2019-015868
1次元光学エミッタの2次元走査に基づいた3次元ライダセンサ
- 審判番号
- 2019-015868
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-520538外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月26日
- 審決日
- 2020年09月14日
- 公報発行日
- 2021年03月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G01S)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成27年10月20日(パリ条約による優先権主張2014年10月20日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成30年11月26日付けの拒絶理由の通知に対して、指定期間内に意見書又は手続補正書の提出がされなかったため、令和元年7月24日付けで拒絶査定がされ(以下「原査定」という。送達日:同月26日)、これに対して令和元年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本件の請求項1に係る発明は、令和元年11月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】飛行時間ライダ装置であって、a)1つの次元において感知する単一光学エミッタであって、前記単一光学エミッタは、放射パターンを形成するための単一レーザバーであり、前記放射パターンの包絡線は、1次元感知を提供するために伸長されている、単一光学エミッタと、b)少なくとも1つの光検知器と、c)前記エミッタおよび少なくとも1つの光検知器を回転させるスピンタレットと、d)前記スピンタレットをケースに入れるために静的である外部ケースであって、前記外部静的ケースは、視覚的に不透明であり、かつ前記スピンタレット上の前記エミッタによって発される赤外線の放射に本質的に透明である、窓を有する、外部ケースとを備える、装置。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は、この出願の請求項1-3に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.特開2002-323561号公報
引用文献2.特開平10-325872号公報
引用文献3.米国特許出願公開第2014/0211194号明細書
引用文献4.特開2008-064794号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献に記載された発明
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の平成14年11月8日に頒布された刊行物である特開2002-323561号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「距離プロフィール定量装置」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)
<記載事項1>
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、距離プロフィール定量装置であって、監視空間の方向にパルス状光信号を送信する光送信器、監視空間から反射/返送される光信号を受信する光受信器、および、距離値を、前記光信号の送信および受信間の光伝送時間に基づいて定量する評価ユニットを含む距離プロフィール定量装置に関わる。」
<記載事項2>
「【0014】光送信器は好ましくはレーザーダイオードとして製造される。必要電力を実現するためまたは増加させるため、複数のレーザーダイオードが合わさって前記光送信器を形成することも可能である。【0015】光受信器は好ましくは、フォトダイオードが直線にそって延長するフォトダイオード列として形成される。この直線は、例えば、その内部おいて扇形光束が延長する平面内に存在する。【0016】光変位装置が、光送信器側に供給されるならばそれは特に好ましい。そのような光変位ユニットによって、扇形光束を、例えば、そこにおいてその扇形光束が延長する平面にたいして垂直に変位させることが可能となる。従って、変位方向に光の「迷走」線が生成され、これが、従来技術で既知のスキャナーと対照的に、一平面の監視のみならず、空間の監視をも可能とする。この場合、光受信器が、フォトダイオード二次元配列として形成されると有利である。」
<記載事項3>
「【0020】図1は、一平面内に延びる、複数の光線3から成る扇形光束2を送信する、本発明による装置1を示す。光束2の生成は、例えば、1個以上のレーザーによって実現が可能である。例えば4個のレーザーが使用された場合、各レーザーの前に送信レンズを挿入すれば、最終的に、光束2の8本の光線3の各レンズによる送信が可能となり、全体では、24本の光線3から成る、1本の光束が送信される。しかしながら、使用されるレーザーの数は、如何様にも好みのやり方でそれぞれの用途に適合が可能であり、レーザーによって生成される光線3の数についても同様である。【0021】光束2は、図示の例では、光束2の伝播方向にたいして実質的に垂直に延びる平面4の方向に送信される。しかしながら、この平面はまた、他の用途においては、光束2の伝播方向にたいして如何様にも好みの傾きを持って延長することが可能である。光束2によって光の直線5が表面4の上に生成される。装置1によって送信される光は、この光直線5によって、装置1に反射/返送され、この反射/返送された光は装置1に受信される。装置1と、表面4に結像される光直線5の反射/返送点との間にあって、個々の光線3と関連する距離は、光線3の送信と、この光線3と関連する反射光/返送光の受信との間の時間から、装置1において計算が可能となる。【0022】装置1と表面4の間の空間にある対象を挿入すると、この対象の領域における反射/返送はもはや表面4では起こらず、光線3がその対象に入射する点で起こる。従って、この対象の装置1からの距離、または、対象の輪郭は、図1による配置によって定量される距離信号から計算が可能である。【0023】光束2は、軸Aの周囲に周期的に軸回転される。このことは特に図2から見て取ることができる。この軸回転は、図1に示した光束2の領域に配置された対象物が、図1および2による配置によって検出可能となるという作用をもたらすばかりではない。作用はむしろ、光束2の、全軸回転範囲内に配される全ての対象物が検出可能となることである。軸回転範囲は、例えば、180°にまで増えてもよいばかりでなく360°でも問題はない。約160°の軸運動でも、装置1を取り巻く全空間を監視することが可能である。【0024】図3は装置1に配置される光受信器6を示し、ここに前記光受信器は複数の、並べて配置されたフォトダイオード列7から成る。これと関連して、各フォトダイオードは一つの反射/返送光線3と関連し、そのため各フォトダイオード7は、それと関連する前記反射/返送光線の受容時に信号を送信することが可能であり、そしてこの信号は評価ユニット8に供給される。評価ユニット8にはさらに、全ての光線3の同時送信時点に一致する信号Sが供給される。この信号Sと、フォトダイオード7によって利用可能とされる信号から、評価ユニット8において、各光線3の光伝送時間が計算可能となる。次に、光速を考慮に入れて、各光線3と関連する反射/返送点の、装置1からの距離について結論を引出すことが可能になる。」
【図1】
【図2】
【図3】
【0015】、【0024】、【図3】からみて、光受信機6は、光送信機と同じく装置1に配置される、直線に沿って延長するフォトダイオード列からなり、同じく直線であり軸回転する光束2の反射光を受光しているから、当該光束2を送信する光送信機と一緒に、光変位装置によって軸回転されていることが読み取れる。
よって、上記記載事項1-3及び上記図1-3の記載からみて、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「光信号の送信および受信間の光伝送時間に基づいて距離値を定量する距離プロフィール定量装置であって(【0001】)、複数のレーザーダイオードが合わさって形成され、表面4の上に光直線5が生成される光束2を送信する光送信機(【0001】、【0014】、【0020】、【0021】、【図1】)と、フォトダイオードが直線にそって延長するフォトダイオード列として形成される光受信器6(【0001】、【0015】、【0024】、【図3】)と、前記光送信機及び光受信機6を軸回転させる光変位装置と(【0015】、【0016】、【0023】、【0024】、【図2】、【図3】)、を備える、距離プロフィール定量装置(【0001】)。」
2 引用文献2
同じく原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の平成10年12月8日に頒布された刊行物である特開平10-325872号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
<記載事項4>
「【0055】この発明の請求項17に係る光レーダ装置は、その装着部分を車両のドアミラー内部とし、運転者が黙視する反射面を可視光の波長の光を反射するが、本レーダ装置の送光ビームの850nmの近赤外線は透過する誘電体膜による反射面としたものである。【0056】この発明の請求項18に係る光レーダ装置は、前記ドアミラーの外殻を所望の色彩となり同時に前記送光ビームの850nmの光を透過する特性を持つ染料を添加した樹脂材で加工したものである。【0057】すなわち、ドアミラーの外殻部材を送光光束の波長の光は透過するが所望の色彩となる染料を添加された樹脂等を材料とすることにより、水平方向のほぼ180度の範囲の物体の位置が検出できる。」
<記載事項5>
「【0062】この実施の形態1の光レーダ装置は、レーザ光を発生する光源としてレーザダイオード10を備えており、このレーザダイオード10は、電源回路32,LD駆動回路33を搭載した発光回路31により駆動される。レーザダイオード10から発光したレーザ光は、発光手段30に導入されて透過あるいは反射される。この発光手段30は、後に詳細に説明する光学要素により構成され、光源10から発光されるレーザ光の有する非点隔差を除去し、所望の光束特性を与える。【0063】発光手段30により所望特性が付与されたレーザ光は、送光手段40に送られる。この送光手段40は、後で詳細に説明するが、図示の垂直方向にのみ光束を拡げるために垂直断面内で曲面を持つ円筒面系の反射鏡40aから構成される。今回製作した反射鏡40aは、曲率が一定の円筒面を有するもので、それにより垂直方向の全角で6度程度の拡がり角を持つファンビームが形成される。また、送光手段40はアクチュエータ50の回転軸に直結されており、水平面内で回転あるいは回動することにより、前記ファンビームを全方位に走査することができる。【0064】前記全方位に走査されたファンビームは対象物体に当たって反射され、この反射光は反射光反射手段である回転放物面鏡90に導かれる。この回転放物面鏡90は、ピンフォトダイオード100にその焦点90aを持つと同時に、この焦点90aを回転軸52の延長線上に配置することで、全方位の再帰反射光の受光と集光が可能となる。受光回路110は、再帰反射光を焦点90aに配置するピンフォトダイオード100により光電変換した後、電気量を増幅するためのものである。殻191は装置の外殻を形成するものであり、近赤外線の波長を透過させるが可視光は吸収する特性を有する染料を添加した樹脂を射出成型加工により形成しており、気密・防水構造としている。【0065】フォトダイオード120は位置原点検出用のセンサであり、送光手段40を介してファンビームを全方位に走査する際に、このフォトダイオード120によりファンビームを走査周期毎に受光して、位置原点検出回路23により後述する位置原点検出信号24を生成する。【0066】この光レーダ装置のメイン基板20には、レーザダイオード10がレーザ光を発光してから受光手段であるピンフォトダイオード100が反射光を受光するまでの伝搬遅延時間に基づいて対象物体までの距離を演算する距離演算部21,アクチュエータ50を回転駆動させるアクチュエータ駆動回路22,前述した位置原点検出回路23等の電子・電気部品を搭載しており、前述の発光回路31のインターフェース回路34に接続されている。」
よって、上記記載事項4-5の記載からみて、引用文献2には、以下の技術が記載されているものと認められる。
「850nmの近赤外線であって(【0055】)、レーザダイオード10から発光し、発光手段30により所望特性が付与されたレーザ光に基づいて、垂直方向の全角で6度程度の拡がり角を持つファンビームを形成するとともに、アクチュエータ50の回転軸に直結された送光手段40により、当該ファンビームを全方位に走査し(【0062】、【0063】)、対象物体に当たって反射された当該ファンビームをピンフォトダイオード100で受光し(【0064】、【0066】)、前記レーザダイオード10がレーザ光を発光してから受光手段である前記ピンフォトダイオード100が反射光を受光するまでの伝搬遅延時間に基づいて前記対象物体までの距離を演算する(【0066】)装置において、前記近赤外線の波長を透過させるが可視光は吸収する特性を有する染料を添加した樹脂を射出成型加工により形成した殻191により、当該装置の外殻を形成することで、気密・防水構造とする技術(【0064】)。」
3 引用文献3
同じく原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の平成26年7月31日に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2014/0211194号明細書(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、原文は英語で記載されているため、当審による仮訳を併せて示す。
<記載事項6>
「[0004]A lidar sensor is a light detection and ranging sensor. It is an optical remote sensing module that can measure the distance to a target or objects in a landscape, by irradiating the target or landscape with light, using pulses (or alternatively a modulated signal) from a laser, and measuring the time it takes photons to travel to said target or landscape and return after reflection to a receiver in the lidar module.」
([0004]ライダーセンサは、光検出及び測距センサであり、レーザからのパルス(あるいは、変調された信号)を用いた光を標的または風景に照射し、前記標的または風景まで移動し、反射され、ライダーモジュール内の受信機に戻ってきた光を検出するまでの時間を測定することによって、風景中の標的または対象物までの距離を測定する光学リモートセンサモジュールである。)
<記載事項7>
「[0012]The schematic diagram of FIG. 1 provides an external view of a lidar sensor 10 that can be used in the present invention, depicting a static base 20 and a static head assembly 30 that includes a window 40 that is transparent at the wavelength of the laser used in each transmitter.[0013]The schematic diagram of FIG. 2 provides an internal view of a lidar sensor that can be used in the present invention, depicting a static base 50 that contains a motor and distributed electronics, and a spinning turret 60 that contains optoelectronic components 70 (including optical transmitters and receivers), collimation and focusing lenses 80 and distributed electronics. The multi-channel TDC electronic circuitry of the present invention can be located on said static base and/or on said spinning turret.」
([0012]図1の概略図は、本発明に用いることができるライダーセンサ10の外観図であり、送信器のそれぞれで使用されるレーザの波長で透明である窓40とを含む静的なベース20と固定ヘッドアセンブリ30を示す。
[0013]図2の概略図は、本発明に用いることができるライダーセンサの内部で、モータ及び分散型電子機器を含む静的なベース50と、光電子部品70(光送信機および光受信機を含む)、視準及び集束レンズ80及び分散型電子機器を含んでいる回転タレット(原文は、spinning turret)60を示す。本発明のマルチチャネルTDCの電子回路は、前記ベース及び/又は前記回転タレット(原文は、spinning turret)上に配置することができる。)
【図1】
【図2】
[0013]、図2からみて、静的なベース50が備えるモータによって、光電子部品70(光送信機および光受信機を含む)を含んでいる回転タレット([0013])が軸回転されていること([図2])が読み取れる。
よって、上記記載事項6-7、及び上記図1-2の記載からみて、引用文献3には、以下の技術が記載されているものと認められる。
「光を標的または風景に照射し、前記標的または風景まで移動し、反射され、ライダーモジュール内の受信機に戻ってきた光を検出するまでの時間を測定することによって、風景中の標的または対象物までの距離を測定するライダーセンサにおいて([0004])、静的なベース50と、光電子部品70(光送信機および光受信機を含む)を含んでいる回転タレット(原文は、spinning turret)60を有し、上記静的なベース50が備えるモータによって、上記回転タレット(原文は、spinning turret)60が軸回転されるライダーセンサ10([0013]、[図2])。」
4 引用文献4
同じく原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の平成20年3月21日に頒布された刊行物である特開2008-64794号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
<記載事項8>
「【0027】画像表示装置30は、図4に示すように、複数のレーザ光を射出するレーザ光源31と、ホログラム素子(光学素子)32と、1次元ライトバルブ33と、スキャンミラー(走査手段)34とを備えている。レーザ光源31は、複数の発光部31aが一方向に沿って並んで配列された半導体レーザバーである。このような発光部31aの配列により、発光部31bの端部間の距離の長手方向が、発光部31aの配列方向A1となっている。また、レーザ光源31は、第1実施形態と同様に、当該レーザ光源31の発光部31bの配列方向A1と1次元ライトバルブ33の光照明領域33bの長手方向B1とが合うように配置されている。【0028】ホログラム素子32は、レーザ光源31から射出されたレーザ光をレーザ光源31の発光部31aの長手方向A1に沿った線状のレーザ光Dに変換する光学素子である。また、このホログラム素子32は、第1実施形態の変形例で用いた計算機ホログラムである。」
【図4】
5 引用文献5
本願の優先日前の平成19年10月11日に頒布された刊行物である特表2007-528509号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
<記載事項9>
「【0016】図1aおよび図1bに示されるように、本発明に従った配置は、半導体レーザバー1を有し、半導体レーザバー1はX方向において互いに隣接し、かつ互いに間隔をあけて設けられるいくつかの数の発光体を含む。半導体レーザバー1は、図1a、図1b、図2a、図2bにおいては、矩形でただ単に概略的に描かれている。半導体レーザバーの場合、ダイバージェンスは、いわゆる速軸、すなわちY方向、または、発光体が互いに隣接して配置される方向に垂直な方向において、遅軸、すなわちX方向におけるよりも明らかに大きい。」
【図1a】
【図1b】
第5 対比
本願発明と引用発明1を対比する。
引用発明1の「光信号の送信および受信間の光伝送時間」は、本願発明の「飛行時間」に相当する。また、光信号を対象物に送信し、当該光信号の送受信間の光伝送時間(飛行時間)に基づいて、当該対象物の距離を測定する装置のことを、一般に「ライダ装置」と呼ぶことは技術常識である(例えば、上記引用文献3の[0004]を参照。)。
よって、引用発明1の「光信号の送信および受信間の光伝送時間に基づいて距離値を定量する距離プロフィール定量装置」は、本願発明の「飛行時間ライダ装置」に相当する。
引用発明1の「光送信機」は、複数のレーザーダイオードが合わさって形成されていることから、本願発明の「単一光学エミッタ」に相当する。
また、表面4の上に生成される光直線5は、本願発明の「放射パターン」に相当し、かつ引用発明1において、光直線5の反射光は、直線に沿って延長するフォトダイオード列により感知されており、直線は「1つの次元」、「1次元」と認められることから、本願発明の「放射パターンの包絡線は、1次元感知を提供するために伸長されている」ものに相当する。
よって、引用発明1の「複数のレーザーダイオードが合わさって形成され、表面4の上に光直線5が生成される光束2を送信する光送信機」と、本願発明の「a)1つの次元において感知する単一光学エミッタであって、前記単一光学エミッタは、放射パターンを形成するための単一レーザバーであり、前記放射パターンの包絡線は、1次元感知を提供するために伸長されている、単一光学エミッタ」は、「a)1つの次元において感知する単一光学エミッタであって、前記放射パターンの包絡線は、1次元感知を提供するために伸長されている、単一光学エミッタ」という点で共通する。
引用発明1の「フォトダイオードが直線にそって延長するフォトダイオード列として形成される光受信器6」は、本願発明の「b)少なくとも1つの光検知器」に相当する。
引用発明1の「前記光送信機及び光受信機6を軸回転させる光変位装置」と、本願発明の「前記エミッタおよび少なくとも1つの光検知器を回転させるスピンタレット」は、「前記エミッタおよび少なくとも1つの光検知器を回転させる装置」という点で共通する。
したがって、本願発明と引用発明1の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
<一致点>
飛行時間ライダ装置であって、
a)1つの次元において感知する単一光学エミッタであって、前記放射パターンの包絡線は、1次元感知を提供するために伸長されている、単一光学エミッタと、
b)少なくとも1つの光検知器と、
c)前記エミッタおよび少なくとも1つの光検知器を回転させる装置と、
を備える、装置
である点。
<相違点1>
放射パターンを形成する単一光学エミッタについて、本願発明では「放射パターンを形成するための単一レーザバー」であるのに対して、引用発明1では、単一レーザバーであるかどうか不明である点。
<相違点2>
エミッタおよび少なくとも1つの光検知器を回転させる装置について、本願発明では「スピンタレット」であるのに対して、引用発明1では、スピンタレットであるかどうか不明な点。
<相違点3>
本願発明では「前記スピンタレットをケースに入れるために静的である外部ケースであって、前記外部静的ケースは、視覚的に不透明であり、かつ前記スピンタレット上の前記エミッタによって発される赤外線の放射に本質的に透明である、窓を有する、外部ケース」を備えているのに対して、引用発明1では、そのような外部ケースを備えているかどうか不明な点。
第6 判断
1 相違点1
上記相違点1について検討する。
引用発明1の「光送信機」は、複数のレーザーダイオードが合わさって形成されたものであり(【0014】)、光直線5である光束2を送信するものであるから(【0021】)、上記複数のレーザダイオードは、直線に沿って配列されていると認められる。
そして、複数の発光部が一方向に沿って並んで配列された単一の部材として、半導体レーザバーは周知である(例えば、上記引用文献4の【0027】、【0028】、【図4】、上記引用文献5の【0016】、【図1a】、【図1b】を参照。)。
よって、引用発明1の、複数のレーザーダイオードが合わさって形成され、直線に沿って配列されていると認められる光送信機として、上記周知の単一部材である半導体レーザバーを採用し、「単一光学エミッタ」を、「放射パターンを形成するための単一レーザバー」とすることに、格別の困難性があるものとはいえない。
したがって、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。
2 相違点2
上記相違点2について検討する。
上記引用文献3には、上述したように、「静的なベース50と、光電子部品70(光送信機および光受信機を含む)を含んでいる回転タレット(原文は、spinning turret)60を有し、上記静的なベース50が備えるモータによって、上記回転タレット(原文は、spinning turret)60が軸回転されるライダーセンサ10([0013]、[図2])。」について記載されている。
そして、引用発明1と引用文献3に記載された技術とは、いずれも光送信機と光受信機を軸回転させて、光送信機により光信号を対象物に送信し、当該対象物からの反射光を光受信機により受信し、当該光信号の送受信間の光伝送時間(飛行時間)に基づいて、当該対象物の距離を測定するライダー装置に関するものであるから、引用発明1の、光送信機と光受信機を軸回転させる構成として、引用文献3の回転タレット、すなわち「スピンタレット」を採用するようにすることに、格別の困難性があるものとはいえない。
したがって、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明1、引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。
3 相違点3
上記相違点3について検討する。
上記引用文献2には、上述したように、850nmの近赤外線を対象物体に送信し、当該対象物の反射光を受信し、その送受信間の伝搬遅延時間に基づいて前記対象物体までの距離を演算する装置において、前記近赤外線の波長を透過させるが可視光は吸収する特性を有する染料を添加した樹脂により形成した殻191により、当該装置の外殻を形成することで、気密・防水構造とする技術が記載されている。
引用発明1と引用文献2に記載された技術とは、いずれも、光信号を対象物に送信し、当該対象物からの反射光を受信し、その送受信間の光伝送時間(飛行時間)に基づいて、当該対象物の距離を測定する装置という同一の技術分野に属するものであり、かつ、そのような距離を測定するのに用いられる光信号に近赤外線が含まれることは技術常識であり、さらに、装置一般において、気密・防水構造として、耐環境性を高めることは、周知の課題であることから、引用発明1において、複数のレーザーダイオードが合わさって形成される光送信機が送信する光を近赤外線とする場合に、気密・防水構造として耐環境性を高めるために、引用文献2に記載された、近赤外線の波長を透過させるが可視光は吸収する特性を有する染料を添加した樹脂により形成した殻191を外殻として形成すること、すなわち「視覚的に不透明であり」、「赤外線の放射に本質的に透明である、窓を有する、外部ケース」を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明1、引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明によって奏される効果は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された技術、及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
よって、本願発明は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-015868