特許拒絶査定不服審判
2016-010183
記録媒体、ゲーム装置及びゲーム進行方法
- 審判番号
- 2016-010183
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-536030外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月05日
- 審決日
- 2017年06月05日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社スクウェア・エニックス
- 【請求人代理人】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-536030「記録媒体、ゲーム装置及びゲーム進行方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日国際公開、WO2014/174621〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件出願は、2013年4月24日を国際出願日とする出願であって、平成27年9月7日付けで拒絶理由が通知され、同年11月13日付けで意見書が提出されたが、平成28年3月31日付けで拒絶の査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年4月5日)、これに対し、同年7月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正がされたものである。
第2.平成28年7月5日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、本件補正後の請求項1へ補正された。補正前の特許請求の範囲の請求項1、及び、補正後の特許請求の範囲の請求項1は、それぞれ以下のとおりである(下線は補正箇所を示すために審決で付した。以下の下線も同様に審決で付した。)。
(1)本件補正前の本願の発明
「【請求項1】
入力装置、表示装置及び音再生装置を備えるコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータ装置を、
プレイヤによる入力装置への入力操作を受け付ける入力操作受付手段と、
複数の楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
音再生装置を介して、楽曲データ記憶手段に記憶された楽曲データを複数のトラックにて再生することで所定の楽曲を再生する楽曲再生手段と、
楽曲再生手段による楽曲の再生にあわせて、複数のトラックのいずれかと関連付けられた、プレイヤが入力すべき操作指示に関する操作指示情報を表示画面に表示する操作指示情報表示手段と、
前記操作指示情報に対応する入力操作または前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミングに基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段
として機能させるものであり、
楽曲再生手段が、入力操作判定手段による判定結果に応じて、判定の対象となった操作指示情報に対応するトラックにて再生される楽曲データを変化させて再生する
ことを特徴とするゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
(2)本件補正後の本願の発明
「【請求項1】
入力装置、表示装置及び音再生装置を備えるコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータ装置を、
プレイヤによる入力装置への入力操作を受け付ける入力操作受付手段と、
複数の楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
音再生装置を介して、楽曲データ記憶手段に記憶された楽曲データを複数のトラックにて再生することで所定の楽曲を再生する楽曲再生手段と、
楽曲再生手段による楽曲の再生にあわせて、複数のトラックのいずれかと関連付けられた、プレイヤが入力すべき操作指示に関する操作指示情報を表示画面に表示する操作指示情報表示手段と、
前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミング、移動方向、及び移動量に基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段
として機能させるものであり、
楽曲再生手段が、入力操作判定手段による判定結果に応じて、判定の対象となった操作指示情報に対応するトラックにて再生される楽曲データを変化させて再生する
ことを特徴とするゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「入力操作判定手段」について、補正前の「前記操作指示情報に対応する入力操作または前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミングに基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する」を「前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミング、移動方向、及び移動量に基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する」とすることにより、選択肢の一方を削除すると共に選択肢の他方を限定するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は、第17条の2第5項第2号の規定に適合する。
さらに、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで、前記した事項により特定される、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2.引用例
(1)原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開2011-182841号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【0023】
[1-2.ゲーム装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態に係るゲーム装置10のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、ゲーム装置10は、タッチスクリーン22(第1液晶表示部22a及びタッチパネル22b)、操作キー部24、メモリカードスロット26、第2液晶表示部32、スピーカ34、バス42、マイクロプロセッサ44、ROM46、主記憶48、画像処理部50、入出力処理部52、音声処理部54、通信インタフェース56を含む。これらは、図示しない電池から供給される電力により駆動する。」
イ.「【0025】
ROM46は、オペレーティングシステムやゲーム装置10の内蔵音源の発音情報(楽器情報)を記憶する。発音情報は、ゲーム装置10の内蔵音源に関する音源(音データ)が格納されたものである。例えば、発音情報は、音の音色を識別する情報(例えば、トランペットやバイオリンの音色や、「あ」、「い」、「う」等の発音を識別する情報)と、音高を識別する情報(例えば、「ド(C)」、「レ(D)」、「ミ(E)」等の音階を識別する情報)と、に対応付けられた音源が格納されたものである。」
ウ.「【0030】
入出力処理部52は、マイクロプロセッサ44が、タッチパネル22b、操作キー部24、メモリカードスロット26、音声処理部54、及び通信インタフェース56と、各種データを授受するためのインタフェースである。入出力処理部52には、タッチパネル22b、操作キー部24、メモリカードスロット26、音声処理部54、及び通信インタフェース56が接続される。」
エ.「【0032】
タッチパネル22bは、操作キー部24と同様に、プレイヤがゲーム操作を行うための入力手段として機能する。タッチパネル22bは、プレイヤによって押圧された位置に応じた押圧位置情報を、入出力処理部52を介してマイクロプロセッサ44に供給する。」
オ.「【0034】
メモリカードスロット26は、ゲームメモリカード40に記憶されたゲームプログラムやゲームデータをマイクロプロセッサ44からの指示に従って読み出す。ゲームメモリカード40は、例えば、ゲームプログラムや楽曲データ等のゲームデータが記憶されるROMと、セーブデータ等のゲームデータが記憶されるEEPROMと、を含む。」
カ.「【0037】
[1-3.ゲーム装置において実行されるゲーム]
上記の構成を備えるゲーム装置10では、例えば、プレイヤが楽曲に合わせてゲーム操作を行うゲームを実行する。このゲームは、ゲームメモリカード40に記憶されたゲームプログラムをマイクロプロセッサ44が実行することによって実現される。」
キ.「【0074】
例えば、案内部74は、ゲーム画面に設定される、複数の音高情報に対応する複数の領域を案内する画像を表示させる手段を含む。この画像は、即ち、プレイヤに基準タイミングを案内するための案内画像66である。この場合、ゲーム操作は、複数の領域の何れかを指し示す操作であり、複数の領域は、ゲーム画面において所定方向(例えば、垂直方向又は水平方向)に並ぶように設定され、複数の領域の並び順序は、複数の音高情報の音高の順序に基づいて設定されている。例えば、案内画像66を表示させる領域の順番は、音高の高低の順番に対応している。
【0075】
本実施形態においては、案内部74は、基準データ(図5)に基づいて案内画像66を、第1液晶表示部22aの所定領域に表示させる。つまり、ゲーム画面60の表示領域のうち、複数の所定領域に案内画像66を表示させる。この複数の所定領域は、それぞれプレイヤが行う複数のゲーム操作に関連付けられている。即ち、案内画像66が表示されている領域は、ゲーム操作が示す音高情報に関連付けられている。
【0076】
図6は、案内部74の機能を説明するための説明図である。つまり、図6は、案内部74が表示させる案内画像66の表示位置と、基準データと、の関係を示す。例えば、案内部74は、基準タイミングが近づくにつれて案内画像66を目標位置画像68に対して移動させることにより、プレイヤに基準タイミングを案内する。」
ク.「【0079】
[1-4-4.評価部]
評価部76は、マイクロプロセッサ44を主として実現される。評価部76は、検出部78によって検出されたゲーム操作と基準データとに基づいてゲーム操作を評価する。例えば、評価部76は、検出部78によって検出されたゲーム操作と基準データとに基づいてゲーム操作が成功したか否かを評価する。本実施形態の場合、例えば、基準タイミングが訪れた場合、プレイヤがこの基準タイミングに対応する操作領域画像64をタッチしているか否かに基づいて、ゲーム操作が評価される。」
ケ.「【0087】
[1-4-6.楽曲データ記憶部]
楽曲データ記憶部80は、ゲームメモリカード40を主として実現される。楽曲データ記憶部80は、スピーカ34から出力させる楽曲データを記憶する。例えば、楽曲データは、演奏情報を含む。演奏情報は、内蔵音源の音を発音すべき発音タイミング、音高、音の長さ、音量等を識別する情報が含まれる。つまり、演奏情報は、楽曲を構成する音を、いつ、どのような音で出力するか、を識別する情報である。また、演奏情報を構成するデータの末尾には、楽曲の終了を示すビット列が配置されていてもよい。
【0088】
[1-4-7.楽曲出力制御部]
楽曲出力制御部82は、マイクロプロセッサ44、入出力処理部52、及び音声処理部54を主として実現される。楽曲出力制御部82は、楽曲を音声出力手段(スピーカ34)から出力させる。楽曲が出力される際には、ゲームメモリカード40から読み出されて主記憶48に展開された演奏情報と、ゲーム装置10の内蔵音源と、に基づいて楽曲が出力される。」
コ.「【0091】
[変更部]
また、楽曲出力制御部82は、出力される楽曲の音高又は音色の少なくとも一方を評価部76の評価結果に基づいて変更する変更部84を含む。」
サ.「【0095】
変更部84は、例えば、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音高を、この音高が変換テーブルによって対応付けられている音高に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させる。プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、この変更はなされない。即ち、演奏情報に含まれる音高のまま楽曲が出力される。音色が変更される場合も上記と同様である。」
シ.「【0131】
(8)また、ゲーム操作が音高情報を示す例を挙げて説明したが、本実施形態で述べたように、ゲーム操作は音色情報を示していてもよい。つまり、例えば、基準タイミングにおいて、プレイヤが、楽曲の音色に対応する操作をするようにしてもよい。この場合、例えば、基準ゲーム操作及び音情報画像62は、それぞれ、ピアノ、ギター、ドラム等の音色を示す音色情報に対応する。プレイヤは、基準タイミングが訪れる場合、音色情報を示す操作領域画像64をタッチすることにより、ゲーム操作を行うようにしてもよい。」
ス.上記サ.によれば「音色が変更される場合も上記と同様」なのだから、上記サ.における「変更部84は、例えば、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音高を、この音高が変換テーブルによって対応付けられている音高に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させる。プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、この変更はなされない。即ち、演奏情報に含まれる音高のまま楽曲が出力される。」は、音色が変更される場合には、「変更部84は、例えば、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音色を、この音色が変換テーブルによって対応付けられている音色に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させる。プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、この変更はなされない。即ち、演奏情報に含まれる音色のまま楽曲が出力される。」となる。
セ.上記シ.によれば「ゲーム操作が音高情報を示す例を挙げて説明したが、本実施形態で述べたように、ゲーム操作は音色情報を示していてもよい」から、上記キ.における「案内部74は、ゲーム画面に設定される複数の音高情報に対応する複数の領域を案内する画像を表示させる手段を含む」は、ゲーム操作が音色情報を示す場合には、「案内部74は、ゲーム画面に設定される複数の音色情報に対応する複数の領域を案内する画像を表示させる手段を含む」となる。
上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ゲームプログラムやゲームデータが記憶されたゲームメモリカード40であって、
ゲームは、ゲームメモリカード40に記憶されたゲームプログラムをマイクロプロセッサ44が実行することによって実現され、
ゲーム装置10は、タッチスクリーン22(第1液晶表示部22a及びタッチパネル22b)、操作キー部24、メモリカードスロット26、第2液晶表示部32、スピーカ34、バス42、マイクロプロセッサ44、ROM46、主記憶48、画像処理部50、入出力処理部52、音声処理部54、通信インタフェース56を含み、
ROM46は、ゲーム装置10の内蔵音源の発音情報(楽器情報)を記憶し、
発音情報は、ゲーム装置10の内蔵音源に関する音源(音データ)が格納されたものであり、
発音情報は、音の音色を識別する情報(例えば、トランペットやバイオリンの音色や、「あ」、「い」、「う」等の発音を識別する情報)と、音高を識別する情報(例えば、「ド(C)」、「レ(D)」、「ミ(E)」等の音階を識別する情報)と、に対応付けられた音源が格納されたものであり、
入出力処理部52は、マイクロプロセッサ44が、タッチパネル22b、操作キー部24、メモリカードスロット26、音声処理部54、及び通信インタフェース56と、各種データを授受するためのインタフェースであり、入出力処理部52には、タッチパネル22b、操作キー部24、メモリカードスロット26、音声処理部54、及び通信インタフェース56が接続され、
タッチパネル22bは、プレイヤがゲーム操作を行うための入力手段として機能し、タッチパネル22bは、プレイヤによって押圧された位置に応じた押圧位置情報を、入出力処理部52を介してマイクロプロセッサ44に供給し、
案内部74は、ゲーム画面に設定される、複数の音色情報に対応する複数の領域を案内する画像を表示させる手段を含み、この画像は、プレイヤに基準タイミングを案内するための案内画像66であり、
案内部74は、ゲーム画面60の表示領域のうち、複数の所定領域に案内画像66を表示させ、この複数の所定領域は、それぞれプレイヤが行う複数のゲーム操作に関連付けられ、
案内部74は、基準タイミングが近づくにつれて案内画像66を目標位置画像68に対して移動させることにより、プレイヤに基準タイミングを案内し、
評価部76は、検出部78によって検出されたゲーム操作と基準データとに基づいてゲーム操作が成功したか否かを評価し、基準タイミングが訪れた場合、プレイヤがこの基準タイミングに対応する操作領域画像64をタッチしているか否かに基づいて、ゲーム操作が評価され、
楽曲データ記憶部80は、スピーカ34から出力させる楽曲データを記憶し、
楽曲出力制御部82は、楽曲を音声出力手段(スピーカ34)から出力させ、楽曲が出力される際には、ゲームメモリカード40から読み出されて主記憶48に展開された演奏情報と、ゲーム装置10の内蔵音源と、に基づいて楽曲が出力され、
変更部84は、出力される楽曲の音高又は音色の少なくとも一方を評価部76の評価結果に基づいて変更し、
変更部84は、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音色を、この音色が変換テーブルによって対応付けられている音色に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させ、プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、演奏情報に含まれる音色のまま楽曲が出力され、
プレイヤが、楽曲の音色に対応する操作をし、基準ゲーム操作及び音情報画像62は、それぞれ、ピアノ、ギター、ドラム等の音色を示す音色情報に対応する
ゲームプログラムやゲームデータが記憶されたゲームメモリカード40。」
(2)前置審査で引用された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開2010-233958号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ソ.「【0039】
また、装置本体1401には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1440にデータを読み書きできるメモリカード読取装置1418が備えられている。メモリカード1440には、携帯型ゲーム装置1400の制御ユニット1450がゲームプレイに係る各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されている。またその他、装置本体1401には図示されていない内臓バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。」
タ.「【0043】
そして制御ユニット1450は、メモリカード読取装置1418によってメモリカード1440に格納されているプログラムやデータを読み出して、搭載するICメモリにこれらを一時記憶する。そして、読み出したプログラムを実行して演算処理を実行し、方向入力キー1402やボタンスイッチ1404、タッチパネル1407及び1409からの操作入力に応じて携帯型ゲーム装置1400の各部を制御して、音楽ゲームを実行する。」
チ.「【0045】
[ゲーム及び操作入力方法の概要]
図2は、本実施形態におけるゲーム画面例と基本的な操作入力例を示す図である。本実施形態の音楽ゲームでは、スピーカ1410から音楽が放音されるとともに、第2液晶ディスプレイ1408にゲーム画面W2が表示される。
【0046】
ゲーム画面W2の上部領域には、公知の音楽ゲームの操作ガイドと同様にして、音楽のテンポに応じた時間間隔で操作ガイド4が画面右端から左方向へ流れるように表示される。プレーヤは、操作ガイド4が入力タイミング枠6に入ったタイミングで、当該操作ガイド4の示す種類の操作入力をタッチパネル1409に入力する。本実施形態では、タッチパネル1409の面にタッチして素早くスライドさせてタッチを解除する操作、換言するとタッチ面を払うようにして操作する「フリック操作」による方向入力を操作入力の基本とする。」
ツ.「【0056】
図7は、本実施形態によるゲーム画面の変化の例を示す図であって、連続2回の入力適合の場合の例を示している。
ゲーム画面W4では、入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4は下方向を示している。プレーヤは、スタイラスペン1416等でタッチパネル1409に触れて下方向へのフリック操作を入力する。制御ユニット1450は、フリック操作の方向を判定するとともにその操作量(この場合スライド量)を算出し、入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4に対する操作入力としての適否を判定する。
【0057】
入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4の示す方向と操作入力方向が合致し、且つ当該操作ガイド4(この場合標準操作ガイド4a)の基準長Lmを中心とした入力適合判定範囲に操作量が入っていれば適合判定される。すると、ゲーム画面W6に示すように、制御ユニット1450はスクリーン10に対して背景レイヤー14を操作入力方向へ1単位分だけスクロールさせる。すると、ゲーム画面W4のイメージ画像(PICT023)の次順のイメージ画像(PICT024)が現れる。また、本実施形態では正しい操作入力をするとゲームのポイントが加算される。」
上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「携帯型ゲーム装置1400の制御ユニット1450がゲームプレイに係る各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されているコンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1440であって、
制御ユニット1450は、携帯型ゲーム装置1400の各部を制御して、音楽ゲームを実行し、
音楽ゲームでは、スピーカ1410から音楽が放音されるとともに、第2液晶ディスプレイ1408にゲーム画面W2が表示され、
ゲーム画面W2の上部領域には、音楽のテンポに応じた時間間隔で操作ガイド4が画面右端から左方向へ流れるように表示され、プレーヤは、操作ガイド4が入力タイミング枠6に入ったタイミングで、当該操作ガイド4の示す種類の操作入力をタッチパネル1409に入力し、
タッチパネル1409の面にタッチして素早くスライドさせてタッチを解除する操作、換言するとタッチ面を払うようにして操作する「フリック操作」による方向入力を操作入力の基本とし、
制御ユニット1450は、フリック操作の方向を判定するとともにその操作量(この場合スライド量)を算出し、入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4に対する操作入力としての適否を判定し、
入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4の示す方向と操作入力方向が合致し、且つ当該操作ガイド4(この場合標準操作ガイド4a)の基準長Lmを中心とした入力適合判定範囲に操作量が入っていれば適合判定される
メモリカード1440。」
3.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
後者の「タッチパネル22b」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「入力装置」に相当し、同様に、「第1液晶表示部22a」は「表示装置」に、「スピーカ34」は「音再生装置」に、「ゲームプログラム」は「ゲームプログラム」に、「ゲームメモリカード40」は「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」にそれぞれ相当する。
後者の「ゲーム装置10」はマイクロプロセッサ44を含むから、「コンピュータ装置」であるといえる。
後者の「入出力処理部52」は、タッチパネル22bとデータを授受するためのインタフェースであり、タッチパネル22bが接続されるものであって、タッチパネル22bは、プレイヤによって押圧された位置に応じた押圧位置情報を、入出力処理部52を介してマイクロプロセッサ44に供給するのだから、後者の「入出力処理部52」は、前者の「プレイヤによる入力装置への入力操作を受け付ける入力操作受付手段」に相当する。
本願明細書には「時間軸31はそれぞれが異なる楽曲データ(楽器の演奏データ)に対応するものであり、例えば、時間軸31aはヴァイオリン、時間軸31bはコントラバス、時間軸31cはフルート、時間軸31dはホルンに対応する。」(段落【0050】)と記載されているから、前者の「複数の楽曲データ」には複数の楽器の演奏データが含まれると解される。そうすると、後者の「ROM46」は、ゲーム装置10の内蔵音源の発音情報(楽器情報)を記憶し、発音情報は、音の音色を識別する情報(例えば、トランペットやバイオリンの音色や、「あ」、「い」、「う」等の発音を識別する情報)と、音高を識別する情報(例えば、「ド(C)」、「レ(D)」、「ミ(E)」等の音階を識別する情報)とに対応付けられた音源が格納されたものであるから、異なる楽器の発音情報(楽器情報)を記憶するものといえ、前者の「複数の楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段」に相当する。
本願明細書には「本発明では、複数のトラックにて、それぞれ異なる楽曲データが同時に再生されることで、一つの統一感のある楽曲が再生される。例えば、複数のトラックのぞれぞれにて、異なる楽器等の楽曲データ(以下、演奏データともいう)を同時に再生することで、オーケストラのような複数の楽器による演奏を再現することが可能である。つまり、楽曲データはトラックと一対一で対応するものであり、複数のトラックにて異なる楽曲データが再生されることで、統一感のある楽曲が再生されるものである。」(段落【0010】)と記載されているから、本願発明の「トラック」は、複数の異なる楽器の楽曲データがそれぞれ再生されるものが含まれると解される。そうすると、後者の「楽曲出力制御部82」は、楽曲を音声出力手段(スピーカ34)から出力させ、楽曲が出力される際には、ゲームメモリカード40から読み出されて主記憶48に展開された演奏情報と、ゲーム装置10の内蔵音源と、に基づいて楽曲が出力されるものであるところ、ゲーム装置10の内蔵音源に関する音源(音データ)が格納されたものである発音情報は、音の音色を識別する情報(例えば、トランペットやバイオリンの音色や、「あ」、「い」、「う」等の発音を識別する情報)と、音高を識別する情報(例えば、「ド(C)」、「レ(D)」、「ミ(E)」等の音階を識別する情報)と、に対応付けられた音源が格納されたものであるから、音の音色を識別する情報に着目すれば、後者においては、楽曲が出力される場合には、複数の異なる楽器の音データがそれぞれ出力されているといえ、後者の「楽曲出力制御部82」は、前者の「音再生装置を介して、楽曲データ記憶手段に記憶された楽曲データを複数のトラックにて再生することで所定の楽曲を再生する楽曲再生手段」に相当する。
後者の「案内部74」は、基準タイミングが近づくにつれて案内画像66を目標位置画像68に対して移動させることにより、プレイヤに基準タイミングを案内するものであって、基準ゲーム操作及び音情報画像62は、それぞれ、ピアノ、ギター、ドラム等の音色を示す音色情報に対応するものであるから、案内画像66も同様にピアノ、ギター、ドラム等の音色を示す音色情報に対応することは明らかである。そうすると、後者の「案内部74」は、前者の「楽曲再生手段による楽曲の再生にあわせて、複数のトラックのいずれかと関連付けられた、プレイヤが入力すべき操作指示に関する操作指示情報を表示画面に表示する操作指示情報表示手段」に相当する。
後者の「評価部76」は、検出部78によって検出されたゲーム操作と基準データとに基づいてゲーム操作が成功したか否かを評価し、基準タイミングが訪れた場合、プレイヤがこの基準タイミングに対応する操作領域画像64をタッチしているか否かに基づいて、ゲーム操作が評価されるから、後者の「評価部76」と前者の「前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミング、移動方向、及び移動量に基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段」とは、「操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミングに基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段」との概念で共通する。
後者においては、変更部84は、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音色を、この音色が変換テーブルによって対応付けられている音色に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させ、プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、演奏情報に含まれる音色のまま楽曲が出力されるところ、基準ゲーム操作及び音情報画像62は、それぞれ、ピアノ、ギター、ドラム等の音色を示す音色情報に対応するものであって、変更前後の音色が変換テーブルによって対応付けられているのだから、変更される音色は、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合に演奏情報に含まれる音色であるといえ、後者の「変更部84は、プレイヤがゲーム操作を失敗した場合には、演奏情報に含まれる音色を、この音色が変換テーブルによって対応付けられている音色に変更させて、ゲーム装置10の内蔵音源を用いて出力させ、プレイヤがゲーム操作を成功した場合には、演奏情報に含まれる音色のまま楽曲が出力され」る点は、前者の「楽曲再生手段が、入力操作判定手段による判定結果に応じて、判定の対象となった操作指示情報に対応するトラックにて再生される楽曲データを変化させて再生する」点に相当する。
したがって、両者は、
「入力装置、表示装置及び音再生装置を備えるコンピュータ装置において実行されるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータ装置を、
プレイヤによる入力装置への入力操作を受け付ける入力操作受付手段と、
複数の楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
音再生装置を介して、楽曲データ記憶手段に記憶された楽曲データを複数のトラックにて再生することで所定の楽曲を再生する楽曲再生手段と、
楽曲再生手段による楽曲の再生にあわせて、複数のトラックのいずれかと関連付けられた、プレイヤが入力すべき操作指示に関する操作指示情報を表示画面に表示する操作指示情報表示手段と、
前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミングに基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段
として機能させるものであり、
楽曲再生手段が、入力操作判定手段による判定結果に応じて、判定の対象となった操作指示情報に対応するトラックにて再生される楽曲データを変化させて再生する
ゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
「入力操作判定手段」に関して、前者では「タイミング、移動方向、及び移動量に基づいて」入力操作を判定するのに対して、後者では「タイミングに基づいて」判定する点。
4.判断
上記相違点について検討する。
引用発明2における「携帯型ゲーム装置1400の制御ユニット1450がゲームプレイに係る各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されているコンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1440」は本願補正発明の「ゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」に相当し、同様に、「タッチパネル1409」は「入力装置」に、「プレーヤ」は「プレイヤ」に、「操作入力」は「入力操作」にそれぞれ相当する。
引用発明2においては、ゲーム画面W2の上部領域には、音楽のテンポに応じた時間間隔で操作ガイド4が画面右端から左方向へ流れるように表示され、プレーヤは、操作ガイド4が入力タイミング枠6に入ったタイミングで、当該操作ガイド4の示す種類の操作入力をタッチパネル1409に入力するから、引用発明2の「操作ガイド4」は本願補正発明の「操作指示情報」に相当する。
引用発明2では、タッチパネル1409の面にタッチして素早くスライドさせてタッチを解除する操作、換言するとタッチ面を払うようにして操作する「フリック操作」による方向入力を操作入力の基本とするから、操作入力はタッチパネル1409のタッチ面における移動を伴うことは明らかである。そして、制御ユニット1450は、フリック操作の方向を判定するとともにその操作量(この場合スライド量)を算出し、入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4に対する操作入力としての適否を判定し、入力タイミング枠6に入っている操作ガイド4の示す方向と操作入力方向が合致し、且つ当該操作ガイド4(この場合標準操作ガイド4a)の基準長Lmを中心とした入力適合判定範囲に操作量が入っていれば適合判定されるのだから、入力タイミング枠6に入っているか否かの判定、フリック操作の方向の判定、及び、操作量の判定を行っているといえ、引用発明2の「制御ユニット1450」は、本願補正発明の「操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミング、移動方向、及び移動量に基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する入力操作判定手段」に相当する。
してみると、引用発明2は上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を備えている。
そして、引用発明1及び2はともにゲームの技術分野に属し、かつ、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作の適否を判定するという共通の作用・機能を有している。また、引用発明2は「接触操作を利用した新しい感覚のゲームを実現すること」(段落【0005】)を課題とするところ、種々の操作を利用して新しい感覚のゲームを実現することはゲームの技術分野における一般的な課題であって、引用発明1及び2はともに接触操作を行うためのハードウェアであるタッチパネルを備えている。そうすると、当該課題を解決するために引用発明1に引用発明2を適用することは当業者が容易になし得ることである。
よって、引用発明1に引用発明2を適用して、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願補正発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5.むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」の「[理由]1.(1)」に記載したとおりのものである。
2.引用例
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である引用例1の記載内容及び引用発明は、上記「第2」の「2.引用例」に記載したとおりである。
3.対比及び判断
本願発明は、本願補正発明に係る「入力操作判定手段」について、「前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミング、移動方向、及び移動量に基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する」を「前記操作指示情報に対応する入力操作または前記操作指示情報に対応するプレイヤが入力操作すべきタイミングに基づいて、入力操作受付手段により受け付けられた入力操作を判定する」としたものである。
そうすると、本願発明は、本願補正発明から、上記「第2」の「3.対比」に記載した相違点に係る構成を省いたものであって、本願発明と引用発明1とを対比すると、両者は全ての発明特定事項において一致し、両者の間に相違点はない。
したがって、本願発明は、引用発明1である。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-010183