特許拒絶査定不服審判
2016-012601
遊技機
- 審判番号
- 2016-012601
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-178265外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月22日
- 審決日
- 2017年04月04日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-178265号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月12日出願公開、特開2015- 43948号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月29日に特許出願されたものであって、平成27年3月16日付けで手続補正がなされ、平成27年9月8日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し平成27年11月9日付けで手続補正がなされたが、平成28年5月18日付け(発送日:5月24日)で平成27年11月9日付けの手続補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年8月22日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は平成27年3月16日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項2および3を削除するとともに、請求項1の記載を補正前の、
「 【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技を実行するか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段と、
前記演出制御手段による制御に応じて動力を発生させる動力発生手段と、
前記動力発生手段から所定の距離以上離間して配置され、当該動力発生手段により発生された動力を用いて前記画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物と、
前記動力発生手段により発生された動力を前記可動役物に伝達する伝達部材とを備え、
前記演出制御手段は、前記可動役物による動きを含む演出と、前記画像表示手段による画像演出との関係性によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆する、遊技機。」から、
補正後の
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技を実行するか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段と、
前記演出制御手段による制御に応じて動力を発生させる動力発生手段と、
前記動力発生手段から所定の距離以上離間して配置され、当該動力発生手段により発生された動力を用いて前記画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物と、
前記動力発生手段により発生された動力を前記可動役物に伝達する伝達部材とを備え、
前記演出制御手段は、前記動きを含む演出を行う前記可動役物と、前記画像表示手段により表示された前記画像演出の画像との位置関係によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆し、
前記画像演出の画像は、前記可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示すため当審で付与した。)。
2.補正の適否
本件補正により請求項1の記載は、演出制御手段について、下線部で示される構成を付加することで、限定している。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落[0160]~[0162]、[0199]、[0209]、図14、図15等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A~Gについては、発明特定事項を分説するため当審で付与した。)。
「A 始動条件の成立により、特別遊技を実行するか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段と、
C 前記演出制御手段による制御に応じて動力を発生させる動力発生手段と、
D 前記動力発生手段から所定の距離以上離間して配置され、当該動力発生手段により発生された動力を用いて前記画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物と、
E 前記動力発生手段により発生された動力を前記可動役物に伝達する伝達部材とを備え、
F 前記演出制御手段は、前記動きを含む演出を行う前記可動役物と、前記画像表示手段により表示された前記画像演出の画像との位置関係によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆し、
G 前記画像演出の画像は、前記可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2001-137461号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像を表示可能な表示領域を有する画像表示部と、
前記画像の表示を制御する画像制御部と、
少なくとも前記表示領域内に入り込む動きが可能な複数の可動体と、
前記複数の可動体の動きを制御する動作制御部とを備え、
前記動作制御部が前記複数の可動体を動かすと、前記複数の可動体の動きに連動して前記画像制御部が前記表示領域に画像を表示する遊技機。
【請求項2】 画像を表示可能な表示領域を有する画像表示部と、
前記画像の表示を制御する画像制御部と、
少なくとも前記表示領域内に入り込む動きが可能な複数の可動体と、
前記複数の可動体の動きを制御する動作制御部とを備え、
前記画像の変化と前記複数の可動体の動きとが連動するように、前記画像制御部が前記画像を変化させ、前記動作制御部が前記複数の可動体を動かす遊技機。
・・・」
(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は複数の可動体を備えたパチンコ機に本発明を適用した例であって、図1~図12を参照しながら説明する。
【0014】図1には第1種パチンコ機であるパチンコ機10の外観を正面図で示す。
・・・
【0016】図2(A)に拡大して示す複合装置14は、一般の入賞口に相当する天入賞口76や、画像を表示可能な特別図柄表示器24、所定方向(例えば上下方向)に移動可能であって特別図柄表示器24の表示領域内に入り込む動きが可能な可動部材80,82,84、普通図柄の変動中にゲート32を通過したパチンコ球の個数を表示する保留球ランプ20、特別図柄の変動中に第1種始動口30または下部始動口68に入賞したパチンコ球(すなわち保留球)の個数を表示する保留球ランプ22等を有する。
・・・
【0017】図2(B)に示すように、星を模した可動部材82はモータ86によって上下方向(図示する矢印D2方向)に移動可能に構成されている。可動部材82とモータ86との間はギア歯,ベルト,チェーン,ラック&ピニオン,トルクコンバータ等のようなトルク伝達部材(図示せず)を介在させており、モータ86の駆動で発生した回転運動をトルク伝達部材によって進退運動に変換して可動部材82に伝達する。こうして可動部材82は図面の上下方向に移動可能になる。・・・」
(ウ)「【0018】次に、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するメイン制御基板100(動作制御部,遊技制御部)と、当該メイン制御基板100から送られた表示指令を受けて特別図柄表示器24に画像を表示する表示制御基板200(画像制御部)とについて、これらの概略構成を示した図3を参照しながら説明する。これらのメイン制御基板100および表示制御基板200は例えばパチンコ機10の背面側に設ける。図3に示すメイン制御基板100はCPU(プロセッサ)110を中心に構成し、
・・・
【0019】CPU110はROM112に格納された遊技制御プログラムを実行してパチンコ機10による遊技を実現するが、当該遊技制御プログラムには後述する第1種始動口処理等を実現するためのプログラムをも含む。ROM112にはEPROMを用い、RAM114にはDRAMを用いるが、他の種類のメモリを用いてもよい。当該他の種類のメモリとしては、EEPROM,SRAM,フラッシュメモリ等がある。入力処理回路102が信号を受ける入力装置としては、例えば始動口センサ60、ゲートセンサ58、入賞センサ(Vゾーンセンサ52等)あるいは他のセンサ(タッチセンサ42,枠開放センサ36等)などがある。・・・」
(エ)「【0024】図4に示す第1種始動口処理では、まず第1種始動口30にパチンコ球が入賞したか否かを判別する〔ステップS10〕。具体的には、図1,図3において始動口センサ60から検出信号を受けると入賞した(YES)と判別し、当該検出信号を受けなければ入賞していない(NO)と判別する。
・・・
【0025】上記ステップS16で読み込んでRAM114に記憶する各種乱数には、大当たりか否かの判別に用いる大当たり判定用乱数RAや、大当たり判定用乱数RAによって大当たりと判別された場合において特別図柄表示器24に停止して表示する大当たり図柄(特定図柄の組み合わせ)を特定するために用いる大当たり図柄用乱数RB、特別図柄表示器24に表示されたリーチ図柄(所定図柄の組み合わせ)等に応じてリーチに達してから変動を停止するまでの表示パターンを特定するために用いるリーチパターン用乱数RC、大当たりになった後に大当たりになる確率を変更するか否かを判別するために用いる確率変動用乱数RD、可動部材80,82,84等の連動回数nを決定するために用いる作動回数用乱数REなどがある。「リーチ」または「リーチ状態」とは、未だに変動している残りの特別図柄を除き、他の特別図柄がリーチ図柄と一致している状態を意味する。
・・・
【0027】図6に示す変動表示処理では、まず「大当たり」か否かを判別する〔ステップS40〕。具体的には、図5のステップS24で読み込んだ大当たり判定用乱数RAが大当たり値と一致するか否かによって判別する。大当たり値は1個または複数個であるが、遊技状態(例えば確率変動)等が変わると大当たり値の個数を変化させてもよい。もし「大当たり」と判別されたときは(YES)、図4のステップS16で記憶した大当たり図柄用乱数RBを読み込み〔ステップS42〕、当該大当たり図柄用乱数RBの値に基づいて最終的に停止して確定する予定の図柄(以下「停止予定図柄」と呼ぶ。)を決定し、図柄群を変動させ始めるべく後述するステップS44に進む。・・・」
(オ)「【0031】図8に示す連動変動処理では、まず図4のステップS16で記憶した作動回数用乱数REを読み込んで〔ステップS80〕、当該作動回数用乱数REに基づいてROM112等に記憶された第2データテーブル等に従って連動回数nを決定する〔ステップS82〕。第2データテーブルは作動回数用乱数REと連動回数nとの関係を規定する。なお、連動回数nと大当たりになり易さを表す期待度(信頼度)とに一定の関係を持たせれば(例えば連動回数nが増えると期待度も高くなる等)、遊技者は連動が行われる期間の長さによって期待度を推測できる。続いて画像と複数の可動体との連動を行うための準備として、可動部材80,82,84を動かして特別図柄表示器24の表示領域内に入り込ませるとともに、特別図柄表示器24にキャラクタ96(図11等参照)を出現させる〔ステップS84〕。当該表示領域内に入り込ませる可動部材の個数は任意である。
【0032】・・・こうすれば連動の態様が多様化するので、より面白味が増える。連動した演出を繰り返して連動回数nが0に達すると(ステップS90のYES)、可動部材80,82,84を原位置に戻すとともに〔ステップS92〕、キャラクタ96と可動部材80,82,84を模した図柄とを連動させる演出を行なった後〔ステップS94〕、連動変動処理を終了する。キャラクタ96と可動部材80,82,84を模した図柄との連動を期待度に応じて異ならせれば、当該連動を見た遊技者は期待度を推測することができる。」
(カ)「【0039】・・・その後にリーチになると(図7のステップS66)、図11(A)に示すようにリーチ図柄としての左図柄90と右図柄94(この例ではともに図柄「7」)が表示される。また、可動部材80,82,84が特別図柄表示器24の表示領域内に入り込み、キャラクタ96が特別図柄表示器24に現れる(図8のステップS84)。こうしてキャラクタ96と可動部材80,82,84とが現れるのを見た遊技者は、当該出現が期待度に対応するものであれば、大当たり等の特典を期待する期待感をもって特別図柄表示器24を見るようになる。特別図柄表示器24に現れたキャラクタ96は、可動部材80,82,84のいずれかに近づいて動かしたり捕まえようとする。すなわち、キャラクタ96が可動部材80,82,84を動かそうとする。
【0040】続いて、特別図柄表示器24に出現したキャラクタ96や可動部材80,82,84は連動回数nの範囲内で連動して動く(図8のステップS86)。すなわち、図11(B)に示すようにキャラクタ96と可動部材80,82,84とが同調して動く。図11(B)の例では、可動部材80は降りた状態のままで、可動部材84は引っ込んだ状態のままであって、キャラクタ96の近傍にある可動部材82だけは上下方向(図示する矢印D4方向)に動いている。
・・・
【0041】さらに、図12(A)に示すように図柄変動の変動速度を次第に落としてゆくと、遊技者等は図柄群を構成する図柄が移動している様子が視認できるようになる(図では図柄を破線で示す)。この時点ではまだキャラクタ96と可動部材との連動が継続しており、図12(A)の例ではキャラクタ96が可動部材84を捕まえている様子を示す。そして、連動回数nが0になると(図8のステップS90のYES)、図12(A)から図12(B)に変化するように可動部材80,82,84が原位置に引っ込んで見えなくなり(図8のステップS92)、キャラクタ96が捕まえた可動部材84を模した赤色の星図柄98と当該キャラクタ96とが特別図柄表示器24の表示領域内で連動して動く(図8のステップS94)。・・・」
(キ)「【0054】(9)上記実施の形態では、大当たりになり易さを表す期待度(信頼度,大当たりの確率)とは無関係にキャラクタ96(画像)と可動部材80,82,84(可動体)とを連動させた{図7のステップS70と図8の連動変動処理を参照}。この形態に代えて(あるいは加えて)、期待度に関係させてキャラクタ96と可動部材80,82,84とを連動させてもよい。例えば可動部材80,82,84について、全く出現しないときの期待度を0%とし、いずれか一つが出現するときの期待度を30%とし、いずれか二つが出現するときの期待度を60%とし、全て出現するときの期待度を90%とする。あるいは、可動部材80が出現するときの期待度を10%とし、可動部材82が出現するときの期待度を30%とし、可動部材84が出現するときの期待度を50%とし、実際に出現した可動部材にかかる期待度を演算(例えば四則演算や関数演算等)した値を最終的な期待度としてもよい。特別図柄表示器24の表示領域内に入り込む可動部材を見た遊技者は期待度を推測でき、特典を期待する期待感が高まる。このことは、連動させる他方側のキャラクタ96(すなわち種類や個数等)や他の画像(例えば特別図柄や装飾図柄等)についても同様に適用することができる。また、リーチや単図柄の再変動,全図柄の再変動,大当たり,確率変動等についても予告(報知)を行う際にキャラクタ96と可動部材80,82,84とを連動させる場合についても同様に適用することができる。これらの場合であっても、遊技者は期待度を推測でき、特典を期待する期待感が高まる。」
上記(ア)~(キ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(a)上記(エ)【0024】には、第1種始動口30にパチンコ球が入賞したか否かを判別することが記載され、【0025】には、大当たり用乱数RAを読み込んで記憶することが記載され、【0027】には、大当たり判定用乱数RAが大当たり値と一致するか否か判別することが記載されている。そして、一致すれば、その後大当たり遊技を行うことは明らかである。
一方、上記(ウ)【0019】には、CPU110はROM112に格納された遊技制御プログラムを実行することが記載されている。そして、このCPU110において、前記大当たり判定用乱数RAが大当たり値と一致するか否か判別することは明らかであり、大当たり処理を行うか否かも判別することになる。
そうすると、刊行物1には、第1種始動口30にパチンコ球が入賞すると、大当たり遊技を行うか否かの判別を行うCPU110について記載されているといえる。
(b)上記(ア)【請求項2】には、画像を表示可能な表示領域を有する画像表示部と、前記画像の表示を制御する画像制御部と、複数の可動体の動きを制御する動作制御部について記載されている。そして、画像表示部に画像の表示を制御する画像制御部と可動体の動きを制御する動作制御部は演出制御手段であることは明らかである。
したがって、刊行物1には、画像表示部に画像の表示を制御する画像制御部と可動体の動きを制御する動作制御部からなる演出制御手段について記載されているといえる。
(c)上記(ウ)【0018】には、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するメイン制御基板100(動作制御部,遊技制御部)について記載され、上記(イ)【0017】には、可動部材82はモータ86によってに移動可能に構成されていることが記載されている。
モータ86は動作制御部により制御されることは明らかであり、また、モータが動力を発生することは自明である。
したがって、刊行物1には、動作制御部により制御され動力を発生するモータ86が記載されているといえる。
(d)上記(イ)【0017】には、可動部材82とモータ86との間はギア歯,ベルト,チェーン,ラック&ピニオン,トルクコンバータ等のようなトルク伝達部材(図示せず)を介在させることが記載され、可動部材82とモータ86はトルク伝達部材の介在分だけ一定の距離、離間して配置しているといえる。
また、上記(ア)【請求項2】には、少なくとも前記表示領域内に入り込む動きが可能な複数の可動体について記載され、前記表示領域が画像表示部であることを考慮すると、可動体(可動部材82)は画像表示部に入り込む動きが可能であるといえる。
したがって、上記(c)も考慮すると、刊行物1には、モータ86から一定の距離、離間して配置され、モータ86により発生した動力により、画像表示部に入り込む動きが可能である可動体について記載されているといえる。
(e)上記(イ)【0017】には、可動部材82とモータ86との間はギア歯,ベルト,チェーン,ラック&ピニオン,トルクコンバータ等のようなトルク伝達部材(図示せず)を介在させることが記載され、これより、刊行物1には、モータ86により発生した動力を可動体(可動部材82)に伝達するトルク伝達部材について記載されているといえる。
(f)上記(キ)【0054】には、期待度に関係させてキャラクタ96と可動部材80,82,84とを連動させてもよいことが記載され、また、可動部材80が出現するときの期待度を10%とし、可動部材82が出現するときの期待度を30%とし、可動部材84が出現するときの期待度を50%としてもよいと記載されている。
可動部材80,82,84は、画像表示部のキャラクタに対し、それぞれ異なる位置関係にある可動体であることは明らかである。そして、前記期待度は、上記(a)における大当たり遊技の可能性を示唆するものといえる。また、上記(b)を参照すると、演出制御手段により、可動体の動作制御、キャラクタの表示制御が行われているといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御手段は、可動体と、画像表示部に表示されたキャラクタとの位置関係において、CPU110により大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆することが記載されているといえる。
(g)上記(キ)【0054】には、期待度に関係させてキャラクタ96と可動部材80,82,84とを連動させてもよいことが記載され、また、このことは、連動させる他方側のキャラクタ96(すなわち種類や個数等)や他の画像(例えば特別図柄や装飾図柄等)についても同様に適用することができることも記載されている。また、リーチや単図柄の再変動,全図柄の再変動,大当たり,確率変動等についても予告(報知)を行う際にキャラクタ96と可動部材80,82,84とを連動させる場合についても同様に適用することができると記載されている。すなわち、キャラクタ96についても種類や個数等により期待度と関係させることが記載されているといえる。
したがって、上記(ア)には遊技機について記載されていることと、上記(f)を参照すると、刊行物1には、画像表示部に表示されたキャラクタは、大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機について記載されているといえる。
以上、上記(ア)~(キ)の記載事項及び上記(a)~(g)の認定事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a~gは発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a 第1種始動口30にパチンコ球が入賞すると、大当たり遊技を行うか否かの判別を行うCPU110と、
b 画像表示部に画像の表示を制御する画像制御部と可動体の動きを制御する動作制御部からなる演出制御手段と、
c 動作制御部により制御され動力を発生するモータ86と、
d モータ86から一定の距離、離間して配置され、モータ86により発生した動力により、画像表示部に入り込む動きが可能である可動体と、
e モータ86により発生した動力を可動体に伝達するトルク伝達部材と、
f 演出制御手段は、可動体と、画像表示部に表示されたキャラクタとの位置関係において、CPU110により大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆し、
g 画像表示部に表示されたキャラクタは、大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)~(g)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。
(a)引用発明の「第1種始動口30にパチンコ球が入賞」することは、本願補正発明の「始動条件の成立」に相当する。そして、引用発明の「大当たり遊技を行うか否かの判別を行うCPU110」は、本願補正発明の「特別遊技を実行するか否かの判定を行う特別遊技判定手段」に相当する。
(b)引用発明の「画像表示部に画像の表示」することは、本願補正発明の「画像表示手段に画像を表示する画像演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「画像表示部に画像の表示を制御する画像制御部と可動体の動きを制御する動作制御部からなる演出制御手段」は、画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段ということができる。
したがって、引用発明の「画像表示部に画像の表示を制御する画像制御部と複数の可動体の動きを制御する動作制御部からなる演出制御手段」は、本願補正発明の「画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段」に相当する。
(c)引用発明の「動作制御部」は演出制御手段の一部であり、引用発明の「モータ86」は、本願補正発明の「動力発生手段」に相当する。
したがって、引用発明の「動作制御部により制御され動力を発生するモータ86」は、本願補正発明の「演出制御手段による制御に応じて動力を発生させる動力発生手段」に相当する。
(d)引用発明の「一定の距離、離間して配置」は、本願補正発明の「所定の距離以上」の定義がない以上、「所定の距離以上離間して配置」に相当するといえる。また、引用発明の「画像表示部に入り込む動きが可能である可動体」は、本願補正発明の「画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物」に相当する。
そうすると、引用発明の「モータ86から一定の距離、離間して配置され、モータ86により発生した動力により、画像表示部に入り込む動きが可能である可動体」は、本願補正発明の「動力発生手段から所定の距離以上離間して配置され、当該動力発生手段により発生された動力を用いて前記画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物」に相当する。
(e)引用発明の「モータ86により発生した動力を可動体に伝達するトルク伝達部材」は、本願補正発明の「動力発生手段により発生された動力を前記可動役物に伝達する伝達部材」に相当することは明らかである。
(f)引用発明の「可動体」は、本願補正発明の「動きを含む演出を行う前記可動役物」に相当する。また、引用発明の「画像表示部に表示されたキャラクタ」は、本願補正発明の「画像表示手段により表示された前記画像演出の画像」に相当する。
したがって、引用発明の「演出制御手段は、可動体と、画像表示部に表示されたキャラクタとの位置関係において、CPU110により大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆」することは、本願補正発明の「前記演出制御手段は、前記動きを含む演出を行う前記可動役物と、前記画像表示手段により表示された前記画像演出の画像との位置関係によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆」することに相当する。
(g)引用発明の「画像表示部に表示されたキャラクタは、大当たり遊技を行うと判別された可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機」は、本願補正発明の「画像演出の画像は、前記可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機」に相当することは明らかである。
以上、(a)~(g)の対比より、両者は
「A 始動条件の成立により、特別遊技を実行するか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 画像表示手段に画像を表示する画像演出を含む演出の制御を行う演出制御手段と、
C 前記演出制御手段による制御に応じて動力を発生させる動力発生手段と、
D 前記動力発生手段から所定の距離以上離間して配置され、当該動力発生手段により発生された動力を用いて前記画像表示手段の前面で動きを含む演出を行う可動役物と、
E 前記動力発生手段により発生された動力を前記可動役物に伝達する伝達部材とを備え、
F 前記演出制御手段は、前記動きを含む演出を行う前記可動役物と、前記画像表示手段により表示された前記画像演出の画像との位置関係によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆し、
G 前記画像演出の画像は、前記可能性を示唆する表示内容の画像である、遊技機。」
である点で一致しており、相違点はない。
(4)判断
したがって、本願補正発明は引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明といえる。
仮に、相違点があったとしても、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。
(5)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書第2、3頁において、次のような主張をしている(下線については当審で付与した。)。
「(b)本願発明の説明
補正後の請求項1の発明(以下、本発明という)は、
「 前記演出制御手段は、前記動きを含む演出を行う前記可動役物と、前記画像表示手段により表示された前記画像演出の画像との位置関係によって、前記特別遊技判定手段により特別遊技を実行すると判定された可能性を示唆し、
前記画像演出の画像は、前記可能性を示唆する表示内容の画像である」
という特徴を有します(以下、本発明の特徴という)。
この特徴により、本発明によれば、大当り可能性を示唆する表示内容の画像と可動役物との位置関係によって大当り可能性を示唆するので、この位置関係によって大当り可能性が示唆されていることを遊技者に直感的に理解させる非常に興趣性の高い予告演出が実行できます(以下、本発明の効果という)。
(c)引用文献の説明および本願発明と引用文献との対比
(引用文献1:特開2001-137461号公報)
引用文献1には、星形状の可動部材(80、82、84)の動きと、画像表示部に表示されるキャラクタ96の動きとを連動させる演出が記載されています。また、大当り期待度に関係させて、この連動させる演出を行ってもよいことが記載されています。段落0031~0033、0039~0041、0054、図10~図12等ご参照。
・・・・
しかしながら、引用文献1のキャラクタ96の画像は、大当り信頼度(大当り可能性)を示唆する表示内容の画像ではありません。」
しかし、この点については、上記(2)(f)(g)及び(3)(f)(g)で検討したとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
よって、本願補正発明は刊行物1に記載された発明であるか、又は引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、平成27年3月16日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1~3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1.に補正前として記載されたとおりのものである。
1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項、引用発明は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。
2.対比、判断
本願発明は本願補正発明の下線部で特定された構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2に記載したとおり、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-012601