特許拒絶査定不服審判
2016-013822
撮像装置の校正システム、作業機械及び撮像装置の校正方法
- 審判番号
- 2016-013822
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-551893外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月14日
- 審決日
- 2017年04月11日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社小松製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G01C) / P18 .575-Z (G01C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-551893「撮像装置の校正システム、作業機械及び撮像装置の校正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月31日国際公開、WO2016/047808〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月30日を国際出願日とする出願であって、平成28年2月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年4月25日付けで手続補正がなされたが、平成28年5月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年9月14日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成28年9月14日付けでなされた補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年9月14日付けでなされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてするもので、
ア 本件補正前の特許請求の範囲(平成28年4月25日付け手続補正書参照。)の請求項1に「探索した結果に基づいて、前記パラメータを求める」とあったところを「探索の成功率に基づいて、前記パラメータを求める」と限定し、
イ 本件補正前の特許請求の範囲の請求項8に「探索した結果に基づいて前記撮像装置の姿勢を規定する姿勢パラメータを求める」とあったところを、「探索の成功率に基づいて前記撮像装置の姿勢を規定する姿勢パラメータを求める」と限定するものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2 独立特許要件について
(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「少なくとも2個の撮像装置と、
少なくとも2個の前記撮像装置のうち、第1の撮像装置と第2の撮像装置との距離を一定として前記第2の撮像装置の姿勢を規定するパラメータを変化させて、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置によって得られた一対の画像間で対応する部分を探索し、探索の成功率に基づいて、前記パラメータを求める処理装置と、
を含む、撮像装置の校正システム。」
(2)引用例1の記載事項等
ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2012-177676号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、画像処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、ディスパリティ画像(奥行画像)の生成に際し、カメラの撮像方向のずれによるエラーを容易にキャリブレーションできるようにした画像処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一の被写体を複数のカメラにより異なる角度から撮像し、それぞれの画像の視差方向の対応点探索によりディスパリティ画像(奥行画像)を生成する技術が一般に普及しつつある。」
「【0010】
本発明の一側面の画像処理装置は、異なる視点から、同一の被写体を撮像する複数の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された複数の画像を、画像ずれを補正するためのパラメータに基づいて変形し、それぞれ補正画像を生成する画像ずれ補正手段と、前記画像ずれ補正手段により生成された複数の補正画像間の視差方向の対応付けが不能な程度を示すエラー量の全画面の積分値を評価値として算出する評価値算出手段と、前記パラメータのうち、視差方向の対応付けに必要とされるパラメータを変化させて、前記評価値が最小となるようにパラメータを更新する更新手段とを含む。」
「【0020】
異なる視点から、同一の被写体を撮像する撮像手段をさらに含み、
前記画像取得手段は、前記撮像手段により異なる視点から、同一の被写体を撮像する複数の画像を取得し、
前記画像ずれ補正手段は、前記画像取得手段により取得された複数の画像を、画像ずれを補正するためのパラメータに基づいて、前記撮像手段における撮像方向となる光軸を動作させるようにすることで、変形し、それぞれ補正画像を生成する。」
「【0025】
本発明の一側面によれば、ディスパリティ画像(奥行画像)の生成に際し、カメラの撮像方向のずれによるエラーを容易にキャリブレーションすることが可能となる。」
「【0027】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1. 第1の実施の形態(ソフトウェアプログラムでキャリブレーションする場合の一例)
2. 第2の実施の形態(ハードウェアを動作させてキャリブレーションする場合の一例)
3. 第3の実施の形態(その他のステレオマッチング処理を実施する一例)」
「【0028】
<1.第1の実施の形態>
[画像処理装置の構成例]
図1は、本発明を適用した画像処理装置のハードウェアの一実施の形態の構成例を示している。図1の画像処理装置11は、カメラ21-1,21-2のそれぞれにより撮像された画像より、各画素の画素値を撮像位置から被写体までの距離に反比例した値としたディスパリティ画像(奥行画像)を生成する。」
「【0133】
<2.第2の実施の形態>
[画像処理装置のその他の構成例]
以上においては、キャリブレーション処理をソフトウェアプログラムにより実現する場合について説明してきたが、カメラ21-1,21-2の撮像方向などを制御するハードウェアの動作を制御することにより実現できるようにしてもよい。図14は、ハードウェアの動作を制御してキャリブレーションできるようにした本発明を適用した画像処理装置のハードウェアのその他の形態の構成例を示している。尚、図14において、図1と同一の構成については、同一の名称、および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
【0134】
図14の画像処理装置11において、図1の画像処理装置11と異なる点は、画像ずれ補正部22に代えて、画像ずれ補正部151を備えた点である。
【0135】
画像ずれ補正部22においてカメラ21-1,21-2のそれぞれの撮像画像をソフトウェアプログラムにより撮像された画像を補正して補正画像を生成していた。これに対して、画像ずれ補正部151は、カメラ21-1,21-2の撮像方向を制御して補正画像を生成する。
【0136】
具体的には、画像ずれ補正部151は、図15の左部の矢印t1,t2で示されるように、カメラ21-1,21-2のチルト方向を制御する。また、画像ずれ補正部151は、図15の中央部の矢印p1,p2で示されるように、カメラ21-1,21-2のパン方向を制御する。さらに、画像ずれ補正部151は、図15の右部の矢印r1,r2で示されるように、カメラ21-1,21-2の回転方向を制御する。
【0137】
より詳細には、画像ずれ補正部151は、光軸調整量変換部171、および光軸調整部172-1,172-2を備えている。光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)に基づいて、カメラ21-1,21-2のそれぞれをチルト、パン、回転のそれぞれを制御する光軸調整量を生成する。
【0138】
光軸調整部172-1,172-2は、それぞれカメラ21-1,21-2のチルト、パン、回転を物理的に制御して、カメラ21-1,21-2のそれぞれにより撮像される画像のずれを補正することで、結果として、補正画像を生成して、マッチング部23に供給する。
【0139】
尚、図14の画像処理装置11におけるキャリブレーション処理については、図6のステップS2乃至S4の一部が異なるのみであるので、異なる処理についてのみ説明する。
【0140】
[簡易位置調整処理]
図16のフローチャートを参照して、異なる処理である簡易位置調整処理について説明する。尚、図16のフローチャートにおいては、ステップS123,S124の処理を除いては、図7のフローチャートにおけるステップS21,S22,S25乃至S31の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
【0141】
すなわち、ステップS123において、光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔY,ΔY0,ΔY1)に基づいてチルトの調整量を求め、調整パラメータΔXに基づいて、パンの調整量を求め、調整パラメータ(ΔS0,ΔS1)に基づいて、回転の調整量を求める。そして、光軸調整量変換部171は、求めた調整量の情報を光軸調整部172-1,172-2に供給する。
【0142】
ステップS124において、光軸調整部172-1,172-2は、光軸調整量変換部171からの調整量に基づいて、カメラ21-1,21-2のパン、チルト、および回転を制御することで、補正画像を生成し、マッチング部23に供給する。
【0143】
尚、ステップS3,S4の処理に対応する詳細位置調整処理、および傾き調整処理についても、それぞれ対応するステップS85,S86の処理、およびステップS105,S106の処理をステップS123,S124と同様の処理とすることで同様の処理を実現することが可能となる。このため、その説明は省略するものとする。
【0144】
以上の処理により、図14の画像処理装置11においても、図1の画像処理装置11における場合のキャリブレーション処理と同様の効果を得ることが可能となる。」
「【0150】
しかしながら、一般に、3Dカメラや、3Dビデオカメラ等の1の筐体に2のカメラが備えられるような機器の場合、2枚の画像のずれ量Δyは小さいと予想される。すなわち、1の筐体に2のカメラを備えた撮像機器であるような場合、カメラ間のおおよその位置は固定されているので、振動、経年劣化、または衝撃等で若干、位置関係が変化する程度であるものと予想される。そこで、1の筐体に2のカメラが備えられる場合、2枚の画像のずれ量Δyは、垂直ずれがない状態付近、すなわち、垂直ずれ量Δy=0付近に正解が存在するものとする。したがって、図20のような場合、ずれ量Δy=0に近い、ずれ量Δymin1におけるマッチング評価値errorが採用されるものとする。」
「【0154】
また、ここでは、カメラ21-1,21-2により撮像された画像のうち、左画像を基準としたときの、マッチング評価値、および右画像の対応点までのディスパリティを求める例を示すものとする。さらに、左画像をp(x,y),右画像をq(x,y)とし、求めるディスパリティは、disparity(x,y)(d_min≦disparity(x,y)≦d_max)とする。d_minは、求めるディスパリティの最小値であり、例えば、d_min=-63である。d_maxは、求めるディスパリティの最大値であり、例えば、d_max=63である。」
イ 引用例1における、図6に示された「キャリブレーション処理」に関する記載を摘記すると、次のとおりである(括弧内は、引用例1における段落番号である。以下、同様。)。
「キャリブレーション処理」(【0053】)では、「ステップS1において、調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)の基準となるベース調整量(ΔXbase,ΔYbase,ΔS0base,ΔY0base,ΔS1base,ΔY1base)を、調整パラメータとして取り得る値のいずれかに初期化し」(【0054】)、「ステップS2において、調整パラメータ更新部81は、簡易位置調整部121を制御して、簡易位置調整処理を実行させて、簡易的にマッチング評価値errorが小さくなる概略の調整パラメータ(ΔX,ΔY)を求め」(【0055】)、「 ステップS3において、調整パラメータ更新部81の詳細位置調整部122は、簡易位置調整処理により簡易的に求められた概略の調整パラメータ(ΔX,ΔY)に基づいて、詳細位置調整処理を実行し」(【0102】)、「詳細位置調整処理により調整パラメータ(ΔX,ΔY)が詳細に求められると、処理は、ステップS4に進」(【0114】)み、「ステップS4において、傾き調整部123は、傾き調整処理を実行することにより、マッチング評価値errorがエラー最小値error_minとなる調整パラメータ(ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)を求め」(【0115】)、「ステップS5において、調整パラメータ更新部81は、上述したステップS3,S4の処理により求められたベース調整量(ΔXbase,ΔYbase,ΔS0base,ΔY0base,ΔS1base,ΔY1base)を、調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)として調整パラメータ保存部82に保存し、処理を終了する。」(【0130】)。
ウ 引用例1における、図7に示された「簡易位置調整処理」に関する記載を摘記すると、次のとおりである。
「簡易位置調整処理」(【0056】)では、「ステップS21において、エラー最小値error_minを定義して、初期化すると共に、調整パラメータであるΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1の調整変数ΔX’,ΔY’,ΔS0’,ΔY0’,ΔS1’,ΔY1’を初期化し」(【0057】)、「ステップS22において、簡易位置調整部121は、調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)を、調整変数(ΔX’,ΔY’,ΔS0’,ΔY0’,ΔS1’,ΔY1’)を用いて計算し更新」(【0058】)し、「ステップS25において、補正画像に処理を施して、垂直エッジを検出し、それぞれ検出した垂直エッジからなるエッジ検出画像を供給」(【0061】)し、「ステップS26において、供給されてきたカメラ21-1,21-2によりそれぞれ撮像された画像に対応するエッジ検出画像を用いてステレオマッチング処理を実行することにより、マッチング評価値errorを算出すると共に、ディスパリティ画像を生成」(【0066】)し、「ステップS27において、ずれ調整部24における調整パラメータ更新部81の簡易位置調整部121は、求められたマッチング評価値errorが、今現在のエラー最小値error_minよりも小さいか否かを判定し、ステップS27において、マッチング評価値errorが、エラー最小値error_minよりも小さい場合、最小値が更新されたものとみなし、処理は、ステップS28に進み」(【0092】)、「一方、ステップS27において、マッチング評価値errorがエラー最小値error_minよりも小さくない場合、ステップS28の処理はスキップされ」(【0094】)、「ステップS28において、簡易位置調整部121は、このときの調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)を調整パラメータの最小値(ΔXmin,ΔYmin,ΔS0min,ΔY0min,ΔS1min,ΔY1min)として記憶し、このとき、簡易位置調整部121は、エラー最小値error_minを、今現在のマッチング評価値errorに更新」(【0093】)し、「ステップS29において、調整変数のうち、ΔX’,ΔY’で定義され、マッチング評価値errorの最小値の探索範囲のうち、未処理の探索範囲が残っているか否かを判定」(【0095】)し、「ステップS29において、探索範囲が残されていると判定された場合、ステップS30において、調整変数(ΔX’,ΔY’)を未処理の探索範囲のものに更新し、処理は、ステップS22に戻」(【0096】)り、「そして、ステップS29において、探索範囲が残されていないと判定された場合、処理は、ステップS31に進」(【0098】)み、「ステップS31において」、「簡易位置調整部121は、ベース調整量(ΔXbase,ΔYbase)を、エラー最小値error_minにおける調整パラメータの最小値(ΔXmin,ΔYmin)に設定し、処理を終了」(【0099】)し、「以上の処理により、画像の全範囲において、マッチング評価値errorが最小となる調整パラメータ(ΔX,ΔY)となる、概ねの位置をベース調整量(ΔXbase,ΔYbase)として求めることが可能となる」(【0100】)。
エ 引用例1の「<2.第2の実施の形態>」において、「尚、図14の画像処理装置11におけるキャリブレーション処理については、図6のステップS2乃至S4の一部が異なるのみであるので、異なる処理についてのみ説明する。」(「【0139】)、及び「図16のフローチャートを参照して、異なる処理である簡易位置調整処理について説明する。尚、図16のフローチャートにおいては、ステップS123,S124の処理を除いては、図7のフローチャートにおけるステップS21,S22,S25乃至S31の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。」(【0140】)と記載されている。そこで、上記「イ」、「ウ」を踏まえると、引用例1には、「<2.第2の実施の形態>」として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「カメラの撮像方向のずれによるエラーを容易にキャリブレーションできるようにした画像処理装置(【0001】)であって、
画像取得手段と、画像ずれ補正手段と、前記画像ずれ補正手段により生成された複数の補正画像間の視差方向の対応付けが不能な程度を示すエラー量の全画面の積分値を評価値として算出する評価値算出手段と、パラメータを変化させて、前記評価値が最小となるようにパラメータを更新する更新手段とを含(【0010】)み、
異なる視点から、同一の被写体を撮像する撮像手段をさらに含み、
前記画像取得手段は、前記撮像手段により異なる視点から、同一の被写体を撮像する複数の画像を取得し、前記画像ずれ補正手段は、前記画像取得手段により取得された複数の画像を、画像ずれを補正するためのパラメータに基づいて、前記撮像手段における撮像方向となる光軸を動作させるようにすることで、変形し、それぞれ補正画像を生成(【0020】)し、
カメラ21-1,21-2の撮像方向などを制御するハードウェアの動作を制御することによりキャリブレーションできるようにし(【0133】)、
画像ずれ補正部151は、光軸調整量変換部171、および光軸調整部172-1,172-2を備え、光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)に基づいて、カメラ21-1,21-2のそれぞれをチルト、パン、回転のそれぞれを制御する光軸調整量を生成し(【0137】)、光軸調整部172-1,172-2は、それぞれカメラ21-1,21-2のチルト、パン、回転を物理的に制御して、カメラ21-1,21-2のそれぞれにより撮像される画像のずれを補正することで、結果として、補正画像を生成し(【0138】)、
キャリブレーション処理(【0139】)の簡易位置調整処理(【0140】)では、
ステップS123において、光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔY,ΔY0,ΔY1)に基づいてチルトの調整量を求め、調整パラメータΔXに基づいて、パンの調整量を求め、調整パラメータ(ΔS0,ΔS1)に基づいて、回転の調整量を求め、そして、光軸調整量変換部171は、求めた調整量の情報を光軸調整部172-1,172-2に供給し(【0141】)、ステップS124において、光軸調整部172-1,172-2は、光軸調整量変換部171からの調整量に基づいて、カメラ21-1,21-2のパン、チルト、および回転を制御することで、補正画像を生成し(【0142】)、詳細位置調整処理、および傾き調整処理についても、ステップS123,S124と同様の処理とすることで同様の処理を実現することが可能となる(【0143】)、
画像処理装置(【0001】)。」
(3)対比
ア 引用発明1における、「カメラ21-1,21-2」は、「異なる視点から、同一の被写体を撮像する撮像手段」であるから、本願補正発明における「少なくとも2個の撮像装置」に相当する。
イ 引用発明1における「画像ずれ補正部151」は、「光軸調整量変換部171、および光軸調整部172-1,172-2」を備え、「光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔX,ΔY,ΔS0,ΔY0,ΔS1,ΔY1)に基づいて、カメラ21-1,21-2のそれぞれをチルト、パン、回転のそれぞれを制御する光軸調整量を生成し」(より、具体的には、「光軸調整量変換部171は、調整パラメータ保存部82に保存されている調整パラメータ(ΔY,ΔY0,ΔY1)に基づいてチルトの調整量を求め、調整パラメータΔXに基づいて、パンの調整量を求め、調整パラメータ(ΔS0,ΔS1)に基づいて、回転の調整量を求め」)、「光軸調整量変換部171は、求めた調整量の情報を光軸調整部172-1,172-2に供給し」、「光軸調整部172-1,172-2は、光軸調整量変換部171からの調整量に基づいて、カメラ21-1,21-2のパン、チルト、および回転を制御」している。
ここで、引用発明1における「光軸調整部172-1,172-2」は、それぞれカメラ21-1,21-2の「チルト、パン、回転」を「物理的」に制御するものであって、カメラ21-1と21-2との距離を「物理的」に制御するものではないから、引用発明1における「光軸調整」において、カメラ21-1と21-2との距離は一定であると認められる。
よって、引用発明1の「画像ずれ補正部151」が行う上記「光軸調整」と、本願補正発明における「少なくとも2個の前記撮像装置のうち、第1の撮像装置と第2の撮像装置との距離を一定として前記第2の撮像装置の姿勢を規定するパラメータを変化させ」ることとは、「少なくとも2個の前記撮像装置のうち、第1の撮像装置と第2の撮像装置との距離を一定として、少なくとも前記第2の撮像装置の姿勢に関連するパラメータを変化させ」ている点で共通するといえる。
ウ 引用発明1における「画像取得手段」、「画像ずれ補正手段」、「評価値算出手段」及び「更新手段」は、それぞれ、「前記画像取得手段は、前記撮像手段により異なる視点から、同一の被写体を撮像する複数の画像を取得し」、「前記画像ずれ補正手段は、前記画像取得手段により取得された複数の画像を、画像ずれを補正するためのパラメータに基づいて、前記撮像手段における撮像方向となる光軸を動作させるようにすることで、変形し、それぞれ補正画像を生成し」、「評価値算出手段」は、「画像ずれ補正手段により生成された複数の補正画像間の視差方向の対応付けが不能な程度を示すエラー量の全画面の積分値を評価値として算出」し、「更新手段」は、「パラメータを変化させて、前記評価値が最小となるようにパラメータを更新」しているから、本願補正発明における「前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置によって得られた一対の画像間で対応する部分を探索し、探索の成功率に基づいて、前記パラメータを求める処理装置」とは、「前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置によって得られた一対の画像間で対応する部分を探索し、探索の結果についての指標に基づいて、少なくとも前記第2の撮像装置の姿勢に関連するパラメータを求める処理装置」の点で共通する。
エ 引用発明1における「カメラの撮像方向のずれによるエラーを容易にキャリブレーションできるようにした画像処理装置」が、次の相違点は除いて、本願補正発明における「撮像装置の校正システム」に相当する。
以上のことから、本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
「少なくとも2個の撮像装置と、
少なくとも2個の前記撮像装置のうち、第1の撮像装置と第2の撮像装置との距離を一定として少なくとも前記第2の撮像装置の姿勢に関連するパラメータを変化させて、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置によって得られた一対の画像間で対応する部分を探索し、探索の結果についての指標に基づいて、前記パラメータを求める処理装置と、
を含む、撮像装置の校正システム。」
(相違点1)
本願補正発明では、撮像装置の姿勢に関連するパラメータが、「撮像装置の姿勢を規定するパラメータ」であるのに対し、引用発明1では、「調整パラメータ」である点。
(相違点2)
本願補正発明では、「前記第2の撮像装置」の「姿勢」を変化させているのに対し、引用発明1では、「カメラ21-1,21-2」のパン、チルト、および回転を制御している点。
(相違点3)
本願補正発明では、一対の画像間で対応する部分を探索し、探索の成功率に基づいて、前記パラメータ(つまり、「前記第2の撮像装置」の「姿勢を規定するパラメータ」)を求めているのに対し、引用発明1では、複数の補正画像間の視差方向の対応付けが不能な程度を示すエラー量の全画面の積分値を評価値として算出し、パラメータ(つまり、調整パラメータ)を変化させて、前記評価値が最小となるようにパラメータを更新しているものの、該評価値が最小となるようにすることが「探索の成功率に基づいて」といえるか、明らかでない点。
(4) 判断
そこで、上記相違点について検討すると、
ア 相違点1について
引用発明1では、「調整パラメータ」に基づいてチルトの調整量、パンの調整量、回転の調整量を求め、そして、求めた調整量に基づいて、カメラ21-1,21-2のパン、チルト、および回転を制御している。すると、引用発明1において、「調整パラメータ」により、カメラ21-1,21-2の姿勢を規定する「パン、チルト、および回転」を変化させることは、該「調整パラメータ」より求めた「チルトの調整量」、「パンの調整量」、「回転の調整量」により、カメラ21-1,21-2の姿勢を規定する「パン、チルト、および回転」を変化させていると捉えることもできるから、表現上の相違を除けば、本願補正発明における、「撮像装置」の「姿勢を規定するパラメータを変化させ」ることと、実質的に同じ技術内容を意味しているといえる。
よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。
イ 相違点2について
ステレオカメラにおいて、一対の光学系のうちの一方を基準として、他方を調整することは、周知の事項である(例えば、特開平6-273172号公報の段落【0002】の「【従来の技術】一般に、ステレオカメラを用いた画像処理装置は、例えば、物体までの距離の計測、障害物としての物体の検出、物体の位置や大きさ等の計測に広く用いられている。この種の装置においては、組立時の製造誤差により左右の光学系の光軸に相対的なずれ量が生じ、一対の画像信号間に誤差が生じるため、ステレオカメラ内の一対のビデオ光学系の光軸を予め調整する必要がある。通常、一対の光学系のうちの一方を基準として、他方を調整するようになっている。」(下線は、強調のため、当審で付与した。)との記載参照。)。
よって、引用発明1において、上記周知の事項を適用し、一対のカメラ21-1,21-2のうちの一方のカメラを基準として、他方のカメラについて、パン、チルト、および回転を制御するようにし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
評価値が最小となるパラメータを求めることは、評価値に「基づいて」パラメータを求めることに他ならない。また、評価値として、不能な程度を示す値(例えば、エラー率)を用いることも、可能な程度を示す値(例えば、成功率)を用いることも、共に周知の事項であって、可能な程度を示す値(例えば、成功率)を用いる場合には、その評価値が「最大」となるパラメータを求めることはいうまでもないことである。
よって、引用発明1において、上記周知の事項を適用して、複数の補正画像間の視差方向の対応付けが「不能な程度を示すエラー量」の全画面の積分値を評価値として算出し、パラメータ(つまり、調整パラメータ)を変化させて、前記評価値が「最小」となるパラメータを求めることに代え、複数の補正画像間の視差方向の対応付けが「可能な程度を示す量」の全画面の積分値を評価値として算出し、パラメータ(つまり、調整パラメータ)を変化させて、前記評価値が「最大」となるパラメータを求めるようにして、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ 従って、本願補正発明は、引用発明1及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年9月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成28年4月25日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも2個の撮像装置と、
少なくとも2個の前記撮像装置のうち、第1の撮像装置と第2の撮像装置との距離を一定として前記第2の撮像装置の姿勢を規定するパラメータを変化させて、前記第1の撮像装置及び前記第2の撮像装置によって得られた一対の画像間で対応する部分を探索し、探索した結果に基づいて、前記パラメータを求める処理装置と、
を含む、撮像装置の校正システム。」
2 引用例等
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりのものである。
3 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明に「探索の成功率に基づいて、前記パラメータを求める」とあったところを、「探索した結果に基づいて、前記パラメータを求める」と、限定を解除したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み。さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明1及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明についても、同様の理由により、引用発明1及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013822