特許拒絶査定不服審判
2016-013555
手術用回収装置及びその方法
- 審判番号
- 2016-013555
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-186637外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月09日
- 審決日
- 2018年07月02日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-186637「手術用回収装置及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日出願公開、特開2014- 61342〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は、平成19年5月24日(パリ条約による優先権主張 平成18年10月14日 (US)アメリカ合衆国,平成18年12月6日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2009-532339号の一部を平成25年9月9日に新たな特許出願としたものであって、平成28年6月8日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。そして、平成28年9月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに特許請求の範囲について手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。以下に、出願から本件補正に至る経緯の詳細を示す。
平成25年9月 9日 特許出願
平成26年8月29日 拒絶理由通知
平成27年3月 2日 意見書及び手続補正書の提出
同年8月 3日 拒絶理由通知
平成28年1月 6日 意見書及び手続補正書の提出
同年6月 8日 拒絶をすべき旨の査定
同年9月 9日 審判請求、手続補正書の提出(本件補正)
第2 平成28年9月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年9月9日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、平成28年1月6日付けで補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1に関する以下の補正を含むものである。(なお、下線部は補正箇所を明確にする目的で請求人が付した。)
(1)補正前の請求項1
「解剖用の導管又は経路から突出部を除去するために、任意の光学画像装置と組み合わせて用いられる手術用の焼灼及び回収装置であって、
前記装置は、
各々が第1端部及び第2端部を有する2以上の成形部材を備え、
前記成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記形状が円形、卵形、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、
2以上の前記成形部材が捕獲バスケットを形成するよう配置され、
少なくとも2つの前記成形部材は、前記形状が互いに異なっており、
前記装置はさらに、
各々が第1端部及び第2端部を有する1以上の追加的な成形部材で形成されたループを備え、
前記追加的な成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記追加的な成形部材の前記形状が、円形、卵形、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、
前記ループが導電性を有することにより焼灼スネアを形成し、
前記装置はさらに、
前記焼灼スネアに電力を伝達するための手段を備え、
前記ループを形成する前記追加的な成形部材の前記第1端部は前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第2端部と接続され、前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第1端部が制御ワイヤと接続されることにより、前記捕獲バスケットの先端に前記ループが接続され、
前記制御ワイヤによって前記焼灼スネア及び前記捕獲バスケットを移動可能であり、前記焼灼スネアによって材料を焼灼し、前記捕獲バスケットによって除去された前記材料を捕獲することを特徴とする手術用の焼灼及び回収装置。」
(2)補正後の請求項1
「解剖用の導管又は経路から突出部を除去するために、任意の光学画像装置と組み合わせて用いられる手術用の焼灼及び回収装置であって、
前記装置は、
各々が第1端部及び第2端部を有する2以上の成形部材を備え、
前記成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記形状が円形、卵形、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、
2以上の前記成形部材が捕獲バスケットを形成するよう配置され、
少なくとも2つの前記成形部材は、前記形状が互いに異なっており、
前記装置はさらに、
各々が第1端部及び第2端部を有する1以上の追加的な成形部材で形成されたループを備え、
前記追加的な成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記追加的な成形部材の前記形状が、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、左右非対称の形状であり、
前記ループが導電性を有することにより焼灼スネアを形成し、
前記装置はさらに、
前記焼灼スネアに電力を伝達するための手段を備え、
前記ループを形成する前記追加的な成形部材の前記第1端部は前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第2端部と接続され、前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第1端部が制御ワイヤと接続されることにより、前記捕獲バスケットの先端に前記ループが接続され、
前記制御ワイヤによって前記焼灼スネア及び前記捕獲バスケットを移動可能であり、前記焼灼スネアによって材料を焼灼し、前記捕獲バスケットによって除去された前記材料を捕獲することを特徴とする手術用の焼灼及び回収装置。」
2 本件補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である、追加的な成形部材の形状に関する選択的な構成から「円形、卵形」を削除するとともに、その形状が「左右非対称の形状であり」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とするものに該当する。そして、本件補正は、同条第3項及び第4項の規定に違反するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち同条第6項において準用する同法第126条第7項に規定される特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないとの要件に適合するものであるかについて検討する。
(1)補正発明
補正発明は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記1(2)に示す、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
(2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本件優先日前に頒布された特開2002-17744号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「内視鏡用高周波スネア」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されてポリープを切除するために用いられる内視鏡用高周波スネアに関する。」
イ 「【0007】そこで本発明は、スネアループにより生体組織を切除する際には高周波電流で周囲の粘膜を火傷させるおそれがなく、スネアループで切除した生体組織はスネアループを操作する操作部材をそのまま用いて容易に捕捉、回収することができ、しかも実用性の高い内視鏡用高周波スネアを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用高周波スネアは、軸線方向に進退自在に可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端に高周波電流を通電可能なスネアループが連結され、操作ワイヤを軸線方向に進退操作することによりスネアループが可撓性シースの先端内に出入りして、スネアループが可撓性シース外では自己の弾性によって膨らみ、可撓性シース内に引き込まれることによって窄まるようにした内視鏡用高周波スネアにおいて、スネアループにより切除された生体組織を捕捉するための捕捉部材をスネアループの基端部分に配置したものである。」
ウ 「【0012】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の第1の実施例の内視鏡用高周波スネアを示しており、1は、例えば電気絶縁性の四フッ化エチレン樹脂製チューブ等からなる可撓性シースであり、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される。
【0013】可撓性シース1内には、可撓性のある例えばステンレス鋼線のような導電性金属製の操作ワイヤ2が全長にわたって軸線方向に進退自在に挿通されており、操作部10側から任意に進退操作される。
【0014】操作部10には、操作ワイヤ2の基端が連結されたスライダー12が操作部本体11にスライド自在に取り付けられている。スライダー12には、図示されていない高周波電源コードを接続するための接続端子13が、操作ワイヤ2に電気的に接続されて配置されている。
【0015】操作ワイヤ2の先端部分には、ポリープ等のような生体組織を緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3と、切断されたポリープ等を捕捉、回収するためのバスケット4(捕捉部材)とが、スネアループ3を先側にして直列に配置されている。
【0016】スネアループ3とバスケット4は、共にステンレス鋼線の撚り線又は単線のような導電性金属製の弾性ワイヤをループ状に曲げて形成されている。スネアループ3は一つのループであり、バスケット4は3~5本程度の弾性ワイヤによりかご状に形成されている。
【0017】そして、スネアループ3とバスケット4は、各々、可撓性シース1の先端内に出入りして、可撓性シース1外では自己の弾性によって膨らみ、操作ワイヤ2が操作部10側に牽引されると可撓性シース1内に引き込まれて窄まるようになっている。
【0018】このような構成により、接続端子13に接続した高周波電源コードに高周波電流を流せば、操作ワイヤ2からバスケット4を経てスネアループ3まで高周波電流が通電される。
【0019】なお、スネアループ3及びバスケット4の形状は、卵形又は多角形状等どのような形状であっても差し支えない。また、操作ワイヤ2とスネアループ3との間に複数のバスケット4を直列に連結して配置してもよい。
【0020】このように構成された実施例の内視鏡用高周波スネアによりポリープを切除、回収するには、まず図2に示されるように、スネアループ3でポリープ100を囲んだ状態にする。
【0021】そして、図3に示されるように、操作ワイヤ2を牽引するとポリープ100がスネアループ3により緊縛され、高周波電流を通電することにより、図4に示されるようにポリープ100が切除される。この一連の動作中、バスケット4は可撓性シース1内に収容されて窄まった状態になっているので、全くポリープ緊縛動作の妨げにならない。
【0022】ポリープ100が切除されたら、可撓性シース1を押し込み操作することにより、図5に示されるようにバスケット4が可撓性シース1の先端から前方に突き出され、その中にポリープ100の切除片を捕捉して回収することができる。」
a 上記摘記事項ア「この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されてポリープを切除するために用いられる内視鏡用高周波スネアに関する。」との記載、同イの「【0008】・・・本発明の内視鏡用高周波スネアは・・・操作ワイヤの先端に高周波電流を通電可能なスネアループが連結され・・・た内視鏡用高周波スネアにおいて、スネアループにより切除された生体組織を捕捉するための捕捉部材をスネアループの基端部分に配置したものである。」との記載並びに同ウの「【0015】操作ワイヤ2の先端部分には、ポリープ等のような生体組織を緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3と、切断されたポリープ等を捕捉、回収するためのバスケット4(捕捉部材)とが、スネアループ3を先側にして直列に配置されている。」、「【0017】そして、スネアループ3とバスケット4は・・・操作ワイヤ2が操作部10側に牽引されると可撓性シース1内に引き込まれて窄まるようになっている。」及び「【0020】このように構成された実施例の内視鏡用高周波スネアによりポリープを切除、回収するには、まず図2に示されるように、スネアループ3でポリープ100を囲んだ状態にする。
【0021】そして、図3に示されるように、操作ワイヤ2を牽引するとポリープ100がスネアループ3により緊縛され、高周波電流を通電することにより、図4に示されるようにポリープ100が切除される。・・・【0022】ポリープ100が切除されたら、可撓性シース1を押し込み操作することにより、図5に示されるようにバスケット4が可撓性シース1の先端から前方に突き出され、その中にポリープ100の切除片を捕捉して回収することができる。」との記載を整理すると、引用文献1には、「内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されてポリープを切除するために用いられる内視鏡用高周波スネアであって、前記内視鏡用高周波スネアは、高周波電源コードを接続するための接続端子13、操作ワイヤ2、バスケット4及びスネアループ3を備え、前記操作ワイヤ2の先端部分には、前記スネアループ3と、前記バスケット4とが、スネアループ3を先側にして直列に配置され、前記操作ワイヤ2が牽引されると、前記スネアループ3及び前記バスケット4が引き込まれて窄まり、前記スネアループ3によってポリープを切除し、前記バスケット4によって切除された前記ポリープを捕捉、回収する内視鏡用高周波スネア。」が記載されていることが理解できる。
b 上記摘記事項ウの「【0016】スネアループ3とバスケット4は、共にステンレス鋼線の撚り線又は単線のような導電性金属製の弾性ワイヤをループ状に曲げて形成されている。スネアループ3は一つのループであり、バスケット4は3~5本程度の弾性ワイヤによりかご状に形成されている。」との記載からみて、3~5本程度のバスケット4をなす弾性ワイヤはループ状に曲げて形成されたものであるとともに、かご状のバスケットを形成するように配置されたものであるといえる。そして、これらの記載と図1等を併せみれば、それらの弾性ワイヤの各々が第1端部及び第2端部を有するものといえる。してみると、引用文献1に記載された内視鏡用高周波スネアは、「各々が第1端部及び第2端部を有する3~5本程度のバスケット4をなす弾性ワイヤを備え、該バスケット4をなす弾性ワイヤはループ状に曲げて形成されたものであり、3~5本程度の該バスケット4をなす弾性ワイヤがかご状のバスケット4を形成するように配置され」たものといえる。
c 上記摘記事項ウの「【0016】スネアループ3とバスケット4は、共にステンレス鋼線の撚り線又は単線のような導電性金属製の弾性ワイヤをループ状に曲げて形成されている。スネアループ3は一つのループであり、バスケット4は3~5本程度の弾性ワイヤによりかご状に形成されている。」との記載からみて、スネアループ3をなす導電性金属製の弾性ワイヤはループ状に曲げて形成された1以上のものであるとともに、導電性のスネアループ3を形成するものであるといえる。そして、上記bで指摘したバスケット4をなす弾性ワイヤと同様に、スネアループ3をなす弾性ワイヤも各々が第1端部及び第2端部を有するものであるといえる。また、上記摘記事項ウの「【0015】・・・ポリープ等のような生体組織を緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3・・・」との記載をも併せ読めば、当該スネアループ3は導電性を有することにより生体組織を緊縛して高周波電流により切除するためのものということができる。してみると、引用文献1に記載された内視鏡用高周波スネアは、「各々が第1端部及び第2端部を有するスネアループ3をなす弾性ワイヤで形成されたスネアループ3を備え、該スネアループ3をなす弾性ワイヤはループ状に曲げて形成されたものであり、前記スネアループ3は導電性を有し、ポリープを緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3を形成」したものといえる。
d 上記摘記事項ウの「【0014】・・・スライダー12には、図示されていない高周波電源コードを接続するための接続端子13が、操作ワイヤ2に電気的に接続されて配置されている。・・・【0018】・・・接続端子13に接続した高周波電源コードに高周波電流を流せば、操作ワイヤ2からバスケット4を経てスネアループ3まで高周波電流が通電される。」との記載から、引用文献1に記載された内視鏡用高周波スネアは、「接続端子13が操作ワイヤ2に電気的に接続されて配置され、前記接続端子13に接続した高周波電源コードに高周波電流を流すことにより、前記操作ワイヤ2からバスケット4を経てスネアループ3まで高周波電流が通電される」ものといえる。
(3)引用文献に記載された発明
引用文献1の摘記事項ア~エ及び認定事項a~dを、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて補正発明の記載ぶりに合わせて整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されてポリープを切除するために用いられる内視鏡用高周波スネアであって、
前記内視鏡用高周波スネアは、
各々が第1端部及び第2端部を有する3~5本程度のバスケット4をなす弾性ワイヤを備え、
該バスケット4をなす弾性ワイヤはループ状に曲げて形成されたものであり、
3~5本程度の当該バスケット4をなす弾性ワイヤがかご状のバスケット4を形成するように配置され、
前記内視鏡用高周波スネアはさらに、
各々が第1端部及び第2端部を有する1以上のスネアループ3をなす弾性ワイヤで形成されたスネアループ3を備え、
該スネアループ3をなす弾性ワイヤはループ状に曲げて形成されたものであり、
前記スネアループ3は導電性を有することによりポリープを緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3を形成し、
前記内視鏡用高周波スネアはさらに、
高周波電源コードを接続するための接続端子13を備え、該接続端子13は操作ワイヤ2に電気的に接続されて配置され、前記接続端子13に接続した高周波電源コードに高周波電流を流すことにより、前記操作ワイヤ2から前記バスケット4を経て前記スネアループ3まで高周波電流が通電され、
前記操作ワイヤ2の先端部分には、前記スネアループ3と、前記バスケット4とが、スネアループ3を先側にして直列に配置され、
前記操作ワイヤ2が牽引されると、前記スネアループ3及び前記バスケット4が引き込まれて窄まり、前記スネアループ3によってポリープを切除し、前記バスケット4によって切除された前記ポリープを捕捉、回収する内視鏡用高周波スネア。」
(4)対比及び判断
ア 対比
補正発明(以下、「前者」という。)と引用発明(以下、「後者」という。)とを、技術常識をふまえ、その文言の意味、機能または構成等を考慮して対比すると、後者の「内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されてポリープを切除するために用いられる内視鏡用高周波スネア」は、その文言の意味、機能または構成等からみて、前者の「解剖用の導管又は経路から突出部を除去するために、任意の光学画像装置と組み合わせて用いられる手術用の焼灼及び回収装置」に相当する。以下同様に、後者の「かご状のバスケット4」は前者の「捕獲バスケット」に、後者の「バスケット4をなす弾性ワイヤ」は前者の「成形部材」に、後者の「3~5本程度の」は前者の「2以上の」に、後者の「スネアループ3」は前者の「ループ」に、後者の「スネアループ3をなす弾性ワイヤ」は前者の「追加的な成形部材」に、後者の「ポリープを緊縛して高周波電流により切除するためのスネアループ3」は前者の「焼灼スネア」に、後者の「高周波電源コードを接続するための接続端子13」は前者の「焼灼スネアに電力を伝達するための手段」に、後者の「操作ワイヤ2」は前者の「制御ワイヤ」に、後者の「前記操作ワイヤ2が牽引されると、前記スネアループ3及び前記バスケット4が引き込まれて窄まり、前記スネアループ3によってポリープを切除し、前記バスケット4によって切除された前記ポリープを捕捉、回収する」は前者の「前記制御ワイヤによって前記焼灼スネア及び前記捕獲バスケットを移動可能であり、前記焼灼スネアによって材料を焼灼し、前記捕獲バスケットによって除去された前記材料を捕獲する」に、それぞれ相当する。
また、後者の「バスケット4をなす弾性ワイヤ」は、「ループ状に曲げて形成されたもの」であるところ、該「ループ状」とは、1つの形状であって、曲線的な部分を有する形状であることは技術常識であるから、前者の成形部材に関し「各々が1つの形状を有し、前記形状が円形、卵形、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され」たものということができる。同様に、前者の「スネアループ3をなす弾性ワイヤ」も、前者の追加的な成形部材に関し「各々が1つの形状を有し、前記形状が三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され」たものということができる。
さらに、後者は「前記操作ワイヤ2の先端部分には、前記スネアループ3と、前記バスケット4とが、スネアループ3を先側にして直列に配置され」る構成であるから、バスケット4をなす弾性ワイヤ及びスネアループ3をなす弾性ワイヤの構成をふまえれば、前者の「前記ループを形成する前記追加的な成形部材の前記第1端部は前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第2端部と接続され、前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第1端部が制御ワイヤと接続されることにより、前記捕獲バスケットの先端に前記ループが接続され」という構成を備えているということができる。
以上の検討をふまえると、補正発明と引用発明とは、以下の点において一致する。
(一致点)
「解剖用の導管又は経路から突出部を除去するために、任意の光学画像装置と組み合わせて用いられる手術用の焼灼及び回収装置であって、
前記装置は、
各々が第1端部及び第2端部を有する2以上の成形部材を備え、
前記成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記形状が円形、卵形、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、
2以上の前記成形部材が捕獲バスケットを形成するよう配置され、
前記装置はさらに、
各々が第1端部及び第2端部を有する1以上の追加的な成形部材で形成されたループを備え、
前記追加的な成形部材の各々が1つの形状を有し、
前記追加的な成形部材の前記形状が、三日月型形、多角形、又は直線的な部分、角度のある部分、曲線的な部分の一種又は二種以上の組み合わせからなる群から選択され、
前記ループが導電性を有することにより焼灼スネアを形成し、
前記装置はさらに、
前記焼灼スネアに電力を伝達するための手段を備え、
前記ループを形成する前記追加的な成形部材の前記第1端部は前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第2端部と接続され、前記捕獲バスケットを形成する前記成形部材の前記第1端部が制御ワイヤと接続されることにより、前記捕獲バスケットの先端に前記ループが接続され、
前記制御ワイヤによって前記焼灼スネア及び前記捕獲バスケットを移動可能であり、前記焼灼スネアによって材料を焼灼し、前記捕獲バスケットによって除去された前記材料を捕獲することを特徴とする手術用の焼灼及び回収装置。」
そして、補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
捕獲バスケットを形成する成形部材の形状について、補正発明は「互いに異なって」いるのに対し、引用発明は互いに異なっているのか否か明らかでない点。
(相違点2)
焼灼スネアであるループを形成する追加的な成形部材の形状について、補正発明は「左右非対称の形状であ」るのに対し、引用発明は左右非対称の形状であるか明らかでない点。
イ 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(ア)相違点1について
体内組織を回収するための捕獲バスケットを形成する部材の形状を互いに異なっているものとすることは、本願出願前に周知の技術的事項(必要があれば、米国特許出願公開2004/0138692号明細書(特に、[0023]、Fig.1,2のstruts12とstruts13,14の形状が異なっている点。)等を参照。以下、「周知技術1」という。)である。
よって、引用発明においてポリープを切除された前記ポリープを捕捉、回収する捕獲バスケットを形成する成形部材に上記周知技術1を適用することにより、相違点1に係る補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことといえる。
(イ)相違点2について
体内組織を焼灼し、切除するための焼灼スネアを形成する部材の形状を左右非対称の形状とすることは、本願出願前に周知の技術的事項(必要があれば、特開平11-178835号公報(特に、【0010】、【図4】に示された半月形の態様。)、特開2000-83964号(特に、【0018】~【0020】、【図1】~【図4】。)、特開2005-168699号公報(特に、【0020】~【0024】、【図1】。)等を参照。以下、「周知技術2」という。)である。
よって、引用発明においてポリープを切除するための焼灼スネアであるループを形成する追加的な成形部材に上記周知技術2を適用することにより、相違点2に係る補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことといえる。
(ウ)効果について
本件明細書に記載された補正発明の効果をみても、引用文献1、周知技術1及び2の奏する効果から当業者であれば普通に認識できた程度のものであって、格別顕著なものということはできない。
よって、補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない。
(5)本件補正についての結び
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。よって、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、本件補正は却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正が上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、平成28年1月6日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2 1(1)に示すとおりのものであると認める。
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~11に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された上記引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
第5 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「第2 2(2)」に示したとおりである。そして、引用発明は上記「第2 2(3)」で認定したとおりのものである。
第6 対比及び判断
上記「第2 2」で指摘したとおり、補正発明は本願発明を減縮したものであるから、補正発明は本願発明の発明特定事項をすべて備えている。
そうすると、補正発明が上記「第2 2(4)」に示したように、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明及び周知技術から容易に発明することができたものである。
第7 結び
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013555