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特許拒絶査定不服審判

2017-000425

電気化学セル

審判番号
2017-000425
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-114489外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年01月12日
審決日
2017年12月12日
公報発行日
2018年03月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-114489「電気化学セル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-243205〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、平成24年5月18日の出願であって、平成27年9月17日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年11月17日付けで手続補正がなされ、平成28年4月19日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年5月23日付けで手続補正がなされたが、同年10月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年1月12日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。 2.平成29年1月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年1月12日付けの手続補正を却下する。 [理 由] (1)補正後の本願発明 平成29年1月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1については、 「【請求項1】 収納容器の内部に電気化学素子を備え、外部端子を介して充放電が可能な電気化学セルであって、 前記電気化学素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたセパレータと、前記一対の電極および前記セパレータに含浸された電解液と、を備え、 前記一対の電極間の体積をVeとし、前記一対の電極間に配置された前記セパレータの電極間部における空隙の体積をSeとして、電極間部空隙率ReをRe=Se/Ve×100(%)と定義し、 前記電極間部の厚さをL2(μm)として、セパレータ評価指数IeをIe=L2/Re(μm/%)と定義したときに、 Ie≦0.62(μm/%) を満たし、 前記セパレータは、ガラス繊維の積層体であり、 前記ガラス繊維の積層体の単位面積あたりの質量は、31.0g/m2以下であることを特徴とする電気化学セル。」 とあったものが、 「【請求項1】 収納容器の内部に電気化学素子を備え、外部端子を介して充放電が可能な電気化学セルであって、 前記電気化学素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたセパレータと、前記一対の電極および前記セパレータに含浸された電解液と、を備え、 前記一対の電極間の体積をVeとし、前記一対の電極間に配置された前記セパレータの電極間部における空隙の体積をSeとして、電極間部空隙率ReをRe=Se/Ve×100(%)と定義し、 前記電極間部の厚さをL2(μm)として、セパレータ評価指数IeをIe=L2/Re(μm/%)と定義したときに、 Ie≦0.50(μm/%) を満たし、 前記セパレータは、ガラス繊維の積層体であり、 前記ガラス繊維の積層体の単位面積あたりの質量は、31.0g/m2以下であることを特徴とする電気化学セル。」 と補正された。 上記補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「セパレータ評価指数Ie」について、その上限値が「0.62」とあったものを「0.50」とし、セパレータ評価指数Ieのとり得る範囲を狭める限定を付加するものである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。 (2)引用例 (2-1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-64922号公報(公開日:平成24年3月29日。以下、「引用例1」という。)には、「電気二重層キャパシタ用の電解液、これを用いた電気二重層キャパシタ及びその製造方法」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 ア.「【0011】 本発明の一実施形態にかかる電気二重層キャパシタについて、以下に図面を参照して説明する。 図1に示す電気二重層キャパシタ1は、いわゆるチップ型のもので、長さ2~3mm×幅2~3mm×高さ0.2~1mmの略直方体のものである。電気二重層キャパシタ1は、収納容器2に、負極側電極42と正極側電極44とからなる一対の分極性電極40がセパレータ46を介して対向配置され、電解液50が収納されたものである。そして、分極性電極40とセパレータ46には、収納容器2内に収納された電解液50が含浸されている。 ・・・・・(中 略)・・・・・ 【0014】 容器本体20の外部底面及び外部側面には、第一の外部端子60と第二の外部端子70とが設けられている。第一の外部端子60は、ろう材32と側壁部24との間に設けられた第一の金属層62と接続され、これにより第一の金属層62、ろう材32、シールリング30及び負極集電体43を介して、負極側電極42と電気的に接続されている。第二の外部端子70は、基材22と中間層26との間に設けられ保護層27に接続された第二の金属層72と接続され、これにより、第二の金属層72、保護層27及び正極集電体45を介して正極側電極44と電気的に接続されている。」 イ.「【0049】 セパレータ46の厚みは、特に限定されないが、例えば、負極側電極42と正極側電極44とで挟持された部分である介在部46aの厚みが、好ましくは30~100μm、より好ましくは40~70μmとされる。介在部46aの厚みが30μm未満であると、負極側電極42と正極側電極44とを分離する機能が損なわれ、ショートするおそれがある。介在部46aの厚みが100μm超であると、電極間の抵抗が大きくなり、放電容量が低下するおそれがある。 介在部46aにおける空隙率(介在部空隙率)は、40~94体積%が好ましく、60~90体積%がより好ましい。介在部空隙率が上記範囲内であれば、介在部46aにおける電解液50の量が十分量となり、放電容量がより低下しにくくなると共に、毛細管現象によって電解液50が介在部46aに適宜補充され、放電容量を長期に維持しやすくなる。なお、介在部空隙率は、下記(ii)式で表されるものである。 介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100・・・・(ii)」 ウ.「【0051】 セパレータ46は、従来、電気二重層キャパシタのセパレータに用いられるものを適用でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のマイクロポーラスフィルム、ホウ珪酸ガラス、アルカリガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ソーダ石灰シリカガラス、無アルカリガラス等のガラスの繊維積層体(ガラス繊維積層体)、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂からなる不織布等が挙げられる。中でも、ガラス繊維積層体が好ましく、ホウ珪酸ガラス、アルカリガラス、石英ガラスの繊維積層体がより好ましく、ホウ珪酸ガラスの繊維積層体がさらに好ましい。ガラス繊維積層体は、機械強度に優れると共に、大きなイオン透過度を有するため、内部抵抗を低減して放電容量の向上を図れる。」 エ.「【0106】 (実施例6-1~6-5) セパレータを表6に示す仕様とした以外は、実施例1-1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタについて、高温容量維持率を求めた。 【0107】 【表6】 」 ・上記引用例1に記載の「電気二重層キャパシタ用の電解液、これを用いた電気二重層キャパシタ及びその製造方法」のうちの「電気二重層キャパシタ」は、上記「ア.」の記載事項、及び図1によれば、収納容器2に、負極側電極42と正極側電極44とからなる一対の分極性電極40がセパレータ46を介して対向配置され、電解液50が収納され、分極性電極40とセパレータ46には、収納容器2内に収納された電解液50が含浸されてなり、収納容器2の外部底面及び外部側面に第一の外部端子60と第二の外部端子70とが設けられている電気二重層キャパシタである。 ・上記「イ.」、「エ.」の【表6】の記載事項によれば、セパレータ46における、負極側電極42と正極側電極44とで挟持された部分である介在部46aの厚みが、好ましくは30~100μm、より好ましくは40~70μm(実施例6-1~6-4では50μm)とされ、 介在部46aにおける空隙率(介在部空隙率)が、介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100で表されるとき、好ましくは40~94体積%、より好ましくは60~90体積%(実施例6-1~6-4では40~88体積%)である。 ・上記「ウ.」の記載事項によれば、セパレータ46としては、ホウ珪酸ガラスなどのガラス繊維積層体がより好ましいものである。 したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「収納容器に、負極側電極と正極側電極とからなる一対の分極性電極がセパレータを介して対向配置され、電解液が収納され、前記分極性電極と前記セパレータには、前記収納容器内に収納された前記電解液が含浸されてなり、前記収納容器の外部底面及び外部側面に第一の外部端子と第二の外部端子とが設けられている電気二重層キャパシタであって、 前記セパレータにおける、前記負極側電極と前記正極側電極とで挟持された部分である介在部の厚みが、より好ましくは40~70μmとされ、 前記介在部における空隙率(介在部空隙率)が、介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100で表されるとき、より好ましくは60~90体積%であり、 前記セパレータは、ガラス繊維積層体である、電気二重層キャパシタ。」 (2-2)引用例2 原査定時に提示した特開2001-243936号公報(以下、「引用例2」という。)には、「非水系二次電池」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 ア.「【0011】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記目的を達成するため、正極、負極、セパレータ、及びリチウム塩を含む非水系電解質を備えた扁平形状の非水系二次電池であって、エネルギー容量が30Wh以上且つ体積エネルギー密度が180Wh/l以上であり、前記セパレータは一枚あるいは複数枚から構成され、少なくとも1枚の前記セパレータは、150℃での熱収縮率が、面に沿う方向のいずれにおいても5%以下であることを特徴とする非水系二次電池を提供するものである。」 イ.「【0021】 このような熱収縮率が小さく耐熱性が高いセパレータ104の材質としては、セルロース系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンサルファイド系、フッ素系、ポリオレフィン系等の樹脂、或いは、ガラス繊維のような無機繊維等、特に限定されるものではないが、セルロース系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンサルファイド系及びフッ素系の樹脂、並びに無機繊維から選択した少なくとも一種を主成分として含むものであることが、コスト、含水、加工などの観点から望ましい。またセパレータの目付量は、好ましくは5g/m2以上30g/m2以下であり、より好ましくは5g/m2以上20g/m2以下であり、さらに好ましくは8g/m2以上20g/m2以下である。セパレータの目付量が30g/m2を越える場合、セパレータが厚くなることで電池の厚みも大きくなるか、或いは、気孔率が低下して電池の内部抵抗が高くなるので好ましくなく、5g/m2未満の場合、実用的な強度が得られないので好ましくない。」 したがって、上記記載事項によれば、引用例2には、次の技術事項が記載されている。 「正極、負極、セパレータ、及びリチウム塩を含む非水系電解質を備えた扁平形状の非水系二次電池における、ガラス繊維のような無機繊維等からなるセパレータについて、 セパレータの目付量(特に上限側)は、30g/m2を越える場合、セパレータが厚くなることで電池の厚みも大きくなるか、或いは、気孔率が低下して電池の内部抵抗が高くなるので好ましくなことから、30g/m2以下とすること。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、 ア.引用発明における「収納容器に、負極側電極と正極側電極とからなる一対の分極性電極がセパレータを介して対向配置され、電解液が収納され、前記分極性電極と前記セパレータには、前記収納容器内に収納された前記電解液が含浸されてなり、前記収納容器の外部底面及び外部側面に第一の外部端子と第二の外部端子とが設けられている電気二重層キャパシタであって」によれば、 引用発明における「収納容器」、負極側電極と正極側電極とからなる「一対の分極性電極」、「セパレータ」、「電解液」、「第一の外部端子と第二の外部端子」が、それぞれ本願補正発明でいう「収納容器」、「一対の電極」、「セパレータ」、「電解液」、「外部端子」に相当し、 引用発明においても、一対の分極性電極とセパレータと電解液とから、本願補正発明でいう「電気化学素子」が構成され、引用発明における「電気二重層キャパシタ」は、本願補正発明でいう電気二重層キャパシタ等の「電気化学セル」に相当する。 そして、引用発明の「電気二重層キャパシタ」にあっても、第一の外部端子と第二の外部端子を介して充放電が可能なものであることは自明なことである。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「収納容器の内部に電気化学素子を備え、外部端子を介して充放電が可能な電気化学セルであって、前記電気化学素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたセパレータと、前記一対の電極および前記セパレータに含浸された電解液と」を備えるものである点で一致する。 イ.引用発明における「前記セパレータにおける、前記負極側電極と前記正極側電極とで挟持された部分である介在部の厚みが、より好ましくは40~70μmとされ、前記介在部における空隙率(介在部空隙率)が、介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100で表されるとき、より好ましくは60~90体積%であり」によれば、 引用発明でいう、セパレータにおける負極側電極と正極側電極とで挟持された部分である「介在部の厚み」、当該介在部における空隙率である「介在部空隙率」が、それぞれ本願補正発明でいう「電極間部の厚さL2」、「電極間部空隙率Re」に相当する。 そして、引用発明は、「介在部の厚み」=40~70μm、「介在部空隙率」=60~90体積%であることから、本願補正発明でいう「セパレータ評価指数Ie」を計算すると、 Ie=(介在部の厚み)/(介在部空隙率) ≒0.44~1.17μm/% であり、本願補正発明で特定する「Ie≦0.50(μm/%)」という範囲(条件)と重複する(なお、引用例1の【表6】を参照すると、「介在部の厚み」を一定の50μmとし、「介在部空隙率」を40~88体積%として実施しているから、「介在部の厚み」を下限の40μmとし、「介在部空隙率」を上限の90体積%とすることも可能であり、「介在部の厚み」=40μm、「介在部空隙率」=90体積%の場合、Ie≒0.44μm/%であり、本願補正発明で特定する範囲(条件)を満たす。)。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記一対の電極間の体積をVeとし、前記一対の電極間に配置された前記セパレータの電極間部における空隙の体積をSeとして、電極間部空隙率ReをRe=Se/Ve×100(%)と定義し、前記電極間部の厚さをL2(μm)として、セパレータ評価指数IeをIe=L2/Re(μm/%)と定義したときに、Ie≦0.50(μm/%)を満た」すものである点で一致するということができる。 ウ.引用発明における「前記セパレータは、ガラス繊維積層体である」によれば、 本願補正発明と引用発明とは、「前記セパレータは、ガラス繊維の積層体」である点で一致する。 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「収納容器の内部に電気化学素子を備え、外部端子を介して充放電が可能な電気化学セルであって、 前記電気化学素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたセパレータと、前記一対の電極および前記セパレータに含浸された電解液と、を備え、 前記一対の電極間の体積をVeとし、前記一対の電極間に配置された前記セパレータの電極間部における空隙の体積をSeとして、電極間部空隙率ReをRe=Se/Ve×100(%)と定義し、 前記電極間部の厚さをL2(μm)として、セパレータ評価指数IeをIe=L2/Re(μm/%)と定義したときに、 Ie≦0.50(μm/%) を満たし、 前記セパレータは、ガラス繊維の積層体であることを特徴とする電気化学セル。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] ガラス繊維の積層体であるセパレータについて、本願補正発明では、「単位面積あたりの質量は、31.0g/m2以下」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。 (4)判断 上記[相違点]について検討する。 例えば引用例2には、非水系二次電池における、ガラス繊維のような無機繊維等からなるセパレータについて、セパレータの目付量(特に上限側)は、30g/m2を越える場合、セパレータが厚くなることで電池の厚みも大きくなるか、或いは、気孔率が低下して電池の内部抵抗が高くなるので好ましくなことから、30g/m2以下とする技術事項が記載(上記(2-2)を参照)されている。ここで、二次電池は、電気二重層キャパシタ(電気化学セル)と基本的に同じ構成(一対の電極、当該電極間のセパレータ、及び電解液を備える点)である。よって、電気化学セルにおいて、セパレータの目付量として30g/m2以下の値は一般的に採用され得る値であると認められ、引用発明においても、キャパシタの厚みや内部抵抗等を考慮して、セパレータの目付量、すなわち単位面積あたりの質量を、本願発明で特定する「31.0g/m2以下」の範囲(条件)を満たすような値とすることは当業者であれば適宜なし得る設計的事項にすぎない。 そして、本願補正発明が奏する効果についてみても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。 (5)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成29年1月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年5月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 収納容器の内部に電気化学素子を備え、外部端子を介して充放電が可能な電気化学セルであって、 前記電気化学素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に配置されたセパレータと、前記一対の電極および前記セパレータに含浸された電解液と、を備え、 前記一対の電極間の体積をVeとし、前記一対の電極間に配置された前記セパレータの電極間部における空隙の体積をSeとして、電極間部空隙率ReをRe=Se/Ve×100(%)と定義し、 前記電極間部の厚さをL2(μm)として、セパレータ評価指数IeをIe=L2/Re(μm/%)と定義したときに、 Ie≦0.62(μm/%) を満たし、 前記セパレータは、ガラス繊維の積層体であり、 前記ガラス繊維の積層体の単位面積あたりの質量は、31.0g/m2以下であることを特徴とする電気化学セル。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 ここで、引用例1について、 前記「2.(2-1)」に記載した「エ.」の【表6】における「実施例6-4」よれば、セパレータはガラス繊維積層体であり、当該セパレータにおける「介在部厚み」が50μm、「介在部空隙率」が88体積%である。 したがって、特に【表6】に示される「実施例6-4」に係るものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明’」という。)が記載されている。 「収納容器に、負極側電極と正極側電極とからなる一対の分極性電極がセパレータを介して対向配置され、電解液が収納され、前記分極性電極と前記セパレータには、前記収納容器内に収納された前記電解液が含浸されてなり、前記収納容器の外部底面及び外部側面に第一の外部端子と第二の外部端子とが設けられている電気二重層キャパシタであって、 前記セパレータにおける、前記負極側電極と前記正極側電極とで挟持された部分である介在部の厚みが、50μmとされ、 前記介在部における空隙率(介在部空隙率)が、介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100で表されるとき、88体積%であり、 前記セパレータは、ガラス繊維積層体である、電気二重層キャパシタ。」 (2)対比 そこで、本願発明と引用発明’とを対比すると、 引用発明’における「前記セパレータにおける、前記負極側電極と前記正極側電極とで挟持された部分である介在部の厚みが、50μmとされ、前記介在部における空隙率(介在部空隙率)が、介在部空隙率(体積%)=[(介在部の空隙の体積)/(介在部の体積)]×100で表されるとき、88体積%であり」によれば、 引用発明’は、「介在部の厚み」=50μm、「介在部空隙率」=88体積%であることから、本願発明でいう「セパレータ評価指数Ie」を計算すると、 Ie=(介在部の厚み)/(介在部空隙率) ≒0.57μm/% であり、本願発明で特定する「Ie≦0.62(μm/%)」という範囲(条件)を満たす。 以上のことを踏まえると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する(前記「2.(3)」も参照)。 [相違点] ガラス繊維の積層体であるセパレータについて、本願発明では、「単位面積あたりの質量は、31.0g/m2以下」である旨特定するのに対し、引用発明’では、そのような特定を有していない点。 (3)判断 上記[相違点]は、本願補正発明について検討した[相違点]と同じである。 したがって、前記「2.(4)」に記載したとおり、本願補正発明と同様、本願発明についても、引用発明’及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-000425

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