特許拒絶査定不服審判
2016-010803
プロセス制御システム内の操作者インターフェースディスプレイのためのアニメーションおよびイベントの構成
- 審判番号
- 2016-010803
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-187390外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月15日
- 審決日
- 2017年05月23日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .575-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-187390「プロセス制御システム内の操作者インターフェースディスプレイのためのアニメーションおよびイベントの構成」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月29日出願公開、特開2015- 18569、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成22年4月23日(パリ条約による優先権主張 2009年4月27日 米国)に出願した特願2010-99610号の一部を平成26年9月16日に新たな出願としたものであって、平成27年11月5日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月9日に補正書が提出されたが、同年3月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2.原査定の経緯
原査定(平成28年3月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1-13に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2007-536631号公報
2.特開2008-090416号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2009-048504号公報(周知技術を示す文献)
第3.審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。
そして、「第4.本願発明」から「第6.当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1~13に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4.本願発明
本願請求項1~13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明13」という。)は、平成28年7月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
操作者インターフェースディスプレイのために、アニメーションおよびイベントを構成するように、プロセス制御プラントにおいて使用するためのグラフィック編集装置であって、
グラフィックアイテムのライブラリであって、前記グラフィックアイテムのうちの1つ以上は、前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティに関連する、ユーザが設定可能な複数のプロパティを含む、グラフィックアイテムのライブラリと、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを含むグラフィックアイテムを表示する、第1のセクションと、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する、第2のセクションと、
グラフィックアイテム構成タスクの完了を容易にするために、前記第2のセクション内に前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを表示するように構成される、複数のユーザが選択可能な機能であって、前記複数のユーザが選択可能な機能の少なくとも1つは、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをソートすること、前記1つ以上のユーザが設定可能なプロパティをフィルタすること、又は、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをグループ化することの少なくとも1つを行うように構成される前記複数のユーザが選択可能な機能と、
を備え、
前記グラフィックアイテムおよび前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは、同時に表示され、
前記第2のセクション内に表示される各フィルタされたユーザが設定可能なプロパティは、値、変換装置、ユーザ設定のアニメーションプロパティ、変更されたデフォルトプロパティ値、デフォルトプロパティ値、及び、前記プロパティがそのデフォルト設定から変化したこと又は前記プロパティがそのデフォルト設定から変化していないことを示すことの少なくとも1つを有するプロパティのみを含み、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる、
グラフィック編集装置。
【請求項2】
前記グラフィックアイテムは、複合形状であり、第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項1に記載のグラフィック編集装置。
【請求項3】
第1のユーザが設定可能なプロパティを第2のユーザが設定可能なプロパティにドラッグアンドドロップすることにより、前記第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ前記第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項1又は請求項2に記載のグラフィック編集装置。
【請求項4】
前記グラフィックアイテムは、1つ以上のサブエレメントを含む、請求項1~請求項3の何れか1項に記載のグラフィック編集装置。
【請求項5】
各サブエレメントは、1つ以上のユーザが設定可能なプロパティを含む、請求項4に記載のグラフィック編集装置。
【請求項6】
選択したソート順序は、前記グラフィックアイテムに含まれる全てのプロパティを含む名前のアルファベット順であり、イベント、アニメーションプロパティ、またはプロパティから成る群より選択されるプロパティ、前記プロパティがデフォルト値またはユーザ定義のソート順序から変更された程度によって順序付けられる、前記グラフィックアイテムに含まれる全てのプロパティを含む名前のアルファベット順である、請求項1~請求項5の何れか1項に記載のグラフィック編集装置。
【請求項7】
プロセス制御プラントの操作者ディスプレイ内のプロセス制御プラントエンティティのグラフィック表示のために、アニメーションまたはイベントを構成する方法であって、
アニメーション表示エディタのダイアグラム表示内に、前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティの視覚表示を含む選択したグラフィックアイテムと、前記アニメーションまたは前記イベントのうちの1つ以上のためのユーザが設定可能な複数のプロパティを有する1つ以上のサブエレメントとを表示するステップと、
グラフィックアイテム構成タスクの完了を容易にするために、第2のセクションに、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを、少なくとも1つ以上のユーザが設定可能な機能に応じて、階層的に表示するステップと、
を含み、
複数のユーザが選択可能な機能の少なくとも1つは、前記1つ以上のユーザが設定可能なプロパティをソートすること、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをフィルタすること、又は、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをグループ化することの少なくとも1つを行うように構成され、
前記ダイアグラム表示及び前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは同時に表示され、
前記第2のセクション内に表示される各フィルタされた前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは、値、変換装置、ユーザ設定のアニメーションプロパティ、変更されたデフォルトプロパティ値、デフォルトプロパティ値、及び、前記プロパティがそのデフォルト設定から変化したこと又は前記プロパティがそのデフォルト設定から変化していないことを示すことの少なくとも1つを有するプロパティのみを含み、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる、
方法。
【請求項8】
前記グラフィックアイテムは、複合形状であり、第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1のユーザが設定可能なプロパティを第2のユーザが設定可能なプロパティにドラッグアンドドロップすることにより、前記第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ前記第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プロセス制御プラントの操作者ワークステーションにおいて表示されるグラフィックアイテムのアニメーションおよびイベントプロパティを構成するための構成モジュールを含む、ディスプレイとグラフィックエディタとを含む、コンピュータシステムであって、前記構成モジュールは、
グラフィックアイテムエディタのダイアグラム表示内に、選択したグラフィックアイテムを表示し、前記選択したグラフィックアイテムは、前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティの視覚表示と、1つ以上のユーザが設定可能なプロパティを有する1つ以上のサブエレメントとを含み、
グラフィックアイテム構成タスクの完了を容易にするために、第2のセクションに、ユーザが設定可能な複数のプロパティを、少なくとも1つ以上のユーザが設定可能な機能に応じて、階層的に表示する、
ように構成され、
複数のユーザが選択可能な機能の少なくとも1つは、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをソートすること、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをフィルタすること、又は、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをグループ化することの少なくとも1つを行うように構成され、
前記ダイアグラム表示及び前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは同時に表示され、
前記第2のセクション内に表示される各フィルタされた前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは、値、変換装置、ユーザ設定のアニメーションプロパティ、変更されたデフォルトプロパティ値、デフォルトプロパティ値、及び、前記プロパティがそのデフォルト設定から変化したこと又は前記プロパティがそのデフォルト設定から変化していないことを示すことの少なくとも1つを有するプロパティのみを含み、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる、
コンピュータシステム。
【請求項11】
前記グラフィックアイテムは、複合形状であり、第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項10に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
第1のユーザが設定可能なプロパティを第2のユーザが設定可能なプロパティにドラッグアンドドロップすることにより、前記第1のユーザが設定可能なプロパティの値、表現、およびスクリプトの少なくとも1つは、選択されかつ前記第2のユーザが設定可能なプロパティに移動される、請求項10又は請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記グラフィックアイテムは、1つ以上のサブエレメントを含む、請求項10~請求項12の何れか1項に記載のコンピュータシステム。」
第5.引用例、引用発明
a.引用例1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。)
(a)「【0002】
本発明は、一般的にはプロセスプラントに関し、より詳しくは、プラントの構成、制御、保守およびシミュレーションと関連するさまざまな活動において共通の図形表示エレメントの作成と使用を可能とするための、プロセス制御・シミュレーションシステムレベルにおける図形表示エディターと図形表示オブジェクトの統合と使用に関する。」(7頁)
(b)「【0015】
図1に、プラント10のさまざまな機能エリアに対してシステムレベルの図形サポートが提供される例示のプロセスプラント10を示す。一般的なことであるが、プロセスプラント10は、おのおのが、例えば、Fieldbusインタフェースや、Profibusインタフェースや、HARTインタフェースや、標準の4~20maインタフェースなどである入/出力(I/O)デバイスまたはカード18を介して1つ以上のフィールドデバイス14と16に接続されている1つ以上のコントローラ12を有する分散型プロセス制御システムを含んでいる。コントローラ12はまた、例えばイーサネット(登録商標)リンであるデータハイウエイ24を介して1つ以上のホストまたはオペレータのワークステーション20~23にカップリングされている。データベース28はデータハイウエイ24に接続されて、プラント10内のコントローラおよびフィールドデバイスと関連するパラメータ、ステータスおよび他のデータを収集して記憶するデータヒストリアンとしておよび/またはプロセス制御システムの現行の構成を、それがコントローラ12とフィールドデバイス14および16にダウンロードされて記憶されるとプラント10内に記憶する構成データベースとして動作する。データベース28は、さらに、本書で説明するような仕方で作成された図形オブジェクトを記憶して、プロセスプラント10内で図形サポートを提供する。コントローラ12、I/Oカード18およびフィールドデバイス14と16は一般的には時たま厳しいプラント環境下に置かれるが、オペレータワークステーション20~23およびデータベース28は通常、コントローラや保守の要員が入りやすいコントロールルームやより厳しくない環境下に置かれる。しかしながら、場合によっては、手持ち式デバイスを用いて、これらの機能を実施することがあるが、一般的にはこのような手持ち式デバイスはプラント中のさまざまな場所に持ち運ばれる。
【0016】 ・・・(中略)・・・
【0017】 ・・・(中略)・・・
【0018】
図1のプロセスプラント10では、ワークステーション20~23は、プラント10内で同じまたは互いに異なった要員によって実行される互いに異なったさまざまな機能目的で用いられるさまざまなアプリケーションを含む。ワークステーション20~23はおのおのが、さまざまなアプリケーション、プログラム、データ構造などを記憶するメモリ31と、メモリ31に記憶されているいずれかのアプリケーションを実行するために用いられるプロセッサ32とを含む。図1に示す例では、ワークステーション20は、構成ワークステーションとして設計されて、1つ以上の構成アプリケーション33を含むが、このアプリケーション33には、例えば、いずれかの認可済みの構成エンジニアによってアクセスされて制御ルーチンや制御モジュール29と30などのモジュールを作成してプランと10のさまざまなコントローラ12やデバイス16にダウンロードするための制御モジュール作成アプリケーション、オペレータインタフェースアプリケーションおよび他のデータ構造が含まれる。ワークステーション21は一般には、図1では制御デバイスビューイングワークステーションとして示されている、多くの表示アプリケーションを含み、これらのアプリケーションは、コントロールオペレータに対して、プロセスプラント10にさまざまなディスプレイを提供して、オペレータが、プロセスプラント10やそのさまざまなセクションで何が起こっているかをビューイングして制御することを可能とする。アプリケーション34は、制御機能を実行する際にコントロールオペレータを支援するために用いられる制御診断アプリケーションや、チューニングアプリケーションや、レポート生成アプリケーションや他のいずれかの制御サポートアプリケーションなどのサポートアプリケーション34aを含むことがある。同様に、ワークステーション22は保守ビューイングワークステーションとして図示されており、多くの保守アプリケーション35を含むが、これらの保守アプリケーション35は、さまざまな保守要員に用いられて、プラント10の保守必要性をビューイングしたり、さまざまなデバイス12、14、16の動作状態や作業状態をビューイングしたりするものである。もちろん、アプリケーション35には、プラント10内で保守要員が保守機能を実行するのを支援するために用いられる保守診断アプリケーション、校正アプリケーション、振動分析アプリケーション、レポート生成アプリケーションや他のいずれかの保守サポートアプリケーションなどのサポートアプリケーション35aを含むことがある。加えて、ワークステーション23はシミュレーションワークステーションとして示されているが、このシミュレーションワークステーションには、送信目的や、プラントの保守、制御などを支援するプランとモデリング目的を含む多くの何らかの目的のためのプラント10やプラント10のさまざまなセクションの操業をシミュレートするために用いられる多くのシミュレーションアプリケーション36が含まれる。一般的であるが、ワークステーション20~23はおのおのが、表示画面37をキーボード、マウスなどの他の標準の周辺デバイスと共に含んでいる。
【0019】 ・・・(中略)・・・
【0020】 ・・・(中略)・・・
【0021】
プラント10内のさまざまな機能のおのおのに対するアプリケーション33~36と関連のディスプレイとは、一般的には、互いに対して独立に、時としては、別々に人たちによって、さらには別々の会社によって開発されて実施されたため、プロセスプラントのさまざまな機能エリアで作成または用いられる図形ディスプレイは、図形をビジュアライズさせるという観点から見ればいかなる首尾一貫したまたは分かりやすい仕方では統合されなかった。その結果、プラントの互いに異なったさまざまな機能レベルでの図形ディスプレイの作成と実行の独立性のため、図形ディスプレイが機能ごとに異なったものと見え、そのため、機能エリア全体にわたって図形ディスプレイの概観と雰囲気が一貫しないということになってしまった。加えて、この独立した作成操作のため、プラントのセクションやエリアは同じであるが機能の用途が違う場合に図形ディスプレイを作成する際に動作が繰り返されることになり、また、このようにして作成された図形ディスプレイをつなげる必要があり、また、コントローラ12やフィールドデバイス14,16などのプラント10内のさまざまなデバイスからデータを、プラント10の機能レベルで別個に受信する必要があった。このため、データベース構造を複製して、さまざまなディスプレイに対する共通のハードウエアエレメントを追跡する必要が生じた。したがって、例えば、過去においては、第1のアプリケーション(例えばアプリケーション35のうちの1つ)を用いて、保守目的のためプラント10のあるセクションを示す保守ディスプレイを作成し、一方、第2のアプリケーション(例えばアプリケーション34のうちの1つ)を用いて、制御目的のためプラント10の同じセクションを示すコントロールオペレータディスプレイを作成した。これら別々の表示エディターによって別個に作成されたディスプレイは外見や雰囲気がまったく異なり、そのため、ユーザにとっては保守ディスプレイとオペレータディスプレイ間で切り替えるのが困難であり、すぐ混乱するか、さもなければこれらディスプレイの双方での訓練が必要となる。同じように、双方のディスプレイを互いに異なったアプリケーション34と35で互いに独立に作成する際に動作が繰り返され、また、データベース構造を作成して、保守ディスプイとコントロールオペレータディスプレイをプラント10内の同じハードウエアエレメントに対して別個に結びつけたり接続したりして、時として同じまたは類似のデータをこれらのハードウエアエレメントから受信するため、動作がさらに拡大される。」(12-15頁)
(c)「【0022】
このような非効率性を軽減し、プラント10内により有用で理解しやすい図形を備えるため、図形サポートレイヤーをプロセスプラント10のシステムレベルで提供して、プラント10の構成、オペレータビューイング、保守ビューイング、シミュレーションおよび他の機能エリアを含むプラント10のさまざまな機能エリアのおのおのの図形ディスプレイとデータ構造の必要性をサポートする。このシステムのサポートレベル図2では、プラント操業レベル40、プラント機能レベル42、システムレベル44と図解されている。図2から理解されるように、プラント操業レベル40は、コントローラ12、フィールドデバイス14、16などを含むが、これらは、制御ルーチンやモジュール28と29、さらに、プラント10内の他のソフトウエアを走行させて、プラントのランタイム中にプラントの操業を実行する。プラント機能レベル42は、構成機能ブロック46、制御機能ブロック47、保守機能ブロック48およびシミュレーションブロック49を含むものとして描写されているが、エンジニアリング機能やビジネス機能などの他のまたは別の機能を提供してもよい。構成機能ブロック46は構成ルーチン33を実施するが、このルーチンは、プラント操業レベル40内のコンポーネントとインタフェースまたは通信して、制御戦略や制御モジュールをそれに対して提供する。制御機能ブロック47は制御ビューイングと他のアプリケーション34と34aを含むが、これらもまた、プラント操業レベル40内のさまざまな物理的および論理的コンポーネントと一般には直接的にインタフェースまたは通信して、オペレータがプラント10内で変更を実施して、制御ディスプレイ34を介してオペレータに情報を提供して、制御アプリケーション34aなどのためのデータを獲得する。保守機能ブロック48は、保守ルーチンとアプリケーション35および35aを含むが、これらは、プラント操業レベル40内の物理的および論理コンポーネントとインタフェースまたは通信して、保守手順を実施したり、保守データを収集したり、保守のデータや情報を保守要員に対して保守ディスプレイ35を介して提供して、診断アプリケーション35aなどを走行させる。同じように、シミュレーション機能ブロック49はシミュレーションルーチン36を含むが、このルーチンは、プラント10のシミュレーションを実行しまた、プラント操業レベル40内のコンポーネントと通信可能にカップリングされて、プラント10に関するデータを得る。
【0023】
図2に示すように、システムレベルサポートレイヤー44は、プラント機能レイヤー42内の機能ブロック46~49のおのおのにつながってこれをサポートして、例えば、共通のデータベースと、さまざまな機能エリア46~49で用いられるソフトウエアオブジェクト、図形エレメント、図形ディスプレイなどのディスプレイ構造などのディスプレイ構造との作成と保守を可能とする。より詳しくは、アプリケーション、データベース、図形サポートエレメントを含むシステムレベルサポートレイヤー44は、機能ブロック46~49のおのおので実行される図形動作を一緒に統合したり、システムサポートレベル44で作成された共通のデータベース構造と図形エレメントを用いて開発したりする機能を可能とする。このシステムレベルサポートを提供するため、システムサポートレイヤー44は、図形エディター50と図形オブジェクトデータベース52を含む。図形エディター50は図形エレメント54と図形ディスプレイ56を作成するために用いられ、一方、図形オブジェクトデータベース52は、エディター52(当審注:「エディター52」は「エディター50」の誤記と認められる。)とブロック46~49中のさまざまなアプリケーションとによってアクセス可能なメモリにエレメント54とディスプレイ56を記憶する。データベース52はまた、プラント操業レベル40内の個々のハードウエアとソフトウエアのエレメントに対して図形エレメント54を接続する他のオブジェクト58とデータ構造を記憶する。加えて、データベース52は、さらなる図形エレメントまたはディスプレイを作成するために用いられる図形エレメントや、表示テンプレートや、プリミティブを記憶する。図2から理解されるように、図形表示エレメント54、ディスプレイ56および他のデータベース構造58は、あらゆる機能ブロック46~49によって用いられて、このような機能ブロックと関連する図形を作成して用いるようにする。
【0024】
一般的に言って、システムレベルサポートブロック44は、機能ブロック46~49のすべてにおいて図1のプロセスプラント10中で用いられる図形を統合する仕方を提供し、これで、さまざまな状況下で同じプラント装置に対してさまざまな図形エレメントを繰り返し作成する必要性を軽減または解消し、また、機能エリア46~49のおのおのでユーザがこのような機能エリアと関連する図形ビューで表示中の装置と関連するデータにつながることを容易とする。理解されるように、システムレベルサポートレイヤー44は、機能エリア46~49のおのおのの複数のアプリケーションや、機能ブロック46~49の内の互いに異なったエリアの互いに異なったアプリケーションに対して図形とデータベースをサポートすることができる。
【0025】
図1を参照すると、システムレベルサポートブロック44は、他のワークステーション20~23のおのおのに接続される追加のワークステーションやユーザインタフェース60を用いて実施される。ワークステーション60は一般的に、図形エディター50とデータベース52を記憶し、また、所望に応じて他のエレメント54、56、58を記憶する。加えて、ワークステーション60は、データベース24を介したり、別個の有線または無線の通信接続(図1では点線で示す)を介したり、他の何らかの所望の仕方でワークステーション20~23に通信可能に接続される。図1に示す構成では、ワークステーション60は、表示エディター50を記憶してこれを実行し、これによって、ユーザが、図形エレメントを作成したり、このようなエレメントを1つ以上の図形ディスプレイに分類したりすることを可能とするが、これらは双方とも本書では表示モジュールを呼ばれる。次に、このような表示モジュールは、データベース52に記憶されて、図2に示す機能ブロック46~49の内のさまざまなブロックによってアクセスされて用いられるようにし、さまざまなワークステーション20~23で実施されるようにする。解説しやすいように、システムレベルブロック44と機能レベルブロック46~49の機能性を図1のさまざまなまたは別個のワークステーション20~23上で実施されるものとして図示してあるが、これらさまざまなブロックのいずれかと関連するどのアプリケーションでもプロセスプラント10内のまたはこれと関連する同じもしくは互いに異なったワークステーションまたは他のコンピュータ上で実施することが可能であることが理解されよう。したがって、図形エディター50は、プラント10と関連する他のワークステーション20~23のいずれでもまたは他のコンピュータのいずれにおいても記憶して実行され、したがって、スタンドアロン型または別個のコンピュータに存在する必要はない。
【0026】
以上解説したように、図2のシステムレベルレイヤー44は、システムレベルディスプレイとデータベースオブジェクトを実施するが、これらをさまざまな機能ブロック環境下で用いたり、また、より高いレベルでの表示能力を提供するために用いたりすることが可能である。一般的に言って、図2のシステムレベル44で作成された表示オブジェクトは図形エレメントや図形ディスプレイに分類することが可能である。図形エレメントは一般に、プリミティブまたは低レベルの表示オブジェクトであって、これは、バルブ、センサー、ポンプ、コントローラのようなハードウエアデバイスなどのプラント内の特定の物理的エンティティと関連している。図形ディスプレイは一般には、相互接続された図形エレメントから成っており、ユニットやエリアなどのプラント内のハードウエアのより複雑な集合を表してモデリングするために用いられ、さまざまなハードウエアユニット同士間の相互接続を含んでいる。加えて、図形ディスプレイには、プラントから、また、他のアプリケーション、例えば、ワークステーション20から23および60などで走行する診断アプリケーションやビジネスアプリケーションから提供されたグラフ、チャートおよび他のデータが含まれる。」(15-17頁)
(d)「【0028】
図3に示すように、図形エレメントオブジェクト74はおのおのが、さまざまな多くの環境化で有用な図形エレメントを作成する多くのコンポーネントを含んでいる。特に、おのおのの図形エレメント74は、1つ以上のビジュアライゼーション77と、任意の数のパラメータもしくはプロパティ78と、スクリプトやトリガーを用いて実施される任意の数のアクションまたはアニメーション79と、バインディング80を含んでいる。一般的に言って、おのおののビジュアライゼーション77は、図形エレメント74がランタイム環境72の下で実施されると、表示画面上に実際に表示される可視のプロパティやエレメントを定義する。一般的には、ビジュアライゼーションは、物理デバイスもしくは論理デバイスまたはデバイスのグループの表現を確定するが、ビジュアライゼーションは他のエンティティを表すことも可能である。ビジュアライゼーション77は、あるエンティティの図形描写の細目を定めるいずれかの所望の記述やプログラミングのパラダイムを用いてランタイム環境72で実施される。1つの実施形態では、ビジュアライゼーション77はPGXMLやAvalonコントロールを用いて実施されるが、これらのコントロールはMicrosoft(登録)から提供されるものであり、また、これらはオブジェクトベースの装置であるため、標準のWindows(登録商標)タイプのディスプレイで用意に実施可能であり、また、表示環境同士間で携帯可能である。この特徴を以下により詳細に説明するが、参照してここに組み込む「プロセスプラントユーザインタフェース中でのマークアップ言語ベースの動的プロセス図形(弁理士事件整理番号第06005/41127号)という題名の同時係属出願中で解説されている。」(17-18頁)
(e)「【0047】
図5に、表示エディター50によって生成された別の例示の画面ディスプレイ112を示す。図4の画面100と類似して、画面ディスプレイ112は、メイン編集セクション114、パレットビュー116、階層ビュー118およびプロパティビュー120を含んでいる。リアクタエレメント122の第1のビジュアライゼーションが、メイン編集セクション114中に描写されている。階層ビュー118に示すように、エレメントのタイトルはReactor1であり、このエレメントは、Visual1(デフォルトのビジュアライゼーション)、Visual2およびVisual3という名前の3つのビジュアライゼーションを含んでいる。階層ビュー118中のVisualというヘッディングの下に示すように、第1のビジュアライゼーションは、矩形エレメントと楕円エレメントを含むCanvas背景から成っている。ビジュアライゼーションの現在定義されているプローパティ(この場合は名称)、高さおよび幅は、プロパティビュー120中にリストアップされている。ビジュアライゼーションが階層ビュー118中で選ばれると、ビジュアライゼーションと関連する子供のプリミティブまたはエレメントが編集ビュー114中に示され、また、現在選ばれているエレメントのプロパティがプロパティビュー120中に表示される。」(24頁)
(f)「【0052】
図6に示すように、図形エレメント130は複数のビジュアライゼーション132またはこれと関連する可視の表示を有するが、さまざまなビジュアライゼーション132が、さまざまな時点で、または、図形エレメント130が用いられているさまざまなディスプレイ中で用いられることが分かる。上で説明したように、ビジュアライゼーション132のどれもが、任意の数のプリミティブ134とアニメーションおよびアクション136から作られている。さらにまた、図形エレメント130は、ビジュアライゼーション132を変更したり、ビジュアライゼーション132と関連する可視トリガーを操作したりするためにアクションとアニメーション136中でまたはこれによって用いられる何らかの数のプロパティまたはパラメータ138を含む。さらにまた、ビジュアライゼーション132またはビジュアライゼーション132を構成する個々のプリミティブは、所定のイベント、例えば、マウス上イベント、マウスクリックイベントなどの所定のイベントに対して定義されているアクションを有する。このようなアクション(ルーチンとも呼ばれる)によって、イベント処理部を設定または定義して、図形エレメント130の動作をさらにカスタマイズしたり、ビジュアライゼーション132とユーザとの対話を可能としたりして、例えば、ランタイム環境内で変更をもたらすことが可能である。特に、ユーザは、ビジュアライゼーション132と、値または他の数値もしくは情報をその中に入力し、スライダバーなどのエレメントをこのビジュアライゼーション上で移動させ、または、他の動作によって、例えば、ビジュアライゼーション内のプロパティを変更することによって、対話する。このビジュアライゼーションプロパティの変更は、スクリプトを介してまたは直接的に、プロセスランタイム変数などのプロセス入力に結び付けられえ、その変数を変化させる。特に、ビジュアライゼーションプロパティは、プロセス入力に拘束されている図形エレメントに対して定義されているプロパティに接続される。このようにして、ユーザは、アクションやアニメーションルーチンを介してビジュアライゼーションと対話して、プロセスやシミュレーション環境などの他のランタイム環境に対して変更や入力をもたらす。」(25頁)
(g)「【0054】
上記したように、図5のプロパティビュー120は、階層ビュー118中の選択されたアイテムに対して定義された、したがって、メイン編集ビュー114に描写されているアイテムに対して定義されたプロパティとイベントを提供または示す。ユーザは、プロパティビュー120内のプロパティ、真性プロパティおよびイベントを、例えば、ツールバーボタンを用いてトグルする。図7に、この場合、IsOnプロパティとSpeedプロパティを含む真性プロパティが示されているプロパティビュー120Aを示す。この場合、プロパティビュー120Aは、このような変数とこのような変数に対する何らかのデフォルト設定とのデータタイプを示す。上記したように、ユーザは、このプロパティリストに追加したり、これから削除したりまたはこれを編集したりして列挙物、テーブル構造などを含むいずれかの所望のデータタイプを持ったプロパティを定義する。所望次第では、プロパティビュー120はまた、このようなプロパティに対して定義されたいずれかのランタイムバインディングを示すが、このようなバインディングは固定した変数やタグであったり、または、ランタイム時や図形エレメントのランタイムマシンに対するダウンロード時に書き込まれる別名を用いるタグであったりする。」(26頁)
(h)「【0067】
図5を参照すると、アクション/アニメーションビュー123は、編集ビュー114中に現在表示されているビジュアライゼーションに対して定義された変換アニメーションとプロパティアニメーションのリストを提供したり示したりする。例えば、ユーザは、ビュー123中のあるローをダブルクリックして、エディター50にダイアルボックスを提示させるが、このボックスは、トランスフォーマアニメーションダイアログボックスまたはプロパティアニメーションダイアログボックスであり、これによって、ユーザは選ばれたアニメーションを編集することが可能となる。一般的には、現在選択されているビジュアライゼーションのアニメーションだけが示されるが、Show-All144ボックスを選択すると、すべてのビジュアライゼーションのアニメーションとアクションを示すことが可能である。アニメーションに意味のある名前や記述、例えば、「アニメートレバー」や「回転モーター」などを備えると、アクション/アニメーションビュー123は、ビジュアライゼーションに対して定義されているアニメーション動作を見やすくし、これに対してアクセスされるようにする。図9に、IsOnプロパティに対して定義されたアクションを示す例示のアクション/アニメーションビュー123Aを示す。この場合、IsOnプロパティが「真」であれば、Visual1と呼ばれるビジュアライゼーションのRectangle1と呼ばれるプリミティブが「赤」の塗りつぶし値で塗りつぶしアクションを実施する。同じように、IsOnプロパティが「真」であれば、Visual1と呼ばれるビジュアライゼーションのEllipse1と呼ばれるプリミティブが、偽の値で可視化アクションを実施する(例えば、不可視となる)。もちろん、アクションとアニメーションはビジュアライゼーションのプリミティブが別個であれば別個に定義されるが、これらのアクションとアニメーションは、同じイベント、トリガーまたはプロパティの変更が発生すれば同時に動作し、また、アニメーションには、例えば、サイズや塗りつぶし色の増加などの単一動作、または、オフされるまで連続的に発生する繰り返し動作の実施が含まれる。」(29-30頁)
・上記(a)、及び(c)の段落【0023】-【0025】の記載によれば、プロセスプラント10中の機能ブロック46~49のすべてにおいて用いられる図形を統合する仕方を提供し、これで、さまざまな状況下で同じプラント装置に対してさまざまな図形エレメント54を繰り返し作成する必要性を軽減または解消し、また、機能ブロック46~49のおのおのでユーザがこのような機能ブロックと関連する図形ビューで表示中の装置と関連するデータにつながることを容易とするための、図形エディター50と図形オブジェクトデータベース52を記憶するワークステーション60、が記載されている。
・上記(c)の段落【0023】には、図形エディター50は図形エレメント54と図形ディスプレイ56を作成し、前記図形オブジェクトデータベース52は、前記図形エディター50と前記機能ブロック46~49中のさまざまなアプリケーションとによってアクセス可能なメモリに図形エレメント54と図形ディスプレイ56を記憶することが、記載されている。
・上記(c)の段落【0026】、(d)、(f)の記載によれば、図形エレメント54は、プリミティブまたは低レベルの表示オブジェクトであって、これは、バルブ、センサー、ポンプ、コントローラのようなハードウエアデバイスなどのプラント内の特定の物理的エンティティと関連し、1つ以上のビジュアライゼーション77と、任意の数のパラメータもしくはプロパティ78と、スクリプトやトリガーを用いて実施される任意の数のアクションまたはアニメーション79と、バインディング80と、イベントを含むものである。
・上記(e)及び図5の記載によれば、図形エディター50の画面ディスプレイ112は、メイン編集ビュー114、パレットビュー116、階層ビュー118およびプロパティビュー120、アクション/アニメーションビュー123を含むものである。
・上記(e)及び図5の記載によれば、階層ビュー118は、第1の階層に図形エレメントのタイトルであるReactor1を表示し、第2の階層に、この図形エレメントが、Visual1(デフォルトのビジュアライゼーション)、Visual2およびVisual3という名前の3つのビジュアライゼーションを含むことを表示し、第3の階層として、Visualの下に、第1のビジュアライゼーションが、矩形エレメントと楕円エレメントを含むCanvas背景から成っていることを表示している。
・上記(e)、(g)及び図5の記載によれば、プロパティビュー120は、前記階層ビュー118中で選択され、メイン編集ビュー114に描写されているビジュアライゼーションに対して定義されたプロパティ78およびイベントのリストを表示するものであって、ユーザは、リストにプロパティを追加したり、削除したりまたはこれを編集し、プロパティ78を定義できるものである。
・上記(h)及び図5の記載によれば、前記アクション/アニメーションビュー123は、前記編集ビュー114中に現在表示されているビジュアライゼーションに対して定義された変換アニメーションとプロパティアニメーションのリストを提供するものであって、ユーザは、アクション/アニメーションビュー123中のあるローをダブルクリックすると、エディター50に変換アニメーションダイアログボックス、プロパティアニメーションダイアログボックスが提示され、アニメーションを編集することが可能となるものである。
以上総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
〈引用発明〉
「プロセスプラント10中の機能ブロック46~49のすべてにおいて用いられる図形を統合する仕方を提供し、これで、さまざまな状況下で同じプラント装置に対してさまざまな図形エレメント54を繰り返し作成する必要性を軽減または解消し、また、機能ブロック46~49のおのおのでユーザがこのような機能ブロックと関連する図形ビューで表示中の装置と関連するデータにつながることを容易とするための、図形エディター50と図形オブジェクトデータベース52を記憶するワークステーション60において、
前記図形エディター50は図形エレメント54と図形ディスプレイ56を作成し、
前記図形オブジェクトデータベース52は、前記図形エディター50と前記機能ブロック46~49中のさまざまなアプリケーションとによってアクセス可能なメモリに図形エレメント54と図形ディスプレイ56を記憶し、
前記図形エレメント54は、プリミティブまたは低レベルの表示オブジェクトであって、これは、バルブ、センサー、ポンプ、コントローラのようなハードウエアデバイスなどのプラント内の特定の物理的エンティティと関連し、1つ以上のビジュアライゼーションと、任意の数のパラメータもしくはプロパティ78と、スクリプトやトリガーを用いて実施される任意の数のアクションまたはアニメーション79と、バインディング80と、イベントを含むものであって、
前記図形エディター50の画面ディスプレイ112は、メイン編集ビュー114、パレットビュー116、階層ビュー118およびプロパティビュー120、アクション/アニメーションビュー123を含み、
前記階層ビュー118は、第1の階層に図形エレメントのタイトルであるReactor1を表示し、第2の階層に、この図形エレメントが、Visual1(デフォルトのビジュアライゼーション)、Visual2およびVisual3という名前の3つのビジュアライゼーションを含むことを表示し、第3の階層として、Visualの下に、第1のビジュアライゼーションが、矩形エレメントと楕円エレメントを含むCanvas背景から成っていることを表示するものであり、
前記プロパティビュー120は、前記階層ビュー118中で選択され、メイン編集ビュー114に描写されているビジュアライゼーションに対して定義されたプロパティ78およびイベントのリストを表示するものであって、ユーザは、リストにプロパティを追加したり、削除したりまたはこれを編集し、プロパティ78を定義でき、
前記アクション/アニメーションビュー123は、前記編集ビュー114中に現在表示されているビジュアライゼーションに対して定義された変換アニメーションとプロパティアニメーションのリストを提供するものであって、ユーザは、アクション/アニメーションビュー123中のあるローをダブルクリックすると、エディター50に変換アニメーションダイアログボックス、プロパティアニメーションダイアログボックスが提示され、アニメーションを編集することが可能となる、
ワークステーション60。」
第6.当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明の「プロセスプラント10」は、本願発明1の「プロセス制御プラント」に相当する。
そして、引用発明の「ワークステーション60」は、「プロセスプラント10中の機能ブロック46~49のすべてにおいて用いられる図形を統合する仕方を提供し、これで、さまざまな状況下で同じプラント装置に対してさまざまな図形エレメント54を繰り返し作成する必要性を軽減または解消し」、「機能ブロック46~49のおのおのでユーザがこのような機能ブロックと関連する図形ビューで表示中の装置と関連するデータにつながることを容易とする」ものであって、「図形エディター50」を有するものであり、更に、該「図形エディター50」は、「アニメーション79」と「イベント」を含む「図形エレメント54」を「作成」するものであるから、引用発明の「ワークステーション60」は、本願発明1の「操作者インターフェースディスプレイのために、アニメーションおよびイベントを構成するように、プロセス制御プラントにおいて使用するためのグラフィック編集装置」に含まれる。
(b)引用発明の「図形エレメント54」は、「プロセスプラント10」の「バルブ、センサー、ポンプ、コントローラのようなハードウエアデバイスなどのプラント内の特定の物理的エンティティと関連し」、「任意の数のパラメータもしくはプロパティ78」を有し、更に、「プロパティ78」は「ユーザ」が「リストにプロパティ78を追加したり、削除したりまたはこれを編集し、プロパティ78を定義でき」るものであるから、引用発明の「プロパティ78」は、本願発明1の「ユーザが設定可能な複数のプロパティ」に相当し、そして、引用発明の「図形エレメント54」は、本願発明1の「前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティに関連する、ユーザが設定可能な複数のプロパティを含む」「グラフィックアイテム」に相当する。
そして、引用発明の「図形オブジェクトデータベース52」は、「図形エレメント54と図形ディスプレイ56を記憶」するものであるから、引用発明の「図形オブジェクトデータベース52」は、本願発明1の「グラフィックアイテムのライブラリであって、前記グラフィックアイテムのうちの1つ以上は、前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティに関連する、ユーザが設定可能な複数のプロパティを含む、グラフィックアイテムのライブラリ」に相当する。
(c)引用発明の「図形エディター50の画面ディスプレイ112」の「メイン編集ビュー114」は、「図形エレメント54」の「ビジュアライゼーション」を「描写」するものであるから、本願発明1の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを含むグラフィックアイテムを表示する、第1のセクション」に相当する。
(d)引用発明の「プロパティビュー120」は、「プロパティを追加したり、削除したりまたはこれを編集し、プロパティ78を定義でき」るものといえるから、本願発明1の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する、第2のセクション」とは、「ユーザが設定可能な複数のプロパティを表示する、第2のセクション」である点では共通する。
(e)引用発明の「図形エディター50の画面ディスプレイ112」は、「メイン編集ビュー114」と「プロパティビュー120」を含むものであり、「メイン編集ビュー114」と「プロパティビュー120」は同時に表示されているものと認められることから、引用発明の該「メイン編集ビュー114」と「プロパティビュー120」は同時に表示される構成は、本願発明1の「前記グラフィックアイテムおよび前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは、同時に表示され」る構成に相当する。
よって、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。
(一致点)
「操作者インターフェースディスプレイのために、アニメーションおよびイベントを構成するように、プロセス制御プラントにおいて使用するためのグラフィック編集装置であって、
グラフィックアイテムのライブラリであって、前記グラフィックアイテムのうちの1つ以上は、前記プロセス制御プラント内の物理的または論理的エンティティに関連する、ユーザが設定可能な複数のプロパティを含む、グラフィックアイテムのライブラリと、
前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを含むグラフィックアイテムを表示する、第1のセクションと、
ユーザが設定可能な複数のプロパティを表示する、第2のセクションと、
を備え、
前記グラフィックアイテムおよび前記ユーザが設定可能な複数のプロパティは、同時に表示される、
グラフィック編集装置。」
(相違点)
上記「第2のセクション」が、本願発明1では、「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する、第2のセクション」であって、「グラフィックアイテム構成タスクの完了を容易にするために」該「第2のセクション内」の「プロパティ」を「表示する」ための「複数のユーザが選択可能な機能であって、前記複数のユーザが選択可能な機能の少なくとも1つは、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをソートすること、前記1つ以上のユーザが設定可能なプロパティをフィルタすること、又は、前記ユーザが設定可能な複数のプロパティをグループ化することの少なくとも1つを行うように構成される前記複数のユーザが選択可能な機能」を備えており、さらに、「前記第2のセクション内」の「プロパティ」は、「値、変換装置、ユーザ設定のアニメーションプロパティ、変更されたデフォルトプロパティ値、デフォルトプロパティ値、及び、前記プロパティがそのデフォルト設定から変化したこと又は前記プロパティがそのデフォルト設定から変化していないことを示すことの少なくとも1つを有するプロパティのみを含」むものであり、「前記ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」ものであるのに対して、引用発明の「プロパティビュー120」はそのような構成ではない点。
(2)相違点についての判断
下の(a)~(c)に示す理由で、引用発明において相違点に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。
(a)引用発明の「プロパティビュー120」は階層的に表示を行うものではなく、また、「プロパティ78」を階層的に表示する必要も認められない、そして、引用発明の「階層ビュー118」は「図形エレメント54」の構成要素を階層的に表示しているが、「図形エレメント54」のプロパティを階層的に表示するものではない。
(b)原査定の拒絶の理由に引用された引用例2(特に、第9、図10及び関連の説明箇所参照。)にも記載される設定項目をソートすることや、原査定の拒絶の理由に引用された引用例3(特に、段落【0004】等参照。)にも記載される設定項目をグループ化することは周知の技術と認められる。
しかしながら、また、引用例2、3には、グラフィックアイテムのプロパティを階層的に表示することは記載されておらず、さらに、階層的に表示されたプロパティを、ソートしたりグループ化すること、及び、階層的に表示されたプロパティの表示の順序をユーザの要求によって定められることが周知の技術であるとは認められない。
したがって、引用発明において上記相違点に係る本願発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。
(c)ほかに引用発明において上記相違点に係る本願発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者にとって容易であったとはいえない。
2.本願発明2-本願発明6について
本願発明2-本願発明6は、本願発明1の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」と同一の構成を備えるものであるから、本案発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知の技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明7、本願発明10について
本願発明7は、本願発明1に対応する方法の発明であり、また、本願発明10は、本願発明1の「グラフィック編集装置」を「コンピュータシステム」の観点から記載した発明に過ぎず、本願発明1の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」に対応する構成を備えるものであるから、本案発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知の技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
4.本願発明8-9、本願発明11-13について
本願発明8-本願発明9は、本願発明7の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」と同一の構成を備えるものであり、また、本願発明11-本願発明13は、本願発明10の「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」と同一の構成を備えるのであるから、本案発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知の技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
第7.原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-13は「ユーザが設定可能な複数のプロパティを階層的に表示する順序は、ユーザの要求によって定まる」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8.むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-010803