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特許拒絶査定不服審判

2016-003946

過剰ブレブ形成Shigella株

審判番号
2016-003946
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-530359外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年03月15日
審決日
2017年03月14日
公報発行日
2017年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C12N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-530359「過剰ブレブ形成Shigella株」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月31日国際公開、WO2011/036564、平成25年 2月21日国内公表、特表2013-505716〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、平成22年(2010年)9月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年9月28日、英国)を国際出願日とする出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。 平成26年12月11日付け 拒絶理由通知書 平成27年 6月16日   意見書・手続補正書 平成27年11月 9日付け 拒絶査定 平成28年 3月15日   審判請求書・手続補正書 平成28年 9月14日   上申書 第2 本願発明の認定 この出願の請求項1~18に係る発明は、平成28年3月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 【請求項1】 TolAタンパク質、TolBタンパク質、TolQタンパク質、TolRタンパク質、およびPalタンパク質のうちの4つ以下を発現し、天然のShigellaリポ多糖を発現しない、Shigella細菌。 第3 刊行物に記載された事項 平成26年12月11日付け拒絶理由通知で引用した下記の刊行物について、以下「引用文献1」という。 引用文献1:特表2004-527235号公報 1.引用文献1:特表2004-527235号公報 引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付した。 (1)「【請求項1】 1個以上のTol遺伝子の発現を下方調節すること、及びペプチドグリカン結合部位を含むタンパク質をコードする1個以上の遺伝子の突然変異によりペプチドグリカン結合活性を弱めることからなる群より選択される1つ以上の方法により遺伝的に改変された、ハイパーブレビングなグラム陰性細菌。」(特許請求の範囲) (2)「【請求項2】 ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)、ナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、赤痢菌属菌(Shigella spp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)からなる群より選択される請求項1に記載のハイパーブレビングなグラム陰性細菌。」(特許請求の範囲) (3)「【請求項9】 以下の群:(a) 免疫優性可変抗原又は非防御抗原の発現を下方調節する方法、(b) 防御OMP抗原の発現を上方調節する方法、(c) LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節する方法、(d) LPSのリピドA部分の毒性を低下させるのに関与する遺伝子を上方調節する方法、及び(e) ヒト構造物と構造的に類似性を有し、かつヒトにおいて自己免疫応答を誘導することができる抗原の合成を下方調節する方法、から選択される1つ以上の方法によりさらに遺伝子操作された請求項2~8のいずれか1項に記載のハイパーブレビングなグラム陰性細菌。」(特許請求の範囲) (4)「「ハイパーブレビング」とは、細菌が、未改変細菌のブレブの量の2倍以上(より好ましくは、3、4、5、又は10倍以上)を天然で放出することを意味する。」(【0038】) (5)「「下方調節」とは、目的の遺伝子の発現を低下させる(少なくとも2倍、より好ましくは5倍以上)か、又は完全に消失させることを意味する。これは、該遺伝子をゲノムから欠失させること、該遺伝子のコード配列中に停止コドンを導入すること、該遺伝子のプロモーター配列を欠失させること、又は該遺伝子のプロモーター配列をより弱いプロモーターに置換することなどの方法により容易に行うことができる。該遺伝子がオペロン中にある場合(多くのtol遺伝子がそうであるように)、標的遺伝子の下方調節が、下方調節が意図されていないオペロン中の他の遺伝子の発現に影響しないことを確実にするように注意を払わねばならない。」(【0039】) (6)「特定のtol遺伝子を、本明細書に記載のtol遺伝子との相同性(好ましくは、20、30、40、50、60、70、80、90%以上の同一性)、又は大腸菌のものとの相同性により、種々のグラム陰性細菌において同定することができる。好ましくは、1、2、3、4又は5個のtol遺伝子を、本発明の細菌において下方調節する。より好ましくは、tol遺伝子対:tolQ及びtolR、又はtolR及びtolAを、細菌中で下方調節する(好ましくは、欠失又は破壊的停止コドンの導入による)。」(【0040】) (7)「(c) LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節する方法 ブレブワクチンの毒性は、ワクチンにおけるブレブの使用の最大の問題の1つである。本発明のさらなる態様は、ブレブ中に存在するLPSを遺伝学的に無毒化する方法に関する。リピドAは細胞活性化の原因となるLPSの主要成分である。この経路に関わる遺伝子の突然変異の多くは本質的な表現型を生じる。しかし、致死的な改変ステップの原因となる遺伝子の突然変異は、温度感受性(htrB)もしくは許容性(msdB)表現型を生じる。これらの遺伝子の発現減少(もしくは無発現)をもたらす突然変異はリピドAの毒性活性を改変する。実際、非ラウロイル化(htrB突然変異体)[また、第2のアシル鎖をともに欠くLPSをもたらすことにより定義される]又は非ミリストイル化(msbB突然変異体)[また、一本の第2のアシル鎖のみを欠くLPSをもたらすことにより定義される]リピドAは、野生型リピドAより毒性が低い。リピドA 4'-キナーゼをコードする遺伝子(lpxK)の突然変異体もリピドAの毒性活性を減少させる。」(【0070】) (8)「従って、方法c)は、1以上の上記のオープンリーディングフレーム又はプロモーターの一部分(もしくは好ましくは全体)の欠失を伴う。あるいは、プロモーターを、より弱いプロモーターに置換してもよい。好ましくは、相同組換え技術を用いてこの方法を実施する。好ましくは、WO 01/09350(8/2/01にWIPOにより発行され、参照により本明細書に組み入れられる)に記載された方法を用いる。この目的にはさらに、B群ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のhtrB及びmsbB遺伝子の配列が提供される。」(【0071】)。 第4 当審の判断 1.引用文献1に記載された発明 第3 1.(1)、(5)、(6)の記載から、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されていると認められる。 「tolQ遺伝子及びtolR遺伝子、又は、tolR遺伝子及びtolA遺伝子を欠失することにより遺伝的に改変された、グラム陰性細菌。」(以下、「引用発明1」という。) 2.本願発明と引用発明1の対比 グラム陰性細菌の野生株は、通常、TolA、TolB、TolQ、TolR、およびPalタンパク質、またはこれらのホモログを発現すると認められる。そうすると、引用発明1の「tolQ遺伝子及びtolR遺伝子、又は、tolR遺伝子及びtolA遺伝子を欠失する」ことは、それによって、TolA、TolB、TolQ、TolR、およびPalタンパク質、またはこれらのホモログのうち、3つ程度が発現することになるから、本願発明の「TolAタンパク質、TolBタンパク質、TolQタンパク質、TolRタンパク質、およびPalタンパク質のうちの4つ以下を発現し」に相当する。 本願発明と、引用発明1とを対比すると、両者は、 「TolAタンパク質、TolBタンパク質、TolQタンパク質、TolRタンパク質、およびPalタンパク質のうちの4つ以下を発現する、グラム陰性細菌。」である点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本願発明は、グラム陰性細菌がShigella細菌であると特定されているのに対し、引用発明1は、そのような特定がされていない点 (相違点2) 本願発明は、天然のShigellaリポ多糖を発現しないと特定されているのに対し、引用発明1は、そのような特定がされていない点 3.判断 (1)相違点1について 第3 1.(2)に記載したように、引用文献1には、グラム陰性細菌として赤痢菌属菌(Shigella spp.)を用いることができることが記載されているから、引用発明1において、tolQ遺伝子及びtolR遺伝子、又は、tolR遺伝子及びtolA遺伝子を欠失した赤痢菌属菌を作成することは、当業者が容易になし得ることである。 (2)相違点2について 本願の発明の詳細な説明に、「細菌は天然のShigellaリポ多糖(LPS)を発現せず、これにより、内毒素の活性が低減し得る。天然のLPSの合成を妨げるために様々な修飾を行うことができ、そしてこれらは天然のリピドA構造、オリゴ糖コア、または外側O抗原を破壊し得る。例えば、参考文献3は、rfeおよびgalU遺伝子の不活性化によって引き起こされるLPS変異体を報告し、そして参考文献4は、yihE、galE、galK、galM、およびgalTの不活性化によって引き起こされるLPS変異体を報告する。同様に、参考文献5は、rfc、rfaL、またはgalUの変異による欠損LPSを報告する。参考文献6は、リピドAのアシル化を低減する、msbB1およびmsbB2の不活性化によって引き起こされるLPS変異体を報告する。本明細書中で示されるように、リピドAのアシル化が低減した別のLPS変異体を、htrBの不活性化によって産生し得る[7、8]。」(【0029】)(下線は当審で付した。)と記載されていることから、本願発明の「天然のShigellaリポ多糖を発現しない」とは、msbB1、msbB2、htrB等の不活性化によって天然のリピドA構造が破壊されたLPS変異体を発現することを包含するものであると認められる。 一方、第3 1.(3)に記載したように、引用文献1には、該グラム陰性細菌を、(a) ~(e)から選択される1つ以上の方法によりさらに遺伝子操作することができることが記載されており、それらの方法の1つとして、「(c) LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節する方法」が記載されている。 そして、第3 1.(7)、(8)に記載したように、引用文献1には、LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節する方法として、LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与するhtrB、msbB遺伝子等を下方調節する方法が記載されており、また、下方調節する方法として、これらの遺伝子を欠失させる方法が記載されている。 したがって、引用発明1において、これらの記載を参考にし、さらに、LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与するhtrB、msbB遺伝子等を欠失させる遺伝子操作を行うことは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願発明の効果についても、当業者が予測し得る程度のものである。 4.審判請求人の主張について (1)審判請求人は、平成28年3月15日付け審判請求書において、以下ア.~エ.の旨、主張している。 ア.引用文献1には、赤痢菌属菌を用いることができることが記載されてはいるものの、単なる例示に過ぎず、実際に作成したことは記載されていない。 イ.引用文献1には、さらなる遺伝子操作として複数の方法が列記されており、LPSの修飾を行う方法はそれらのうちの1つに過ぎず、また、実際にLPSの修飾を行ったことは記載されていない。 ウ.甲第1号証に、E.coli OmpA変異体は、必ずしも小胞の放出が促進されているわけではないことが示されていることから(OmpAは、引用文献1の実施例1に例示される髄膜炎菌rmpMのE.coliでのホモログ)、Tol/Pal遺伝子に変異を導入することによって、必ずしも過剰ブレブ形成細菌が産生されるとは限らない。 エ.本願の実施例には、本願発明のShigella.sonneiまたはShigella.flexneri由来のブレブが、異なる血清型のShigella細菌と交差反応する抗血清を生成できたこと、および、低用量でワクチンとして使用することが可能であることが示されている。 上記ア.~エ.の主張について検討する。 ア.について 引用文献1には、Tol遺伝子を欠失した赤痢菌属菌を実際に作成したことは記載されていないものの、第4 3.(1)において述べたように、引用文献1には、グラム陰性細菌として赤痢菌属菌(Shigella spp.)を用いることができることが記載されているから、該記載を参考にし、tolQ遺伝子及びtolR遺伝子、又は、tolR遺伝子及びtolA遺伝子を欠失した赤痢菌属菌を作成することは、当業者が容易になし得ることである。 イ.引用文献1には、更にLPSの修飾を行ったグラム陰性細菌を作成したことは記載されていないものの、第4 3.(2)において述べたように、引用文献1には、グラム陰性細菌を、(a) ~(e)から選択される1つ以上の方法によりさらに遺伝子操作することができることが記載されており、それらの方法の1つとして、「(c) LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節する方法」が記載されているから、引用発明1において、さらに、LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与する遺伝子を下方調節すること、そしてその際に、LPSのリピドA部分を毒性にするのに関与するhtrB、msbB遺伝子等を欠失させることは、当業者が容易に想到し得ることである。 ウ.について 本願の請求項1には、該「グラム陰性細菌」が、「過剰ブレブを形成するグラム陰性細菌」であるとは特定されていない。 審判請求人の該主張は、本願の請求項1の特定に基づくものではない。 また、Tol遺伝子を欠失させることで過剰ブレブが形成されることは、引用文献1に記載されている。 一方、OmpA遺伝子は、Tol遺伝子とは異なる遺伝子であるから、OmpA遺伝子に関する知見がTol遺伝子を欠失させることに影響を与えるとは言えない。つまり、甲第1号証において示されている、OmpA遺伝子欠失を有する大腸菌株の中には小胞の放出が促進されていないものも存在したことをもって、Tol遺伝子に変異を導入しても、過剰ブレブ形成細菌が必ずしも産生されないとする上記主張は、適切な根拠に基づくものであるとは認められない。 エ.について 本願の発明の詳細な説明の【0147】には、「ブレブに対して産生した血清を、3つの異なる細菌:S.sonneiG53、S.flexneri 2a 2457T、またはS.flexneri 5 M90Tとの反応性に関して試験した。次いでサンプルを標識した二次Abで染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。図7で示すように、S.sonneiおよびS.flexneri株は、上記血清と交差反応する。」と記載されている。ここで、該「ブレブ」がどのような遺伝子変異を有するShigella細菌由来のものであるかは明確に記載されていないものの、上記記載は、特定のShigella細菌由来のブレブが、S.sonneiおよびS.flexneriと交差反応する抗血清を生成できたことを示すものであると認められる。 また、本願の発明の詳細な説明の【0146】には、「アジュバント(水酸化アルミニウムまたはフロイント完全)有りまたは無しで、2μgまたは10μgのS.sonneiΔtolRΔgalUブレブ(全タンパク質として測定)をマウスに投与した。免疫化研究から得られた血清におけるIgGの産生を分析するために、伝統的なELISA法を行った。全ての群のマウス由来の血清は、ブレブ特異的IgGの高レベルの産生を示した。ブレブを単独で、またはアジュバントと組み合わせて使用した場合に、IgG産生に有意な差は検出されなかった。2μgの低用量で免疫化した群は、10μgで免疫化した群と同じレベルのブレブ特異的IgGを示し、このことは、低用量ワクチンが達成可能であり得ることを示す(すなわち1ドルあたりより多くの投与)。他のS.SonneiおよびS.flexneri株由来のブレブが、同様に免疫原性であった。」と記載されており、このことは、ΔtolRΔgalU変異を有するS.sonnei由来のブレブが、低用量でワクチンとして機能することを示すものであると認められる。 しかしながら、本願発明は、TolA、TolB、TolQ、TolR、およびPalの組み合わせにより、様々な遺伝子変異を有する多数のShigella細菌を包含するものであり、上記の特定の変異を有するShigella細菌以外のShigella細菌により奏される効果については、当業者が予測し得ない程のものであるとは認められない。 よって、上記審判請求人の主張はいずれも採用できない。 (2)審判請求人は、平成28年9月14日付け上申書において、本願の請求項1を「TolAタンパク質、TolBタンパク質、TolQタンパク質、TolRタンパク質、およびPalタンパク質のうちの4つ以下を発現し、天然のShigellaリポ多糖を発現しない、過剰ブレブ形成Shigella細菌。」と補正する補正案を提示し、上記(1)のア.~エ.に記載した事項に加え、以下のオ.、カ.の旨、主張している。 オ.甲第2号証には、リピドAの改変がブレブ形成を減少させることが記載されているから、ワクチンに好適な株の創製を試みる際に、リピドAの改変を行うことは非自明であったというべきである。 カ.甲第3号証には、ShigellaのΔtolR、ΔtolRΔgalUおよびΔtolRΔmsbB株が、野生型株と比較してはるかに多量のタンパク質を放出することが記載されている。 (1)のア.~エ.に記載した審判請求人の主張については、(1)のア.~エ.の項においてそれぞれ述べたとおりである。 オ.について 確かに甲第2号証には、msbB遺伝子を欠失したNeisseria gonorrhoeae変異株において、ブレブの放出が減少していたことが記載されている。 しかしながら、甲第2号証に記載されたNeisseria gonorrhoeaeは、赤痢菌属菌とは異なる種類のグラム陰性細菌であり、また、本願優先日前、毒性の低減されたワクチンを作成することは周知の技術的課題であったから、甲第2号証に、msbB遺伝子を欠失した別の種類のグラム陰性細菌においてブレブの放出が減少することが示されていたとしても、そのことが、tolQ遺伝子及びtolR遺伝子、又は、tolR遺伝子及びtolA遺伝子を欠失させた赤痢菌属菌においてさらにmsbB遺伝子を欠失させることへの格別の阻害事由となったとは認められない。 カ.について 甲第3号証には、ΔtolR、ΔtolRΔgalU、またはΔtolRΔmsbBという特定の変異を有するShigella株が、野生型株と比較して多量のブレブを放出することが記載されている。 しかしながら、「(1)エ.について」で述べたとおり、本願発明は、TolA、TolB、TolQ、TolR、およびPalの組み合わせにより、様々な遺伝子変異を有する多数のShigella細菌を包含するものであり、上記特定の変異を有するShigella細菌以外のShigella細菌においても同様の効果が奏されるとは認められない。 よって、上記審判請求人の主張はいずれも採用できない。 5.まとめ したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-003946

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