特許拒絶査定不服審判
2016-014381
エアゾールディスペンサのための構成要素
- 審判番号
- 2016-014381
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-511470外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月26日
- 審決日
- 2018年03月19日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-511470「エアゾールディスペンサのための構成要素」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日国際公開、WO2012/158741、平成26年 6月 5日国内公表、特表2014-513656〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年5月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年11月14日 審査請求
平成26年 9月12日付け 拒絶理由通知
平成27年 2月24日 意見書の提出
平成27年 8月 5日付け 拒絶理由通知
平成27年12月11日 意見書及び手続補正書の提出
平成28年 5月18日付け 拒絶査定
平成28年 9月26日 審判請求及び手続補正書の提出
平成29年 3月 8日 上申書の提出
第2 平成28年9月26日付け手続補正書による補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年9月26日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成27年12月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲をさらに補正するもので、請求項1についての補正事項を含むところ、本件補正前後の請求項1の記載は、補正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1)本件補正前
「遠隔工場間での輸送器であり、前記輸送器は、エアゾールディスペンサために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器を備え、
前記加圧された容器は、
開口を有する外側容器と、
前記外側容器の前記開口に封止され、内部に弁アセンブリを受容するために内部を通じた穴を有する、弁カップと、
製品を保持し、かつ弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、かつ前記弁カップと前記外側容器との間に配置され、前記遠隔工場間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす弁アセンブリと、を備え、
前記外側容器内であり、かつ、前記外側容器と前記空の製品供給装置との間に配置される噴射剤であって、大気圧よりも高い圧力下にあり、前記空の製品供給装置と前記外側容器との間の圧力は、前記空の製品供給装置の内側の圧力よりも高い、噴射剤とを含むことを特徴とする、輸送器。」
(2)本件補正後
「遠隔工場間での輸送器であり、前記輸送器は、エアゾールディスペンサために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器を備え、
前記加圧された容器は、
開口を有する外側容器と、
前記外側容器の前記開口に封止され、内部に弁アセンブリを受容するために内部を通じた穴を有する、弁カップと、
製品を保持し、かつ前記弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、かつ前記弁カップと前記外側容器との間に配置され、前記遠隔工場間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、作動装置の作用によって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす前記弁アセンブリと、を備え、
前記外側容器内であり、かつ、前記外側容器と前記空の製品供給装置との間に配置される噴射剤であって、大気圧よりも高い圧力下にあり、前記空の製品供給装置と前記外側容器との間の圧力は、前記空の製品供給装置の内側の圧力よりも高い、噴射剤とを含むことを特徴とする、輸送器。」
2 補正の目的についての検討
本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「弁アセンブリ」を限定するものであり、かつ、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。
3 独立特許要件
(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された輸送器に関するものである。そして、本件補正後の請求項1の「…エアゾールディスペンサために使用可能な…」という記載は、「…エアゾールディスペンサのために使用可能な…」の明らかな誤記と認められるから、当該誤記を考慮して、本願補正発明は、以下のとおりのものと認める。
「遠隔工場間での輸送器であり、前記輸送器は、エアゾールディスペンサのために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器を備え、
前記加圧された容器は、
開口を有する外側容器と、
前記外側容器の前記開口に封止され、内部に弁アセンブリを受容するために内部を通じた穴を有する、弁カップと、
製品を保持し、かつ前記弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、かつ前記弁カップと前記外側容器との間に配置され、前記遠隔工場間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、作動装置の作用によって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす前記弁アセンブリと、を備え、
前記外側容器内であり、かつ、前記外側容器と前記空の製品供給装置との間に配置される噴射剤であって、大気圧よりも高い圧力下にあり、前記空の製品供給装置と前記外側容器との間の圧力は、前記空の製品供給装置の内側の圧力よりも高い、噴射剤とを含むことを特徴とする、輸送器。」
(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用した米国特許第5219005号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「The present invention relates to containers as well as to a method for readying a container for filling and to a method for manufacturing a container.
More particularly the present invention is especially directed to a twin-chamber container of the kind comprising an outer container with a valve mounted thereon, an inner collapsible container mounted in communication with the valve, whereby the outer and the inner containers define an intermediate chamber; in some aspects the invention is also directed to single chamber containers for a pressurized product.
Further, the invention relates to a method for preparing a twin-chamber container ready to be filled with a product and to a method for manufacturing a plastic container and further to a plastic container.」(1欄10~24行)
(当審訳:本発明は、容器、充填のために容器を用意する方法及び容器の製造方法に関するものである。
より詳細には、本発明は特に、弁が取り付けられた外側容器と、弁と連通する折り畳み可能な内側容器と、外側と内側容器とで画成される中間チャンバとを含むようなツインチャンバ容器を対象とするが、いくつかの態様では加圧製品用のシングルチャンバ容器も対象とする。
また、この発明は、製品を充填しようとするツインチャンバ容器を用意する方法、プラスチック容器の製造方法及びプラスチック容器に関する。)
イ 「Twin-chamber containers are known and widely used, so as for cosmetic products. They comprise an outer container made of a metal, steel or aluminium, whereon there is mounted a valve. The valve communicates with an inner collapsible container, wherein a product is stored.
In such twin-chamber containers, an intermediate chamber formed between the outer container and the inner collapsible container is pressurized with a gas so that when the valve communicating with the inner container is opened, the gas pressure within the intermediate chamber ejects the product contained in the inner collapsible container.」(1欄27~39行)
(当審訳:化粧品のためのツインチャンバ容器が知られており、広く使用されている。これらは、弁が取り付けられた、鋼又はアルミニウムの金属製の外側容器を含む。弁は、製品を保持する、折り畳み可能な内側容器に連通する。
このようなツインチャンバ容器では、外側容器と折り畳み可能な内側容器との間に形成される中間チャンバはガスで加圧されているため、内側容器に連通する弁が開かれると、中間チャンバのガス圧が、折り畳み可能な内側容器内に保持された製品を排出する。)
ウ 「It is further known to manufacture twin-chamber containers of the kind mentioned above, the intermediate chamber of which being pressurized with a gas, so that they leave the manufacturing plant in empty, unpressurized state. It becomes thus necessary that such twin-chamber containers be pressurized at the filling station where the inner collapsible container is filled with the specific product.
Up to now, pressurizing and product filling operations for such twin-chamber containers were thus performed at the same location. This is a serious disadvantage in that normally the container filler or manufacturer of the product to be filled in is not familiar with the pressurizing technique or would not like to be bothered therewith. Analogically the container manufacturer is not familiar with product handling, but would be with pressurizing technique of the container produced at his plant.
For aseptic products, as for saline solution for cleaning contact lenses, it was common practice to sterilize the filled containers.」(1欄53行~2欄5行)
(当審訳:上述したような、中間チャンバがガスで加圧されるツインチャンバ容器の製造では、空の、加圧されていない状態で、製造工場を出ることが知られている。このようなツインチャンバ容器は、折り畳み可能な内側容器が特定製品で充填される充填所にて、加圧する必要がある。
これまで、このようなツインチャンバ容器の加圧工程と製品充填工程とは、同じ場所で行われていた。これには、充填する製品の製造者や容器に充填する者は、通常、加圧技術に精通していないか、それに煩わされたくないという、重大な欠点がある。同様に、容器の製造者は、彼らの工場で製造した容器の加圧技術を有しているが、製品の取り扱いには精通していない。
コンタクトレンズ洗浄用の生理食塩水のような無菌製品の場合、充填容器を殺菌するのが一般的である。)
エ 「It is a further object of the present invention to get rid with local combining of pressurizing operation for twin-chamber containers and filling operation, this for such containers with an outer container of metal or of plastic material.
According to the present invention, this is achieved by pressurizing the intermediate chamber of such containers there, where the container is manufactured, and transporting such twin-chamber containers in pressurized state to the filling station. There the product manufacturer and filler needs not anymore bother with any pressurizing problems.」(2欄54行~65行)
(当審訳:本発明のさらなる目的は、金属又はプラスチック製の外側容器を有するようなツインチャンバ容器の加圧工程と充填工程とが近くで同時に行われないようにすることである。
本発明によれば、容器が製造された場所でそのような容器の中間チャンバを加圧し、そのような加圧状態のツインチャンバ容器を充填所へ輸送することで、この目的は達成される。製品の製造者や充填する者は、もはや、加圧に関する問題を気にする必要がない。)
オ 「In FIG. 1 there is schematically shown, in cross-section, a twin-chamber container 1. An outer container 3 thereof is made of three layers of bi-axially blow-stretched plastic material known as PET material. Thus, the outer container comprises three layers 5, 7 and 9 along substantial parts of its wall. Well-known three or multi layer bi-axial blow-stretching operations of a plastic material casting, resulting in a container body with a neck portion 11 of the outer container 1, have the drawback that the three layer structure is not anymore encountered at the upper end of the neck portion 11, but terminates below the open end 13 of the said neck portion 11.
On top of the neck portion 11, comprising a rim 15, there is applied a valve arrangement 17 with a metallic intermediate cover 19 and with a central valve 21 thereon. The valve 21 is of the type which is opened by mechanical tilting or pressing on a valve stud 23. The intermediate cover 19 is curled around the rim 15 so that the cover 19 and thus the valve arrangement 17 are mechanically fixed to the open end of the neck portion 11.
The valve 21 communicates with the inside of an inner container 25 which is collapsible.
This container 25 is mounted at an area 27 to the valve 21.」(3欄64行~4欄21行)
(当審訳:図1に、ツインチャンバ容器1の断面を、模式的に示す。外側容器3は、PET材として知られる二軸ブロー延伸プラスチック材料の3つの層で構成されている。外側容器は、その壁の実質的な部分に沿って、3つの層5、7、9を備える。外側容器3の首部11を有する容器体をもたらすプラスチック材料の成形における、よく知られた3層または多層の二軸ブロー延伸工程は、3層構造が首部11の上端に達することなく、首部11の開口端13の下方で終わってしまうという欠点を有している。
縁15を備える首部11の上端には、金属製の中間カバー19及び中央弁21を備える弁装置17が取り付けられる。弁21は、弁スタッド23の機械的な傾きや加圧によって開くタイプのものである。中間カバー19が縁15の周囲に巻かれることで、カバー19が、従って弁装置17が、首部11の開口端に機械的に固定される。
弁21は、折り畳み可能な内側容器25の内方に連通する。
この容器25は、領域27で弁21に取り付けられる。)
カ 「As an intermediate chamber 29 between the outer container 1 and the inner container 25 is pressurized by a gas in this embodiment of the inventive container, on the other hand, the valve arrangement 17 with its cover 19 must be sealingly fitted on the open end of neck portion 11.
Further, the inner container 25 must sealingly be mounted at the area 27 to the valve 21 to prevent a product contained within the inner container 25 to penetrate into the intermediate chamber 29 and/or to prevent the pressurized gas within the intermediate chamber 29 to penetrate into the inner container 25 with the product, and then to leave the inner container through the valve 21.
To resolve all the said three problems of sealing as well as of outer container wall weakness at the neck portion 11, there is provided a layer 31 of a material which may be applied in substantially flowable state and which, afterwards, is hardened, preferably by self-hardening at normal atmosphere or at the gas atmosphere of pressurized gas.
Such a material is preferably an epoxy resin which is introduced into the outer container 1. The resin is preferably mixed from two components before introducing into the outer container 1 and is then made to flow onto the neck portion of the container, after that the inner container 25 and, mounted thereon, the valve arrangement 17 has been mechanically fixed to the outer container 1.」(4欄27~55行)
(当審訳:本発明のこの実施形態では、外側容器1と内側容器25との間の中間チャンバ29はガスによって加圧され、一方、カバー19を備える弁装置17は、首部11の開口端に封止するように取り付けられねばならない。
また、内側容器25内に収容された製品が、中間チャンバ29内に侵入することを防止するように、及び/または、中間チャンバ29内に収容された加圧ガスが、製品を有する内側容器25内に侵入することを防止するように、そして製品が内側容器から弁を介して排出されるように、内側容器25は、領域27で弁21に、封止するように取り付けられなければならない。
封止や首部11における外側容器の壁の脆弱さに関する3つの問題を解決するために、実質的に流動可能な状態で適用され、その後、好ましくは大気圧又は加圧ガス雰囲気中での自己硬化により硬化される材料の、層31が提供される。
外側容器に導入されるそのような材料は、エポキシ樹脂であることが好ましい。樹脂は好ましくは、外側容器1に導入される前に2成分が混合されて、容器の首部へと流入し、その後、内側容器25とそれに取り付けられた弁装置17とが外側容器1に機械的に取り付けられる。)
キ 「As may be seen in FIG. 1, where the material of layer 31 is shown in hardened state, the layer 31 ensures optimal sealing of the valve arrangement 17 with respect to the outer container 1 as well as of the valve 21 to the inner container 25, and additionally reinforces the upper portion of the weakened neck portion 11 of the container 1.」(4欄65行~5欄3行)
(当審訳:層31の材料が硬化された状態で示される図1に見られるように、層31は、外側容器1に関する弁装置17の、同様に弁21と内側容器25との、確実な封止を保証し、また、容器1の脆弱な首部11の上部を補強する。)
ク 「The inner container 25 consists, as shown in FIG. 3, of two foil-like wall members 33a and 33b, e.g. of rectangular shape, which foil-like members are joined at their periphery 35 to finally form a flat bag. There is fixed at a mounting area 37, which may accord to the mounting area 27 of FIG. 1, a stud 39 or directly an output tube of the valve 21 according to FIG. 1 which penetrates into the bag formed by the two foil-like members 33a and 33b.
As shown in FIG. 2, the flat bag is folded along substantially parallel folds 41 to be easily introduced into the outer container 1 of FIG. 1 and to expand as it is filled by a product.」(5欄10~22行)
(当審訳:図3に示されるように、内側容器25は、例えば矩形状の、2枚の箔状の壁部材33a、33bで構成され、箔状の壁部材はその周辺部35を接合されて最終的に偏平な袋体を形成する。図1の取付領域27に合致する取付領域37には、2枚の箔状の壁部材33a、33bで形成された袋体に挿入される、スタッド39又は図1の弁21の出力管が直接固定されている。
図2に示されるように、偏平な袋体は、図1の外側容器3(合議体注:他の記載における図番に照らすと、「the outer container 1」は「the outer container 3」の誤記と認められる。)に容易に挿入できるように実質的に平行な折り目41に沿って折り畳まれ、製品が充填されることにより膨らむ。)
ケ 「Pressurizing of the twin-chamber container occurs at a container assembling plant. Then the assembled, pressurized container is conveyed or transported to a filling station, which may be distant, and is filled there with the respective product through the valve, as through the valve 21 of FIG. 1.」(6欄38~43行)
(当審訳:ツインチャンバ容器の加圧は、容器の組立工場で生じる。組立てられ、加圧された容器は、遠隔でもよい充填所へ輸送され、図1の弁21のような弁を介して各製品が充填される。)
コ 「1. A method for readying a twin-chamber container to be filled with a product, said container comprising an outer container, a valve, an inner collapsible container communicating with the valve and located within the outer container so as to define an intermediate chamber between said inner container and said outer container, said valve penetrating through said outer container, comprising the step of pressurizing the intermediate chamber between said outer container and said inner container with a gas and transporting the twin-chamber container with said pressurized intermediate chamber to a filling station for filling a product into said inner container through said valve.」(8欄28~40行)
(当審訳:請求項1.容器が、外側容器と、弁と、折り畳み可能で弁と連通し、外側容器内に配置されて内側容器と外側容器との間に中間チャンバを画成する内側容器とを含んでおり、弁は外側容器を貫通しており、内側容器と外側容器との間の中間チャンバをガスにより加圧する工程と、その中間チャンバが加圧されたツインチャンバ容器を、弁を介して内側容器に製品を充填するために、充填所へ輸送する工程とを含む、製品を充填するためのツインチャンバ容器を用意する方法。)
サ 「6. The method of claim 1, comprising the step of introducing a substantially flowable resin into said outer container, mounting said inner container into and said valve on said outer container, manipulating said container so as to flow said flowable resin within said intermediate chamber to a mounting area of at least said outer container, said valve and possibly said inner container and having said resin hardened at said mounting area.」(8欄58~66行)
(当審訳:請求項6.実質的に流動可能な樹脂を外側容器に導入する工程と、外側容器内に内側容器を、弁を外側容器上に取り付ける工程と、中間チャンバ内の流動可能な樹脂を、少なくとも外側容器と弁、場合によっては内側容器の取付領域に流し込むように容器を操作する工程と、取付領域で樹脂を硬化する工程とを含む、請求項1の方法。)
シ 「層31の材料が硬化された状態で示される図1に見られるように、層31は、…弁21と内側容器25との、確実な封止を保証」(記載事項キ)することから、内側容器25(及び弁21)が層31に封止されていることは当業者にとって明らかである。これは、図1に、内側容器25の上端部に層31が接していることが示されていることとも整合する。したがって、内側容器25は、その上端部において、層31に封止されていると認められる。
ス 内側容器25の「取付領域37には…図1の弁21の出力管が直接固定されている」(記載事項ク)ところ、そのような出力管を含む弁21は、「中間チャンバ内の流動可能な樹脂を、少なくとも外側容器と弁、場合によっては内側容器の取付領域に流し込むように容器を操作する工程と、取付領域で樹脂を硬化する工程」(記載事項サ)を経て、硬化した層31内に配置されることが明らかである。また、上記工程によれば、硬化の際に、層31の内部には、弁21を受容する、内部を通じた穴が形成されると認められ、これは、図1に、層31が、中間カバー19から領域27にかけて、内部を通じた穴を有していることが示されていることとも整合する。したがって、層31は、内部に弁21を受容するために内部を通じた穴を有すると認められる。
セ 上記記載事項ア~サ及び認定事項シ、スを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「容器の組立工場で組立てられ加圧された容器を、遠隔でもよい充填所へ輸送して製品を充填して、弁が開かれると中間チャンバのガス圧が折り畳み可能な内側容器内に保持された製品を排出するツインチャンバ容器とする際に、製品を充填するために用意された、加圧されたツインチャンバ容器であって、
加圧されたツインチャンバ容器は、
開口端13を有する外側容器3と、
外側容器3の開口端13に封止され、内部に弁21を受容するために内部を通じた穴を有する、弁装置17及び層31と、
製品を保持し、かつ弁21と連通するための、内側容器25であって、層31に封止され、かつ外側容器3内に配置され、折り畳まれて外側容器3に挿入され、充填所で製品が充填されることにより膨らむ内側容器25と、
層31内に配置される弁21であって、弁スタッド23の機械的な傾きや加圧によって開かれると、折り畳まれた内側容器25内に充填所で充填される製品を排出する弁21と、を備え、
折り畳まれた内側容器25と外側容器3との間の中間チャンバ29内に収容される加圧ガスであって、中間チャンバ29は容器の組立工場で加圧され、折り畳まれた内側容器25には充填所で製品が充填される、加圧されたツインチャンバ容器。」
(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。
本願補正発明の「遠隔工場間での輸送器」について、本願明細書には「輸送器」を直接的に定義する記載はないが、同段落【0078】の「加圧された容器が、内部に噴射剤40を有する一般的な形態で、第1の工場から輸送され得るという利益をもたらす。…加圧可能な容器21はその後、製造の第2段階の現地での完了のために、第2の、異なる、及び/又は離れて位置する工場へと輸送されてもよい。」(下線は当審で付した。)という記載を考慮すれば、輸送される容器自体を意味していると解するのが相当である。そして、引用発明の「加圧されたツインチャンバ容器」は、組立工場から充填所へ輸送される容器であるから、本願補正発明の「輸送器」に相当する。また、引用発明の「容器の組立工場」と「充填所」とは「遠隔でもよい」ものの、両施設が別々の工場に設けられているのか、大きな工場の敷地内に離れて設けられているのかまでは、明らかでない。そうすると、引用発明の「容器の組立工場で組立てられ」「遠隔でもよい充填所へ輸送」される「容器」と、本願補正発明の「遠隔工場間での輸送器」とは、「遠隔施設間での輸送器」という限りにおいて一致する。
引用発明の「弁が開かれると中間チャンバのガス圧が折り畳み可能な内側容器内に保持された製品を排出するツインチャンバ容器」というのは、本願明細書の段落【0008】に記載されるように、エアゾールディスペンサの一般的な機能であるから、引用発明の「弁が開かれると中間チャンバのガス圧が折り畳み可能な内側容器内に保持された製品を排出するツインチャンバ容器」とするために用意された「加圧されたツインチャンバ容器」を備えることは、本願補正発明の「エアゾールディスペンサのために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器」を備えることに相当する。
引用発明の「開口端13」は本願補正発明の「開口」に、以下同様に、「外側容器3」は「外側容器」に、「弁21」は「弁アセンブリ」に、「弁装置17」及び「層31」は「弁カップ」に、それぞれ相当する。
引用発明の「折り畳まれて外側容器3に挿入され、充填所で製品が充填されることにより膨らむ」「内側容器25」は、組立工場から充填所へ輸送される際には製品を含まずに折り畳まれているのだから、本願明細書の段落【0067】の「空とは、製品供給装置が、製品42又はその一部を含まないことを意味する。」との記載を踏まえると、遠隔施設間で「空の」「製品供給装置」に相当する。
引用発明の弁21が「開かれると」「製品を排出する」こと、及び、「連通」は、コンタクトレンズ洗浄用の生理食塩水(記載事項ウ)のような製品が弁21を介して充填、排出されることを考慮すると、本願補正発明の弁アセンブリが「製品の周囲への流路を選択的にもたらす」こと、及び、「流体連通」に相当する。
引用発明の「折り畳まれた内側容器25と外側容器3との間の中間チャンバ29内に収容される加圧ガス」は、中間チャンバ29が外側容器3内に配置されるから、本願補正発明の「外側容器内であり、かつ、外側容器と空の製品供給装置との間に配置される噴射剤」に相当する。
イ よって、本願補正発明と引用発明とは、
「遠隔施設間での輸送器であり、前記輸送器は、エアゾールディスペンサのために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器を備え、
前記加圧された容器は、
開口を有する外側容器と、
前記外側容器の前記開口に封止され、内部に弁アセンブリを受容するために内部を通じた穴を有する、弁カップと、
製品を保持し、かつ前記弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、遠隔施設間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす前記弁アセンブリと、を備え、
前記外側容器内であり、かつ、前記外側容器と前記空の製品供給装置との間に配置される噴射剤を含む、輸送器。」である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1.遠隔施設間について、本願補正発明では、遠隔工場間での輸送であるのに対して、引用発明では、容器の組立工場から遠隔でもよい充填所への輸送である点。
相違点2.製品供給装置の配置について、本願補正発明では、製品供給装置が弁カップと外側容器との間に配置されているのに対して、引用発明では、内側容器25が外側容器3内に配置されている点。
相違点3.弁アセンブリの構成について、本願補正発明では、弁アセンブリが作動装置の作用によって製品の周囲への流路を選択的にもたらすのに対して、引用発明では、弁21が弁スタッド23の機械的な傾きや加圧によって開かれる点。
相違点4.本願補正発明では、噴射剤が大気圧よりも高い圧力下にあり、空の製品供給装置と外側容器との間の圧力は、空の製品供給装置の内側の圧力よりも高いのに対して、引用発明では、中間チャンバ29は容器の組立工場で加圧され、折り畳まれた内側容器25には充填所で製品が充填される点。
ウ そこで、上記各相違点について検討する。
(ア)まず、上記相違点1について検討する。
引用発明は、容器の組立工場から遠隔でもよい充填所へ輸送されるものであって、その輸送距離は「遠隔でもよい」という以外は特段制約されていないのであるから、各工場の設備等を勘案して上記輸送を遠隔の工場間で行うこと、すなわち、上記相違点1における本願補正発明のようにすることは、当業者が適宜なし得た程度の事項である。
(イ)次に、上記相違点2について検討する。
本願補正発明における、製品供給装置が弁カップと外側容器との間に配置されているというのは、本願の図5を参照すると、製品供給装置が弁カップと外側容器とで形成された空間内に配置された状態を意味していると解するのが相当である。そして、引用発明の内側容器25が外側容器3内に配置されている構成は、引用文献1の図1を参酌すると、弁装置17及び層31と外側容器3とで形成された空間内に配置されたものといえるから、上記相違点2は、単なる表現上の相違であって実質的な相違点ではない。
(ウ)次に、上記相違点3について検討する。
エアゾールディスペンサのために使用可能な容器において、作動装置により製品の周囲への流路を選択的にもたらすように構成されたものは、本願優先日前に周知(例えば、原査定の拒絶の理由に引用した特表2009-533294号公報(以下、「引用文献2」という。)の【0003】「ボタン」、【0013】「トリガー、カム」、原査定の拒絶の理由に引用した国際公開第2009/107827号(以下、「引用文献3」という。)の【0024】、【0028】「操作ボタン13」など参照。)である。そして、弁スタッド23を操作する引用発明には、その操作性を向上させる課題が内在するといえるから、弁スタッドの操作性を向上させる作動装置を適用しようとする動機づけはあるし、また、その適用を阻害する要因はない。よって、引用発明に上記周知の作動装置を適用して弁スタッド23の操作性を向上させ、上記相違点3における本願補正発明のようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
(エ)次に、上記相違点4について検討する。
空の製品供給装置と外側容器との間の圧力が、空の製品供給装置(折り畳み式バッグ、ディップチューブ)の内側の圧力よりも高ければ、折り畳み式バッグが収縮、又は、ディップチューブ内に噴射剤が流入して圧力差が解消し、両者の圧力は平衡状態に達するから、上記相違点4に係る本願補正発明の構成のような圧力状態は通常は生じないものであるが、本願明細書の段落【0067】の記載を考慮すれば、上記相違点4に係る本願補正発明の構成は、遠隔工場間での輸送時に、噴射剤が大気圧よりも高い圧力下にあり、製品供給装置が製品を含まず、更に、周囲雰囲気又は製造プロセスに伴う残留空気を除き、空気を含んでいない状態であることを意味していると解する。
そして、引用発明では、中間チャンバ29は容器の組立工場で加圧されるのだから、組立工場から充填所への輸送時には、中間チャンバ29の加圧ガスは大気圧よりも高い圧力下にあることは明らかであり、また、内側容器25は折り畳まれており、充填所で製品が充填されることにより膨らむのだから、組立工場から充填所への輸送時には、製品を含んでいないことは明らかであり、更に、折り畳んだ際に不可避の残留空気を除き、空気を含んでいない状態であると解するのが相当である。したがって、上記相違点4は、単なる表現上の相違であって実質的な相違点ではない。
エ よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)に示した平成27年12月11日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された輸送器に関するものである。そして、その請求項1の「…エアゾールディスペンサために使用可能な…」という記載は、「…エアゾールディスペンサのために使用可能な…」の明らかな誤記と認められるから、当該誤記を考慮して、本願発明は、以下のとおりのものと認める。
「遠隔工場間での輸送器であり、前記輸送器は、エアゾールディスペンサのために使用可能な少なくとも1つの加圧された容器を備え、
前記加圧された容器は、
開口を有する外側容器と、
前記外側容器の前記開口に封止され、内部に弁アセンブリを受容するために内部を通じた穴を有する、弁カップと、
製品を保持し、かつ弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、かつ前記弁カップと前記外側容器との間に配置され、前記遠隔工場間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす弁アセンブリと、を備え、
前記外側容器内であり、かつ、前記外側容器と前記空の製品供給装置との間に配置される噴射剤であって、大気圧よりも高い圧力下にあり、前記空の製品供給装置と前記外側容器との間の圧力は、前記空の製品供給装置の内側の圧力よりも高い、噴射剤とを含むことを特徴とする、輸送器。」
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~20に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された従来周知の事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1 米国特許第5219005号明細書
引用文献2 特表2009-533294号公報
引用文献3 国際公開第2009/107827号
3 引用発明
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1及びその記載事項並びに引用発明は、上記第2の3(2)に示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の
「製品を保持し、かつ前記弁アセンブリと流体連通するための、製品供給装置であって、前記弁カップに封止され、かつ前記弁カップと前記外側容器との間に配置され、前記遠隔工場間で空の製品供給装置と、
前記弁カップ内に配置される前記弁アセンブリであって、作動装置の作用によって、前記空の製品供給装置内に充填される前記製品の周囲への流路を選択的にもたらす前記弁アセンブリと、を備え、」から、弁アセンブリについての「前記」との特定を省き、また、流路を選択的にもたらすための「作動装置の作用によって、」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに限定された本願補正発明が、上記第2の3(3)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、請求人は、平成29年3月8日の上申書において、特許請求の範囲の補正案を示し、本願発明の弁カップについて、さらに「製品以外の噴射剤と直接接触可能な部材を備え、前記外側容器と直接接続される」なる限定を付した構成を提示している。しかし、引用発明の層31は、引用文献1の図1に示されているとおり、また、引用文献1の上記記載事項カ、サの製造手順からも明らかなとおり、外側容器3と直接接続されており、また、加圧ガスを収容する中間チャンバ29に面しているから、製品以外の加圧ガスと直接接触可能な部材でもある。また、引用発明の弁装置17は、「中間カバー19が縁15の周囲に巻かれることで、カバー19が、従って弁装置17が、首部11の開口端に機械的に固定される」(上記記載事項オ)から、外側容器3と直接接続されている。そうすると、引用発明の弁装置17及び層31は、製品以外の噴射剤(加圧ガス)と直接接触可能な部材(層31)を備え、外側容器(外側容器3)と直接接続される弁装置17及び層31であるから、補正案の上記構成は、引用発明も備えているといえる。
したがって、上記補正案に示された発明としても、依然として当業者が容易に発明をすることができたものでしかない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-014381