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特許拒絶査定不服審判

2016-011225

通信システム、通信端末、通信方法、及び受信方法

審判番号
2016-011225
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-118856外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月26日
審決日
2017年05月09日
公報発行日
2017年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04M) / P18 .113-WY (H04M) / P18 .537-WY (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-118856「通信システム、通信端末、通信方法、及び受信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 9日出願公開、特開2013-247462、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、平成24年5月24日の特許出願であって、平成27年8月27日付けで拒絶理由が通知され、同年11月2日付けで手続補正がされ、平成28年4月21日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものであり、その後、同年28年12月20付けで当審より最後の拒絶理由が通知され、平成29年3月10日付けで手続補正がされたものである。 2.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成29年3月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された以下のとおりのものである。 「 【請求項1】 第1の通信端末及び第2の通信端末を備える通信システムであって、 前記第1の通信端末は、触感に関するデータを送信する送信モードにして、当該触感に関するデータを前記第2の通信端末に送信し、 前記第2の通信端末は、前記第1の通信端末から受信した前記触感に関するデータに基づいて触感の軌跡を表示するとともに当該触感を呈示することを特徴とする通信システム。 【請求項2】 他通信端末と通信する通信部と、 触感を呈示する触感呈示部と、 表示部と、 前記通信部により他通信端末から触感に関するデータを送信する送信モードにより、当該触感に関するデータを受信すると、前記触感に関するデータに基づき前記表示部に触感の軌跡を表示するとともに前記触感呈示部に触感を呈示させる制御部と、 を有する通信端末。 【請求項3】 通信可能な第1の通信端末及び第2の通信端末を備える通信方法であって、 前記第1の通信端末が、触感に関するデータを送信する送信モードにより、当該触感に 関するデータを前記第2の通信端末に送信するステップと、 前記第2の通信端末が、前記第1の通信端末から受信した前記触感に関するデータに基づいて触感の軌跡を表示するとともに当該触感を呈示するステップと、 を含む通信方法。 【請求項4】 通信端末が、他通信端末と通信するステップと、 前記通信端末が、他通信端末から触感に関するデータを送信する送信モードにより、当該触感に関するデータを受信すると、前記触感に関するデータに基づき触感の軌跡を表示するとともに当該触感を呈示させるステップと、 を含む受信方法。」 3.原査定の概要 原査定(平成28年4月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> A.特開2009-217805号公報 4.当審の拒絶理由の概要 平成29年12月20日付けで当審より通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条第1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に想到し得たものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2009-217805号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2010-278726号公報(当審において新たに引用した周知技術例) 3.特開2009-276961号公報(当審において新たに引用した周知技術例) 5.引用文献、引用発明等 (1)引用文献1について 当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、触感フィードバック装置を用いた触感伝達方法、及びそのシステムであって、より詳細には送信側ユーザーが送信側触感フィードバック装置へ作用力を印加する場合、作用力の属性が反映され、これと比例する反作用力が受信側触感フィードバック装置に生成され、受信側ユーザーに伝達される触感伝達方法、及びそのシステムに関する。」(4頁) イ.「【0012】 また、送信側触感フィードバック装置、及び受信側触感フィードバック装置は、携帯電話、又は個人携帯用情報端末機(PDA)にそれぞれ装着されたことを特徴とする。」(6頁) ウ.「【0021】 図1は、本発明の触感フィードバック装置を用いた触感伝達システムの構成図である。触感フィードバック装置のうち、いずれか一つを送信側触感フィードバック装置10とし、残りを受信側触感フィードバック装置20とし、送信側触感フィードバック装置10と受信側触感フィードバック装置20との間には、これらの間に情報及び信号などを連結する情報伝達媒体として中央基地局システム30が存在する。 」(6頁) エ.「【0034】<触感伝達システム> 触感伝達システムは、先立って言及したように、大きく、送信側触感フィードバック装置10、受信側触感フィードバック装置20、及び中央基地局システム30から構成される。 【0035】 送信側及び受信側触感フィードバック装置10、20は、望ましく携帯電話、又は個人携帯用情報端末機(PDA)などの移動通信機器に装着され、遠距離に置かれた受信側ユー ザーと送信側ユーザーとの間の触感情報伝達ができるようにし、その構成及び動作は先に説明した通りである。」(8頁) オ.「【0041】<触感伝達方法> 触感フィードバック装置を用いた触感伝達方法は、図6に示されたように、 送信側触感フィードバック装置10のタッチ入力部に送信側ユーザーが印加した作用力(Fin)の入力を受ける段階S1と、作用力(Fin)の属性情報を獲得する段階S10と、作用力(Fin)の属性情報を中央基地局システム30へ送出する段階S20と、中央基地局システム30が受信側触感フィードバック装置20に接続して作用力(Fin)の属性情報を受信側触感フィードバック装置20へ送出する段階S30と、作用力(Fin)の属性情報を伝達受けた受信側触感フィードバック装置20の該当アクチュエーターが作用力(Fin)の属性情報に基づいて駆動し、反作用力(Fout)を受信側ユーザーに伝達するための受信側アクチュエーター駆動段階S40と、から構成される。」(9頁) 摘記事項ア.~オ.の各記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、 a.摘記事項イ.の【0012】の「送信側触感フィードバック装置、及び受信側触感フィードバック装置は、携帯電話、又は個人携帯用情報端末機(PDA)にそれぞれ装着され」と、摘記事項エ.の【0034】の「触感伝達システムは、先立って言及したように、大きく、送信側触感フィードバック装置10、受信側触感フィードバック装置20、及び中央基地局システム30から構成される。」の各記載より、引用例には、「送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話及び受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話を備える触感伝達システム」が記載されていると認める。 b.摘記事項オ.の【0041】の「作用力(Fin)の属性情報を受信側触感フィードバック装置20へ送出する段階S30と、」の記載から、「前記送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話から前記受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話に、作用力の属性情報を一方向で送出し、」といえる。 c.摘記事項オ.の【0041】の「作用力(Fin)の属性情報を伝達受けた受信側触感フィードバック装置20の該当アクチュエーターが作用力(Fin)の属性情報に基づいて駆動し、反作用力(Fout)を受信側ユーザーに伝達するための受信側アクチュエーター駆動段階S40」の記載から、「前記受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話は、前記送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話から受信した前記作用力の属性情報に基づいて前記受信側触感フィードバック装置のアクチュエーターを駆動する、」といえる。 以上a.~c.を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話及び受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話を備える触感伝達システムであって、 前記送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話から前記受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話に、作用力の属性情報を一方向で送出し、 前記受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話は、前記送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話から受信した前記作用力の属性情報に基づいて前記受信側触感フィードバック装置のアクチュエーターを駆動する、触感伝達システム。」 (2)周知技術 当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 カ.「【0022】 携帯電話1の振動デバイス2を触ったり、なでたり、叩いたりすることにより、通信先の携帯電話1の振動デバイス2に意志を伝達することができる。例えば、入力において、振動デバイス2の上部に指を置き、下の方にずらす操作を行った場合、出力では、振動が上から下に伝わっていくように感じる。また、振動デバイス2を叩くことにより、出力でも振動デバイス2から叩かれた感覚を感じる。また、振動デバイス2上に指で文字や図形を描くことによって、相手に文字や図形を伝えることができる。 【0023】 なお、振動デバイス2は、全二重通信を可能としても良いし、半二重通信でも良い。半二重通信の場合は、携帯電話1側で送受信の制御を行なう。例えば、携帯電話1がタイマを有し、入力時間を一定時間に限る方法が考えられる。また、入力の最後にEOF、またはそれと同等の意味を持つ入力信号を挿入することにより、入力を完了とすることも考えられる。」(4頁) 当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。 キ.「【0058】 送信制御部7A1の送信信号生成部72で生成された送信信号は、送受信モード切替部73に送られる。送受信モード切替部73は、本装置の送信モードと受信モードを切り替える機能を有する。送受信モード切替部73の具体的構成は、多様である。 一例としては、本装置の筐体に設けた手動スイッチの切替により、本装置を送信専用装置としたり、受信専用装置としたりする。 また、別の例では、外部からの制御信号により、送信モードと受信モードを切り替える。例えば、外部から本装置に情報伝送する場合に、先ず、本装置を受信モードに設定する制御信号を送り、それに続いて所望の情報を伝送する。情報伝送が完了したならば、本装置を送信モードに設定する制御信号を外部から送り、本装置を送信モードとする。 さらに別の例では、内部の制御信号により、送信モードと受信モードを切り替える。例えば、送受信部8Aが外部からの信号を受信したことを検知したならば、自動的に本装置を受信モードに切り替え、受信を行う。受信完了した時点で、自動的に送信モードに切り替える。 【0059】 本装置が送信モードである場合、送信信号生成部72の生成した送信信号は、送受信部8Aに御送られ、アンテナ81から外部に送信される。 【0060】 本装置が受信モードである場合、送受信部8Aが外部から受信した信号は、送受信モード切替部73を経由して、受信制御部7A2へ送られる。受信信号処理部74は、受信信号を、後段の処理に適した信号形式に適宜変換する。変換された受信信号は、デマルチプレクサ75に送られる。この時点での受信信号には、5個の触覚部のための制御信号が一連の信号として含まれている。デマルチプレクサ75は、1つの受信信号を、5個の触覚部9の各々に対する個別の受信信号に分配する。分配された各受信信号は、各触覚部9に対し1つずつ設けられた信号生成部7f~7jへそれぞれ送られる。各信号生成部7f~7jは、各受信信号に基づいてそれぞれの触覚部のモーターを制御する制御信号を生成する。この制御信号は、モーターの回転又は停止、回転方向、回転速度等を設定するための情報を含む。生成された各制御信号は、各モーター駆動部7k~7oへ送られる。各モーター駆動部7k~7oは、各制御信号に基づいて実際にモーターを駆動するために必要な電気信号を生成し、各触覚部のモーターへ送る。この結果、各モーターは、所定の回転状態又は停止状態となり、使用者は指の触覚でこれを感知する。 【0061】 図13は、図12の送信信号生成部72で生成された送信信号、及び受信信号処理部74で処理された受信信号の一例である。送信モードの1サイクルには、例えば、それぞれ8ビットからなる信号s1、s2、s3、s4、s5が含まれている。各8ビット信号は、親指、人差し指、中指、薬指、小指を載置した各操作部の往復変位の状態をそれぞれ示している。受信モードの1サイクルには、例えば、それぞれ8ビットからなる信号r1、r2、r3、r4、r5が含まれている。各8ビット信号は、親指、人差し指、中指、薬指、小指の各触覚部の回転又は停止の状態をそれぞれ示している。制御部7Aのマイクロプロセッサの動作周波数は、通常、MHz~GHzのオーダーであるので、1サイクルの長さは、μS~nSのオーダーである。送信信号生成部72及び受信信号処理部74では、このような周期的な送信信号及び受信信号をそれぞれ繰り返し生成することで、各操作部の往復変位の状態を継続的に外部に送信することができ、また、各触覚部の回転又は停止の状態を継続的に制御することができる。(12~13頁)」 以上の記載より、「触感に関するデータを送受信する際に、送信と受信とを切り替えること(半二重モード)。」は、周知の事項(以下、「周知の事項」という。)と認める。 6.対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、 引用発明の「送信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話」、「受信側触感フィードバック装置を備えた携帯電話」、「触感伝達システム」は、それぞれ、本願発明1の「第1の通信端末」、「第2の通信端末」、「通信システム」に相当する。 引用発明の「作用力の属性情報」は、アクチュエータを駆動し、反作用力を受信側ユーザに伝達する(摘記事項オ.の【0041】)ものなので、本願発明1の「触感に関するデータ」といえる。また、本願発明1の「送信する送信モード」と、引用発明の「一方向で送出」とは、「送信するための状態」である点で、共通するといえる。 引用発明の「反作用力を受信側ユーザに伝達する」ことは、「触感を呈示する」といえる。 よって、引用発明の「受信した前記作用力の属性情報に基づいて前記受信側触感フィードバック装置のアクチュエータを駆動する」は、「受信した前記触感に関するデータに基づいて当該触感を呈示する」といえる。 以上より、本願発明1と引用発明とは、以下の点で、一致し、相違する。 (一致点) 「第1の通信端末及び第2の通信端末を備える通信システムであって、 前記第1の通信端末は、触感に関するデータを送信するための状態で、 当該触感に関するデータを前記第2の通信端末に送信し、 前記第2の通信端末は、前記第1の通信端末から受信した前記触感に関するデータに基づいて触感を呈示することを特徴とする通信システム。」 (相違点1)一致点の「送信するための状態で、」に関して、本願発明が、「送信モード」であるのに対して、引用発明は、「一方向で送出」である点。 (相違点2)一致点の「前記触感に関するデータに基づいて触感を呈示する」に関して、本願発明1が、「前記触感に関するデータに基づいて触感の軌跡を表示するとともに、当該触感を呈示する」であるのに対して、引用発明では、「触感の軌跡を表示するとともに」という構成を有しない点。 (2)判断 事案に鑑み(相違点2)について検討する。 (相違点2)に関する「前記触感に関するデータに基づいて触感の軌跡を表示するとともに、当該触感を呈示する」という構成は、周知の事項でもない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は当業者によって引用発明に基づいて周知技術を参酌することにより容易に発明できたものであるとはいえない。 (3)小括 少なくとも(相違点2)について、当業者が容易に想到することができたとはいえないから、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。 本願発明2は、本願発明1の「通信システム」における「前記表示部に触感の軌跡を表示する」、「表示部」を有する「通信端末」の発明であり、本願発明3は「通信方法」の発明であり、本願発明4は「受信方法」であり、それぞれ本願発明1と同様の発明特定事項を有し、本願発明1とカテゴリ表現上の差異を有する発明である。 よって、本願発明2-4も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。 7.むすび 以上のとおり、本願発明1ないし本願発明4は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。 したがって、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由も発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-011225

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