特許異議申立
2016-700834
パノラマX線撮影装置及びパノラマX線撮影方法
- 審判番号
- 2016-700834
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-129474
- 登録番号
- 特許第5881192号(P5881192)
- 請求日
- 2016年09月08日
- 審決日
- 2017年04月17日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】学校法人日本大学
- 【権利者代理人】吉竹 英俊
- 【権利者代理人】有田 貴弘
- 【権利者】株式会社モリタ製作所
- 【権利者代理人】吉竹 英俊
- 【権利者代理人】有田 貴弘
- 【異議申立人】齋藤 慎二
- 【異議申立人代理人】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 福島 浩司
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 審判官 郡山 順
- 分類
- P1651.112-YAA(A61B) / P1651.113-YAA(A61B) / P1651.121-YAA(A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5881192号発明「パノラマX線撮影装置及びパノラマX線撮影方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5881192号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕、15について訂正することを認める。
特許第5881192号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5881192号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、平成26年6月24日に特許出願され、平成28年2月12日に特許の設定登録がされ、その後、本件特許の請求項1ないし15に係る特許に対し、特許異議申立人齋藤慎二により特許異議の申立てがなされ、平成28年11月1日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年1月6日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、その訂正請求に対して特許異議申立人齋藤慎二から同年2月23日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成29年1月6日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりであり、訂正前の請求項の引用関係からみて、次の訂正単位があると認められる。
・訂正単位1(請求項1ないし14)
・訂正単位2(請求項15)
(1) 訂正単位1についての訂正事項
訂正単位1は、訂正事項1ないし9-cよりなる。
なお、下線は当審が付したものであり、訂正箇所を示す。
ア 請求項1に係る訂正事項
(ア) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「パノラマ断層の断層面の位置を変更する操作を受け付ける位置設定操作受付部」とあるのを、
「パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部」に訂正する。
(イ) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき、前記断層面の位置を設定する位置設定部」とあるのを、
「前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部」
に訂正する。
(ウ) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「を備え、」とあるのを、
「を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、」
に訂正する。
(エ) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記断層面の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域からなる新たな断層面の位置を設定し、」とあるのを、
「前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し」
に訂正する。
(オ) 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項
請求項1に係る上記の訂正に伴い、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし5、7、9ないし14も訂正された。
イ 請求項6に係る訂正事項
(ア) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項5に記載のパノラマX線撮影装置であって、」とあるのを、
「X線を発生するX線発生器と、
発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、
入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、
前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、
前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、
前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、
パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、
前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、
前記位置設定部は、
前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、
前記画像処理部は、
前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、
前記位置設定部は、前記断層面の位置を、予め定められた初期断層面位置に設定し、」
に訂正する。
(イ) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「 前記表示部が、前記画像処理部によって生成された前記初期断層面位置における断層画像を表示する」とあるのを、
「 前記画像処理部によって生成された前記初期断層面位置における断層画像を表示する表示部をさらに備える」
に訂正する。
(ウ) 請求項6に係る訂正に伴う訂正事項
請求項6に係る上記の訂正に伴い、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項10ないし13も訂正された。
ウ 請求項8に係る訂正事項
(ア) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置において、」とあるのを、
「X線を発生するX線発生器と、
発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、
入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、
前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、
前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、
前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、
パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、
前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、
前記位置設定部は、
前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、
前記画像処理部は、
前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、」
に訂正する。
(イ) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「 前記表示部は、前記変更命令を受け付ける前の前記断層面の位置に対応する断層画像と、前記変更命令を受け付けた後の前記新たな断層面の位置に対応する断層画像とを同時に表示する」とあるのを、
「 前記変更命令を受け付ける前の前記断層面の位置に対応する断層画像と、前記変更命令を受け付けた後の前記新たな断層面の位置に対応する断層画像とを同時に表示する表示部をさらに備える」
に訂正する。
(ウ) 請求項8に係る訂正に伴う訂正事項
請求項8に係る上記の訂正に伴い、請求項8を直接又は間接的に引用する請求項10ないし13も訂正された。
エ 明細書についての訂正事項
(ア) 訂正事項9-a
願書に添付した明細書の段落【0007】に「上記の課題を解決するため、第1の態様はパノラマX線撮影装置であって、X線を発生するX線発生器と、発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、パノラマ断層の断層面の位置を変更する操作を受け付ける位置設定操作受付部と、前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき、前記断層面の位置を設定する位置設定部とを備え、前記位置設定部は、位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記断層面の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域からなる新たな断層面の位置を設定し、前記画像処理部は、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成する。」とあるのを、
「上記の課題を解決するため、第1の態様はパノラマX線撮影装置であって、X線を発生するX線発生器と、発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部とを備え、前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、前記位置設定部は、位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、前記画像処理部は、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成する。」
に訂正する。
(イ) 訂正事項9-b
願書に添付した明細書の段落【0012】に「また、第6の態様は、第5の態様に係るパノラマX線撮影装置であって、前記画像処理部が、前記初期断層面位置における前記断層画像を、前記変更命令の受付前に生成し、前記表示部が、前記画像処理部によって生成された前記初期断層面位置における断層画像を表示する。」とあるのを、
「また、第6の態様は、パノラマX線撮影装置であって、X線を発生するX線発生器と、発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、を備え、前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、前記位置設定部は、位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、前記画像処理部は、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、前記位置設定部は、前記断層面の位置を、予め定められた初期断層面位置に設定し、前記画像処理部が、前記初期断層面位置における前記断層画像を、前記変更命令の受付前に生成し、前記画像処理部によって生成された前記初期断層位置における断層画像を表示する表示部をさらに備える。」
に訂正する。
(ウ) 訂正事項9-c
願書に添付した明細書の段落【0014】に「また、第8の態様は、第1から第7の態様のいずれか1態様に係るパノラマX線撮影装置において、前記表示部は、前記変更命令を受け付ける前の前記断層面の位置に対応する断層画像と、前記変更命令を受け付けた後の前記新たな断層面の位置に対応する断層画像とを同時に表示する。」とあるのを、
「また、第8の態様は、パノラマX線撮影装置であって、X線を発生するX線発生器と、発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、を備え、前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、前記位置設定部は、位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、前記画像処理部は、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、前記変更命令を受け付ける前の前記断層面の位置に対応する断層画像と、前記変更命令を受け付けた後の前記新たな断層面の位置に対応する断層画像とを同時に表示する表示部をさらに備える。」
に訂正する。
(2) 訂正単位2についての訂正事項
訂正単位2は、訂正事項10ないし14よりなる。
ア 請求項15に係る訂正事項
(ア) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15に「(e)パノラマ断層の断層面の位置を変更する操作を受け付ける工程」とあるのを、
「(e)パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作を受け付ける工程」
に訂正する。
(イ) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15に「(f)前記(e)工程で受付けた操作に基づき、前記断層面の位置を設定する工程」とあるのを、
「(f)前記(e)工程で受付けた操作に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する工程」
に訂正する。
(ウ) 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項15に「を含み、」とあるのを、
「を含み、
前記(e)工程は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付ける工程であり、」
に訂正する。
(エ) 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項15に「前記(e)工程にて、前記断層面の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向について変更する変更操作が受け付けられ、前記(f)工程にて、前記変更操作を受ける前の前記断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域からなる新たな断層面の位置を設定する」とあるのを、
「前記(e)工程にて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向について変更する変更操作が受け付けられ、前記(f)工程にて、前記変更操作を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定する」
に訂正する。
イ 明細書についての訂正事項
(ア) 訂正事項14
願書に最初に添付した明細書の段落【0021】に
「また、第15の態様は、パノラマX線撮影方法であって、(a)支持部によって、X線細隙ビームに形成されるX線を発生するX線発生器と、入射したX線の強度に応じた信号を出力するX線検出器とを、被写体を挟んで互いに対向させて支持する工程と、
(b)支持部移動部が前記支持部を移動させることによって、前記X線発生器及び前記X線検出器を被写体の周りに旋回移動させる工程と、(c)前記(b)工程における前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶部に記憶させる工程と、(d)前記(c)工程にて前記記憶部に記憶された前記投影画像データを、画像処理部が画像処理する工程と、(e)パノラマ断層の断層面の位置を変更する操作を受け付ける工程と、(f)前記(e)工程で受付けた操作に基づき、前記断層面の位置を設定する工程と、を含み、前記(e)工程にて、前記断層面の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向について変更する変更操作が受け付けられ、前記(f)工程にて、前記変更操作を受ける前の前記断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域からなる新たな断層面の位置を設定する。」とあるのを、
「また、第15の態様は、パノラマX線撮影方法であって、(a)支持部によって、X線細隙ビームに形成されるX線を発生するX線発生器と、入射したX線の強度に応じた信号を出力するX線検出器とを、被写体を挟んで互いに対向させて支持する工程と、(b)支持部移動部が前記支持部を移動させることによって、前記X線発生器及び前記X線検出器を被写体の周りに旋回移動させる工程と、(c)前記(b)工程における前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶部に記憶させる工程と、(d)前記(c)工程にて前記記憶部に記憶された前記投影画像データを、画像処理部が画像処理する工程と、(e)パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける工程と、(f)前記(e)工程で受付けた操作に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する工程と、を含み、前記(e)工程は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付ける工程であり、前記(e)工程にて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向について変更する変更操作が受け付けられ、前記(f)工程にて、前記変更操作を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定する。」
に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項の引用関係からみて、訂正事項1ないし9-cは、請求項1ないし14を一群の請求項として、訂正事項10ないし14は、請求項15を一群の請求項として、それぞれ請求されたものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正単位1について
ア 請求項1に係る訂正事項
(ア) 訂正事項1について
a 新規事項の有無について
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0075】には、「操作者からの断層面位置の変更を含んだ設定の操作は、位置設定操作受付部で受け付けられ、位置設定部801aは、位置設定操作受付部を通して断層面位置の設定の命令を受け付ける。位置調整用画像もしくは位置設定用画像を表示するときの表示部81や、操作者が断層面位置変更操作の入力に用いるときの操作部82その他の入力装置等は、位置設定操作受付部の構成要素の例である。」と記載されており、また、段落【0092】には、「断層面の位置を示す設定線L10が、歯列弓DAsに対応した標準断層面位置LCsに設定されている。」と記載されており、段落【0105】には、「実際の歯列弓DArの形状に対応した曲線状の設定線L10が設定されている。」と記載されており、段落【0107】には、「例えば、地点Pk1については歯列弓DAsの湾曲の方向に沿って複数の領域AR1~AR5が割り当てられ、地点Pk1の変更操作を加えたとする。」と記載されている。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、パノラマ断層の断層面の位置を示す歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含むことによって、その変更する操作の受け付けが実現されるという具体的な構成を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 訂正事項2について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0091】には、「断層面位置の変更ルーチンが開始されると、情報処理装置8が断層面位置を調整するための画像(位置調整用画像もしくは位置設定用画像)を表示部81に表示する(ステップS11)。なお、以下に説明する断層面位置の設定、変更のプロセスは、位置設定部801aの制御のもとに行われる。」と記載されており、段落【0109】には、「このように設定線L10の位置が変更されると、情報処理装置8は、変更後の設定線L10に基づいて、新たな断層面位置(3次元座標上の位置)を特定する。」と記載されている。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項2は、位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ) 訂正事項3について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0075】には、「なお、位置設定部801aは、断層面位置の設定を行う演算系の要素である。操作者からの断層面位置の変更を含んだ設定の操作は、位置設定操作受付部で受け付けられ、位置設定部801aは、位置設定操作受付部を通して断層面位置の設定の命令を受け付ける。」と記載されており、段落【0090】には、「ステップS4に係るルーチンは、パノラマ断層画像を生成するための断層面位置を、ステップS3で設定された標準断層面位置から、オペレータが所望する位置に変更することを目的として実行される。」と記載されており、段落【0117】には、「位置変更をしている箇所が、設定線L10のうち、破線で示す3つの部分領域Pt1,Pt2,Pt3に囲まれた線分LP1,LP2,LP3に限定されている。」と記載されており、段落【0120】には、「図12における線分LP1,LP2,LP3のいずれかに変更が加えられると、その都度、更新された部分パノラマ断層画像i11,i12,i13のいずれかが、パノラマ断層画像i1上に表示されることとなる。更新後の部分パノラマ断層画像i11,i12,i13が所望のピントの合った画像であれば、操作者は位置変更の完了の命令を出すこととなる。」と記載されており、段落【0121】には、「本変形例の場合、線分LP1,LP2,LP3の位置変更が完了すると、・・・(略)・・・これによって、新たな設定線L10が生成される。なお、補間される線分は、元の設定線L10において、線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間を接続する線分、線分LP2から後方に延びる線分、及び、線分LP3から後方に延びる線分を、そのまま若しくは拡大縮小変形したものであってもよい。このようにして、新たな設定線L10が設定されると、新たな設定線L10に対応した断層面についてのパノラマ断層画像が生成され、表示部81に表示されることとなる。」と記載されている。
上記段落【0075】、【0090】、【0117】、【0120】及び【0121】の記載より、位置設定操作受付部は、設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であることが導き出せると認められる。
よって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項3は、「前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、」という発明特定事項を直列的に付加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ) 訂正事項4について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0107】には、「歯列弓DAsは、変更操作の過程において、変更操作を受ける前の断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域が設定される。」と記載されており、段落【0117】には、「位置変更をしている箇所が、設定線L10のうち、破線で示す3つの部分領域Pt1,Pt2,Pt3に囲まれた線分LP1,LP2,LP3に限定されている。」と記載されており、段落【0121】には、「本変形例の場合、線分LP1,LP2,LP3の位置変更が完了すると、図12中、破線で示すように、変更後の線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間が曲線で接続する曲線補間処理が行われる。また、LP2から左顎関節に向けて後方に延びる線分、および、LP3から右額関節にむけて後方に延びる線分も補間される。これによって、新たな設定線L10が生成される。なお、補間される線分は、元の設定線L10において、線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間を接続する線分、線分LP2から後方に延びる線分、及び、線分LP3から後方に延びる線分を、そのまま若しくは拡大縮小変形したものであってもよい。このようにして、新たな設定線L10が設定されると、新たな設定線L10に対応した断層面についてのパノラマ断層画像が生成され、表示部81に表示されることとなる。」と記載されている。
そして、図12を参照すると、LP1及びLP3は変更領域であり、右顎関節の近傍、及び、左顎関節の近傍は、不変領域であるといえ、「LP2から左顎関節に向けて後方に延びる線分、および、LP3から右額関節にむけて後方に延びる線分」を補間することは、「前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間」することといえ、上記段落【0107】、【0117】、及び、【0121】の記載より、位置設定操作受付部が設定線の一部の位置を変更する変更命令を受け付けること、及び、設定線のうち変更領域と不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定することが導き出せると認められる。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項4は、変更領域と不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな設定線に基づくことによって、新たな断層面の位置の設定が実現されるという具体的な構成を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮するものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(オ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項1に係る訂正事項1ないし4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(カ) 請求項1に係る訂正のまとめ
以上のことから、請求項1に係る訂正事項1ないし4の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
イ 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項
請求項1に係る上記の訂正に伴い、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし5、7、9ないし14も訂正された。
そして、請求項1に係る訂正事項1ないし4は、上記「ア 請求項1に係る訂正事項」「(カ) 請求項1に係る訂正のまとめ」のとおりであり、また、訂正事項1ないし4による訂正によって、請求項2ないし5、7、9ないし14に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
よって、請求項2ないし5、7、9ないし14に係る訂正事項1ないし4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 請求項6に係る訂正事項
(ア) 訂正事項5について
a 新規事項の有無及び訂正の目的の適否について
訂正事項5は、訂正事項1ないし4に係る訂正後の請求項1を引用する請求項5に記載された事項を請求項6に加入し、請求項5の引用を解消する訂正である。
そして、訂正事項1ないし4は、上記「(1) 請求項1についての訂正事項」において検討したように、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
よって、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項5の引用を解消する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
(イ) 訂正事項6について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0010】には、「前記支持部における前記旋回軸の軸方向から見た断層画像を生成し、表示部に位置設定用画像として表示するよう制御し、」と記載されている。
よって、訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項6は、訂正前の請求項6には、「前記表示部」という記載があったが、訂正前の請求項6が間接的に請求項4引用しない場合に、それ以前に「表示部」という文言が記載されておらず、「前記」が何を指すのか不明であったことの釈明を目的とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項6に係る訂正事項5及び6の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(エ) 請求項6に係る訂正のまとめ
以上のことから、請求項6に係る訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明、及び、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であるといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
エ 請求項6に係る訂正に伴う訂正事項
請求項6に係る上記の訂正に伴い、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項10ないし13も訂正された。
そして、請求項6に係る訂正事項5及び6は、上記「ウ 請求項6に係る訂正事項」「(エ) 請求項6に係る訂正のまとめ」のとおりであり、また、訂正事項5及び6による訂正によって、請求項10ないし13に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。
よって、請求項10ないし13に係る訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明、及び、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
オ 請求項8に係る訂正事項
(ア) 訂正事項7について
a 新規事項の有無及び訂正の目的の適否について
訂正事項7は、訂正事項1ないし4に係る訂正後の請求項1に記載された事項を請求項8に加入し、請求項1ないし7の引用を解消する訂正である。
そして、訂正事項1ないし4は、上記「(1) 請求項1についての訂正事項」において検討したように、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
よって、訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項1ないし7の引用を解消する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
(イ) 訂正事項8について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0010】には、「前記支持部における前記旋回軸の軸方向から見た断層画像を生成し、表示部に位置設定用画像として表示するよう制御し、」と記載されている。
よって、訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項8は、訂正前の請求項8には、「前記表示部」という記載があったが、訂正前の請求項8が直接又は間接的に請求項4を引用しない場合に、それ以前に「表示部」という文言が記載されておらず、「前記」が何を指すのか不明であったことの釈明を目的とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項8に係る訂正事項7及び8の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(エ) 請求項8に係る訂正のまとめ
以上のことから、請求項8に係る訂正事項7及び8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明、及び、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であるといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
カ 請求項8に係る訂正に伴う訂正事項
請求項8に係る上記の訂正に伴い、請求項8を直接又は間接的に引用する請求項10ないし13も訂正された。
そして、請求項8に係る訂正事項7及び8は、上記「オ 請求項8に係る訂正事項」「(エ) 請求項8に係る訂正のまとめ」のとおりであり、また、訂正事項7及び8による訂正によって、請求項10ないし13に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。
よって、請求項10ないし13に係る訂正事項7及び8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明、及び、同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
キ 訂正単位1に係る明細書についての訂正事項
明細書に係る訂正事項9-aないし9-cは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とした訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(2) 訂正単位2について
ア 請求項15に係る訂正事項
(ア) 訂正事項10について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0075】には、「操作者からの断層面位置の変更を含んだ設定の操作は、位置設定操作受付部で受け付けられ、位置設定部801aは、位置設定操作受付部を通して断層面位置の設定の命令を受け付ける。位置調整用画像もしくは位置設定用画像を表示するときの表示部81や、操作者が断層面位置変更操作の入力に用いるときの操作部82その他の入力装置等は、位置設定操作受付部の構成要素の例である。」と記載されており、また、段落【0092】には、「断層面の位置を示す設定線L10が、歯列弓DAsに対応した標準断層面位置LCsに設定されている。」と記載されており、段落【0105】には、「実際の歯列弓DArの形状に対応した曲線状の設定線L10が設定されている。」と記載されており、段落【0107】には、「例えば、地点Pk1については歯列弓DAsの湾曲の方向に沿って複数の領域AR1~AR5が割り当てられ、地点Pk1の変更操作を加えたとする。」と記載されている。
よって、訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項10は、(e)工程において、パノラマ断層の断層面の位置を示す歯列弓に沿う設定線を変更することを明らかにすることによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 訂正事項11について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0091】には、「断層面位置の変更ルーチンが開始されると、情報処理装置8が断層面位置を調整するための画像(位置調整用画像もしくは位置設定用画像)を表示部81に表示する(ステップS11)。なお、以下に説明する断層面位置の設定、変更のプロセスは、位置設定部801aの制御のもとに行われる。」と記載されており、段落【0109】には、「このように設定線L10の位置が変更されると、情報処理装置8は、変更後の設定線L10に基づいて、新たな断層面位置(3次元座標上の位置)を特定する。」と記載されている。
よって、訂正事項11は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項11は、前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ) 訂正事項12について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0075】には、「なお、位置設定部801aは、断層面位置の設定を行う演算系の要素である。操作者からの断層面位置の変更を含んだ設定の操作は、位置設定操作受付部で受け付けられ、位置設定部801aは、位置設定操作受付部を通して断層面位置の設定の命令を受け付ける。」と記載されており、段落【0090】には、「ステップS4に係るルーチンは、パノラマ断層画像を生成するための断層面位置を、ステップS3で設定された標準断層面位置から、オペレータが所望する位置に変更することを目的として実行される。」と記載されており、段落【0117】には、「位置変更をしている箇所が、設定線L10のうち、破線で示す3つの部分領域Pt1,Pt2,Pt3に囲まれた線分LP1,LP2,LP3に限定されている。」と記載されており、段落【0120】には、「図12における線分LP1,LP2,LP3のいずれかに変更が加えられると、その都度、更新された部分パノラマ断層画像i11,i12,i13のいずれかが、パノラマ断層画像i1上に表示されることとなる。更新後の部分パノラマ断層画像i11,i12,i13が所望のピントの合った画像であれば、操作者は位置変更の完了の命令を出すこととなる。」と記載されており、段落【0121】には、「本変形例の場合、線分LP1,LP2,LP3の位置変更が完了すると、・・・(略)・・・これによって、新たな設定線L10が生成される。なお、補間される線分は、元の設定線L10において、線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間を接続する線分、線分LP2から後方に延びる線分、及び、線分LP3から後方に延びる線分を、そのまま若しくは拡大縮小変形したものであってもよい。このようにして、新たな設定線L10が設定されると、新たな設定線L10に対応した断層面についてのパノラマ断層画像が生成され、表示部81に表示されることとなる。」と記載されている。
上記段落【0075】、【0090】、【0117】、【0120】及び【0121】の記載より、位置設定操作受付部は、設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であることが導き出せると認められる。
よって、訂正事項12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項12は、「前記(e)工程は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付ける工程であり、」という発明特定事項を直列的に付加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ) 訂正事項13について
a 新規事項の有無について
本件特許明細書等の段落【0107】には、「歯列弓DAsは、変更操作の過程において、変更操作を受ける前の断層面の位置が変更された変更領域と変更されない不変領域が設定される。」と記載されており、段落【0117】には、「位置変更をしている箇所が、設定線L10のうち、破線で示す3つの部分領域Pt1,Pt2,Pt3に囲まれた線分LP1,LP2,LP3に限定されている。」と記載されており、段落【0121】には、「本変形例の場合、線分LP1,LP2,LP3の位置変更が完了すると、図12中、破線で示すように、変更後の線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間が曲線で接続する曲線補間処理が行われる。また、LP2から左顎関節に向けて後方に延びる線分、および、LP3から右額関節にむけて後方に延びる線分も補間される。これによって、新たな設定線L10が生成される。なお、補間される線分は、元の設定線L10において、線分LP1,LP2間、線分LP1,LP3間を接続する線分、線分LP2から後方に延びる線分、及び、線分LP3から後方に延びる線分を、そのまま若しくは拡大縮小変形したものであってもよい。このようにして、新たな設定線L10が設定されると、新たな設定線L10に対応した断層面についてのパノラマ断層画像が生成され、表示部81に表示されることとなる。」と記載されている。
そして、図12を参照すると、LP1及びLP3は変更領域であり、右顎関節の近傍、及び、左顎関節の近傍は、不変領域であるといえ、「LP2から左顎関節に向けて後方に延びる線分、および、LP3から右額関節にむけて後方に延びる線分」を補間することは、「前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間」することといえ、上記段落【0107】、【0117】、及び、【0121】の記載より、(e)工程において、設定線の一部の位置を変更する変更命令を受け付けること、及び(f)工程において、設定線のうち変更領域と不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定されることが導き出せると認められる。
よって、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正の目的の適否について
訂正事項13は、変更領域と不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな設定線に基づくことによって、新たな断層面の位置の設定が実現されるという具体的な構成を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(オ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項15に係る訂正事項10ないし13の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(カ) 請求項15に係る訂正のまとめ
以上のことから、請求項15に係る訂正事項10ないし13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
イ 訂正単位2に係る明細書についての訂正事項
明細書に係る訂正事項14は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とした訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-14〕、15について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定された次のとおりのものである。
【請求項1】
X線を発生するX線発生器と、
発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、
入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、
前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、
前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、
前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、
パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、
前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、
前記位置設定部は、
前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、
前記画像処理部は、
前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成する、パノラマX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記断層面が曲面をなしている、パノラマX線撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記画像処理部は、前記位置設定部が受け付けた、前記断層面の変更された一部の位置に対応する前記投影画像データを部分的に処理することによって、前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成する、パノラマX線撮影装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記位置設定部は、前記画像処理部が、前記投影画像データを再構成することによって得られる前記関心部位の三次元データから、前記支持部における前記旋回軸の軸方向から見た断層画像を生成し、表示部に位置設定用画像として表示するよう制御し、
前記位置設定用画像上で実行される前記断層面の位置を設定する命令を受け付ける、パノラマX線撮影装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記位置設定部は、前記断層面の位置を、予め定められた初期断層面位置に設定する、パノラマX線撮影装置。
【請求項6】
X線を発生するX線発生器と、
発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、
入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、
前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、
前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、
前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、
パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、
前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、
前記位置設定部は、
前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、
前記画像処理部は、
前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、
前記位置設定部は、前記断層面の位置を、予め定められた初期断層面位置に設定し、
前記画像処理部が、前記初期断層面位置における前記断層画像を、前記変更命令の受付前に生成し、
前記画像処理部によって生成された前記初期断層面位置における断層画像を表示する表示部をさらに備える、パノラマX線撮影装置。
【請求項7】
請求項2に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記位置設定部は、前記変更命令において指定された位置を前記断層面が通るように曲線補間を行い、前記新たな断層面を設定する、パノラマX線撮影装置。
【請求項8】
X線を発生するX線発生器と、
発生した前記X線をX線細隙ビームに規制するX線規制部と、
入射するX線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
旋回軸周りに旋回し、前記X線発生器と前記X線検出器とを被写体を挟んで互いに対向させて支持する支持部と、
前記支持部を移動させることで前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体周りに旋回移動させる支持部移動部と、
前記支持部移動部の駆動で行われる前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記投影画像データを処理する画像処理部と、
前記支持部移動部の駆動を制御する駆動制御部と、
パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける操作部を含む位置設定操作受付部と、
前記位置設定操作受付部を通じて受け付けた命令に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備え、
前記位置設定操作受付部は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付け可能であり、
前記位置設定部は、
前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、
前記画像処理部は、
前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成し、
前記変更命令を受け付ける前の前記断層面の位置に対応する断層画像と、前記変更命令を受け付けた後の前記新たな断層面の位置に対応する断層画像とを同時に表示する表示部をさらに備える、パノラマX線撮影装置。
【請求項9】
請求項4に記載のパノラマX線撮影装置であって、
前記表示部は、前記旋回軸の軸方向から見た断層画像及び前記旋回軸の軸方向から見た前記関心部位の模式図を重ねて表示する、パノラマX線撮影装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置において、
前記位置設定部は、前記関心部位を複数に区分した区分領域毎に、前記変更命令を受け付ける、パノラマX線撮影装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置において、
前記位置設定部は、前記旋回軸の軸方向における前記断層面の位置を変更する変更命令を受け付ける、パノラマX線撮影装置。
【請求項12】
請求項11に記載のパノラマX線撮影装置において、
前記位置設定部は、前記旋回軸の軸方向における前記断層面の位置を予め定めた数の複数の位置ごとに変更する変更命令を受け付ける、パノラマX線撮影装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のパノラマX線撮影装置において、
前記断層撮影中、前記関心部位に対して予め定義された断層面の少なくとも一部に対して、前記X線細隙ビームの光軸が直交するように、前記駆動制御部が前記支持部移動部の駆動を制御する、パノラマX線撮影装置。
【請求項14】
請求項4に記載のパノラマX線撮影装置において、
前記位置設定部は、前記断層面上の任意の位置に部分領域の位置を特定する部分領域設定部を備え、
前記画像処理部は、前記部分領域設定部で設定した部分領域の断層画像を表示するよう構成されている、パノラマX線撮影装置。
【請求項15】
パノラマX線撮影方法であって、
(a)支持部によって、X線細隙ビームに形成されるX線を発生するX線発生器と、入射したX線の強度に応じた信号を出力するX線検出器とを、被写体を挟んで互いに対向させて支持する工程と、
(b)支持部移動部が前記支持部を移動させることによって、前記X線発生器及び前記X線検出器を被写体の周りに旋回移動させる工程と、
(c)前記(b)工程における前記被写体中の歯列弓を関心部位とするパノラマ断層撮影によって、前記関心部位を透過した前記X線細隙ビームを受けた前記X線検出器から出力される投影画像データを記憶部に記憶させる工程と、
(d)前記(c)工程にて前記記憶部に記憶された前記投影画像データを、画像処理部が画像処理する工程と、
(e)パノラマ断層の断層面の位置を示す前記歯列弓に沿う設定線を変更する操作者からの操作を受け付ける工程と、
(f)前記(e)工程で受付けた操作に基づき前記設定線を変更して、その変更された前記設定線に基づき前記断層面の位置を設定する工程と、
を含み、
前記(e)工程は、前記設定線における一部の位置を所望の位置に変更する変更操作を前記設定線における複数の部分ごとに受け付ける工程であり、
前記(e)工程にて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向について変更する変更操作が受け付けられ、前記(f)工程にて、前記変更操作を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定する、パノラマX線撮影方法。
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし15に係る特許に対して平成28年11月1日付けで特許権者に通知した取消理由は次の通りである。
(1) 刊行物等一覧
甲第1号証:「X線撮像装置 X-ERA SMART 取扱説明書」、株式会社吉田製作所発行、2011年9月、第1版、p.19-20,32,75-79(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:特開2013-116318号公報(以下、「甲2」という。)
甲第3号証:特開2010-148590号公報(以下、「甲3」という。)
甲第4号証:特開2008-229322号公報(以下、「甲4」という。)
(2) 特許法第29条第1項第3号に関して
請求項1ないし3、5ないし8、10ないし15に係る発明は、甲2に記載された発明である。
よって、請求項1ないし3、5ないし8、10ないし15に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることが本来できないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3) 特許法第29条第2項に関して
ア 請求項1ないし3、5ないし8、10ないし15に係る発明は、甲2に記載された事項及びその発明の出願前周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求項1ないし3、5ないし8、10ないし15に係る発明は、甲2及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求項4に係る発明は、甲2及び甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求項9に係る発明は、甲2及び甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上のことから、請求項1ないし15に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが本来できないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 刊行物等の記載事項
(1)甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている(下線は、当審により付加した。)。
(甲2-1) 「【請求項1】
X線を出射するX線発生器と、
入射する前記X線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
前記X線発生器と前記X線検出器とを、歯列を含む被写体を挟んで互いに対向させて、前記被写体周りに旋回させる旋回機構と、
前記旋回機構によって旋回する前記X線発生器から前記X線を出射したときに、前記X線検出器から出力される信号を画像情報として順次蓄積し記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記画像情報を取り出して、歯列弓に対応する断層面に沿って像の重複部分を重ね合わせる処理を行うことにより、パノラマ断層画像を生成する画像情報処理部と、
前記画像情報処理部によって生成された前記パノラマ断層画像を表示する表示部と、
前記被写体の正中線を含む正中部において、前記正中部を含む正中部X線画像からなる位置設定用画像を用いて前記被写体の奥行き方向に関する前記断層面の位置を設定する位置設定部と、
を備えるパノラマX線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパノラマX線断層撮影装置において、
オペレータの入力操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記位置設定部は、
前記位置設定用画像を構成する位置指定用画像として、前記歯列に関する前記パノラマ断層画像を前記表示部に表示するとともに、前記位置指定用画像上において、前記正中部における前記断層面の奥行き方向に関する位置の指定を、前記操作部を介して受け付け、さらに、受け付けた指定位置を通る前記断層面の断層画像を前記正中部のX線画像として前記位置指定用画像に重畳的に表示するパノラマX線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパノラマX線断層撮影装置において、
前記位置設定部は、
前記位置指定用画像のうちの少なくとも前記正中部を含む部分領域について、前記指定位置を通る前記断層面の前記パノラマ断層画像を前記正中部X線画像として重畳的に表示するパノラマX線断層撮影装置。」
(甲2-2) 「【0042】
X線発生部10およびX線検出部20は、旋回アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げ固定されている。」
(甲2-3) 「【0045】
本実施形態では、支持部300が旋回軸31回りに旋回する旋回アーム30で構成され、X線発生部10とX線検出部20とが、略直方体状の旋回アーム30両端のそれぞれに取り付けられているが、X線発生部10とX線検出部20とを支持する支持部300の構成は、これに限られるものではない。例えば円環状部分の中心を回転中心として回転する円環状部材によって、X線発生部10とX線検出部20とを対向させた状態で支持するようにしてもよい。」
(甲2-4) 「【0056】
図3に示したように、本体部1は、旋回用モータ60R、X軸モータ60X、Y軸モータ60Yとで構成される駆動部65を備えている。X軸モータ60X、Y軸モータ60Yは、図示しない、被写体M1に対して相対的に旋回軸31をX軸方向に変位させる機械的要素からなるX方向移動機構と、Y軸方向に変位させる機械的要素からなるY方向移動機構の両者からなるX-Y移動機構を介し、旋回軸31をそれぞれX軸方向、Y軸方向に水平移動させる。また、旋回用モータ60Rは、図示しない、被写体M1に対して相対的に旋回軸31を回転させる機械的要素からなる旋回機構を介して旋回軸31をZ軸周りに回転させる。つまり駆動部65は、所要位置に位置付けされた被写体M1に対して、旋回アーム30を相対的に水平移動または旋回移動させる。本実施形態においては、駆動部65、旋回軸31および支持部300(旋回アーム30)が、旋回機構を構成している。」
(甲2-5) 「【0057】
本体制御部60は、駆動部65を制御するプログラムPG1を含む各種制御プログラムを実行するCPU601と、ハードディスク等の固定ディスクで構成され、各種データやプログラムPG1を記憶する記憶部602と、ROM603と、RAM604とを、バスラインに接続した一般的なコンピュータとしての構成を有している。」
(甲2-6) 「【0070】
<1.2.パノラマX線断層撮影とパノラマX線断層画像の生成>
パノラマX線断層撮影時には、X線発生器13およびX線検出器21が、被写体M1の歯列を挟んで互いに対峙するように配置され、一体的に被写体M1周りに回転するように、X軸モータ、Y軸モータ、および、旋回モータが駆動される(図3参照)。また、X線発生器13から放射されたX線は、X線規制部16(1次X線遮蔽部)を透過することによって、z軸方向に延びる細長状のX線ビームBX1に成形される。被写体M1を透過したX線ビームBX1は、好ましくは図示しない細隙を形成するX線検出器21の前面に設けたコリメータ(2次X線遮蔽部)によって散乱する不要なX線部分が部分的に遮断される。そして、X線ビームBX1のうち、該コリメータの細隙を透過したものがX線検出器21に入射することとなる。」
(甲2-7) 「【0071】
なお、パノラマX線断層撮影においては、標準的な歯列弓(馬蹄形または略馬蹄形の曲線)が予め想定されている。この歯列弓に対してX線ビームBX1がほぼ直交して入射するようにX線発生器13が移動する。好適には、X線ビームBX1の移動軌跡が、歯列弓の前歯部に向いて突出する頂点を境として、左右対称な略三角形状の包絡線軌跡を描くようにX線検出器21とX線発生器13を移動させる。X線ビームBX1は歯列弓の左右の顎関節または奥歯近傍の一方から前歯へ、前歯から左右の顎関節または奥歯近傍の他方へと照射されていき、照射される部位のフレーム画像データがX線検出器21において連続的に刻々と得られていく。このようなX線発生器13の移動については、例えば、本願出願人に係る特開2009-131656号公報(例えば、図5)に開示されている。」
(甲2-8) 上記(甲2-1)ないし(甲2-4)の記載に鑑みると、引用例1から、「パノラマX線断層撮影装置」の「旋回機構」として、「X線発生器とX線検出器とを、歯列を含む被写体を挟んで互いに対向させるように支持するとともに、旋回軸回りに旋回する旋回アーム」と「旋回アームを旋回移動させることで、X線発生器とX線検出器とを、被写体周りに旋回させる駆動部」とを備えていることが読み取れる。
(甲2-9) 上記(甲2-1)ないし(甲2-8)を総合すると、甲2には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「X線を出射するX線発生器と、
X線を細長状のX線ビームに成形するX線規制部と、
入射する前記X線の強度に応じた信号を出力する複数の検出素子を備えたX線検出器と、
前記X線発生器と前記X線検出器とを、歯列を含む被写体を挟んで互いに対向させるように支持するとともに、旋回軸回りに旋回する旋回アームと、
前記旋回アームを旋回移動させることで、前記X線発生器と前記X線検出器とを、前記被写体周りに旋回させる駆動部と、
前記駆動部によって旋回する前記X線発生器から前記X線を出射したときに、前記X線検出器から出力される信号を画像情報として順次蓄積し記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記画像情報を取り出して、歯列弓に対応する断層面に沿って像の重複部分を重ね合わせる処理を行うことにより、パノラマ断層画像を生成する画像情報処理部と、
前記駆動部を制御する本体制御部と、
前記画像情報処理部によって生成された前記パノラマ断層画像を表示する表示部と、
前記被写体の正中線を含む正中部において、前記正中部を含む正中部X線画像からなる位置設定用画像を用いて前記被写体の奥行き方向に関する前記断層面の位置を設定する位置設定部と、を備えるパノラマX線断層撮影装置において、
オペレータ入力操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記駆動部65は、予め想定されている標準的な歯列弓に対して前記X線ビームがほぼ直交して入射するようにX線発生器を移動させ、
前記位置設定部は、
前記位置設定用画像を構成する位置指定用画像として、前記歯列に関する前記パノラマ断層画像を前記表示部に表示するとともに、前記位置指定用画像上において、前記正中部における前記断層面の奥行き方向に関する位置の指定を、前記操作部を介して受け付け、
さらに、前記位置指定用画像のうちの少なくとも前記正中部を含む部分領域について、受け付けた指定位置を通る前記断層面の前記パノラマ断層画像を、前記正中部X線画像として前記位置指定用画像に重畳的に表示するパノラマX線断層撮影装置。」
(2) 甲1の記載事項
甲1には、歯列形状をNarrow、Normal、Wideから選択することにより、歯列形状の奥歯側の幅を変更せず、歯列形状の前歯側の幅のみを変更するような断層域の調節を行う態様、及び、(e)領域ボタンにより選択された矩形領域のみにAuto focusを行い断層域を調節し、矩形領域以外の領域の断層域を調節しない態様が記載されている(特に、p.77,78を参照。)。
(3) 甲3の記載事項
甲3には、基準面に沿って切断した切断画像を表示して、基準アーチラインの設定をすることが記載されている(図8、9、段落【0030】、【0031】等を参照。)。
(4) 甲4の記載事項
甲4には、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像の歯列に、歯列弓モデル画像を重ね合わせて表示する技術が記載されている(図24、段落【0092】等を参照。)。
3 当審の判断
(1) 取消理由通知に記載した取消理由について
ア 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と甲2発明を対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点>
本件発明1は、位置設定部が、位置設定操作受付部を介した断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、設定線の一部の位置をX線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成するものであるのに対して、甲2発明は、そのような構成を有さない点。
(イ) 判断
a 特許法第29条第1項第3号に関する判断
甲2には、上記相違点に係る構成が記載も示唆もされていない。また、上記相違点に係る構成が、本件発明1の出願前周知の事項であることを示す証拠もない。
よって、本件発明1は、甲2に記載された発明とはいえない。
b 特許法第29条第2項に関する判断
甲2には、上記相違点に係る構成が記載も示唆もされておらず、また、上記相違点に係る構成は、甲1、甲3及び甲4に記載も示唆もされていない。
してみると、甲1、甲3及び甲4に接した当業者といえども、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を想起することができない。
よって、本件発明1は、甲1ないし甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本件発明2ないし14について
本件発明2ないし14は、いずれも、上記相違点に係る構成を発明特定事項として備えるものであり、本件発明1と同様に、甲2に記載された発明とはいえず、また、甲1ないし甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本件発明15について
本件発明15は、「パノラマX線撮影装置」の発明である本件発明1のカテゴリーを「パノラマX線撮影方法」の発明に変更したものであり、本件発明15は、実質的に、発明特定事項に上記相違点に係る構成を有するものである。
そして、甲2には、上記相違点に係る構成が記載も示唆もされておらず、また、上記相違点に係る構成は、甲1、甲3及び甲4に記載も示唆もされていない。
よって、本件発明15は、本件発明1と同様に、甲2に記載された発明とはいえず、また、甲1ないし甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2) 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許法第29条第1項第3号について
特許異議申立人齋藤慎二は、甲1を示し、本件発明1、2、5、6及び15が、甲1に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)と同一であるから、本件発明1、2、5、6及び15は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない旨を主張している。
しかしながら、上記「(1) 取消理由通知に記載した取消理由について」「ア 本件発明1について」において検討したように、甲1には、「位置設定部が、位置設定操作受付部を介した断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、設定線の一部の位置をX線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、前記位置設定部によって設定された前記新たな断層面の位置に対応する断層画像を生成するものである」点が記載も示唆もされていないことから、本件発明1は、甲1に記載された発明とはいえない。
本件発明2、5、6及び15についても同様である。
イ 特許法第29条第1項第2号について
特許異議申立人齋藤慎二は、甲1に加えて、下記の証拠を示し、本件発明1、2、5、6及び15が、甲1に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)と同一であり、甲1発明は、本件発明1、2、5、6及び15の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるから、本件発明1、2、5、6及び15は、特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができない旨を主張している。
甲第5号証:X-era Smart(Panoura18S)100V 保証書(以下、「甲5」という。)
しかしながら、上記したように、本件発明1は、甲1発明と同一とはいえず、甲1発明が本件発明1の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされたものであるか否かにかかわらず、本件発明1は、特許法第29条第1項第2号に規定された発明には該当しない。
本件発明2、5、6及び15についても同様である。
(3) 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人齋藤慎二は、平成29年2月23日付け意見書において、新たに甲第7号証として、「画像解析システム操作説明書、適用機種:ファインキューブ、第2版、2007年3月、p.78-79」を示し、「設定線を所望の位置に変更する操作者からの操作を受け付けること」は、本件発明1等の出願前から周知の事項である旨を主張し、また、甲1のp.77に記載された歯列形状の図表には、前歯側の部分だけが変化して奥歯側の部分が変化していない設定線が描写されているから、上記図表には、不変領域が存在するのは明らかであり、当該図表から、前歯側の部分の幅がWide→Normal→Narrowの順に細くなるのに合わせて、奥歯側の先端部分が前歯側の部分に連続するように曲線で補完されていることが看取され、このとき奥歯側の部分のうち先端部分以外の部分が変化していないことも看取できることから、本件発明1の構成「前記位置設定部は、前記位置設定操作受付部を介した前記断層面の位置を変更する操作の受け付けにおいて、前記設定線の一部の位置を前記X線細隙ビームの透過方向の成分について変更する変更命令を受け付けることによって、前記変更命令を受ける前の前記設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間して形成される新たな前記設定線に基づき新たな断層面の位置を設定し、」は、甲2発明に甲1に記載された事項を適用するに際して、当業者が甲1及び周知技術から容易に導き出せる事項に過ぎない旨を主張している。
しかしながら、甲1のp.77に記載された歯列形状の図表は、あくまでも概念図であって、図表中に示された点線等が、断層画像を生成するための断層面の位置を設定するための設定線であるとまではいえず、また、仮に、断層面の位置を設定するための設定線であったとしても、前記図表中に点線で示された設定線の前歯側の部分と奥歯側の部分は明らかに連続していないことから、変更命令を受ける前の設定線のうち位置が変更された変更領域と変更されない不変領域とを直線又は曲線で補間していることが開示されているものとは認められない。
したがって、特許異議申立人齋藤慎二の上記主張を参酌しても、本件発明1等が、甲2発明に、甲1に記載された事項、及び、本件発明1等の出願前周知の事項を適用することによって当業者が容易に想到し得たとは認められない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700834