特許異議申立
2016-700498
改善された電極材料から製造されたスパークプラグ電極
- 審判番号
- 2016-700498
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-535701
- 登録番号
- 特許第5826182号(P5826182)
- 請求日
- 2016年05月31日
- 審決日
- 2017年10月17日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
- 【権利者代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【権利者代理人】久野 琢也
- 【異議申立人】西谷 敬之
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 正紀
- 審判官 河本 充雄
- 審判官 長谷山 健
- 分類
- P1651.537-YAA(C22C) / P1651.536-YAA(C22C) / P1651.113-YAA(C22C) / P1651.121-YAA(C22C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5826182号発明「改善された電極材料から製造されたスパークプラグ電極」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5826182号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
特許第5826182号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5826182号の特許請求の範囲の請求項1~13に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(特願2012-535701号)は、2010年 9月 6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年10月26日 (DE)ドイツ)を国際出願日として特許出願され、平成27年10月23日に特許権の設定登録がされ、同年12月 2日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し、平成28年 5月31日付けで、特許異議申立人である西谷敬之(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年 8月 9日付けで当審から取消理由が通知され、同年11月11日付けで特許権者から意見書の提出及び訂正請求がされ、これに対し、平成29年 2月15日付けで申立人から意見書が提出され、同年 3月 7日付けで当審から取消理由が通知され、同年 6月 7日付けで特許権者から意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされ、同年 6月19日付けで当審から特許権者に対し審尋がされ、同年 8月21日付けで特許権者から回答書が提出され、これに対し、同年 9月27日(差出日 同年 9月28日)付けで申立人から意見書が提出されたものである。
なお、本件訂正請求がされたため、平成28年11月11日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容(以下、「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すために当審が付与した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載される等式
を
に訂正する(請求項1を引用する請求項2~13も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
発明の詳細な説明の【0006】に記載される等式
を
に訂正する。
(3)訂正事項3
発明の詳細な説明の【0039】における「それによって等式logR=a+b*T/1000を定義できる。」という記載を「それによって等式logR=a+b*1000/Tを定義できる。」に訂正する。
(4)訂正事項4
発明の詳細な説明の【0039】における「曲線」という記載を「直線」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に記載された「3.1≦b≦3.3であり、」という記載を「3.1≦b≦3.2であり、」に訂正する(請求項1を引用する請求項2~13も同様に訂正する。)。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、新規事項追加の有無、独立特許要件
(1)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無
ア 訂正事項1について
願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明の【0039】には「図5においては、温度T’にわたる電気抵抗Rを表すアレニウスプロットが表されており、その際、温度T’は商1000/T(K-1)によって表されている。」と記載され、願書に最初に添付された図面の図5には、横軸をT’、縦軸をRとする直線の片対数のグラフ「13」が記載されているから、本件訂正前の請求項1に記載される等式
「
」
は
「
」
の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げられた「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2、3について
訂正事項2、3による訂正は、訂正事項1による訂正と同様、願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明の【0006】及び【0039】に記載された等式における「T/1000」の誤記を「1000/T」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項第2号に掲げられた「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項4について
願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明の【0039】には、「図5からはっきりと分かるように、本発明によるスパークプラグ電極(曲線(13))の酸化物層の電気抵抗は、貴金属を含まない電極(曲線(12))の従来の酸化物層の抵抗よりも明らかに低い。」と記載されている一方、願書に最初に添付された図面の図5を参照すると、符号12、13はいずれも直線として記載されているから、上記記載における「曲線」が「直線」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げられた「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項5について
訂正事項5による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された等式におけるbの範囲を「3.1≦b≦3.3」から「3.1≦b≦3.2」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明の【0039】には「bは、3.1~3.2であり」と記載されているから、上記訂正は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)一群の請求項
訂正前の請求項1~13について、請求項2~13は請求項1を引用しており、本件訂正による請求項1の訂正に伴って請求項2~13も訂正されることになるから、本件訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。
(3)独立特許要件
本件訂正請求では、請求項1~13の全ての請求項に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の適用はない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第4項及び同条第9項において準用する準用する同法126条第4項~第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
前記「第2」のとおり、本件訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る発明(以下、「本件訂正発明1~13」といい、これらをまとめて「本件訂正発明」という。)は、それぞれ、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
電極材料から製造されたスパークプラグ電極であって、前記電極材料の表面上に存在する酸化物層が、以下の等式:
【数1】
[式中、
0.6≦a≦0.8であり、
3.1≦b≦3.2であり、
Tは、ケルビンでの温度を表す]によって定義されるよりも低いか又はそれと同じである電気抵抗R(Ω)を有し、
前記電極材料が、
a)基礎材料としてのニッケルと、
b)Y、Hf、Ce、La、Zr、Ta及びYbからなる群から選択される少なくとも1種の他の元素と、
c)Si及びTiからなる群から選択される少なくとも1種の他の元素と
不可避不純物とから成り、前記元素b)の全体割合が、電極材料の全質量に対し0.1~0.2質量%であり、前記元素c)の全体割合が、電極材料の全質量に対して1.0~2.5質量%であり、かつ、電極材料の全質量に対して最大0.003質量%の酸素含有率を有することを特徴とする、前記スパークプラグ電極。
【請求項2】
aが0.7であることを特徴とする、請求項1に記載のスパークプラグ電極。
【請求項3】
bが3.2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスパークプラグ電極。
【請求項4】
電極材料の表面上の酸化物層が、20℃で、6W/mKを上回る熱伝導性を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のスパークプラグ電極。
【請求項5】
電極材料の表面上の酸化物層が、20℃で、8W/mKを上回る熱伝導性を有することを特徴とする、請求項4に記載のスパークプラグ電極。
【請求項6】
電極材料の表面上の酸化物層が、20℃で、10W/mKを上回る熱伝導性を有することを特徴とする、請求項5に記載のスパークプラグ電極。
【請求項7】
前記酸化物層が、10μm未満の厚さを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のスパークプラグ電極。
【請求項8】
前記酸化物層が、5~8μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載のスパークプラグ電極。
【請求項9】
前記元素b)の全体割合が、電極材料の全質量に対して、0.13~0.17質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のスパークプラグ電極。
【請求項10】
前記電極材料が、電極材料の全質量に対して、最大0.002質量%の酸素含有率を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のスパークプラグ電極。
【請求項11】
前記電極材料中の金属間化合物の相の割合が、電極材料の全組成に対して、15モル%よりも低いことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のスパークプラグ電極。
【請求項12】
前記電極材料中の金属間化合物の相の割合が、電極材料の全組成に対して、10モル%よりも低いことを特徴とする、請求項11に記載のスパークプラグ電極。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載のスパークプラグ電極を少なくとも1つ含むスパークプラグ。」
2 当審から通知した取消理由の概要
(1)平成28年 8月 9日付け取消理由通知
平成28年 8月 9日付けで当審から通知した取消理由(実施可能要件違反、明確性要件違反)の概要は、以下のとおりである。
発明の詳細な説明の【0039】における「logR=a+b*T/1000」という等式の記載は、図5における符号13の直線と整合しないから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1及びこれを引用する請求項2~13に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえず、また、請求項1は、上記の「logR=a+b*T/1000」という等式の記載を含むから、請求項1及びこれを引用する請求項2~13の記載は不明確である。
(2)平成29年 3月 7日付け取消理由通知
平成29年 3月 7日付けで当審から通知した取消理由(サポート要件違反)の概要は、以下のとおりである。
「本件発明1~13のそれぞれは、特許異議申立人 西谷 敬之 による特許異議申立書における、『3.申立ての理由』の『(5)特許法第36条第6項第1号違反』の『(2)』(当審注:『(2)』は、丸数字の2を表す。)(第9頁第1~11行目)、及び、同『(3)』(当審注:『(3)』は、丸数字の3を表す。)(第9頁第12~17行目)のそれぞれに記載の理由により、発明の詳細な説明に記載したものではない。
よって、請求項1~13に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足していない特許出願に対してなされたものである。」
3 当審の判断
(1)平成28年 8月 9日付けで当審から通知した取消理由(実施可能要件違反、明確性要件違反)について
前記「2」「(1)」の取消理由について検討すると、前記「第2」のとおり、訂正前の請求項1、並びに、発明の詳細な説明の【0006】及び【0039】に記載されていた「logR=a+b*T/1000」という等式は、訂正事項1~3による訂正によって、全て図5における符号13の直線と整合する「logR=a+b*1000/T」に訂正されたから、平成28年 8月 9日付け取消理由通知に記載した前記「2」「(1)」の取消理由(実施可能要件違反、明確性要件違反)は本件訂正によって解消した。
(2)平成29年 3月 7日付けで当審から通知した取消理由(サポート要件違反)について
ア 特許異議申立書の第9頁第1~11行に記載された申立理由について
(ア)特許異議申立書の第9頁第1~11行に記載された申立理由の概要は、以下のとおりである。
図5のアレニウスプロットから【数1】が導き出せるものであったとしても、1つの実施例(発明の詳細な説明の【0037】の表1における「B(本発明による)」の電極材料)からは【数1】における「a,bの値」を導き出すことができるだけで「a,bの範囲」までを導き出すことはできない。それにもかかわらず、発明の詳細な説明には「a,bの範囲」が導き出される根拠、理由が記載されていない。
(イ)この取消理由について検討すると、確かに、申立人の主張するように、発明の詳細な説明には【数1】をどのように導出したのかについて具体的な記載はない。しかし、申立人が異議申立書において認めるとおり「2つの物性値の一方が他方の指数関数に比例する関係にある場合、2つの特性の実測値からアレニウスプロットを作成し、回帰分析の手法を用いて両者の関係式を実験的に導き出せること」(第8頁下から第8~6行)は、当業者の技術常識である。
(ウ)そして、発明の詳細な説明の記載に接した当業者であれば、発明の詳細な説明の【0037】の表1における「B(本発明による)」の電極材料について、その酸化物層の抵抗値を測定する際に、一定程度の範囲で誤差が生じることは、当然のこととして理解することができ、このような誤差が生じれば、それに伴って【数1】のa,bの値が数値範囲として算出されることも、当業者であれば理解できることである。
(エ)その上で、平成29年 8月21日付けで特許権者が提出した回答書を参照すれば、前記「B(本発明による)」の電極材料について、その酸化物層の抵抗値を測定する際の誤差の範囲は10%に設定されており(第2頁下から第6~5行)、この設定値自体に何らの不合理も認められず、この設定に基づいて、前記イで説示した当業者の技術常識である回帰分析の手法を用いて(具体的には、プログラムのOrigin(Origin Lab(www.originlab.de))を用いて)算出した【数1】のa,bの値の範囲が、a=0.68253±0.09569,b=3.17384±0.06317(第3頁第1~2行、参考資料3~5)であり、この値を小数第1位までの値となるように四捨五入すると、a=0.7±0.1(0.6~0.8),b=3.2±0.1(3.1~3.3)となって、bの上限値である3.2を除き、発明の詳細な説明の【0039】に記載された値の範囲と一致するから、【数1】において、a,bそれぞれの値を単一の値ではなく数値範囲として算出することは、当業者の技術常識の範囲内のことである。
(オ)したがって、特許異議申立書の第9頁第1~11行に記載された申立理由には、理由がない。
イ 特許異議申立書の第9頁第12~17行目に記載された申立理由について
(ア)特許異議申立書の第9頁第12~17行目に記載された申立理由の概要は、以下のとおりである。
発明の詳細な説明の【0039】には、等式におけるbの範囲は「3.1≦b≦3.2」と記載されているにもかかわらず、請求項1では、bの範囲が「3.1≦b≦3.3」と記載されているから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
(イ)この取消理由について検討すると、前記「第2」のとおり、訂正事項5による訂正によって、特許請求の範囲の請求項1に記載された「3.1≦b≦3.3であり、」という記載は「3.1≦b≦3.2であり、」に訂正され、これによって、請求項1におけるbの範囲は、発明の詳細な説明の【0039】の記載と一致することになった。
(ウ)したがって、特許異議申立書の第9頁第12~17行目に記載された申立理由は、本件訂正によって解消した。
ウ ここで、課題解決の観点から【数1】におけるa,bの値が数値範囲として特定されていることの適否について検討すると、発明の詳細な説明には「本発明によるスパークプラグ電極の表面上に形成する酸化物層は・・・従来の電極上に形成される酸化物層と比較して、均一かつ安定な結合を示し、それのみならず比較的薄く、かつ表面上で一様で・・・電極表面上の酸化物層の低い電気抵抗を可能にする。」(【0007】)、「従来の・・・スパークプラグの寿命は約60000kmまでであるに過ぎない一方で、本発明によるスパークプラグ電極の寿命は、より著しく長く、すなわち90000kmの範囲である。」(【0020】)と記載されるとおり、本件訂正発明は、従来と比較して、結合が均一かつ安定で、薄く一様な酸化物層を形成することで、従来よりも電極表面上の酸化物層の電気抵抗を低くし、スパークプラグの寿命を長くするものである。
そうすると、a,bが単一の値ではなく、0.6≦a≦0.8,3.1≦b≦3.2の数値範囲として特定されていても、図5では、スパークプラグの動作範囲(符号12,13の直線において実線で示された温度範囲)であるT’:0.9~2.2の温度範囲(T:455K(182℃)~1111K(838℃))にわたって、表1の「B(本発明による)」の電極材料を用いた13の直線の抵抗値は、比較の基準となる表1の「A(標準)」の電極材料を用いた12の直線で示されるより抵抗値よりも低くなっており、上記のスパークプラグの長寿命化という課題は解決されているといえるから、a,bが単一の値ではなく数値範囲として特定されていても、本件訂正発明に課題解決手段が反映されていないということはできない。
エ また、申立人は、平成29年 9月27日(差出日 同年 9月28日)付け意見書の第2頁下から第6行~第3頁第9行において、発明の詳細な説明の表1の「B(本発明による)」の電極材料の組成においては、a,bの値は示された範囲になるものの、特許権者は、請求項1で規定された他の組成のものにおいてまで、同じa,bの値の範囲になることを示す証拠を提出していないから、発明の詳細な説明に記載された事項及び本件特許の出願時の技術常識からは【数1】のa,bの範囲を画定できることを当業者は認識できないと主張する。
確かに【数1】は、本件訂正発明におけるb)の元素がHfで、c)の元素がSiである場合の電極材料(発明の詳細な説明の表1の「B(本発明による)」の電極材料)に基づいて算出されたものであって、b)c)の元素がHf,Si以外の元素である場合の電極材料について算出されたものではない。
しかし、後者の電極材料であっても、酸化物層の抵抗値が【数1】で特定される上限値を超えない限り課題が解決されることは前記ウで検討したとおりであるから、全てのb)c)の元素の組合せについて【数1】を算出しなければ、本件訂正発明に課題解決手段が反映されていないということはできない。
よって、申立人の上記主張は根拠を欠くものであって、これを採用することはできない。
(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(サポート要件違反、新規性欠如、進歩性欠如、実施可能要件違反)について
ア サポート要件違反
(ア)異議申立書の第8頁第15~27行に記載された申立理由(サポート要件違反)の概要は、以下のとおりである。
図5のアレニウスプロットから導き出せる関係式は、横軸がT’(=1000/T)であるから、logR=a+b*T’=a+b*1000/Tであるにもかかわらず、請求項1の【数1】は、logR=a+b*T/1000であるから、請求項1の【数1】がどのように導き出されたのか、その根拠、理由が不明である。
したがって、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反する。
(イ)この申立理由について検討すると、前記「第2」のとおり、訂正前の請求項1、並びに、発明の詳細な説明の【0006】及び【0039】に記載されていた「logR=a+b*T/1000」という等式である【数1】は、訂正事項1~3による訂正によって、全て図5における符号13の直線と整合する「logR=a+b*1000/T」に訂正されたから、異議申立書の第8頁第15~27行に記載された前記(ア)の申立理由には理由がない。
イ 新規性欠如、進歩性欠如
(ア)申立理由の概要
異議申立書の第10頁下から6行~第17頁第11行に記載された申立理由(新規性欠如、進歩性欠如)の概要は、以下のとおりである。
本件特許の請求項1~13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、そうでないとしても、本件特許の請求項1~13に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2号の規定に違反してなされたものである(以下、「甲第1号証」及び「甲第2号証」を、それぞれ「甲1」及び「甲2」という。)。
(イ)証拠方法
甲1:特開2007-92139号公報
甲2:特開2009-16278号公報
(ウ)本件訂正発明の新規性について
a 甲1には、以下の事項が記載されている(なお、「・・・」は記載の省略を表し、下線は当審で付与した。以下同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の点火プラグ用電極材料に関するものである。」
「【背景技術】
・・・
【0003】
・・・種々点火プラグの電極材料に用いられるNi基合金には、例えば、Crを3%程度以下として、耐酸化性と高温強度を高めるための添加元素を含有させるNi基合金の提案がある。
・・・」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したCrをある程度低く抑えた材料は、加工性の点から有望な材料である。しかしながら、上述した合金はいずれも耐酸化性に有効なCrを低く抑える替わりに、耐酸化性を補う元素として、Si、Mn、Alを必須添加としているために、Ni中の合金元素の総量が増加する分、熱伝導率や融点が低下する傾向がある。
耐酸化性を補うための合金元素量が多くなると、熱伝導率が低いことによって電極温度が下がりにくくなり、結果的に高温にさらされることになって酸化しやすくなったり、融点低下による溶損が影響する火花損耗を起こし易くなる恐れがあった。
・・・
本発明の目的は、上記事情に鑑みて内燃機関の高負荷化、高性能化に対応して、耐酸化性、耐火花損耗性に優れ、さらに製造性も優れた特性を有する点火プラグ用電極材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は・・・点火プラグ用合金の耐酸化性向上させるには熱伝導率を高くすることが必要であり、かつ耐火花損耗性を向上させるには融点を高くすることが有効であるが、これらの2つの必要特性を同時に解決するには、Siを少量添加すること、Mn、Alを低下させること、さらにHf及び/またはReを少量添加することを同時に満たすことが有効であることを新たに見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、質量%でC:0.1%以下(0を含む)、Si:0.3~3.0%、Mn:0.5%未満(0を含む)、Cr:0.5%未満(0を含む)、Al:0.3%以下(0を含む)、HfとReの1種または2種を合計で0.005~1.0%、残部はNi及び不可避不純物からなる点火プラグ用電極材料である。
・・・」
「【発明を実施するための最良の形態】
・・・
【0010】
以下に本発明で規定した各元素の限定理由を説明する。
・・・
Siは、耐酸化性向上に非常に有効な元素である一方、熱伝導率、融点を低下させる元素であるため、良好な耐酸化性を得るために、熱伝導率、融点を大きく低下させない範囲で積極的に添加する。0.3%より少ないと耐酸化性の向上効果が少なく、一方、3.0%を超えて添加すると融点、熱伝導率の低下が大きくなることから、Siは0.3~3.0%とした。。好ましいSiの下限は0.5%であり、また、好ましいSiの上限は1.5%である。
・・・
【0011】
・・・
Alは、耐酸化性を高める元素である一方、熱伝導率を大きく低下させる元素であるため、Siをある程度含有する場合には、Alは低く抑える必要がある。Alは0.3%より多く添加すると熱伝導率が大きく低下することから、Alは0.3%以下とした。好ましくは、0.1%以下がよく、0%(無添加レベル以下)であっても差し支えない。
【0012】
Hf及びReは、ごく少量の添加で熱伝導率を高く保持したまま、耐酸化性及び高温強度を向上することができる重要な元素であり、本発明のNi基合金においては必須添加する。
・・・
本発明において、Hf及びReの含有量は、HfとReの1種または2種を・・・合計で0.005~1.0%とし・・・好ましい下限は、1種または2種の合計で0.01%であり、またHfおよびReの好ましい上限は、1種または2種の合計で0.5%である。
【0013】
本発明では、上述した元素以外はNi及び不可避的不純物として規定した。不可避的不純物として、残留する可能性のある主な元素は、P、S、N、O等である。これらはできるだけ低い方が望ましいが、P≦0.03%、S≦0.03%、N≦0.05%、O≦0.01%であれば点火プラグ電極用材料の基本特性に特に大きな影響を及ぼさないと考えられるので、この範囲であれば許容できる。
・・・」
「【実施例1】
【0016】
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
真空溶解で10kg鋼塊を作製し、均質化熱処理後、熱間加工を行い、熱間加工性を確認するとともに、30mm角の棒材を作製した。・・・化学組成を表1に示す。
試料No.1~8は本発明合金、試料No.21~23は比較合金である。・・・
【0017】
【表1】
」
b 前記aによれば、甲1には、内燃機関の点火プラグ用電極材料に関し(【0001】)、点火プラグ用合金の耐酸化性を向上させるためには熱伝導率を高くすることが必要であり、かつ耐火花損耗性を向上させるには融点を高くすることが有効であるが、これらの2つの必要特性を同時に解決するには、Siを少量添加すること、Mn、Alを低下させること、さらにHf及び/またはReを少量添加することを同時に満たすことが有効であることから(【0006】)、質量%でC:0.1%以下(0を含む)、Si:0.3~3.0%、Mn:0.5%未満(0を含む)、Cr:0.5%未満(0を含む)、Al:0.3%以下(0を含む)、HfとReの1種または2種を合計で0.005~1.0%、残部はNi及び不可避不純物からなる点火プラグ用電極材料(【0007】)が記載され、不可避不純物については、できるだけ低い方が望ましいが、P≦0.03%、S≦0.03%、N≦0.05%、O≦0.01%の範囲であれば許容できること(【0013】)が記載され、さらに、実施例(表1)として、No.2(C:0.004質量%,Si:1.09質量%,Mn:0.05質量%,Cr:0.04質量%,Al:0.013質量%,Hf:0.11質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)、No.3(C:0.002質量%,Si:1.38質量%,Mn:0.07質量%,Cr:0.06質量%,Al:0.010質量%,Hf:0.13質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)、No.5(C:0.004質量%,Si:1.03質量%,Mn:0.06質量%,Cr:0.08質量%,Al:0.017質量%,Hf:0.17質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)が記載されている。
c 一方、本件訂正発明1のスパークプラグ電極における電極材料の成分元素とその含有量については「a)基礎材料としてのニッケルと、b)Y、Hf、Ce、La、Zr、Ta及びYbからなる群から選択される少なくとも1種の他の元素と、c)Si及びTiからなる群から選択される少なくとも1種の他の元素と不可避不純物とから成り、前記元素b)の全体割合が、電極材料の全質量に対し0.1~0.2質量%であり、前記元素c)の全体割合が、電極材料の全質量に対して1.0~2.5質量%であり、かつ、電極材料の全質量に対して最大0.003質量%の酸素含有率を有する」とされるところ、甲1の実施例におけるNo.2,No.3,No.5のSi及びHfは、いずれも、それぞれ、上記の「電極材料の全質量に対して1.0~2.5質量%」である「Si」「からなる」「元素c)」及び「電極材料の全質量に対し0.1~0.2質量%」である「Hf」「からなる」「元素b)」に相当する。
しかし、甲1の実施例におけるNo.2,No.3,No.5においては「不可避的不純物」とされる酸素の含有量について測定値の記載はなく、酸素の含有量については、前記bのとおり【0013】に「O≦0.01%」という記載があるのみであるから、甲1に、本件訂正発明1で特定される「電極材料の全質量に対して最大0.003質量%の酸素含有率」であることまでが記載されているとはいえない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明とはいえず、同様の理由により、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~13も、甲1に記載された発明とはいえない。
(エ)本件訂正発明の進歩性について
a 甲2には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、火花放電を行う電極の材料にNi基合金を用いた内燃機関用のスパークプラグに関するものである。」
「【背景技術】
・・・
【0003】
・・・スパークプラグの使用の際には・・・電極材料が高温と火花放電による負荷の影響を受けると、電極材料を構成する結晶粒が粗大化(いわゆる粒成長)し・・・電極材料の内部へ酸素が進入しやすくなり、その結果、内部で酸化腐食が生じやすくなる虞がある。
【0004】
そこで粒成長を抑制するため、電極材料として、NiにYやZr等の金属元素・・・の酸化物や窒化物等・・・が均一に拡散した状態で析出した電極材料を形成している。・・・」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら・・・電極材料のNiの母相に酸化物を析出させた場合、析出した酸化物が電極材料中に残ることとなるため、従来よりも高温となる環境において酸化物が分解してしまい、酸素によって内部腐食が進行する虞があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、Niの母相に金属間化合物が析出した電極材料を電極に用いることで、十分な耐高温酸化性と耐火花消耗性を得ることができるスパークプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、内燃機関の燃焼室内に露出され、中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極を備えたスパークプラグにおいて、前記中心電極および前記接地電極の少なくとも一方は、Niを主成分とし、少なくとも粒界に金属間化合物が析出した電極材料からなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明のスパークプラグは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記金属間化合物は、少なくともNiと希土類金属とを含む化合物であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明のスパークプラグは、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記金属間化合物は、少なくともNiとYとを含む化合物・・・であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明のスパークプラグは、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、Niを主成分とし、Y・・・を第1添加元素として含有し、その・・・含有量が、0.3重量%以上3重量%以下であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明のスパークプラグは、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、少なくともSi、Ti・・・のうちの1種の元素を第2添加元素として含有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明のスパークプラグは、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、前記第2添加元素の含有量が1重量%未満であることを特徴とする。
・・・
【0018】
また、請求項11に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料中の溶存酸素量が、30ppm以下であることを特徴とする。
・・・
【0029】
・・・なお、電極材料の内部腐食を抑制し、機械的な強度を維持するには、請求項11に係る発明のように、電極材料中の溶存酸素量が30ppm以下であることが望ましい。」
「【発明を実施するための最良の形態】
・・・
【0042】
・・・高温のもとで行われる火花放電に伴う負荷がかかる過酷な環境において・・・粒界に析出した金属間化合物が、いわゆるピン止めとして、粒成長を抑制する。・・・これにより・・・粒界を伝って外部から電極材料の内部に酸素が進入しても、その進入深度が深くなることはなく、酸化抑制に対し十分な効果を得ることができる。
・・・
【0044】
こうした金属間化合物は・・・主成分として含有するNiと希土類元素との化合物により構成されることが好ましく、少なくともNiとYとを含む化合物・・・であれば、より好ましい。そして望ましくは、Niを主成分とし、Y・・・を第1添加元素として0.3重量%以上3重量%以下含有するとよい・・・。第1添加元素の含有量が0.3重量%未満であると十分な析出物が生成しないため、粒成長の抑制が難しい。・・・
【0045】
・・・さらに第2添加元素として、少なくともSi、Ti・・・のうちの1種の元素を電極材料に含有させれば電極材料の酸化抑制に効果がある・・・。・・・望ましくは、電極材料中の第2添加元素の含有量が1重量%未満であるとよく、特に、第2添加元素がSiであってその含有量が0.3重量%未満であると・・・さらに効果的である・・・。一方、第2添加元素の含有量が1重量%より多くなると、電極材料の比抵抗が高くなったり、熱伝導率が低くなったりするため十分な熱引きを行えず、耐火花消耗性が低下する虞がある。」
b 前記aによれば、甲2には、電極の材料にNi基合金を用いた内燃機関用のスパークプラグに関し(【0001】)、Niの母相に金属間化合物が析出した電極材料を電極に用いることで、十分な耐高温酸化性と耐火花消耗性を得ることができるスパークプラグを提供することを目的とし(【0007】)、その達成のために、内燃機関の燃焼室内に露出され、中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極を備えたスパークプラグにおいて、前記中心電極および前記接地電極の少なくとも一方は、Niを主成分とし、少なくとも粒界に金属間化合物が析出した電極材料からなるスパークプラグが記載され(【0008】【0042】)、前記金属間化合物は、少なくともNiと希土類金属とを含む化合物、さらには、少なくともNiとYとを含む化合物からなり、Yの含有量が0.3重量%以上3重量%以下であること(【0009】~【0011】【0044】)、少なくともSi、Tiのうちの1種の元素を1重量%未満含有すること(【0012】【0013】【0045】)、電極材料中の溶存酸素量が30ppm以下であること(【0018】【0029】)も記載されている。
c ここで、前記「(ウ)」「b」「c」で検討したとおり、甲1には、実施例として、表1に、No.2(C:0.004質量%,Si:1.09質量%,Mn:0.05質量%,Cr:0.04質量%,Al:0.013質量%,Hf:0.11質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)、No.3(C:0.002質量%,Si:1.38質量%,Mn:0.07質量%,Cr:0.06質量%,Al:0.010質量%,Hf:0.13質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)、No.5(C:0.004質量%,Si:1.03質量%,Mn:0.06質量%,Cr:0.08質量%,Al:0.017質量%,Hf:0.17質量%,残部:Ni及び不可避的不純物)が記載されているものの、表1には「不可避的不純物」とされる酸素の含有量についての記載はなく、酸素の含有量については【0013】に「O≦0.01%」という記載があるのみである。
一方、甲2には、前記bのとおり、電極材料中の溶存酸素量が30ppm以下であることが記載されているものの、Niと金属間化合物を形成する元素として記載されているのは、Yを含む希土類金属であって、かかる元素として希土類金属に属さないHfを用いることは、実施例を含めて一切記載されていない。
また、甲1を参照しても、点火プラグ用電極材料における酸素は不可避的不純物として「O≦0.01」質量%であれば許容できると記載されており(【0013】)、これをさらに30ppm以下にまで低減することを動機付ける記載はない。
以上のとおり、甲2に記載された電極材料は、Hfを含まない点で甲1に記載された電極材料とは成分元素の組成が異なり、甲1には、電極材料における酸素含有量の上限値を30ppm以下に低減する動機付けの記載もないから、甲1、2に接した当業者にとって、甲1に記載された実施例の電極材料における酸素の含有量を、甲2の記載に基づいて30ppm以下にすることは、容易になし得たことではない。
(オ)以上のとおりであるから、異議申立書の第10頁下から6行~第17頁第11行に記載された前記(ア)の申立理由(新規性欠如、進歩性欠如)には、いずれも理由がない。
ウ 実施可能要件違反
(ア)申立人は、異議申立書の第17頁第13~16行において「構成要件(ロ)が、電極材料の組成(構成要件(ハ)~(リ))には関連しないものとして、本願と甲1(又は甲2)との相違点を主張した場合には、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の規定に違反します。」と主張する。
(イ)しかし、前記「イ」で説示したとおり、本件訂正発明1のスパークプラグ電極は、甲1に記載された点火プラグ用電極材料と合金組成が異なっており、また、甲1、2の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立人の前記主張は、その前提において誤りがあり採用することはできない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~13についても同様である。
したがって、異議申立書の第17頁第13~16行に記載された前記(ア)の申立理由には、理由がない。
第4 結論
以上によれば、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700498