特許異議申立
2016-701130
化学蓄熱材、並びに反応装置、蓄熱装置、及び車両
- 審判番号
- 2016-701130
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-087786
- 登録番号
- 特許第5935987号(P5935987)
- 請求日
- 2016年12月09日
- 審決日
- 2017年10月30日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社豊田中央研究所
- 【権利者代理人】中島 淳
- 【権利者代理人】加藤 和詳
- 【権利者】株式会社デンソー
- 【権利者代理人】中島 淳
- 【権利者代理人】加藤 和詳
- 【権利者】学校法人日本大学
- 【権利者代理人】中島 淳
- 【権利者代理人】加藤 和詳
- 【異議申立人】日高 賢司
- 審判長/審判官
- 審判長 國島 明弘
- 審判官 川端 修
- 審判官 日比野 隆治
- 分類
- P1651.113-YAA(C09K) / P1651.121-YAA(C09K) / P1651.536-YAA(C09K) / P1651.537-YAA(C09K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5935987号発明「化学蓄熱材、並びに反応装置、蓄熱装置、及び車両」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5935987号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第5935987号の請求項1、5ないし8に係る特許を維持する。
特許第5935987号の請求項2ないし4に係る特許についての特許異議の申立を却下する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第5935987号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成28年5月20日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成28年12月9日に特許異議申立人日高賢治(以下、単に「異議申立人」ともいう。)より請求項1~8に対して特許異議の申立てがされ、平成29年2月8日付けで取消理由が通知され、同年4月10日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年5月11日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年6月2日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年8月8日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年10月2日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。
なお、平成29年4月10日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされる。
2.訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第5935987号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを求める、というものであって、本件特許に係る願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を次の訂正事項1~7のとおりに訂正することを求めるというものである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「アルカリ土類金属」とあるのを、「カルシウム」と訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「・・・(当審注:「・・・」は、省略を意味する。)6.8質量%以下である化学蓄熱材。」とあるのを、「・・・6.8質量%以下であり、
CuKα線によるX線回折分析により構造解析した場合に得られる回折強度とX線入射角(2θ;単位[°])との関係線において、
X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である化学蓄熱材。」と訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「アルカリ金属」とあるのを、「リチウム」と訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2~4を削除する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1~請求項4のいずれか1項に記載」とあるのを、「請求項1に記載」と訂正する。
カ 訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0028】に
「【図1】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)の全体構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の本実施形態の複合化蓄熱材をX線回折分析(XRD)して得られたピーク強度とX線入射角(2θ)との関係を示すグラフ(XRDパターン)である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)において放熱モードで実行される放熱制御ルーチンを示す流れ図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)において蓄熱モードで実行される蓄熱制御ルーチンを示す流れ図である。
【図5】(A)は、本実施形態の複合化蓄熱材による真空下における脱水反応に伴なう質量の減少変化を示すグラフであり、(B)は、水酸化カルシウムによる真空下における脱水反応に伴なう質量の減少変化を示すグラフである。
【図6】CuKα線によるX線回折分析におけるX線入射角2θを説明するための説明図である。」とあるのを、
「【図1】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)の全体構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の本実施形態の複合化蓄熱材をX線回折分析(XRD)して得られたピーク強度とX線入射角(2θ)との関係を示すグラフ(XRDパターン)である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)において放熱モードで実行される放熱制御ルーチンを示す流れ図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両(蓄熱システム)において蓄熱モードで実行される蓄熱制御ルーチンを示す流れ図である。
【図5】(B)は、本実施形態の複合化蓄熱材による真空下における脱水反応に伴なう質量の減少変化を示すグラフであり、(A)は、水酸化カルシウムによる真空下における脱水反応に伴なう質量の減少変化を示すグラフである。
【図6】CuKα線によるX線回折分析におけるX線入射角2θを説明するための説明図である。」と訂正する。
キ 訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0071】に
「ここで、本実施形態の複合化蓄熱材を用いて蓄熱(脱水反応)させた際の挙動を、Ca(OH)2を用いた場合と対比して図5に示す。ここでは、減圧下で(真空下で)昇温したときの質量の減少変化(Δw%)を計測し、グラフとして表した。
本実施形態の複合化蓄熱材(Ca(OH)2とLiClとの複合材)を用いた場合、図5(A)に示されるように、温度が250℃付近から400℃未満の範囲で脱水反応が著しく進行していることが分かった。これに対し、Ca(OH)2を用いた場合、図5(B)に示されるように、脱水反応は450℃付近から600℃付近で著しく進行していたが、400℃未満の温度域ではほとんど脱水反応は発現していなかった。
このように、LiClを所定比率で複合化したことで、蓄熱時の脱水反応を従来よりも低い温度域で安定的に発現させることができた。」とあるのを、
「ここで、本実施形態の複合化蓄熱材を用いて蓄熱(脱水反応)させた際の挙動を、Ca(OH)2を用いた場合と対比して図5に示す。ここでは、減圧下で(真空下で)昇温したときの質量の減少変化(Δw%)を計測し、グラフとして表した。
本実施形態の複合化蓄熱材(Ca(OH)2とLiClとの複合材)を用いた場合、図5(B)に示されるように、温度が250℃付近から400℃未満の範囲で脱水反応が著しく進行していることが分かった。これに対し、Ca(OH)2を用いた場合、図5(A)に示されるように、脱水反応は450℃付近から600℃付近で著しく進行していたが、400℃未満の温度域ではほとんど脱水反応は発現していなかった。
このように、LiClを所定比率で複合化したことで、蓄熱時の脱水反応を従来よりも低い温度域で安定的に発現させることができた。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1について
上記訂正事項1は、請求項1において、「アルカリ土類金属」を、請求項2等に基づき、「カルシウム」に特定するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2について
上記訂正事項2は、請求項1において、「化学蓄熱材」について、請求項3等に基づき、「CuKα線によるX線回折分析により構造解析した場合に得られる回折強度とX線入射角(2θ;単位[°])との関係線において、
X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である」点を特定するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項3について
上記訂正事項3は、請求項1において、「アルカリ金属」を、請求項4等に基づき、「リチウム」に特定するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項4について
上記訂正事項3は、請求項2~4を削除するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項5について
上記訂正事項5は、請求項2~4の削除に伴い、引用番号を訂正するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
カ 訂正事項6、7について
上記訂正事項6は、明細書の【0028】の【図5】についての記載において、「(A)」を「(B)」と訂正し、「(B)」を「(A)」と訂正するものであり、上記訂正事項7は、明細書の【0071】の「図5(A)」を「図5(B)」と訂正し、「図5(B)」を「図5(A)」と訂正するものであって、いずれも、明細書中の「図5」の「(A)」、「(B)」を引用する記載について、「(A)」と「(B)」の表記を逆にするものであると認められる。
一方、本件特許に係る発明は、「複数種の成分が化学的に複合化されていない従来の化学蓄熱材に比べ、蓄熱(脱水反応)がより低温度で安定的に行なえ、蓄熱密度(単位体積あたりの蓄熱量)の大きい化学蓄熱材、並びに、従来より低い温度域を含む広い温度範囲で安定した蓄熱を行なう反応装置、蓄熱装置、及び車両」(【0008】)に関し、「化学蓄熱材の脱水反応がより低温域(例えば、400℃未満、好適な温度域として300℃以上400℃未満)で再現良く発現し、より大きい蓄熱密度(単位体積あたりの蓄熱量)が得られる」(【0012】)ものであり、図5においては、グラフの傾きからみて、従来の化学蓄熱材は「(A)」に相当し、本件特許に係る発明は「(B)」に相当することは明らかであるところ、明細書の【0028】及び【0071】においては、図5の(A)及び(B)に関する表記が、本来すべき表記と、それぞれ逆になっていると認められる。
そうすると、上記訂正事項6、7の、図5の(A)及び(B)の表記を逆にする訂正は、本来その意であることが、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すものであり、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものの明らかな誤りを正しいものに訂正するものといえるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号の「誤記の訂正」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
キ 一群の請求項について
また、訂正前の請求項1~8は、請求項2~8が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものであるとともに、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行われたものである。
ク まとめ
上記「ア~キ」より、上記訂正請求による訂正事項1~7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8について訂正することを認める。
3.本件発明
上記2で述べたように、本件訂正は認められるから、本件の請求項1、5~8に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1、5~8に記載された、次の事項によって特定されるとおりのものである(以下、項番号に対応して、「本件発明1」などといい、これらをまとめて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
カルシウムの水酸化物とリチウムの塩化物とが化学的に結合した構造を含む下記構造式(1)で表され、全体に占める前記リチウムの塩化物の含有比率が0質量%超6.8質量%以下であり、
CuKα線によるX線回折分析により構造解析した場合に得られる回折強度とX線入射角(2θ;単位[°])との関係線において、
X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である化学蓄熱材。
MIIaMIbClc(OH)d ・・・構造式(1)
〔式中、MIは、リチウムを表し、MIIは、カルシウムを表す。a,b,c及びdは、2a≧d、b>0、c>0、d>0を満たす。〕
【請求項5】
請求項1に記載の化学蓄熱材と、
前記化学蓄熱材との間で熱の授受を行なう熱交換器と、
を備え、前記熱交換器から前記化学蓄熱材に熱が与えられたときに、前記化学蓄熱材が脱水反応する反応装置。
【請求項6】
請求項5に記載の反応装置と、
前記反応装置から供給された水蒸気を凝縮する凝縮手段と、
水蒸気の流通量を調節する流通調節手段を備え、前記反応装置と前記凝縮手段との間を連通する連通手段と、
前記化学蓄熱材に熱を付与するときに前記連通手段に水蒸気が流通するように、前記流通調節手段を制御する流通制御手段と、
を備え、前記反応装置の化学蓄熱材に熱が与えられたときに、化学蓄熱材の脱水反応により生成した水蒸気が、前記連通手段を流通し、前記凝縮手段に供給されて凝縮されることで蓄熱を行なう蓄熱装置。
【請求項7】
前記凝縮手段は、更に、前記化学蓄熱材から放熱させるときに、水を気化し、前記連通手段に水蒸気を放出する機能を兼ねる請求項6に記載の蓄熱装置。
【請求項8】
内燃機関と、
前記内燃機関から排出された排出ガスを流通する排出ガス流通路と、
前記排出ガス流通路に設けられ、流通する前記排出ガスを浄化するガス浄化触媒を有する浄化手段と、
少なくとも熱交換器が、前記排出ガス流通路における前記浄化手段の上流側に設けられた、請求項6又は請求項7に記載の蓄熱装置と、
を備え、前記内燃機関の作動時に排出された前記排出ガスの熱が前記熱交換器により前記化学蓄熱材に供給されることで蓄熱する車両。」
4.当審の判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
ア 本件発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である特開2009-186119号公報(甲第1号証。以下、甲各号証は、「甲1」などという。また、甲1は、以下、「引用例」ともいう。)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
また、本件発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
イ 本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。
(2)上記「(1)ア」についての判断
ア.引用例の記載(当審注:下線は当審が付与した。)
引用例には、「ケミカルヒートポンプ」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱材として新規な組成物を利用したケミカルヒートポンプに関する。」
「【0014】
本発明によるマグネシウムまたはカルシウムの酸化物に少なくとも1種の吸湿性金属塩を添加してなる組成物は、例えば次の手順で、対応する水酸化物の形態で調製することができる。代表例として、蓄熱材として塩化リチウムを10モル%添加した水酸化マグネシウム{Mg(OH)2+LiCl}(10:1)の調製例を示す。まず、塩化リチウム一水和物(0.60g)を水(200mL)に溶かして塩化リチウム水溶液を調製した。次いで、この塩化リチウム水溶液に粉末状の水酸化マグネシウム(5.83g)を加え、マグネチックスターラーやボールミル等により撹拌し、スラリーを調製した。得られたスラリーの水分を、ロータリーエバポレータ等を用いて蒸発させ(約60℃)、さらに空気中で乾燥させて(120℃、一晩)、水酸化マグネシウム粒子の表面に塩化リチウムが分散付着した形態の粉末試料(約6.2g)を得た。なお、水酸化マグネシウムとしては、和光純薬工業製の粉末(99.9%、一次粒子径0.07μm)を使用することができる。」
「【実施例】
【0020】
上述のようにして得られる水酸化物組成物の脱水反応について、具体例を挙げて説明する。この脱水反応挙動が、本発明によるケミカルヒートポンプの蓄熱性能を左右する。」
「【0025】
例5
図6に、水酸化カルシウム自体と、水酸化カルシウムに、吸湿性金属塩として塩化リチウムを水酸化カルシウムに対して2モル%、10モル%添加した組成物とについて測定した脱水曲線(真空排気下、昇温速度5℃/分)を示す。水酸化カルシウム自体の脱水温度は352℃であるのに対し、塩化リチウムを2モル%、10モル%添加した組成物の脱水温度は、それぞれ315℃(-37℃)、307℃(-45℃)であった。このように、吸湿性金属塩の添加による脱水温度低下の効果は、水酸化マグネシウムのみならず、水酸化カルシウムに対しても発現することがわかる。」
イ 引用発明の認定
引用例の【0025】に記載された「水酸化カルシウムに、吸湿性金属塩として塩化リチウムを水酸化カルシウムに対して2モル%、10モル%添加した組成物」は、【0001】から、「蓄熱材」であると認められる。
そうすると、引用例には、「水酸化カルシウムに、吸湿性金属塩として塩化リチウムを水酸化カルシウムに対して2モル%又は10モル%添加した蓄熱材。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
また、引用発明は、【0020】に「・・・具体例・・・」と記載されていることもあり、具体的には、引用例の【0014】に記載された手順で調製されるものと認められる。
ウ.対比・判断
本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「水酸化カルシウム」は、本件発明1の「カルシウムの水酸化物」に相当する。
(イ)引用発明の「吸湿性金属塩として」の「塩化リチウム」は、本件発明1の「リチウムの塩化物」に相当する。
(ウ)引用発明の「蓄熱材」は、本件発明1の「化学蓄熱材」に相当する。
(エ)引用発明の「添加」は、「水酸化カルシウム」と「塩化リチウム」とが、何らかの結合をしていることを意味することから、「水酸化カルシウムに、吸湿性金属塩として塩化リチウムを水酸化カルシウムに対して2モル%、10モル%添加した」ものは、本件発明1の「カルシウムの水酸化物とリチウムの塩化物とが」「結合した構造」に相当する。
(オ)水酸化カルシウムは1モルが74g、塩化リチウムは1モルが42gであることは技術常識であるから、蓄熱材全体に占める塩化リチウムの含有率は、1.1質量%(=(42×2%)/{74×(100-2)%+(42×2%)})、5.9質量%(=(42×10%)/{74×(100-10)%+(42×10%)})であって、引用発明の「水酸化カルシウムに、吸湿性金属塩として塩化リチウムを水酸化カルシウムに対して2モル%、10モル%添加した」構成は、本件発明1の「全体に占める前記リチウムの塩化物の含有比率が0質量%超6.8質量%以下であ」る構成に包含される。
(カ)そうすると、本件発明1と引用発明とは、
「カルシウムの水酸化物とリチウムの塩化物とが化学的に結合した構造を含み、全体に占める前記リチウムの塩化物の含有比率が0質量%超6.8質量%以下である化学蓄熱材。」である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
カルシウムの水酸化物とリチウムの塩化物とが化学的に結合した構造において、本件発明1は、「下記構造式(1)で表され、
MIIaMIbClc(OH)d ・・・構造式(1)
〔式中、MIは、リチウムを表し、MIIは、カルシウムを表す。a,b,c及びdは、2a≧d、b>0、c>0、d>0を満たす。〕、
CuKα線によるX線回折分析により構造解析した場合に得られる回折強度とX線入射角(2θ;単位゜[°])との関係線において、
X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である」のに対し、引用発明は、このような構造かどうかは不明な点。
ここで、相違点について検討する。
上記相違点に関連して、異議申立人が示した甲第2号証には、次の記載がある。
「特許第5935987号(以下、本件特許という)の実施例1(段落[0081])の記載に準じて化学蓄熱材を製造し、当該蓄熱材が、CuKα線によるX線回折分析において、「X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である」との要件を満足することを確認する(実験1及び2)。
また、特開2009-186119号公報(以下、先行技術文献という)の段落[0014]の製造条件に従って化学蓄熱材を製造し、当該蓄熱材も、前記要件を満足することを確認する(実験3)。」(1頁「4.実験の目的」の欄1~8行)
「[実験3]先行技術文献に記載の製造条件に従った化学蓄熱材の調製
全体質量に対する塩化リチウムの含有比率が6.8質量%になるように計量した、水酸化カルシウムの粉末(3.9948g)と、塩化リチウム1水和物の粉末をナス型フラスコ(200mL)内で混合し、純水を約100mL添加してスラリーを調製した。この後、先行技術文献の[0014]の製造条件に従って、前記スラリーの水分を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発乾固し、さらに、空気中で120℃一晩かけて乾燥させて、化学蓄熱材を調製した。」(2頁9~15行)
「次に、実験3より、先行技術文献の記載に従いスラリーの水分蒸発後に120℃で一晩乾燥という条件により化学蓄熱材を調製すると、当該化学蓄熱材のXRDパターンにおいて28.0~28.4°のピークが現れ、そのピークの強度は、明らかに、28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%以上であった。これより、先行技術文献に記載の具体的な製造条件に従うと、本件特許に係る化学蓄熱材が製造されることが確認された。」(7頁4~9行)
ここで、甲2には、「特開2009-186119号公報(以下、先行技術文献という)の段落[0014]の製造条件に従って化学蓄熱材を製造し、当該化学蓄熱材も、前記要件を満足することを確認する(実験3)。」と記載されているところ、該公報は引用例であり、しかも、甲2には、「実験3」において製造された「化学蓄熱材」(以下、「甲2の化学蓄熱材」という。)は、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項の一部である「XRDパターンにおいて28.0~28.4°のピークが現れ、そのピークの強度は、」「28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%以上」である点を備えていると記載しているので、甲2には、引用発明が、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項の一部を備えていることが記載されていると認められる。
そこで、引用発明と、「甲2の化学蓄熱材」との関連を検討することにする。
上記3で述べたように、引用発明は、具体的には、引用例の【0014】に記載された手順で調製されたものであるから、まず、引用例の【0014】に記載された手順と、甲2の実験3の調製の手順とを対比することにする。
引用例の【0014】に記載された手順を分説すると、次のようになる。
「引用工程1:塩化リチウム一水和物(0.60g)を水(200mL)に溶かして塩化リチウム水溶液を調製した。
引用工程2:次いで、この塩化リチウム水溶液に粉末状の水酸化マグネシウム(5.83g)を加え、
引用工程3:マグネチックスターラーやボールミル等により撹拌し、スラリーを調製した。
引用工程4:得られたスラリーの水分を、ロータリーエバポレータ等を用いて蒸発させ(約60℃)、さらに空気中で乾燥させて(120℃、一晩)、
引用工程5:水酸化マグネシウム粒子の表面に塩化リチウムが分散付着した形態の粉末試料(約6.2g)を得た」(以下、「引用例の手順」という。)
次に、甲2の「実験3」の調製手順について分説すると、次のようになる。
「甲2工程1:水酸化カルシウムの粉末(3.9948g)と、塩化リチウム1水和物の粉末をナス型フラスコ(200mL)内で混合し、
甲2工程2:純水を約100mL添加してスラリーを調製した。
甲2工程3:この後、先行技術文献の[0014]の製造条件に従って、前記スラリーの水分を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発乾固し、さらに空気中で120℃で一晩かけて乾燥させて、
甲2工程4:化学蓄熱材を調製した」(以下、「甲2の手順」という。)
そうすると、「引用例の手順」と、「甲2の手順」とでは、「引用例の手順」では、塩化リチウム一水和物を水に溶かして得られた塩化リチウムの水溶液に(引用工程1)、粉末状の水酸化マグネシウムを加える(引用工程2)のに対し、「甲2の手順」では、水酸化カルシウムの粉末と、塩化リチウム1水和物の粉末とを混合して(甲2工程1)から、純水を添加する(甲2工程2)点で相違が認められる。
そして、引用工程2の「水酸化マグネシウム」と、甲2工程1の「水酸化カルシウム」とは、両者とも水酸化物で共通するといえるから、「マグネシウム」と「カルシウム」との相違は措くとしても、塩化リチウム一(1)水和物と水酸化物との混合について、引用例の手順では、塩化リチウム一(1)水和物と水酸化物自体が物理的に接触する工程がないのに対し、甲2の手順では、甲2工程1において、水酸化物の粉末と塩化リチウム1水和物の粉末とを混合した際に、水酸化物の粉末と塩化リチウム1水和物の粉末とが物理的に接触しており、この際に、お互いの結晶になんらかの結合を生じた可能性は否定できないから、引用例の手順で調製された物質(引用発明)と、甲2の手順で調製された物質(「甲2の化学蓄熱材」)とが、同一の結晶構造を有するとは、直ちにはいうことができない。
一方、本件明細書には、次の記載がある。
「【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
平均一次粒子径が1μmの水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の白色粉末(JIS R 9001 等級:特号)と、平均一次粒子径が1μmの塩化リチウム(LiCl)の粉末とを混ぜ合わせ、溶媒を用いず、常温下で乾式混合した。得られた混合物を、300℃で反応するまで加熱し、複合化蓄熱材を調製した。このとき、化学蓄熱材の全質量に対するLiClの含有比率を6.8質量%とした。
なお、平均一次粒子径は、レーザー回折・散乱粒度分布計SALD-2000A〔(株)島津製作所製〕を用いて、レーザー回折散乱法により測定した。」
この記載によれば、本件発明1を具体化した実施例1においては、化学蓄熱材は、水酸化カルシウムの粉末と、塩化リチウム(LiCl、塩化リチウム無水物)の粉末とを混ぜ合わせ、溶媒を用いず、常温下で乾式混合し、得られた混合物を、300℃で反応するまで加熱して調製されるものであるところ、該実施例の調製手順は、「溶媒を用いず、常温下で乾式混合」する点や、「得られた混合物を、300℃で反応するまで加熱」する点で、「引用例の手順」及び「甲2の手順」とは相違し、さらに、「マグネシウム」と「カルシウム」との相違は措くとしても、「塩化リチウム」について、本件発明1は「無水物」を用いているのに対し、「引用例の手順」及び「甲2の手順」では「一(1)水和物」を用いている点でも相違する。
そうすると、引用発明ないし「甲2の化学蓄熱材」が、本件発明1と同一のものであるという蓋然性を、本件明細書の記載からは見出すことはできない。
以上のことから、「甲2の化学蓄熱材」について、「CuKα線によるX線回折分析により構造解析した場合に得られる回折強度とX線入射角(2θ;単位゜[°])との関係線において、
X線入射角28.0°以上28.4°以下におけるピーク強度が、水酸化カルシウムに由来するX線入射角28.4°超29.0°以下におけるピーク強度の10%値以上である」ことがいえたしても、引用発明と「甲2の化学蓄熱材」との関連は明確ではなく、しかも、本件発明1と引用発明ないし「甲2の化学蓄熱材」との関連も明確ではないから、甲2の記載に基いて、引用発明が上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を備えたものである、ということはできない。
そして、本件発明1は、本件明細書に「【発明の効果】」として「本発明によれば、複数種の成分が化学的に複合化されていない従来の化学蓄熱材に比べ、蓄熱(脱水反応)がより低温度で安定的に行なえ、蓄熱密度(単位体積あたりの蓄熱量)の大きい化学蓄熱材が提供される。」(【0027】)と記載されたように、格別顕著な作用効果を奏するものである。
以上のとおり、上記相違点は実質的な相違点であって、本件発明1は、引用発明とはいえない。
そして、引用発明において、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を備える動機付けは見当たらず、本件発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。
また、本件特許発明5~8は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本件特許発明5~8は、引用発明と同一であるということはできないし、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。
(異議申立人の主張について)
異議申立人は、平成29年10月2日提出の意見書において、次のように主張している。
「特許権者が、塩化リチウム1水和物ではなく、塩化リチウム無水物を用いた本件特許の実施例1では『CaClOHのピークは発現していない』と主張する根拠が不明である。」(2頁13~15行)
「『本件特許の実施例1を正しく再現すれば、CaClOHのピークが発現しないはずである』と主張している点についても、特許権者の憶測を述べているものにすぎず、その根拠をまったく示していない。」(2頁16~18行)
「特許権者は、異議申立人の提出した甲第2号証の実験結果に対して、何ら根拠を示さずに、憶測を述べているにすぎない。自らは、本件特許発明が引用例1に対して新規性を有することを証明する証拠を、まったく提示していない。」(4頁11~14行)
しかしながら、異議申立人の上記主張は、特許権者に対し、本件発明が新規性、進歩性を有することの立証を求めるものであって、採用できない。
(3)上記「(1)イ」についての判断
取消理由通知に記載した、特許法第36条第6項第1号の取消理由は、「発明の詳細な説明の段落【0007】-【0008】で記載している『カルシウムの酸化物にLiClを混合しただけで非複合の組成物」又は「複数種の成分が化学的に複合化されていない従来の化学蓄熱材』に比べて、本件特許発明の化学蓄熱材が、より低温で蓄熱(脱水反応)を安定的に行なうという発明の課題を解決し得たことは、発明の詳細な説明において、具体的な比較実験データに基づいて示されていない。本件発明のような化学に属する技術分野においては、具体的な実験データが示されていない限り、本件発明の化学蓄熱材が発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決できたことを当業者が認識することはできない。」のであるから、本件発明1、4~8は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。」というものである。
しかしながら、本件明細書には、「本実施形態の複合化蓄熱材(Ca(OH)2とLiClとの複合材)を用いた場合、図5(B)に示されるように、温度が250℃付近から400℃未満の範囲で脱水反応が著しく進行していることが分かった。」(【0071】)と記載され、図5(B)からは、約250℃で脱水反応が開始することが看取されることから、本件発明の脱水反応は250℃付近から進行するものと認められる。
これに対し、引用例の図6からは、本件発明の脱水反応温度より、約50℃高い、約300℃付近から脱水反応が進行することが看取される。
そうすると、本件特許発明の化学蓄熱材が、従来の化学蓄熱材に比べて、より低温で蓄熱(脱水反応)を安定的に行なうという発明の課題を解決し得たことは、発明の詳細な説明において、具体的な比較実験データに基づいて示されているといえ、本件請求項の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、とはいえない。
(異議申立人の主張について)
異議申立人は、平成29年10月2日提出の意見書において、次のように主張している。
「特許権者は、本件特許発明における脱水反応の温度域が、従来技術における脱水反応の温度域と比較して低温になっておらず、両温度に差がないこと、すなわち、本件特許発明には、従来技術を超える有利な効果がないことを自認したことになる。
以上のように、特許権者の主張は整合性がまったくとれておらず、その意味を理解することができないものである。」(5頁23~28行)
「引用例記載の数字と本件特許に記載の数字とを単純に比較したことに基づく特許権者の『本件特許の複合化蓄熱材は、引用例の試料に対し、著しく優れた作用効果を発現するものであることが明らかとなっている。』との主張は到底、採用されるべきものではない。」(7頁17~20行)
しかしながら、上述したように、本件特許発明の化学蓄熱材が、従来の化学蓄熱材に比べて、より低温で蓄熱(脱水反応)を安定的に行なうという発明の課題を解決し得たことは、発明の詳細な説明において、具体的な比較実験データに基づいて示されているといえ、異議申立人の上記主張は採用できない。
(4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、次のア~ウのように主張している。
ア 水酸化カルシウム以外の「アルカリ土類金属の水酸化物」を包含し、リチウム以外の「アルカリ土類金属」を包含する本件発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、本件請求項の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
イ 水酸化カルシウム以外の「アルカリ土類金属の水酸化物」を用いた場合の化学蓄熱材について、発明の詳細な説明は、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、本件明細書の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
ウ 請求項3の規定と請求項1、2において規定された事項との技術的な関係が不明であって、本件請求項の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
しかしながら、本件発明1において、「アルカリ土類金属」は「カルシウム」に特定され、「アルカリ金属」は「リチウム」に特定されたので、本件請求項の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとすることはできない、また、本件明細書の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとすることもできない。
そして、請求項2及び3は削除されたので、異議申立人の上記特許法第36条第6項第2号に関する主張は、理由がない。
5.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び5~8に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件請求項1及び5~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2~4に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2~4に対して、異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-701130