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特許拒絶査定不服審判

2022-009432

情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム

審判番号
2022-009432
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-209819
請求日
2022年06月20日
審決日
2023年04月18日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヤフー株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 石黒 雄一
分類
P18 .572-Z (G01C) / P18 .575-Z (G01C) / P18 .121-Z (G01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-209819「情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年5月27日出願公開、特開2021-81339〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年11月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 3月31日付け:拒絶理由通知書 令和3年 6月 2日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年11月12日付け:拒絶理由通知書 令和3年12月10日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 4月20日付け:補正の却下の決定、拒絶査定 令和4年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 8月25日付け:前置報告書 令和4年10月 3日 :上申書の提出 第2 令和4年6月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年6月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 【請求項1】 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と、 を備え、 前記記憶部は、前記利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶し、 前記通知部は、期限時刻よりも前に、前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行い、 前記案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する ことを特徴とする情報処理装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前の、令和3年6月2日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と、 を備え、 前記案内部は、建物内にいる前記利用者の端末装置に対して、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供することを特徴とする情報処理装置。」 2 補正の適否 2-1 本件補正の目的 (1)請求項1に係る補正について 本件補正における請求項1に関する補正の内容について検討する。 本件補正は、本件補正後の請求項1において追加された事項のうち、 ア「前記記憶部は、前記利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶し」という事項については、本件補正前の請求項1に係る発明の「記憶部」について限定を付加するものであり、 イ「前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部」における「の端末装置」という事項及び「前記通知部は、期限時刻よりも前に、前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す通知を行い」という事項については、本件補正前の請求項1に係る発明の「通知部」について限定を付加するものであり、 ウ「前記案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」における「期限時刻よりも前に」という事項については、本件補正前の請求項1に係る発明の「案内部」について限定を付加するものであって、 補正後の請求項1に係る発明は補正前の請求項1に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。 しかしながら、本件補正後の請求項1において追加された エ「前記案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」における「建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」という事項については、本件補正前の請求項1に係る発明の「建物内にいる前記利用者の端末装置」以外の「建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」を含むものに拡張ないし変更されたものである。 そうすると、このような補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでなく、さらに、誤記の訂正あるいは明りょうでない記載の釈明、請求項の削除を目的とするものでもない。 (2)小括 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2-2 独立特許要件 上記のとおり、本件補正の目的は、特許請求の範囲の減縮に該当しないが、仮に、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合であっても、本件補正後の請求項1に係る発明(以下 、「本件補正発明」という。)は、以下の理由により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 この場合、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「記憶部」、「通知部」及び「案内部」の内容について、上記1(1)の下線部のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであると理解できる。 そこで、この理解において、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載 a 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2002-42188号公報(平成14年2月8日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。 (a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、駐車場に停めた車の駐車時間等に関する情報を、ユーザに報知するシステムに関する。」 (b)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】駐車場の料金は、2時間までは500円、2時間を超えると1時間ごとに300円というように、時間及び料金が段階的に決められている。したがって、ユーザは、余分な料金を払わないために、料金が増える時間となる前に駐車場から車を出庫するようにしている。しかしながら、車を駐車場に停めた後、買物等をしていると、つい駐車時間を忘れてしまい、予定以上の駐車料金を払うこととなることが多かった。 【0004】本発明は、駐車場に車を停めた後の駐車時間等の情報を、ユーザに対して提供することができるシステムを提供することを目的とするものである。」 (c)「【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものである。本発明の駐車場情報提供システムにおいては、携帯可能なカード状の端末が駐車場に用意され、ユーザは駐車場を利用するときにこの端末を受け取る。この端末には、駐車場に設けた管理手段が管理する駐車時間、残り時間、料金等の時間情報が表示される。ユーザは、この端末に表示される時間情報を見て、希望の時間内に駐車場から出庫することができる。 【0006】また、端末において、残り時間が少なくなった場合などに、音声等によりユーザに報知をすることにより、ユーザは、更に確実に駐車時間のコントロールをすることができる。本発明は、更に、駐車場にサーバを設けることにより、携帯電話、PHS等の移動電話を所持するユーザに対して、駐車の予約、予約に基づく駐車時間等の管理、料金の自動支払い等を可能とする。」 (d)「【0024】なお、本例では、カード6の表示部14に、ポイントサービスを受けられる店舗名を表示することもできる。 (実施形態6)携帯電話、PHS等の移動電話を所持するユーザに対して、移動電話を駐車場時間管理用の携帯端末として使用することができる。更に駐車予約等のきめ細かいサービスを提供することができる。 【0025】図9は、本例のシステム構成を示す。移動電話として携帯電話を使用する例を説明する。図9に示すシステムは、前述の図1のシステムに付加して設けられる。ただし、本例を単独で実施することも可能である。駐車場1に複数の受信機21が配置され、ゲート2に、入出庫検出手段22が配置される。受信機21と入出庫検出手段22は、駐車場管理センタのサーバ23と接続され、サーバ23は、インターネット24と接続される。ユーザは、携帯電話25を使用して、中継局26を介してサーバ23とデータの送受信をする。 【0026】図10は、サーバ23の構成を示す。サーバ23は、サーバとしての通常の構成に加えて、予約処理部27、入出庫管理部28、駐車管理部29、予約データベース(以下、「DB」と言う。)31を具備する。予約DB31には、横軸に駐車時間帯が割り振られ、縦軸に各駐車番号が割り振られる。また、時間帯ごとの駐車場周辺の混雑度を、その一定時間前の時間帯における予約の量等から推定し、この混雑度を記憶するようにしている。 【0027】図11を用いて、図9のシステムの処理を説明する。ユーザは、サーバ23のホームページにアクセスし、駐車場空き情報を携帯電話25で検索する(ステップS41)。携帯電話25の表示部に、図10に示す予約DB31の内容が表示される。予約がされていない時間帯の駐車番号は空欄とされ、予約済みの場合は、携帯番号と自動車番号が*マークで表示される。ユーザは、希望の時間帯に空きがあれば、駐車番号と自車のプレート番号と携帯番号を入力して予約をする(ステップS42)。予約DB31には、予約の時間帯と駐車番号の枠に、携帯番号とプレート番号が記憶される。 【0028】ユーザは予約時間になると、駐車場1に入る。ゲート2を通過するとき、入出庫検出手段22が車両のプレート番号を読み取り、入出庫管理部28により、予約DB31との照合を行う(ステップS43)。読み込んだプレート番号が現在の時間帯に予約されていれば、ゲート2を開ける。ユーザは、予約した駐車番号に車を停める。予約がなく、空きの駐車場所がある場合は、前述の実施形態1~5の方法により、カード6が発行される。 【0029】サーバ23では、入出庫管理部28により入庫を確認すると、駐車管理部29により、駐車時間のカウントを開始する(ステップS44)。このとき、駐車時間の開始時間としては、実際に入庫した時間又は予約時間のいずれとすることもできる。ユーザは、車を停めると、携帯電話25を持って駐車場1から出る。駐車管理部29は、予約終了時間より所定時間前(例、10分前)になると、携帯電話25と接続し、予約時間が終了することを通知する(ステップS45)。このとき、駐車場1の周辺の混雑状況をサービスとして通知する。この混雑状況は、予約DB31に記憶されている。 【0030】ユーザは、予約時間前までに駐車場1に戻る。このとき、サーバ23と携帯電話25により案内を依頼することができる。駐車場1に配置された複数の受信機21が通話中の携帯電話25の電波を検知し、駐車管理部29は、各受信機21が受信する電波強度から携帯電話25の位置を判定する。また、予約DB31から携帯電話25の駐車番号を読み出し、携帯電話25の現在位置と駐車番号位置とから、ユーザに音声により案内を行う。なお、携帯電話25に地図データを送信し、その表示部に地図とユーザの現在位置と駐車番号位置を表示するようにしてもよい。」 (e)「 [図:0001399016000001.jpg] 」(【図9】) (f)「 [図:0001399016000002.jpg] 」(【図10】) (g)「 [図:0001399016000003.jpg] 」(【図11】) b 上記aの記載及び図面から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (a)「予約DB31」について 上記a(d)の段落【0024】ないし【0028】及び上記a(e)-(g)の【図9】ないし【図11】からみて、ユーザが駐車場1内の駐車番号の希望を入力して予約をし、駐車場1内の該駐車番号を、予約DB31が記憶することが記載されていると認められる。 また、上記a(d)の段落【0027】及び上記a(f)の【図10】からみて、予約DB31は、ユーザの携帯番号とプレート番号を記憶することが記載されていると認められる。 (b)「サーバ23」の「駐車管理部29」について<その1> 上記a(d)の段落【0029】及び上記(ア)(e)ないし(g)の【図9】ないし【図11】からみて、サーバ23の駐車管理部29は、ユーザの携帯電話25に予約時間が終了することを通知するものであることが記載されていると認められる。 また、上記a(d)の段落【0029】及び上記(ア)(e)ないし(g)の【図9】ないし【図11】からみて、サーバ23の駐車管理部29は、予約終了時間より所定時間前になると、ユーザの携帯電話25に予約時間が終了することを通知するものであることが記載されていると認められる。 (c)「サーバ23」の「駐車管理部29」について<その2> 上記a(d)の段落【0030】及び上記a(e)ないし(g)の【図9】ないし【図11】からみて、サーバ23の駐車管理部29は、ユーザが駐車番号に戻るときにユーザの携帯電話25の現在位置と駐車番号位置とから携帯電話25の表示部に地図とユーザの現在位置と駐車番号位置を表示するものであると認められる。 また、上記a(d)の段落【0030】及び上記a(e)ないし(g)の【図9】ないし【図11】からみて、サーバ23の駐車管理部29は、予約終了時間前までに駐車場1に戻るとき、駐車場1に戻ってきたユーザの携帯電話25に対して、地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定した携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示することが記載されていると認められる。 (d)「駐車場情報提供システム」について 上記a(a)の段落【0001】、上記a(c)の段落【0005】及び【0006】、上記a(d)の段落【0024】ないし【0030】並びに上記a(e)ないし(g)の段落【図9】ないし【図11】からみて、駐車場情報提供システムについて記載されていると認められる。 (イ)引用発明 上記(ア)a及びbから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 ユーザが希望を入力して予約する駐車場1内の駐車番号を記憶する予約DB31と、 前記ユーザの携帯電話25に前記予約時間が終了することを通知するサーバ23の駐車管理部29と、 前記ユーザが前記駐車番号に戻るときにユーザの携帯電話25に対して前記表示部に地図と携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示するサーバ23の駐車管理部29と、 を備え、 前記予約DB31は、前記ユーザの携帯番号とプレート番号を記憶し、 前記サーバ23の駐車管理部29は、予約終了時間より所定時間前になると、ユーザの携帯電話25に前記予約時間が終了することを通知し、 前記サーバ23の駐車管理部29は、予約終了時間前までに駐車場1に戻るとき、駐車場1に戻ってきたユーザの携帯電話25に対して、表示部に地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定した携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する 駐車場情報提供システム。」 イ 引用文献5 (ア)引用文献5の記載 a 原査定と同日付けの補正の却下の決定の拒絶の理由で引用文献5として引用された本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2004-110625号公報(平成16年4月8日公開。以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (a)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、監視カメラとIT(通信技術)を駆使し、駐車カードを発行しなくても、駐車場の空状況を適確に把握すると共に駐車の予約を行える駐車場管理システムに関するものである。」 (b)「【0021】 (13)前記送信手段は、駐車を希望する車の車両ナンバーに加えて、駐車を希望する車の運転手または同乗者の携帯電話の電話番号またはメールアドレスを送信し、 配車指示手段は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、前記携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知することを特徴とした(2)乃至(12)のいずれかに記載の駐車場管理システム。」 (c)「【0026】 駐車場に入場しようとする車30の乗員(運転手または同乗者)は送信手段31を持っている。乗員は送信手段31により車30の車両ナンバーを駐車場に送信する。送信手段31は、例えば、携帯電話、携帯端末装置、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等で実現する。 ゲート開閉手段18は、送信手段31のインターネット、無線通信等を介して送信信号を受信する。カメラ15はメインゲート12に到着した車30の車両ナンバーを撮影する。ゲート開閉手段18は、カメラ15で得た車の車両ナンバーと、送信手段31から得た車両ナンバーを比較照合し、これらのナンバーが一致しているときはメインゲートを開き、不一致のときはメインゲートを開かない。これによって、予め車両ナンバーを知らせてきた車が駐車場に入場できる。 【0027】 配車指示手段19もゲート開閉手段18と同様に、送信手段31のインターネット、無線通信等を介して送信信号を受信する。配車指示手段19は、送信手段31から得た車両ナンバーに基づき割り当てる駐車区画を決定する。カメラ15で撮影した車の車両ナンバー情報は、配車指示手段19にも送られる。 カメラ16はサブゲート13に到着した車30の車両ナンバーを撮影する。配車指示手段19は、カメラ16で得た車の車両ナンバーとメインゲート12を通過した車両ナンバーを比較照合し、これらのナンバーが一致しているときはサブゲートを開き、不一致のときは開かない。サブゲート13の開閉動作はゲート開閉手段131が行う。 【0028】 このようにして車両ナンバーを送信した車はメインゲートとサブゲートを通過して駐車区画に入る。 配車指示手段19は、入口のカメラ15と出口のカメラ17で車両ナンバーを撮影した時刻差をもとに駐車時間を求め、駐車料金を算出する。料金の徴収は例えば利用者の銀行口座から自動引き落としをする。 【0029】 誘導表示手段20は、メインゲートを通過した車両に、駐車区画までの経路を誘導表示する。誘導表示手段20は、駐車場内にて車を点灯手段により誘導する。例えば矢印形の誘導燈を順番に点灯させていって車を駐車区画へと導く。1階の駐車区画へ導く誘導燈は赤色、2階は青色に点灯させる。駐車位置表示手段21はメインゲート12の近傍にあって、配車指示手段19が決定した駐車区画を表示する。例えば駐車位置表示手段21は、「赤の誘導燈に従って駐車区画1F017に移動して下さい」という表示をする。誘導表示手段20と駐車位置表示手段21の表示を目当てに、車の運転手は割り当てられた駐車区画へと車を移動させる。」 (d)「【0030】 図2は配車指示手段19の構成例を示した図である。 図2で、照合手段191は、送信手段31から送られてきた車両ナンバーと、サブゲートのカメラ16で撮った車両ナンバーを照合する。 管理手段192は、各駐車区画が空いているかどうかを管理する。駐車区画が空いているかどうかは、例えば駐車区画に光センサを設けて検知する。 【0031】 決定手段193は、メインゲートでの照合結果が一致しているときは、管理手段192で検知した駐車区画の空き状況を参照して、車に割り当てる駐車区画を決定する。 開閉制御手段194は、決定手段193で決定した駐車区画にあるゲート制御手段131に制御信号を送ってサブゲートを開く。駐車区画から車が出ていくとサブゲートを閉める。 【0032】 時間計測手段195は、入口のカメラ15と出口のカメラ17で車両ナンバーを撮影した時刻差をもとに駐車時間を求める。料金算出手段196は、駐車時間から駐車料金を算出する。 記憶手段197には、車両ナンバー、駐車時間、駐車料金等を記憶する。 通信手段198は、他の配車指示手段40と通信を行う。他の配車指示手段40は、例えば駐車場の他のフロアや、他の駐車場に設置されている。配車指示手段どうしで通信することにより配車指示手段40は自身があるフロアや自身のある駐車場が空いていないときは、他のフロアや駐車場の駐車区画を割り当てることができる。」 (e)「【0033】 図3は本発明にかかる駐車場管理システムが適用される駐車場の構成例を示した図である。図の例では駐車場50がビルとなった立体駐車場である。 入場する車51は入口52から入る。退場する車53は出口54から出る。駐車場50の各フロアには図1に示す駐車場管理システムが設置されている。図示していないが、入口52と出口54にはメインゲートとカメラが設置されている。 本発明にかかる駐車場管理システムは立体駐車場に限らず平地の駐車場にも適用できる。 【0034】 図4は駐車場を予約する手順の一例を示した図である。図4を用いて本発明の動作を説明する。 駐車場の利用を希望する車30の運転手は、送信手段から自身の車の車両ナンバー「は3516」をゲート開閉手段18と配車指示手段19に送信する。送信手段は、例えばEメール機能が付いた携帯電話で、ゲート開閉手段18と配車指示手段19はEメール機能を持ったパソコンを塔載する。これによって、送信手段とゲート開閉手段18及び配車指示手段19の間で通信可能になっている。 【0035】 やがて車30がメインゲート12に到着すると、カメラ15は車30の車両ナンバーを撮影する。ゲート開閉手段18は、カメラ15で撮影した車両ナンバーと、以前に送信手段から送られている車両ナンバーとを比較照合する。これらのナンバーが一致しているため、ゲート開閉手段18はメインゲート12を開く。 配車指示手段19は、駐車スペースの空き状況を参照して車30に割り当てる駐車区画を決定する。例えば、駐車区画「A2」を割り当てるものとする。このとき、駐車位置表示手段21は「赤の誘導燈に従って駐車区画A2に移動して下さい」という表示をする。誘導表示手段20は、矢印形の赤色誘導燈を順番に点灯して駐車区画「A2」への道順を示す。 これによって、車30はメインゲート12を通過して駐車区画「A2」へと移動する。」 (f)「【0038】 本発明の他の実施例について説明する。 送信手段31は、車両ナンバーの他に利用条件データを駐車場に送信する。配車指示手段19は、送信手段31より得た利用条件データに基づき利用条件に対する回答を駐車を希望する車両に応答する。例えば、駐車の可否、待ち時間等を回答する。 割り当てる駐車区画がない場合または利用条件データを満足しない場合は、配車指示手段19は、他の駐車場のデータを車両に応答してもよい。 ここで、利用条件データは、利用時間、料金、近傍の商店街へのアクセス時間等である。 【0039】 また、配車指示手段19は、決定した駐車場所を、駐車を希望する車両に塔載されているナビゲーション装置に送信してもよい。図4の例では、駐車区画「A2」を送信する。また、駐車場の全体レイアウトと駐車区画「A2」の位置を示した図を送信する。 【0040】 送信手段31は、駐車を希望する車の車両ナンバーに加えて、車の運転手、同乗者等の携帯電話の電話番号またはメールアドレスを駐車場に送信する。 配車指示手段19は、経過した駐車時間、現在の駐車料金、駐車区画のロケーション等を携帯電話に送信する。例えば、「経過時間1時間15分」、「駐車料金600円」、「駐車位置2階A10」の情報を携帯電話に送る。これによって駐車場利用者は駐車料金や経過時間を容易に確認できる。また、車を置いた場所を忘れても自分の車を探し回らなくてもよい。 【0041】 また、配車指示手段31は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、運転手、同乗者等の携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知するようにしてもよい。例えば、30分毎に駐車料金がアップする場合は、アップ時刻の10分前に携帯電話の画面にまもなく料金がアップすることを表示したり、携帯電話に音声出力させてもよい。これによって、利用者は料金がアップする前に車の出庫を済ませることができる。」 (審決注:段落【0041】の「配車指示手段31」は「配車指示手段19」の誤記と認める。) (g)「 [図:0001399016000004.jpg] 」(【図2】) (h)「 [図:0001399016000005.jpg] 」(【図4】) b 上記aの記載及び図面から、引用文献5には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (a)「記憶手段197」について 上記a(d)の段落【0032】、上記a(f)の段落【0040】、上記a(g)の【図2】からみて、記憶手段197は、車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者を含む駐車区画に駐車を希望する車両の運転手又は同乗者の車両ナンバー及び携帯電話の番号またはメールアドレスを記憶することが記載されていると認められる。 (b)「配車指示手段19」について<その1> 上記a(b)の段落【0021】、上記a(f)の段落【0041】、上記a(g)の【図2】及び上記a(h)の【図4】からみて、配車指示手段19は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、車両の運転手又は同乗者の携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知するものであることが記載されていると認められる。 (c)「配車指示手段19」について<その2> 上記a(f)の段落【0040】、上記a(g)の【図2】からみて、配車指示手段19は、車両の運転手又は同乗者の携帯電話に対して、立体駐車場の駐車区画のロケーションを送信するものであると認められる。 (イ)引用文献5技術的事項 上記(ア)a及びbから、引用文献5には、次の技術的事項(以下「引用文献5技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「 記憶手段197は、車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者を含む駐車区画に駐車を希望する車両の運転手又は同乗者の車両ナンバー及び携帯電話の番号またはメールアドレスを記憶し、 配車指示手段19は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、車両の運転手又は同乗者の携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知し、 配車指示手段19は、車両の運転手又は同乗者の携帯電話に対して、立体駐車場の駐車区画のロケーションを送信すること。」 (3)本件補正発明と引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)「記憶部」について a 引用発明における「ユーザ」は本件補正発明における「利用者」に相当し、同様に、「駐車場1」は「駐車場」に相当する。 そして、引用発明における「ユーザが希望を入力して予約する駐車場1内の駐車番号」は、「ユーザ」が事前に「希望を入力して予約する」ことにより割り当てられ「駐車場1」内の「駐車」した位置の情報であることから、本件補正発明における「事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報」に相当する。 そうすると、引用発明における「ユーザが希望を入力して予約する駐車場1内の駐車番号を記憶する予約DB31」は、本件補正発明における事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部」に相当する。 b 引用発明における「ユーザの携帯番号とプレート番号を記憶」することは、本件補正発明における「利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶」することと、「利用者に関する情報を記憶」することという限りで一致する。 (イ)「通知部」について a 引用発明における「ユーザの携帯電話25」は本件補正発明における「利用者の端末装置」に相当し、同様に、「駐車番号」は「駐車場所」に相当する。また、引用発明における「予約時間が終了することを通知する」ことは、「予約時間が終了する」までに「駐車番号」位置に戻ることが促されることから、本件補正発明における「駐車場所への戻りを促す事前通知を行う」ことに相当する。 そうすると、引用発明における「ユーザの携帯電話25に予約時間が終了することを通知するサーバ23の駐車管理部29」は、本件補正発明における「利用者の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部」に相当する。 b 引用発明における「予約終了時間」は本件補正発明における「期限時刻」に相当し、同様に、「予約終了時間より所定時間前になると」は「期限時刻よりも前に」に相当する。 また、引用発明における「ユーザ」は、「車両」の「運転手」及び又は「同乗者」の全員のうち、「車両ナンバーを駐車場に送信」した者であることから、本件補正発明における「車両の運転者及び同乗者の全員」と、「利用者」という限りで一致し、引用発明における「ユーザの携帯電話25」は、本件補正発明における「車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」と、「利用者の端末装置」という限りで一致する。 そうすると、引用発明における「予約終了時間より所定時間前になると、ユーザの携帯電話25に予約時間が終了することを通知」することは、本件補正発明における「期限時刻よりも前に、車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行」うことと、「期限時刻よりも前に、利用者の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行」うことという限りで一致する。 (ウ)「案内部」について a 引用発明における「ユーザが駐車番号に戻るとき」は本件補正発明における「利用者が駐車場所に戻る場合」に相当する。 また、引用発明における「ユーザの携帯電話25に対して表示部に地図と携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する」ことは、本件補正発明における「利用者の端末装置に対して駐車場所への案内情報を提供する」ことに相当する。 そうすると、引用発明における「ユーザが駐車番号に戻るときにユーザの携帯電話25に対して表示部に地図と携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示するサーバ23の駐車管理部29」は、本件補正発明における「利用者が駐車場所に戻る場合前利用者の端末装置に対して駐車場所への案内情報を提供する案内部」に相当するものである。 b 引用発明における「駐車場1に戻ってきたユーザ」は、「車両」の「運転手」及び「同乗者」の全員のうち、「車両ナンバーを駐車場に送信」した者であって、「駐車場1に戻ってき」て駐車場内にいる者であることから、本件補正発明における「建物内にいる車両の運転者及び同乗者の全員」と、「駐車場内にいる利用者」という限りで一致し、そうすると、引用発明における「駐車場1に戻ってきたユーザの携帯電話25」は、本件補正発明における「建物内にいる車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」と、「駐車場内にいる利用者の端末装置」という限りで一致する。 また、引用発明における「表示部に地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定した携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する」ことは、本件補正発明における「歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」ことと、「現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」ことという限りで一致する。 そうすると、引用発明における「予約終了時間前までに駐車場1に戻るとき、駐車場1に戻ってきたユーザの携帯電話25に対して、表示部に地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定した携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する」ことは、本件補正発明における「期限時刻よりも前に、建物内にいる車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」ことと、「期限時刻よりも前に、駐車場内にいる利用者の端末装置に対して、現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」ことという限りで一致する。 (エ)「情報処理装置」について 引用発明における「駐車場情報提供システム」は、本件補正発明における「情報処理装置」に相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と、 を備え、 前記記憶部は、前記利用者に関する情報を記憶し、 前記通知部は、期限時刻よりも前に、利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行い、 前記案内部は、期限時刻よりも前に、駐車場内にいる利用者の端末装置に対して、現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する 情報処理装置。」 【相違点1】 本件補正発明では、記憶部は、「利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員」に関する情報を記憶し、 通知部は、期限時刻よりも前に、「車両の運転者及び同乗者の全員」の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行い、 案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる「車両の運転者及び同乗者の全員」の端末装置に対して、屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する ものであるのに対し、 引用発明では、 予約DB31(記憶部)は、「ユーザ」(利用者)の携帯番号とプレート番号(に関する情報)を記憶し、 サーバ23の駐車管理部29(通知部)は、予約終了時間(期限時刻)より所定時間前になると(よりも前に)、「ユーザ」の携帯電話25(端末装置)に予約時間が終了することを通知し(駐車場所への戻りを促す事前通知を行い)、 サーバ23の駐車管理部29(案内部)は、予約終了時間(期限時刻)前までに駐車場1に戻るとき(よりも前に)、駐車場1に戻ってきた(建物内にいる)「ユーザ」の携帯電話25(端末装置)に対して、携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する(屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する)ものである点。 【相違点2】 本件補正発明では、 案内部は、「建物内の端末装置に対して、「歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて」「屋内での」現在位置を示しつつ「屋内」駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供するものであるのに対し、 引用発明では、 サーバ23の駐車管理部29(案内部)は、建物内の携帯電話25(端末装置)に対して、「地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定した」携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する(屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供する)ものである点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用文献5には、上記(2)イ(イ)のとおりの引用文献5技術的事項が記載されている。 そして、引用文献5技術的事項における「車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者」は本件補正発明における「利用者」に相当する。また、引用文献5技術的事項における「駐車区画」は本件補正発明の「駐車場所」に相当し、同様に、「駐車区画に駐車を希望する車両」は「駐車場所に駐車する車両」に相当する。さらに、引用文献5技術的事項における「運転手」は本件補正発明の「運転者」に相当し、同様に、「同乗者」は「同乗者」に相当することから、引用文献5技術的事項における「車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者を含む駐車区画に駐車を希望する車両の運転手又は同乗者」は本件補正発明の「利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員」と「利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者又は同乗者の全員」という限りで一致する。そして、引用文献5技術的事項における「車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者を含む駐車区画に駐車を希望する車両の運転手又は同乗者の車両ナンバー及び携帯電話の番号またはメールアドレス」は本件補正発明における「利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報」に「利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者又は同乗者に関する情報」という限りで一致する。そうすると、引用文献5技術的事項における「記憶手段197は、「車両ナンバーを駐車場に送信した運転手または同乗者を含む駐車区画に駐車を希望する車両の運転手又は同乗者の車両ナンバー及び携帯電話の番号またはメールアドレスを記憶」することは、本件補正発明における「記憶部は、利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶」することと、「記憶部は、利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者又は同乗者に関する情報を記憶」することという限りで一致する。 また、引用文献5技術的事項における「駐車料金がアップする時点」は本件補正発明における「期限時刻」に相当し、同様に、「駐車料金がアップする時点よりも所定時間前」は「期限時刻よりも前」に相当する。また、引用文献5技術的事項における「車両」は本件補正発明における「車両」に相当し、同様に、「携帯電話」は「端末装置」に相当し、「まもなく料金がアップすることを通知する」ことは「駐車場所への戻りを促す事前通知を行」うことに相当することから、引用文献5技術的事項における「配車指示手段19は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、車両の運転手又は同乗者の携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知する」ことは、本件補正発明における「通知部は、期限時刻よりも前に、車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行」うことと、「通知部は、期限時刻よりも前に、車両の運転者又は同乗者の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行」うことという限りにおいて一致する。 さらに、引用文献5技術的事項における「立体駐車場」は本件補正発明における「屋内駐車場」に相当し、同様に、「駐車区画のロケーションを送信する」ことは「駐車場所への案内情報を提供する」ことに相当する。そうすると、引用文献5技術的事項における「配車指示手段19は、車両の運転手又は同乗者の携帯電話に対して、立体駐車場の駐車区画のロケーションを送信する」ことは、本件補正発明における「案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供する」ことと、「案内部は、車両の運転者又は同乗者の端末装置に対して、屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供する」ことという限りにおいて一致する。 以上から、引用文献5記載事項を本件補正発明の用語を用いて記載すると、以下のようになる。 「記憶部は、利用者を含む駐車場所に駐車する車両の運転者又は同乗者に関する情報を記憶し、 通知部は、期限時刻よりも前に、車両の運転者又は同乗者の端末装置に駐車場所への戻りを促す事前通知を行い、 案内部は、車両の運転者又は同乗者の全員の端末装置に対して、屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供すること。」 そして、引用文献5技術的事項は、引用発明と、駐車場の利用予約(「予約」)を端末装置(「携帯電話」)で行い割り当てられた駐車場所(引用発明の「駐車番号」、引用文献5技術的事項の「駐車区画」)への戻りを促す事前通知を行う(引用発明の「予約時間が終了することを通知する」、引用文献5技術的事項の「まもなく料金がアップすることを通知する」)とともに駐車場所への案内情報を提供するという共通の機能を有することから、引用発明において採用する動機があるといえる。 そうすると、引用文献5技術的事項を、引用発明において採用し、引用発明における予約DB31(記憶部)が記憶する「ユーザ」(利用者)の携帯番号とプレート番号(に関する情報)、サーバ23の駐車管理部29(通知部)が事前通知を行う「ユーザ」の携帯電話25(端末装置)及びサーバ23の駐車管理部29(案内部)が携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する(屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する)「ユーザ」の携帯電話25(端末装置)を、引用文献5技術的事項のように、「車両ナンバーを駐車場に送信」して利用者となる者を含む「車両」(車両)の「運転手」(運転者)又は「同乗者」(同乗者)に関する情報及び同端末装置とし、その際、引用発明は「駐車場に車を停めた後の駐車時間等の情報を、ユーザに対して提供する」(引用文献1の段落【0004】)ことにより「余分な料金を払わないために、料金が増える時間となる前に駐車場から車を出庫する」(引用文献1の段落【0003】)ことを可能とするものであり、事前通知や駐車場所への案内情報の提供を確実に行うという要請は当然に内在していると認められることから、かかる情報及び同端末装置を、引用文献5技術的事項のように「車両ナンバーを駐車場に送信」して利用者となる者を含む「車両」(車両)の「運転手」(運転者)又は「同乗者」(同乗者)のみならず同「運転手」(運転者)及び「同乗者」(同乗者)の全員の端末装置として、相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 イ 【相違点2】について 携帯端末を用いた測位技術として、歩行者自律航法(PDR)は本願出願前に周知の技術(例えば、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された特開2019-191862号公報の段落【0002】、【0004】、【0013】及び【0021】-【0024】、同引用文献3として引用された特表2017-534843号公報の段落【0003】-【0004】並びに同引用文献4として引用された特表2015-534643号公報の段落【0006】-【0010】及び【0032】-【0034】を参照。以下、「周知技術」という。)であり、該周知技術を屋内駐車場で利用することも周知(例えば、原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用された特表2017-534843号公報の段落【0003】-【0004】及び同引用文献4として引用された特表2015-534643号公報の段落【0006】-【0010】を参照。以下、「周知の事項」という。)である。 そして、引用発明が、携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を「地図と駐車場1に配置された複数の受信機21が受信する電波強度から判定」するものであって、これはGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯電話25を持つユーザの現在位置の測位が可能なものであることから、同様にGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯端末の現在位置の測位が可能であるという共通の機能を有する上記周知技術を屋内駐車場で利用するという上記周知の事項を参酌して、引用発明を「屋内」駐車場における「駐車場情報提供システム」(情報処理装置)として上記周知技術の採用を試みる動機があるといえる。 そうすると、引用発明を「屋内」駐車場における「駐車場情報提供システム」(情報処理装置)とし、サーバ23の駐車管理部29(案内部))が携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する(現在位置を示しつつ屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供する)にあたり、携帯電話25を持つユーザの現在位置(現在位置)を測位する技術として、引用発明と同様にGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯端末の現在位置の測位が可能な上記周知技術である歩行者自律航法(PDR)の技術を用いることにより、相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 ウ 効果の予測性 本件補正発明の効果については、引用発明、周知技術及び周知の事項に基いて、当業者が予測し得る程度のものである。 (5)審判請求人の審判請求書における主張の検討 ア 審判請求人の審判請求書における主張の内容 審判請求人は、審判請求書において、原査定において引用文献1として拒絶の理由に引用された上記特開2002-42188号公報に記載された発明、同引用文献5として拒絶の理由に引用された上記特開2004-110625号公報並びに同引用文献2ないし4として拒絶の理由に引用された上記特開2019-191862号公報、特表2017-534843号公報及び特表2015-534643号公報にて例示される周知技術に基く本件補正発明への容易想到性について、以下のように主張している。 (ア)令和4年4月20日付け(発送日:令和4年4月26日)の補正の却下の決定において審査官が当業者であれば容易になし得たことであると説示した「引用文献1に記載された発明において前記周知の技術を適用して、駐車場に戻る際に、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて携帯電話の現在位置を判定して、駐車番号位置までの案内を行うようにする」こと(以下、「説示事項」という。)に対して a 上記説示事項は、「いずれの引用文献にも記載も示唆もなく、本願の出願当時の技術常識でもありません。当該指摘事項は、明らかに本願の開示内容を参照し、本願発明を意識した上で構築された論理であると思料します。」(審判請求書第5ないし第6ページ) b 「引用文献3、4は、歩行者自律航法(PDR)の技術を単に例示して説明しているに過ぎません。引用文献1,3、4のいずれにも、引用文献1に記載された発明において、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いる具体的な理由や根拠が何ら示されていません。」(審判請求書第6ページ) c 「引用文献5の段落[0040]には、「配車指示手段19は、経過した駐車時間、現在の駐車料金、駐車区画のロケーション等を携帯電話に送信する。例えば、「経過時間1時間15分」、「駐車料金600円」、「駐車位置2階A10」の情報を携帯電話に送る。これによって駐車場利用者は駐車料金や経過時間を容易に確認できる。また、車を置いた場所を忘れても自分の車を探し回らなくてもよい。」(下線は当方で追加)と記載されています。 引用文献5に記載の技術で運転手又は同乗者の携帯電話に通知しているのは、あくまで「経過した駐車時間」と「現在の駐車料金」と「駐車位置」だけです。駐車場所への戻りを促している訳でもありません。戻るか否かは本人の判断次第です。」(審判請求書第6ページ) d 「引用文献5の段落[0039]には、「駐車場の全体レイアウトと駐車区画「A2」の位置を示した図を送信する。」と記載されています。 引用文献5に記載の技術が、「駐車場に戻る際に、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて携帯電話の現在位置を判定して、駐車番号位置までの案内を行うようにする」ものではないことは明らかです。」(審判請求書第6ページ) (イ)上記(ア)以外について 「したがって、平成 4年 4月26日(発送日)付けの補正の却下の決定における指摘事項や、各引用文献を組み合わせる際の論理は、純粋に各引用文献に記載された内容から着想が得られたものではなく、「本願」の開示内容から着想が得られたものであると思料します。すなわち、本願発明の内容を意識した上で論理が構築されたものであると思料します。」(審判請求書第6ページ。下線は当審において付した。) イ 上記アの主張に対する検討 (ア)上記ア(ア)の主張について a 上記ア(ア)aの主張について 上記(4)イのとおり、携帯端末を用いた測位技術として、歩行者自律航法(PDR)は周知技術であり、該周知技術を屋内駐車場で利用することも周知の事項である。 そうすると、引用発明、周知技術及び周知の事項を知り得た当業者であれば、引用発明と同様にGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯端末の現在位置の測位が可能であるという共通の機能を有する上記周知技術を屋内駐車場で利用するという上記周知の事項を参酌して、引用発明を「屋内」駐車場における「駐車場情報提供システム」(情報処理装置)とし、サーバ23の駐車管理部29(案内部))が携帯電話25を持つユーザの現在位置と駐車番号位置を表示する(現在位置を示しつつ屋内駐車場の駐車場所への案内情報を提供する)にあたり、携帯電話25を持つユーザの現在位置(現在位置)を測位する技術として、引用発明と同様にGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯端末の現在位置の測位が可能な上記周知技術である歩行者自律航法(PDR)の技術を用いることにより、相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 したがって、審判請求人の上記ア(ア)aの主張は失当であって採用することはできない。 b 上記ア(ア)bの主張について 上記(4)イのとおり、携帯端末を用いた測位技術として、歩行者自律航法(PDR)は周知技術であり、該周知技術を屋内駐車場で利用することも周知の事項である。 そして、上記(4)イのとおり、引用発明、周知技術及び周知の事項を知り得た当業者であれば、引用発明と同様にGPS等の測位システムを利用せず屋内で携帯端末の現在位置の測位が可能であるという共通の機能を有する上記周知技術を屋内駐車場で利用するという上記周知の事項を参酌して、引用発明を「屋内」駐車場における「駐車場情報提供システム」(情報処理装置)として上記周知技術の採用を試みる動機があるといえる。 したがって、審判請求人の上記ア(ア)bの主張は失当であって採用することはできない。 c 上記ア(ア)cの主張について 上記(1)イ(ア)a(f)の段落【0041】において「配車指示手段31は、駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に、運転手、同乗者等の携帯電話にまもなく料金がアップすることを通知するようにしてもよい。例えば、30分毎に駐車料金がアップする場合は、アップ時刻の10分前に携帯電話の画面にまもなく料金がアップすることを表示したり、携帯電話に音声出力させてもよい。これによって、利用者は料金がアップする前に車の出庫を済ませることができる。」(審決注:上記(2)イ(ア)a(f)のとおり、段落【0041】の「配車指示手段31」は「配車指示手段19」の誤記と認める。)と記載されていることから、これは、「駐車料金がアップする時点よりも所定時間前に」「まもなく料金がアップすることを通知する」ことにより、「利用者」は、駐車区画(駐車場所)への戻りが促されて、その結果、実際に駐車区画(駐車場所)に戻って、「料金がアップする前に車の出庫を済ませることができる」ことを開示するものであると解されることから、上記(1)イ(ア)b(b)及びの上記(4)アのとおり、引用文献5には、「まもなく料金がアップすることを通知する」(駐車場所への戻りを促す事前通知を行う)ことが記載されていると認められる。 したがって、審判請求人の上記ア(ア)cの主張は失当であって採用することはできない。 d 上記ア(ア)dの主張について 補正の却下の決定において、上記説示事項の「駐車場に戻る際に、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて携帯電話の現在位置を判定して、駐車番号位置までの案内を行うようにする」ことについては、引用文献1に記載された発明において引用文献2ないし4にて例示される周知の技術を適用することにより当業者であれば容易になし得たことであると説示している。 そして、かかる説示事項については、相違点2についての上記上記(4)イのとおり、相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。 したがって、審判請求人の上記ア(ア)dの主張は失当であって採用することはできない。 (イ)上記ア(イ)の主張について 上記(ア)aと同様である。 したがって、審判請求人の上記ア(イ)の主張は失当であって採用することはできない。 (6)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和3年6月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、 ●理由1(進歩性)この出願の請求項1ないし14に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4にて例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 というものである。 引用文献1:特開2002-42188号公報 引用文献2:特開2019-191862号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特表2017-534843号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特表2015-534643号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2-2(2)アに記載したとおりである。 4 対比・判断 (1)対比 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における「記憶部」について「前記記憶部は、前記利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶し」という事項を削除し、本件補正発明における「通知部」について「前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部と、」及び「前記通知部は、期限時刻よりも前に、前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行い、」という事項を削除し、本件補正発明における「案内部」について「前記案内部を、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、歩行者自立航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」という事項を「前記案内部を、建物内にいる前記利用者の端末装置に対して、歩行者自立航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する」という事項として、本件補正発明における「期限時刻よりも前に」という限定事項を削除し、本件補正発明における「建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置」を「建物内にいる前記利用者の端末装置」としたものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、上記第2の[理由]2(3)アに記載した対比と同様に対比すると、次の点で一致し、上記第2の[理由]2(3)イの【相違点2】と同様な点で相違する。 【一致点】 「 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と、 を備え、 前記案内部は、駐車場内にいる利用者の端末装置に対して、現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所への案内情報を提供する 情報処理装置。」 (2)判断 そして、相違点2に係る本願発明の特定事項のように構成することについては、上記第2の[理由]2(4)イに記載したとおり、引用発明、引用文献2ないし3で例示される周知技術及び引用文献3及び4で例示される周知の事項に基いて、当業者であれば容易になし得るものである。 また、本願発明の効果の予測性についても、上記第2の[理由]2(4)ウに記載したとおり、引用発明、周知技術及び周知の事項に基いて、当業者が予測し得る程度のものである。 (3)小括 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。 5 審判請求人の令和4年10月3日提出の上申書における主張の検討 ア 審判請求人の上申書における主張の内容 審判請求人は、上記上申書において、補正案を提示し、補正の根拠の主張をしている。そして、同補正案のうち、請求項1に係る補正案については、以下のとおりである。 (ア)(補正案1)について a (補正案1)の内容 「[請求項1] 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と を備え、 前記記憶部は、前記利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶し、 前記通知部は、期限時刻よりも前に、前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う際に、前記車両の運転者及び同乗者の属性に応じて現在地から前記駐車場所に到着するまでに要する帰路所要時間を算出するとともに、算出された前記車両の運転者及び同乗者の属性に応じた帰路所要時間と期限時刻とに基づいて、前記事前通知を行うタイミングを前記車両の運転者及び同乗者の属性に応じたタイミングに変更し、 前記案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者が前記事前通知に応じて前記駐車場所に戻る場合に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所に向かうための案内情報を提供し、前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性に応じた帰路案内を行う ことを特徴とする情報処理装置。」(下線は、審判請求人が付したとおり。以下同様。) b (補正案1)の根拠の主張 「上記補正案1に係る補正事項は、補正前の請求項2、及び出願当初の明細書の段落[0026]、[0029]、[0122]等の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当するものではありません。 このため、上記補正案における補正事項は、出願当初明細書の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではありません。」 (イ)(補正案2)について a (補正案2)の内容 「[請求項1] 事前に利用者に割り当てる駐車場内の駐車場所の情報を記憶する記憶部と、 前記利用者の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う通知部と、 前記利用者が前記駐車場所に戻る場合に前記利用者の端末装置に対して前記駐車場所への案内情報を提供する案内部と を備え、 前記記憶部は、前記利用者を含む前記駐車場所に駐車する車両の運転者及び同乗者の全員に関する情報を記憶し、 前記通知部は、期限時刻よりも前に、前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に前記駐車場所への戻りを促す事前通知を行う際に、前記車両の運転者及び同乗者の属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じて現在地から前記駐車場所に到着するまでに要する帰路所要時間を算出するとともに、算出された前記車両の運転者及び同乗者の属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じた帰路所要時間と期限時刻とに基づいて、前記事前通知を行うタイミングを前記車両の運転者及び同乗者の属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じたタイミングに変更し、 前記案内部は、期限時刻よりも前に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者が前記事前通知に応じて前記駐車場所に戻る場合に、建物内にいる前記車両の運転者及び同乗者の全員の端末装置に対して、歩行者自律航法(PDR)の技術を用いて屋内での現在位置を示しつつ屋内駐車場の前記駐車場所に向かうための案内情報を提供し、前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じた帰路案内を行う ことを特徴とする情報処理装置。」 b (補正案2)の根拠の主張 「 上記補正案2に係る追加の補正事項は、出願当初の明細書の段落[0024]、[0025]等の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当するものではありません。 本願の段落[0024]には、「ユーザUは、徒歩/シャトルバス/シェアサイクル/パーソナルモビリティ等の移動手段で、施設Fに向かって移動する。情報処理装置100は、ユーザUがシャトルバスを利用する場合には、シャトルバスの乗り場や発着時刻、施設Fまでの所要時間(到着予想時間)、混雑状況等を通知してもよい。」と記載されています。 また、本願の段落[0025]には、「このとき、情報処理装置100は、ユーザUの現在位置情報と駐車場P内の駐車場所Lの位置情報とに基づいて、ユーザUが現在地から駐車場所Lに到着するまでに要する時間(帰路所要時間)を算出し、駐車料金が変動したり営業時間が終了したりする期限時刻よりも帰路所要時間以上前に事前通知を行うと好ましい。例えば、「現在地から駐車場所Lまで徒歩で△△分かかるため、今すぐに出発する必要があります」等の事前通知を併せて行う。」、「また、情報処理装置100は、ユーザUがシャトルバスを利用する場合には、シャトルバスの乗り場や発着時刻、駐車場Pまでの所要時間(到着予想時間)、混雑状況等を通知してもよい。」と記載されています。 そこで、「駐車場所までの帰路の移動手段」について言及する補正を行いました。 このため、上記補正案における補正事項は、出願当初明細書の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではありません。」 イ 上記アの主張に対する検討 (ア)(補正案1)について a (補正案1)において新たに特定された事項 上記ア(ア)aの(補正案1)においては、新たに「算出された前記車両の運転者及び同乗者の属性に応じた帰路所要時間と期限時刻とに基づいて、前記事前通知を行うタイミングを前記車両の運転者及び同乗者の属性に応じたタイミングに変更」すること及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性に応じた帰路案内を行う」ことが特定されている。 b 上記ア(ア)bにおいて補正の根拠として主張する記載について これに対して、上記ア(ア)bにおいて補正の根拠として主張されている出願当初の明細書の記載のうち、「属性」について記載されている段落【0122】には以下のように記載されている(下線は当審において付した。)。 「【0122】 また、上記実施形態において、情報処理装置100は、ユーザUの属性を考慮して、ユーザUに割り当てる駐車場所Lを決定したり、事前通知を行うタイミングを決定したりしてもよい。例えば、ある電子決済サービスの事業者が施設Fの駐車場P内の駐車枠(車室)をいくつか確保している場合、当該電子決済サービスの利用頻度が高いユーザから優先的に、確保した駐車枠の中から駐車場所Lを割り当てるようにしてもよい。また、ユーザUの電子決済サービスの利用額が一定額(例えば5万円/月等)を超えた場合には、ユーザUが駐車場Pの利用予約を行った時に駐車場所Lの駐車料金を割引/無料にするようにしてもよい。また、ユーザUが高齢者等である場合には事前通知を行うタイミングを早くするようにしてもよい。また、情報処理装置100は、ユーザUの性別や年齢等を考慮して、ユーザUが現在地から駐車場所Lに到着するまでに要する時間(帰路所要時間)を算出するようにしてもよい。このとき、情報処理装置100は、端末装置10の各センサ21~28から出力されるセンサ情報からユーザUの移動速度を求め、ユーザUの移動速度に基づいて帰路所要時間を算出してもよい。」 しかしながら、当該記載には、「ユーザUの属性」に応じることついては記載されているものの、(補正案1)において新たに特定された「前記車両の運転者及び同乗者の属性」及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性」に応じることについては記載されておらず、「前記車両の運転者及び同乗者」には「ユーザU」以外の者が含まれていることから、上記段落【0122】には(補正案1)において新たに特定された事項が記載されているとはいえず、また、自明な事項であるともいえない。 c 出願当初明細書等におけるその他の記載について 本件の出願当初の明細書等には、さらに以下のような記載がある。 (a)段落【0012】 「かかるユーザUは、車両Cの利用者である。」 (b)段落【0019】 「車両Cを運転するのはユーザUでなくてもよい。すなわち、ユーザUは車両Cの同乗者でもよい。」 (c)段落【0053】 「「属性情報」は、ユーザUの属性を示す情報である。ユーザUの属性には、例えば、性別/年齢/住所等のデモグラフィック(人口統計学的属性)やサイコグラフィック(心理学的属性)等、任意の属性が採用可能である。」 (d)段落【0119】 「上記実施形態において、情報処理装置100は、ユーザUの端末装置10に対して事前通知及び帰路案内を行っているが、実際には、ユーザUの端末装置10だけでなく、車両Cの搭乗者全員(運転者及び同乗者)の端末装置10に同様の事前通知及び帰路案内を行ってもよい。例えば、駐車場P内の駐車場所Lに駐車して車両Cから降りた後、車両Cの搭乗者が各自バラバラに行動することも想定される。そのような場合でも、車両Cが駐車場所Lから退出する際には車両Cの搭乗者が全員そろう必要がある。また、運転者は駐車場所Lの位置を覚えていても、同乗者は駐車場所Lの位置を覚えていない可能性もある。さらに、同乗者が、車両Cを覚えていない可能性や、車両Cと他の車両との見分けがつかない可能性もある。したがって、情報処理装置100は、車両Cの搭乗者の各自の端末装置10に事前通知及び帰路案内を行うと好ましい。この場合、情報処理装置100は、予約情報記憶部123に、車両Cの搭乗者全員のユーザIDを対応付けて記憶するか、通知の対象となる全ての端末装置10の端末IDを対応付けて記憶する。」 しかしながら、上記各記載には、(補正案1)において新たに特定された「前記車両の運転者及び同乗者の属性」及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性」に応じることについては記載されているとはいえず、また、その他当初明細書等の記載全体及び技術常識を参酌してみても自明な事項であるともいえない。 d 小括 したがって、(補正案1)は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、採用することはできない。 (イ)(補正案2)について a (補正案2)において新たに特定された事項 上記ア(イ)aの(補正案2)においては、新たに「算出された前記車両の運転者及び同乗者の属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じた帰路所要時間と期限時刻とに基づいて、前記事前通知を行うタイミングを前記車両の運転者及び同乗者の属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じたタイミングに変更」すること及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性及び前記駐車場所までの帰路の移動手段に応じた帰路案内を行う」ことが特定されている。 b 上記ア(イ)bにおいて補正の根拠として主張する記載について これに対して、まず、(補正案2)のうち、(補正案1)において新たに特定されたのと同様な「前記車両の運転者及び同乗者の属性」及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれの属性」に応じることについては、上記(ア)と同様に、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、採用することはできないものである。 また、上記ア(イ)bにおいて補正の根拠として主張されている出願当初の明細書の記載のうち、「移動手段」について記載されている段落【0024】及び【0025】には上記ア(イ)bの主張において摘記された記載がある。 しかしながら、当該各記載には、「ユーザU」の「前記駐車場所までの帰路の移動手段」に応じることついては記載されているものの、(補正案2)において新たに特定された「前記車両の運転者及び同乗者」の「前記駐車場所までの帰路の移動手段」及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれ」の「前記駐車場所までの帰路の移動手段」に応じることについては記載されておらず、「前記車両の運転者及び同乗者」には「ユーザU」以外の者が含まれていることから、上記段落【0024】及び【0025】には(補正案2)において新たに特定された事項が記載されているとはいえず、また、自明な事項であるともいえない。 c 出願当初明細書等におけるその他の記載について 本件の出願当初の明細書等には、さらに以下のような記載がある。 段落【0099】 「通知部133は、ユーザUがシャトルバスを利用する場合には、シャトルバスの乗り場や発着時刻、駐車場Pまでの所要時間(到着予想時間)、混雑状況等を通知してもよい。」 しかしながら、上記記載には、(補正案2)において新たに特定された「前記車両の運転者及び同乗者」の「前記駐車場所までの帰路の移動手段」及び「前記車両の運転者及び同乗者のそれぞれ」の「前記駐車場所までの帰路の移動手段」に応じることについては記載されているとはいえず、また、その他当初明細書等の記載全体及び技術常識を参酌してみても自明な事項であるともいえない。 d 小括 したがって、(補正案2)は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、採用することはできない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-009432

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