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特許異議申立

2016-700776

飲料調製用のパウチ及び飲料を抽出するためのデバイス

審判番号
2016-700776
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-526156外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月24日
審決日
2017年05月10日
公報発行日
2017年08月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(B65D) / P1651.121-YAA(B65D) / P1651.537-YAA(B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5886198号発明「飲料調製用のパウチ及び飲料を抽出するためのデバイス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5886198号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第5886198号の請求項1~5、8、9に係る特許を維持する。 特許第5886198号の請求項6、7に係る特許についての申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5886198号の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成22年8月19日(パリ条約による優先権主張平成21年8月29日、国際事務局)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月19日にその特許権の設定登録がされたものである。 その後、その特許について、特許異議申立人ネステク ソシエテ アノニム(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年11月15日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である平成29年2月15日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)~(4)のとおりである。(1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「飲料の濃縮した服用量を収容するための空間、前記の空間に通じている注入口の開口部(4)及び排出口の開口部(5)の両者を含む、飲料を調製するためのパウチ(1)であって、2つの末端で形成される管状エレメント(6)を含み、その一方は開口部の1つに連結し、他方(7)は、別の開口部から離れた位置で前述の空間内に配置され、2つの開口部(4、5)が、互いに近くに配置される、パウチ。」 と記載されているのを、 「飲料の濃縮した服用量を収容するための空間、前記の空間に通じている注入口の開口部(4)及び排出口の開口部(5)の両者を含む、飲料を調製するためのパウチ(1)であって、 2つの末端で形成される管状エレメント(6)を含み、その一方は開口部の1つに連結し、他方(7)は、別の開口部から離れた位置で前述の空間内に配置され、2つの開口部(4、5)が、互いに近くに配置され、 抽出デバイスに固定するように適合した硬質部分(2)を含み、硬質部分(2)が、開口部(4、5)を含む、パウチ。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8に 「請求項1~7のいずれか1項に定義されるようなパウチ(1)を使用するように適合した、飲料を抽出するためのデバイス。」 と記載されているのを、 「請求項1~5のいずれか1項に定義されるようなパウチ(1)を使用するように適合した、飲料を抽出するためのデバイス。」 に訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項について 訂正事項1~3の訂正は、訂正前の請求項1に係る発明に訂正前の請求項6及び7の発明特定事項を加えて限定し、それに伴い、訂正前の請求項6、7をそれぞれ削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項4の訂正は、上記訂正事項2,3の訂正に伴い、従属項である請求項8が引用する項番号の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、いずれの訂正も、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 さらに、訂正前の請求項2~9は、訂正前の請求項1を引用する請求項であるから、請求項1~9は一群の請求項であるところ、上記の訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1~9について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.請求項1~7に係る発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~9に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 飲料の濃縮した服用量を収容するための空間、前記の空間に通じている注入口の開口部(4)及び排出口の開口部(5)の両者を含む、飲料を調製するためのパウチ(1)であって、 2つの末端で形成される管状エレメント(6)を含み、その一方は開口部の1つに連結し、他方(7)は、別の開口部から離れた位置で前述の空間内に配置され、2つの開口部(4、5)が、互いに近くに配置され、 抽出デバイスに固定するように適合した硬質部分(2)を含み、硬質部分(2)が、開口部(4、5)を含む、パウチ。 【請求項2】 飲料がコーヒーであり、飲料の濃縮した服用量が挽いたコーヒーの濃縮した服用量である、請求項1のパウチ。 【請求項3】 管状エレメント(6)が、注入口の開口部(4)に連結される、請求項1又は2に記載のパウチ。 【請求項4】 飲料の抽出のためのデバイスに垂直に配置するように適合した、請求項1~3のいずれか1項に記載のパウチ。 【請求項5】 2つの開口部(4、5)が、パウチ(1)の上部に配置される、請求項4に記載のパウチ。 【請求項6】(削除) 【請求項7】(削除) 【請求項8】 請求項1~5のいずれか1項に定義されるようなパウチ(1)を使用するように適合した、飲料を抽出するためのデバイス。 【請求項9】 パウチ(1)の2つの反対面に連結するように配置された2つの水注入管(10、11)を含む、請求項8に記載のデバイス。」 2.取消理由の概要 訂正前の請求項1~9に係る特許に対して、平成28年11月15日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。なお、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由は、すべて通知した。 理由1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 理由3)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 甲第1号証:国際公開第2008/148650号 甲第2号証:国際公開第2008/148601号 甲第3号証:特表2009-511143号公報 甲第4号証:欧州特許出願公開第1440904号明細書 甲第5号証:特表2003-534033号公報 [理由1、理由2] ・甲第1号証を主引用例とする場合 請求項1~8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。 また、請求項1~9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明および周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 ・甲第2号証を主引用例とする場合 請求項1~8に係る発明は、甲第2号証に記載された発明である。 また、請求項1~9に係る発明は、甲第2号証に記載された発明および周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 ・甲第3号証を主引用例とする場合 請求項1~4、6~9に係る発明は、甲第3号証に記載された発明である。また、請求項1~9に係る発明は、甲第3号証に記載された発明および周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 ・甲第4号証を主引用例とする場合 請求項1~4、6~9に係る発明は、甲第4号証に記載された発明である。また、請求項1~9に係る発明は、甲第4号証に記載された発明および周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 [理由3] 請求項1に係る発明の「2つの開口部(4、5)が、互いに近くに配置される」との事項のうち、「近くに」の基準および程度が不明確であるため、請求項1に係る発明は明確でない。 また、請求項1を引用する請求項2~9に係る発明についても、同様に明確でない。 3.判断 (1)理由3(特許法第36条)について まず、記載不備に係る取消理由について検討する。 本件は、「濃縮した服用量、例えば挽いたコーヒーを収容するエレメントに水を導入し、このように得られた混合物を抽出することによる、飲料、例えばコーヒー、の調製に関する」(本件特許明細書段落【0001】)ものであり、その「エレメント」は、「例えば、カプセル又はパウチの形をとる」(同段落【0002】)ものとされるところ、本件訂正発明1~9は、このうちの「パウチ」に係る発明である。 この「パウチ」について、本件特許明細書において、「可撓性の、半硬質又は硬質の素材の壁を備えた、完成したパウチ1を示し、それは2つの主要な部分、即ち硬質部分2及びパウチ3、で構成される。この例では、硬質部分2は、熱水を注入する新規な方法を提供するように特別に設計されている(パウチは、抽出又は溶解されるコーヒー又は他の粉末製品を含み得る)。」、「濃縮した服用量を収容するパウチ3には、ネイチャーフレックス(NatureFlex)又は他のいかなる可撓性の若しくは硬質の、生分解性又は他の材料が使われてもよい。」(同段落【0017】)とされる。さらに、飲料調整容器の分野において「パウチ」とは、通常2つのラミネートを互いに貼り合わせたものであり、その中に包含される物質の立体的形状に依存した形状になるものと理解され、それ自体で独立した円錐台形状等の立体的形状を保つ「カプセル」とは区別される(特許権者意見書5頁下から8行~末行)。 訂正された請求項1においては、このような「パウチ」が、抽出デバイスに固定するように適合した「硬質部分(2)」を含み、この「硬質部分(2)」に、「開口部(4、5)」が配置される旨記載されており、「2つの開口部(4、5)」の配置位置は明確である。すると、本件訂正発明1の「2つの開口部(4、5)が、互いに近くに配置され、」との事項のうち、「近くに」は、同じ「硬質部分(2)」に位置することを意味するから、その基準や程度は当業者にとって明確である。 よって、本件訂正発明1は明確であり、同様に本件訂正発明2~9も明確である。 (2)理由1、理由2(特許法第29条)について ア.甲第1号証(以下、「甲1」という。甲第2号証等も同様。)には、特許異議申立書(22頁、23頁)の記載も考慮すれば、以下の発明が記載されているものといえる。 「飲料の凝縮した服用量を収容するための空間(14)、前記の空間(14)に通じている注入口の開口部(11)及び排出口の開口部(18)の両者を含む、飲料を調製するためのカプセル(1)であって、 2つの末端で形成される管状の注入部(13)を含み、その一方は開国部の1つ(11)に連結し、他方は、別の開口部(18)から離れた位置で前述の空間(14)内に配置され、 2つの開口部(11,18)が互いに近くに配置され、 飲料調製装置に固定するように適合した蓋(8)を含み、 蓋(8)が、開口部(11、18)を含む、カプセル。」 イ.本件訂正発明1と甲1に記載された発明を対比すると、本件訂正発明1は「パウチ」であり、その「パウチ」が、「互いに近くに配置され」た「2つの開口部(4、5)」を含み、「抽出デバイスに固定するように適合した硬質部分(2)を含み、硬質部分(2)が、開口部(4、5)を含む」のに対し、甲1に記載された発明は「カプセル」であり、2つの開口部を近くに配置した硬質部分を備えた「パウチ」ではない点で相違する。 そして、この相違点は実質的なものであり、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではない。 ウ.また、甲1の「カプセル」は、「カプセルに生じる遠心力を用いて飲料などの流動食を調製するための食品材料を収容する」(1頁1~2行)ものであるから、特に遠心力が掛けられることを想定して構成された甲1の「カプセル」を、「パウチ」に換えて構成しようとする動機付けがない。 しかも、コーヒー等を収容する「エレメント」として「パウチ」が周知のものであるとしても、「互いに近くに配置され」た「2つの開口部(4、5)」を含み、「抽出デバイスに固定するように適合した硬質部分(2)を含み、硬質部分(2)が、開口部(4、5)を含む」「パウチ」は、甲1には記載されておらず、提出された甲2~甲5に記載も示唆もされていない。 そして、本件訂正発明1は、このような「パウチ」とすることにより、「液体の導入及び/又は抽出に際して穿孔、引き裂き又は破裂される必要が無い、飲み物を調製するためのエレメントを提供すること」(同段落【0003】)ができるものである。 よって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 エ.甲2~甲4に記載された各発明と本件訂正発明1を対比すると、上記イ.と同様に、「互いに近くに配置され」た「2つの開口部(4、5)」を含み、「抽出デバイスに固定するように適合した硬質部分(2)を含み、硬質部分(2)が、開口部(4、5)を含む」「パウチ」であるか否かで、実質的に相違する。 さらに、この点について、提出されたいずれの証拠には記載も示唆もされていない。 よって、本件訂正発明1は、甲2~甲4に記載された発明ではなく、甲2~甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 オ.また、本件訂正発明2~5、8、9は、本件訂正発明1の発明特定事項のすべてを含むものであるから、本件訂正発明2~5、8、9は甲1~甲4に記載された発明ではなく、また、甲1~甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 4.むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件訂正発明1~5、8、9に係る特許を取り消すことはできず、他に取り消すべき理由も発見しない。 また、請求項6、7は、本件訂正請求により削除された。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700776

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