特許拒絶査定不服審判
2016-016648
遊技機
- 審判番号
- 2016-016648
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-030954外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月07日
- 審決日
- 2017年06月19日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 30954「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月27日出願公開、特開2015-154846〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月20日の出願であって、平成27年4月7日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し同年6月3日付けで手続補正がなされ、同年11月25日付けで最後の拒絶理由通知がされ、これに対し平成28年1月26日付けで手続補正がなされたが、同年8月1日付け(発送日:同年8月9日)で同年1月26日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
平成28年1月26日付けの手続補正は既に却下されている。そして、本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成27年6月3日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A~Jについては発明を分説するため当審で付与した。)。
(補正前:平成27年6月3日付けの手続補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立を契機に所定の特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果に基づいて演出手段にて実行される演出に関する制御を行う演出制御手段と、
遊技者により操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する操作を検知可能な操作検知手段と、を備え、
前記演出を実行中であって、前記操作手段に対する操作を受け付ける所定の有効期間内に前記操作検知手段が前記操作手段に対する操作を検知したときに、前記演出を変化させることが可能な遊技機において、
前記演出制御手段は、前記有効期間内において前記操作手段に対する操作を促す操作促進表示を行う操作促進表示手段を有し、
前記操作促進表示は、前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における特定のタイミングを示す表示を含む
ことを特徴とする遊技機。」
(補正後:本件補正である平成28年11月7日付けの手続補正)
「【請求項1】
A 所定の始動条件の成立を契機に所定の特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
B 該判定手段による判定結果に基づいて演出手段にて実行される演出に関する制御を行う演出制御手段と、
C 遊技者により操作可能な操作手段と、
D 前記操作手段に対する操作を検知可能な操作検知手段と、を備え、
E 前記演出を実行中であって、前記操作手段に対する操作を受け付ける所定の有効期間内に前記操作検知手段が前記操作手段に対する操作を検知したときに、前記演出を変化させることが可能な遊技機において、
F 前記演出制御手段は、前記有効期間内において前記操作手段に対する操作を促す操作促進表示を行う操作促進表示手段を有し、
G 前記操作促進表示は、前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における前記操作手段に対する操作を行うべき単一の特定タイミングを示す表示を含み、
H 前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われた場合には特定演出を実行し、
I 前記特定演出は、前記判定結果を示唆する示唆演出を含み、
J 前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われなかった場合には、前記特定演出の実行を制限する
ことを特徴とする遊技機。」
2.補正の適否
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部が加わるように補正された。すなわち、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「操作促進表示手段」が「行う」「操作促進表示」について、「前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における特定のタイミングを示す表示を含む」ものから、「前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における前記操作手段に対する操作を行うべき単一の特定タイミングを示す表示を含」むものへと限定されるとともに、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「演出制御手段」が「制御を行」い「演出手段にて」「演出」が「実行され」るのであって「前記操作手段に対する操作を受け付ける所定の有効期間内に前記操作検知手段が前記操作手段に対する操作を検知したときに、前記演出を変化させることが可能」であることについて、「前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われた場合には特定演出を実行し、前記特定演出は、前記判定結果を示唆する示唆演出を含み、前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われなかった場合には、前記特定演出の実行を制限する」という限定を付加したものである。
そうすると、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0408】、【0415】、【0420】及び【0421】並びに図47、図48、図49等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示したとおりのものである。
(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-18598号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ア 「【請求項1】
始動口への遊技球の入球に起因して抽出した乱数値によって大当りを生起させるか否かを抽選する主制御装置から送信される制御信号に基づいて、演出図柄表示装置における表示演出を制御するサブ制御装置と、
遊技者が操作可能な演出ボタンと、を備えた弾球遊技機において、
前記サブ制御装置は、
受信した前記制御信号の種類に基づいて、前記演出ボタンを用いるボタン演出を実施するか否か判定するボタン演出判定手段、を備え、
該ボタン演出判定手段の判定に応じて前記ボタン演出を実施すると、前記演出図柄表示装置に、
特別図柄に対応した演出図柄に加え、
少なくとも前記操作手段(当審注:「操作手段」は「演出ボタン」の誤記と認められる。)の操作を促す操作指示部と、
前記操作手段(当審注:「操作手段」は「演出ボタン」の誤記と認められる。)の操作が有効となってからの経過時間、又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部と、
該メーター部に設けられ、計時中の有効期間がどれくらい経過したかを表示位置の移動によって示す経過時間移動表示部と、
前記有効期間の計時に応じた値を少なくとも2桁の数値で示す経過時間数値表示部と、を表示し、
前記有効期間中に前記演出ボタンを操作すると、前記経過時間移動表示部の移動を停止するとともに、前記経過時間数値表示部に該操作時に応じた時間を停止表示し、該停止表示した時間が、所定の時間であれば特別な表示演出を行い、該所定の時間以外であれば通常の表示演出を行い、前記メーター部の前記所定の時間を示す位置に目印を配置した
ことを特徴とする弾球遊技機。」
イ 上記アにおいて、「有効期間中に前記演出ボタンを操作すると」、「該操作時に応じた時間」が「所定の時間であれば」「行」われる「特別な表示演出」は、その演出による表示が「特別図柄に対応した演出図柄に加え」て表示されるものであることから、「演出図柄表示装置における表示演出」中に行われることは明らかである。
ウ 上記アにおいて、「演出ボタンを操作すると」、「該操作時に応じた時間」が「所定の時間であれば特別な表示演出を行」うのであるから、演出ボタンに対する操作を検知可能な操作検知手段を有することは明らかである。
エ 上記アにおいて、「演出図柄表示装置における表示演出を制御する」のは「サブ制御装置」であるから、「サブ制御装置」は「演出図柄表示装置に、特別図柄に対応した演出図柄に加え」、「前記有効期間中に」「前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と」、「前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部と」、の「表示」を行う制御手段を有するといえる。
オ 上記アにおいて、「前記メーター部の前記所定の時間を示す位置に目印」が「配置」され、「有効期間中に前記演出ボタンを操作すると」「該操作時に応じた時間」「が、所定の時間であれば特別な表示演出を行」うことは、操作時に応じた時間が前記メーター部に配置された目印の位置により示される所定の時間であれば特別な表示演出を実行することといえる。
上記記載事項ア及び認定事項イ~オを総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a~jについては引用発明を分説するため当審で付与した。)。
「a 始動口への遊技球の入球に起因して大当りを生起させるか否かを抽選する主制御装置と(記載事項ア)、
b 前記主制御装置から送信される制御信号に基づいて、演出図柄表示装置における表示演出を制御するサブ制御装置と(記載事項ア)、
c 遊技者が操作可能な演出ボタンと(記載事項ア)、
d 演出ボタンに対する操作を検知可能な操作検知手段と(認定事項ウ)、を備え、
e 演出図柄表示装置における表示演出中であって、有効期間中に前記演出ボタンの操作を操作検知手段が検知すると、該操作時に応じた時間が所定の時間であれば特別な表示演出を行う弾球遊技機において(記載事項ア、認定事項イ、ウ)、
f 前記サブ制御装置は、演出図柄表示装置に、特別図柄に対応した演出図柄に加え、前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部と、の表示を行う制御手段を有し(記載事項ア、認定事項エ)、
g 前記メーター部の前記所定の時間を示す位置に目印が配置され(記載事項ア)、
h 前記操作時に応じた時間が前記メーター部に配置された目印の位置により示される前記所定の時間であれば特別な表示演出を実行し(認定事項オ)、
j 前記所定の時間以外であれば通常の表示演出を行う(記載事項ア)
弾球遊技機(記載事項ア)。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)~(j)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。
(a)引用発明の「始動口への遊技球の入球」、「大当り」及び「抽選」は、それぞれ本願補正発明の「所定の条件の成立」、「所定の特別遊技」及び「判定」に相当する。
したがって、引用発明の「始動口への遊技球の入球に起因して大当りを生起させるか否かを抽選する主制御装置」は、本願補正発明の「所定の始動条件の成立を契機に所定の特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段」の機能を有する。
(b)引用発明において「前記主制御装置から送信される制御信号」は、「主制御装置」による「抽選」の結果に基づくものであることは明らかである。
したがって、引用発明の「前記主制御装置から送信される制御信号に基づいて、演出図柄表示装置における表示演出を制御するサブ制御装置」は、本願補正発明の「該判定手段による判定結果に基づいて演出手段にて実行される演出に関する制御を行う演出制御手段」に相当する。
(c)引用発明の「遊技者が操作可能な演出ボタン」は、本願補正発明の「遊技者により操作可能な操作手段」に相当する。
(d)引用発明の「演出ボタンに対する操作を検知可能な操作検知手段」は、本願補正発明の「前記操作手段に対する操作を検知可能な操作検知手段」に相当する。
(e)引用発明において、「演出図柄表示装置における表示演出中」に「特別な表示演出を行う」ことは「表示演出」を変化させることといえる。
したがって、引用発明の「演出図柄表示装置における表示演出中であって、有効期間中に前記演出ボタンの操作を操作検知手段が検知すると、該操作時に応じた時間が所定の時間であれば特別な表示演出を行う弾球遊技機」は、本願補正発明の「前記演出を実行中であって、前記操作手段に対する操作を受け付ける所定の有効期間内に前記操作検知手段が前記操作手段に対する操作を検知したときに、前記演出を変化させることが可能な遊技機」に相当する。
(f)引用発明の「前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部と」からなるものは、メータ部も、演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すものであって有効期間中の演出ボタンの操作を促すものといえるから、本願補正発明の「前記有効期間内において前記演出ボタンに対する操作を促す操作促進表示」に相当する。
したがって、引用発明において「前記サブ制御装置は」「前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部と、の表示を行う制御手段を有」することは、本願補正発明の「前記演出制御手段は、前記有効期間内において前記演出ボタンに対する操作を促す操作促進表示を行う操作促進表示手段を有」することに相当する。
(g)引用発明の「前記メータ部の前記所定の時間を示す位置に」「配置」された「目印」は、その数が特定されていないが、1つあれば「演出ボタンの操作時に応じた」「特別な表示演出」を行い得るのは明らかであり、単一の特定のタイミングを示す表示といえる。
そして、引用発明の「前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部」とからなるものは、上記(f)でいう操作促進表示に相当するし、メーター部を含んでいる。
さらに、「前記メーター部」は「前記所定の時間を示す位置」に「配置」された「目印」を含むことは明らかである。
そのうえ、引用発明のfの「前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部」は、本願補正発明の「前記有効期間内において前記演出ボタンに対する操作を促す操作促進表示」をするものである。
結局、引用発明のfの「前記有効期間中に前記演出ボタンの操作を促す操作指示部と、前記演出ボタンの操作が有効となってからの経過時間又は該操作が無効となるまでの残り時間を示すメーター部」において、gの「前記メーター部の前記所定の時間を示す位置に目印が配置され」ていることは、本願補正発明の「前記操作促進表示は、前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における前記操作手段に対する操作を行うべき単一の特定タイミングを示す表示を含」むことに相当する。
(h)引用発明の「特別な表示演出」は、本願補正発明の「特定演出」に相当する。
したがって、上記(g)の検討も踏まえれば、引用発明の「前記操作時に応じた時間が前記メーター部に配置された目印の位置により示される所定の時間であれば特別な表示演出を実行」することは、本願補正発明の「前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われた場合には特定演出を実行」することに相当する。
(j)引用発明の「前記所定の時間以外であれば通常の表示演出を行う」ことは、前記所定の時間以外であれば特別な表示演出を行わないことは明らかであり、この場合は特別な演出の実行を制限するといえる。
したがって、上記(g)及び(h)の検討も踏まえれば、引用発明の「前記所定の時間以外であれば通常の表示演出を行う」ことは、本願補正発明の「前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われなかった場合には、前記特定演出の実行を制限する」ことに相当する。
そうすると、両者は、
「A 所定の始動条件の成立を契機に所定の特別遊技を実行するか否かを判定する判定手段と、
B 該判定手段による判定結果に基づいて演出手段にて実行される演出に関する制御を行う演出制御手段と、
C 遊技者により操作可能な操作手段と、
D 前記操作手段に対する操作を検知可能な操作検知手段と、を備え、
E 前記演出を実行中であって、前記操作手段に対する操作を受け付ける所定の有効期間内に前記操作検知手段が前記操作手段に対する操作を検知したときに、前記演出を変化させることが可能な遊技機において、
F 前記演出制御手段は、前記有効期間内において前記操作手段に対する操作を促す操作促進表示を行う操作促進表示手段を有し、
G 前記操作促進表示は、前記操作手段に対する操作を促す表示とともに、前記有効期間内における前記操作手段に対する操作を行うべき単一の特定タイミングを示す表示を含み、
H 前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われた場合には特定演出を実行し、
J 前記単一の特定タイミングで前記操作手段に対する操作が行われなかった場合には、前記特定演出の実行を制限する遊技機。」
である点で一致し、構成Iに関し次の点で相違する。
(相違点)
特定演出は、本願補正発明では判定結果を示唆する示唆演出を含むのに対し、引用発明ではそのようなものか否か特定されていない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
刊行物1には以下の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0097】
図11(4)は、遊技ボタン14が特別停止秒数に合わせて実施された場合、即ち、操作が成功し数値表示部に3桁の同じ数字が表示された場合、又は変動パターン8、9に応じた特別遊技ボタン演出の実施時に遊技ボタン14が操作された場合に表示される特別演出(本発明の特別な表示演出に該当)を示す図例となる。
【0098】
特別演出が実施されると、数値表示部に表示された3桁の同一数字はそのまま停止表示を継続し、ボタン操作指示部とメーター部とがキャラクター(達吉)とコメント表示部に入れ替わる。この場合のキャラクターは笑顔の達吉となり、最下部のコメント表示部には、現在変動表示中の抽選結果に対して、当りハズレがはっきり分かるコメントを表示する。当りハズレがはっきり分かるコメントとは、例えば、図例にあるように「やったぜ大当りだ!」であれば、変動表示中の抽選が必ず大当りとなることを示唆し、「残念ハズレです」であれば、必ずはずれることを示唆する。」
そして、上記記載の「現在変動表示中の抽選結果に対して、当りハズレがはっきり分かるコメントを表示する。当りハズレがはっきり分かるコメントとは、例えば、図例にあるように「やったぜ大当りだ!」であれば、変動表示中の抽選が必ず大当りとなることを示唆し、「残念ハズレです」であれば、必ずはずれることを示唆する」ような表示は、「本発明(引用発明)の特別な表示演出に該当」する「特別演出が実施されると」行われるものであることから、刊行物1の請求項1に記載された「特別な表示演出」に相当することは明らかである。
また、「現在変動表示中の抽選結果に対して、当りハズレがはっきり分かるコメントを表示する。当りハズレがはっきり分かるコメントとは、例えば、図例にあるように「やったぜ大当りだ!」であれば、変動表示中の抽選が必ず大当りとなることを示唆し、「残念ハズレです」であれば、必ずはずれることを示唆する」ことは、本願補正発明の判定結果を示唆する示唆演出に対応するものといえる。
そこで、刊行物1の請求項1の記載に基づいて認定した引用発明の特別な演出として、刊行物1の上記記載の「現在変動表示中の抽選結果に対して、当りハズレがはっきり分かるコメントを表示する。当りハズレがはっきり分かるコメントとは、例えば、図例にあるように「やったぜ大当りだ!」であれば、変動表示中の抽選が必ず大当りとなることを示唆し、「残念ハズレです」であれば、必ずはずれることを示唆する」という技術事項を適用して相違点に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
また、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び刊行物1に記載の技術事項から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び刊行物1に記載の技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)付言
なお、仮に、上記(g)、(h)及び(j)において、引用発明の「前記所定の時間を示す位置に目印」が1つのものを含まず、よって演出ボタンの操作時に応じた時間が単一の所定の時間のものを含まないと認定した場合、すなわち、例えば刊行物1の段落【0092】並びに図9及び図10の記載から、引用発明を「前記所定の時間を示す位置に目印」の記載に代えて「前記所定の時間を示す位置に5箇所の目印」と認定し、よって演出ボタンの操作時に応じた時間が5つの所定の時間のものと認定した場合、両者は、上記(相違点)に加え、以下の点で相違する。
(仮の相違点)
操作手段に対する操作を行うべき特定のタイミングが、本願補正発明では「単一」のものであるのに対し、引用発明では「5つ」である点。
そこで、上記(仮の相違点)について検討するに、弾球遊技機における操作手段に対する操作を行うべき特定のタイミングを単一のものとすることは、例えば、特開2012-95768号(明細書の演出ボタン35の開放操作時を検出することによる操作中時間に関わる記載及び図22~23参照。)、特開2014-18679号公報(明細書の第2の有効期間中における演出ボタン26の操作に関する記載並びに図9~11参照。)に記載されているように周知技術である。
そして、操作手段に対する操作を行うべき特定のタイミングを複数のものとして遊技者に複数回のチャンスを与えて面白くするか、単一のものとして操作手段の操作における遊技者の緊張感を高めて面白くするかは、当業者が適宜選択し得る設計事項といえ、引用発明の「5つ」に代えて、上記周知技術を適用して「単一」のものとすることは当業者が容易になし得るものである。
また、上記(仮の相違点)に係る本願補正発明の効果は、引用発明及び上記周知技術から予測できる範囲のものであり格別なものではない。
したがって、仮に、本願補正発明と引用発明とが上記(相違点)に加え上記(仮の相違点)の点で相違するとしても、本願補正発明は引用発明、刊行物1に記載の技術事項及び上記周知技術から容易に発明をすることができたものである。
(6)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の第5頁第5~16行で次のような主張をしている。
「本願発明は、演出ボタンの操作タイミングが悪かった場合には特定演出自体を行わず、タイミングが良かった時にだけ高信頼度の演出を行うことにより、遊技者にはより正確な情報を与える出来るため、操作演出に対する参加意欲を向上させることが可能です。
それに対し、引用文献1には、特定のリーチ演出において、遊技ボタンの操作有効期間中の予め設定されたタイミング(移動表示部が特別演出目印部にある)で遊技ボタンが操作された場合には、大当たり判定結果を明確に示す特別なコメントが表示され、それ以外のタイミングで遊技ボタンが操作された場合は、大当たり判定結果を曖昧に示すコメントが表示されます。
上記のように、本願発明の場合、特定タイミングで遊技ボタンが操作されなかった場合には、大当たり期待度を示唆する特定演出自体が行われないため、引用文献1の構成とは明確に異なっているものと思料致します。」
しかしながら、上記(3)(j)で検討したように、引用発明においても操作時に応じた時間が所定の時間でなければ特別な表示演出を行わないことは明らかであり、この場合は特別な演出の実行を制限するといえるから、本願補正発明と相違するものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(7)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明及び刊行物1に記載の技術事項に基づいて、又は、引用発明、刊行物1に記載の技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年6月3日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。
2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.の下線部の構成を省いたものでる。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明は、上記第2の3.(3)で検討した相違点に係る構成を有さないから、本願発明と引用発明とは相違点がなく、同一である。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるといえる。
また、上記第2の3.(5)で検討したのと同様に、仮に相違点があったとしても、本願発明は引用発明及び上記周知技術から容易に発明をすることができたものである。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であり、また、仮に、刊行物1に記載された発明でないとしても、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-016648