特許異議申立
2016-700354
医療用テレメータシステム
- 審判番号
- 2016-700354
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2011-210626外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月26日
- 審決日
- 2017年05月08日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】フクダ電子株式会社
- 【権利者代理人】鷲田 公一
- 【異議申立人】特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所
- 分類
- P1651.121-YAA(A61B) / P1651.113-YAA(A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5801670号発明「医療用テレメータシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5801670号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、3について訂正することを認める。
特許第5801670号の請求項1に係る特許を維持する。
特許第5801670号の請求項2及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第5801670号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成27年9月4日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所より請求項1~3に対して特許異議の申立てがされ、平成28年6月30日付けで取消理由が通知され、同年9月2日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月13日に特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所から意見書が提出され、同年11月10日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、平成29年1月13日に意見書の提出及び訂正請求がされ、その後、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所からは意見書が提出されなかったものである。
2.訂正の適否(下線部は訂正箇所を示す。)
(1)訂正の内容
特許権者は、以下の訂正事項1~8により特定されるとおり訂正することを請求する。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
エ 訂正事項4
明細書の【発明の名称】、及び、段落【0001】、【0007】にそれぞれ「医療用テレメータシステム、および受信機」と記載されているのを、「医療用テレメータシステム」に訂正する。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0008】に「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」に訂正する。
カ 訂正事項6
明細書の段落【0010】を削除する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、
前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部とを有する受信機とを備え」と記載されているのを、「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、
前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、
前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え」に訂正する。
ク 訂正事項8
明細書の段落【0008】に「本発明に係る医療用テレメータシステムは、所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、
前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部とを有する受信機とを備え」と記載されているのを、「本発明に係る医療用テレメータシステムは、
患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、
前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、
前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1は、「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」、と、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、「通知部」が「送信周波数情報を、表示部に表示する」タイミングと表示部の設けられている場所を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、明細書の【0037】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2及び3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項4は、上記訂正事項1~3に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項5は、上記訂正事項1に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
オ 訂正事項6は、上記訂正事項3に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
カ 訂正事項7の検討
上記訂正事項7を便宜上以下のように、訂正事項7-1~訂正事項7-4と分割して検討する。
(ア)訂正事項7-1:「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、」を付加する。
(イ)訂正事項7-2:「所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、」を「前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、」に訂正する。
(ウ)訂正事項7-3:「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、」を「前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、」に訂正する。
(エ)訂正事項7-4:「被通知部とを有する受信機」を「被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機」に訂正する。
検討
(ア-1)訂正事項7-1は、「医療用テレメータシステム」の発明である訂正前の請求項1に係る発明を「患者の生体情報の遠隔監視に使用される」「医療用テレメータシステム」の発明と特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0002】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(イ-1)訂正事項7-2は、訂正前の「無線送信する」「患者の生体情報」について、「前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部」を備え、その「生体情報検出部」で「検出された前記生体情報」であると特定するもので、「無線送信する」「患者の生体情報」を減縮し、また、訂正前の「無線送信する送信部」について、「生体情報モニタ装置に」「無線送信する送信部」であると「無線送信する送信部」を特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0020】~【0022】、図1に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ-1)訂正事項7-3は、「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部」について、「通知部」が「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する」通知先を「前記生体情報モニタ装置」と特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0021】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(エ-1)訂正事項7-4は、「被通知部とを有する受信機」について、「、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部と」を備えており、「前記生体情報モニタ装置である」と明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、明細書の【0002】、【0022】、図1に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
キ 訂正事項8は、上記訂正事項1~3、7に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ク また、訂正前の請求項2は請求項1を引用しているから、請求項1、2は一群の請求項である。したがって、訂正事項1~3、7は一群の請求項ごとにされたものである。
(3)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正を認める。
(4)本件特許発明
本件訂正は認められることとなったから、請求項1~3に係る発明(以下、それぞれの発明を「本件特許発明1~3」という。)は、次の事項により特定される発明であると認める(下線は訂正箇所を示す。)。
【請求項1】
患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、
前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、
前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え、
前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、
前記被通知部は、前記通知部により表示された前記送信周波数情報を読みとることによって通知を受ける、
ことを特徴とする医療用テレメータシステム。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
3.特許異議申立について
(1)取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由について
平成28年9月2日付け訂正後の請求項1に係る特許に対して平成28年11月10日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨は、次のとおりである。
ア 請求項1に係る特許は、甲第1号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
(2)取消理由通知に記載した取消理由について
訂正前の請求項1~3に係る特許に対して平成28年6月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 請求項1~3に係る特許は、甲第1号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
(3)甲第1号証の記載
取消理由通知<決定の予告>及び取消理由通知において引用した甲第1号証(特開2001-353124号公報 )には、段落【0157】の記載事項から「無線送信機」と「表示部」を備えた「内視鏡」と、「内視鏡」の外部に設けられる、「情報読みとり装置」と「無線受信機」と「受信周波数設定器」と「画像表示装置」からなる「内視鏡外部部分」とを含む総合システム的な内視鏡装置であることが読み取れること、さらに、該内視鏡装置は、「内視鏡」と「内視鏡外部部分」間で無線による電送があるから「内視鏡」が「無線送信機」を備えていることは自明なことから、それらを補い段落【0157】に記載の事項を整理すると、以下の発明が記載されていると認められる。
「体腔内に挿入される挿入部に観察部位を撮像するための撮像装置を有する内視鏡と、
前記内視鏡内の画像情報信号伝送路中に設けられ前記画像情報信号を無線送信する前記内視鏡に設けられた無線送信機と、
前記無線送信機の送信周波数を表示するために前記内視鏡に設けられた表示部と、
前記表示部の表示情報を読みとる情報読みとり装置と、
前記無線送信機から送信された前記画像情報信号を受信する無線受信機と、
前記情報読みとり装置が読みとる情報によって前記無線受信機の受信周波数を前記無線送信機の送信する画像情報信号の送信周波数に同調させる受信周波数設定器と、
前記無線受信機が受信した前記画像情報信号を処理して画像表示する画像表示装置と、
前記情報読みとり装置と前記無線受信機と前記受信周波数設定器と前記画像表示装置とからなる内視鏡外部部分と、
を含む内視鏡装置。」(以下、「甲1発明」という。)
(4)対比・判断
ア 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由について
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は、少なくとも「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知する」構成(以下、「相違点」という。)を備えていない点で本件特許発明1と相違する。
そして、上記「相違点」は甲第1号証に示唆もされていないし、周知の技術事項であるともいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び周知の技術事項から当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
イ 取消理由通知に記載した取消理由について
上記ア に記載した理由と同様の理由により、本件特許発明1は、甲1発明及び周知の技術事項から当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
ウ 取消理由通知<決定の予告>及び取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
請求項2及び3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
そして、特許異議申立人は、特許異議申立書において、
(ア)本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものであると主張している。
しかしながら、本件特許発明1と甲第1号証との間には、アで検討したとおり上記「相違点」が有るので本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないから、かかる主張は理由がない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2及び3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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