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特許拒絶査定不服審判

2016-007314

ユーザに応じたディスプレイの減光

審判番号
2016-007314
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-547176外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年05月19日
審決日
2017年02月06日
公報発行日
2017年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .561-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第159条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-547176「ユーザに応じたディスプレイの減光」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日国際公開、WO2013/100937、平成27年 4月 2日国内公表、特表2015-510139〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 出願の経緯 本願は,平成23年12月28日を国際出願日とする出願であって,平成26年6月13日付けで国際出願翻訳文提出書により,明細書,特許請求の範囲及び図面の翻訳文(以下,「翻訳文」という。)が提出され,平成27年4月20日付けで拒絶理由が通知され,平成27年7月21日に手続補正(以下,「補正1」という。)がなされたが,平成28年1月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成28年5月19日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は,特許請求の記載を次のとおり補正するものである。 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと, 前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップと を含む方法。」 2 新規事項の追加について (1)出願当初明細書等に記載された技術的事項 平成26年6月13日付けの国際出願翻訳文提出書によって提出された,国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下,翻訳文等という。)(以下,「出願当初明細書等」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は,一般に,ユーザに応じたディスプレイの減光に関する。 【背景技術】 【0002】 現在の電力管理の実施は,コンテキストアウェアではない。携帯機器は,例えば,一般的に,タッチされることと閉じられることにだけ応答する電力モードを有する。ユーザは,そのユーザが相対しているアプリケーション,作業,またはコンテンツとの相互作用の完全な喪失に気がつく。仮にそうでないとしても,今日の電力管理技術は,有意義な方法でコンテキストアウェアでない。それは,ユーザが何をしているのかまたはユーザがどのように作業,作成,消費しているのか等に応答しない。電力管理は,一般的に,例えば,ディスプレイスクリーンの減光に対応する電力管理の状態で,「全か無か」の仕組みになっている。」 イ「【0015】 一部の実施形態では,検出器208は,ユーザの視線を検出する。検出される視線に応じて,コントローラ212は, 例えば,ユーザの視線がある持続期間にわたってディスプレイ206の特定の領域に向けられたか否かを判定する。一部の実施形態では,コントローラ212は,ユーザの視線に対応するディスプレイ206の特定の領域(例えば,一部の実施形態に係る図1の領域112)を計算する。一部の実施形態では,コントローラ212は,(例えば,電力の節約および/またはバッテリーの電力の節約のために)ユーザの視線の領域内にないディスプレイ206の領域を減光する,暗くする,またはそうでなければ変更する。一部の実施形態では,ディスプレイ206の一部のみが点灯され続ける。一部の実施形態では,コントローラ212およびディスプレイ206は,ユーザの視線の領域内にないディスプレイ206の領域を減光する,暗くする,またはそうでなければ変更するために視覚的目印を使用する。 【0016】 一部の実施形態では,(例えば,ユーザが自分の目をディスプレイ206の異なる部分に向けて動かすことによって)ユーザの視線が変化すると,システム200は,例えば全画面表示/点灯モードに復帰する。一部の実施形態では,これが起きた場合,前のユーザの視線の領域(すなわち,ユーザの注意が前に集中していた領域)の輪郭が,コントローラ212およびディスプレイ206を使用して提示される。一部の実施形態では,この輪郭の領域は,検出器208およびコントローラ212による視線検出が,直前の主な焦点の領域の外側へのユーザの目の動きを記録したときにゆっくりと徐々に消える。 【0017】 一部の実施形態では,それがディスプレイの小さい部分だけでも,ディスプレイの一部を減光すること(例えば,部分的に減光すること,全体的に減光すること,および/または暗くすること)によって電力が節約される。これは,バッテリーの電力を使用する携帯機器において特に有用である。ディスプレイの一部を減光することによって,ユーザの目は,周辺の視覚的ノイズによって気を散らされる場合よりも手元の作業に集中することがより容易になる。さらに,一部の実施形態によれば,電力管理は,ディスプレイスクリーンの一部または全部の領域にわたる視線検出によって,スクリーンを全体的に減光するのではなく,わずかだけ減光することができるので,コンテキストアウェアである。一部の実施形態によれば,ユーザは,好みに合わせて,このツールの完全な使用または薄暗い使用(例えば,完全な減光またはわずかな減光,ユーザが調整可能な量の減光など)を選択する。」 ウ 以上より,出願当初明細書等には,次の事項aが記載されていたものと認められる。 (出願当初明細書等の記載事項a) 「ユーザに応じたディスプレイの減光により,電力管理の実施を,コンテキストアウェアなものとするため(【0001】,【0002】及び【0017】),ユーザの視線の領域内にないディスプレイ206の領域を減光する,暗くする,またはそうでなければ,変更し,ディスプレイ206の一部のみが点灯され続け(【0015】), (例えば,ユーザが自分の目をディスプレイ206の異なる部分に向けて動かすことによって)ユーザの視線が変化すると,システム200は,例えば全画面表示/点灯モードに復帰し,これが起きた場合,前のユーザの視線の領域(すなわち,ユーザの注意が前に集中していた領域)の輪郭が,コントローラ212およびディスプレイ206を使用して提示され,この輪郭の領域は,検出器208およびコントローラ212による視線検出が,直前の主な焦点の領域の外側へのユーザの目の動きを記録したときにゆっくりと徐々に消える。」 エ また,出願当初明細書等の特許請求の範囲には,次の技術的事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記検出ステップに応じて前記ユーザの焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域内にないディスプレイの部分を減光する減光ステップと を含む方法。 【請求項2】 前記検出ステップが,前記ユーザの前記体の頭,顔,片目,両目,片耳,両耳,口,鼻,一方の肩,または両肩のうちの少なくとも1つを検出する,請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記検出ステップが,前記ユーザの位置,向き,または動きのうちの少なくとも1つを検出する,請求項1又は2に記載の方法。 【請求項4】 前記検出ステップが,前記ユーザの像を検出する,請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 前記ユーザの前記焦点の領域を特定する前記ステップが,前記ユーザの視線に対応する,請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 【請求項6】 前記減光ステップが,前記焦点の領域内にない前記ディスプレイの前記部分を部分的に減光するステップである,請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。 【請求項7】 前記減光ステップが,前記焦点の領域内にない前記ディスプレイの前記部分を全体的に減光するステップである,請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。 【請求項8】 前記ユーザの片目または両目を追跡することによって前記ユーザの前記体を検出するステップをさらに含む,請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。 【請求項9】 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記ディスプレイの減光された部分の減光を解除するステップとをさらに含む,請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項10】 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップとをさらに含む,請求項9に記載の方法。」 オ すると,出願当初明細書等には,請求項1を引用する請求項6(又は請求項7)をさらに引用する請求項9として,次の事項bが記載されていたものと認められる。 (出願当初明細書等の記載事項b) 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記検出ステップに応じて前記ユーザの焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域内にないディスプレイの部分を減光する減光ステップと を含み, 前記減光ステップが,前記焦点の領域内にない前記ディスプレイの前記部分を部分的に減光するステップである(請求項6)か,または,前記焦点の領域内にない前記ディスプレイの前記部分を全体的に減光するステップであり(請求項7), 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記ディスプレイの減光された部分の減光を解除するステップとをさらに含み, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップとをさらに含む, 方法。」 (2)判断 本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載について,便宜のため,各ステップにステップ番号を次のとおり付与する。 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップ(ステップ1)と, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップ(ステップ2)と, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップ(ステップ3)と, 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップ(ステップ4)と, 前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップ(ステップ5)と, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップ(ステップ6)と, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップ(ステップ7)と, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップ(ステップ8)と, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップ(ステップ9)と を含む方法。」 ア (ステップ5)を含むようにする補正について (ステップ5)は,次のとおりのものである。 「前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップ」 (ステップ5)における「前記部分」とは,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップ(ステップ3)」における,「ディスプレイの部分」のことであるから,(ステップ5)は,言い替えると,ユーザの焦点の領域の外側で暗くされたディスプレイの部分において,その少なくとも一部(一部又は全部)を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップを意味している。 しかし,出願当初明細書等には,上記「(出願当初明細書等の記載事項a)」のとおり,「ユーザの視線が変化すると,システム200は,例えば全画面表示/点灯モードに復帰」すること(つまり,ディスプレイの全画面を点灯すること)が記載されているに過ぎず,例えば「前のユーザの視線の領域」(すなわち,ユーザの注意が前に集中していた領域)を暗くし,新たな「ユーザの視線の領域」(直前の主な焦点の領域の外側へのユーザの目の動きを記録したときの,新たなユーザの視線の領域)のみを点灯させるようなこと(つまり,暗くされたディスプレイの一部のみを点灯すること)は,何ら記載されていない。 また,前記「(出願当初明細書等の記載事項b)」は,「(出願当初明細書等の記載事項a)」に記載された技術的事項を抽象化して記載したものであるから,「(出願当初明細書等の記載事項a)」以外の具体的な技術的事項を開示するものではない。 よって,本件補正により,特許請求の範囲の請求項1を,上記(ステップ5)を含むように補正することは,出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。 イ (ステップ6)及び(ステップ8)を共に含むようにする補正について (ステップ6)は,次のとおりのものである。 「前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップ」 また,(ステップ8)は,次のとおりのものである。 「前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップ」 ここで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,方法の発明であるから,請求項1に記載された各「ステップ」が,(ステップ1)から(ステップ9)の順に,経時的に実行されるステップであると解釈すると,(ステップ8)は(ステップ6)の後に記載されているから,両ステップにおける「焦点の領域」が同じ領域であるとすると,同じ輪郭を2回表示することになって,不合理である。 よって,(ステップ8)における「前記焦点の領域」とは,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」と理解すべきことになる(なお,請求項1に記載された「ステップ」が経時的に記載されたものではないとすれば,(ステップ6)おける「前記焦点の領域」についても,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」と解釈する余地がある。) しかし,「(出願当初明細書等の記載事項a)」には,「前のユーザの視線の領域(すなわち,ユーザの注意が前に集中していた領域)の輪郭が,コントローラ212およびディスプレイ206を使用して提示され」ることが記載されているに過ぎず,「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」に輪郭を表示すべく,第3の制御信号を生成することは何ら記載されていない。 また,「(出願当初明細書等の記載事項b)」には,(ステップ6)に相当する記載が認められるだけであって,(ステップ6)の後に(ステップ8)を実行することは何ら記載されていない。 よって,本件補正により,特許請求の範囲の請求項1を,上記(ステップ6)及び(ステップ8)を共に含むように補正することは,出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。 ウ (ステップ7)~(ステップ9)を共に含むようにする補正について (ステップ7)は,次のとおりのものである。 「前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップ」 また,(ステップ8)は,次のとおりのものである。 「前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップ」 さらに,(ステップ9)は,次のとおりのものである。 「前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップ」 ここで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,方法の発明であるから,請求項1に記載された各「ステップ」が,(ステップ1)から(ステップ9)の順に,経時的に実行されるステップであると解釈すると,(ステップ9)は(ステップ7)の後に記載されているから,両ステップにおける「輪郭」が同じ輪郭であるとすると,同じ輪郭を2回,徐々に消すことになって,不合理である。 よって,(ステップ9)における「前記輪郭」とは,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」に表示された輪郭と理解すべきことになる(なお,請求項1に記載された「ステップ」が経時的に記載されたものではないとすれば,(ステップ7)おける「前記焦点の領域」の輪郭についても,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」の輪郭と解釈する余地がある。) さらに,(ステップ9)は,上記「(ステップ8)」の後に実行されるステップであるから,この点からも,上記「イ」で述べたのと同様に,(ステップ9)における「前記輪郭」とは,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」の輪郭と理解すべきことになる。 しかし,「(出願当初明細書等の記載事項a)」には,「(例えば,ユーザが自分の目をディスプレイ206の異なる部分に向けて動かすことによって)ユーザの視線が変化すると,システム200は,例えば全画面表示/点灯モードに復帰し,これが起きた場合,前のユーザの視線の領域(すなわち,ユーザの注意が前に集中していた領域)の輪郭が,コントローラ212およびディスプレイ206を使用して提示され,この輪郭の領域は,検出器208およびコントローラ212による視線検出が,直前の主な焦点の領域の外側へのユーザの目の動きを記録したときにゆっくりと徐々に消える。」と記載されているに過ぎず,(ステップ4)において「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定する」ことで得られる,「変化」後の「ユーザの焦点の領域」に表示された「輪郭」を「徐々に消すべく,第4の制御信号を生成する」ことは何ら記載されていない。 また,「(出願当初明細書等の記載事項b)」には,(ステップ7)に相当する記載が認められるだけであって,(ステップ7)の後に(ステップ8),(ステップ9)を順に実行することは何ら記載されていない。 よって,本件補正により,特許請求の範囲の請求項1を,上記(ステップ7)~(ステップ9)を共に含むように補正することは,出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。 3 まとめ 以上のとおり,平成28年5月19日付けの本件補正は,出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであるから,特許法第17条の2第3項の規定(同法第184条の12第2項参照)に適合しない。 よって,本件補正は,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明及び本願発明の進歩性について 1 本願発明 上記「第2」のとおり,本件補正は却下されたので,本願の特許請求の範囲の請求項1乃至16に係る発明は,平成27年7月21日の補正1により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,請求項1に係る発明(以下,「本願発明1」という。)は,次のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップと を含む方法。」 2 引用例・引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された,本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2009-237210号公報(以下,「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 コンテンツの画像を表示する液晶表示パネルと,該液晶表示パネルの背面側に配列されて前記液晶表示パネルの表示領域の一部ずつを照明する複数の光源と,を備えた液晶表示装置であって, 前記液晶表示パネルにより画像が並列表示される複数のコンテンツの中から一部の注目コンテンツを選択する注目コンテンツ選択手段と, 前記注目コンテンツの画像の表示領域に対応する前記光源の輝度よりもそれ以外の前記光源の輝度を低下させる領域別光源輝度制御手段と, を具備してなることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項2】 前記液晶表示パネルの前方に存在する人の位置又は顔の向きを検出する観者検出手段を具備し, 前記注目コンテンツ選択手段が,前記液晶表示パネルにより画像が並列表示される複数のコンテンツのうち,画像の表示領域が前記観者検出手段の検出結果に対して予め定められた位置関係を満たすコンテンツを前記注目コンテンツとして選択する観者位置対応コンテンツ選択手段を含んでなる請求項1に記載の液晶表示装置。」 「【請求項9】 前記領域別光源輝度制御手段が,前記注目コンテンツ選択手段による前記注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツの画像の表示領域に対応する前記光源の輝度を徐々に低下させてなる請求項1~8のいずれかに記載の液晶表示装置。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は,複数のコンテンツの画像を表示する機能及び複数のバックライト光源を備えた液晶表示装置に関し,特に,バックライト光源の省電力化に好適な液晶表示装置に関するものである。」 「【0003】・・・従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,複数のコンテンツの画像が液晶表示パネルに並列表示されたマルチ画像表示状態であるときに,ユーザが注目するコンテンツの画像について高い画質を確保できるとともに,ユーザの注目度が低く高画質での表示が要求されないコンテンツの画像の表示領域において,バックライト用の光源が無駄に電力を消費することを防止できる液晶表示装置を提供することにある。」 「【0010】 また,前記注目コンテンツ選択手段が,予め定められた優先順位規則に従って,前記液晶表示パネルにより画像が並列表示さるコンテンツの数に占める前記注目コンテンツの数を制限することが考えられる。 これにより,複数の基準に従って前記注目コンテンツの選択が行われた結果,前記注目コンテンツの数が多くなり過ぎて省電力効果が小さくなることを防止できる。 また,前記領域別光源輝度制御手段が,前記注目コンテンツ選択手段による前記注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツの画像の表示領域に対応する前記光源の輝度を徐々に低下させることが考えられる。 これにより,ユーザに視覚上の違和感を感じさせずに前記光源の点灯状態がスムーズに低輝度状態へ移行される。」 「【0013】 まず,図1に示すブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係る液晶表示装置の一例であるテレビジョン受像機Xの構成について説明する。 図1に示すように,テレビジョン受像機Xは,複数のチューナ1,外部信号入力部2,復調・分離回路3,映像復号回路11,映像選択回路12,映像処理回路13,液晶ドライバ14,液晶表示パネル15,調光回路16,バックライト17,音声復号回路21,音声選択回路22,音声処理回路23,アンプ24,スピーカ25,制御回路4,計時回路5,リモコン受光部6,リモコン7,カメラ31及び顔検出回路32等を備えている。 前記液晶表示パネル15には,1つ又は複数のコンテンツの画像が表示される。そして,前記テレビジョン受像機Xの特徴は,前記液晶表示パネル15により画像が並列表示されたマルチ画像表示状態であるときに,ユーザ(観者)の注目対象であると考えられる一部のコンテンツ(以下,注目コンテンツという)を選択し,その注目コンテンツの画像の表示領域以外の領域において,前記バックライト17を構成するLED光源17aの輝度を低く調節する領域別光源輝度制御を実行する点である。前記領域別光源輝度制御は,前記制御回路4により実行される。 なお,前記マルチ画像表示状態とは,複数のコンテンツの画像が前記液晶表示パネル15に並列表示された状態のことである。」 「【0019】 前記リモコン受光部6は,当該テレビジョン受像機Xの操作用のリモコン7(リモート操作器)から,所定の信号伝送プロトコル(いわゆるリモコンプロトコル)に従って,赤外線による無線信号受信を行う信号伝送インターフェースである。そして,前記リモコン受光部6は,赤外線信号から前記リモコン7に対する操作入力情報を表す信号を抽出し,その信号を前記制御回路4に伝送する。 前記カメラ31は,前記液晶表示パネル15の前方を撮像するものであり,当該テレビジョン受像機Xの前面側に配置されている。このカメラ31は,前記液晶表示パネル15に表示されたコンテンツの画像を見るユーザ(観者)の顔を撮像するために設けられたものである。 前記顔検出回路32は,前記カメラ31により得られた画像データに基づいて,前記液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する回路である(前記観者検出手段の一例)。この顔検出回路32は,例えば,撮像画像から人の両目及び口の像を抽出し,その抽出位置を顔の位置として検出する。また,前記顔検出回路32は,例えば,撮像画像から抽出された前記人の両目及び口の像の相互の位置関係から顔の向きを検出する。また,前記人の両目及び口の像が複数組存在する場合には,その各々について顔の位置及び顔の向きが検出される。ここで,画像から人の顔の像の位置を検出(特定)し,さらにその顔の向きを検出する画像処理アルゴリズムの例は,前記特許文献2及び3等に示され,各種のアルゴリズムが既に周知であるので,ここではその内容の説明を省略する。なお,前記カメラ31は,前記顔検出回路32における顔の位置及び向きの検出処理のアルゴリズムに応じて,1つ又は複数設けられる。 前記計時回路5は,クロック発振器を備え,現在日時の計時及び前記制御回路4からの計時開始指令に応じてその時点からの経過時間の計時を行う回路である。計時結果は,前記映像処理回路13及び前記制御回路4へ伝送される。 【0020】 前記制御回路4は,演算手段であるMPU4a,記憶手段であるROM4b(EPROM)及びEEPROM4cを備え,前記MPU4aが,制御プログラムを実行することによって当該テレビジョン受像機X全体を制御する。 前記ROM4bには,前記MPU4aによって実行される制御プログラムが予め格納されている。また,前記EEPROM4cには,前記MPU4aが実行する処理において読み書き(参照又は書き込み)される各種データが記憶される。 なお,以降の説明において,前記制御回路4が実行する処理は,前記MPU4aが前記ROM4bに記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。 例えば,前記制御回路4は,前記リモコン7及び前記リモコン受光部6を通じてチャンネル選局や音量調節の情報を取得し,その取得情報の内容に応じて前記チューナ1に対する選局指示や前記アンプ24に対する音量調節指示を出力する。」 「【0025】 次に,図3に示されるフローチャートを参照しつつ,前記制御回路4による前記領域別光源輝度制御の処理手順の一例について説明する。なお,図3に示される処理手順は,前記液晶表示パネル15に複数のコンテンツの画像が並列表示された前記マルチ画像表示状態において実行される。また,以下に示されるS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。 また,以下の説明において,前記チューナ1を通じて得られる放送番組のコンテンツ,及び前記外部信号入力部を通じて得られる前記外部入力コンテンツを精細画コンテンツと称し,それ以外のコンテンツ(前記カレンダーのコンテンツ等)のことを非精細画コンテンツと称する。なお,前記精細画コンテンツは,その画像が注目される場合,その画像を高画質で表示させたいコンテンツのことである。一方,前記非精細画コンテンツは,その画像が必ずしも高画質で表示されなくとも視認可能な程度に表示されれば十分なコンテンツである。 【0026】 まず,前記制御回路4は,前記映像表示パネル15に画像が表示されている複数の前記精細画コンテンツそれぞれについて,その画像の表示領域に対応する注目範囲を設定し,設定結果を前記EEPROM4cに記憶させる(S1)。 前記注目範囲は,前記液晶表示パネル15の映像表示面内,又はその映像表示面を含む平面内における前記精細画コンテンツの画像の表示領域に対応する範囲である。例えば,前記制御回路4は,表示中の前記精細画コンテンツの画像表示領域又はその領域の輪郭を外側へ所定幅だけ拡張した範囲を,その精細画コンテンツの前記注目範囲として設定する。なお,隣り合う前記精細画コンテンツの間で上記拡張した範囲が重ならないよう,輪郭の拡張の上限は,隣りに表示される前記精細画コンテンツの画像との間の中間位置までとする。 図4は,前記液晶表示パネル15に表示された複数の前記精細画コンテンツg1,g2の画像とそれに対応する前記注目範囲q1,q2の一例を表す模式図である。 当該テレビジョン受像機Xにおいては,前記顔検出回路32によって検出された顔の向きが,前記注目範囲内q1,q2に向かっている場合に,ユーザが当該注目範囲q1,q2に対応する前記精細画コンテンツg1,g2の画像に注目していると見なされる。 【0027】 次に,前記制御回路4は,前記顔検出回路32から,前記液晶表示パネル15の前方に存在する人の顔の向きの検出結果を取得する(S2)。 本実施形態では,前記顔検出回路32により,人の顔の左右方向及び上下方向の位置,及び人の顔の左右方向及び上下方向の向き(例えば,前記液晶表示パネル15の前面に垂直な方向を基準とする角度)が検出される。 さらに,前記制御回路4は,前記顔検出回路32から取得した人の顔の向きが,ステップS1で設定した前記注目範囲内に向かう向きであるか否かの判別処理(以下,注目方向判別処理という)を実行する(S3)。 【0028】 以下,図4及び図5を参照しつつ,前記制御回路4による前記注目方向判別処理について説明する。 図5は,前記液晶表示パネル15に対する人の顔P0の向きを矢印Rで表した図(テレビジョン受像機Xを上から見た状態の図)である。 なお,図5~図8において,前記精細画コンテンツがg1及びg2,時計のコンテンツがg3,カレンダーのコンテンツがg4と表記されている。 前記マルチ画像表示状態において,前記液晶表示パネル15の前記精細画コンテンツg1,g2の画像の表示領域の位置及び寸法,及び前記液晶表示パネル15と前記カメラ31との位置関係が既知であるので,前記カメラ31に対する各コンテンツg1,g2の画像の位置は既知である。また,前記カメラ31の画角(左右方向及び上下方向それぞれの画角)も既知である。 従って,図5に示されるように,前記制御回路4は,人の顔P0の左右方向(画像データにおけるX軸方向)の位置Xp及び前記液晶表示パネル15からの距離Lpと,人の顔P0の左右方向の向きθpとに基づく三角関数計算により,人の顔P0が,左右方向において前記注目範囲q1,q2のいずれの範囲内を向いているのか,或いはそれらの範囲外を向いているのかを判別する。 図5に示す例は,人の顔P0が,マルチ画像表示状態である前記液晶表示パネル15に向かって左側の前記注目範囲q1(図4における精細画コンテンツg1,g2の画像に対応する範囲)内を向いている状態を表している。 また,前記制御回路4は,以上に示した左右方向の場合と同様に,人の顔P0の上下方向(画像データにおけるY軸方向)においても,人の顔P0が,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内を向いているのか,或いはそれらの範囲外を向いているのかを判別する。 なお,前記距離Lpは,例えば,前記液晶表示パネル15のサイズに応じて予め標準的な値が設定される。或いは,前記顔検出回路32が,人の顔の大きさ(面積,直径等)を検出し,その大きさを予め定められた換算式で距離に換算することにより,前記距離Lpを自動的に算出すること等も考えられる。 また,人の顔P0が,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内を注目しているのか,或いはそれらの範囲外を注目しているのかを,人の顔P0の位置のみに基づいて判別することも考えられる。この場合,人の顔P0が,前記液晶表示パネル15の前面に対して垂直な方向を向いていると仮定して上記判別を行うことが考えられる。 【0029】 さらに,前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた注目時間の数値をカウントアップ(加算)する(S3)。これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かう状態の継続時間が,前記注目時間として記録される。 同時に,前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた非注目時間の数値を0にリセット(クリア)する(S3)。 なお,前記注目時間及び前記非注目時間は,前記液晶表示パネル15に画像が表示されている前記精細画コンテンツそれぞれに対応付けられて記憶される情報である。 そして,前記制御回路4は,前記注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t1という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツを前記注目コンテンツとして選択する(S4)。 【0030】 また,前記制御回路4は,ステップS1で設定した前記注目範囲q1,q2のうち,前記顔検出回路32から取得した全ての人の顔の向きRから外れた位置にあるものが存在する場合,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記非注目時間の数値をカウントアップ(加算)する(S5)。これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録される。 同時に,前記制御回路4は,全ての前記人の顔の向Rきから外れた位置にある前記注目範囲について,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記注目時間の数値を0にリセット(クリア)する(S5)。 そして,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツについて前記注目コンテンツとしての選択を解除する(S6)。なお,ステップS6の処理開始時に前記注目コンテンツとして選択されていない前記精細画コンテンツは,このステップS6の処理の対象外であることはいうまでもない。 【0031】 次に,前記制御回路4は,前記動作指示対象コンテンツ選択処理によって新たに選択された又は既に選択されている1つの前記動作指示対象コンテンツを前記注目コンテンツとして選択する(S7:操作連動コンテンツ選択手段の一例)。 一方,前記制御回路4は,前記動作指示対象コンテンツ選択処理により新たなコンテンツが前記動作指示対象コンテンツとして選択されることにより,動作指示対象から外れたコンテンツ(前回まで前記動作指示対象コンテンツであったもの)について,前記注目コンテンツとしての選択を解除する(S8)。なお,ステップS8の処理開始時に前記動作指示対象コンテンツ及び前記注目コンテンツとして選択されていないコンテンツは,このステップS8の処理の対象外であることはいうまでもない。 なお,前記動作指示対象コンテンツ選択処理は,前記リモコン7に対するカーソル移動キーの操作に応じて,図3に示される処理と並行して随時行われる。 【0032】 次に,前記制御回路4は,前記液晶表示パネル15により画像が並列表示される複数のコンテンツの中に,前記予約コンテンツ表示制御によって画像の表示が新たに開始されたコンテンツが存在するか否かを判別する(S9)。 さらに,前記制御回路4は,前記予約コンテンツ表示制御によって画像の表示が新たに開始されたコンテンツが存在する場合,そのコンテンツを前記注目コンテンツとして選択する(S10:予約コンテンツ選択手段の一例)。 【0033】 そして,前記制御回路4は,前記調光回路16を制御することにより,前記注目コンテンツとして選択されたコンテンツの画像の表示領域を照明する前記LED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節する(S11)。このステップS11における輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われる。 さらに,前記制御回路4は,前記調光回路16を制御することにより,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節する(S12)。このステップS12における輝度調節は,前記注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツ(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)の画像の表示領域を照明する前記LED光源17aについては,その輝度を徐々に低下させる。 なお,ステップS11及びS12の処理を実行する前記制御回路4が,前記注目コンテンツの画像の表示領域に対応する光源の輝度よりもそれ以外の光源の輝度を低下させる領域別光源輝度制御手段の一例である。 以後,前記制御回路4は,以上に示したステップS1~S12の処理を繰り返す。 【0034】 以上に示したように,前記制御回路4は,前記液晶表示パネル15により画像が並列表示されている複数の前記精細画コンテンツのうち,画像の表示領域が前記顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが前記注目範囲内を向いているという関係)を満たす前記精細画コンテンツを前記注目コンテンツとして選択する(S3,S4:観者位置対応コンテンツ選択手段の一例)。 図6は,前記マルチ画像表示状態において,人の顔P0の向きに基づいて1つの前記精細画コンテンツg1が前記注目コンテンツgxとして選択されたときの前記液晶表示パネル15の表示状態を表す模式図である。 これにより,ユーザにより現に注目されているコンテンツの画像表示領域は,前記LED光源17aの輝度が高い輝度(前記標準輝度)に調節されて高画質の画像が表示される。一方,ユーザにより現に注目されていないコンテンツの画像表示領域においては,前記LED光源17aの輝度が低い輝度に調節されて省電力化が図られる。 また,前記制御回路4は,人の顔の向きが前記注目範囲内を向いているという関係が前記設定時間t1(例えば,数秒~十数秒)以上継続する場合に,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツを前記注目コンテンツとして選択する。これにより,前記LED光源17aの輝度変更が必要以上に頻繁に行われて画面が見辛くなることを防止できる。」 よって,引用例1には,段落【0019】,【0025】,【0033】及び【0034】より,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「液晶表示パネル15に複数のコンテンツの画像が並列表示されたマルチ画像表示状態において実行される,制御回路4による処理手順(【0025】)であって, 顔検出回路は,カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する回路であり(【0019】), 制御回路4は,前記液晶表示パネル15により画像が並列表示されている複数の精細画コンテンツのうち,画像の表示領域が顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが注目範囲内を向いているという関係)を満たす前記精細画コンテンツを注目コンテンツとして選択し, 注目コンテンツとして選択されたコンテンツの画像の表示領域を照明するLED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ,さらに,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節する(【0033】及び【0034】), 制御回路4による処理手順。」 3 対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 引用発明1における「液晶表示パネル15」が,本願発明1における「ディスプレイ」に相当する。 次に,引用発明1における「顔検出回路」が「カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する」手順が,本願発明1における「ユーザの体を検出する検出ステップ」に相当する。 次に,引用発明1における「制御回路4」が,「顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが注目範囲内を向いているという関係)を満たす」,「画像の表示領域」の「精細画コンテンツ」を「選択」する手順が,本願発明1における「前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップ」に相当する。 次に,引用発明1の「液晶表示パネル15」において,「制御回路4」が,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節」する手順と,本願発明1における「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップ」とは,「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップ」の点で共通する。 よって,本願発明1と引用発明1との一致点,相違点は次のとおりである。 (一致点) 「ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップと を含む方法。」 (相違点) 本願発明1では,前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,「第1の制御信号を生成する」しているのに対し,引用発明1では,制御回路4が,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節」しているものの,制御回路4が該調整のための制御信号を生成することは明記されていない点。 4 判断 上記相違点について検討すると,引用例1には,段落【0020】に,制御回路4を「演算手段であるMPU4a,記憶手段であるROM4b(EPROM)及びEEPROM4cを備え」て構成することが記載されている。 そして,MPUが,制御プログラムを実行することによって制御を行うに際し,MPUが制御のための信号を生成することは,周知の事項である。 よって,引用発明1において,「制御回路4」が,注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りのLED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節するため,制御信号を生成するようにし,上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。 また,本願発明1の奏する作用効果は,引用発明1及び周知の事項の奏する作用効果から当業者が予測し得る範囲のものにすぎず,格別顕著なものではない。 よって,本願発明1は,引用発明1及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 小括 以上のとおり,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。 第4 本件補正発明の進歩性について 仮に,本件補正が,出願当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされた補正であって,いわゆる新規事項の追加に当たらない場合について,以下,検討する。 1 本件補正の目的 本件補正は,補正1により補正された特許請求の範囲の,請求項1を引用する請求項7をさらに引用する請求項8を新たな請求項1とし,補正1により補正された特許請求の範囲の,請求項9を引用する請求項15をさらに引用する請求項16を新たな請求項7とするものであるから,特許法第17条の2第5項第1号に掲げる事項(請求項の削除)を目的とするものである。 2 本件補正発明 すると,本願の請求項1乃至12に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,請求項1に係る発明は,次のとおりのものである(以下,「本件補正発明」という。)。 「【請求項1】 ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと, 前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップと を含む方法。」 2 引用例 (引用例1) ア 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2009-237210号公報(以下,「引用例1」という。)の記載事項は,前記「第3」「2 引用例・引用発明」に記載したとおりである。 イ また,引用例1の段落【0033】より,記制御回路4が,「注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し,前記注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツ(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)の画像の表示領域を照明する前記LED光源17aについては,その輝度を徐々に低下させる。」との技術的事項を読み取ることができる。 ウ さらに,引用例1の段落【0026】,【0029】及び【0030】より,次の技術的事項を読み取ることができる。 「液晶表示パネル15に表示された複数の前記精細画コンテンツg1,g2の画像とそれに対応する前記注目範囲(液晶表示パネル15の映像表示面内,又はその映像表示面を含む平面内における前記精細画コンテンツの画像の表示領域に対応する範囲)q1,q2の例では,前記顔検出回路32によって検出された顔の向きが,前記注目範囲内q1,q2に向かっている場合に,ユーザが当該注目範囲q1,q2に対応する前記精細画コンテンツg1,g2の画像に注目していると見なされ(【0026】), 前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた注目時間の数値をカウントアップ(加算)し,これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かう状態の継続時間が,前記注目時間として記録され,同時に,前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた非注目時間の数値を0にリセット(クリア)し,そして,前記制御回路4は,前記注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t1という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツを前記注目コンテンツとして選択し(【0029】),また,前記制御回路4は,前記注目範囲q1,q2のうち,前記顔検出回路32から取得した全ての人の顔の向きRから外れた位置にあるものが存在する場合,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記非注目時間の数値をカウントアップ(加算)し,これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録され,同時に,前記制御回路4は,全ての前記人の顔の向きRから外れた位置にある前記注目範囲について,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記注目時間の数値を0にリセット(クリア)し,そして,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツについて前記注目コンテンツとしての選択を解除する(【0030】)。」 エ よって,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明1-1」という。)が記載されているものと認められる。 「液晶表示パネル15に複数のコンテンツの画像が並列表示された前記マルチ画像表示状態において実行される,制御回路4による処理手順(【0025】)であって, 顔検出回路は,カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する回路であり(【0019】), 制御回路4は,前記液晶表示パネル15により画像が並列表示されている複数の精細画コンテンツのうち,画像の表示領域が顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが注目範囲内を向いているという関係)を満たす前記精細画コンテンツを注目コンテンツとして選択し, 注目コンテンツとして選択されたコンテンツの画像の表示領域を照明するLED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ,さらに,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し,前記注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツ(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)の画像の表示領域を照明する前記LED光源17aについては,その輝度を徐々に低下させ(【0033】及び【0034】), 液晶表示パネル15に表示された複数の前記精細画コンテンツg1,g2の画像とそれに対応する前記注目範囲(液晶表示パネル15の映像表示面内,又はその映像表示面を含む平面内における前記精細画コンテンツの画像の表示領域に対応する範囲)q1,q2の例では,前記顔検出回路32によって検出された顔の向きが,前記注目範囲内q1,q2に向かっている場合に,ユーザが当該注目範囲q1,q2に対応する前記精細画コンテンツg1,g2の画像に注目していると見なされ(【0026】), 前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた注目時間の数値をカウントアップ(加算)し,これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かう状態の継続時間が,前記注目時間として記録され,同時に,前記制御回路4は,前記人の顔の向きRが,前記注目範囲q1,q2のいずれかの範囲内に向かう向きである場合には,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた非注目時間の数値を0にリセット(クリア)し,そして,前記制御回路4は,前記注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t1という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツを前記注目コンテンツとして選択し(【0029】),また,前記制御回路4は,前記注目範囲q1,q2のうち,前記顔検出回路32から取得した全ての人の顔の向きRから外れた位置にあるものが存在する場合,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記非注目時間の数値をカウントアップ(加算)し,これにより,前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録され,同時に,前記制御回路4は,全ての前記人の顔の向きRから外れた位置にある前記注目範囲について,その注目範囲に対応する前記精細画コンテンツに対応付けられた前記注目時間の数値を0にリセット(クリア)し,そして,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツについて前記注目コンテンツとしての選択を解除する(【0030】), 制御回路4による処理手順。」 オ また,引用例1の段落【0030】より,次の技術的事項を読み取ることができる。 「人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録され,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツについて前記注目コンテンツとしての選択を解除する(【0030】)。」 よって,引用例1には,次の発明が記載されているものと認められる(以下,「引用発明1-2」という。) 「液晶表示パネル15に複数のコンテンツの画像が並列表示されたマルチ画像表示状態において実行される,制御回路4による処理手順(【0025】)であって, 顔検出回路は,カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する回路であり(【0019】), 制御回路4は,前記液晶表示パネル15により画像が表示されている精細画コンテンツについて,画像の表示領域が顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが注目範囲内を向いているという関係)を満たす場合に,前記精細画コンテンツを注目コンテンツとして選択し, 注目コンテンツとして選択されたコンテンツの画像の表示領域を照明する前記LED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ,さらに,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し(【0033】及び【0034】), 前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録され,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上である前記精細画コンテンツが存在する場合,その精細画コンテンツについて前記注目コンテンツとしての選択を解除する(【0030】), 制御回路4による処理手順。」 (引用例2) 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2008-109310号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面(図9)とともに,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【0068】 このように,歩行者検知枠50の線の太さを時間と共に細くなるように表示し,歩行者検知枠50の消去することにより,表示に動きをもたせることができる。その結果,運転者に先ほどまでディスプレイ3に表示されていた歩行者検知枠50の認知度を向上させることができる。歩行者検知枠50をこのように消去することにより,映像から歩行者40が消えても,つい先ほどまでその場所に歩行者40が存在していたとわかるので,運転者が自動車を運転する際,その場所に注意を払って運転することができる。また,また,このように歩行者検知枠50を消去することにより,瞬時に歩行者検知枠50を消去するものに比べ,高級感を演出することもできる。」 (引用例3) 本願の出願前に頒布された刊行物である,特開2011-18309号公報(公開日:平成23年1月27日)(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【0068】 図11は,設定ウィンドウが徐々に消去される例を示す図である。同図において,設定ウィンドウ303は,破線によって描画されている。これは,設定ウィンドウ303が徐々に消去されている様子を表現している。徐々に消去されるとは,例えば,設定ウィンドウ303の描画色が徐々に薄くなったり,設定ウィンドウ303の透明度が徐々に上がったりすることをいう。 【0069】 領域判定部2113aによってポインタ301が設定ウィンドウ303の表示領域外に移動したことが検知されてから,所定時間経過前にポインタ301が設定ウィンドウ303の表示領域内に再び移動したことが領域判定部2113aによって検知されると(S38でYes),ステップS33に戻る。その結果,設定ウィンドウ303が完全な状態で再表示される。したがって,ユーザは,設定値の変更を行うことができる。設定値が変更された場合,変更内容は,メモリ装置203に記録されている設定値に反映される。 【0070】 領域判定部2113aによってポインタ301が設定ウィンドウ303の表示領域外に移動したことが検知されてから所定時間が経過すると(S37でYes),表示制御部2111aは,設定ウィンドウ303を完全に消去させる(S39)。」 また,図11には,設定ウィンドウ303は,外周に二重線の枠を有し,該枠が,枠内の領域とともに,徐々に消去されることが示されている。 (引用例4) 本願の出願前に頒布された刊行物である,特開2008-209610号公報(以下,「引用例4」という。)には,次の技術事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【請求項1】 表示画面の裏面側にマトリックス状に並設された複数のバックライトと, 前記表示画面を観る観視者の目の動きに基づいて,前記表示画面上にある視点の位置を検出する視点検出手段と, 前記視点検出手段により検出された前記視点の位置に応じて,前記複数のバックライトの点灯を制御する点灯制御手段とを備えた携帯機器。 【請求項2】 制御手段は,視点の位置を中心に所定範囲のバックライトを点灯することを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。 【請求項3】 制御手段は,観視者の目の所定の動きに基づいて,バックライトの点灯と消灯との切り替え,又は全灯と所定範囲の点灯との切り替えをすることを特徴とする請求項2に記載の携帯機器。の記載事項 されている。」 (引用例5) 本願の出願前に頒布された刊行物である,特開2010-130159号公報(以下,「引用例5」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「【0080】 (14)第1及び第2の実施形態において,指定領域発光処理が行われているときに,発光していない領域(傾き上方の領域)が,ユーザにより接触された場合には,表示部の全体を発光するように構成してもよい。」 (引用例6) 本願の出願前に頒布された刊行物である,小峯一晃,視線情報を利用した番組選択インタフェース,マルチモーダル情報による操作意図の推定をめざして,画像ラボ,第16巻,第4号,2005年4月1日,日本工業出版株式会社,p.32~37(以下,「引用例6」という。),には,次の事項が記載されている(下線は,当審で付与した。)。 「番組音声の切替 興味のある部分に視線を向ける視聴者の自然な動作を利用して,6つの番組のうち注視している子画面にフォーカス(緑色の枠)を設定し,該当する番組の音声を出力する。また,番組関連情報をテキストで表示する機能を実装した(例:第1図の左上)。視線の移動とともにフォーカスが移動し,同時に音声出力・テキスト表示も切り替わる。」(第33頁右欄第17~27行) (引用例7) 本願の出願前に頒布された刊行物である,特開平7-43783号公報(以下,「引用例7」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「【0013】図5は,液晶パネル6に表示されるパタンの他の例を示す模式図である。図3及び図4に示した画枠線パタン11は被写体の撮影範囲を仕切るものであったが,図5に表わした画縁面パタン12は被写体0の撮影範囲外をマスクする様に表示される。この画縁面パタン12は完全なブラックマスクとする事もできるが,この場合にはビューファインダの視野全体に占める撮影範囲のバランスを認識する事が難しくなる場合がある。そこで,画縁面パタン12は中間調表示とし,中央の明るく表示された撮影範囲に比べ,コントラストを落とす様にしても良い。所謂シャドーをかける事により,ビューファインダの視野に含まれる非撮影範囲も同時に確認できる。」 (引用例8) 本願の出願前に頒布された刊行物である,米国特許出願公開第2006/0256083号明細書には,図面とともに,次の事項が記載されている。 「A system, method, and computer program product for automatically providing reading place-markers to a user reading a textual document upon an electronic display. A gaze-tracking element monitors a user's gaze while he or she reads the textual document and determines a look-away event. In response to a look-away event, the system automatically provides a reading place-marker by accentuating an area at or near where the user looked away from the text. In this way the user may more easily return to the location at which he or she ceased reading. In some embodiments the place-marker is automatically removed upon determination that the user's gaze has returned to the marked location within the text. In some such embodiments the reading-place marker is removed in response to the user resuming a characteristic reading gaze motion at or near the marked location. In this way the marker is removed when no longer needed. 」(フロントページ,アブストラクト)(当審訳:電子ディスプレイの上のテキスト文書を読んでいるユーザーに,自動的に,読書中の場所のマーカーを提供するための,システム,方法,及びコンピュータ・プログラム製品。 注視追跡要素は,彼あるいは彼女がテキスト文書を読む間,ユーザーの注視をモニターし,そして,目をそらすイベントを決定します。 ユーザーがテキストから目をそらすイベントに応答して,システムは,自動的に,ユーザーがテキストから目をそらした領域,あるいはその近傍の領域を強調することによって,読書中の場所にマーカーを提供します。 このようにして,ユーザーはいっそう容易に,彼あるいは彼女が読書をやめた場所に戻るかもしれません。 いつくかの実施例では,場所のマーカーは,ユーザーの注視が,そのテキスト内のマークされた場所に戻ったとの決定に基づいて,自動的に削除されます。いくつかの実施例では,読書の場所のマーカーは,マークされた場所において,またはその近くにおいて,ユーザーが,読書に特有の注視を再スタートさせたことに応答して,削除されます。 このようにして,もう必要とされないとき,マーカーは削除されます。) 「Other methods can be used to accentuate the portion of the paragraph in this example, including but not limited to underlining the paragraph portion, bolding the font of the paragraph portion, outlining the paragraph portion, magnifying the paragraph portion, or otherwise visually drawing attention to the paragraph with added graphical content.」(第7頁右欄第37~42行)(当審訳:この例では,パラグラフの部分に下線を引く,パラグラフの部分のフォントをボールド体で書く,パラグラフの部分に輪郭を描く,パラグラフの部分を拡大する,あるいはさもなければ,付加的なグラフィック・コンテンツを付加して,視覚的にパラグラフへの注目を引きつけることを含む(しかし,これに限定されない)他の方法を,パラグラフの部分を強調するために使うことができます。) 「In one highly desirable embodiment of the present invention the accentuation removal is performed using a faded removal method in which the accentuation is gradually removed over a period of time such that an abrupt transition is not apparent to the user. 」(第8頁右欄第9~13行)(当審訳:本発明の1つの特に望ましい実施例では,突然の移行がユーザーに明白ではないように,強調の除去は,ある期間にわたって強調が次第に取り去られる,フェードされる除去方法を使って行なわれます。)」 3 対比・判断1 (1)引用発明1-1と対比・判断する本件補正発明について 審判請求人は,審判請求書の【請求の理由】 「4.本願発明が特許されるべき理由」,「(3)本願発明の有利な効果」において,次のとおり主張している(下線は,当審で付与した。)。 「本願の請求項1~6に係る発明によれば・・・(中略)・・・そのため,本願発明によれば,ユーザの焦点の領域が変化した場合に,焦点の領域を徐々に消すことで,ディプレイ上の焦点の変化をユーザに警告でき,古い焦点の領域における輪郭を徐々に消すことによって新たに検出された焦点の領域にユーザの視線を案内でき,さらに,新たな焦点の領域における別の輪郭をユーザに提供できる。」 そこで,本件補正発明についての,上記主張に係る構成が進歩性を有するか否か,検討する。 (2)対比 本件補正発明と引用発明1-1とを対比する。 ア 引用発明1-1の「液晶表示パネル15」は,本件補正発明における「ディスプレイ」に相当する。 イ 引用発明1-1における「顔検出回路」が「カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する」手順が,本件補正発明における「ユーザの体を検出する検出ステップ」に相当する。 ウ 引用発明1-1における「制御回路4」が,「顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが注目範囲内を向いているという関係)を満たす」,「画像の表示領域」の「精細画コンテンツ」を「選択」する手順が,本件補正発明における「前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップ」に相当する。 エ 引用発明1-1の「液晶表示パネル15」において,「制御回路4」が,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節」する手順と,本件補正発明における「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップ」とは,「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップ」の点で共通する。 オ 引用発明1-1において,液晶表示パネル15に複数の精細画コンテンツg1,g2が表示され,精細画コンテンツg1が注目コンテンツとして選択されている場合に,人の顔の向きRが,精細画コンテンツg1の注目範囲q1から,精細画コンテンツg2の注目範囲q2に移動し,予め設定された時間が経過すると,精細画コンテンツg1の注目コンテンツとしての選択が解除され,引用発明1-1における「注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツ(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)」となり,精細画コンテンツg2が今回の注目コンテンツとして選択され,引用発明1-1における「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」となること明らかである。 よって,引用発明1-1において,上記の場合に,「前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ」の「注目範囲」から,別のコンテンツの「注目範囲」に「人の顔の向きR」が移動し,「予め設定された時間が経過」したことを特定することが,本件補正発明における「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップ」に相当する。 カ 引用発明1-1において,今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域を照明する前記LED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ」るようにすること,言いかえると,(液晶表示パネル15におけるLED光源17aの輝度を標準輝度よりも低い輝度に調節して照明されていた部分に含まれていた)今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域」(本件補正発明でいう「ディスプレイの第2部分」)を照明する前記LED光源17aの輝度を,「鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節」し,「極力速やかに前記標準輝度となるよう」にする手順と,本件補正発明における「前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップ」とは,「前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく制御するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップ」の点で共通する。 すると,本件補正発明と引用発明1-1との一致点,相違点は次のとおりである。 (一致点) 「ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと, 前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく制御するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップと, を含む, 方法。」 (相違点1) 本件補正発明では,前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,「第1の制御信号を生成する」のに対し,引用発明1-1では,制御回路4が,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し,その輝度を徐々に低下させているものの,制御回路4が該調整のための制御信号を生成することは明記されていない点。 (相違点2) 本件補正発明では,前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,「第2の制御信号を生成する」のに対し,引用発明1-1では,今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域を照明する前記LED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ」るようにすること,言いかえると,今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域」(本件補正発明でいう「ディスプレイの第2部分」)を照明する前記LED光源17aの輝度を,「鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節」し,「極力速やかに前記標準輝度となるよう」にしているものの,制御回路4が該調整のための制御信号を生成することは明記されていない点。 (相違点3) 本件補正発明では,「前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップ」とを含むのに対し,引用発明1-1では,注目コンテンツとしての選択が解除されたコンテンツ(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)(以下,「選択が解除されたコンテンツ」という。)の画像の表示領域を照明する前記LED光源17aについては,その輝度を「徐々に低下させ」ているものの,「選択が解除されたコンテンツ」の「輪郭」を液晶表示パネル15上に表示する手順も,「前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ」の「注目範囲」から,別のコンテンツの「注目範囲」に「人の顔の向きR」が移動し,予め設定された時間が経過し,「(前回まで前記注目コンテンツとして選択されていたコンテンツ)」の「注目コンテンツとしての選択が解除され」,「注目範囲」に「人の顔の向きR」が移動した別の「コンテンツ」が,今回の「注目コンテンツとして選択され」ること(以下,「注目コンテンツの解除と選択の手順」という。)に応じて,「選択が解除されたコンテンツ」の領域の「輪郭」を徐々に消す手順も,「選択が解除されたコンテンツ」の領域の「輪郭」を前記液晶表示パネル15上に表示すべく,第3の制御信号を生成する手順も,「注目コンテンツの解除と選択の手順」に基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成する手順も,示されていない点。 (3)判断 (相違点1について) 上記相違点1について検討すると,引用例1には,段落【0020】に,制御回路4を「演算手段であるMPU4a,記憶手段であるROM4b(EPROM)及びEEPROM4cを備え」て構成することが記載されている。 そして,MPUが,制御プログラムを実行することによって制御を行うに際し,MPUが制御のための信号を生成することは,周知の事項である。 よって,引用発明1-1において,「制御回路4」が,前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し,その輝度を徐々に低下させるため,制御信号を生成するようにし,上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。 (相違点2について) 次に,上記相違点2について検討すると,上記相違点2についても,上記相違点1について述べたのと同様の理由から,引用発明1-1において,「制御回路4」が,今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域を照明する前記LED光源17aの輝度を,鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節し,この輝度調節は,前記LED光源17aの輝度が極力速やかに前記標準輝度となるよう行われ」るようにすること,言いかえると,今回の「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の「画像の表示領域」(本件補正発明でいう「ディスプレイの第2部分」)を照明する前記LED光源17aの輝度を,「鮮明な画像表示に好適な標準輝度に調節」し,「極力速やかに前記標準輝度となるよう」にするため,制御信号を生成するようにし,上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。 (相違点3について) ディスプレイに「枠」を表示し,これ徐々に消す(フェードアウト)ような画面エフェクトを付加することで,先ほどまでディスプレイに表示されていた枠の場所に注意を払うことができることは,周知の事項である。(例えば,引用例2,引用例3,引用例8参照。なお,「新たな焦点の領域における別の輪郭をユーザに提供できる。」(上記(1)参照。)点に関しては,さらに,引用例6参照。)。 よって,液晶表示パネル15の表示に係る引用発明1-1に,画面エフェクトについての上記周知の事項を適用し,引用発明1-1の「制御回路4」が,「選択が解除されたコンテンツ」の領域について,その「輪郭」を液晶表示パネル15上に表示する第3の制御を行う手順と,「コンテンツの解除と選択の手順」に応じて,「選択が解除されたコンテンツ」の画像の表示領域とともに,その「輪郭」を照明する前記LED光源17aについても,その輝度を「徐々に低下させ」る第4の制御を行う手順を含むようにすることは,当業者か容易になし得たことである。 そして,引用発明1-1における「制御回路4」が,上記第3の制御を行うため,第3の制御信号を生成し,「コンテンツの解除と選択の手順」に基づいて上記第4の制御を行うため,第4の制御信号を生成するようにすることも,上記(相違点1)及び(相違点2)で述べたのと同様に,当業者か容易になし得たことである。 よって,引用発明1-1において,周知の事項を適用し,上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。 4 対比・判断2 (1)引用発明1-2と対比・判断する本件補正発明について 次に,審判請求人は,審判請求書の【請求の理由】 「4.本願発明が特許されるべき理由」,「(3)本願発明の有利な効果」において,次のとおり主張している(下線は,当審で付与した。)。 「本願の請求項1~6に係る発明によれば・・・(中略)・・・また,焦点の領域が変化した場合,暗くされていた領域を明るくすることで,全体的に明るい画像をユーザに提示しつつ,ユーザが直前に見ていた領域の輪郭をディスプレイ上に表示することで,ユーザの視線を当該領域に再び導くことができる。」 そこで,本件補正発明についての,上記主張に係る構成が進歩性を有するか否か,検討する。 (2)対比 本件補正発明と引用発明1-2とを対比する。 ア 引用発明1-2の「液晶表示パネル15」は,本件補正発明における「ディスプレイ」に相当する。 イ 引用発明1-2における「顔検出回路」が「カメラ31により得られた画像データに基づいて,液晶表示パネル15の前方に存在する人(観者)の顔の位置及びその顔の向きを検出する画像処理を実行する」手順が,本件補正発明における「ユーザの体を検出する検出ステップ」に相当する。 ウ 引用発明1-2における「制御回路4」が,「顔検出回路32の検出結果に対して予め定められた位置関係(顔の向きが前記注目範囲内を向いているという関係)を満たす」,「画像の表示領域」の「精細画コンテンツ」を「選択」する手順が,本件補正発明における「前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップ」に相当する。 エ 引用発明1-2の「液晶表示パネル15」において,「制御回路4」が,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節」する手順と,本件補正発明における「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,第1の制御信号を生成するステップ」とは,「前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップ」の点で共通する。 オ 引用発明1-2において,「前記人の顔の向きRが前記注目範囲内に向かっていない状態の継続時間が,前記非注目時間として記録され,前記制御回路4は,前記非注目時間が予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上」となったことを特定する手順が,本件補正発明における「前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップ」に相当する。 すると,本件補正発明と引用発明1-2との一致点,相違点は次のとおりである。 (一致点) ユーザの体を検出する検出ステップと, 前記ユーザの前記体を検出することに基づいて,焦点の領域を特定するステップと, 前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく制御するステップと, 前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップと を含む, 方法。」 (相違点1) 本件補正発明では,前記焦点の領域の外側でディスプレイの部分を暗くすべく,「第1の制御信号を生成する」のに対し,引用発明1-2では,制御回路4が,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツの画像の表示領域以外の領域を照明する残りの前記LED光源17aの輝度を,前記標準輝度よりも低い輝度に調節し」ているものの,制御回路4が該調整のための制御信号を生成することは明記されていない点。 (相違点2) 本件補正発明では,前記ユーザの前記焦点の領域の変化を特定するステップに続いて,「前記ディスプレイの第2部分を点灯すべく,第2の制御信号を生成するステップであって,前記部分は,前記第2部分を含む,ステップ」を含んでいるのに対し,引用発明1-2では,そのような手順は示されていない点。 (相違点3) 本件補正発明では,「前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示するステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定する前記ステップに応じて,前記輪郭を徐々に消すステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の輪郭を前記ディスプレイ上に表示すべく,第3の制御信号を生成するステップと,前記ユーザの前記焦点の領域の前記変化を特定することに基づいて,前記輪郭を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成するステップと」を含むのに対し,引用発明1-2では,「注目コンテンツとしての選択を解除」されたコンテンツの領域の「輪郭」を液晶表示パネル15上に表示する手順も,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツ」の「注目範囲」の外に「人の顔の向きR」が移動し,予め設定された時間が経過したことに基づいて,「注目コンテンツとしての選択を解除」されたコンテンツの領域の「輪郭」を徐々に消す手順も,前記「輪郭」を表示すべく,第3の制御信号を生成する手順も,「前記注目コンテンツとして選択されているコンテンツ」の「注目範囲」の外に「人の顔の向きR」が移動し,予め設定された時間が経過したことに基づいて,前記「輪郭」を徐々に消すべく,第4の制御信号を生成する手順も,示されていない点。 (3)判断 そこで,上記相違点について検討すると, (相違点1について) 上記「3 対比・判断1」「(3)判断」「(相違点1について)」にて述べたのと同様の理由により,当業者が容易になし得たことである。 (相違点2について) 一般に,表示部全体が明るくなれば,ユーザーが表示部の全体を確認しやすくなることは,引用例7の図4と図5(以下に再掲する。)の表示例を対比するまでもなく,普通に知られていることである。 そして,引用発明1-2において,「前記人の顔の向きRが,該注目コンテンツとしての選択されているコンテンツの注目範囲内に向かっていない状態の継続時間」である非注目時間が,「予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上」となったことが特定されたときには,ユーザーにより,今まで「注目コンテンツとして選択されたコンテンツ」の画像の外の領域がどのようなものかを確認する行動がなされたと考えるのが自然であるから,そのような行動が特定がなされた場合に,例えは引用例4,引用例5に示されているとおり,ユーザーが液晶表示パネル15の全体を確認しやすくなるように,制御回路4が,液晶表示パネル15のバックライトを全灯させ,表示部の全体を発光させるよう制御することは,当業者が容易になし得たことである。 また,そのような制御を,「制御回路4」が制御信号を生成して行うようにし,上記相違点2に係る本件補正発明の構成とするすることも,上記「3 対比・判断1」「(3)判断」「(相違点1について)」にて述べたのと同様の理由により,当業者が容易になし得たことである。 (相違点3について) ディスプレイに「枠」を表示し,これ徐々に消す(フェードアウト)ような画面エフェクトを付加することで,先ほどまでディスプレイに表示されていた枠の場所に注意を払うことができることは,周知の事項である。(例えば,引用例2,引用例3,引用例8参照。)。 よって,引用発明1-2において,上記(相違点2について)で述べたとおり,ユーザーが液晶表示パネル15の全体を確認しやすくなるように,制御回路4が,液晶表示パネル15のバックライトを全灯させ,表示部の全体を発光させるように制御する際,「注目コンテンツとしての選択を解除」されたコンテンツの領域について,その「輪郭」を液晶表示パネル15上に表示するよう制御する第3の手順と,「前記人の顔の向きRが,該注目コンテンツとしての選択されているコンテンツの注目範囲内に向かっていない状態の継続時間」である非注目時間が,「予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上」となったことが特定されたことに応じて,該表示された上記「輪郭」が徐々に消す(フェードアウト)ようにする第4の手順とを備えることは,周知の画像エフェクトの単なる適用であって,当業者が適宜なし得たことである。 また,引用発明1-2における「制御回路4」が,上記第3の制御を行うため,第3の制御信号を生成し,上記第4の制御を行うため「前記人の顔の向きRが,該注目コンテンツとしての選択されているコンテンツの注目範囲内に向かっていない状態の継続時間」である非注目時間が,「予め設定された時間(以下,設定時間t2という)以上」となったことが特定されたことに基づいて,第4の制御信号を生成するようにすることも,上記「3 対比・判断1」「(3)判断」「(相違点1について)」にて述べたのと同様の理由により,当業者が容易になし得たことである。 ウ そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明1-2及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。 カ したがって,本件補正発明は,引用発明1-2及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 5 まとめ 本件補正発明は,引用発明1-1及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるか,または,引用発明1-2及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 第5 全体のまとめ 平成28年5月19日付けの補正(本件補正)は,特許法第17条の2第3項(同法第184条の12第2項参照)に規定する要件を満たしていないから,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。そして,平成27年7月21日の手続補正(補正1)により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,引用発明1及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。 したがって,平成27年7月21日の手続補正(補正1)により補正された特許請求の範囲の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 また,仮に,平成28年5月19日付けの補正(本件補正)が,特許法第17条の2第3項(同法第184条の12第2項参照)に規定する要件に適合するとしても,平成28年5月19日付けの補正(本件補正)により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,引用発明1-1及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものてあるか,または,引用発明1-2及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。 したがって,平成28年5月19日付けの補正(本件補正)により補正された特許請求の範囲の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2016-007314

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