らかにその発明の解決すべき課題が異なる全く別異の発明である。引用文献1には、そもそも本願発明のような、枠体を組み合わせてカプラや留め具を用いて固定することについて記載も示唆もないものであるから、「組立枠体が、複数の投影スクリーンとは独立した状態で組み合わさって固定され」る技術的思想を実現できないことは明らかである。 さらに、引用文献2などにも、本願発明の、枠体を組み合わせるためのカプラや留め具、および、「組立枠体が、複数の投影スクリーンとは独立した状態で組み合わさって固定され」た本願発明の構成・技術的思想は記載はおろか示唆もされていない。通常の当業者が、そのような引用文献1記載の発明と、周知技術である引用文献3、4記載の発明とを単に組み合わせて通常の創作能力を発揮したところで、上記本願発明の構成・技術的思想に容易に想到することはないものと確信する。」(同補正書の「(7)」項 4頁5~22行) しかしながら、引用発明は、「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込ん」で「連結」した後に、「スクリーン幕3を枠体2に取り付けることによりスクリーン幕3に張力が与えられ、その張力によって各連結部材21同士の連結部分が固定されて全体が一体化され」るものであるが、当該「固定」は、「連結部材21の差し込み部22aを収容部22bに差し込んで全ての連結部材21を連結して」「構成」した状態の「枠体2」「を保持した状態で強固に連結する」ための「固定」とは別異の固定である。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-002694

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