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特許拒絶査定不服審判

2016-004446

情報処理装置、通信システムおよび情報処理方法

審判番号
2016-004446
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-184554外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年03月24日
審決日
2017年02月14日
公報発行日
2017年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-184554「情報処理装置、通信システムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 4日出願公開、特開2013- 46336〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、平成23年8月26日付けの出願であって、平成28年1月29日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年3月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がされたが、当該手続補正は、同年11月11日付けで補正却下の決定がされるとともに、拒絶理由が通知され、同年12月15日付けで手続補正がされたものである。 2.本願発明 本願請求項1ないし請求項20に係る発明は、平成28年12月15日付けの手続補正で補正された本願特許請求の範囲の請求項1ないし請求項20に記載されたとおりのものであり、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりものである。 「基地局を介して所定のネットワークに接続して通信を行う無線通信装置および前記基地局間の前記通信時における通信品質を取得する通信品質取得部と、 前記基地局の混雑度を取得する混雑度取得部と、 前記取得された通信品質に基づく第1通信単価と前記取得された混雑度に基づく第2通信単価とにより前記通信に係る課金処理を行う課金処理部と を具備する情報処理装置。」 3.引用発明 (1)引用発明1 平成28年11月11日付けで当審より通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)に引用された特開2005-269247号公報(以下、「引用例1」という。)には、「制御局装置」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は制御局装置に関し、特にパケット通信において携帯端末装置の受信性能により課金額を決定する制御局装置に関する。」(3頁) イ.「【発明の効果】 【0031】 本発明によれば、携帯端末装置のレシーバーの性能を通信料金に反映することにより、高性能レシーバーへの買い換え需要を高めることができる。さらに、高性能レシーバーが普及することにより、基地局装置の送信パワーの軽減、スループットの向上を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0032】 本発明の骨子は、携帯端末装置の受信性能及び携帯端末装置での受信品質や通信先コンテンツ、トラヒック等の情報に基づいて課金を決定することにより、通信料金に高性能レシーバーを備えた携帯端末装置を持つメリットを反映させることである。 【0033】 ・・・(省略)・・・ 【0034】 (実施の形態1) 図1は、本発明の実施の形態1に係るパケット通信システムを示す。図1に示すパケット通信システムは、自己の受信性能を通知する携帯端末装置100と、携帯端末装置の受信性能及び送信データ量を記憶する基地局装置200と、基地局装置に記憶された携帯端末装置の受信性能及び送信データ量を取得し、予め決められたテーブルに基づき通信料金を決定する制御局装置300とを具備する。なお、ここで携帯端末装置とは、携帯電話やPHS、PDA等である。」(6頁) ウ.「【0043】 図4は、本発明の実施の形態1に係る制御局装置300の構成を示すブロック図である。 【0044】 制御局装置300は、取得部301と、参照テーブル記憶部302と料金判定部303とから主に構成される。 【0045】 取得部301は、CPU204にて記憶された携帯端末装置100の受信性能情報及び送信データ量情報を取得する。参照テーブル記憶部302は、図5に示す受信性能と課金とを関係付けた参照テーブルを有する。料金判定部303は、参照テーブル記憶部302の保持するテーブルに基づき通信料金を判定する。 【0046】 次いで、上記構成を有する制御局装置300の動作について、図6に示す通信料金決定のフロー図を用いて説明する。 【0047】 携帯端末装置100と基地局装置200間で通信が開始されると(S601)、取得部301はユーザ情報管理部205に管理された携帯端末装置100のレシーバー受信性能情報及びデータ記憶部206に記憶された送信データ量を取得し(S602)、参照テーブル記憶部302で記憶するレシーバーの受信性能と通信料金とを関係付けた参照テーブルに基づいて通信料金を判定する(S603)。高性能レシーバーであれば通信料金を安くし、非高性能レシーバーであれば、高性能レシーバーに比べて通信料金を高くする。 【0048】 ここで、高性能レシーバーとは、受信ダイバーシチ、イコライザー、キャンセラー等を用いて、同じ信号を受信した時、高い性能で復号できるレシーバーを言う。また、4倍高性能とは、通常に比べて同じ信号を受信した時、4倍高い性能で復号できるレシーバーを言う。 【0049】 そして、携帯端末装置100と基地局装置200間の通信が終了すると、制御局装置300での動作も終了する(S604)。 【0050】 ・・・(省略)・・・ 【0051】 (実施の形態2) 次に、本発明の実施の形態2のパケット通信システムを図7から図10を用いて説明する。本実施の形態は、携帯端末装置の受信性能のみに基づいて料金を決定するのではなく、携帯端末装置の受信性能と携帯端末装置での受信品質に基づいて通信料金を算出する点が、実施の形態1とは相違している。 【0052】 図7は本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置700の構成を示すブロック図である。 【0053】 携帯端末装置700は、前記実施の形態1の携帯端末装置100に対して、受信レベル検出部702とCQI判定部703とからなる無線制御部701を備えている。なお、図7において図2と同一符号を付けたものは同一名称、同一機能を有するため説明を省略する。 【0054】 無線制御部701は、受信制御部103より受信信号を受けとる。受信レベル検出部702は、受信レベルとして信号電力比対干渉波電力比SIRを検出する。CQI判定部703は、検出した受信レベルより通信路品質インジケータCQI値を判定する。無線制御部701は、判定したCQI値を送信制御部110へ出力する。 【0055】 ここで受信品質を決定する手段として信号電力対干渉電力比SIR値を用いたが、本発明はこれに限ったものではなく、それ以外の受信品質情報を用いて受信品質を決定してもよい。 【0056】 図8は、本発明の実施の形態2に係る基地局装置800の構成を示すブロック図である。 【0057】 図8に示す基地局装置800は、前記実施の形態1の基地局装置200に対して、CQI判定部802と変調種別・送信パワー設定部803からなる無線制御部801を備えている。なお、図8において図3と同一符号を付けたものは同一名称、同一機能を有するため説明を省略する。 【0058】 無線制御部801は、受信したCQI値を受信制御部203より受けとる。CQI判定部802は受信したCQI値を判定する。変調種別・送信パワー設定部803は変調方式・送信電力を設定する。無線制御部801は、CQI判定部802で判定したCQI値をCPU204に出力する。ユーザ情報管理部205は、無線制御部801より出力されたCQI値を管理する。また、無線制御部801は、設定した変調方式・送信電力を送信制御部208へ出力する。 【0059】 次いで、通信料金決定のフローについて、図9に示すレシーバーの受信性能と携帯端末装置での受信品質と通信料金とを関係付けた参照テーブル及び図10に示す料金判定のフロー図を用いて説明する。ここで、S601からS604の動作については実施の形態1と同一であるため説明を省略する。 【0060】 本実施の形態では、参照テーブル記憶部302は図9に示すレシーバーの受信性能とレシーバーでの受信品質とを関係付けた参照テーブルを有する。料金判定部303は携帯端末装置の受信性能だけでなく、携帯端末装置での受信品質を判定し(S1001)、通信料金に反映する。高性能レシーバーであれば、受信品質が良好の場合は1/4の通信料金、受信品質が通常の場合は1/2の通信料金、受信品質が劣悪の場合は通常の通信料金が課金される。 【0061】 このように、本実施の形態2のパケット通信システムによれば、携帯端末装置の受信性能のみでなく、携帯端末装置での受信品質を加味して通信料金を決定することで、高性能レシーバーのメリットを通信料金に反映することができる。」(7~9頁) エ.「【0122】 本発明によれば、携帯端末装置のレシーバーの性能を通信料金に反映することにより、高性能レシーバーへの買い換え需要を高めることができる。さらに、高性能レシーバーが普及することにより、基地局装置の送信パワーの軽減、スループットの向上を図ることができる。」(15頁) 引用例1の摘記事項ア.~エ.の各記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 (ア)摘記事項ウ.の【0044】の「制御局装置300は、取得部301と、参照テーブル記憶部302と料金判定部303とから主に構成される。」の記載と図4とより、引用例1には、「取得部」と「料金判定部」とを具備する「制御局装置」が記載されているといえる。 (イ)摘記事項ウ.の【0051】の「携帯端末装置の受信性能のみに基づいて料金を決定するのではなく、携帯端末装置の受信性能と携帯端末装置での受信品質に基づいて通信料金を算出する」の記載より、「受信性能」と[受信品質」とに基づいて通信料金を算出するといえ、摘記事項ウ.の【0047】の「携帯端末装置と基地局装置との間で通信が開始されると(601)、取得部301はユーザ情報管理部205に管理された携帯端末装置100のレシーバー受信性能情報及び・・(略)・・を取得し(S602)、」とより、「携帯端末装置と基地局装置との間で通信が開始されると、」、「受信性能情報」等を取得しているといえるので、「取得部」は、「携帯端末装置と基地局装置との間で通信が開始されると、前記携帯端末装置の受信性能と受信品質を取得する取得部」といえる。 (ウ)摘記事項ウ.の【0060】の「料金判定部303は携帯端末装置の受信性能だけでなく、携帯端末装置での受信品質を判定し(S1001)、通信料金に反映する。」と、摘記事項ウ.の【0047】の「参照テーブル記憶部302で記憶するレシーバーの受信性能と通信料金とを関係付けた参照テーブルに基づいて通信料金を判定する(S603)。」と摘記事項ウ.の【0059】の「図9に示すレシーバーの受信性能と携帯端末装置での受信品質と通信料金とを関係付けた参照テーブル及び図10に示す料金判定のフロー図」の各記載と、図9、図10とより、「料金判定部」は、「前記受信性能と前記受信品質に基づいて前記通信に係る通信料金の課金を行う料金判定部」といえる。 以上、(ア)~(ウ)を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明1) 「携帯端末装置と基地局装置との間で通信が開始されると、前記携帯端末装置の受信性能と受信品質を取得する取得部と、前記受信性能と前記受信品質に基づいて前記通信に係る通信料金の課金を行う料金判定部とを具備する制御局装置。」 (2)引用発明2 当審拒絶理由に引用された特開2004-48289号公報(以下、「引用例2」という。)には、「ネットワーク情報収集管理システム及び無線端末」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。 オ.「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ネットワーク情報収集管理システム及び無線端末に係り、特に、伝播状況およびトラフィック状況に応じて端末-基地局間の伝送レートを可変にする無線ネットワークシステムにおけるネットワーク情報収集管理システム及び無線端末に関する。」(3頁) カ.「【0006】 本発明は、以上の点に鑑み、無線ネットワークシステムから得られるネットワーク情報を収集・加工してエンドユーザに提供することを目的とする。また、本発明は、混雑しているエリアからエンドユーザが移動することにより、ネットワークの付加を分散し、ネットワークリソースを効率的に利用可能なネットワーク情報収集管理システム及び無線端末を提供することを目的とする。」(4頁)(当審注:「ネットワークの付加を分散する」は、「ネットワークの負荷を分散する」の誤記と解釈した。) キ.「【0012】 【発明の実施の形態】 本実施の形態は、無線ネットワークシステム、特に伝播状況およびトラフィック状況に応じて端末-基地局間の伝送レートを可変にする無線ネットワークシステムから情報を収集加工して、エンドユーザ端末に提供するというものである。本実施の形態では、無線ネットワークシステムの基地局の混雑情報を収集し、それに応じて課金レートを決定する。つまりコンテンツ提供事業者にとって、混雑していない基地局を利用しているエンドユーザの料金を安くするなどの柔軟な課金設定をすることが可能となる。さらにこの課金レートを情報としてエンドユーザ端末に提供し、加えて地図データを提供することにより、エンドユーザは自分のいるエリアおよび近隣エリアは料金が安いのか、混雑しているのか、といったことがわかるようになる。 【0013】 図1は、無線ネットワークシステムの構成図である。本実施の形態の構成は、エンドユーザ端末1と、エンドユーザ端末1を収容する基地局2と、該基地局2を複数収容しIPネットワーク5へルーティングするルータ3と、エンドユーザ端末1がどの基地局2と通信しているかを監視するエンドユーザ位置監視サーバ4と、無線ネットワークシステムから情報を収集加工し、エンドユーザ端末1に提供するネットワーク情報収集管理システム6と、コンテンツ提供事業者の商用コンテンツを格納したコンテンツサーバ11と、エンドユーザ端末1がコンテンツサーバ11にアクセスするための認証を行う認証サーバ10と、コンテンツアクセス履歴などをもとにエンドユーザ端末1ごとの料金を算出する課金装置12と、混雑度に応じた課金レートが記憶されている課金レート記憶部13と、を備える。」(5頁) ク.「【0017】 また、情報提供装置8は、エンドユーザ位置監視サーバ4により、エンドユーザ端末1が通信している基地局2がわかるので、この基地局エリア周辺の地図を選択し、提供することも可能になる。さらに、情報提供装置8は、混雑情報に応じて課金レートを決定し、その課金レートも情報としてエンドユーザ端末1に提供することができる。情報提供装置8が、エンドユーザ端末1が通信している基地局2と周辺の基地局の地図データ及び課金レートデータを提供することにより、エンドユーザは課金レートの低い、またはコンテンツの品質の良いエリアがわかり、地図を用いて移動することが可能となる。このようにエンドユーザの移動を促し、基地局2の負荷分散にもつながる。」(6頁) ケ.「【0020】 図4は、エンドユーザへの情報提供の処理の説明図である。エンドユーザ位置監視サーバ4は、エンドユーザ端末1の基地局2へのアクセスを常に監視し、データベースに登録・管理している。管理している情報は、ある基地局2にアクセスしたエンドユーザ端末1のID・その基地局2のID・アクセス時刻(DATE)等である。情報提供装置8は、エンドユーザ位置監視サーバ4の管理情報を検索し、基地局2にアクセスがあったエンドユーザの端末ID・基地局IDを取得する。情報提供装置8は、取得した基地局IDをキーに、情報収集サーバ7で管理している情報を検索し、該当する基地局IDに対応するパケット量・基準値を取得する。情報提供装置8は、例えば、「パケット量 ― 基準値」の計算結果を「混雑度」とする。情報提供装置8は、計算された混雑度をキーとして、課金レート記憶部13から課金レートデータを取得する。課金レート記憶部13では、混雑度に対応して課金レートをデータベースで管理している。」(7頁) コ.「【0031】 情報提供装置8は、「パケット量 - 基準値」の計算で出した混雑度をキーに課金レート記憶部13から課金レートを収集する(111)。ここで、課金レート記憶部13とは、混雑度に応じた課金レートを記憶するデータベースである。例えば、混雑度が低いほど、課金レートは低く(料金は安く)することができる。情報提供装置8は、こうして得た課金レートデータ、パケット量データをエンドユーザ端末1に提供する(113)。」(9頁) サ.「【0034】 なお、課金装置12は、情報提供装置8で収集された課金レートを使用して料金を算出・管理する。課金装置12は、例えば、「通常料金×課金レート」の計算で料金を決定する。また、本実施の形態では課金をコンテンツ提供事業者自身が行っているが、課金装置12をネットワーク情報収集管理システム6に組込むことで代行課金を行うこともできる。」(9頁)1 引用例2の摘記事項オ.~サ.の各記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 (エ)摘記事項ク.の【0017】の「このようにエンドユーザの移動を促し、基地局2の負荷分散にもつながる。」の記載から、「基地局の負荷分散を行うために、」といえる。 (オ)摘記事項ケ.の「情報提供装置8は、エンドユーザ位置監視サーバ4の管理情報を検索し、基地局2にアクセスがあったエンドユーザの端末ID・基地局IDを取得する。情報提供装置8は、取得した基地局IDをキーに、情報収集サーバ7で管理している情報を検索し、該当する基地局IDに対応するパケット量・基準値を取得する。情報提供装置8は、例えば、「パケット量 ― 基準値」の計算結果を「混雑度」とする。」と摘記事項キ.の【0012】の「無線ネットワークシステムの基地局の混雑情報を収集し、それに応じて課金レートを決定する。」との各記載から、「基地局の混雑度を収集し、」といえる。 (カ)摘記事項キ.の【0013】の「エンドユーザ端末1ごとの料金を算出する課金装置12と、混雑度に応じた課金レートが記憶されている課金レート記憶部13と、を備える。」と、摘記事項ク.の【0017】の「情報提供装置8は、混雑情報に応じて課金レートを決定し、」と、摘記事項コ.の【0031】の「混雑度が低いほど、課金レートは低く(料金は安く)する」と、摘記事項サ.の【0034】の「課金装置12は、例えば、「通常料金×課金レート」の計算で料金を決定する。」の各記載より、「前記混雑度に応じた課金レートに基づいて通信に係る料金を決定すること」といえる。 以上、(エ)~(カ)を総合すると、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。 (引用発明2) 「基地局の負荷分散を行うために、基地局の混雑度を収集し、前記混雑度に応じた課金レートに基づいて通信に係る料金を決定すること。」 4 対比・判断 本願発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「携帯端末装置」が「基地局装置」を介して公衆回線網に接続して通信を行うことは、当業者にとって自明の事項であり、公衆回線網は、所定のネットワークに含まれるから、引用発明1の「携帯端末装置」、「基地局装置」は、それぞれ、本願発明の「無線通信装置」、「基地局」に相当する。 引用発明1の「取得部」が、通信が開始されると(通信時に)取得する「受信品質」は、本願発明の「通信品質」に含まれるから、引用発明1の「取得部」は、本願発明1の「通信品質取得部」に含まれる。 引用発明1の「前記受信性能と前記受信品質に基づいて前記通信に係る通信料金の課金を行う料金判定部」と、本願発明の「前記取得された通信品質に基づく第1通信単価と前記取得された混雑度に基づく第2通信単価とにより前記通信に係る課金処理を行う課金処理部」とは、受信品質に基づいて通信に係る通信料金の課金を行うから、以下で検討する相違点を除くと、「前記取得された通信品質と他の因子とに基づいて前記通信に係る課金処理を行う課金処理手段」で共通する。 引用発明1の「制御局装置」は、課金に係る情報を処理しているから、本願発明の「情報処理装置」に含まれる。 以上より、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「基地局を介して所定のネットワークに接続して通信を行う無線通信装置および前記基地局間の前記通信時における通信品質を取得する通信品質取得部と、 前記取得された通信品質と他の因子とに基づいて前記通信に係る課金処理を行う課金処理手段と を具備する情報処理装置。」 (相違点1) 一致点の「他の因子」が、本願発明では「取得された混雑度」であるのに対し、引用発明では「受信性能」である点。 それに伴い、本願発明は「基地局の混雑度を取得する混雑度取得部」を具備するのに対して、引用発明はそのような特定がない点。 (相違点2) 一致点の「課金処理手段」の「課金処理」が、本願発明では、「第1通信単価」と「第2通信単価」、すなわち、2つの因子毎の通信単価によるのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。 (相違点1)について検討する。 引用文献1の段落【0122】の「本発明によれば、携帯端末装置のレシーバーの性能を通信料金に反映することにより、高性能レシーバーへの買い換え需要を高めることができる。さらに、高性能レシーバーが普及することにより、基地局装置の送信パワーの軽減、スループットの向上を図ることができる。」の記載より、引用発明1の「通信料金の課金」の直接的な課題は、「高性能レシーバの普及」と理解できるが、「高性能レシーバーの普及」は「基地局装置の送信パワーの軽減、スループットの向上」、すなわち、基地局装置の負荷の低減というより大きな課題に起因するものと解し得る。してみると、引用発明1は、基地局装置の負荷の低減を課題としているといえる。 そして、引用発明2の「基地局の負荷分散」も、基地局の負荷の低減という課題に基づくものであることは明らかであるから、引用発明1と引用発明2とは、基地局装置の負荷の低減という課題を有する点で共通している。 よって、基地局装置の負荷の低減という共通の課題を解決するために、引用発明1に引用発明2を適用し、課金処理に「混雑度」という因子を加味して課金処理を行うことは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、課金処理の組み合わせにどのような因子を用いるかは、当業者が適宜選択し得る事項であるから、「受信品質」と「混雑度」を選択することに、格別の困難性は認められない。 さらに、そのために基地局装置の混雑度を取得する「混雑度取得部」を具備することは、当然の設計変更にすぎない。 (相違点2)について検討する。 価格を複数の因子に基づいて決定する際に、各因子の単価に基づいて価格を決定することは常套手段であるから、引用発明1が、「受信性能」と「受信品質」、すなわち、2つの因子に基づいて課金処理する際に、1つの因子の通信単価ともう1つの因子の通信単価とにより課金処理を行うことは当業者が適宜なし得る事項にすぎない。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明1および引用発明2に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明1および引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 5.むすび 本願発明は、引用発明1および引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-004446

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