特許異議申立
2024-700284
シンチレータアレイ、シンチレータアレイの製造方法、放射線検出器、および放射線検査装置
- 審判番号
- 2024-700284
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-556138
- 登録番号
- 7354277
- 請求日
- 2024年03月29日
- 審決日
- 2024年11月22日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社東芝
- 【権利者代理人】弁理士法人サクラ国際特許事務所
- 【権利者】東芝マテリアル株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人サクラ国際特許事務所
- 【異議申立人】野本 玲司
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 後藤 孝平
- 審判官 松川 直樹
- 分類
- P1651.113-YAA(G21K) / P1651.121-YAA(G21K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7354277号発明「シンチレータアレイ、シンチレータアレイの製造方法、放射線検出器、および放射線検査装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7354277号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。
特許第7354277号の請求項1~11に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7354277号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和2年11月12日(優先権主張令和元年11月13日、日本国)に出願され、令和5年9月22日にその特許権の設定登録がされ、令和5年10月2日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 3月29日 :特許異議申立人 野本玲司(以下「異議申立人」という。)による請求項1~11に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 5月30日付け:取消理由通知書
同年 8月 2日付け:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月15日 :異議申立人による意見書の提出
2 訂正の適否
(1)訂正の内容
令和6年8月2日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~10〕、及び請求項11について請求されている。
ア 訂正事項1
請求項1の
「前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層と、
を具備し、
前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含む、シンチレータアレイ。」との記載を、
「前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層と、
を具備し、
前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、
樹脂と、
光を反射する反射粒子と、
を含み、
前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、シンチレータアレイ。」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~10も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
請求項2の
「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、請求項1に記載のシンチレータアレイ。」との記載を、
「前記比D/Tは、0.25以上1.00以下である、請求項1に記載のシンチレータアレイ。」に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3~10も同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
請求項3の
「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む樹脂と、
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、および酸化シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含み、光を反射する反射粒子と、
を含む、請求項1または請求項2に記載のシンチレータアレイ。」との記載を、
「前記樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含み、
前記反射粒子は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、および酸化シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1または請求項2に記載のシンチレータアレイ。」に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4~10も同様に訂正する。
エ 訂正事項4
請求項11の
「前記スラリーを硬化させて第1の反射層を形成する工程と、
を具備する、シンチレータアレイの製造方法。」との記載を、
「前記スラリーを硬化させて第1の反射層を形成する工程と、
を具備し、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、シンチレータアレイの製造方法。」に訂正する。
(2)訂正要件の判断
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、請求項1において、(i)「第1の反射層」及び「第2の反射層」につき、「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、樹脂と、光を反射する反射粒子と、を含」むものであることを限定し、(ii)「光を反射する第2の反射層を含む層」の「厚さT」と、「前記第1の反射層」の「前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分」の長さDの関係について、「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である」と限定するものである。
訂正事項1は、請求項1の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項追加の有無
a 本件特許の願書に添付された特許登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は当合議体が付した。以下同様。)。
【請求項2】
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、請求項1に記載のシンチレータアレイ。
【0022】
反射層3は、光(可視光)を反射する。反射層3は、X線を透過できる。反射層3は、隣接するシンチレータセグメント2の間に設けられ、それぞれのシンチレータセグメント2に接着する。
【0023】
反射層4は、光(可視光)を反射する。反射層4は、X線を透過できる。反射層4は、例えば図3に示すように、表面20aの上に設けられるとともに構造体20を覆う。
【0024】
シンチレータアレイ1は、複数のシンチレータセグメント2を一列に並べた構造、または図1に示すように複数のシンチレータセグメント2を縦方向および横方向に所定の個数ずつ2次元的に並べた構造のいずれかの構造を有していてもよい。複数のシンチレータセグメント2を2次元的に配列する場合、反射層3は、縦方向に配列されたシンチレータセグメント2間および横方向に配列されたシンチレータセグメント2に設けられる。反射層3は、表面20aに沿ってシンチレータセグメント2を囲んでもよい。
【0033】
反射層3は、光を透過する樹脂(透光性樹脂)と、樹脂中に分散され、光を反射する反射粒子と、を含有する。樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。例えばエポキシ樹脂は、水添エポキシ樹脂、エポキシシリコーン樹脂等が好ましい。反射粒子は、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、および酸化シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。なお、樹脂中に含まれる気泡も反射粒子としての役割を果たすことがある。
【0034】
反射層4は、反射層3と同様の透光性樹脂および反射粒子を用いることができる。
【0047】
実施形態のシンチレータアレイは、図3、図4、図5、図6に示されるように、反射層3が部分的に反射層4を含む層に食い込む構造を有するが、食い込み長さが短くなると剥離抑制効果は低減する。有効な剥離抑制効果を実現するためには、シンチレータアレイ1の厚さ方向の断面において、反射層4または反射層4および接着層5(反射層4を含む層)の厚さTに対する、反射層3における上記反射層4を含む層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下の範囲、より好ましくは0.20以上1.00以下の範囲であることが好ましい。厚さTと長さDは、シンチレータアレイ1の厚さ方向の断面を電子顕微鏡または光学顕微鏡によって観察し、その観察像から測定可能である。反射層3、反射層4、接着層5はそれぞれの層でポリマーのネットワーク構造を形成するため、これらの層の界面が明確である。また顔料濃度が異なる場合、さらに明確であるため、厚さTと長さDを判断しやすい。
【図3】
[図:0001420321000001.jpg]
b 上記aの記載からすれば、前記(ア)(i)に関して、本件明細書等の【0022】~【0024】から、「反射層3」、「反射層4」が、それぞれ、請求項1に係る発明の「第1の反射層」、「第2の反射層」に対応することが理解でき、同【0033】、【0034】から、訂正事項1の(ア)(i)で限定された事項は、本件明細書等に記載されているものと認められる。
また、前記(ア)(ii)に関して、同【請求項2】、【0047】から、訂正事項1の(ア)(ii)で限定された事項は、本件明細書等に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記(ア)及び(イ)にも照らせば、訂正事項1は、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(エ)訂正事項1の小括
前記(ア)~(ウ)より、訂正事項1は、訂正要件を満たす。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、請求項2において、(iii)「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/T」を「前記D/T」とし、(iv)「0.10以上1.00以下」を「0.25以上1.00以下」とするものである。
前記(iii)は、訂正事項1により請求項1に「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/T」が記載されることになることを踏まえ、冗長さを避けるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、前記(iv)は、「比D/T」の数値範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
以上から、訂正事項2は、請求項2の明瞭でない記載を訂正し、また、請求項2の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項追加の有無
a 本件明細書等には、以下の記載がある。
【0067】
(実施例2)
長さ76mm、幅25mm、厚さ1.2mmのGOSセラミック板の表面に、酸化チタンとエポキシ樹脂と含むスラリーを塗布し、スラリーを熱硬化させた後に研磨することで厚さTが0.3mmの反射層4を形成した。その後、GOSセラミック板の表面からダイシングによる溝加工を施してシンチレータセグメント2と溝Sとを形成した。溝Sの深さは1.25mmである。溝Sは反射層4の内部まで延在する。溝Sに酸化チタンとエポキシ樹脂とを含むスラリーを注入し、スラリーを熱硬化させ、シンチレータセグメント2の表面を0.1mm研磨した。その後、反射層4の表面を0.1mm研磨し、周縁部をカットし、図3に相当するシンチレータアレイ1を作製した。比D/Tは0.25であった。
【0075】
【表2】
[図:0001420321000002.jpg]
b 前記(ア)(iii)は、実質的に請求項2で特定される内容を変更するものではない。
また、前記(ア)(iv)は、上記aの記載からすれば、比D/Tの下限値について、表2に記載の実施例4における「0.10」から、実施例2における「0.25」に訂正するものであるから、本件明細書等に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記(ア)及び(イ)にも照らせば、訂正事項2は、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(エ)訂正事項2の小括
前記(ア)~(ウ)より、訂正事項2は、訂正要件を満たす。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正事項1により、請求項1に「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、樹脂と、光を反射する反射粒子と、を含み、」との記載を追加するように訂正されることに伴って、請求項1の記載を引用する請求項3に係る発明において、請求項1及び3のそれぞれにおける「樹脂」及び「反射粒子」の関係が明瞭でなくなることを避けるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項追加の有無
訂正事項3は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
訂正事項3は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(エ)訂正事項3の小括
前記(ア)~(ウ)より、訂正事項3は、訂正要件を満たす。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、請求項11において、「光を反射する第2の反射層を含む層」の「厚さT」と、「第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さD」の関係について、「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である」と限定するものである。
訂正事項4は、請求項11の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項追加の有無
訂正事項4は、前記ア(ア)に記載の訂正事項1の(ii)と同内容であるため、前記ア(イ)で説示したとおり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記(ア)及び(イ)にも照らせば、訂正事項4は、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(エ)訂正事項4の小括
前記(ア)~(ウ)より、訂正事項4は、訂正要件を満たす。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。なお、本件訂正後の請求項1~11は、特許異議の申立てがされている請求項であるから、同法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項所定の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11について訂正することを認める。
3 本件訂正後の本件発明
前記2に示したとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~11に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明11」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え、前記複数のシンチレータセグメントが希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する、構造体と、
前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層と、
を具備し、
前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、
樹脂と、
光を反射する反射粒子と、
を含み、
前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、シンチレータアレイ。
【請求項2】
前記比D/Tは、0.25以上1.00以下である、請求項1に記載のシンチレータアレイ。
【請求項3】
前記樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含み、
前記反射粒子は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、および酸化シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、
請求項1または請求項2に記載のシンチレータアレイ。
【請求項4】
前記層は、接着層をさらに含み、
前記第2の反射層は、前記接着層を介して前記構造体の上に設けられる、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシンチレータアレイ。
【請求項5】
前記部分は、前記接着層の内部に延在し、前記第2の反射層まで延在しない、請求項4に記載にシンチレータアレイ。
【請求項6】
前記接着層は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂を含む、請求項4または請求項5に記載のシンチレータアレイ。
【請求項7】
前記接着層は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、および酸化シリコンからなる群より選ばれる少なくとも一つをさらに含む、請求項6に記載のシンチレータアレイ。
【請求項8】
前記希土類酸硫化物蛍光体は、
一般式:RE2O2S:Pr
(REはY、Gd、La、およびLuからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素である)
で表され、且つRE2O2Sの含有量に対するPrの含有量が0.001モル%以上10モル%以下である組成を有する、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のシンチレータアレイ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のシンチレータアレイを具備する、放射線検出器。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線検出器を具備する、放射線検査装置。
【請求項11】
希土類酸硫化物蛍光体を含む板状の焼結体と、光を反射する第2の反射層を含む層と、を貼り合わせる工程と、
前記焼結体を部分的に除去することにより、複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する溝と、を形成する工程と、
前記溝に樹脂と光を反射する反射粒子とを含むスラリーを注入する工程と、
前記スラリーを硬化させて第1の反射層を形成する工程と、
を具備し、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である、シンチレータアレイの製造方法。
4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~4、6、8~11に係る特許に対して、令和6年5月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1~4、6、8~11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明及び周知技術並びに必要に応じて甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到することができたものであるから、請求項1~4、6、8~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)各甲号証及び各甲号証に記載された発明並びに技術的事項の認定
ア 各甲号証
甲第1号証:特開2002-236182号公報
甲第2号証:米国特許第5296163号明細書
甲第3号証:特開2002-22836号公報
甲第4号証:国際公開第2017/110850号
甲第5号証:特開平9-292469号公報
甲第6号証:特開2002-237583号公報
以下、「第」及び「号証」を略して「甲1」などという。
イ 甲1に記載された発明の認定
(ア)甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当合議体が付した。以下同様。)。
【請求項1】 電磁波を検出するための一次元又は多次元検出器アレイ(9;15、17;70)を製造するために、
a) 放射線に対して敏感な材料(M)を含有するセンサ層(3)および基層(5)から成る複合層(1)を形成し、
b)センサ層(3)を互いに絶縁された個々のエレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)に分割するために、基層(5)と反対側から複合層(1)の材料(M)を切削することによって隔壁(7)をセンサ層(3)に形成することを特徴とする検出器アレーの製造方法。
【請求項2】 放射線に対して敏感な材料(M)として、特にX線に対して敏感な発光物質又はシンチレータ物質を用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】 基層(5)が発光物質又はシンチレータ物質から放出される放射線を反射する反射材料(R)を含有することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】 二次元検出器アレイ(9)を製造するために、エレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)をセンサエレメントとして使用し、これらのエレメントをその基層(5)と反対側でそれぞれ光電受信器、特にフォトダイオードと接触させることを特徴とする請求項5記載の方法。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波の検出、特にX線検出用の一次元又は多次元検出器アレイの製造方法に関する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、電磁波を検出するための検出器アレイを安価に製造できるような方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題は、冒頭に記載した検出器アレーの製造法において本発明によれば、
a)放射線に敏感な材料を含有するセンサ層および基層から成る複合層を形成し、
b) センサ層を互いに絶縁した個々のエレメントに分割するために、基層と反対側から複合層の材料を切削することによって隔壁をセンサ層に形成することにより解決される。
【0008】この方法は製造技術的に簡単に実施できることが利点である。隔壁はチャネル、刻み目又は溝として特に基層内にまで突出するように形成することができる。これらの隔壁はひとつの機械によって迅速な連続作業工程で互いに平行するように形成される。個々のセンサエレメントの操作は不要である。隔壁は主として鋸引き、フライス切削、腐食によって形成すると好適である。
【0011】更に別の望ましい実施形態は、隔壁に反射材料を充填、特に流し込む方式である。すべての隔壁をただ1回の作業工程で充填させると特に有利である。充填される反射材料は特に、基層の材料の場合と同様に、発光物質又はシンチレータ物質から放出された放射線を反射する材料である。このようにして、隔壁によって形成されるエレメントは、4つの側面と基層によって閉鎖された裏面とが光学的に互いにないしは周囲から絶縁されることになる。このことは、5つの側面から周囲光がセンサ層のエレメント内へ侵入しないことを意味し、また他方では、エレメント内の発光物質又はシンチレータ物質によって発生した蛍光が5つの側面から反射して唯一開放されたままの側面に、たとえば光検出器のカップリングに集められることを意味する。そのほかに、反射材料を充填した隔壁によってセンサ層の個々のエレメント間の誘導妨害が回避される。
【0024】放射線に対して敏感な材料としては、発光物質セラミック、特に例えばアメリカ特許第5、296、163号明細書、第6欄、第50行から第8欄、第32行に記載されている“Ultra‐Fast‐Ceramic”(UFC‐セラミック)を使用すると有利である。
【0025】本発明により製造される検出器アレイの反射材料を備えた構成要素には、主として散乱反射物質又は散乱物質、特に白色のもの、たとえば酸化チタンを充填されたエポキシド樹脂が用いられる。
【0026】本発明により製造される検出器アレイはCTにおけるX線検出のために有利に使用できる。更に二次元検出器アレイの製造方法の変法では、マトリックス状に配列されたエレメントの構造体の行および列が、その数、幅および順列をCTのいわゆるz方向又はΦ方向に適合させることができる。
【0028】図1は、面平行に研磨された一体の発光板又はセンサ層3と、この発光板又はセンサ層の片側に反射材料Rを含有する厚さ約0.5mmの基層5とから成る複合層1を示している。この基層5は例えば白色の酸化チタンを充填材として混ぜられているエポキシ樹脂や合成樹脂を流し込むか、反射性の箔を貼付するか、あるいは白色のセラミック材料を貼付することにより形成される。センサ層3は放射線に敏感な材料Mを含有している。
【0029】図2に示した第2の工程ではセンサ層3は鋸引き、腐食又は別の切削方法により所望のアレイ構造に形成される。図2に示したように、複合層1の長手方向には合計14個の隔壁7が形成されており、これらの隔壁は鋸目スリット又はチャネルとして形成され、基層5まで延びている。
【0030】また、上述の長手方向に対して垂直の方向にも、図2に示した溝に交差する別の溝又はスリットがセンサ層3に形成され、その結果マトリックス状に配列されたエレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enmの構造体が形成される。この第3の工程の結果は図2の矢印8の方向にみた図3の平面図にみることができる。
【0032】隔壁7には反射物質Rを含有する充填材、例えば酸化チタンを混ぜた合成樹脂が流し込まれる。この場合、充填材はチャネル又は隔壁7があふれるような量を注入されるが、これは充填材が後で硬化した際に収縮するからである。
【0033】本発明による第1の実施例に基づき、前述の処理工程の結果図3に示した二次元検出器アレイ9が形成される。この二次元検出器アレイは行の数n=11、列の数m=11で全部で121個のエレメントEij(i=行インデックス、j=列インデックス)から成る。n=11の行はほぼ等間隔かつ同一の幅であり、また予定されるCTへの適用のためにCTのいわゆるΦ方向へ延びている。m=11の列は様々に異なった幅を有し、CTのz方向が予定される方向へ延びている。
【0036】基層5の硬化後に基層は約0.3mmまで研磨される。
【図1】
[図:0001420321000003.jpg]
【図2】
[図:0001420321000004.jpg]
【図3】
[図:0001420321000005.jpg]
(イ)甲1の記載に基づいて当業者が把握できる事項
【0029】・【0030】、図3から、当業者は、隔壁7は、複合層1の長手方向及び長手方向に対して垂直方向に形成された溝又はスリットであり、当該溝又はスリットである隔壁7は、個々のエレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enmを隔てるためにマトリックス状に配列されたエレメント間に位置することを把握することができる。
(ウ)甲1に記載された発明
上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1には、第1の実施例に係る二次元検出器アレイ9及びその製造方法について、下記の発明(以下「甲1発明1」、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる(参考までに、認定の根拠とした段落等を括弧内に記載する。以下同様。)。
<甲1発明1>
「電磁波を検出するための一次元又は多次元検出器アレイ(9;15、17;70)を製造するために、
a) 放射線に対して敏感な材料(M)を含有するセンサ層(3)および基層(5)から成る複合層(1)を形成し、
b)センサ層(3)を互いに絶縁された個々のエレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)に分割するために、基層(5)と反対側から複合層(1)の材料(M)を切削することによって隔壁(7)をセンサ層(3)に形成する検出器アレーの製造方法によって製造された二次元検出器アレイ9であって、(【請求項1】、【請求項6】)
前記放射線に対して敏感な材料(M)として、特にX線に対して敏感な発光物質又はシンチレータ物質を用い、(【請求項2】)
前記基層(5)が発光物質又はシンチレータ物質から放出される放射線を反射する反射材料(R)を含有し、(【請求項3】)
二次元検出器アレイ(9)を製造するために、エレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)をセンサエレメントとして使用し、これらのエレメントをその基層(5)と反対側でそれぞれ光電受信器、特にフォトダイオードと接触させ、(【請求項6】)
隔壁によって形成されるエレメントは、4つの側面と基層によって閉鎖された裏面とが光学的に互いにないしは周囲から絶縁されることになり、このことは、5つの側面から周囲光がセンサ層のエレメント内へ侵入しないことを意味し、また他方では、エレメント内の発光物質又はシンチレータ物質によって発生した蛍光が5つの側面から反射して唯一開放されたままの側面に、たとえば光検出器のカップリングに集められることを意味し、そのほかに、反射材料を充填した隔壁によってセンサ層の個々のエレメント間の誘導妨害が回避され、(【0011】)
前記放射線に対して敏感な材料としては、発光物質セラミック、特に“Ultra‐Fast‐Ceramic”(UFC‐セラミック)を使用すると有利であり、(【0024】)
検出器アレイの反射材料を備えた構成要素には、主として散乱反射物質又は散乱物質、特に白色のもの、たとえば酸化チタンを充填されたエポキシド樹脂が用いられ、(【0025】)
前記複合層1は、面平行に研磨された一体の発光板又はセンサ層3と、この発光板又はセンサ層の片側に反射材料Rを含有する厚さ約0.5mmの基層5とから成り、基層5は例えば白色の酸化チタンを充填材として混ぜられているエポキシ樹脂や合成樹脂を流し込むことにより形成され、(【0028】)
前記隔壁7は、基層5まで延びており、(【0029】)
前記隔壁7は、エレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enmを隔てるためにマトリックス状に配列されたエレメント間に位置し、(前記(イ))
前記隔壁7には反射物質Rを含有する充填材、例えば酸化チタンを混ぜた合成樹脂が流し込まれ、この場合、充填材はチャネル又は隔壁7があふれるような量を注入されるが、これは充填材が後で硬化した際に収縮するからである、(【0032】)
二次元検出器アレイ9。(【0033】)」
<甲1発明2>
「甲1発明1に係る二次元検出器アレイ9の製造方法。」
ウ 甲3に記載された発明の認定
(ア)甲3の記載
甲3には、以下の事項が記載されている
【請求項1】放射線を受光することによりその強度に対応して発光するシンチレータと、そのシンチレータをX方向及びY方向に区切り放射線及び光を遮蔽及び反射するセパレータと、上面に設けられた光反射材と、下部に設けられた光電変換を行なう受光素子が基板上に2次元状に形成された光検出部とを組合わせたマルチスライス放射線検出器において、前記セパレータを挿入するための溝の深さにX方向とY方向で差を設けたことを特徴とするマルチスライス放射線検出器。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチスライスX線CT装置、コーンビームX線CT装置、手荷物検査装置、多検出器カメラ回転型SPECT装置、リング型SPECT装置等に係わり、特に、X方向とY方向の2次元状に検出器をアレイ配置したマルチスライス放射線検出器に関する。
【0003】被検体を透過した放射線が、光反射材6を透過してシンチレータ1に入射すると、可視光に波長変換されて発光現象が起きる。その発光強度は入射放射線の強度に比例するので、シンチレータ1の発光量を、受光素子2などで計測することで、被検体を透過した放射線についての情報を得ることができる。シンチレータ1の受光面が、図3に示すように、細かく区切られているほど、より高精度な情報を得ることができる。セパレータ5や光反射材6は、区切られた一画素の発光が、隣のシンチレータ1や放射線の入射面側へ漏れることが無いようにして、受光素子2で計測するために配置されている。
【0012】次に、本マルチスライス放射線検出器の製造工程について説明する。(a)素材として板状のシンチレータ1と光反射材6を準備し、その両面をフラットな面に加工する。そして両者を接着する。(b)光反射材6を下にして、シンチレータ1側から、ダイシング装置またはワイヤソー装置等でX方向に横の溝8aを切る。この溝8aは、(c)で示す光反射材6の長辺方向の溝深さ9まで切る。そして、X方向(長手方向)のセパレータ5aをその横の溝8aに挿入し接着する。(c)次に、Y方向の縦の溝8bを切る。この溝8bは、光反射材6の短辺方向の溝深さ10まで切る。この縦の溝8bの深さは、横の溝8aの深さよりも浅く加工する。これにより長辺方向の溝8aを先に加工して、長辺と同等以上の長さのセパレータ5aを挿入し接着した後に、短辺方向の溝8bを長辺のセパレータ5aごと切り込んで加工しても、長辺のセパレータ5aが細かく切れて、挿入個所から抜け出してしまうということが無くなる。そして、Y方向のセパレータ5bをその縦の溝8bに挿入し接着する。(d)光反射材6、セパレータ5a、5b付きのシンチレータ1を、シンチレータ1側と基板3上に搭載された受光素子2とを正確に位置を合せて接着する。そして、基板3上の信号端子11にケーブル4をAFC接続し、ケーブル4を演算処理器7と接続する。
【0013】シンチレータ1は、放射線を受けると可視光を発光するNaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等が用いられる。特にγ線用検出器としてのシンチレータとして、タリウム活性化沃化ナトリウムが用いられる。これは、大きな寸法のものまで製作でき、エネルギー範囲も広い。また、タリウム活性化沃化セシウムは光ダイオードの応答波長に適合している。ビスマスジャーマネイト(BGO)は単位体積当たりのγ線の光電吸収率が大きいが、高価なため用途が限定される。その他BaF2等がある。光反射材6は、シンチレータ1で発光した光を外部に出さないように反射させるもので、光反射率のよいX線透過率の高い材料、例えば、アルミニウム板、プラスチック板等が使われる。
【0014】セパレータ5a、5bは、シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、そして、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る役割と、さらに、被検体から斜めに入射してくる散乱放射線を遮蔽する役割を有する。光の遮蔽、反射だけであれば、セパレータ5a、5bとして白色のプラスチックフイルム、アルミニウム箔等が用いられる。また、散乱放射線を遮蔽するためには加工した溝8a、8bに、鉛の箔もしくは鉛薄板を挿入して、セパレータ5a、5bとして用いられる。
【0016】
【発明の効果】本発明のマルチスライス放射線検出器は上記のように構成されており、縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイを製作する方法として、まず、長辺方向のセパレータ挿入用の溝を加工し、そのセパレータを挿入接着した後、短辺方向の溝加工を、長辺方向の溝の深さよりも浅くして行なうので、長辺のセパレータごと切溝加工しても、深く挿入された長辺のセパレータが下方で繋がっており、分離して切れることが無く、さらに、短辺のセパレータも小さな板片を用いて一つ一つ溝に挿入するのでなく、一つの長いものを用いることができ、加工の時間と労力を節減することが出来る。
【図1】
[図:0001420321000006.jpg]
(イ)甲3の記載に基づいて当業者が把握できる事項
甲3の【0016】には、「縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイ」が、長辺方向のセパレータ挿入用の溝を加工し、そのセパレータを挿入接着した後、短辺方向の溝加工を、長辺方向の溝の深さよりも浅くして行い、一つの短辺方向のセパレータを溝に挿入することで製作することが記載されており、【0012】から、前記溝は、シンチレータ1及び光反射材6に設けられるものであることを当業者は把握できるから、甲3の記載から当業者は、「縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイ」が、シンチレータ1及び光反射材6に設けられた溝に、長辺方向のセパレータと短辺方向のセパレータを挿入して接着したものであること、すなわち、縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイが、シンチレータ1、光反射材6、長辺方向のセパレータ及び短辺方向のセパレータからなることを把握することができる。
(ウ)甲3に記載された発明
上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲3には、一実施例に係るマルチスライス放射線検出器について、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲3発明>
「放射線を受光することによりその強度に対応して発光するシンチレータと、そのシンチレータをX方向及びY方向に区切り放射線及び光を遮蔽及び反射するセパレータと、上面に設けられた光反射材と、下部に設けられた光電変換を行なう受光素子が基板上に2次元状に形成された光検出部とを組合わせたマルチスライス放射線検出器において、前記セパレータを挿入するための溝の深さにX方向とY方向で差を設けたマルチスライス放射線検出器に用いられるシンチレータアレイであって、(【請求項1】、【0016】)
縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイが、シンチレータ1、光反射材6、長辺方向のセパレータ及び短辺方向のセパレータからなり、(前記(イ))
マルチスライス放射線検出器の製造工程は、(a)素材として板状のシンチレータ1と光反射材6を準備し、その両面をフラットな面に加工して両者を接着し、(b)光反射材6を下にして、シンチレータ1側から、ダイシング装置またはワイヤソー装置等でX方向に横の溝8aを切り、この溝8aは、(c)で示す光反射材6の長辺方向の溝深さ9まで切り、X方向(長手方向)のセパレータ5aをその横の溝8aに挿入し接着し、(c)次に、Y方向の縦の溝8bを切り、この溝8bは、光反射材6の短辺方向の溝深さ10まで切り、この縦の溝8bの深さは、横の溝8aの深さよりも浅く加工し、これにより長辺方向の溝8aを先に加工して、長辺と同等以上の長さのセパレータ5aを挿入し接着した後に、短辺方向の溝8bを長辺のセパレータ5aごと切り込んで加工しても、長辺のセパレータ5aが細かく切れて、挿入個所から抜け出してしまうということが無くなり、そして、Y方向のセパレータ5bをその縦の溝8bに挿入し接着し、(【0012】)
シンチレータ1は、放射線を受けると可視光を発光するNaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等が用いられ、(【0013】)
光反射材6は、シンチレータ1で発光した光を外部に出さないように反射させるもので、光反射率のよいX線透過率の高い材料、例えば、プラスチック板が使われ、(【0013】)
セパレータ5a、5bは、シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、そして、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る役割と、さらに、被検体から斜めに入射してくる散乱放射線を遮蔽する役割を有し、光の遮蔽、反射だけであれば、セパレータ5a、5bとして白色のプラスチックフイルムが用いられ、(【0014】)
長辺のセパレータごと切溝加工しても、深く挿入された長辺のセパレータが下方で繋がっており、分離して切れることが無く、さらに、短辺のセパレータも小さな板片を用いて一つ一つ溝に挿入するのでなく、一つの長いものを用いることができ、加工の時間と労力を節減することが出来る、(【0016】)
縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイ。(【0016】)」
(3)当合議体の判断
ア 甲1に基づく本件発明1の進歩性について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明1とを対比すると以下のとおりである。
a 本件発明1の「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え、前記複数のシンチレータセグメントが希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する、構造体」との特定事項について
(a)甲1発明1における「放射線に対して敏感な材料(M)」は、「特にX線に対して敏感な発光物質又はシンチレータ物質」であるから、甲1発明1における「放射線に対して敏感な材料(M)を含有するセンサ層(3)」を隔壁7によって分割した「エレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enm」は、本件発明1における「複数のシンチレータセグメント」に相当する。
(b)甲1発明1における「隔壁7」に「流し込まれ」た「反射物質Rを含有する充填材」(以下「隔壁7充填材」という。)は、本件発明1における「光を反射する第1の反射層」に相当する。
また、前記隔壁7は、「エレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enmを隔てるためにマトリックス状に配列されたエレメント間に位置」することから、「隔壁7」に「流し込まれ」た「充填材」である「隔壁7充填材」は、本件発明1の「前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられる」ものといえる。
(c)甲1発明1のセンサ層3を分割した各エレメント及び隔壁7充填材からなる構造体は、本件発明1の「構造体」に相当する。
(d)上記(a)~(c)から、本件発明1と甲1発明1は、「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え」る「構造体」である点で共通するが、前記複数のシンチレータセグメントについて、本件発明1が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する」ことを特定するのに対して、甲1発明1は、放射線に対して敏感な材料として、発光物質セラミック、特に“Ultra‐Fast‐Ceramic”(UFC‐セラミック)を使用すると有利であるとされている。
b 本件発明1の「前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層」との特定事項について
(a)甲1発明1の「基層5」は、「発光物質又はシンチレータ物質から放出される放射線を反射する反射材料(R)を含有」するものであるため、本件発明1の「第2の反射層」に相当する。
また、甲1発明1の「基層5」は「センサ層3」と一体として複合層1とされるものであるから、前記a(c)を踏まえれば、甲1発明1の「基層5」は、本件発明1の「前記構造体の上に設けられ」との特定事項を備えるものといえる。
(b)上記(a)から甲1発明1は、前記特定事項を備えている。
c 本件発明1の「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、樹脂と、光を反射する反射粒子と、を含み」との特定事項について
(a)甲1発明1は、「基層5は白色の酸化チタンを充填材として混ぜられているエポキシ樹脂や合成樹脂を流し込むことにより形成され」ており、隔壁7充填材は、「例えば酸化チタンを混ぜた合成樹脂」である。
そのため、甲1発明1は、隔壁7充填材(本件発明1の「第1の反射層」に相当。)、基層5(本件発明1の「第2の反射層」に相当。)について、ともに酸化チタンと合成樹脂を含むものであるところ、甲1発明1の「合成樹脂」は、本件発明1の「樹脂」に相当する。また、甲1発明1では、「検出器アレイの反射材料を備えた構成要素には、主として散乱反射物質又は散乱物質、特に白色のもの、たとえば酸化チタンを充填されたエポキシド樹脂が用いられ」ることから、酸化チタンは散乱反射物質であることが理解できるから、甲1発明1の「酸化チタン」は、本件発明1の「光を反射する粒子」に相当する。
(b)上記(a)から、甲1発明1は、前記特定事項を備えている。
d 本件発明1の「前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み」との特定事項について
(a)甲1発明1の「隔壁7充填材」は、前記a(b)で説示したとおり、本件発明1の「前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられる」ものといえる。
(b)甲1発明1の「基層5」(本件発明1の「第2の反射層」に相当。)は、それ単体で、本件発明1の「光を反射する第2の反射層を含む層」にも相当する。
そうすると、甲1発明1において、「隔壁7」が「基層5まで延びて」いることは、当該「隔壁7」に「流し込まれ」た充填材である「隔壁7充填材」が基層5の内部に延在する部分を含むことになるから、甲1発明1は、本件発明1の「前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含む」との特定事項を備える。
(c)前記(a)及び(b)から、甲1発明1は、前記特定事項を備えている。
e 本件発明1の「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下である」との特定事項について
(a)前記d(b)のとおり、隔壁7充填材は、基層5の内部に延在する部分を含むから、当該部分の長さを基層5の厚さで割った比は、0よりも大きいものであると認められる。
(b)前記(a)から、本件発明1と甲1発明1は、「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、」0よりも大きい点で共通するが、前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tについて、本件発明1が「0.10以上1.00以下である」のに対して、甲1発明1は、隔壁7充填材が基層5内部にどのくらいの長さまで延びているのか不明であるため、当該長さを基層5の厚さで割った比が不明である。
f 本件発明1の「シンチレータアレイ」との特定事項について
(a)甲1発明1の「二次元検出器アレイ9」は、「エレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)をセンサエレメントとして使用し、これらのエレメントをその基層(5)と反対側でそれぞれ光電受信器、特にフォトダイオードと接触させ」ることで製造するものであるから、「エレメント(E11,E12,...E1m,E21,...Enm)」からなる「センサエレメント」、「基層(5)」及び「光電受信器」を少なくとも備え、また、隔壁7は、「エレメントE11、E12、...E1m、E21、...Enmを隔てるためにマトリックス状に配列されたエレメント間」に「隔壁7」が「位置し」、前記隔壁7には「反射物質Rを含有する充填材」が流し込まれるものであるから、結局、「二次元検出器アレイ9」は、「隔壁7充填材」、「センサエレメント」、「基層(5)」及び「光電受信器」から構成されるものと認められ、これと本件発明1の「シンチレータアレイ」とを対比すると、「二次元検出器アレイ9」における、「隔壁7充填材」、「センサエレメント」及び「基層(5)」から構成される部材は、本件発明1の「シンチレータアレイ」に相当する。
(b)上記(a)から、甲1発明1は、前記特定事項を備えている。
(イ)一致点及び相違点
上記(ア)から、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備える、構造体と、
前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層と、
を具備し、
前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、
樹脂と、
光を反射する反射粒子と、
を含み、
前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0よりも大きい、シンチレータアレイ。」である点。
<相違点1>
複数のシンチレータセグメントについて、本件発明1が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する」のに対して、甲1発明1は、放射線に対して敏感な材料として、発光物質セラミック、特に“Ultra‐Fast‐Ceramic”(UFC‐セラミック)を使用すると有利であるとされている点。
<相違点2>
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tについて、本件発明1が「0.10以上1.00以下である」のに対して、甲1発明1は、隔壁7充填材が基層5内部にどのくらいの長さまで延びているのか不明であるため、当該長さを基層5の厚さで割った比が不明である点。
(ウ)判断
事案に鑑み、前記相違点2について検討する。
甲1発明1の隔壁7及び隔壁7充填材が、「基層5まで延びて」いることの技術上の意義について検討すると、当該隔壁7は、「隔壁によって形成されるエレメントは、4つの側面と基層によって閉鎖された裏面とが光学的に互いにないしは周囲から絶縁されることになり、このことは、5つの側面から周囲光がセンサ層のエレメント内へ侵入しないことを意味し、また他方では、エレメント内の発光物質又はシンチレータ物質によって発生した蛍光が5つの側面から反射して唯一開放されたままの側面に、たとえば光検出器のカップリングに集められることを意味し、そのほかに、反射材料を充填した隔壁によってセンサ層の個々のエレメント間の誘導妨害が回避され」るものであるため、隔壁によって形成されるエレメントを光学的に互いにないしは周囲から確実に絶縁するために、隔壁7及び隔壁7充填材が基層5まで延びていることを当業者は把握することができる。
一方、相違点2に係る本件発明1のD/Tが「0.10以上1.00以下である」ことの技術上の意義は、「実施形態のシンチレータアレイは、図3、図4、図5、図6に示されるように、反射層3が部分的に反射層4を含む層に食い込む構造を有するが、食い込み長さが短くなると剥離抑制効果は低減する。有効な剥離抑制効果を実現するためには、シンチレータアレイ1の厚さ方向の断面において、反射層4または反射層4および接着層5(反射層4を含む層)の厚さTに対する、反射層3における上記反射層4を含む層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下の範囲、より好ましくは0.20以上1.00以下の範囲であることが好ましい。」(【0047】)との記載のとおり、反射層4の剥離抑制効果を得ることであるところ、甲1には基層5の剥離が生じ得ることは記載も示唆もされておらず、また、基層5の剥離が生じ得ることを当業者が認識できることを裏付ける他の証拠もなく、自明であるとも認められない。
そのため、甲1発明1から出発した当業者は、個々のエレメントが隔壁7又は隔壁7充填材によって光学的に絶縁されていれば足りると把握できるにとどまるのであって、D/Tを光学的に絶縁できる程度の長さを超えて大きくしようとする動機は存在しない。
また、甲2~6について検討しても、いずれの文献にも、本件発明1でいうD/Tについて、「0.10以上1.00以下である」との構成は記載も示唆もされていない。
また、甲6には、本件発明1の前記課題と関連して、半導体の「層間絶縁膜31に凹凸部17が形成され、この凹凸部17の上に半導体膜12が形成される構成とすれば、半導体膜12と層間絶縁膜31との接合面積が増大すること、および凹凸部17によるアンカー効果により、絶縁基板21からの半導体膜12の剥がれを防止することができる」と記載されているが(【0072】)、既に述べたように甲1発明1において基層5の剥離が生じ得ることを当業者が認識できることを裏付ける証拠は見当たらないから、当業者は、甲1発明1に甲6に記載されている技術的事項を適用しようとする動機を有しない。仮に、甲1発明1において基層5の剥離が生じ得ることを当業者が認識できるとしても、甲6に記載された技術的事項を甲1発明1に適用するに際しては、いずれかの部材にアンカー効果を生じさせる凹凸部17を設けることにとどまるのであって、甲1発明1における隔壁7充填材が基層5内部に延在する部分の長さを設計することによりアンカー効果を生じさせることについてまで当業者が容易になし得たことであることを示す証拠はない。
そうすると、甲1発明1から出発した当業者は、前記相違点2に係る本件発明1の構成に容易に想到したものとはいえないし、甲1~6に記載された全ての事項を考慮しても同様である。
そして、本件発明1は、相違点2に係る本件発明1のD/Tが「0.10以上1.00以下である」との構成により、反射層4の剥離抑制効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された技術的事項から当業者が容易に想到できたものとはいえない。
イ 甲1に基づく本件発明2~10の進歩性について
本件発明2~10は、甲1発明1と少なくとも相違点1及び2において相違するから、前記ア(ウ)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~10は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 甲1に基づく本件発明11の進歩性について
(ア)対比及び一致点並びに相違点
本件発明11と甲1発明2とを対比すると、前記ア(ア)を踏まえると、一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「シンチレータ物質と、光を反射する第2の反射層を含む層と、を貼り合わせる工程と、
前記シンチレータ物質を部分的に除去することにより、複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する溝と、を形成する工程と、
前記溝に樹脂と光を反射する反射粒子とを含むスラリーを注入する工程と、
前記スラリーを硬化させて第1の反射層を形成する工程と、
を具備し、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tは、0よりも大きい、シンチレータアレイの製造方法。」である点。
<相違点3>
シンチレータ物質について、本件発明11が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体」であるのに対して、甲1発明2は放射線に対して敏感な材料として、発光物質セラミック、特に“Ultra‐Fast‐Ceramic”(UFC‐セラミック)を使用すると有利であるとされている点。
<相違点4>
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分の長さDの比D/Tについて、本件発明11が「0.10以上1.00以下である」のに対して、甲1発明2は、隔壁7充填材が基層5内部にどのくらいの長さまで延びているのか不明である点。
(イ)判断
前記相違点4は、前記ア(イ)の相違点2と同様であって、その判断は、前記ア(ウ)と同様である。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明11は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された技術的事項から当業者が容易に想到できたものとはいえない。
エ 甲3に基づく本件発明1の進歩性について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると以下のとおりである。
a 本件発明1の「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え、前記複数のシンチレータセグメントが希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する、構造体」との特定事項について
(a)甲3発明における「縦横にセパレータで区切られたシンチレータアレイ」は、シンチレータがセパレータで区切られた部分が複数のセグメントとなっているものといえるため、甲3発明の前記複数のセグメントは、本件発明1の「複数のシンチレータセグメント」に相当する。
(b)甲3発明の「セパレータ5a、5b」は、「シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、そして、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る役割」を備えているため、本件発明1の「光を反射する第1の反射層」に相当する。
また、甲3発明のシンチレータアレイは、「縦横にセパレータで区切られた」ものであるため、前記「セパレータ5a、5b」は、本件発明1の「前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられる」という特定事項を備えるといえる。
(c)前記(a)のとおり、甲3発明における「シンチレータアレイ」は、「複数のシンチレータセグメント」を備えるものといえ、甲3発明の「シンチレータ1」は「放射線を受けると可視光を発光するNaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等が用いられ」ることから、本件発明1の「複数のシンチレータセグメントが希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体を有する」ことと、「複数のシンチレータセグメントが蛍光体を有する」点で共通するが、蛍光体について、本件発明1が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体」であるのに対して、甲3発明は「NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等」である。
(d)前記(a)のとおり、甲3発明における「シンチレータアレイ」は、「複数のシンチレータセグメント」を備えるものといえ、甲3発明の当該「複数のシンチレータセグメント」と「セパレータ5a、5b」からなる構造体は、本件発明1の「構造体」に相当する。
(e)前記(a)~(d)から、本件発明1と甲3発明は、「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え、前記複数のシンチレータセグメントが」「蛍光体」「を有する、構造体」である点で共通するが、前記複数のシンチレータセグメントについて、本件発明1が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体」であるのに対して、甲3発明が「NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等」である。
b 本件発明1の「前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層」との特定事項について
(a)甲3発明の「光反射材6」は、本件発明1の「光を反射する第2の反射層」に相当する。また、甲3発明は「板状のシンチレータ1と光反射材6を準備し、その両面をフラットな面に加工して両者を接着」することから、甲3発明における「光反射材6」は、「シンチレータ1」の上に設けられているといえるため、前記a(d)も踏まえれば、本件発明1の「前記構造体の上に設けられ」るとの特定事項も備えるものといえる。
(b)前記(a)から、甲3発明は、前記特定事項を備えている。
c 本件発明1の「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、樹脂と、光を反射する反射粒子と、を含み」との特定事項について
(a)甲3発明の「セパレータ5a、5b」は、「白色のプラスチックフイルムが用いられ」、「光反射材6」は、「プラスチック板が使われ」るものであり、「白色のプラスチックフイルム」及び「プラスチック板」はいずれも、本件発明1の「樹脂」に相当するから、甲3発明の「セパレータ5a、5b」及び「光反射材6」はいずれも、本件発明1でいう「樹脂」「を含む」ものであると認められる。
(b)前記(a)から、本件発明1と甲3発明は、「前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、樹脂を含」む点で共通するが、前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層について、本件発明1が「光を反射する反射粒子」を含むのに対して、甲3発明の「セパレータ5a、5b」又は「光反射材6」が、光を反射する反射粒子を含むのか不明である。
d 本件発明1の「前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み」との特定事項について
(a)甲3発明における「セパレータ5a、5b」(本件発明1における「第1の反射層」に相当。)は、それぞれ、「光反射材6の長辺方向の溝深さ9」まで切られた「溝8a」、「光反射材6の短辺方向の溝深さ10」まで切られた「溝8b」、に挿入して接着されるものであるため、本件発明1の「前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含む」との特定事項を備えるものといえる。
(b)前記(a)から、甲3発明は、前記特定事項を備えている。
e 本件発明1の「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0.10以上1.00以下であるとの特定事項について
(a)甲3発明は、「セパレータ5a、5b」がそれぞれ挿入される「溝8a」、「溝8b」は、「光反射材6の長辺方向の溝深さ9」、「光反射材6の短辺方向の溝深さ10」の溝深さを有しているため、当該溝深さ9、10の深さを光反射材6の厚さで割った比は、0よりも大きいものであると認められる。
(b)前記(a)から、本件発明1と甲3発明は、「前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、」0よりも大きい」点で共通するが、前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tについて、本件発明1が「0.10以上1.00以下である」のに対して、甲3発明はセパレータ5a、5bがそれぞれ挿入される溝8a、8bの、光反射材6の溝深さ9、10が不明であるため、当該深さを光反射材6の厚さで割った比が不明である。
f 本件発明1の「シンチレータアレイ」との特定事項について
甲3発明の「シンチレータアレイ」は、「シンチレータ1、光反射材6及び長辺方向のセパレータ及び短辺方向のセパレータからな」るものであるため、本件発明1の「シンチレータアレイ」に相当する。
(イ)一致点及び相違点
上記(ア)から、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「複数のシンチレータセグメントと、前記複数のシンチレータセグメントのうちの縦方向に配列されたシンチレータセグメント間、および、前記複数のシンチレータセグメントのうちの横方向に配列されたシンチレータセグメント間に設けられるとともに光を反射する第1の反射層と、を備え、前記複数のシンチレータセグメントが蛍光体を有する、構造体と、
前記構造体の上に設けられ、光を反射する第2の反射層を含む層と、
を具備し、
前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層は、
樹脂
を含み、
前記第1の反射層は、前記縦方向に配列されたシンチレータセグメント間および前記横方向に配列されたシンチレータセグメント間において前記層の内部に延在する部分を含み、
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tは、0よりも大きい、シンチレータアレイ。」である点。
<相違点5>
蛍光体について、本件発明1が「希土類酸硫化物蛍光体を含む焼結体」であるのに対して、甲3発明は「NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO等」である点。
<相違点6>
前記第1および第2の反射層からなる群より選ばれる少なくとも一つの反射層について、本件発明1が「光を反射する反射粒子」を含むのに対して、甲3発明の「セパレータ5a、5b」又は「光反射材6」が、光を反射する反射粒子を含むのか不明である点。
<相違点7>
前記層の厚さTに対する、前記第1の反射層の前記部分の長さDの比D/Tについて、本件発明1が「0.10以上1.00以下である」のに対して、甲3発明は、セパレータ5a、5bがそれぞれ挿入される溝8a、8bの、光反射材6の溝深さ9、10が不明であるため、当該深さを光反射材6の厚さで割った比が不明である点。
(ウ)判断
事案に鑑み、前記相違点7について検討する。
甲3発明のセパレータ5a、5bがそれぞれ挿入される溝8a、8bの、光反射材6の「溝深さ9、10」の技術上の意義について検討すると、当該セパレータ5a、5bは、「シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、そして、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る役割と、さらに、被検体から斜めに入射してくる散乱放射線を遮蔽する役割を有」するものであることを当業者は把握することができる。
さらに、「溝深さ9、10」と対応する溝8a、8bは、「長辺方向の溝8aを先に加工して、長辺と同等以上の長さのセパレータ5aを挿入し接着した後に、短辺方向の溝8bを長辺のセパレータ5aごと切り込んで加工しても、長辺のセパレータ5aが細かく切れて、挿入個所から抜け出してしまうということが無くな」るようにしたものである。
そうすると、当業者は、その長辺方向の溝8aの溝深さ9については、シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る程度の深さ、かつ、短辺方向の溝8bを長辺のセパレータ5aごと切り込んで加工しても、長辺のセパレータ5aが細かく切れない程度の深さであると把握することができる。また、当業者は、短辺方向の溝8bの溝深さ10については、シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る程度の深さであると把握することができる。ここで、甲3発明から相違点7に係る本件発明1の構成とするためには、溝深さ9、10のいずれにおいても、当該溝深さ9、10を光反射材6の厚さで割った比が0.10以上1.00以下であるようにする必要があるため、以下、短辺方向の溝深さ10について検討する。
一方、相違点7に係る本件発明1のD/Tが「0.10以上1.00以下である」ことの技術上の意義は前記ア(ウ)に記載のとおり、反射層4の剥離抑制効果を得ることであるところ、甲3には光反射材6の剥離が生じ得ることは記載も示唆もされておらず、また、光反射材6の剥離が生じ得ることを当業者が認識できることを裏付ける他の証拠もなく、自明であるとも認められない。
そのため、甲3発明から出発した当業者は、セパレータ5bが挿入される溝深さ10について、シンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようにし、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る程度の深さであれば足りると把握できるにとどまるのであって、D/Tをシンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようし、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る程度の長さを超えて大きくしようとする動機は存在しない。
また、甲1、2、4~6について検討しても、いずれの文献にも、本件発明1でいうD/Tについて、「0.10以上1.00以下である」との構成は記載も示唆もされていない。
また、前記ア(ウ)に記載したとおり甲6にアンカー効果について記載されているとしても、既に述べたように甲3発明において光反射材6の剥離が生じ得ることを当業者が認識できることを裏付ける証拠は見当たらないから、当業者は、甲3発明に甲6に記載されている技術的事項を適用しようとする動機を有しない。仮に、甲3発明において光反射材6の剥離が生じ得ることを当業者が認識できるとしても、甲6に記載された技術的事項を甲3発明に適用するに際しては、いずれかの部材にアンカー効果を生じさせる凹凸部17を設けることにとどまるのであって、甲3発明におけるセパレータ5bが挿入される溝深さ10の深さを設計することによりアンカー効果を生じさせることについてまで当業者が容易になし得たことであることを示す証拠はない。
そうすると、甲3発明から出発した当業者は、前記相違点7に係る本件発明1の構成に容易に想到したものとはいえないし、甲1~6に記載された全ての事項を考慮しても同様である。
そして、本件発明1は、相違点7に係る本件発明1のD/Tが「0.10以上1.00以下である」との構成により、反射層4の剥離抑制効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3に記載された発明及び甲1、2、4~6に記載された技術的事項から当業者が容易に想到できたものとはいえない。
オ 甲3に基づく本件発明2~4、6~10の進歩性について
本件発明2~4、6~10は、甲3発明と少なくとも相違点5~7において相違するから、前記エ(ウ)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~10は、甲3に記載された発明及び甲1、2、4~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
カ 申立人の主張について
申立人は、前記ア(イ)の相違点2及び前記ウ(ア)の相違点4に関連して、(i)使用する環境において隔壁7の充填材が基層5から外れないような接着強度を保持することを考慮することから当業者が容易に想到するものであること、(ii)アンカー効果については甲6のとおり周知技術であり、そもそも、ありふれた事象にすぎないから、当該効果は当業者が予測することができない格別顕著なものとはいえないこと、(iii)アンカー効果に関係する、嵌合関係にある二つの部材の材料・形状・寸法・表面状態を限定することなく、単に「比D/T」のみを限定しており、また、その比の下限値及び上限値に臨界的意義がないことも明らかであること、を主張している。
また、申立人は、前記エ(イ)の相違点7に関連して、(iv)使用する環境においてシンチレータアレイとして使用可能な強度を確保する観点から、溝8a、8bの深さを設計することは当業者が適宜なし得る事項であり、(v)アンカー効果について前記(ii)、(iii)と同様の内容、を主張している。
そこで、申立人の主張について以下で検討する。
前記(i)について、前記ア(ウ)で述べたとおり、甲1発明1の「隔壁7充填材」は、個々のエレメントを光学的に絶縁するものであれば足りると当業者は把握できるにとどまるから、当業者が、D/Tを光学的に絶縁できる程度の長さを超えて大きくしようとする動機は存在しない。
前記(ii)について、アンカー効果が周知であるとしても、前記ア(ウ)で述べたとおり、甲1には基層5の剥離が生じ得ることは記載も示唆もされておらず、また、基層5の剥離が生じ得ることが当業者に自明であるとも認められないから、本件発明は甲1発明1とは異質な効果を有するものである。
前記(iii)について、本件発明においてアンカー効果に関係する部材の材料・形状・寸法・表面状態を限定することなく、「比D/T」のみが特定されているとしても、本件明細書等の記載から当該「比D/T」が大きいほどアンカー効果が大きくなることを当業者は理解できるところ、上述したとおり、甲1にはアンカー効果が記載も示唆もされていないことから、当該アンカー効果は甲1発明1から想定される効果とは異質なものといえ、臨界的意義は要しない。したがって、比D/Tの臨界的意義の有無が相違点2についての判断を左右するものではない。
前記(iv)について、前記エ(ウ)で述べたとおり、溝深さ10について、当業者が、D/Tをシンチレータ1で発光した光を区切られた他の部分に漏らさないようし、反射させて下部に設けられた受光素子2に光を送る程度の長さを超えて大きくしようとする動機は存在しない。
前記(v)については、前記(ii)、(iii)についてで述べたとおりである。
また、申立人は、(vi)異議申立書24~25頁において、甲1の図2から、本件発明1のD/Tに相当する値が0.28になることが看取できること、(vii)同33頁において、甲3発明において当業者であれば、加工性の確保等の観点から、光反射材の短辺方向の溝深さ10を光反射材の1/3(0.33)程度とし、光反射材の長辺方向の溝深さ9を光反射材の2/3(0.67)程度に設定することがバランスのとれた配分として妥当である旨を主張している。
上記主張についても検討すると、(vi)について、図面は一般に、必ずしも実物の縮尺をそのままに表したものではなく、甲1の図面が実物の縮尺をそのままに表したものかどうかは不明と言わざるを得ないから、甲1の図からD/Tに相当する値を読み取ることはできない。また、(vii)について、加工性の確保、バランスのとれた配分として、申立人の主張のように溝深さ9、10を設計することは甲3には記載されておらず、これを裏付ける証拠も示されていないから、甲3の記載や技術常識から当業者が把握できるものと認めることはできない。
したがって、申立人の主張はいずれも採用できない。
5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において採用した特許異議申立理由のほか、本件訂正前の請求項1、3、4、9~11に対する甲1に基づく新規性欠如、本件訂正前の請求項5に対する甲1及び甲5に基づく進歩性欠如、本件訂正前の請求項7に対する甲1又は甲3及び甲4に基づく進歩性欠如を主張している。
しかしながら、前記4(3)で述べたとおり、本件発明1~11と甲1に記載された発明とは相違点が存在することから本件発明1、3、4、9~11の新規性を否定することはできず、また、甲1に記載された発明、甲3に記載された発明のいずれに基づいても本件発明5、7の進歩性を否定することはできないから、申立人の主張する特許異議申立理由には理由がない。
6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700284