特許拒絶査定不服審判
2016-009243
情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2016-009243
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-196200外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月22日
- 審決日
- 2017年04月17日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヤフー株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-196200「情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月30日出願公開、特開2015- 60580、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成25年9月20日に特許出願したものであって,平成27年7月28日付けで拒絶理由が通知され,平成27年9月17日に意見書の提出とともに手続補正がされたが,平成28年3月14日付けで拒絶査定がされ,これに対して,平成28年6月22日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。
第2 平成28年6月22日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の適否。
1.補正の内容
(1)本件補正により,特許請求の範囲は,次のとおり補正された(下線部は,補正箇所である。)。
「【請求項1】
利用者が装着するウェアラブル装置により撮像された撮像画像であって,当該利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手段と,
前記ウェアラブル装置により収集された前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手段と,
前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記ウェアラブル装置により収集された視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出手段と,
検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する記憶手段と,
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記広告検出手段は,前記撮像画像に含まれる広告のうち,当該広告が含まれる領域に前記視点位置が所定の時間含まれる広告を検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記利用者が来店した店舗を検出する店舗検出手段と,
前記記憶手段により記憶された広告の情報が,前記店舗検出手段により検出された来店店舗と関連する広告の情報である場合に,当該広告が前記利用者を店舗に誘導したと判定する判定手段と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記撮像画像から前記店舗を識別するための店舗識別情報を記憶する店舗記憶手段を備え,
前記店舗検出手段は,前記撮像画像から,前記店舗識別情報を用いて,前記利用者が訪れた店舗を検出することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記店舗記憶手段は,店員の顔認証を行なうための情報を記憶し,
前記店舗検出手段は,前記店員の顔認証を行うための情報を用いて,前記撮像画像から,店員の顔認証を行い,かかる店員の顔認証に成功した場合は,認証された店員と対応する店舗を前記利用者が来店した店舗として検出することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判定手段は,前記記憶された広告の情報が前記来店店舗と関連する広告であり,当該広告が検出された撮像画像が取得された時刻と,当該広告に関連する店舗を前記利用者が来店した時刻との差が,閾値よりも大きい場合,当該広告が前記利用者を店舗に誘導したと判定しないことを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記店舗に来店した利用者の数と,当該店舗に関連する広告が当該店舗に誘導した利用者の数とに基づいて,当該広告の送客効果を算出する算出手段を有することを特徴とする請求項3~6のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項8】
利用者が装着するウェアラブル装置と,前記ウェアラブル装置と通信可能な情報処理装置とを有する情報処理システムが,
前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像であって,当該利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得工程と,
前記ウェアラブル装置により収集された前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得工程と,
前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記ウェアラブル装置により収集された視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出工程と,
検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する記憶工程と,
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手順と,
利用者が装着するウェアラブル装置により撮像された撮像画像であって,当該利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手順と,
前記ウェアラブル装置により収集された前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手順と,
前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記ウェアラブル装置により収集された視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出手順と,
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。」
(2)本件補正前の,特許請求の範囲は,次のとおりである。
「【請求項1】
利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手段と,
前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手段と,
前記撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出手段と,
検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する記憶手段と,
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記広告検出手段は,前記撮像画像に含まれる広告のうち,当該広告が含まれる領域に前記視点位置が所定の時間含まれる広告を検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記利用者が来店した店舗を検出する店舗検出手段と,
前記記憶手段により記憶された広告の情報が,前記店舗検出手段により検出された来店店舗と関連する広告の情報である場合に,当該広告が前記利用者を店舗に誘導したと判定する判定手段と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記撮像画像から前記店舗を識別するための店舗識別情報を記憶する店舗記憶手段を備え,
前記店舗検出手段は,前記撮像画像から,前記店舗識別情報を用いて,前記利用者が訪れた店舗を検出することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記店舗記憶手段は,店員の顔認証を行なうための情報を記憶し,
前記店舗検出手段は,前記店員の顔認証を行うための情報を用いて,前記撮像画像から,店員の顔認証を行い,かかる店員の顔認証に成功した場合は,認証された店員と対応する店舗を前記利用者が来店した店舗として検出することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判定手段は,前記記憶された広告の情報が前記来店店舗と関連する広告であり,当該広告が検出された撮像画像が取得された時刻と,当該広告に関連する店舗を前記利用者が来店した時刻との差が,閾値よりも大きい場合,当該広告が前記利用者を店舗に誘導したと判定しないことを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記店舗に来店した利用者の数と,当該店舗に関連する広告が当該店舗に誘導した利用者の数とに基づいて,当該広告の送客効果を算出する算出手段を有することを特徴とする請求項3~6のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項8】
端末装置と,前記端末装置と通信可能な情報処理装置とを有する情報処理システムが,
利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得工程と,
前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得工程と,
前記撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出工程と,
検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する記憶工程と,
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手順と,
前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手順と,
前記撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する広告検出手順と,
検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する記憶手順と,
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。」
2.補正の適否
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1~9について,これら請求項に係る発明を特定するために必要な事項である「利用者の視界に対応した撮像画像」について,「利用者が装着するウェアラブル装置により撮像された」との限定を付加するとともに,「前記撮像画像における前記利用者の視点位置」について,「前記ウェアラブル装置により収集された」との限定を付加するものを含むものであって,本件補正前の特許請求の範囲に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
そこで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明が,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
(1)引用文献の記載事項
ア.引用文献1(特開2008-40884号公報)
原査定の拒絶の理由において,請求項1に対して引用された特開2008-40884号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,上述した特許文献1に記載された従来のシステムでは,商品の生産・流通履歴が提供されるが,この商品の生産・流通履歴とともに付加的な情報をリアルタイムに提供したり利用させたりすることができないため,依然としてシステムの有効活用が図りにくいという問題があった。
【0006】
本発明は,上述した問題を解消し,システムの管理コストや管理負担を増大させることなく,商品の履歴情報を提供するとともに付加的な情報をリアルタイムに提供したり利用させたりすることができる商品情報提供システム,商品情報提供方法,及びサーバシステムを提供することを目的とする。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は,本発明の一実施の形態における商品情報提供システム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように,商品情報提供システム100は,商品情報提供サーバ10と,検索処理サーバ20と,ユーザ用ヘッドマウントディスプレイユニット(以下,「ユーザ用HMDユニット」と略記)31~3N,61~6N(N:任意の正の整数)と,基地局40,50とを含む。
【0020】
商品情報提供サーバ10,及び検索処理サーバ20は,それぞれ,例えば専用回線やインターネットなどの通信ネットワーク70に接続されている。ユーザ用HMDユニット31~3N,61~6Nは,それぞれ,無線通信回線によって基地局40,50に接続し,これら基地局40,50を介して通信ネットワーク70に接続される。」
(ウ)「【0022】
ここで,上述した商品履歴情報は,商品の生産履歴や流通履歴を示す情報であって,例えば,商品分類,商品名,商品の生産者・製造者・販売元,商品の販売者・販売店,商品の生産日・製造日,商品の生産地・製造地などの各種の情報を含む。なお,商品情報DB11は,商品情報提供サーバ10の内部にあっても外部にあってもよい。」
(エ)「【0025】
ユーザ用HMDユニット31~3N,61~6Nは,サイトを開設しているユーザが使用するHMDユニットであり,それぞれ同一の構成とされるため,ここではユーザ用HMDユニット31について説明する。ユーザ用HMDユニット31は,例えば図2に示すように,販売店に陳列されている商品や消費者端末(図示せず)の表示画面上に表示されている商品などを選択するユーザの頭部に装着され,CCDやCMOSからなるカメラ装置などの小型カメラ装置81と,ユーザに対して各種の情報を表示するヘッドマウンドディスプレイ(以下,「HMD」という。)82と,HMD82等が設置されるフレーム83とを含む。
【0026】
なお,図示はしないが,ユーザ用HMDユニット31には,無線通信を行うための無線通信部と,ユーザの視点を検出するための視点検出部と,各種の制御を行うための制御部とが搭載されており,さらにユーザにより操作される操作部が設けられていてもよい。操作部が設けられる場合は,この操作部は,ユーザ用HMDユニット31を装着した状態で操作可能となるように,通信ケーブルなどによって制御部に接続されている。」
(オ)「【0030】
次に,本例の商品情報提供システム100の動作について説明する。
ここでは,ユーザ用HMDユニット31を装着したユーザYが,店舗Aにおいて買い物をする際に商品Xを視認したり,商品Xを購入したりするときに,ユーザ用HMDユニット31を利用して商品Xの履歴照会を行い,ユーザYとは異なる他のユーザがユーザ用HMDユニット61を利用する場合を例に説明することとし,本発明に特に関わる処理以外は,説明を省略している場合があるものとする。
・・・(中略)・・・
【0036】
ユーザ用HMDユニット31は,商品情報提供サーバ10からの商品情報取得画面を,自己が備えるHMD82の表示画面上に表示する(ステップS104)。この商品情報取得画面は,例えば図5に示すように,商品情報取得画面500を表示していることを示す画面タイトルを表示する表示領域501,小型カメラ装置81によって撮像された商品Xの画像を表示する表示領域502,小型カメラ装置81による商品Xの画像を撮影する撮影モードへの切り替えを選択するための画像撮影選択欄(「画像撮影」と表示されている欄)を表示する表示領域503,商品Xに付されている,あるいは店舗A内のカタログ紙面や印刷物などに掲載されている商品Xに関連するトレーサビリティコード(履歴情報検索コード)を,小型カメラ装置81や操作部によって取得することを選択するためのコード取得選択欄(「コード取得」と表示されている欄)を表示する表示領域504,目次画面に戻ることを選択するための目次画面表示選択欄(「メニューに戻る」と表示されている欄)を表示する表示領域505などが設けられている。
【0037】
商品情報取得画面500を表示すると,ユーザ用HMDユニット31は,HMD82の表示画面において,自己が備える視点検出部によってユーザYが所定時間以上継続して表示領域501~505のうちの同じ表示領域内で視線(視点)を留めたか否かを監視し,その視点検出部によって所定時間以上継続して視線を留めた表示領域を視点領域として検出する(ステップS105)。そして,ユーザ用HMDユニット31は,検出した視点領域を示す視点領域情報を商品情報提供サーバ10に対して送信する(ステップS106)。ここでは,図5に示すような表示領域502に表示された商品Xに付されているトレーサビリティコード506に視線が留められたこととし,視線を留めた表示領域が表示領域502である旨と,その表示領域502に表示されているトレーサビリティコード506が付されている商品Xの画像とを含む視点領域情報がステップS106にて送信されたものとする。
【0038】
商品情報提供サーバ10は,受信した視点領域情報に含まれている商品Xの画像情報について画像認識処理などを行って,商品Xに付されているトレーサビリティコード506を特定する(ステップS107)。トレーサビリティコード506を特定すると,商品情報提供サーバ10は,商品履歴情報の提供に際してのユーザYの開設するサイトの広告料金に関する閲覧条件について,ユーザYに対して承諾を問うための閲覧条件提示画面を生成し,ユーザ用HMDユニット31に送信する(ステップS108)。」
(カ)「【0045】
検索処理サーバ20は,広告検索処理を実行すると,検索結果に関する検索結果情報を商品情報提供サーバ10に送信し(ステップS117),この検索結果情報を検索情報DB21に格納して保存する(ステップS118)。商品情報提供サーバ10は,商品履歴情報の検索を行うと,検索結果情報を受信して,検索した商品履歴情報とともに,検索された商品関連広告情報をユーザYに閲覧させるための商品履歴情報閲覧画面を生成し(ステップS120),生成した商品履歴情報閲覧画面をユーザ用HMDユニット31に送信する(ステップS121)。」
(キ)「【0046】
ユーザ用HMDユニット31は,商品情報提供サーバ10からの商品履歴情報閲覧画面を,自己が備えるHMD82の表示画面上に表示する(ステップS122)。商品履歴情報閲覧画面は,例えば図7に示すように,商品Xの商品履歴情報が表示される表示領域701,商品Xに関連する商品関連広告情報が表示される表示領域702,商品Xの商品履歴情報の閲覧の終了を選択するための商品履歴情報閲覧終了欄(「閲覧を終了する」と表示されている欄)を表示する表示領域703などが設けられている。
【0047】
商品履歴情報閲覧画面を表示すると,ユーザYは,商品履歴情報閲覧画面に表示されている商品履歴情報などを閲覧するとともに,ユーザ用HMDユニット31は,HMD82の表示画面において,自己が備える視点検出部によってユーザYが所定時間以上継続して同じ表示領域内で視線(視点)を留めたか否かを監視し,その視点検出部によって所定時間以上継続して視線を留めた表示領域を視点領域として検出する(ステップS123)。そして,ユーザ用HMDユニット31は,検出した視点領域を示す視点領域情報を商品情報提供サーバ10に対して送信する(ステップS124)。
【0048】
商品情報提供サーバ10は,受信した視点領域情報に基づいて,ユーザYによって商品関連広告情報が閲覧されて選択されたか否かを判断する(ステップS125)。ここでは,図7に示すような商品関連広告情報の表示領域702に視線が留められたかを判断して,商品関連広告情報が選択されたか否かを判断する。」
上記(ア)~(キ)によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「商品情報提供サーバ10と,ユーザ用HMDユニット31とを含む商品情報提供システム100であって(段落【0019】),
ユーザ用HMDユニット31は,商品情報提供サーバ10からの商品情報取得画面を,自己が備えるHMD82の表示画面上に表示し,この商品情報取得画面は,小型カメラ装置81によって撮像された商品Xの画像を表示する表示領域502を含む表示領域501~506などが設けられており(段落【0036】),
商品情報取得画面500を表示すると,ユーザ用HMDユニット31は,HMD82の表示画面において,自己が備える視点検出部によってユーザYが所定時間以上継続して表示領域501~505のうちの同じ表示領域内で視線(視点)を留めたか否かを監視し,その視点検出部によって所定時間以上継続して視線を留めた表示領域を視点領域として検出し,検出した視点領域を示す視点領域情報を商品情報提供サーバ10に対して送信し,ここでは,表示領域502に表示された商品Xに付されているトレーサビリティコード506に視線が留められたこととし,視線を留めた表示領域が表示領域502である旨と,その表示領域502に表示されているトレーサビリティコード506が付されている商品Xの画像とを含む視点領域情報が送信されたものとするものであり(段落【0037】),
商品情報提供サーバ10は,受信した視点領域情報に含まれている商品Xの画像情報について画像認識処理などを行って,商品Xに付されているトレーサビリティコード506を特定する(段落【0038】),
商品情報提供システム100」
イ.引用文献2(特開2010-26871号公報)
原査定の拒絶の理由において,請求項1に対して引用された特開2010-26871号公報(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る情報処理装置及び情報処理システムについて説明する。図1は,実施の形態1に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示す説明図である。図1において,情報処理システム100は,複数の視聴者端末101と,当該視聴者端末101とネットワーク102を介して接続された情報処理装置103とにより構成されている。
【0019】
視聴者端末101は,通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(以下,PCという。)やテレビなどである。さらに,視聴者端末101は,コンテンツを視聴する視聴者の画像を撮像するためのカメラ104を備えている。カメラ104は,視聴者端末101に接続されている。カメラ104によって撮像された画像は,視聴者端末101からネットワーク102を介して情報処理装置103に送信される。」
(イ)「【0078】
ステップS828において,情報処理装置103のCPU201は,コンテンツ中の広告主の広告領域を特定する。この広告領域とされる領域は,予め定められている。また,各広告領域に対しては,その領域内に広告を貼ることができる広告主が定められている。そのため,ユーザの視線がその広告領域内に検出されれば,CPU201は,その広告領域を特定することにより,ユーザが見ていた広告主を特定することができる。具体的には,例えば,図8に示した点線の枠によって囲まれる領域内に視聴者の視線が検出されれば,CPU201は,「Nikon」の広告領域(所定の領域601)であると特定する。」
上記(ア)及び(イ)によれば,引用文献2には,次の事項が記載されている。
<引用文献2の記載事項>
「視聴者端末101と,当該視聴者端末101とネットワーク102を介して接続された情報処理装置103とにより構成されている情報処理システム100であって(段落【0018】),
前記視聴者端末101は,通信機能を備えたパーソナルコンピュータやテレビなどであり,コンテンツを視聴する視聴者の画像を撮像するためのカメラ104を備えており,カメラ104によって撮像された画像は,視聴者端末101からネットワーク102を介して情報処理装置103に送信され(段落【0019】),
前記情報処理装置103のCPU201は,コンテンツ中の広告主の広告領域を特定し,この広告領域に対しては,その領域内に広告を貼ることができる広告主が定められており,ユーザの視線がその広告領域内に検出されれば,その広告領域を特定することにより,ユーザが見ていた広告主を特定することができる(段落【0078】),
情報処理システム100。」
(2)対比
次に,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下,「補正発明」という。)と引用発明とを対比する
(ア) 引用発明の「商品Xの画像」は,ユーザ用HMDユニット31に設けられた小型カメラ装置81によって撮像された「撮像画像」であり,(1)ア.(エ)によれば,前記小型カメラ装置81は,ユーザの頭部に装着されるものであるから,「ユーザの視界に対応した画像」であるといえる。そして,引用発明の「商品情報提供サーバ10」は,ユーザ用HMDユニット31から「商品Xの画像」を含む視点領域情報を受信することで,「商品Xの画像」を「取得する」ものであるといえる。そうすると,引用発明と補正発明とは,いずれも,「利用者が装着するウェアラブル装置により撮像された撮像画像であって,当該利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手段」を備える点で共通する。
(イ) 引用発明の「ユーザ用HMDユニット31」は,(1)ア.(オ)によれば,表示領域502に表示された商品Xに付されているトレーサビリティコード506に視線が留められると,表示領域502に表示されているトレーサビリティコード506が付されている商品Xの画像とを含む視点領域情報を「商品情報提供サーバ10」に送信するものであるから,引用発明の「商品情報提供サーバ10」は,「商品Xの画像」における商品Xに付されているトレーサビリティコード506に対する「ユーザYの視点位置」を「取得する」ものであるといえる。そうすると,引用発明と補正発明とは,いずれも,「前記ウェアラブル装置により収集された前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手段」を備える点で共通する。
(ウ) 引用発明の「商品情報提供システム100」は,補正発明の「情報処理システム」に相当する。
上記(ア)~(ウ)によれば,補正発明と引用発明は,以下の点で一致し,また相違する。
<一致点>
「利用者が装着するウェアラブル装置により撮像された撮像画像であって,当該利用者の視界に対応した撮像画像を取得する画像取得手段と,
前記ウェアラブル装置により収集された前記撮像画像における前記利用者の視点位置を取得する視点取得手段と,
を有する情報処理システム。」
<相違点>
補正発明では,「前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像における広告が含まれる領域を特定し,特定した領域に前記ウェアラブル装置により収集された視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出」し,「検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶する」のに対して,引用発明では,ユーザ用HMDユニット31により撮像された商品Xの画像を表示する表示領域502を視点領域として検出するものの,撮像された画像から広告を検出するものではない点
(3)判断
上記相違点について検討する。
補正発明は,利用者の視界に対応した撮像画像,すなわち,利用者の主観画像から広告が含まれる領域を特定して,利用者が閲覧した広告を検出するものであり,利用者がどのような情報に接したのかを把握するものである。
他方,引用文献1に記載された商品情報提供システムは,ユーザ用HMDユニット31により撮像された商品Xの画像を検出し,検出された画像に基づいて商品Xの履歴情報を提供するものであるから,ユーザが閲覧した情報を把握するものではない。
また,(1)ア.(キ)によれば,ユーザ用HMDユニット31は,商品履歴情報閲覧画面に設けられた商品Xに関連する商品関連広告情報が表示される表示領域702を視点領域として検出し,検出した視点領域を示す視点領域情報を商品情報提供サーバ10に送信し,商品情報提供サーバ10が,受信した視点領域情報に基づいて,ユーザYによって商品関連広告情報が選択されたか否かを判断するものであるが,前記「商品履歴情報閲覧画面」は,(1)ア.(カ)によれば,商品情報提供サーバ10において生成されてユーザ用HMDユニット31に送信されたものであり,ユーザ用HMDユニット31により撮像された画像ではないから,補正発明の「撮像画像」に相当するものではない。
したがって,引用文献1には,補正発明の,「前記ウェアラブル装置により撮像された撮像画像における広告が含まれる領域を特定」すること,「特定した領域に前記ウェアラブル装置により収集された視点位置が含まれているか否かに応じて,前記利用者が閲覧した広告を検出する」こと,「検出された広告の情報を前記利用者と対応付けて記憶すること」は,いずれも記載されておらず,示唆もされていない。また,原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2にも記載されておらず,示唆もされていない。
よって,相違点に係る構成は,引用文献1,2に記載も示唆もされておらず,補正発明は,この構成により本願明細書記載の作用効果を奏するものであるから,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって,補正発明は,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえず,また,他に補正発明が特許を受けることができない理由もないから,本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正事項は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
また,請求項2~7に係る発明は,請求項1に係る発明を更に限定したものであり,請求項8,9に係る発明は,請求項1に係る発明のカテゴリーの違いであって,上記(2)で認定した相違点に係る構成を有しているので,請求項1に係る発明と同様に,引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって,本件補正後の特許請求の範囲の請求項2~9についての補正事項についても,特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。
3.むすび
本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。
第3 本願発明
本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから,本願の請求項1~9に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は,上記第2の2.のとおり,当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-009243