特許異議申立
2016-700060
周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する方法および装置
- 審判番号
- 2016-700060
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2011-168802
- 登録番号
- 特許第5755966号(P5755966)
- 請求日
- 2016年01月26日
- 審決日
- 2017年01月30日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
- 【権利者代理人】青木 篤
- 【権利者代理人】鶴田 準一
- 【権利者代理人】南山 知広
- 【権利者代理人】河合 章
- 【権利者代理人】中村 健一
- 【異議申立人】山下 勝
- 【異議申立人】東京総合コンサルティング 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 郡山 順
- 審判官 藤田 年彦
- 分類
- P1651.121-ZDA(G01N) / P1651.536-ZDA(G01N) / P1651.537-ZDA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第1号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5755966号発明「周波数ドメイン干渉測定を利用して光学撮像を実行する方法および装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5755966号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり,訂正後の[請求項1~4,6~8,10,11,13,15,16,19,21,22],請求項5,[請求項12,14],請求項17,請求項18及び請求項20について訂正及び訂正後の請求項9について訂正することを認める。
特許第5755966号の請求項17,18及び20に係る特許を取り消す。
特許第5755966号の請求項1~10,12~15,19,21,22に係る特許を維持する。
特許第5755966号の請求項11及び16に係る特許についての山下勝からの特許異議の申立てを却下する。
特許第5755966号の請求項16に係る特許についての東京総合コンサルティング株式会社からの特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5755966号の請求項1~22に係る特許については,平成27年6月5日付けでその特許権の設定登録がされ,山下 勝(以下,「第1申立人」という。)から特許異議申立書(以下,「第1申立書」という。)が提出され,東京総合コンサルティング株式会社(以下,「第2申立人」という。)から,特許異議申立書(以下,「第2申立書」という。)が提出されたものである。
その後の経緯は,次のとおりである。
平成28年 4月26日付け 取消理由通知書(当審)
平成28年 8月 8日付け 訂正請求書
平成28年 8月 8日付け 意見書(被申立人)
平成28年 8月30日付け 第1申立人及び第2申立人宛通知書(当審)
平成28年 9月30日付け 意見書(第1申立人)
平成28年10月 3日付け 意見書(第2申立人)
平成28年10月31日付け 取消理由通知<決定の予告>
平成29年 1月24日付け 意見書(被申立人)
なお,被請求人は,平成29年1月24日付け意見書において,平成28年10月31日付け取消理由通知<決定の予告>の「結論」に承服する旨の意見を述べている。
第2 訂正請求について
1 本件訂正請求の内容
本件訂正請求は,訂正前の請求項の引用関係からみて,第1訂正単位(請求項1~8,請求項10~請求項22)及び第2訂正単位(請求項9)の2つの訂正単位からなるものである。
なお,下線は訂正事項を示す。
(1) 第1訂正単位について
ア 訂正事項1
請求項11及び請求項16を削除する。
イ 訂正事項2
訂正前の請求項1に
「少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,備える装置。」
とあるのを
「【請求項1】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器と,を備える装置。」
と訂正する。
ウ 訂正事項3
請求項1に係る訂正事項1の訂正に伴い,請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~4,6~8,10,13,15,19,21及び22も訂正された。
エ 訂正事項4
訂正前の請求項5の
「【請求項5】 更に,往復長さが5mより短いレーザキャビティを備える,請求項1に記載の装置。」
とあるのを
「【請求項5】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
往復長さが5mより短いレーザキャビティと,を備える装置。」
と訂正する。
オ 訂正事項5
訂正前の請求項12に
「【請求項12】 更に,前記少なくとも1つの第1電磁放射線,少なくとも1つの第2電磁放射線,少なくとも1つの第3電磁放射線又は少なくとも1つの第4電磁放射線のうち少なくとも1つの周波数をシフトするように構成され,さらに,前記干渉のマイナス周波数成分を少なくとも部分的に減縮し,区分し,または,無くすように構成された少なくとも1つの第3アレンジメントを備える,請求項1に記載の装置。」
とあるのを
「【請求項12】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線,少なくとも1つの第2電磁放射線,少なくとも1つの第3電磁放射線又は少なくとも1つの第4電磁放射線のうち少なくとも1つの周波数をシフトするように構成され,さらに,前記干渉のマイナス周波数成分を少なくとも部分的に減縮し,区分し,または,無くすように構成された少なくとも1つの第3アレンジメントと,を備える装置。」
と訂正する。
カ 訂正事項6
請求項12に係る訂正事項5の訂正に伴い,請求項12を引用する請求項14も訂正された。
キ 訂正事項7
訂正前の請求項17に
「【請求項17】 前記プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する,請求項15に記載の装置。」
とあるのを
「【請求項17】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメントと,
走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供するプローブと,を備え,前記プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する装置。」
と訂正する。
ク 訂正事項8
訂正前の請求項18に
「【請求項18】 前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,前記少なくとも1つの第3電磁放射線に関連した自己相関を除去するように構成された少なくとも1つのデュアルバランスレシーバを備える,請求項1に記載の装置。」
とあるのを
「【請求項18】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,を備え,前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,前記少なくとも1つの第3電磁放射線に関連した自己相関を除去するように構成された少なくとも1つのデュアルバランスレシーバを備える装置。」
と訂正する。
ケ 訂正事項9
訂正前の請求項20に
「【請求項20】 前記スペクトルの中央値の変化の速度が少なくとも1000nm/msecである,請求項1に記載の装置。」
とあるのを
「【請求項20】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,を備え,前記スペクトルの中央値の変化の速度が少なくとも1000nm/msecである装置。」
と訂正する。
(2) 第1訂正単位についての当審の判断
ア 訂正要件について
(ア) 訂正事項1について
訂正事項1は,請求項を削除するものであるから,特許法第120条の5第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,同条第9項において読み替えて準用する126条第5項及び第6項に規定する要件に適合するものである。
(イ) 訂正事項2について
訂正事項2は,訂正前の請求項11にあった事項を訂正前の請求項1に加えるものであって,新規事項を含むものではなく,特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する126条第5項に規定する要件に適合するものである。
また,訂正事項2は,特許法第120条の5第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,その訂正に係る発明のカテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ) 訂正事項3及び6について
訂正事項3は,請求項1に係る訂正事項1の訂正に伴い,直接又は間接的に請求項1を引用する請求項請求項2~4,6~8,10,13,15,19,21及び22が訂正されたものであって,新規事項を含むものではなく,特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する126条第5項に規定する要件に適合するものである。
さらに,訂正事項6は,請求項12に係る訂正事項5の訂正に伴い,請求項12を引用する請求項14も訂正されたものであって,新規事項を含むものではなく,特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する126条第5項に規定する要件に適合するものである。
また,訂正事項3及び6は,特許法第120条の5第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,その訂正に係る発明のカテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(エ) 訂正事項4及び5,7~9について
訂正事項4,訂正事項5,訂正事項8及び訂正事項9は,いずれも訂正前に請求項1を引用していた請求項に対し,請求項1を引用しないものとする訂正であり,新規事項を含むものではないし,特許法第120条の5第1項ただし書第4号に掲げる目的に適合する訂正である。
また,訂正事項7は,訂正前の請求項17が,請求項15及び請求項1を直接又は間接的に引用していたところ,請求項15及び請求項1の引用をしないものと訂正するものであり,新規事項を含むものではないし,特許法第120条の5第1項ただし書第4号に掲げる目的に適合する訂正である。
訂正事項4,訂正事項5,訂正事項7~訂正事項9は,その訂正に係る発明のカテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(オ) 訂正単位について
第1訂正単位(請求項1~8,請求項10~請求項22)は,訂正前の請求項2~8,請求項10~22がそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用していることから,訂正前において一群の請求項に該当し,特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する126条第4項に規定する要件に適合するものである。
イ 第1訂正単位について小括
以上のことから,訂正事項1~9は,特許法第120条の5第1項ただし書きに掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において読み替えて準用する126条第4項~第6項に規定する要件に適合するものであるので,訂正後の[請求項1~8,10~22]についての訂正を認める。
訂正事項4及び5,7~9は,引用関係の解消を目的とする訂正であって,該訂正事項により訂正された後の請求項5,請求項12,請求項17,請求項18及び請求項20の訂正は,上記したように認められるものである。
そして,被申立人から,請求項5,請求項12,請求項17,請求項18及び請求項20の訂正が認められるときは,別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから,訂正後の請求項5,請求項12及び請求項12を引用する請求項14,請求項17,請求項18並びに請求項20については,請求項ごとに訂正することを認める。
よって,第1請求単位である訂正後の[請求項1~4,6~8,10,11,13,15,16,19,21,22],請求項5,[請求項12,14],請求項17,請求項18及び請求項20について訂正を認める。
(2) 第2訂正単位について
ア 訂正事項10
訂正前の請求項9に
「【請求項9】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供し,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むステップ,及び,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出するステップを備える方法。」
とあるのを
「【請求項9】 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供し,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むステップ,及び,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出するステップ,及び,
少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップを備える方法。」
と訂正する。
イ 第2訂正単位についての当審の判断
訂正事項10の「少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップ」は,訂正前の請求項11にあった「前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器を備える」との事項を,該偏光変調器によって行われる変調をステップとして表現したものであって,新規事項を含むものではなく,特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する126条第5項に規定する要件に適合するものである。
また,訂正事項10は,前記ステップを更に加えるものであるから,特許法第120条の5第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,その訂正に係る発明のカテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
以上のことから,訂正事項10は,特許法第120条の5第1項ただし書きに掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において読み替えて準用する126条第4項~第6項に規定する要件に適合するものであるので,訂正後の請求項9についての訂正を認める。
2 訂正の判断のまとめ
以上のことから,[請求項1~4,6~8,10,11,13,15,16,19,21,22],請求項5,請求項9,[請求項12,14],請求項17,請求項18及び請求項20について訂正を認める。
第3 本件発明
上記「第2 訂正請求について」で述べたとおり,本件訂正は認められることとなったから,請求項1~22に係る発明(以下,それぞれの発明を「本件訂正発明1」などという。)は,次の事項により特定される発明であると認める。
【請求項1】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器と,
を備える装置。
【請求項2】
平均周波数が5キロヘルツより大きい反復レートで反復的に変化する,請求項1に記載の装置。
【請求項3】
平均周波数が10テラヘルツより大きい範囲にわたって変化する,請求項1に記載の装置。
【請求項4】
スペクトルが100ギガヘルツより小さい瞬時ライン幅を有する,請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
往復長さが5mより短いレーザキャビティと,を備える装置。
【請求項6】
前記スペクトルの同調範囲の中心が公称で中心波長1300nmに合わせてある,請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記スペクトルの同調範囲の中心が公称で中心波長850nmに合わせてある,請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記スペクトルの同調範囲の中心が公称で中心波長1700nmに合わせてある,請求項3に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供し,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むステップ,及び,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出するステップ,及び,
少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップを備える方法。
【請求項10】
前記リファレンスが,非反射性リファレンスである,請求項1に記載の装置。
【請求項11】 削除
【請求項12】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線,少なくとも1つの第2電磁放射線,少なくとも1つの第3電磁放射線又は少なくとも1つの第4電磁放射線のうち少なくとも1つの周波数をシフトするように構成され,さらに,前記干渉のマイナス周波数成分を少なくとも部分的に減縮し,区分し,または,無くすように構成された少なくとも1つの第3アレンジメントと,を備える装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,少なくとも1つの光検出器と,前記少なくとも1つの光検出器の後に続く少なくとも1つの電気アナログフィルタを備える,請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,少なくとも1つの光検出器と,前記少なくとも1つの光検出器の後に続く少なくとも1つの電気アナログフィルタを備える,請求項12に記載の装置。
【請求項15】
更に,検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメントと,
走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供するプローブと,を備える,請求項1に記載の装置。
【請求項16】 削除
【請求項17】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメントと,
走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供するプローブと,を備え,プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する装置。
【請求項18】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,を備え,
前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,前記少なくとも1つの第3電磁放射線に関連した自己相関を除去するように構成された少なくとも1つのデュアルバランスレシーバを備える装置。
【請求項19】
更に,
・前記少なくとも1つの第1電磁放射線と少なくとも1つの第2電磁放射線のうち少なくとも1つ,または,
・前記少なくとも1つの第3電磁放射線と少なくとも1つの第4電磁放射線のうち少なくとも1つ,の少なくとも1つの間の位相差を追跡するように明確に構成された少なくとも1つの第3アレンジメントを備える,請求項1に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,を備え,
前記スペクトルの中央値の変化の速度が少なくとも1000nm/msecである装置。
【請求項21】
スペクトルが少なくとも10kHzの反復レートで反復的に経時変化する,請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1アレンジメントが,スペクトルを経時変化させるスペクトルフィルタを含み,且つ,
前記スペクトルフィルタが,多角形スキャナ,スペクトルを経時変化させるスペクトル分離アレンジメント,及び,前記スペクトル分離アレンジメントから前記干渉の1つまたはそれ以上の成分を直接受け取って,該干渉の1つまたはそれ以上の成分を像平面上に収束及び投影するように構成された少なくとも1つの光学撮像アレンジメントを含む,請求項1に記載の装置。
第3 特許異議申立の取消理由及び証拠について
第1申立人(山下 勝)からは,第1申立書において,請求項1~22に対して,異議申立てがなされている。
また,第2申立人(東京総合コンサルティング株式会社)からは,第2申立書において,請求項1~5,9,10,13,15,16,18,20,21,22に対して,異議申立てがなされている。
なお,以下,第1申立書に添付された甲各号証を「第1甲1」などといい,第2申立書に添付された甲各号証を「第2甲1」などという。
また,各々の申立人は,複数の申立理由を申し立てている。以下,第1申立人の1番目の申立理由を「申立理由第1-1」などということとする。
1 第1申立人の申立理由の概要
第1申立人は,以下の証拠を提出した。
なお,第1甲7,第1甲8及び第1甲10については,平成28年3月3日付け手続補正書(方式)で第1申立人から訳文が提出された。
第1甲1:国際公開第03/062802号及び訳文
第1甲2:特開平10-332329号公報
第1甲3:特表2000-503237号公報
第1甲4;特開昭60-19334号公報
第1甲5:特開2002-95634号公報
第1甲6:特開平8-86746号公報
第1甲7:JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY , VOL.20, NO.9, 2002年9月, pp.1715-1723及び訳文
第1甲8:OPTICS LETTERS, Vol.16, No.12,1991, pp.910-912及び訳文
第1甲9:特開2003-199701号公報
第1甲10:OPTICS LETTERS, Vol.28, No.20, 2003, pp.1981-1983及び訳文
(1) 申立理由第1-1(特許法第29条第2項違反:第1申立書7頁)
ア 請求項1に対して
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。
イ 請求項2~4に対して
第1甲1~第1甲7,第1甲8及び周知技術から容易想到。数値限定は設計事項。
ウ 請求項5~8に対して
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。数値限定は設計事項。
エ 請求項9に対して
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。
オ 請求項10~11
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。
カ 請求項12
第1甲1~第1甲7,第1甲9及び周知技術から容易想到。
キ 請求項13~19
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。
ク 請求項20~21
第1甲1~第1甲7及び周知技術から容易想到。数値限定は設計事項。
ケ 請求項22
第1甲1~第1甲7,第1甲10及び周知技術から容易想到。
(2) 申立理由第1-2(特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同条第4項第1号項違反:第1申立書7頁)
請求項22に係る発明は,具体的構成及び作用が不明確であり,また,発明の詳細な説明との対応が不明確である。
また,発明の詳細な説明において,その具体的構成が何ら記載されておらず,かつ周知のものでもないから,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
2 第2申立人の申立理由の概要
第2申立人は,以下の証拠を提出した。
第2甲1:OPTICS LETTERS, Vol.22, No.22, 1997, pp.1704-1706
第2甲2:OPTICS LETTERS, Vol.28, No.20, 2003, pp.1981-1983
第2甲3:Optics Express, Vol.11, No.22, 2003, pp.2953-2963
第2甲4:米国特許出願公開第2003-0137669号公報及び抄訳文
第2甲5:特開2003-5110号公報
第2甲6:特開平11-305159号公報
第2甲7:第2甲1の和訳
第2甲8:第2甲2の和訳
第2甲9:第3甲3の和訳
第2甲10:特表2003-500861号公報
第2甲11:特開平9-64439号公報
第2甲12:米国特許第5956355号公報及び抄訳文
第2甲13:換算式の説明
第2甲14:拒絶理由通知書
(1) 申立理由第2-1(特許法第29条第2項違反:第2申立書5頁「理由の要点」の項)
ア 請求項1~5,9,13,15,16,18,20~22
これらの請求項に係る発明は,第2甲1及び周知技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
イ 請求項10
請求項10に係る発明は,第2甲1,第2甲2及び周知技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
(2) 申立理由第2-2(特許法第29条第2項違反:第2申立書9頁「理由の要点」の項)
ア 請求項1~5,9,13,15,16,18,20~22
これらの請求項に係る発明は,第2甲1に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
イ 請求項10
請求項10に係る発明は,第2甲1及び周知技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
(3) 申立理由第2-3(特許法第36条第6項第1号又は同条同項第2号違反:第2申立書9頁)
請求項5,10,16に係る発明は,本件明細書の発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないか,または明確でない。
(4) 申立理由第2-4(特許法第36条第4項第1号,特許法第36条第6項第1号又は同条同項第2号違反:第2申立書9頁)
請求項1~5,9,13,15,16,18,20~22に係る発明は,特許法第36条第4項第1号,特許法第36条第6項第1号又は同条同項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 取消理由の概要
平成28年 4月26日付けで通知した当審の取消理由の概要は以下のとおりである。なお,訂正前の請求項1~22に係る発明を,本件発明1~22という。
1 特許法第29条第2項について
(1) 本件発明1~10,13,15,16,18,20,21及び22
これらの発明は,第2甲1及び周知の事項から当業者が容易に発明できたものであるから,請求項1~10,13,15,16,18,20,21及び22に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(2) 本件発明17
本件発明17は,第2甲1,第1項3及び周知の事項から当業者が容易に発明できたものであるから,請求項17に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(3) 本件発明19
本件発明19は,第2甲1,第1項1及び周知の事項から当業者が容易に発明できたものであるから,請求項19に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
2 特許法第36条
請求項10の「リファレンスが,非反射性リファレンス」と規定されているが,その構造等が全く不明である。よって,本件特許明細書は,当業者が本件発明10を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。
よって,特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない
第5 特許法第29条第2項に関する取消理由についての判断
上記「第4 取消理由の概要」で述べたとおり,取消理由は,訂正前の請求項1~10,13,15~22に対して出されており,また,上記「第2 訂正請求について」で述べたとおり,請求項11及び請求項16は削除された。
そこで,削除された請求項を除き,訂正後の請求項1~10,13,15,17~22について,取消理由が解消したか否かを判断する。
1 引用刊行物記載の事項
第2甲1:B. Golubovic, B. E. Bouma, G. J. Tearney, and J. G. Fujimoto, Optical frequency-domain reflectometry using rapid wavelength tuning of a Cr4+ : forsterite laser , OPTICS LETTERS , Vol. 22, No. 22 , November 15, 1997, pp.1704-1706
第2甲2:S. H. Yun, C. Boudoux, G. J. Tearney and B. E. Bouma, High-speed wavelength-swept semiconductor laser with a polygon-scanner-based wavelength filter, OPTICS LETTERS, Vol. 28, No. 20, October 15, 2003 , pp. 1981-1983
第2甲4:米国特許出願公開第2003/0137669号明細書
第1甲3:特表2000-503237号公報
第1甲1:国際公開第03/062802号
第2甲10:特表2003-500861号公報
第2甲11:特開平9-64439号公報
なお,翻訳は,各申立人が提出した翻訳文を参考に当審で翻訳したものである。また,下線は当審で付記したものである。
(1) 第2甲1記載の事項
(第2甲1ア)「We present a cw chromium-doped forsterite laser that permits rapid wavelength tuning over a broad bandwidth and demonstrate the application of this source to frequency-domain ranging and optical tomography. The entire tuning range of 1200 to 1275 nm can be swept in less than 500 ms. This permits frequency-domain ranging to be performed with a scan rate of 2 kHz and an axial resolution of 15 mm.」(1704頁 要約の欄)
「我々は,広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザを提示し,この光源の周波数ドメイン測定と光トモグラフィへの適用を論証する。1200~1275nmの全波長掃引範囲は,500μs未満で掃引可能である。このことは,2kHzのスキャンレートと,15μmの距離分解能を伴う周波数ドメイン測定を実行可能とする。」
(第2甲1イ)「The light source used in this study is a chromiumdoped forsterite(Cr4+:Mg2SiO4) laser that is excited in the near IR.15 A schematic diagram of the experimental apparatus can be seen in Fig. 1. The laser consists of a 3-mm-long Brewster-cut Cr4+:Mg2SiO4 laser crystal in a standard z-cavity configuration. The radius of curvature of the focusing mirrors was 5 cm, and the output coupler had a ref lectivity of 99.3%. The excitation source for this laser was a cw Ti:Al2O3 laser operating at 740 nm. Spectral filtering for narrow-band operation and wavelength tuning are both facilitated by a sequence of four dispersive, Brewster-cut prisms inserted into one of the collimated arms of the laser. Since the angular def lection of a ray traversing this prism sequence is wavelength dependent, only a narrow spectral range will be returned undeviated after ref lection from the resonator end mirror. An angular deflection of the end mirror, then, will shift this spectral range and tune the laser. To perform rapid wavelength scanning, we mounted the laser end mirror upon a tilting galvanometer. This deflector can be driven with triangular voltage functions at frequencies as high as 1 kHz and amplitudes sufficient to cover the emission spectrum of Cr4+:Mg2SiO4.
Light emitted from the laser was coupled into a single-mode fiber-optic Michelson interferometer in which one arm was terminated by a stationary mirror and the sample of interest was placed in the other arm. A polarization controller was used to cancel out any polarization imbalance in the interferometer. To reduce laser noise contributions we implemented a dual-balanced detection technique. The interferometer signal was acquired and digitized with a 150-MHz, 8-bit analog?digital oscilloscope, and the data were transferred to a computer for processing and display. Although we achieved longitudinal (depth) scanning of a sample by rapid tuning of the cw Cr4+:forsterite laser, the sample was displaced transversely to cover the surface area of the sample investigated and allow for three-dimensional image reconstruction.」(1704頁右欄22行~1705頁左欄16行)
「本発明で使用される光源は,近赤外で励起されるクロムドープフォルステライト(Cr4+:Mg2SiO4)レーザである。実験装置の模式図は,図1に示される。レーザはスタンダードなzキャビティ構成の3mm長ブリュースターカットCr4+:Mg2SiO4レーザ結晶からなる。集束鏡の曲率は5cmであり,出力カプラは99.3%の反射率を有していた。本レーザのための励起源は,740nmで動作するcwTi:Al2O3レーザであった。狭帯域動作のためのスペクトルフィルタリングおよび波長掃引はいずれも,レーザコリメートされたアームのひとつに挿入された4つの連なる分散性ブリュースターカットのプリズムにより行われる。このプリズム列を通過する光線の角偏向は波長に依存するので,共振端部反射鏡から反射された後,狭いスペクトル範囲のみが逸れずに返ってくるであろう。高速な波長スキャンを行うため,角度可変のガルバノメータにレーザの端部反射鏡を取り付けた。この反射鏡は,1kHz程度の周波数と,Cr4+:Mg2SiO4の発光スペクトルをカバーするのに十分な振幅と,を有する三角電圧関数で駆動される。
レーザから放たれた光はシングルモード光ファイバマイケルソン干渉計に入力された。この干渉計では,一方のアームは固定鏡で終端され,対象サンプルは他方のアームに置かれた。干渉計における偏光のアンバランスを相殺するために偏光コントローラが使用された。レーザのノイズ寄与を減少させるために我々は,デュアルバランス検出技術を実施した。干渉計信号は150MHz,8ビットのアナログデジタルオシロスコープによって取得されデジタル化された。データは,処理および表示のためにコンピュータに転送された。我々は,Cr4+:フォルステライトレーザの高速掃引によってサンプルの縦(深さ)スキャンを達成したが,調べられるサンプルの表面をカバーし三次元イメージの再構成を可能とするためにサンプルは横方向に動かされた。」
(第2甲1ウ)「For our situation, as noted, the laser operates in multiple longitudinal modes whose time-averaged behavior establishes the effective coherence length measured in this experiment.」(1705頁右欄21~24行)
「我々の状況に関して,述べたように,このレーザは多重の縦モードで動作し,その時間平均の振る舞いがこの実験で測定された有効コヒーレンス長をもたらす。」
(第2甲1エ)「To demonstrate the imaging capability of this system we obtained a surface reconstruction image of the lettering on a U.S. one cent coin. The letters “BE” in “LIBERTY” are shown in Fig.5. The sample was placed at the focus of a lens in the sample arm of the interferometer, and the zero path difference for the two interferometer arms was placed above the surface of the coin. The focal spot size was 20 μm, corresponding to a confocal parameter of 1 mm. To obtain the three-dimensional image we moved the coin on translation stages in a 20 μm×20 μm grid, and at each point a longitudinal scan was acquired. The galvanometric actuator was driven with a 100-Hz triangle drive, resulting in a scan rate of 200 longitudinal scans per second..」(1706頁左欄18~32行)
「このシステムのイメージング能力を示すために,我々は米国1セント硬貨上の文字の表面再構成画像を得た。図5には,「LIBERTY」の「BE」の文字が示される。サンプルは干渉計のサンプルアーム内のレンズの焦点に置かれ,2つの干渉計アームについてのゼロ経路差は効果の表面の上に置かれた。焦点サイズは20μmであった。これは1mmの共焦点パラメータに対応する。三次元画像を得るため,我々は硬貨を移動ステージ上で20μm×20μmグリッドで動かした。そして各点で,縦スキャンが取得された。ガルバノアクチュエータは100Hzの三角駆動で駆動された。これにより毎秒200の縦スキャンが得られた。」
(第2甲1オ)「Scanning speeds are limited by cavity mode buildup times and relaxation oscillation effects. However, the ultimate extension of these techniques using narrow-linewidth tunable diode laser sources would afford even higher scanning speeds and greater ease of use.」(1706頁右欄15~20行)
「掃引速度は共振器モードビルドアップ時間および緩和振動効果により制限される。しかしながら,狭いライン幅の掃引可能ダイオードレーザ源を使用した本技術の根本的な拡張は,より高い掃引速度及び大きな使いやすさを与えるであろう。」
(第2甲1カ)
Fig.1. Schematic diagram of the experimental setup. A/D, analog-digital.
「図1 実験の模式図。 A/D,アナログ-デジタル。」
(第2甲1キ)
Fig.2 Laser output as a function of end-mirror scanning for a 100-Hz triangle dirve frequency.
「図2 端部反射鏡の100Hz三角駆動周波数に関するスキャンの関数とし示したレーザー出力。」
(2) 第2甲2記載の事項
(第2甲2ア)「Ultrahigh-speed tuning of an extended-cavity semiconductor laser is demonstrated. The laser resonator comprises a unidirectional fiber-optic ring, a semiconductor optical amplifier as the gain medium, and a novel scanning filter based on a polygonal scanner. Variable tuning rates up to 1150 nm/ms(15.7-kHz repetition frequency) are demonstrated over a 70-nm wavelength span centered at 1.32 μm. This tuning rate is more than an order of magnitude faster than previously demonstrated and is facilitated in part by self-frequency shifting in the semiconductor optical amplifier. The instantaneous linewidth of the source is ,0.1 nm for 9-mW cw output power and a low spontaneous-emission background of -80 dB.」(1981頁 要約の欄)
「拡張共振器半導体レーザの超高速掃引が示される。レーザ発振器は,一方向光ファイバリングと,利得媒体としての半導体光学増幅器と,多角形スキャナに基づく新規なスキャニングフィルタと,を含む。1.32μmを中心とする70nmの波長範囲に亘る1150nm/ms(反復周波数15.7kHz)までの可変同調速度が論証される。この掃引速度は以前論証されたものよりも一桁大きく,半導体増幅器における自己周波数シフトによって部分的に促進される。光源の瞬時ライン幅は,cw出力電力が9mWで自然放出バックグラウンドが低い-80dBである場合に<0.1nmである。」
(第2甲2イ)「Considerable effort has recently been devoted to the development of rapidly scanning, widely tuning laser sources for optical ref lectometry, biomedical imaging, sensor interrogation, and test and measurement applications.1-8」(1981頁左欄1~4行)
「近年,高速スキャニング,光学反射光測定に関する広範囲掃引レーザ光源,生体医療撮像,センサ問い合わせおよびテスト並びに測定アプリケーションの開発に相当な努力が向けられている。1-8」
(第2甲2ウ)「An instantaneous linewidth of 10 GHz is suff iciently narrow to provide useful ranging depth of a few millimeters in optical coherence tomography5,6 or micrometer-level transverse resolution in spectrally encoded confocal microscopy.9」(1981頁左欄14~19行)
「10GHzの瞬時ライン幅は,光干渉トモグラフィ5,6における数ミリメーターの有効深さ範囲または分光共焦点顕微法におけるマイクロメータレベルの横解像度をもたらすのに十分に狭いものである。9」
(第2甲2エ)「In this Letter we demonstrate an ultrahigh-speed wavelength-swept laser with a tuning speed as fast as 1150 nm/ms and a variable repetition rate as high as 15.7 kHz, an order of magnitude faster than previously demonstrated.」(1981頁左欄27~31行)
「このレターにおいて,我々は,1150nm/ms程度の同調速度であって,以前論証されたものより一桁速い,15.7kHzより速い可変繰り返しレートを伴う超高速波長掃引レーザを論証する。」
(第2甲2オ)「A schematic of the wavelength-scanning filter is presented in Fig. 1. The reflection-type filter comprises a diffraction grating, an afocal telescope, and a polygonal scanner.」(1981頁右欄3~6行)
「図1には,波長掃引フィルタの模式図が示される。反射型フィルタは,回折格子と,アフォーカル望遠鏡と,多角形スキャナと,を備える。」
(第2甲2カ)
Fig.1.Schematic of high-speed wavelength-scanning filter.
「図1 光速波長掃引フィルタの模式図。」
(第2甲2キ)
「6. B. Golubovic, B. E. Bouma, G. J. Tearney, and J. G.Fujimoto, Opt. Lett. 22, 1704 (1997).」(1983頁右欄「References」の項)
(3) 第2甲4記載の事項
(第2甲4ア) (図11)
(第2甲4イ)
「[0100]・・・ FIG. 11 illustrates a schematic of a Mach-Zehnder OCT system to measure backscatter as a function of angle.・・・」(8頁右欄18~20行)
「図11は,後方散乱を角度の関数として測定するためのマッハツェンダー型OCTシステムの概略を示す。」
(4) 第1甲3記載の事項
(第1甲3ア)「【要約】
光学的にコヒーレントな断層撮影を行う撮像システムは,光照射源と,参照光反射器と,参照光反射器につながる第1の光路と,内視鏡ユニットに接続された第2の光路とを含む。内視鏡ユニットは好適には,孔を規定する細長いハウジングと,細長いハウジングの孔内に位置して孔の長さ方向に延びる,近位端と遠位端とを有する回転可能な単一モードの光ファイバと,回転可能な単一モードの光ファイバの遠位端に接続されて単一モードの光ファイバからの光照射を構造体に伝達し且つ構造体からの反射光照射を単一モードの光ファイバに伝達するように位置づけられた光学システムとを含む。システムはさらに,光照射源からの光照射を反射器への第1の光路に沿って及び第2の光路に沿って分割するビーム分割器と,第1の光路に沿って伝達された反射器からの反射光と第2の光路に沿って構造体から伝達された反射光とを受け取るように位置づけられた検出器とをさらに含む。検出器は,参照反射器からの反射光照射と構造体からの反射光照射とに応答して信号を発生させ,プロセッサは,検出器からの信号に応答して構造体の画像を生成する。システムは,画像の回転方向および長手方向の両方の走査を提供する。」(要約の項)
(第1甲3イ)「1.インサイチュで構造体を撮像する装置であって,
光照射源と,
参照光反射器と,光照射とプローブユニットとを連結する手段とを有する,該照射源に結合された干渉計と,
を含む装置であって,
該プローブユニットが,
孔を規定する細長いハウジングであって,該孔内に位置され該孔の長さ方向に延びる,近位端と遠位端とを有する少なくとも1つの光ファイバを有する,細長いハウジングと,
該光照射源を該ファイバの該近位端に接続する結合器と,
該光ファイバの該遠位端に接続され該ファイバからの光照射を構造体に伝達し且つ該構造体からの光照射を該光ファイバの該遠位端に伝達するように位置づけられた光システムと,
該ファイバの該遠位端からの該伝達された光照射を方向づけるビームディレクタと,
該参照反射器から反射した光照射と該構造体から反射した光照射とに応答して
信号を発生させる検出器と,
該検出器からの該信号に応答して該構造体の画像を生成するプロセッサと,を含む装置であって,
該光照射を連結する手段が,該参照反射器および該構造体からの光照射を受け取って連結し,連結された光を該検出器方向に向ける,装置。」
・・・
8.前記プローブユニットが,光照射を前記構造体方向に向ける,少なくとも1つの回転光学システムを含み,前記ファイバが前記孔内で回転可能である,請求項1に記載の装置。」(2~3頁記載の特許請求の範囲の請求項1及び請求項8)
(第1甲3ウ)「内視鏡ユニット34から発光される光放射ビームを回転させることによって,回転走査が実現され得る。回転走査では,半径が内視鏡ユニット34の縦軸でセンタリングされる周方向の経路が観察される。」(10頁下から5行~下から3行)
(第1甲3エ)「図8を参照して回転走査機構35をさらに詳細に述べる。回転走査機構35は,典型的には,回転機構52と光結合システム53とを含む。」(17頁下から3行~下から2行)
(5) 第1甲1記載の事項
(第1甲1ア)「PHASE TRACKING
The present invention also provides apparatus and methods for phase tracking in spectral domain(SD) OCT.
Fully parallel SD OCT
One of the features of fully parallel SD OCT is spectral dispersion of the detection arm light onto a multi-element array such as but not limiting to an integrating device(e.g., CCD) and measurement of the real or complex spectral density at high speeds. The detection arm beam is separated by a spectral separating unit(e.g., grating) and focused onto the array. With respect to previous Spectral Domain OCT designs known in the art, two differences are apparent that will be discussed below: 1) implementation of balanced detection, and, 2) implementation of phase tracking.
・・・
Phase Tracking: Phase tracking is preferable to eliminate phase instabilities in the interferometer. Phase instabilities can cause individual interferometric fringes to shift in location. If detection is slow relative to the shifting of the fringes, the resulting averaging results in an artifactual decrease in the measured fringe amplitude. Fast detection arrays can capture the cross spectral density at a rate of 20 to 40 kHz, resulting in integration times of 50 to 25 μsec, respectively. Phase instabilities arising on a time frame shorter than the integration time of the array should be compensated .」(明細書25頁22行~26頁下から9行)
「位相追跡
また,本発明は,スペクトラルドメイン”SD”OCTにおける位相追跡のための装置及び方法を提供する。
完全に並行なSD OCT
完全に並行なSD OCTの特徴の1つは,これに限定しないが,積分装置(例えば,CCD)等,検出アーム光の多要素アレイへのスペクトル分散と,高速での実数又は複素スペクトル密度の測定である。検出アームビームは,スペクトル分離ユニット(例えば,回折格子)によって分離され,アレイ上に集光される。当分野で知られている従来のスペクトラルドメインOCT設計に対して,後述する2つの差異が明らかである。即ち,1)平衡検出の実現,及び2)位相追跡の実現である。
・・・
位相追跡:位相追跡は,干渉計における位相不安定性を除去するために好ましい。位相の不安定性は,個々の干渉計の干渉縞が位置をシフトする原因になり得る。検出が干渉縞のシフト動作に対して遅い場合,その結果生じる平均化により,測定された干渉縞振幅は,人為的に減少する。高速検出アレイは,相互スペクトル密度を20乃至40kHzのレートで捕獲でき,それぞれ,積分時間が50乃至25μ秒になる。時間フレームがアレイの積分時間より短いと生じる位相不安定性は,補正すべきである。」
(第1甲1イ)「Dual balanced detection
Dual balanced detection is advantageous for at least three reasons. First, most light sources generate 1/f noise at relatively low frequencies (tens of kHz range). In time domain (TD) OCT systems 1/f noise is not a problem because the signal carrier is in general in the MHz range where 1/f noise is not significant. In SD OCT, balanced detection may likely eliminate 1/f source noise. Second, an interference of the sample arm light with itself (auto-correlation term) is present on top of the true signal. This auto-correlation term can be eliminated by a differential technique. Balanced detection can be used to eliminate this autocorrelation term from the measured signal. Third, balanced detection may reduce relative intensity or Bose Einstein noise. 」(明細書24頁20行~末行)
「デュアルバランス検出
デュアルバランス検出は,好ましくは,本発明で以下の理由により好ましく利用される。第1に,ほとんどの光は,比較的低い周波数において1/f(f=周波数)ノイズを発生する。バランスされた検出器は,1/fソースノイズを除去する。第2に,サンプルアーム光それ自身(自己相関分)を伴うサンプルアーム光の干渉光が,サンプルとリファレンスアーム間の干渉である真のシグナル分の先頭に存在する。この自己相関分は,差分手法によって除去し得る。バランスされた検出は測定信号からこの自己相関分を除去し得る。第3に,RNIが減少され得る。」
(第1甲1ウ)「Fig. 3 shows a schematic of one exemplary embodiment of a Spectral Domain OCT system 200, which includes a light source 202, splitter 204, reference arm 206, sample arm 208, tissue sample 130, optical element 210, grating 212, lens 214, detector 216 array, and processor 218. The detection arm light is dispersed by the grating 212 and the spectrum imaged onto a detector array 216. By stepping the reference arm 206 length over a distance λ/8, the cross spectral density of reference arm 206 and sample arm 208 light can be determined. A Fourier transform of the cross spectral density generates the depth profile information.
Sources
The source arm 203 contains at least light source 202 that is used to illuminate the interferometer with low-coherence light. The source temporal coherence length is preferably shorter than a few microns (a preferred range is about 0.5 μm - 30 μm). Examples of sources include, but are not limited to, semiconductor optical amplifier, superluminescent diodes, light-emitting diodes, solid-state femtosecond sources, amplified spontaneous emission, continuum sources, thermal sources, combinations thereof and the like. Other appropriate sources known to those skilled in the art may be used. While light is referred to herein as the source, it is intended that other electromagnetic radiation ranges may be suitable for use, depending on the circumstances. 」(明細書26頁5~14行)
「デュアルバランス検出
デュアルバランス検出は,少なくとも3つの理由で有利である。第1に,ほとんどの光源は,比較的低周波数(10kHz領域)で1/fノイズを発生する。信号搬送波が,1/fノイズが顕著でないMHzにあることが一般的であるため,時間ドメイン(TD)OCTシステムにおいて,1/fノイズは問題ではない。SD-OCTにおいては,バランスされた検出は,1/fノイズを除去するのに適当である。第2に,サンプルアーム光とそれ自身(自己相関分)の干渉が,真の信号の先頭に存在する。この自己相関分は,差分法により除去し得る。バランスされた検出器は,測定信号からこの自己相関分を除去するのに使い得る。第3に,バランスされた検出器は,相対強度又はボーズアインシュタインノイズを相対的に減少し得る。」
(第1甲1エ)「Fig. 3 shows a schematic of one exemplary embodiment of a Spectral Domain OCT system 200, which includes a light source 202, splitter 204, reference arm 206, sample arm 208, tissue sample 130, optical element 210, grating 212, lens 214, detector 216 array, and processor 218. The detection arm light is dispersed by the grating 212 and the spectrum imaged onto a detector array 216. By stepping the reference arm 206 length over a distance λ/8, the cross spectral density of reference arm 206 and sample arm 208 light can be determined. A Fourier transform of the cross spectral density generates the depth profile information.
Sources
The source arm 203 contains at least light source 202 that is used to illuminate the interferometer with low-coherence light. The source temporal coherence length is preferably shorter than a few microns (a preferred range is about 0.5 μm - 30 μm). Examples of sources include, but are not limited to, semiconductor optical amplifier, superluminescent diodes, light-emitting diodes, solid-state femtosecond sources, amplified spontaneous emission, continuum sources, thermal sources, combinations thereof and the like. Other appropriate sources known to those skilled in the art may be used. While light is referred to herein as the source, it is intended that other electromagnetic radiation ranges may be suitable for use, depending on the circumstances. 」(明細書13頁16行~14頁1行)
「図3は,スペクトラルドメインOCTシステム200の一実施形態の概略図であって,光源202,スプリッタ204,参照アーム206,サンプルアーム208,組織サンプル130,光学要素210,回折格子212,レンズ214,検出器216アレイ,及びプロセッサ218を含む。検出アーム光が,回折格子212によって分けられ,スペクトルがアレイ216上に結像される。距離λ/8を超えて,参照アーム206の長さをステッピングすることによって,参照アーム206及びサンプルアーム208の光の交叉スペクトル密度を求めることができる。交叉スペクトル密度のフーリエ変換は,深さプロファイル情報を生成する。
光源
光源アーム203は,低コヒーレンス光を用いた干渉計を照射するために用いられるところの光源202を少なくとも含んでいる。光源の時間的なコヒーレンス長は,数ミクロンより短い(好適な範囲は,約0.5μm乃至30μm)。光源としては,限定されないが,半導体光増幅器,超発光性ダイオード,発光ダイオード,固体フェムト秒光源,増幅式自然発光連続光源,熱光源,及びこれらの組合せなどが挙げられる。当業者に公知の他の適切な光源を使用することができる。光は光源と呼ぶことにするが,他の電磁放射が,使用に好適であるなら,状況に応じて適用し得ることが意図される。」
第2甲10:特表2003-500861号公報
(第2甲10ア)「【請求項1】レーザーアクティブエレメント(1)と,
自己収束エレメント(2)と,
プリズムエレメント(3)と,
反射に対する負の群速度分散(GVDn)を有する少なくとも1つの誘電性ミラー(4)であって,これによって,前記レーザーアクティブエレメントで増幅可能な光スペクトルの連続的部分に対して,前記少なくとも1つの誘電性ミラー(4)の群速度分散と前記レーザーアクティブエレメント及び前記プリズムエレメント(3)の群速度分散との合計が負である,すなわち
【数1】(当審注:数式省略)
となる少なくとも1つの誘電性ミラー(4)と,
前記レーザーアクティブエレメント(1)に空間的に隣接して配置され,凹部表面を前記レーザーエレメント(1)に向けて方位付けされた2つの凹面ミラー(41,42)と,
光出力カップラ(5)とを備えているリング共振器を有する受動モードロックフェムト秒レーザーにおいて,
前記共振器の光路長が,120cm未満であり,好適には60cm未満,好適には30未満,特には15cm未満であり,
前記レーザーアクティブエレメント(1)に隣接して配置された前記凹面ミラー(41,42)の各々の焦点距離(f41,f42)が,3cm未満であり,好適には2cm未満,特には1.5cm以下であることを特徴とし,
これによりフェムト秒パルスの高速繰り返し発生が達成可能であり,さらに,
少なくとも前記誘電性ミラー(4)又は前記出力ミラー(5)又はさらなるミラーが,前記プリズムエレメント(3)の空間分散と相互関連させて傾斜角度をチューニングし,これによって,前記共振器がレーザーのアクティビティをサポートする波長が調整可能であるようにすることによって軸に対して傾斜可能であることを特徴とする受動モードロックフェムト秒レーザー。」
第2甲11:特開平9-64439号公報
(第2甲11ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,例えば,光通信,光波長計測等の分野で使用されるレーザ光源装置に関する。とくに,この発明のレーザ光源装置は相互注入同期現象を利用したレーザ光源装置からヒントを得たもので,複合光共振器の作用を利用して,広い波長帯域にわたって発振が可能な可変波長光源であり,そのスペクトル線幅が狭く,しかも高いサイドモード抑圧比(SMSR;Side Mode Suppression Ratio)を実現している点に特徴がある。従って,この発明のレーザ光源装置は,光の波長(周波数)制御システムとして利用することができる高いモードの安定性を有し,しかも高い分解能で設定できる波長で発振するレーザ光源装置となっている。」
(第2甲11イ)「【0026】図1,2に示したこの発明の複合共振器構成のレーザ光源を可変波長動作させる場合について,図5を用いて説明する。波長掃引動作は粗調・微調および連続波長掃引動作の3つの制御がある。図5にそれぞれの掃引動作の説明図を示す。図5(a)は粗調動作の例を示す図である。初期状態でAに回折格子1の弁別曲線があり,このときの発振光波長はこの曲線内に含まれる複合共振器モードαの位置である。この状態から回折格子1を回転させて回折格子弁別曲線をAからBに移動させると,この弁別曲線の移動に従って,移動方向に存在する次の複合共振器モードのゲインが次第に強くなり発振周波数はαからβ位置にジャンプする。この複合共振器モード間隔は数百pmと比較的広い光波長間隔であり,回折格子の回転を広い角度で行えば,百nm程度の波長範囲をこの複合共振器モードの間隔で粗調掃引できる。
【0027】図5(b)は微調動作の例を示す図である。この場合は,図5(a)で数百pmの分解能で粗い発振光波長を設定した後その近傍を数十pm程度の波長分解能で波長設定するときに使用する。この場合,回折格子1は固定し,帰還用ミラー3の位置を光軸方向に変化させることにより複合共振器モードの位置を回折格子1の弁別曲線の半値全幅内で移動させる。図5(b)はAからBへ複合共振器モードを変化させている状態を示している。本発明の光源は複合共振器モードが発振する光共振器モードを選択するため,図5(b)の場合は複合共振器モードはα・β・γの3本の光共振器モードを随時選択し,数十pm間隔の波長ジャンプを繰り返して波長掃引及び設定することができる。
【0028】図5(c)は連続波長掃引動作を示す図である。上に示した粗調動作と微調動作は,波長の跳びを含む波長掃引動作であった。これに対して光共振器長を変化できるように構成し,帰還ミラー3の移動による複合共振器モードの移動と同期するように光共振器モードを移動させれば,波長跳びのない掃引を実現できる。図5(c)ではAの波長位置で光共振器モードと複合共振器モードの重なり合いにより発振していた波長を,Bの位置までこのモードの重なり合いを保持したまま移動させることによりAからBの間の波長領域で連続掃引を行う場合の動作を示している。以上のような3種類の掃引動作は,必ずしも単一で動作させる必要はなく,例えば(a)の場合と(c)の場合とを組み合わせて広帯域な波長連続掃引を行うことも可能である。
【0029】本発明の特徴は,このような掃引動作を行って任意の波長に発振波長を設定する場合,従来の光源のように設定分解能が低い回折格子弁別曲線の中心波長により発振波長が決定されるのではなく,高精度な位置設定可能なPZT等で制御された複合共振器モードが発振波長を決定するため,良好な波長再現性と高い設定分解能を実現した光源となることである。」
(第2甲11ウ)「【0021】
【発明の実施の形態】・・・このレーザ光源13は光反射体1,2によって作られる光共振器11を利用している。光共振器11はその長さLが50mm,FSRが25pmというようなものである。光ゲイン媒体4としては,例えばInGaAsP,GaAlAsのような半導体を使用する。・・・」
2 第2甲1記載の発明
第2甲1の記載事項について述べられている第2申立書17頁17行~18頁7行の記載に加え,次の事項が理解される。
(事項1)
使用されるレーザは,広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)(第2甲1イ)(第2甲1ア)であることが理解される。
(事項2)
「1200~1275nmの全波長掃引範囲は,500μs未満で掃引可能」(第2甲1ア)と記載され,周波数=光速/波長及び光速=2.998×108(m/s)を用いると,波長1200nmは,周波数約250テラヘルツ,波長1275nmは,周波数約235テラヘルツと計算される。
そして,「1200~1275nm」,すなわち,235~250テラヘルツの掃引範囲を「500μs」で掃引されることとなるから,同調速度は,(約250-約235)テラヘルツ/500μs=約29.4テラヘルツ/msと計算される。(第1申立書18頁「(4-1-3)甲1発明と本件発明1との対比」の項参照。)
(事項3)
図1(第2甲1カ)記載の光路は,「レーザから放たれた光はシングルモード光ファイバマイケルソン干渉計に入力され」(第2甲1イ)「この干渉計では,一方のアームは固定鏡で終端され,対象サンプルは他方のアームに置かれた」(第2甲1イ)との記載から,図1(第2甲1カ)で点線で囲まれ図示された「レーザ」からの光は,2方向に分けられ,一つの光(「第1の光」という。)はサンプルへ送られ,他の光(「第2の光」という。)は,リファレンス鏡が終端にあるリファレンスへ送られていることが分かり,それぞれ光路を「アーム」(第1の光が通るアームを「第1のアーム」,第2の光が通るアームを「第2のアーム」という。)ということが理解される。
(事項4)
図1(第2甲1カ)記載のコンピュータから,「TRANSVERSESCANNING」,すなわち,横方向走査する信号がサンプルに送られ,サンプルの横に十字の矢印で図示されているようにサンプルが走査されていることが理解され,図1(第2甲1カ)の装置を用いて,「このシステムのイメージング能力を示すために,我々は硬貨を移動ステージ上で20μm×20μmグリッドで動かし」(第2甲1エ)「米国1セント硬貨上の文字の表面再構成画像を得た」(第2甲1エ)ことが理解されるから,図1(第2甲1カ)の装置により,サンプルを横方向走査して再構成画像を得ることが理解される。
以上のことから,摘記箇所並びに前記(事項1)~(事項4)を付して整理すると,第2甲1には次の発明(以下,「第2甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「A) 第1の光を第1のアームを通してサンプルに提供すると共に,第2の光を第2のアームを通してリファレンス鏡に提供するレーザおよびカプラであって(第2甲1カ)(事項3),
B) 前記レーザは,広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)であり(事項1),
C) 前記第1の光及び前記第2の光が,平均周波数がある速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し(第2甲1キ),
D) 前記レーザは,1200~1275nmを全波長掃引範囲とし,同調速度が,約29.4テラヘルツ/msであり(事項2),
E) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含み(第2甲1ウ),
F) 前記第1の光と関連したサンプルから反射して戻る第3の光と,前記第2の光と関連したリファレンスミラーで反射して戻る第4の光の間の干渉を検出する,レーザのノイズ寄与を減少させることができるデュアルバランス検出器およびアナログデジタルオシロスコープ(第2甲1カ)(第2甲1イ)と,
G) 検出信号に基づいて画像を生成するコンピュータ(第2甲1カ)と,
を備える装置であって,
H) サンプルを横方向走査して再構成画像を得ることができる装置(事項4)。」
3 本件訂正発明1に対して
当審にて,本件訂正発明1を分節し見出しを付けると次のように整理される。
「【請求項1】
a) 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,
b) 前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,
c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
d) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
e) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器と,
を備える装置。」
(1) 対比
本件訂正発明1と第2甲1発明を対比する。
ア 本件訂正発明1a)の特定事項について
第2甲1発明A)の「第1の光」は,本件訂正発明1a)の「少なくとも1つの第1電磁放射線」に相当する。
よって,第2甲1発明A)の「第1の光を第1のアームを通してサンプルに提供する」ことは,本件訂正発明1a)の「少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供する」ことに相当する。
また,第2甲1発明A)の「第2の光」は,本件訂正発明1a)の「少なくとも1つの第2電磁放射線」に相当する。
よって,第2甲1発明A)の「第2の光を第2のアームを通してリファレンス鏡に提供する」ことは,本件訂正発明1a)の「少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する」ことに相当する。
そして,以上のことから,第2甲1発明A)の「レーザおよびカプラ」は「第1の光を第1のアームを通してサンプルに提供すると共に,第2の光を第2のアームを通してリファレンス鏡に提供する」装置(アレンジメント)は,その機能に照らし,本件訂正発明1a)の「少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する」「少なくとも1つの第1アレンジメント」に相当する。
イ 本件訂正発明1b)の特定事項について
第2甲1発明のC)「前記第1の光及び前記第2の光が,平均周波数がある速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」し,D)「前記レーザは,・・・,同調速度が,約29.4テラヘルツ/ms」である構造と,本件訂正発明1b)の「前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」することとは,同調速度が一致しておらず,「前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が所定の同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」するという点で共通する。
ウ 本件訂正発明1c)の特定事項について
第2甲1発明E)の「前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含」むことは,本件訂正発明1c)の「前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含む」ことに相当する。
エ 本件訂正発明1d)の特定事項について
第2甲1発明F)の「前記第1の光と関連したサンプルから反射して戻る第3の光」及び「前記第2の光と関連したリファレンスミラーで反射して戻る第4の光」は,その光路からみて,第2甲1発明F)の「前記第1の光と関連したサンプルから反射して戻る第3の光」及び「前記第2の光と関連したリファレンスミラーで反射して戻る第4の光」にそれぞれ相当する。
そうすると,第2甲1発明F)の「前記第1の光と関連したサンプルから反射して戻る第3の光と,前記第2の光と関連したリファレンスミラーで反射して戻る第4の光の間の干渉を検出する,レーザのノイズ寄与を減少させることができるデュアルバランス検出器」は,本件訂正発明1d)の「前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメント」に相当する。
オ 本件訂正発明1e)の特定事項について
第2甲1発明は,本件訂正発明1e)の特定事項を具備していない。
カ 小括
以上のことを総合すると,両発明の間には次の一致点及び相違点がある。
一致点:「a) 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,
b) 前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が所定の周波数より大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,
c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
d) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントを備える装置。」
相違点1:b)の同調速度の所定の周波数が,本件訂正発明1では「毎ミリ秒100テラヘルツより大きい」のに対して,第2甲1発明では,「約29.4テラヘルツ/ms」である点。
相違点2:本件訂正発明1が「e) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器」を有するのに対して,第2甲1発明はかかる特定事項を具備していない点。
(2) 検討
ア 相違点1について
第2甲1の要約の欄には「広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザを提示し,この光源の周波数ドメイン測定と光トモグラフィへの適用を論証する。」(第2甲1ア)と第2甲1論文の目的が記載されている。
そして,その結果「Cr4+:フォルステライトレーザの高速掃引によってサンプルの縦(深さ)スキャンを達成し」(第2甲1イ)できたことが示され,「本技術の根本的な拡張は,より高い掃引速度及び大きな使いやすさを与えるであろう。」(第2甲1オ)と考察している。
以上のことから,周波数の高速掃引,すなわち,同調速度の速いレーザが望まれていることが理解され,第2甲1発明の「cwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)」より同調速度の高いレーザを試してみようとする動機があったものといえる。
他方,例えば,第2甲2の(第2甲2ア)には,「1150nm/ms」の掃引レートの「レーザ発振器」が記載され,第2申立書19頁10~13行記載の換算式に鑑み,周波数=光速/波長及び光速=2.998×108(m/s)を用いて周波数に換算すると,261テラヘルツ/msとなる。本件特許の出願の優先日前には,同調速度が100テラヘルツの倍以上のものが存在しており,本件訂正特許1の「毎ミリ秒100テラヘルツより大きい」ものは周知のものとなっていたといえる。
そうすると,第2甲1発明において,第2甲2記載のような周知の技術事項であるところの同調速度の速いレーザを採用することにより,相違点1に記載の本件訂正発明1のごとく構成することは,当業者にとって困難なことではない。
イ 相違点2について
本件訂正発明1の特定事項である「前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器」は,第1申立人及び第2申立人の提出したいずれの甲号証にも記載は無い。
よって,第2甲1発明において,相違点2に記載の本件訂正発明1のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこととはいえない。
(3) 本件訂正発明1の小括
以上のことから,本件訂正発明1は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできず,本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
4 本件訂正発明2~4に対して
本件訂正発明2~4は,訂正後の請求項1を引用する発明であって,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた理由で,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできないのだから,訂正後の請求項1をより限定した訂正後の請求項2~4に係る特許を取り消すことはできない。
5 本件訂正発明5に対して
(1) 対比
本件訂正発明5は,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した本件訂正発明1のa)~d)と同じ特定事項を含む発明である。
本件訂正発明5と第2甲1発明を対比すると,該同じ特定事項については,上記「(3) 本件訂正発明1に対して」の「(1)ア 本件訂正発明1a)の特定事項について」~「エ 本件訂正発明1d)の特定事項について」に記したのと同様に対比でき,本件訂正発明1と第2甲1発明との一致点と同じ下記の一致点がある。
そして,本件訂正発明5と第2甲1発明との間には,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した相違点1に加えて,次の相違点3があり,そして,次の一致点がある。
一致点:「a) 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,
b) 前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が所定の周波数より大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,
c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
d) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントを備える装置。」
相違点3:b)「所定の同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,」「c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含む」光を発する光源が,本件訂正発明5では「往復長さが5mより短いレーザキャビティ」を備えるのに対して,第2甲1発明の「広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)」のレーザキャビティの長さが分からない点。
(2) 検討
ア 相違点1について
上記「3 本件訂正発明1に対して」の「(2)ア 相違点1について」で述べたのと同様の理由で,第2甲1発明において,相違点1に記載の本件訂正発明5のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこといえる。
イ 相違点3について
(ア) 設計事項について
レーザキャビティの長さは,本件特許明細書等の【0089】によれば「出力パワーは,同調速度が増すにつれて減少してよい。そこで,同調速度に対する出力パワーの感度を下げるためにキャビティ長は小さいのが望ましいと言える。」という技術的意義がある。
上記した技術的意義の上で「往復長さが5mより短い」ことが選択されたのであるから,設計的事項といえない。
(イ) 他の証拠について
第2申立人の提出する第2甲10の請求項1には,「前記共振器の光路長が,120cm未満であり,好適には60cm未満,好適には30未満,特には15cm未満・・・受動モードロックフェムト秒レーザ」についての記載されているが,フェムト秒レーザに関するレーザキャビティーであって,第2甲1発明のC)「ほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」するレーザとは異なるレーザに関する技術である。
よって,第2甲1発明に第2甲10の技術を適用する動機が無い。
また,第2申立人の提出する第2甲11には,「光共振器11はその長さLが50mm」(第2甲11ウ)が記載されている。
しかしながら,「光通信,光波長計測等の分野で使用されるレーザ光源装置」(第2甲11ア)が記載されており,通信や波長計測に使用するのであれば,固定した波長で使用することは明らかである。
これを裏付けるように,(第2甲11イ)によると,「粗調動作」,「微調動作」及び「連続波長掃引動作」ができることが記載されており,「連続波長掃引動作」(第2甲11イ)について記載があるが,その目的は「このような掃引動作を行って任意の波長に発振波長を設定する」ことであり,常に所定の同調速度で連続波長掃引を行うものではない。
そうすると,第2甲1発明の「約29.4テラヘルツ/ms」の「同調速度」(周波数がチャープする速度を意味する。)で「ほぼ連続的に経時変化するスペクトル」を有する「広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)」のレーザキャビティとして,第2甲11記載のレーザキャビティ採用する動機が無い。
仮に適用できるとしても本件特許明細書等の【0089】記載の「同調速度に対する出力パワーの感度を下げるためにキャビティ長は小さいのが望ましいと言える。」という効果を予測することは当業者にとって困難なことである。
第1申立人及び第2申立人が提出した他の証拠にも,第2甲1発明のC)「平均周波数がある速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し」,D)「前記レーザは,1200~1275nmを全波長掃引範囲とし,同調速度が,約29.4テラヘルツ/msであり」,かつ,E)「前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含む」光を発することができるB)「広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)」において適用し得るような,「往復長さが5mより短いレーザキャビティ」を備えたものは無い。
(エ) 小括
以上のことから,第2甲1発明において,相違点3に記載の本件訂正発明5の特定事項のごとく構成するとは,設計事項であるといえないし,第1申立人及び第2申立人の提出した他の証拠にも,レーザキャビティについて第2甲1発明に適用可能な技術事項の記載は無いから,当業者といえども本件訂正発明5を発明することは困難であるといえる。
よって,本件訂正発明5は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできず,訂正後の請求項5に係る特許を取り消すことはできない。
6 本件訂正発明6~8
本件訂正発明6~8は,請求項1を引用する請求項3を引用する発明であって,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた理由で,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできないのだから,訂正後の請求項1をより限定した訂正後の請求項6~8に係る特許を取り消すことはできない。
7 本件訂正発明9に対して
(1) 対比
本件訂正発明9は,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した本件訂正発明1のa)~d)と同じ特定事項を含む発明である。
本件訂正発明9と第2甲1発明を対比すると,該同じ特定事項については,上記「(3) 本件訂正発明1に対して」の「(1)ア 本件訂正発明1a)の特定事項について」~「エ 本件訂正発明1d)の特定事項について」に記したのと同様に対比できる。
そして,本件訂正発明9と第2甲1発明との間には,上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた相違点1に加えて,次の点で相違する。
相違点4:本件訂正発明9が「少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップ」を備えるのに対して,第2甲1発明は,該事項を備えていない点。
(2) 検討
ア 相違点1について
上記「3 本件訂正発明1に対して」の「(2)ア 相違点1について」で述べたのと同様の理由で,第2甲1発明において,相違点1に記載の本件訂正発明9のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこといえる。
イ 相違点4について
本件訂正発明9の特定事項である「少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップ」は,第1申立人及び第2申立人の提出したいずれの証拠にも記載されていない。
よって,第2甲1発明において,相違点4に記載の本件訂正発明のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこととはいえない。
ウ 以上のことから,本件訂正発明9は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできず,訂正後の請求項9に係る特許を取り消すことはできない。
8 本件訂正発明10,13及び15に対して
本件訂正発明10,13及び15は,請求項1を直接又は間接的に引用する発明であって,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた理由で,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできないのだから,訂正後の請求項1をより限定した訂正後の請求項10,13及び15に係る特許を取り消すことはできない。
9 本件訂正発明17に対して
当審において,本件訂正発明17の発明特定事項を分節して見出しを付けて整理すると,次のようになる。
「【請求項17】
a) 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,
b) 前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,
c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
d) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
e) 検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメントと,
f) 走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供するプローブと,を備え,
g) プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する装置。」
(1) 対比
ア 本件訂正発明17a)~d)の特定事項について
本件訂正発明17は,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した本件訂正発明1のa)~d)と同じ特定事項を含む発明である。
本件訂正発明17と第2甲1発明を対比すると,該同じ特定事項については,上記「(3) 本件訂正発明1に対して」の「(1)ア 本件訂正発明1a)の特定事項について」~「エ 本件訂正発明1d)の特定事項について」に記したのと同様に対比できる。
イ 本件訂正発明17e)の特定事項について
第2甲1発明のF)「干渉を検出する,・・・デュアルバランス検出器」で検出された,G)「検出信号に基づいて画像を生成するコンピュータ」は,機能からみて,本件訂正発明17e)の「検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメント」に相当する。
ウ 本件訂正発明17f)の特定事項について
第2甲1発明H)の「サンプルを横方向走査して再構成画像を得る」ことは,本件訂正発明17f)の「走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査」することに相当する。
第2甲1発明H)の「サンプルを横方向走査して再構成画像」を得るには,G)「検出信号に基づいて画像を生成するコンピュータ」に「横方向走査」して得られた検出信号に提供されることとなることは自明なことであり,検出信号の提供を担う器具といえるものが第2甲1発明に具備されていることは明らかである。しかしながら,該器具が本件訂正発明17f)の「プローブ」といえるか明らかではない。
そうすると,検出信号を得るために第2甲1発明H)の「サンプルを横方向走査し」,その走査した検出信号から「再構成画像」を得るべく,G)「画像を生成するコンピュータ」に提供する器具と,「f) 走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供するプローブ」とは,「f) 走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供する器具」という点で共通する。
エ 本件訂正発明17g)の特定事項について
「ウ 本件訂正発明17f)の特定事項について」で述べたように,第2甲1発明が本件訂正発明17f)の「プローブ」と共通する機能を有する器具を具備していることは明らかである。
しかしながら,第2甲1発明の該器具は,本件訂正発明17g)の「プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する」機能までは具備していない。
オ 小括
以上のことを総合すると,両発明の間には次の一致点があり,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した相違点1に加えて,次の相違点5がある。
一致点:「a) 少なくとも1つの第1電磁放射線をサンプルに提供すると共に,少なくとも1つの第2電磁放射線をリファレンスに提供する少なくとも1つの第1アレンジメントであって,
b) 前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が所定の周波数より大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,
c) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含むものと,
d) 前記少なくとも1つの第1電磁放射線と関連した少なくとも1つの第3電磁放射線と,前記少なくとも1つの第2電磁放射線と関連した少なくとも1つの第4電磁放射線の間の干渉を検出する少なくとも1つの第2アレンジメントと,
e) 検出された干渉に基づいて画像を生成する少なくとも1つの第3アレンジメントと,
f) 走査データ生成のためにサンプルの横方向位置を走査し,その走査データを画像生成のために前記第3アレンジメントに提供する器具と,を備え
た装置。」
相違点5:f)の器具が,本件訂正発明17では,「プローブ」であって,さらに,「g) プローブが回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えると共に,前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する」機能を有するのに対して,第2甲1発明は器具を有するもののプローブといえるか明らかでなく,かつ,器具が前記g)の機能を有するものでもない点。
(2) 検討
ア 相違点1について
上記「3 本件訂正発明1に対して」の「(2)ア 相違点1について」で述べたのと同様の理由で,第2甲1発明において,相違点1に記載の本件訂正発明17のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこといえる。
イ 相違点5について
第1甲3の(第1甲3ア)には,「回転可能な単一モードの光ファイバ」を有する「光学的にコヒーレントな断層撮影を行う撮像システム」を「内視鏡ユニット」に搭載したものが記載され,そのための装置として(第1甲3イ)の請求項1に,「プローブユニット」が記載されている。
該「プローブユニット」は,(第1甲3イ)の請求項8に「前記プローブユニットが,光照射を前記構造体方向に向ける,少なくとも1つの回転光学システムを含」むことが記載されており,さらに,該「回転光学システム」は,(第1甲3エ)によると「回転機構52と光結合システム53とを含む」「回転走査機構35」を有していることが記載されている。
そこで,第1甲3の摘記事項に付した上記下線の事項に注目すると,「回転可能な単一モードの光ファイバ」を有する「内視鏡ユニット」は,機能及び構造からみて,本件訂正発明17g)の「光ファイバーカテーテル」に相当するといえる。また,第1甲3記載の「プローブユニット」が有する「回転光学システム」には,「回転機構52と光結合システム」が含まれていることが理解されるから,本件訂正発明17g)「回転接合器と光ファイバーカテーテルを備える」f)「プローブ」が記載されているといえる。
診断のため患者の体内においても断層像を撮像しようとすることは医師であれば誰もが思うことである。第2甲1発明において,第2甲1発明に具備されていることが自明な「器具」を,体内を撮影するため第1甲3記載の前記技術事項を適用して,本件訂正発明17g)及びf)のごとく「回転接合器と光ファイバーカテーテルを備える」「プローブ」とすることに困難性はない。
また,回転速度について第1甲3に記載が無いが,(第1甲3ウ)に「内視鏡ユニット34から発光される光放射ビームを回転させることによって,回転走査が実現され得る。」と,撮影のために回転させる以上,その実施に当たっては回転速度を決める必要があることは明らかである。
そして,内視鏡やカテーテルにおいて,毎秒30回転程度の回転機構を設けることは,下記周知技術Aや周知技術Bに記載のように周知の確立した技術事項であって,高速に撮影をすることは自明な課題であるから,回転速度を上げることで,本件訂正発明17g)のごとくの「前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する」ように構成することは,単なる設計的事項にすぎない。
以上のことを総合すると,第2甲1発明において,検出信号の提供を担う器具に,第1甲3記載の技術事項を適用することで,回転接合器と光ファイバーカテーテルを備えるプローブとし,高速に撮影するために該プローブの回転数を単に毎秒30回転以上とすることで,相違点5に記した本件訂正発明17の特定事項のごとく構成することは,当業者にとって困難なことではない。
周知技術A:日本国実用新案登録出願5-862号(日本国実用新案登録出願公開6-55605号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD-ROM
(周Aア)「【0017】
しかしながら,いずれにしても本実施例の軸受28を備えるだけで,体内挿入後にカテーテルチューブ26の破損の防止と良好な断層画像の作成を図ることが可能であり,体内挿入後に例えばカテーテルチューブ26の内部で先端部23を含むプローブアセンブリ25が1秒間に30回転という高速回転をした場合でも,カテーテルチューブ26の破損もなく,かつ安定した断層画像を得ることができるようになる。」
周知技術B:特開平6-178776号公報
(周Bア)「【0009】
【作用】保証されている回転数に対して使用中の超音波プローブの総回転数あるいは総回転時間を知ることによって,医師らは事前に新たなプローブを準備することができ,常に装置やプローブを正常な状態におくことによって良質な診断を行なうことが可能となる。
【0010】
【実施例】第1実施例におけるブロック図を図1に示す。全体のシステムは細径プローブ部21とモータドライバ部20さらにシステム本体19から構成される。この実施例はプローブ部のみ定期交換を行なう方式であり,細径プローブ部21内に個々のプローブを識別するID番号発生器9を有する方式である。細径プローブ部21では直径2mm程度のカテーテル(あるいはチューブ)の先端内部に1個の超音波振動子1を装着する。この振動子1にはチューブ壁2に埋め込まれた信号線3およびアース線を通じてモータドライバ部20に内蔵されたパルサ11から振動子駆動信号が送られ,また受信信号は振動子1から信号線3を介して同じモータドライバ部20にあるプリアンプ12に送られる。
【0011】この実施例では前記振動子1と対向させて音響ミラー4が振動子面に対して45度の傾斜をもって配置される。このミラー4は回転ケーブル(トルクケーブル)5と接続され,一方トルクケーブル5の他端に接続されたモータドライバ部20内のモータ6の回転力はこのトルクケーブル5によってミラー4に伝えられ,ミラー4を毎秒30回転程度に高速回転運動させる。」
ウ 効果について
本件訂正発明17g)の「前記カテーテルが毎秒30回転より高い速度で回転する」ことについて,回転速度の下限を「毎秒30回転」とした効果及び技術的意義について具体的な記載は本件特許明細書等に記載が無いし,本件特許の出願の優先権主張日前の技術常識に照らし,高速で撮影できるという他に特段の効果が奏されるとも認められない。
そうすると,本件訂正発明17の効果は,第2甲1,第2甲2,第1甲3及び周知の技術事項から当業者が予測し得るものであって,格別顕著なものとはいえない。
(3) 本件訂正発明17の小括
以上のことから,本件訂正発明17は,第2甲1,第2甲2,第1甲3及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件訂正後の請求項17に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
10 本件訂正発明18に対して
本件訂正発明18は,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した本件訂正発明1のa)~d)と同じ特定事項を含む発明である。
本件訂正発明18と第2甲1発明を対比すると,該同じ特定事項については,上記「(3) 本件訂正発明1に対して」の「(1)ア 本件訂正発明1a)の特定事項について」~「エ 本件訂正発明1d)の特定事項について」に記したのと同様に対比できる。
そして,本件訂正発明18と第2甲1発明との間には,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した相違点1に加えて,次の相違点6があり,その他の点で一致する。
相違点6:本件訂正発明18では,「前記少なくとも1つの第2アレンジメントが,前記少なくとも1つの第3電磁放射線に関連した自己相関を除去するように構成された少なくとも1つのデュアルバランスレシーバ」を備えるのに対して,第2甲1発明は,かかる特定事項を具備していない点。
(2) 検討
ア 相違点1について
上記「3 本件訂正発明1に対して」の「(2)ア 相違点1について」で述べたのと同様の理由で,第2甲1発明において,相違点1に記載の本件訂正発明18のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこといえる。
イ 相違点6について
第1甲1に「デュアルバランス検出・・・第2に,サンプルアーム光それ自身(自己相関分)を伴うサンプルアーム光の干渉光が,サンプルとリファレンスアーム間の干渉である真のシグナル分の先頭に存在する。この自己相関分は,差分手法によって除去し得る。」(第1甲1イ)と記載され,「第2に,サンプルアーム光とそれ自身(自己相関分)の干渉が,真の信号の先頭に存在する。この自己相関分は,差分法により除去し得る。バランスされた検出器は,測定信号からこの自己相関分を除去するのに使い得る。」(第1甲1ウ)と記載されているのだから,第2甲1発明において,相違点6記載の本件訂正発明18のごとく構成することは,当業者にとって困難なことではない。
ウ 効果について
本件訂正発明18の効果は,第2甲1,第2甲2,第1甲1及び周知の技術事項から当業者が予測し得るものであって,格別顕著なものとはいえない。
(3) 本件訂正発明18の小括
以上のことから,本件訂正発明18は,第2甲1,第2甲2,第1甲1及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件訂正後の請求項18に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
11 本件訂正発明19に対して
本件訂正発明19は,訂正後の請求項1を引用する発明であって,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた理由で,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできないのだから,訂正後の請求項1をより限定した訂正後の請求項19に係る特許を取り消すことはできない。
12 本件訂正発明20に対して
本件訂正発明20は,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した本件訂正発明1のa)~d)と同じ特定事項を含む発明である。
本件訂正発明20と第2甲1発明を対比すると,該同じ特定事項については,上記「(3) 本件訂正発明1に対して」の「(1)ア 本件訂正発明1a)の特定事項について」~「エ 本件訂正発明1d)の特定事項について」に記したのと同様に対比できる。
そして,本件訂正発明20と第2甲1発明との間には,上記「3 本件訂正発明1に対して」に記した相違点1に加えて,次の相違点7があり,その他の点で一致する。
相違点7:本件訂正発明20が「前記スペクトルの中央値の変化の速度が少なくとも1000nm/msec」であるのに対して,第2甲1発明は,その点が不明である点。
(2) 検討
ア 相違点1について
上記「3 本件訂正発明1に対して」の「(2)ア 相違点1について」で述べたのと同様の理由で,第2甲1発明において,相違点1に記載の本件訂正発明20のごとく構成することは,当業者にとって容易になし得たこといえる。
イ 相違点7について
第2甲2に同調速度が「1150nm/ms(反復周波数15.7kHz)までの可変掃引レート」(第2甲2ア)が記載されている。
第2甲1発明の「E) 前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含」むレーザのように,中央値を有するレーザにおいては,中央値の変化速度で同調速度を表記するのが通例と認められるから,本件訂正発明20のごとくの「前記スペクトルの中央値の変化の速度が少なくとも1000nm/msec」レーザは,本件特許の出願の優先日前から知られていたといえる。
そうすると,第2甲1発明において,第2甲2に記載の事項を付加することにより,相違点7に記した本件訂正発明20のごとく構成することは,当業者が容易になし得たことといえる。
ウ 効果について
本件訂正発明20の効果は,第2甲1,第2甲2,周知の事項及び技術常識から当業者が予測し得るものであって,格別顕著なものでもない。
エ 被申立人の主張について
なお,被申立人は,平成28年8月8日付け意見書12頁の「g)」の項で,本件訂正発明20は「平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に変化するスペクトル」(下線は,被請求人が付したものである。)の「中央値の変化速度が1000nm/ms」であることを強調する。
しかしながら,第2甲1発明B)の「広い帯域にわたって高速な波長掃引を可能とするcwクロムドープしたフォルステライトレーザ(Cr4+:Mg2SiO4)」は「C) 前記第1の光及び前記第2の光が,平均周波数がある速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」するものである。(なお,連続的に経時変化するスペクトルを有することについて,必要なら第2申立書17頁23~27を参照されたい。)
そして,第2甲2には「近年,高速スキャニング,光学反射光測定に関する広範囲掃引レーザ光源,生体医療撮像,センサ問い合わせおよびテスト並びに測定アプリケーションの開発に相当な努力が向けられている。1-8」(第2甲2イ)と参照刊行物1~8が示され,そのうちの参照刊行物6は,上記「イ 相違点7について」で論じた第2甲2である。
これらのことから,第2甲2の技術は,第2甲1(第2甲2キ)を含む広範囲掃引レーザ光源の改良技術であると理解される。
そうすると,第2甲1発明において,「C)平均周波数がある速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有」する「前記第1の光及び前記第2の光」光について,変化速度を第2甲1の改良技術である第2甲2に記載の「1150nm/ms(反復周波数15.7kHz)までの可変掃引レート」(第2甲2ア)とすることは,自然なことである。
よって,被申立人の主張を採用することはできない。
(3) 本件訂正発明20の小括
よって,本件訂正発明20は,第2甲1発明,第2甲2,周知の事項及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件訂正後の請求項20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
13 本件訂正発明21及び22に対して
本件訂正発明21及び22は,訂正後の請求項1を引用する発明であって,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「3 本件訂正発明1に対して」で述べた理由で,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできないのだから,訂正後の請求項1をより限定した訂正後の請求項21及び22に係る特許を取り消すことはできない。
第6 特許法第36条に関する取消理由についての判断
訂正後の請求項10に記載の「非反射性リファレンス」について,「非反射性」とは,光を吸収するものが含まれたり様々に解されると共に,「非反射性リファレンス」という表現も一般的な表現とはいえない。
しかしながら,本件特許明細書等の【0102】や【0119】に「透過タイプ」という記載があり,本件特許明細書等を参酌すれば,「非反射性リファレンス」とは「透過タイプのリファレンス」を意味すると理解でき,特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たさないとまではいえない。
また,「透過タイプのリファレンス」として訂正後の請求項10に係る発明を作れ,かつ,使用することができるから特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないということはできない。
第7 第1申立人の申立理由について
1 申立理由第1-1(特許法第29条第2項)について
(1) 本件訂正発明1~4及び本件訂正発明6~8に対して
本件訂正発明1の特定事項である「前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するように構成された少なくとも1つの偏光変調器」は,第1申立人の提出したいずれの証拠にも該事項の記載は無い。
よって,本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
また,訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する発明である本件訂正発明2~4及び本件訂正発明6~8は,本件訂正発明1をより限定した発明である。上記したように本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明1をより限定した本件訂正発明2~4及び本件訂正発明6~8を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(2) 本件訂正発明5に対して
第1申立人の提出したいずれの証拠にも,本件訂正発明5の「往復長さが5mより短いレーザキャビティ」を有する装置は記載されておらず,また,上記「第5 特許法第29条第2項に関する取消理由についての判断」の「5 本件訂正発明5に対して」で述べたのと同様に,設計的事項ともいえない。
よって,本件訂正発明5を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(3) 本件訂正発明9に対して
本件訂正発明9の特定事項である「少なくとも1つの偏光変調器により,前記少なくとも1つの第1電磁放射線または前記少なくとも1つの第2電磁放射線の少なくとも1つの偏光を時間について変調するステップ」は,第1申立人の提出したいずれの証拠にも記載されていない。
よって,本件訂正発明9を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(4) 本件訂正発明10
訂正後の請求項1を引用する発明である本件訂正発明10は,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「(1)本件訂正発明1~4及び本件訂正発明6~8に対して」で述べたように本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明1をより限定した本件訂正発明10を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(5) 訂正後の請求項11
本件訂正により請求項11は削除されたので,第1申立人の請求項11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
(6) 本件訂正発明12に対して
ア 第1甲1記載の発明
第1申立人が主張する主刊行物である第1甲1の(第1甲1エ)の記載からみて,第1甲1には次の発明(以下,「第1甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「低コヒーレンス光を用いた光源202,スプリッタ204,参照アーム206,サンプルアーム208,組織サンプル130,光学要素210,回折格子212,レンズ214,検出器216アレイ,及びプロセッサ218を含む,スペクトラルドメインOCTシステム200。」
イ 対比
本件訂正発明12と第1甲1発明を対比すると,少なくとも次の点で相違する。
相違点8:本件訂正発明12が,「前記第1電磁放射線または前記第2電磁放射線のうち少なくとも1つが,平均周波数が毎ミリ秒100テラヘルツより大きい同調速度でほぼ連続的に経時変化するスペクトルを有し,前記スペクトルが,多重の異なる縦モードを含む」のに対して,第1甲1発明は「低コヒーレンス光を用いた光源」を用いる点。
ウ 相違点8についての検討
第1申立人は,第1甲2及び第1甲3に記載の周知技術から,かかる相違点は容易になし得たことと主張する。(第1申立書21頁1~9行)
しかしながら,第1甲2に記載の技術は,要約に記載のようにコヒーレント光を使用する技術である。また,第1甲3に記載の技術も,要約に記載のようにコヒーレント光を使用する技術である。
第1甲1発明は,「低コヒーレンス光を用いた光源」を使用することを必須とする発明であって,第1甲1発明の「低コヒーレンス光を用いた光源」を第1甲2及び第1甲3に記載のようなコヒーレント光の光源に置換する動機がない。
よって,第1申立人の主張する申立理由によって,本件訂正発明12を取り消すことはできない。
(7) 本件訂正発明13に対して
訂正後の請求項1を引用する発明である本件訂正発明13は,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「第7 1(1)本件訂正発明1~4及び本件訂正発明6~8に対して」で述べたとおり,本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明1をより限定した本件訂正発明13を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(8) 本件訂正発明14に対して
訂正後の請求項12を引用する発明である本件訂正発明14は,本件訂正発明12をより限定した発明である。
上記「第7 1 (6) 本件訂正発明12に対して」で述べたとおり,本件訂正発明12を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明12をより限定した本件訂正発明14を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(9) 本件訂正発明15に対して
訂正後の請求項1を引用する発明である本件訂正発明15は,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「第7 1(1)本件訂正発明1~4及び本件訂正発明6~8に対して」で述べたとおり,本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明15をより限定した本件訂正発明15を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(10) 訂正後の請求項16
本件訂正により請求項16は削除されたので,第1申立人の請求項16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
(11) 本件訂正発明17及び18に対して
第1申立人の申立理由を検討するまでも無く,上記「第5 9 本件訂正発明17に対して」及び「第5 10 本件訂正発明18に対して」で述べた理由で取り消されることとなった。
(12) 本件訂正発明19に対して
訂正後の請求項1を引用する発明である本件訂正発明19は,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「(1) 本件訂正発明1~4及び本件訂正発明6~8に対して」で述べたように本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明1をより限定した本件訂正発明19を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
(13) 本件訂正発明20に対して
第1申立人の申立理由を検討するまでも無く,上記「第5 12 本件訂正発明20に対して」で述べた理由で取り消されることとなった。
(14) 本件訂正発明21及び22に対して
訂正後の請求項1を引用する発明である本件訂正発明21及び22は,本件訂正発明1をより限定した発明である。
上記「(1) 本件訂正発明1並びに本件訂正発明2~4に対して」で述べたように本件訂正発明1を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできないのだから,本件訂正発明1をより限定した本件訂正発明21及び22を特許法第29条第2項に違反してされたものということはできない。
2 申立理由第1-2(特許法第36条第1号及び第2号並びに同法同条第4項第1号)について
(1) 申立理由第1-2の詳細
第1申立人は,請求項22について,次のように主張する。(第1申立書25頁「エ 記載不備の理由」の項)
『「【請求項22】
前記少なくとも1つの第1アレンジメントが,スペクトルを経時変化させるスペクトルフィルタを含み,且つ,
前記スペクトルフィルタが,多角形スキャナ,スペクトルを経時変化させるスペクトル分離アレンジメント,及び,前記スペクトル分離アレンジメントから前記干渉の1つまたはそれ以上の成分を直接受け取って,該干渉の1つまたはそれ以上の成分を像平面上に収束及び投影するように構成された少なくとも1つの光学撮像アレンジメントを含む,請求項1に記載の装置。」と記載されている。しかしながら,例えば「スペクトルフィルタ」,「多角スキャナ」,「スペクトル分離アレンジメント」,及び,「光学撮像アレンジメント」等についての具体的構成及び作用が不明である。また,請求項22に記載された構成について,発明の詳細な説明の記載との関係が不明確である。』
(2) 当審の判断
第2甲2に,図1(第2甲2カ)に「高速波長掃引フィルタ」が示され,「回折格子と,アフォーカル望遠鏡と,多角形スキャナと,を備える」(第2甲2オ)「反射型フィルタ」(第2甲2オ)が記載されていように,請求項22の特定事項は,本件特許の出願の優先日前から周知の事項である。
よって,具体的な記載が本件特許明細書の発明の詳細な説明に無いとしても,当業者であれば特許請求の範囲の記載をみれば直ちに具体的な構成を思い浮かべることができるから,本件特許明細書は,当業者が本件訂正発明22を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえる。
また,本件訂正後の請求項22の特許請求の範囲の記載は,不明瞭な点はなく,また,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えてなされたものともいえない。
よって,本件訂正発明22を,特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとして取り消すことはできない。
第8 第2申立人の申立理由について
1 申立理由第2-1(特許法第29条第2項)及び申立理由第2-2(特許法第29条第2項)について
申立理由第2-1及び申立理由第2-2は,訂正前の請求項1~5,9,10,13,15,16,18及び20~22に対してなされた申立てであり,共に第2甲1を主引用例とするものである。
請求項1~5,9,10,13,15,18及び20~22の判断については,上記「第5 特許法第29条第2項に関する取消理由についての判断」で述べたとおりである。
また,本件訂正により請求項16は削除されたので,第2申立人の請求項16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
2 申立理由第2-3(特許法第36条第6項第1号及び第2号)について
(1) 第2申立人は,請求項5について,「往復長さが5mより短いレーザキャビティ」が不明である旨を主張するが,文字通り,レーザキャビティの往復長さを規定するものであり明確であると共に,本件特許明細書等の【0089】に,その技術的意義が記載されており,サポート要件を満たさないものでもない。
(2) 請求項10について,「非反射性リファレンス」が不明である旨を主張するが,上記「第6 特許法第36条に関する取消理由についての判断」で述べた理由で,不明瞭な点はないし,サポート要件を満たさないものでもない。
(3) 請求項16について,訂正により請求項16は削除されたので,第2申立人の請求項16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
3 申立理由2-4(特許法第36条第1号及び第2号並びに同法同条第4項第1号)について
第2申立人は,本件発明1~5,9,10,13,15,16,18,20~22について,これらの発明の中で特定される数値や技術的事項に関して,具体的実現手段やその技術的意義について十分な開示がなされていない旨を主張する。
しかしながら,本件特許明細書等に具体的実現手段やその技術的意義について十分な開示がなされいるといえるし,仮に足りない記載があるとしても上記「第5 1 引用刊行物記載の事項」で摘記した第2甲1,第2甲2,第2甲4,第1甲3及び第1甲1の記載事項は,本件特許の出願時の技術水準を示すものであって,これらを知る当業者が本件特許明細書等を読めば,本件訂正発明の特定事項についての具体的実現手段やその技術的意義について,直ちに理解するものといえる。
したがって,不明瞭な点はないし,サポート要件及び実施可能要件を満たさないものでもない。
第9 むすび
以上のとおり,
本件訂正発明17は,第2甲1,第2甲2,第1甲3及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである,
本件訂正発明18は,第2甲1,第2甲2,第1甲1及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである,
本件訂正発明20は,第2甲1発明,第2甲2及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本件訂正発明17,18及び20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,訂正後の請求項17,18及び20に係る特許は,特許法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。
また,本件訂正後の請求項1~10,12~15,19,21,22に係る特許については,第1申立書及び第2申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできないし,他に,これらの請求項に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして,請求項11及び16に係る特許は,訂正により,削除されたため,本件特許の請求項11及び16に対して第1申立人がした特許異議の申立て及び請求項16に対して第2申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在せず,これらの請求項に対する申立てを却下する。
よって,結論のとおり決定する。
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2016-700060