特許拒絶査定不服審判
2016-007445
遊技機
- 審判番号
- 2016-007445
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-205171外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月20日
- 審決日
- 2017年02月06日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-205171「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月12日出願公開、特開2016- 73406〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月3日の出願であって、平成27年12月28日付けで手続補正がなされたが、平成28年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年5月20日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、請求項1の記載は、補正前の、
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であり、前記操作手段に対する操作が行われた時期に応じて異なる演出態様の前記信頼度演出を実行することが可能である、遊技機。」から、
補正後の
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であり、
前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の第1の期間である場合、第1の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能であり、
前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の前記第1の期間より後の第2の期間である場合、前記第1の場面より後の場面である第2の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能である、遊技機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す。)。
2.補正の適否
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部の構成が付加された。
すなわち、「演出制御手段」における「操作手段に対する操作が行われた時期」と「信頼度演出」について、
「前記操作可能期間の第1の期間である場合、第1の場面から開始される」とし、また、「前記操作可能期間の前記第1の期間より後の第2の期間である場合、前記第1の場面より後の場面である第2の場面から開始される」とすることで、「操作手段に対する操作が行われた時期」を限定するとともに「信頼度演出」を限定し、それにより「演出制御手段」の構成を限定するものである。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落0210~段落0223の記載および図23、図24の内容から導かれることは明らかであるから、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示したとおりのものである。
(2)刊行物
本願の出願前に頒布された刊行物である「特開2013-141548号公報」(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明による遊技機は、所定条件の成立にもとづいて遊技者に有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機であって、遊技者が操作可能な操作手段(例えば、操作ボタン120)と、第1段階から複数段階まで演出の態様を段階的に変化させる予告演出をいずれの段階まで実行するかを決定する予告演出決定手段(例えばステップS570の処理を実行する演出制御用CPU101)と、前記操作手段が操作有効期間中(例えば、図49の操作有効期間)に操作されたことにもとづいて前記予告演出決定手段により決定された前記段階(例えば上限ステップ)まで予告演出を実行する予告演出実行手段(例えばステップS843等の処理を実行する演出制御用CPU101)とを備え、前記予告演出実行手段は、前記操作有効期間中の特定のタイミング(例えば、図49の第3段階実行可能期間)以降に前記操作手段が操作された場合には、前記複数段階のうち所定段階(例えば第3段階)の演出の態様を実行せずに前記予告演出決定手段により決定された段階(例えば第4段階)の演出の態様に変化させることを特徴とする。
そのような構成によれば、操作のタイミングに応じて実行される予行演出の態様が異なるため、予告演出の興趣を向上させることができる。さらに、操作有効期間中に決定された段階の演出の態様に確実に変化させることができる。」
(イ)「【0288】
図38は、ステップS832Aの予告演出設定処理を示すフローチャートである。予告演出設定処理において、演出制御用CPU101は、予告演出決定用の乱数SR5-1に基づいて、図39に示す予告演出決定テーブルを用いて、予告演出を決定する(ステップS570)。具体的には、演出制御用CPU101は、予告演出決定用の乱数SR5-1の値を抽出し、抽出した乱数値とはずれ時、大当り時または突確時用にそれぞれ設けられた予告演出決定テーブルに設定されている判定値とを比較する。そして、乱数値と一致する判定値に割り当てられた予告演出(「なし」、「第1ステップアップ予告(ステップ数1)」・・・)にもとづいて、予告演出の有無と演出態様を決定する。なお、この実施の形態では、演出制御用CPU101は、第1ステップアップ予告では大当り期待度を示唆する演出を実行し、第2ステップアップ予告では、突確を示唆する演出を実行する。また、この実施の形態では、ステップアップ予告の種類に応じて異なる遊技の展開を示唆する演出を実行するが、大当り期待度や突確を示唆する演出に限らず、例えば擬似連の継続を示唆する演出を実行するようにしてもよい。また、ステップアップ予告が示唆するものとして、大当り期待度や突確期待度、擬似連継続期待度の他にも、高確が潜伏するもので高確期待度や、先読み予告のあるもので先読み連続予告の継続期待度、ターゲット保留での大当り期待度を示唆するものであってものよく、同時に実行されるステップアップ予告は、これらを任意に組み合わせたものであればよい。また、示唆するものが同じであるステップアップ予告の組み合わせでもよく、その場合には、表示されるステップ数を相互に異ならせるようにしてもよい。
【0289】
図39に示すように、はずれ用予告演出決定テーブル(図39(a))には、各演出態様に対して所定数の判定値がそれぞれ割り振られている。なお、テーブルに含まれる数字は、各演出態様に割り振られた判定値の数を示している。大当り用予告演出決定テーブル(図39(b))および突確用予告演出決定テーブル(図39(c))においても同様である。」
(ウ)「【0337】
次に、図43に示される演出図柄変動中処理に代えて、図47に示される演出図柄変動中処理を実行する場合のステップアップ予告演出の具体例について図48を参照して説明する。図48は、第1ステップアップ予告に第2ステップアップ予告が追加されて同時に実行されるステップアップ予告演出の内容を示す説明図である。図48に示す例では、第1ステップアップ予告として、演出表示装置9の表示画面の所定の領域において、段階的に空路を移動する乗り物の画像を登場させる演出を行う。具体的には、第1段階では気球、第2段階ではプロペラ機、第3段階ではジェット機、第4段階ではロケットを登場させる演出を行う。また、図47に示す例では、第2ステップアップ予告として、演出表示装置9の表示画面の所定の領域において、段階的に陸路を移動する乗り物の画像を登場させる演出を行う。具体的には、第1段階では自転車(図示せず)、第2段階では原付自転車、第3段階では自動二輪、第4段階では自動車を登場させる演出を行う。
【0338】
図48に示す例では、ステップアップ予告演出が実行されると、演出表示装置9の表示画面の所定の領域において、第1ステップアップ予告の第1段階の画像である気球が登場する演出が行われる(図48(a))。次いで、第1ステップアップ予告が第2段階に発展すると、第1ステップアップ予告の第2段階の画像であるプロペラ機が登場する演出が行われるとともに、第2ステップアップ予告の第2段階の画像である原付自転車が登場する演出が行われる(図48(b))。ここで、図46に示す例とは異なり、図48に示す例では、プロペラ機と原付自転車とが表示されたまま(予告演出が上限ステップ数に達する前に)、操作ボタン120の操作を促す操作有効期間演出が行われる(図48(b))。
【0339】
図48(b)に示される操作有効期間演出(例えば6秒間(図49に示す例では3S~9S))が実行され、操作有効期間のうちの第1操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合には(図47のステップS852AのY)、第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出が行われる(図48(c))。その後、第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われる(図48(d))。
【0340】
また、図48(b)に示される操作有効期間演出が実行され、操作有効期間のうちの第1操作有効期間経過後に操作ボタン120が操作された場合には(図47のステップS852AのN)、第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われる(図48(d))。すなわち、第1操作有効期間内に操作ボタンが操作された場合とは異なり、第3段階の画像が登場する演出が実行されることなく、第4段階の画像が登場する演出が実行される。
【0341】
そして、第1操作有効期間内であるか否かにかかわらず、操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合には、あらかじめ決定された段階(図48の例では第4段階)まで発展した後に、第1ステップアップ予告の画像と第2ステップアップ予告の画像とのいずれかが選択表示される(図48(e),(f))。
【0342】
また、操作有効期間内に操作ボタン120が操作されなかった場合には、第1ステップアップ予告の画像と第2ステップアップ予告の画像とは、あらかじめ決定された段階(図48の例では第4段階)まで発展せず、操作有効期間演出実行時の段階(図48の例では第2段階)ののまま(図48(g))、いずれかが選択表示される(図48(h))。」
(エ)【図50】は、ステップアップ予告が示唆する期待度の例を示す説明図であり、ステップアップ予告においてステップ数が多いほど期待度が高くなることが示されている。特にステップ3、ステップ4においては期待度は30%を超えることが示されている。
(オ)上記(ア)には、
所定条件の成立にもとづいて遊技者に有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、遊技者が操作可能な操作手段(操作ボタン120)と、演出の態様を段階的に変化させる予告演出をいずれの段階まで実行するかを決定する予告演出決定手段(演出制御用CPU101)と、前記操作手段が操作有効期間中に操作されたことにもとづいて前記予告演出決定手段により決定された段階まで予告演出を実行する予告演出実行手段(演出制御用CPU101)とを備えた構成について記載されている。
(カ)上記(イ)には、演出制御用CPU101は、抽出した乱数値と大当り時用等に設定されている判定値とを比較し、それに基づいて予告演出である第1ステップアップ予告では大当り期待度を示唆する演出を実行することが記載されている。したがって、上記(オ)の段階的に変化させる予告演出は大当り期待度を示唆する演出であるといえる。
また、上記(ウ)によれば、予告演出は上限ステップである第4段階まで実行可能であり、上記(エ)によれば、ステップ数が多いほど期待度、すなわち大当たり期待度が高くなる。
以上より、演出制御用CPU101は、抽出した乱数値と大当り時用等に設定されている判定値とを比較し、それに基づいて予告演出として大当り期待度が高いことを示唆する演出を実行可能であるといえる。
(キ)上記(ウ)には、操作有効期間のうちの第1操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合には、第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出が行われ、その後、第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われることが記載され、
また、操作有効期間のうちの第1操作有効期間経過後に操作ボタン120が操作された場合には第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われることが記載されている。そして、上記(ウ)は、ステップアップが4段階まで行われることを前提としているが、上記(ア)によれば、予告演出決定手段によりいずれの段階まで実行するかを決定するから、第1、第2ステップアップ予告は段階まで演出を実行可能であるといえる。
上記(ア)~(ウ)の記載事項、(エ)~(キ)の認定事項を総合すると、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「所定条件の成立にもとづいて遊技者に有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
遊技者が操作可能な操作手段(操作ボタン120)が操作有効期間中に操作されたことにもとづいて決定された段階まで予告演出を実行する予告演出実行手段(演出制御用CPU101)を備え、
演出制御用CPU101は、抽出した乱数値と大当り時用等に設定されている判定値とを比較し、それに基づいて予告演出として大当り期待度が高いことを示唆する演出を実行可能であり、
操作有効期間のうちの第1操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合には、第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出が行われることが可能であり、
操作有効期間のうちの第1操作有効期間経過後に操作ボタン120が操作された場合には第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われることが可能である、遊技機。」
(3)対比、判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の「所定条件の成立」は、本願補正発明の「始動条件の成立」に相当する。そして、「遊技者に有利な特定遊技状態」は、本願補正発明の「特別遊技」に相当するから、引用発明も「特定遊技状態」となるか否かの判定をすることは明らかであり、本願補正発明の「特別遊技判定手段」に相当する手段を備えているといえる。
(b)引用発明の「遊技者が操作可能な操作手段(操作ボタン120)」は、本願補正発明の「遊技者によって操作可能な操作手段」に相当し、また、引用発明の「操作有効期間」は、本願補正発明の「所定の操作可能期間」に相当する。
そして、引用発明の「決定された段階まで」の「予告演出」は、本願補正発明の「所定の演出」に相当し、引用発明の「予告演出実行手段(演出制御用CPU101)」は、本願補正発明の「演出制御手段」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技者が操作可能な操作手段(操作ボタン120)が操作有効期間中に操作されたことにもとづいて決定された段階まで予告演出を実行する予告演出実行手段(演出制御用CPU101)」は、本願補正発明の「所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段」に相当する。
(c)引用発明の「抽出した乱数値と大当り時用等に設定されている判定値とを比較」することは、上記(a)での「特別遊技判定手段」による「判定」をすることと技術的に同じである。そして、引用発明の「大当り期待度が高いことを示唆する演出」は、本願補正発明の「特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出」に相当するから、引用発明の「それに基づいて予告演出として大当り期待度が高いことを示唆する演出を実行可能」は、本願補正発明の「判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能」に相当する。
したがって、引用発明の「演出制御用CPU101は、抽出した乱数値と大当り時用等に設定されている判定値とを比較し、それに基づいて予告演出として大当り期待度が高いことを示唆する演出を実行可能であ」ることは、本願補正発明の「前記演出制御手段は、記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であ」ることに相当する。
(d)引用発明の「操作有効期間のうちの第1操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合」は、本願補正発明の「前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の第1の期間である場合」に相当し、また、引用発明の「操作有効期間のうちの第1操作有効期間経過後に操作ボタン120が操作された場合」は、本願補正発明の「前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の前記第1の期間より後の第2の期間である場合」に相当する。
そして、引用発明の「第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出」と「第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出」はいずれもステップ数が多いことから、いずれも信頼度が高いことを示唆する演出であるといえる。
また、引用発明の「第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出」に比べ、引用発明の「第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出」は、後の場面であることは明らかであるから、第3段階の画像の演出である前者は本願補正発明の「第1の場面」に、第4段階の画像の演出である後者は「第1の場面より後の場面である第2の場面」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明の「操作有効期間」に「操作ボタン120が操作された場合」は、「第1の場面」または「第2の場面」から信頼度が高いことを示唆する演出が開始されるといえる。
以上より、引用発明の「操作有効期間のうちの第1操作有効期間内に操作ボタン120が操作された場合には、第1ステップアップ予告の第3段階の画像であるジェット機と、第2ステップアップ予告の第3段階の画像である自動二輪とが登場する演出が行われることが可能であり、操作有効期間のうちの第1操作有効期間経過後に操作ボタン120が操作された場合には第1ステップアップ予告の第4段階の画像であるロケットと、第2ステップアップ予告の第4段階の画像である自動車とが登場する演出が行われることが可能である」ことは、本願補正発明の「前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の第1の期間である場合、第1の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能であり、前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の前記第1の期間より後の第2の期間である場合、前記第1の場面より後の場面である第2の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能である」ことに相当する。
そうすると、上記(a)~(d)の対比から、両者は、
「始動条件の成立により、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であり、
前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の第1の期間である場合、第1の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能であり、
前記操作手段に対する操作が行われた時期が前記操作可能期間の前記第1の期間より後の第2の期間である場合、前記第1の場面より後の場面である第2の場面から開始される前記信頼度演出を実行することが可能である、遊技機。」
である点で一致しており、相違点はない。
したがって、本願補正発明は、引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明であるということができる。
仮に、相違点があったとしても、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に発明できたものである。
なお、審判請求人は審判請求書において、本願補正発明と特開2014-97308号公報(後述の刊行物2)に記載された発明とを対比して相違点について主張しているが、本願補正発明の独立特許要件の判断には、刊行物1を用いており対比対象が異なるため請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年12月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であり、前記操作手段に対する操作が行われた時期に応じて異なる演出態様の前記信頼度演出を実行することが可能である、遊技機。」
1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である「特開2014-97308号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図柄表示装置で図柄を変動表示し、所定の態様で図柄を停止させた後に特賞状態を生起させる遊技機に係り、特に、遊技の趣向を向上するのに好適な遊技機に関する。」
(イ)「【0074】
図13は、大当たり判定処理を示すフローチャートである。
大当たり判定処理は、所定確率(例えば、1/399)で特賞状態を生起させるために、所定の数値範囲(例えば、「0」~「398」)に1個の大当たり値を設定し、始動入賞口111に遊技球が入賞した入賞タイミングで乱数カウンタから当たり決定乱数を取得し、取得した乱数値と大当たり値とが一致しているときに特賞状態を生起させる処理であって、ステップS108において実行されると、図13に示すように、まず、ステップS300に移行する。
・・・
【0079】
次いで、ステップS314に移行して、大当たりまたは小当たり時に変動表示する演出図柄の変動パターンを決定する当たり時変動パターン決定処理を実行する。当たり時変動パターン決定処理では、リーチ決定乱数を乱数カウンタから取得し、現在の遊技状態、ステップS310、S328で決定または設定した当たり種別番号、入賞遊技球数および取得したリーチ決定乱数の値に対応する変動パターン決定テーブル440を読み出す。そして、変動パターン決定乱数を乱数カウンタから取得し、取得した乱数値の順位の変動パターン番号を変動パターン決定テーブル440から読み出し、読み出した変動パターン番号に対応する変動パターンコマンドをRAM240の所定領域に格納する。なお、当たり時変動パターン決定処理において、大当たり抽選における当たり確定時のボタン押下演出の実行を決定するものである(当たり時ボタン押下演出実行決定手段)。これにより、ステップS118のポート出力処理では、出力ポート255を介して変動パターンコマンド(第1の制御コマンド)が演出制御装置150に送信される。」
(ウ)「【0087】
ボタン押下有効期間tは、図14に示すように、演出図柄の1回の変動期間A内に設定される。演出図柄の変動開始から所定時間が経過した時点で開始し、変動期間Aが終了する所定時間前に終了する。すなわち、ある変動パターンが選択された場合には、その変動パターンが実行される時間(変動時間)内における所定の期間にボタン押下有効期間tが設定されるものである。
【0088】
ボタン押下有効期間tは、前半の期間および後半の期間の2つの期間に区分されている。後半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第1演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出1を行う。これに対し、前半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第2演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出2を行う。第2演出期間は、第1演出期間よりも長く設定されており、前半の期間中に操作ボタン128が押下されても、後半の期間中に操作ボタン128が押下されても、ボタン押下演出の終了タイミングがほぼ同一となるように第1演出期間との関係が規定されている。」
(エ)「【0104】
大当たりまたは小当たり中は、大入賞口115が所定の開閉パターンで開放制御され、大入賞口115に遊技球が入賞すると、1個当たりの入賞につき所定数の賞球が払い出される。
次に、ボタン押下有効期間tのうち後半の期間中に遊技者が操作ボタン128を押下する場合の動作を説明する。
【0105】
演出制御装置150では、変動パターンコマンドを受信すると、演出図柄の変動が開始され、その後、ボタン押下有効期間tになると、操作ボタン128のランプが点灯する。そのため、遊技者は、ボタン押下有効期間t中であることが分かる。
遊技者は、ボタン押下有効期間tのうち後半の期間中に操作ボタン128を押下すると、演出制御装置150では、ステップS422、S424、S420を経て、ボタン演出m指定コマンドが図柄制御装置152、ランプ制御部164および音声制御部162に、ボタン演出音声1指定コマンドが音声制御部162に送信される。
【0106】
図16は、ボタン押下演出の動作を示すタイムチャートである。
図柄制御装置152では、ボタン演出m指定コマンドを受信すると、図16の中段に示すように、ボタン押下主演出の演出画像が表示される。また、ランプ制御部164では、ボタン演出m指定コマンドを受信すると、ボタン押下主演出の点滅パターンでランプ153が点滅する。また、音声制御部162では、ボタン演出m指定コマンドおよびボタン演出音声1指定コマンドを受信すると、シーケンサ160により、ボタン押下主演出の効果音がスピーカ155から出力され、その後続けて、図16の中段に示すように、第1演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力する演出音声がスピーカ155から出力される。この演出音声は、ボタン押下音声演出1の内容を示す第1音声データをシーケンサ160の記憶部にあらかじめ記憶しておき、シーケンサ160の記憶部から第1音声データを読み出し、読み出した第1音声データに基づいて出力される。
【0107】
次に、ボタン押下有効期間tのうち前半の期間中に遊技者が操作ボタン128を押下する場合の動作を説明する。
遊技者は、ボタン押下有効期間tのうち前半の期間中に操作ボタン128を押下すると、演出制御装置150では、ステップS416~S420を経て、ボタン演出m指定コマンドが図柄制御装置152、ランプ制御部164および音声制御部162に、ボタン演出音声2指定コマンドが音声制御部162に送信される。
【0108】
図柄制御装置152では、ボタン演出m指定コマンドを受信すると、図16の下段に示すように、ボタン押下主演出の演出画像が表示される。また、ランプ制御部164では、ボタン演出m指定コマンドを受信すると、ボタン押下主演出の点滅パターンでランプ153が点滅する。また、音声制御部162では、ボタン演出m指定コマンドおよびボタン演出音声2指定コマンドを受信すると、シーケンサ160により、ボタン押下主演出の効果音がスピーカ155から出力され、その後続けて、図16の下段に示すように、第2演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力する演出音声がスピーカ155から出力される。この演出音声は、ボタン押下音声演出2の内容を示す第2音声データをシーケンサ160の記憶部にあらかじめ記憶しておき、シーケンサ160の記憶部から第2音声データを読み出し、読み出した第2音声データに基づいて出力される。第2演出期間は、第1演出期間よりも長く設定されているので、後半の期間中に操作ボタン128が押下された場合とほぼ同一のタイミングでボタン押下演出が終了する。」
(オ)上記(イ)によれば、大当たりまたは小当たり時に変動表示する演出図柄の変動パターンを決定する当たり時変動パターン決定処理を実行し、また、当たり時変動パターン決定処理において、大当たり抽選における当たり確定時のボタン押下演出の実行を決定し、また、上記(エ)によれば、演出制御装置150によりボタン押下演出を実行されていることは明らかである。
したがって、刊行物2には、演出制御装置150は、大当たり時の変動パターンにおいて、ボタン押下演出の実行を可能とすることが記載されているといえる。
上記(ア)~(エ)に記載された事項、(オ)の認定事項を総合すると、刊行物2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「始動入賞口111に遊技球が入賞した入賞タイミングで、取得した乱数値と大当たり値とが一致しているときに特賞状態を生起させ(【0074】)、
ボタン押下有効期間に遊技者が操作ボタン128を押下すると、ボタン押下主演出とボタン押下音声演出1又はボタン押下音声演出2を行うことが可能な演出制御装置150を備え(【0105】、【0088】)、
演出制御装置150は、大当たり時の変動パターンにおいて、ボタン押下演出の実行を可能であり(オ)、
ボタン押下有効期間の後半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第1演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出1を行い、ボタン押下有効期間の前半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第2演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出2を行う、遊技機(【0088】、【0105】-【0108】)。」
2.対比、判断
本願発明と引用発明2を対比する。
(a)引用発明2の「始動入賞口111に遊技球が入賞した入賞タイミング」は、本願発明の「始動条件の成立」に相当する。そして、引用発明2の「取得した乱数値と大当たり値とが一致しているときに特賞状態を生起させ」ることは、本願発明の「特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当するから、引用発明2も本願発明の「特別遊技判定手段」を有していることは明らかである。
(b)引用発明2の「ボタン押下有効期間」、「操作ボタン128」は、それぞれ、本願発明の「所定の操作可能期間」、「操作手段」に相当する。そして、引用発明2の「ボタン押下主演出とボタン押下音声演出1又はボタン押下音声演出2」は、本願発明の「所定の演出」に相当し、引用発明2の「演出制御装置150」は、本願発明の「演出制御手段」に相当する。
したがって、引用発明2の「ボタン押下有効期間に遊技者が操作ボタン128を押下すると、ボタン押下主演出とボタン押下音声演出1又はボタン押下音声演出2を行うことが可能な演出制御装置150」は、本願発明の「所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段」に相当する。
(c)引用発明2は、「大当たり時の変動パターンにおいて、ボタン押下演出の実行を可能」であるから、「ボタン押下演出」は特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する演出である。また、引用発明2の「大当たり時」は上記(a)の「特別遊技判定手段」の判定結果に基づいていることは明らかである。
したがって、引用発明2の「演出制御装置150は、大当たり時の変動パターンには、ボタン押下演出の実行を可能」なことは、本願発明の「演出制御手段は、特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能」なことに相当する。
(d)引用発明2の「ボタン押下有効期間の後半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第1演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出1を行」うことと、「ボタン押下有効期間の前半の期間中に操作ボタン128が押下されたときは、ボタン押下主演出を行い、その後続けて、第2演出期間内の所定出力時間の間にセリフ等の音声を出力するボタン押下音声演出2を行う」ことは、
操作手段(操作ボタン128)に対する操作が行われた時期(ボタン押下有効期間の後半の期間中か、前半の期間中か)に応じて演出態様が異なる(ボタン押下主演出+ボタン押下音声演出1の場合とボタン押下主演出+ボタン押下音声演出2の場合であり、文言上、少なくとも、ボタン押下音声演出1とボタン押下音声演出2を含むか否かの相違がある)といえる。
そうすると、上記(a)~(d)の対比から、両者は、
「始動条件の成立により、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
所定の操作可能期間において、遊技者によって操作可能な操作手段が操作されることに応じて所定の演出を実行することが可能な演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、前記演出として、前記特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する信頼度演出を実行することが可能であり、前記操作手段に対する操作が行われた時期に応じて異なる演出態様の前記信頼度演出を実行することが可能である、遊技機。」
である点で一致しており、相違点はない。
したがって、本願発明は引用発明2と同一であり、刊行物2に記載された発明であるということができる。
仮に、引用発明2のボタン押下音声演出1とボタン押下音声演出2が同じ音声演出であったとして、両者に相違点が存在したとしても、音声演出1と音声演出2の音色を変える等して演出態様を異なるようにすることは当業が容易になし得ることであり、本願発明は引用発明から当業者が容易に発明できたものである。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-007445