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特許拒絶査定不服審判

2016-003809

複数の電磁信号からの物体の空間的配向情報の判定

審判番号
2016-003809
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-512083外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年03月11日
審決日
2017年01月10日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第4号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-512083「複数の電磁信号からの物体の空間的配向情報の判定」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月1日国際公開、WO2011/149738、平成25年8月22日国内公表、特表2013-533467〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)5月18日(パリ条約による優先権主張、2010年(平成22年)5月24日(以下、「優先日」という。)、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年2月10日付けの拒絶理由の通知に対し同年6月4日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月10日付けで拒絶査定(同年同月16日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して平成28年3月11日に拒絶査定不服審判が請求され同時に手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出されたものである。 第2 本件補正の適否 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を以下のとおり補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、平成27年6月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するための機械実装された方法であって、基準の前記物体座標系は前記物体に関して画定され、基準の前記ナビゲーション座標系は前記物体の空間的配向に依存しない方法で画定され、前記方法は、 前記物体と共に固定の空間関係で共同配置される受信機器によって、少なくとも3セットの電磁信号を受信することであって、前記電磁信号セットのそれぞれが、少なくとも3つの別個の既知の位置を有する伝送源のうちの異なるものから前記物体に到来し、かつ、 前記受信機器によって、前記電磁信号セットのそれぞれのものに対する信号振幅測定情報を得る、受信することと、 前記物体の空間における位置を判定することと、 コンピューティングデバイスによって、前記別個の伝送源の既知の位置、および、前記判定された物体の位置をナビゲーション基準データセットに変換することと、 前記電磁信号セットのそれぞれのものに対して、前記得られた電磁信号セットに対する信号振幅測定情報に基づき、方位角情報を計算することであって、前記計算された方位角情報が、基準の前記物体座標系における物体方位角軸に対する物体における前記電磁信号セットの到来の方向を部分的に指定する、計算することと、 前記コンピューティングデバイスによって、前記計算された方位角情報を、物体測定デ―タセットに変換することと、 前記コンピューティングデバイスによって、および、少なくとも前記ナビゲーション基準データセット、および、前記物体測定データセットに基づき、ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準のナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定することと、 を含み、前記空間的配向の判定は検出された仰角情報を使用しないで実行される、方法。 【請求項2】 前記空間的配向を判定することが、 基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の現在の姿勢の推定を表す、姿勢4元数を初期化することと、 前記ナビゲーション基準データセットおよび前記物体測定データセットからの基準値を使用して、近似値を表す角度固有行列を確立することと、 前記姿勢4元数および前記角度固有行列を反復的にリファインすることと、 前記リファインした姿勢4元数を、相当するヨー、ピッチ、およびロール角に変換することと、を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記受信機器を使用して、電磁信号セットのそれぞれに対して、前記方位角情報の変化速度を測定することと、 電磁信号セットのそれぞれに対して、前記方位角情報の前記変化速度を、物体測定速度行列に変換することと、 前記物体測定速度行列を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の角速度の近似値を反復的にリファインすることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記反復的にリファインすることが、 (a)基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の角速度を初期化することと、 (b)基準の前記物体座標系の前記角速度を使用して、4元数の導関数を推定することと、 (c)前記物体測定速度行列を反復的にリファインすることと、 (d)前記4元数の導関数から、基準の前記物体座標系の前記角速度を計算することと、 (e)二次エラー値を計算することと、 (f)前記二次エラー値を、以前の二次エラー値と比較することと、を含み、 ステップ(b)から(f)が、複数回の反復で繰り返される、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 ステップ(b)から(f)が、前記二次エラー値と前記以前の二次エラー値の比較が実質的に同一になるまで繰り返される、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 基準の前記物体座標系の前記角速度は、基準の前記物体座標系が未知または初期状態にある場合に、ゼロに初期化される、請求項4に記載の方法。 【請求項7】 基準の前記物体座標系の前記角速度は、基準の前記物体座標系が急速な回転状態にある場合に、大きな速度に初期化される、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 基準の前記物体座標系の前記初期化された角速度が、前記物体測定速度行列を調整するため、および姿勢の推定値または前記初期化された角速度に対する前記方位角情報の変化速度をリファインするために使用される、請求項4に記載の方法。 【請求項9】 前記受信機器によって提供されたデータは前記方位角情報に変換される、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記電磁信号セットのそれぞれに対して、前記電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を検出することと、 基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定することであって、前記角加速度を判定することが、前記電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された加速度、および前記判定された空間的配向、ならびに前記判定された角変化速度の変化を使用することを含む、判定することと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記受信機器によって提供されたデータは前記方位角情報の前記加速度に変換される、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 基準の物体座標系の空間的配向に依存しない基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するためのシステムであって、前記システムは、 前記物体と共に固定の空間関係で共同配置され、方向変換機を備える受信機であって、前記受信機は、既知の位置を有する伝送源から電磁信号セットを受信し、基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報を検出するように適合され、前記方位角情報を検出することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき、前記方位角情報は、前記物体から、前記電磁信号セットが受信された伝送源への方向を部分的に画定する、受信機と、 物体姿勢判定モジュールであって、 i)少なくとも3つの別個の受信された電磁信号セットに対する方位角情報を、前記受信機から受信するように構成され、前記受信された電磁信号セットのそれぞれは、既知の位置を有する前記伝送源のうちの少なくとも3つのもののうちの異なるものから到来し、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれのものに対する前記検出された方位角情報を使用して、ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定するように構成され、前記空間的配向の判定は、検出された仰角情報を使用しないで実行される、物体姿勢判定モジュールと を含む、システム。 【請求項13】 物体速度判定モジュールをさらに含み、該物体速度判定モジュールは、 i)前記受信された電磁信号セットに対する前記方位角情報の変化速度を判定し、かつ、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された変化速度を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角変化速度を判定する ように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項14】 物体加速度判定モジュールをさらに含み、該物体加速度判定モジュールは、 i)前記受信された電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を判定し、かつ、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された加速度を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定する ように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項15】 前記方位角情報は、前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記信号振幅測定情報から、ピーク信号振幅点に基づき検出される、請求項1に記載の方法。 【請求項16】 前記受信機器は方向変換機を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項17】 前記システムは、前記受信された電磁信号セットの仰角を検出することなく、前記空間的配向を判定するように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項18】 前記システムは、前記電磁信号セットのそれぞれに対して、前記電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を検出し、かつ、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定するように構成され、前記角加速度を判定することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する前記検出された前記方位角情報の加速度、および、前記判定された空間的配向、および、前記判定された角変化速度を使用することを含む、請求項12に記載のシステム。 【請求項19】 前記システムは、前記受信機によって提供されたデータが、前記方位角情報の前記加速度に変換されるように構成される、請求項18に記載のシステム。 【請求項20】 前記信号振幅測定情報は、前記受信機器に固定された単一の方位軸の周りで測定された方位角だけで変化する、請求項1に記載の方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。)。 「 【請求項1】 基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するための機械実装された方法であって、基準の前記物体座標系は前記物体に関して画定され、基準の前記ナビゲーション座標系は前記物体の空間的配向に依存しない方法で画定され、前記方法は、 前記物体と共に固定の空間関係で共同配置される受信機器によって、少なくとも3セットの電磁信号を受信することであって、前記電磁信号セットのそれぞれが、少なくとも3つの別個の既知の位置を有する伝送源のうちの異なるものから前記物体に到来し、かつ、 前記受信機器によって、前記電磁信号セットのそれぞれのものに対する信号振幅測定情報を得る、受信することと、 前記物体の空間における位置を判定することと、 コンピューティングデバイスによって、前記別個の伝送源の既知の位置、および、前記判定された物体の位置をナビゲーション基準データセットに変換することと、 前記電磁信号セットのそれぞれのものに対して、前記得られた電磁信号セットに対する信号振幅測定情報に基づき、方位角情報を計算することであって、前記計算された方位角情報が、基準の前記物体座標系における物体方位角軸に対する物体における前記電磁信号セットの到来の方向を部分的に指定する、計算することと、 前記コンピューティングデバイスによって、前記計算された方位角情報を、物体測定デ―タセットに変換することと、 前記コンピューティングデバイスによって、および、少なくとも前記ナビゲーション基準データセット、および、前記物体測定データセットに基づき、ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準のナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定することと、 を含み、前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される、方法。 【請求項2】 前記空間的配向を判定することが、 基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の現在の姿勢の推定を表す、姿勢4元数を初期化することと、 前記ナビゲーション基準データセットおよび前記物体測定データセットからの基準値を使用して、近似値を表す角度固有行列を確立することと、 前記姿勢4元数および前記角度固有行列を反復的にリファインすることと、 前記リファインした姿勢4元数を、相当するヨー、ピッチ、およびロール角に変換することと、を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記受信機器を使用して、電磁信号セットのそれぞれに対して、前記方位角情報の変化速度を測定することと、 電磁信号セットのそれぞれに対して、前記方位角情報の前記変化速度を、物体測定速度行列に変換することと、 前記物体測定速度行列を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の角速度の近似値を反復的にリファインすることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記反復的にリファインすることが、 (a)基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の角速度を初期化することと、 (b)基準の前記物体座標系の前記角速度を使用して、4元数の導関数を推定することと、 (c)前記物体測定速度行列を反復的にリファインすることと、 (d)前記4元数の導関数から、基準の前記物体座標系の前記角速度を計算することと、 (e)二次エラー値を計算することと、 (f)前記二次エラー値を、以前の二次エラー値と比較することと、を含み、 ステップ(b)から(f)が、複数回の反復で繰り返される、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 ステップ(b)から(f)が、前記二次エラー値と前記以前の二次エラー値の比較が実質的に同一になるまで繰り返される、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 基準の前記物体座標系の前記角速度は、基準の前記物体座標系が未知または初期状態にある場合に、ゼロに初期化される、請求項4に記載の方法。 【請求項7】 基準の前記物体座標系の前記角速度は、基準の前記物体座標系が急速な回転状態にある場合に、大きな速度に初期化される、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 基準の前記物体座標系の前記初期化された角速度が、前記物体測定速度行列を調整するため、および姿勢の推定値または前記初期化された角速度に対する前記方位角情報の変化速度をリファインするために使用される、請求項4に記載の方法。 【請求項9】 前記受信機器によって提供されたデータは前記方位角情報に変換される、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記電磁信号セットのそれぞれに対して、前記電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を検出することと、 基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定することであって、前記角加速度を判定することが、前記電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された加速度、および前記判定された空間的配向、ならびに前記判定された角変化速度の変化を使用することを含む、判定することと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記受信機器によって提供されたデータは前記方位角情報の前記加速度に変換される、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 基準の物体座標系の空間的配向に依存しない基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するためのシステムであって、前記システムは、 前記物体と共に固定の空間関係で共同配置され、方向変換機を備える受信機であって、前記受信機は、既知の位置を有する伝送源から電磁信号セットを受信し、基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報を検出するように適合され、前記方位角情報を検出することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき、前記方位角情報は、前記物体から、前記電磁信号セットが受信された伝送源への方向を部分的に画定する、受信機と、 物体姿勢判定モジュールであって、 i)少なくとも3つの別個の受信された電磁信号セットに対する方位角情報を、前記受信機から受信するように構成され、前記受信された電磁信号セットのそれぞれは、既知の位置を有する前記伝送源のうちの少なくとも3つのもののうちの異なるものから到来し、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれのものに対する前記検出された方位角情報を使用して、ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定するように構成され、前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される、物体姿勢判定モジュールと を含む、システム。 【請求項13】 物体速度判定モジュールをさらに含み、該物体速度判定モジュールは、 i)前記受信された電磁信号セットに対する前記方位角情報の変化速度を判定し、かつ、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された変化速度を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角変化速度を判定する ように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項14】 物体加速度判定モジュールをさらに含み、該物体加速度判定モジュールは、 i)前記受信された電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を判定し、かつ、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記方位角情報の前記検出された加速度を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定する ように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項15】 前記方位角情報は、前記受信された電磁信号セットのそれぞれに対する前記信号振幅測定情報から、ピーク信号振幅点に基づき検出される、請求項1に記載の方法。 【請求項16】 前記受信機器は方向変換機を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項17】 前記システムは、前記受信された電磁信号セットの仰角を検出することなく、前記空間的配向を判定するように構成される、請求項12に記載のシステム。 【請求項18】 前記システムは、前記電磁信号セットのそれぞれに対して、前記電磁信号セットに対する前記方位角情報の加速度を検出し、かつ、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向の角加速度を判定するように構成され、前記角加速度を判定することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する前記検出された前記方位角情報の加速度、および、前記判定された空間的配向、および、前記判定された角変化速度を使用することを含む、請求項12に記載のシステム。 【請求項19】 前記システムは、前記受信機によって提供されたデータが、前記方位角情報の前記加速度に変換されるように構成される、請求項18に記載のシステム。 【請求項20】 前記信号振幅測定情報は、前記受信機器に固定された単一の方位軸の周りで測定された方位角だけで変化する、請求項1に記載の方法。」 2 補正の適否 本件補正は、請求項1及び12について、平成27年2月10日付け拒絶理由通知書において「使用しない仰角情報をあえて検出することは、当業者が適宜なし得ることである。」([理由2]「1.請求項1,9,12,15~17,20」「備考」)と指摘されていたのを受けて、明細書中の他の記載(例えば、「難点として、しかしながら、方位角および仰角の両方を画定する能力のある受信および方向アンテナシステムは、概して、例えば、より単純な受信およびアンテナシステムと比較して、複雑であり、配向が判定される物体に空間要求を強いる。」(【0007】)、「物体から伝送ビーコンへの部分的な方向情報は、複数の受信されたビーコンのそれぞれに対して検出される。部分的な方向情報は、方位角情報を含み得るが、仰角情報は含まない・・・方向変換器は、例えば、厳密に仰角情報を検出するためには、単純または安価過ぎる可能性がある。」(【0038】)、「検出された方位角情報に基づいて、さらに仰角情報の検出を必要とすることなく、物体の空間的配向を推定することが可能である。」(【0071】))との関係において不合理を生じていた、補正前の「前記空間的配向の判定は検出された仰角情報を使用しないで実行される」との記載を、「前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される」と正し、その記載の本来の意味内容を明らかにするものである(なお、審判請求人も、審判請求書の請求の理由において、「出願人は、上記したように、請求項1,12の「検出された仰角情報を使用しないで実行される」という記載から「検出された」を削除して、本願請求項の発明が、「仰角情報をセンサで全く検出せず、当然に利用もできない態様」であることを明確化しました。」(「3.本願請求項の発明が特許されるべき理由」「(5)補正後の本願請求項の発明について」)と述べているところである。)から、特許法第17条の2第5項第4号の「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところもない。 3 小括 本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記「第2」のとおり特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合するので、本願の請求項1ないし20に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されたとおりのものと認められるところ、その請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2」1(2)【請求項12】に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、本願の請求項1、2、9、12、15ないし17及び20に係る発明は、いずれも、優先日前に頒布された刊行物である特開2001-235533号公報(平成13年8月31日出願公開。以下、「引用例」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、というものである。 3 引用例 (1)引用例には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車輌等移動体の3次元位置及びその地点における移動体の3次元角度を検出する方法、及びその方法で使用する検出装置に関する。」 イ 「【0009】また上記方法を具現化した請求項2に記載の発明の構成は、地球中心を原点とする絶対座標系における3次元位置が既知である少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波を受信することにより、移動体の3次元位置及び3次元角度を検出する検出装置であって、前記移動体と前記各電波発信機器との距離を検出する距離検出手段と、移動体における前記各電波の入射方向を検出する入射方向検出手段と、前記距離及び入射方向をもとに、移動体を原点とする相対座標系における各電波発信機器の3次元位置を算出する相対座標値算出手段と、各電波発信機器の前記絶対座標系での3次元位置情報と前記相対座標系での3次元位置情報とから、相対座標原点の絶対座標系での3次元位置、及び相対座標各軸の絶対座標系での方向余弦を算出する座標変換回路と、を備えたものである。」 ウ 「【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる移動体の3次元位置及び3次元角度検出装置(以下6次元情報検出装置という)について、図面をもとに説明する。図1は本発明にかかる6次元情報検出装置1の概要説明図であり、図2は図1における無指向性アンテナ9及び指向性アンテナ11の説明図である。ここで便宜上、移動体を原点とし、移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)を選定する。また、地球の中心を原点とする絶対座標系(X,Y,Z)が与えられている。 【0012】6次元情報検出装置1は、地球上空26,000kmの軌道上を周回している24基のGPS衛星(以下単に衛星という)から、後述する条件を満たす4基の衛星を選択する衛星選択回路2と、移動体Cと選択された衛星との距離dを検出する距離検出手段3と、各衛星から送信される電波の入射方向を検出する入射方向検出手段4と、絶対座標値出力回路5にて出力される衛星の位置情報(X,Y,Z)をもとに、各衛星間の距離Lを算出する衛星間距離算出回路6と、それら衛星との距離dと電波の入射方向θ、及び衛星間距離Lとから、衛星の相対座標系における3次元位置(x,y,z)を算出する相対座標値算出回路7と、相対座標原点の絶対座標系における3次元位置(XC,YC,ZC) 及び相対座標各軸の絶対座標系における方向余弦(λx,μx,νx),(λy,μy,νy),(λz,μz,νz) を算出する座標変換回路8と、を備えている。 【0013】距離検出手段3は、あらゆる方向の衛星から送信される電波を同時に受信可能な無指向性アンテナ9と、選択された4衛星と移動体Cとの距離dを算出する距離算出回路10と、から構成されている。また入射方向検出手段4は、方位角方向に指向性を有する指向性アンテナ11と、それらの受信強度を感知する受信レベル感知器12と、その強弱の情報をもとに、指向性アンテナ11の指向性を制御する指向性制御回路13と、制御されたアンテナの回動角度を出力する入射方向出力回路14と、から構成されている。なお上記無指向性アンテナ9及び指向性アンテナ11は、移動体Cの上部など電波を受信しやすい箇所に設置される。 【0014】無指向性アンテナ9は、グランドプレーン15と、その中心に設置されたGPS受信機(以下単に受信機という)16とを備えており、受信機16は衛星選択回路2を経て受信レベル感知器に接続されている。また、指向性アンテナ11は、無指向性アンテナ9のグランドプレーン外縁部に、仰角方向に広く方位角方向に狭い4枚の遮蔽板17,17・・が回動移動自在に設けられるとともに、遮蔽板17,17・・をそれぞれ独立に回動移動する駆動手段18が設けられている。また、受信機16は受信レベル感知器12に接続されており、指定された衛星からの電波の強度減衰を感知することができる。なお、遮蔽板17裏面(受信機側)は電波吸収素材で覆われており、電波の反射・撹乱を防止している。また、図2には説明の都合上、遮蔽板17を3枚しか図示していない。」 エ 「【0017】上記各衛星間距離Lii+1の算出と同時に、S4にて、選択された4基の衛星Si に対して通常のGPS測位を行い、S5で移動体Cとの距離di を距離算出回路10にて公知の方法でリアルタイムに算出し、その距離情報を相対座標値算出回路7に出力する。またS6にて、4基の衛星Si に4枚の遮蔽板17,17・・をそれぞれ対応させるとともに、対応する衛星Si から送信される電波の受信強度の極小値を検出し、S7にて受信強度が極小値から増大したか否かを判別する。受信強度が増大した場合は、S8にて受信強度が減衰する方向に遮蔽板17,17・・を回動移動させる。換言すれば、指定された衛星Si と受信機16とを遮蔽板17,17・・が常に遮るように、指向性制御回路13が駆動手段18を制御する。そして、受信強度が増大しない場合はS9にて、その時の遮蔽板17の基端中心と指向性アンテナ11の中心とを結ぶ直線aとx軸との角度θi を、入射方向出力回路14にて相対座標値算出回路7に出力する。」 オ 「【0020】続いて、相対座標値算出工程P2で算出された衛星Si の相対座標値(xi,yi,zi) と、既知の情報である衛星Si の絶対座標値(Xi,Yi,Zi) (i=1,2,3)とを比較して、相対座標原点つまり移動体Cの3次元位置(XC,YC,ZC)、 及び相対座標各軸の絶対座標系における方向余弦、つまり移動体の3次元角度(λx, μx,νx),(λy,μy,νy),(λz,μz,νz)を、座標変換回路8が以下のように算出する。・・・」 カ 「【0025】なお、本発明の6次元情報検出装置は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、電波発信機器,衛星選択回路,距離検出手段,入射方向検出手段,相対座標値算出手段,座標変換回路等、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で適宜変更できる。例えば、電波発信機器にあっては、実施形態のGPS衛星に限定されず、静止衛星など各時刻における3次元位置が既知のものならば何でもよい。また、距離検出手段にあって、無指向性のGPS受信機を採用する場合には、移動体にGPS受信機を1機のみならず複数機搭載し、その測位精度を向上させる構成としても差し支えない。さらに、入射方向検出手段について、上記実施形態では無指向性アンテナのグランドプレーン外縁部に設置した4枚の遮蔽板をそれぞれ独立に制御することにより電波の入射方向を検出する構成について説明したが、遮蔽板を1本のみグランドプレーン外縁部に固定し、アンテナ基端部を方位角方向に回動可能とした指向性アンテナを4機搭載する構成とすることもできる。また、上記遮蔽板に代えて、下端縁から仰角方向にスリットを設けた半球状のドームを受信機にかぶせ、電波の受信レベルが高くなった方向をもって電波の入射方向とする構成としてもよい。また指向性アンテナの設置数も4個に限定するものではない。さらに、上記実施形態では方位角方向に指向性を持たせたアンテナを採用しているが、仰角方向に指向性を持たせたアンテナを用いても同等の結果を得ることができる。加えて、上記実施形態では無指向性アンテナと指向性アンテナとを別個に設けた構成について述べたが、1つのアンテナの無指向性・指向性をソフト的に切り替える構成とすることも可能である。このようにすれば、高価なGPS受信機の設置数を1機のみとすることができ、装置をさらに低コストに抑えることができる。」 (2)よって、上記アないしオの記載並びに図面の図1及び図2から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は、関連する記載箇所を示す。)。 「地球中心を原点とする絶対座標系における3次元位置が既知である少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波を受信することにより、移動体の3次元角度を検出する検出装置であって、(【0001】、【0009】) 移動体における前記各電波の入射方向を検出する入射方向検出手段と、(【0009】) 前記移動体と前記各電波発信機器との距離及び入射方向をもとに、移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)における各電波発信機器の3次元位置を算出する相対座標値算出手段と、(【0009】、【0011】) 各電波発信機器の前記絶対座標系での3次元位置情報と前記相対座標系での3次元位置情報とから、相対座標各軸の絶対座標系における方向余弦、つまり移動体の3次元角度を算出する座標変換回路と、を備え、(【0009】、【0020】) 入射方向検出手段は、移動体の上部など電波を受信しやすい箇所に設置される、方位角方向に指向性を有する指向性アンテナと、それらの受信強度を感知する受信レベル感知器と、その強弱の情報をもとに、指向性アンテナの指向性を制御する指向性制御回路と、制御されたアンテナの回動角度を出力する入射方向出力回路と、から構成され、指向性アンテナは、無指向性アンテナのグランドプレーン外縁部に仰角方向に広く方位角方向に狭い遮蔽板が回動移動自在に設けられてなり、入射方向出力回路は、受信強度が極小値から増大しない場合の遮蔽板の基端中心と指向性アンテナの中心とを結ぶ直線aとx軸との角度を出力する、(【0013】、【0014】、【0017】) 検出装置。」 4 対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「移動体」は、本願発明の「物体」に相当するから、引用発明の「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」は、本願発明の「基準の物体座標系」に相当する。 次に、引用発明の「3次元角度」は、本願発明の「空間的配向」に相当し、引用発明の「地球中心を原点とする絶対座標系」が、「地球」に固定されていて「移動体の3次元角度」に依存しないものであることは、明らかである。したがって、引用発明の「地球中心を原点とする絶対座標系」は、本願発明の「基準の物体座標系の空間的配向に依存しない基準のナビゲーション座標系」に相当する。 そして、引用発明の「検出装置」は、「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「相対座標各軸」について、「地球中心を原点とする絶対座標系」「における方向余弦」「を算出」し、それを「移動体の3次元角度」として「検出」するものであるから、「地球中心を原点とする絶対座標系」に関して、「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「3次元角度を検出する」ためのシステムであるといえる。 よって、引用発明の「移動体の3次元角度を検出する検出装置」は、本願発明の「基準の物体座標系の空間的配向に依存しない基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するためのシステム」に相当する。 イ 引用発明における「入射方向検出手段」の「指向性アンテナ」は、「移動体の上部など電波を受信しやすい箇所に設置される」ものであるところ、引用発明の「入射方向検出手段」が、「移動体」に対し空間関係が固定されて「設置される」ことは、明らかであり、また、引用発明の「入射方向検出手段」は、「電波を受信」して「各電波の入射方向を検出する」ものであるから、受信機としての機能を備えるものといえる。 次に、引用発明の「電波発信機器」は、本願発明の「伝送源」に相当するから、引用発明の「地球中心を原点とする絶対座標系における3次元位置が既知である少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波」は、本願発明の「既知の位置を有する伝送源から」の「電磁信号セット」に相当する。 そして、引用発明の「入射方向検出手段」は、「無指向性アンテナのグランドプレーン外縁部に仰角方向に広く方位角方向に狭い遮蔽板が回動移動自在に設けられてな」る構成の「方位角方向に指向性を有する指向性アンテナ」を備え、「少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波を受信」して、「移動体における前記各電波の入射方向を検出する」ものであって、「受信強度が極小値から増大しない場合の遮蔽板の基端中心と指向性アンテナの中心とを結ぶ直線aと」、「相対座標系(x,y,z)」の「座標軸」の1つである「x軸」「との角度を」、「入射方向出力回路」から「出力する」ものであるから、当該「出力」される「直線aとx軸との角度」は、「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」に関して「電波発信機器から送信される電波」が「入射」する「方位角」を識別するための情報であるといえる。したがって、引用発明における「入射方向検出手段」の「入射方向出力回路」から「出力」される「直線aとx軸との角度」は、本願発明の「基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報」に相当する。 また、引用発明の「受信レベル感知器」によって「感知」される「受信強度」は、本願発明の「測定された信号振幅」に相当するから、引用発明において、「受信レベル感知器」により「それらの受信強度を感知」し、「受信強度が極小値から増大しない場合の遮蔽板の基端中心と指向性アンテナの中心とを結ぶ直線aとx軸との角度を出力する」ことは、本願発明において、「前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき」「前記方位角情報を検出すること」に相当する。 さらに、一般に、3次元空間内において電波が入射する方向を一意に定めるために、例えば方位角と仰角のように、角度に関する2つの情報が必要であることは、幾何学的に見て明らかなことであるから、引用発明において、「電波発信機器から送信される電波」が「入射」する「方位角」を識別するための情報である、「直線aとx軸との角度」は、「電波発信機器から送信される電波」の「入射方向」を部分的に画定するものということができる。 よって、引用発明の「入射方向検出手段」と、本願発明の「前記物体と共に固定の空間関係で共同配置され、方向変換機を備える受信機であって、前記受信機は、既知の位置を有する伝送源から電磁信号セットを受信し、基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報を検出するように適合され、前記方位角情報を検出することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき、前記方位角情報は、前記物体から、前記電磁信号セットが受信された伝送源への方向を部分的に画定する、受信機」とは、「前記物体と共に固定の空間関係で共同配置された受信機であって、前記受信機は、既知の位置を有する伝送源から電磁信号セットを受信し、基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報を検出するように適合され、前記方位角情報を検出することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき、前記方位角情報は、前記物体から、前記電磁信号セットが受信された伝送源への方向を部分的に画定する、受信機」である点で共通する。 ウ 引用発明の「相対座標値算出手段」は、「入射方向検出手段」が「検出」した、「地球中心を原点とする絶対座標系における3次元位置が既知である少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波」「の入射方向」と、「前記移動体と前記各電波発信機器との距離」と「をもとに、移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)における各電波発信機器の3次元位置を算出する」ものであり、また、引用発明の「座標変換回路」は、「相対座標値算出手段」が「算出」した「前記相対座標系での3次元位置情報」と、「既知」の「各電波発信機器の前記絶対座標系での3次元位置情報」と「から、相対座標各軸の絶対座標系における方向余弦、つまり移動体の3次元角度を算出する」ものである。したがって、引用発明における、「相対座標値算出手段」及び「座標変換回路」からなる構成は、「入射方向検出手段」が「検出」した、「地球中心を原点とする絶対座標系における3次元位置が既知である少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波」「の入射方向」「をもとに」、「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「相対座標各軸」について、「地球中心を原点とする絶対座標系」「における方向余弦」「を算出」し、それを「移動体の3次元角度」として「検出する」ものであって、「移動体」の姿勢を判定するためのモジュールということができる。 そして、引用発明の「相対座標値算出手段」及び「座標変換回路」からなる構成において、「相対座標各軸の絶対座標系における方向余弦、つまり移動体の3次元角度を算出する」にあたり、「少なくとも3個の電波発信機器から送信される電波」の「入射方向」の情報として使用されているのは、「方位角」を識別するための情報である「直線aとx軸との角度」であり、その際に、仰角に関する情報は使用されていない。 よって、引用発明の「相対座標値算出手段」及び「座標変換回路」からなる構成と、本願発明の「物体姿勢判定モジュールであって、i)少なくとも3つの別個の受信された電磁信号セットに対する方位角情報を、前記受信機から受信するように構成され、前記受信された電磁信号セットのそれぞれは、既知の位置を有する前記伝送源のうちの少なくとも3つのもののうちの異なるものから到来し、ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれのものに対する前記検出された方位角情報を使用して、ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定するように構成され、前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される、物体姿勢判定モジュール」とは、「物体姿勢判定モジュールであって、i)少なくとも3つの別個の受信された電磁信号セットに対する方位角情報を、前記受信機から受信するように構成され、前記受信された電磁信号セットのそれぞれは、既知の位置を有する前記伝送源のうちの少なくとも3つのもののうちの異なるものから到来し、ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれのものに対する前記検出された方位角情報を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定するように構成され、前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される、物体姿勢判定モジュール」である点で共通する。 (2)上記(1)アないしウから、本願発明と引用発明とは、 「基準の物体座標系の空間的配向に依存しない基準のナビゲーション座標系に関して、物体の基準の物体座標系の空間的配向を判定するためのシステムであって、前記システムは、 前記物体と共に固定の空間関係で共同配置された受信機であって、前記受信機は、既知の位置を有する伝送源から電磁信号セットを受信し、基準の前記物体座標系に関して前記電磁信号セットが受信される方位角を識別する方位角情報を検出するように適合され、前記方位角情報を検出することは、前記電磁信号セットのそれぞれに対する測定された信号振幅のそれぞれに基づき、前記方位角情報は、前記物体から、前記電磁信号セットが受信された伝送源への方向を部分的に画定する、受信機と、 物体姿勢判定モジュールであって、 i)少なくとも3つの別個の受信された電磁信号セットに対する方位角情報を、前記受信機から受信するように構成され、前記受信された電磁信号セットのそれぞれは、既知の位置を有する前記伝送源のうちの少なくとも3つのもののうちの異なるものから到来し、 ii)前記受信された電磁信号セットのそれぞれのものに対する前記検出された方位角情報を使用して、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定するように構成され、前記空間的配向の判定は仰角情報を使用しないで実行される、物体姿勢判定モジュールと を含む、システム。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明の「受信機」では、「方向変換機を備える」のに対し、 引用発明の「入射方向検出手段」では、「方向変換機」について特定がない点。 (相違点2) 本願発明の「物体姿勢判定モジュール」では、「ヨー、ピッチ、およびロール角を含む、基準の前記ナビゲーション座標系に関する基準の前記物体座標系の前記空間的配向を判定する」のに対し、 引用発明の「相対座標値算出手段」及び「座標変換回路」からなる構成では、「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「相対座標各軸」について、「地球中心を原点とする絶対座標系」「における方向余弦」「を算出」し、それを「移動体の3次元角度」として「検出する」ものの、「地球中心を原点とする絶対座標系」に関する「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「3次元角度」が、「ヨー、ピッチ、およびロール角を含む」点については、特定がない点。 (3)相違点の判断 ア 相違点1について 引用発明における「入射方向検出手段」の「指向性アンテナ」にあっては、「回動移動自在に設けられ」た「遮蔽板」により、その「指向性」が「制御」される構成とされ、また、引用発明における「入射方向検出手段」の「入射方向出力回路」にあっては、「受信強度が極小値から増大しない場合の遮蔽板の基端中心と指向性アンテナの中心とを結ぶ直線aとx軸との角度」を、「制御されたアンテナの回動角度」として「出力する」構成とされているのであるから、引用発明の「入射方向検出手段」は、方向を変換するための機能、すなわち「方向変換機」としての機能を、実質的に備えるものということができ、そうすると、相違点1は実質的な相違点ではない。 また、相違点1が仮に実質的な相違点であったとしても、引用例には、「入射方向検出手段について、上記実施形態では無指向性アンテナのグランドプレーン外縁部に設置した4枚の遮蔽板をそれぞれ独立に制御することにより電波の入射方向を検出する構成について説明したが、遮蔽板を1本のみグランドプレーン外縁部に固定し、アンテナ基端部を方位角方向に回動可能とした指向性アンテナを4機搭載する構成とすることもできる。また、上記遮蔽板に代えて、下端縁から仰角方向にスリットを設けた半球状のドームを受信機にかぶせ、電波の受信レベルが高くなった方向をもって電波の入射方向とする構成としてもよい。」(【0025】)との示唆がなされているのであるから、引用発明の「入射方向検出手段」について、例えば「アンテナ基端部を方位角方向に回動可能とした指向性アンテナ」を用いた構成とすることにより、「方向変換機」の機能を備えたものとして、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 イ 相違点2について 一般に、座標系相互間の3次元角度を、ヨー、ピッチ及びロール角によって表現することは、常とう手段である(例えば、特開2002-54946号公報(【0015】ないし【0026】)、特開2004-233185号公報(【0001】ないし【0008】)を参照。)から、引用発明においても、「地球中心を原点とする絶対座標系」に関する「移動体を原点とし移動体に固定した3軸を座標軸とする相対座標系(x,y,z)」の「3次元角度」を、「相対座標各軸の絶対座標系での方向余弦」から求めた、ヨー、ピッチ及びロール角によって表現するものとし、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-003809

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