特許拒絶査定不服審判
2016-010665
蓄電デバイス
- 審判番号
- 2016-010665
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-505865外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月14日
- 審決日
- 2017年04月25日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】JMエナジー株式会社
- 【請求人代理人】大井 正彦
- 分類
- P18 .575-Z (H01G) / P18 .121-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-505865「蓄電デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日国際公開、WO2012/127991〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)2月27日(優先権主張 2011年3月18日、日本(JP)、2011年9月26日、日本(JP))の出願であって、平成27年9月11日付けで拒絶理由が通知され、同年11月19日付けで意見書のみ提出されたが、平成28年4月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 平成28年7月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月14日付の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
平成28年7月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書について補正するものであって、請求項1については、本件補正前に、
「 【請求項1】
(A)正極電極層が形成された正極と、
(B)負極電極層が形成された負極と、
(C)電解液とを有する
(D)蓄電デバイスであって、
前記(A)正極電極層の重量をWA 、
前記(B)負極電極層の重量をWB 、
前記(A)正極電極層が形成された正極の厚みをTA としたとき、
1.02≦WA /WB ≦2.08であり、且つ、390μm≦TA ≦750μmを満たすことを特徴とする蓄電デバイス。」
とあったところを、
「 【請求項1】
(A)正極電極層が形成された正極と、
(B)負極電極層が形成された負極と、
(C)電解液とを有する
(D)蓄電デバイスであって、
前記(A)正極電極層の重量をWA 、
前記(B)負極電極層の重量をWB 、
前記(A)正極電極層が形成された正極の厚みをTA としたとき、
1.02≦WA /WB ≦2.08であり、且つ、461μm≦TA ≦750μmを満たすことを特徴とする蓄電デバイス。」
とするものである。なお、下線は請求人が補正箇所を明示するために付したものである。
2.新規事項の有無、特別な技術的特徴の変更の有無及び補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものと認められ、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に適合している。
また、特許法17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するものでもない。
本件補正は、請求項1の「正極の厚み」について、補正前に「390μm≦TA ≦750μm」であったところを、「461μm≦TA ≦750μm」と補正し、その数値範囲を減縮するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。
3.引用例
原査定の拒絶理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された文献である国際公開第2004/059672号(2004年(平成16年)7月15日公開。以下、「引用例1」という。)には、「蓄電装置および蓄電装置の製造方法」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
ア.(第11頁第12行~同頁第22行)「まず、本発明の蓄電装置の内部構造から説明する。第1図は、本発明の蓄電装置の内部構造を示す斜視図である。第1図においては、蓄電装置の内部構造は実線で、蓄電装置の外装容器は破線で記載してある。本発明の蓄電装置は、ラミネ一トフィルム4、5の内部に正極1、負極2、リチウム極7及びセパレータ3を積層した三極積層ユニットを設置し、リチウムイオンを移送可能な電解液を注液した後に2枚のラミネートフィルム4、5を熱融着等により封止した構成となっている。
第1図に示すように、正極集電体1a上には、正極活物質等を含む正極合材1cが成形された正極1と負極集電体2a上には負極活物質等を含む負極合材2cが成形された負極2は、互いに直接接しないようセパレータ3を介し積層され、電極積層ユニット6を形成している。」
イ.(第14頁第10行~同頁第12行)「〔A〕負極
本発明の蓄電装置において、負極は、負極合材と負極集電体から構成され、負極合材にはリチウムを可逆的に担持できる負極活物質を含有する。」
ウ.(第17頁第20行~同頁第22行)「〔B〕正極
本発明の蓄電装置において、正極は、正極合材と正極集電体から構成され、正極合材には正極活物質が含まれる。」
エ.(第30頁第25行~第31頁第9行)「〔J〕蓄電装置の製造方法
以下、 本発明の蓄電装置の製造方法の一例を示す。まず、正極、負極、リチウム極の製造工程から説明する。正極は、正極活物質をバインダー樹脂と混合してスラリーとし、正極集電体上にコーティングして乾燥させることにより形成する。負極も同様に、負極活物質をバインダー樹脂と混合してスラリーとし、負集電体上にコーティングして乾燥させることにより形成する。リチウム極は、リチウム金属を導電性多孔体からなるリチウム極集電体上に圧着することにより形成する。
各層の厚さは用途によって適宜決めることができるが、一例を挙げれば、正極集電体、負極集電体の厚さは10~100μm程度、電極活物質のコーティングの厚さは片面につき50~300μm程度である。従って電極形成した後の(電極活物質+電極集電体)の厚さは全体で100~500μm程度となる。また、リチウム極集電体の厚さは10~200μm程度、リチウム極となるリチウム金属の厚さは、50~300μm程度である。」
オ.(第32頁第27行~第33頁第22行)「(実施例)
実施例1~3、 比較例1、2
(負極の製造法)
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で500℃まで50℃/時間の速度で、更に10℃/時間の速度で650℃まで昇温し、熱処理し、PASを合成した。かくして得られたPAS板をディスクミルで粉砕することにより、PAS粉体を得た。このPAS粉体のH/C 比は0.22であった。
次に、上記PAS粉体100重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN-メチルピロリドン120重量部に溶解した溶液とを充分に混合することによりスラリーを得た。該スラリーを厚さ40μm(気孔率50%)の銅エキスパンドメタル両面に塗工、乾燥し、プレス後200μmのPAS負極を得た。
(正極の製造法)
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で500℃まで50℃/時間の速度で、更に10℃/時間の速度で650℃まで昇温し、熱処理し、PASを合成した。このPASを水蒸気により賦活した後ナイロンボールミルで粉砕しPAS粉末を得た。該粉末のBET法による比表面積値は1500m2/gであり、元素分析により、そのH/Cは0.10であった。
上記PAS粉末100重量部とポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN-メチルピロリドン100重量部に溶解した溶液とを充分に混合することによりスラリーを得た。該スラリーをカーボン系導電塗料をコーティングした厚さ40μm(気孔率50%)のアルミニウムエキスパンドメタル両面に塗工、乾燥し、プレス後380μmのPAS正極を得た。」
カ.(第34頁第16行~同頁第28行)「(電極積層ユニット1の作成)
厚さ200μmのPAS負極と、厚さ380μmのPAS正極を第15図に示すような形状でそれぞれ、5.0×7.0cm2(端子溶接部を除く)にカットし、セパレータとして厚さ25μmのセルロース/レーヨン混合不織布を用いて、第15図に示したように正極集電体、負極集電体の端子溶接部がそれぞれ反対側になるよう配置し、正極、負極の対向面が10層になるよう積層した。最上部と最下部はセパレータを配置させて4辺をテープ止めし、正極集電体の端子溶接部(5枚)、負極集電体の端子溶接部(6枚)をそれぞれ巾20mm、長さ50mm,厚さ0.1mmのアルミニウム製正極端子及びニッケル製負極端子に超音波溶接して電極積層ユニット1を得た。尚、正極は5枚、負極は6枚用いており、第1図に示すように、外側の2枚の負極は両面に成形された上記負極の片側をはがしたのもの用いた。厚さは120μmである。正極活物質重量は負極活物質重量の1.7倍である。」
キ.(第35頁第9行~同頁第22行)「(セル1の作成)
3.5mm深絞りした外装フィルムに第1図に示したように、リチウム極として、リチウム金属箔(160μm、5.0×7.0cm2) を厚さ80μmのステンレス網に圧着したものを用い、負極と対向するように電極積層ユニット1の上部に1枚配置し三極積層ユニットを得た。尚、リチウム極集電体の端子溶接部(1枚)に巾10mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのニッケル製リチウム極端子を超音波溶接して、第1図に示すように正極端子と同じ向きになるように配置した。
上記三極積層ユニットを深絞りした外装フィルムの内部へ設置し、外装ラミネートフィルムで覆い三辺を融着後、電解液としてエチレンカーボネート、ジエチルカ一ボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を真空含浸させた後、残り一辺を融着させ、フィルム型キャパシタを8セル組立てた。組み立て後すぐに負極端子とリチウム極端子を短絡させた。」
上記アないしキの記載から、引用例1には以下の事項が記載されている。
・上記アによれば、蓄電装置は、ラミネ一トフィルム4、5の内部に正極1、負極2、リチウム極7及びセパレータ3を積層した三極積層ユニットを設置し、リチウムイオンを移送可能な電解液を注液した後に2枚のラミネートフィルム4、5を熱融着等により封止した構成であり、正極集電体1a上には、正極活物質等を含む正極合材1cが成形された正極1と負極集電体2a上には負極活物質等を含む負極合材2cが成形された負極2は、互いに直接接しないようセパレータ3を介し積層され、電極積層ユニット6を形成しているものである。
・上記イによれば、負極は、負極合材と負極集電体から構成され、負極合材にはリチウムを可逆的に担持できる負極活物質を含有するものである。
・上記ウによれば、正極は、正極合材と正極集電体から構成され、正極合材には正極活物質が含まれるものである。
・上記エによれば、正極集電体、負極集電体の厚さは10~100μm程度、電極活物質のコーティングの厚さは片面につき50~300μm程度であり、従って電極形成した後の(電極活物質+電極集電体)の厚さは全体で100~500μm程度となるものである。
・上記オによれば、PAS負極は、PAS粉体100重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN-メチルピロリドン120重量部に溶解した溶液とを充分に混合することによりスラリーを得、該スラリーを厚さ40μm(気孔率50%)の銅エキスパンドメタル両面に塗工、乾燥し、プレス後200μmのPAS負極を得たものである。また、PAS正極は、PAS粉末100重量部とポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN-メチルピロリドン100重量部に溶解した溶液とを充分に混合することによりスラリーを得、該スラリーをカーボン系導電塗料をコーティングした厚さ40μm(気孔率50%)のアルミニウムエキスパンドメタル両面に塗工、乾燥し、プレス後380μmのPAS正極を得たものである。
・上記カによれば、PAS負極の厚さは200μmであり、PAS正極の厚さは380μmであり、正極活物質重量は負極活物質重量の1.7倍である。
・上記キによれば、三極積層ユニットを深絞りした外装フィルムの内部へ設置し、外装ラミネートフィルムで覆い三辺を融着後、電解液としてエチレンカーボネート、ジエチルカ一ボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を真空含浸させた後、残り一辺を融着させ、フィルム型キャパシタを組立てたものである。
以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「蓄電装置は、ラミネ一トフィルム4、5の内部に正極1、負極2、リチウム極7及びセパレータ3を積層した三極積層ユニットを設置し、リチウムイオンを移送可能な電解液を注液した後に2枚のラミネートフィルム4、5を熱融着等により封止した構成であって、
正極1は、正極集電体1aと正極活物質が含まれる正極合材1cとから構成され、
負極2は、負極集電体2aとリチウムを可逆的に担持できる負極活物質を含有する負極合材2cから構成され、
正極活物質重量は負極活物質重量の1.7倍である
蓄電装置。」
4.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「蓄電装置」は、本願補正発明の「蓄電デバイス」に相当する。また、引用発明の「正極1」は、正極集電体1aと正極活物質が含まれる正極合材1cとから構成されており、「正極活物質が含まれる正極合材1c」が本願補正発明の「正極電極層」に相当することを鑑みれば、引用発明の「正極1」は、本願補正発明の「正極電極層が形成された正極」といえる。そして、引用発明の「負極2」は、負極集電体2aとリチウムを可逆的に担持できる負極活物質を含有する負極合材2cから構成されており、「負極活物質が含まれる負極合材2c」が本願補正発明の「負極電極層」に相当することを鑑みれば、引用発明の「負極2」は、本願補正発明の「負極電極層が形成された負極」といえる。さらに、引用発明の「リチウムイオンを移送可能な電解液」は本願補正発明の「電解液」に相当する。
そうすると、引用発明の「蓄電装置」は、本願補正発明と同様、「(A)正極電極層が形成された正極と、(B)負極電極層が形成された負極と、(C)電解液とを有する(D)蓄電デバイス」であるということができる。
b.引用発明の「正極活物質重量は負極活物質重量の1.7倍である」ことは、本願補正発明の「前記(A)正極電極層の重量をWA 、前記(B)負極電極層の重量をWB 、1.02≦WA /WB ≦2.08を満たす」ものであるといえる。
ただし、正極電極層が形成された正極の厚みについて、本願補正発明は、「前記(A)正極電極層が形成された正極の厚みをTA としたとき、461μm≦TA ≦750μm」であるのに対して、引用発明はそのような構成ではない。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「 (A)正極電極層が形成された正極と、
(B)負極電極層が形成された負極と、
(C)電解液とを有する
(D)蓄電デバイスであって、
前記(A)正極電極層の重量をWA 、
前記(B)負極電極層の重量をWB 、
1.02≦WA /WB ≦2.08を満たすことを特徴とする蓄電デバイス。」
<相違点1>
蓄電デバイスの「正極の厚み」について、本件補正発明は、「前記(A)正極電極層が形成された正極の厚みをTA としたとき、461μm≦TA ≦750μm」と特定するのに対して、引用発明はそのような構成ではない点。
5.判断
以下、相違点1について検討する。
蓄電デバイスの正極の厚みについて、本願補正発明において、「461μm≦TA ≦750μm」と限定しているものの、本願の出願時の明細書の記載並びに出願時の技術常識を参酌しても、数値範囲の下限及び上限に臨界的意義を有するとは認められない。してみると、引用例1の第31頁第4行ないし第7行に、「各層の厚さは用途によって適宜決めることができるが、一例を挙げれば、正極集電体、負極集電体の厚さは10~100μm程度、電極活物質のコ一ティングの厚さは片面につき50~300μm程度である。従って電極形成した後の(電極活物質+電極集電体)の厚さは全体で100~500μm程度となる。」と記載されていることを鑑みれば、引用発明において、電極形成した後の(電極活物質+電極集電体)の厚さを全体で100~500μm程度とする引用例1に記載の技術事項を採用して、蓄電デバイスの正極の厚みを500μm程度とすることで、相違点1の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことにすぎない。
したがって、本願補正発明は、引用発明並びに引用例1に記載された技術事項に基づいて当業者が発明をすることができたものである。そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び引用例1に記載された技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。
6.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明および引用例1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年7月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、本願の出願時の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1.補正後の本願発明」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1の記載事項は、上記「第2 3.引用例」に記載したとおりである。
3.対比
本願発明は、本願補正発明における蓄電デバイスの正極の厚みについて、「461μm≦TA ≦750μm」と減縮されていたものを、「390μm≦TA ≦750μm」とするものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「 (A)正極電極層が形成された正極と、
(B)負極電極層が形成された負極と、
(C)電解液とを有する
(D)蓄電デバイスであって、
前記(A)正極電極層の重量をWA 、
前記(B)負極電極層の重量をWB 、
1.02≦WA /WB ≦2.08を満たすことを特徴とする蓄電デバイス。」
<相違点2>
蓄電デバイスの「正極の厚み」について、本件補正発明は、「前記(A)正極電極層が形成された正極の厚みをTA としたとき、390μm≦TA ≦750μm」と特定するのに対して、引用発明はそのような構成ではない点。
4.判断
以下、相違点2について検討する。
蓄電デバイスの正極の厚みについて、本願発明において、「390μm≦TA ≦750μm」と限定しているものの、本願の出願時の明細書の記載並びに出願時の技術常識を参酌しても、該数値範囲の限定に技術的根拠があるとは認められず、該数値範囲に臨界的意義を有するとは認められない。してみると、引用例1の第31頁第4行ないし第7行に、「各層の厚さは用途によって適宜決めることができるが、一例を挙げれば、正極集電体、負極集電体の厚さは10~100μm程度、電極活物質のコ一ティングの厚さは片面につき50~300μm程度である。従って電極形成した後の(電極活物質+電極集電体)の厚さは全体で100~500μm程度となる。」と記載されていることを鑑みれば、引用発明において、厚さ380μmの正極を構成する厚さ40μmの正極集電体(上記「3.オ及びカ」 参照)に対して、正極集電体の厚さを10~100μm程度とする引用例1に記載の技術事項を採用して、正極集電体の厚さを50~100μmとすることで、正極の厚さを390~440μmとし、相違点2の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明および引用例1の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用例1に記載された技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例1に記載された技術事項により当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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