特許拒絶査定不服審判
2016-001798
吐出容器
- 審判番号
- 2016-001798
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-283141外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月05日
- 審決日
- 2017年08月08日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B65D) / P18 .575-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-283141「吐出容器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年7月8日出願公開、特開2013-133116〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月26日の出願であって、平成27年4月17日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年6月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月30日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成28年2月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成28年2月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年2月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、を備え、
前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、
前記吐出キャップには、
外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、
前記吸気孔と前記外気導入孔との連通及び遮断を切り替える空気弁と、
前記口部を閉塞するとともに、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通孔が平板状の底壁部に形成された閉塞板と、
前記連通孔を開閉する吐出弁と、
が備えられ、
前記吐出弁は、逆錐状に形成されるとともに前記連通孔に着脱自在に嵌合される弁体を備え、
前記弁体は、該弁体の逆錐状に形成された外周面が前記連通孔の開口周縁部に対して全周にわたって線接触により当接し、
前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出していることを特徴とする吐出容器。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成27年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1は次のとおりである。
「【請求項1】
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、を備え、
前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、
前記吐出キャップには、
外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、
前記吸気孔と前記外気導入孔との連通及び遮断を切り替える空気弁と、
前記口部を閉塞するとともに、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通孔が平板状の底壁部に形成された閉塞板と、
前記連通孔を開閉する吐出弁と、
が備えられ、
前記吐出弁は、逆錐状に形成されるとともに前記連通孔に着脱自在に嵌合される弁体を備え、
前記弁体は、該弁体の逆錐状に形成された外周面が前記連通孔の開口周縁部に対して全周にわたって線接触により当接していることを特徴とする吐出容器。」
2 補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「弁体」および「連通孔」の内容について、上記のとおり限定を付加するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明1は、上記1(1)に記載した請求項1のとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
(ア)引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2011-230843号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図1ないし4とともに、次の記載がある(下線は当審で付した。以下、同様。)。
「【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る吐出容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
なお、図1に示す一点鎖線Oは、二重容器2の口部20の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。さらに、本実施の形態では、二重容器2における口部20側(図1における上側)を「上方」とし、その反対側(図1における下側)、つまり二重容器2の図示せぬ底部側を「下方」とする。
【0015】
図1に示す吐出容器1の概略構成としては、ボトル状の二重容器2と、二重容器2の口部20に装着された吐出キャップ3と、二重容器2の口部20の内側に嵌合された中栓4と、中栓4の立上げ筒部43に嵌合された弁座部材5と、中栓4のフランジ部42の上に載置された弁部材6と、を備えている。
【0016】
二重容器2は、軸方向に延在する筒状の胴部21と、その胴部21の上端部に設けられた環状の肩部22と、肩部22の内縁から上向きに突設された筒状の嵌合部23と、嵌合部23の上端部から立設された円筒形状の口部20と、を備えている。
また、二重容器2は、外層24(外容器)と内層25(内容器)とが剥離可能に積層された二層構造の積層剥離ボトル(デラミボトル)であり共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することで形成される。
【0017】
上記した外層24は、例えばポリエチレン樹脂などからなる外装体であり、この外層24の胴部21aは、スクイズ変形可能で、且つ復元自在となっている。また、外層24の口部20aには、口部20aの外周面から内周面にかけて貫通した複数の空気孔27が形成されている。この空気孔27は、外層24と内層25の間の層間空間13(中間空間)と、外層24の口部20aの外周面と後述する吐出キャップ3の周壁部71の内周面との間の隙間空間14と、を連通する連通孔であり、複数の空気孔27は、周方向に均等に配設(本実施形態では一対を対向配置)されている。また、外層24の口部20aの外周面には、吐出キャップ3を螺着させるための雄ねじ26が形成されている。
【0018】
上記した内層25は、外層24の内側に収納されていると共に内容物を収容する可撓性を有する内装体であり、外層24の樹脂に対して非相溶性の例えばナイロン樹脂などからなる。この内層25は、外層24の内周面に剥離可能に積層されている。
【0019】
吐出キャップ3は、二重容器2の口部20に被着されたキャップ本体7と、そのキャップ本体7に形成された吐出口78を覆うオーバーキャップ8と、を備えている。このキャップ本体7とオーバーキャップ8はヒンジ30を介して連結されており、キャップ本体7とオーバーキャップ8とは一体に形成されている。
【0020】
キャップ本体7は、二重容器2の口部20の上方に配設された天壁部70と、天壁部70の外縁から垂下された周壁部71と、天壁部70の中央部分から垂下された嵌合筒72と、天壁部70の中央部分から立設されたノズル筒73と、を備えている。
・・・(中略)・・・
【0023】
嵌合筒72は、天壁部70の内縁から垂下されて後述する弁座部材5の筒部51の内側に嵌合された筒部である。この嵌合筒72は、周壁部71の内側に配設されていると共に軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設されている。
ノズル筒73は、天壁部70の内縁から立設された筒部であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設されている。このノズル筒73は、上記した嵌合筒72に連通されており、ノズル筒73の上端は、内層25内に収容された内容物を吐出する吐出口78となっている。
・・・(中略)・・・
【0027】
中栓4は、二重容器2の口部20の内側に配設された底壁部40と、底壁部40の外縁から立設された周壁部41と、周壁部41の上端部から径方向外側に突出したフランジ部42と、底壁部40の上面に立設された立上げ筒部43と、を備えている。
【0028】
底壁部40は、軸線Oに対して垂直に配設された平板状の板部である。この底壁部40の中央部分には、上下に貫通した連通口44が形成されている。この連通口44は、底壁部40の上面から上方に向けて突出した筒部であり、立上げ筒部43の内側に配設されていると共に軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設されている。
・・・(中略)・・・
【0030】
フランジ部42は、周壁部41の上端部に沿って全周に亘って円環状に形成されており、口部20の上端面に載置されている。このフランジ部42には、周壁部41と立上げ筒部43との間に形成された内部空間15と上記した隙間空間14とを連通する複数の凹溝45が形成されている。この凹溝45は、フランジ部42の上面の内縁からフランジ部42の外周面にかけて延在されており、複数の凹溝45は、周方向に均等に配設されている。
【0031】
なお、上記したキャップ本体7の空気孔74、内部空間15、凹溝45、隙間空間14及び外層24の空気孔27によって、上記した層間空間13に外気を流入させるための外気流入路12が形成されている。この外気流入路12は、キャップ本体7の天壁部70の上方の空間と層間空間13とを連通する連通路であり、オーバーキャップ8が開けられることで外部に向けて開放される。
【0032】
弁座部材5は、上記した外気流入路12を開閉する逆止弁10の弁座部54を備えた部材であり、その概略構成としては、軸方向に延在する筒部51と、筒部51の外周面に突設された弁座部54と、を備えている。
筒部51は、軸線Oを共通軸にして上記した立上げ筒部43及び嵌合筒72と同軸上に配設され、立上げ筒部43の内側に嵌合されている。また、この筒部51の上端部の内側に、上記した嵌合筒72が嵌合されている。
・・・(中略)・・・
【0034】
また、弁座部材5には、上記した吐出口78と内層25の内部とを連通する連通路11を閉塞する開閉自在な閉塞手段50が備えられている。この閉塞手段50は、筒部51の内側に配設されて上記した中栓4の連通口44を開閉する逆止弁状の弁構造であり、その概略構成としては、連通口44を閉塞する弁体52と、弁体52を弾性支持する複数の連結片53と、を備えている。なお、上記した連通路11は、内層25内の内容物を吐出口78まで流通させる流通路であり、上記したノズル筒73、嵌合筒72、筒部51及び連通口44によって形成されている。
・・・(中略)・・・
【0036】
弁部材6は、上記した逆止弁10の弁体62を備えた環状部材であり、上記した中栓4のフランジ部42の上に載置されていると共にキャップ本体7の縮径部77に嵌合されている。詳しく説明すると、弁部材6は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延在する筒部60と、その筒部60の下端部から径方向外側に突出されたフランジ部61と、筒部60の内周面から突設された弁体62と、を備えている。
・・・(中略)・・・
【0039】
上記した弁体62及び弁座部54により、外気流入路12を開閉する逆止弁10が構成されている。この逆止弁10は、外気の流入を許容すると共に層間空間13内の気体の外部への流出を規制する弁機構であり、層間空間13の内圧が陽圧或いは大気圧のときに弁体62が弁座部54に着座して閉じられ、層間空間13の内圧が陰圧になると弁体62が弁座部54から離間して開けられる。
【0040】
次に、上記した構成からなる吐出容器1の作用について説明する。
【0041】
内層25の内側に収容された内容物を吐出させる際、図2に示すように、まず、オーバーキャップ8をヒンジ30回りに回動させてキャップ本体7の吐出口78を露出させる。次に、二重容器2の胴部21(外層24の胴部21a)をスクイズ変形させる。これにより、内層25が外層24とともに変形して減容され、この内層25の内圧が加圧されて陽圧となり、その内層25の内圧(陽圧)によって、閉塞手段50の連結片53が弾性変形して弁体52が連通口44の上端面から離間する。これにより、連通路11が開放され、内層25の内側に収容された内容物が連通路11を通って吐出口78から吐出される。そして、内容物が吐出されることで内層25の内圧が大気圧まで低下すると、上記した連結片53が復元変形し、弁体52が連通口44の上端面に着座する。これにより、連通路11が閉塞されて内層25が密封される。
【0042】
その後、上記したスクイズ変形を解除すると、図3に示すように、外層24の胴部21aが復元変形する。・・・(中略)・・・」
ここで、上記の記載から、引用文献1には、以下の事項が記載されているといえる。
a.吐出キャップ3は、段落【0019】及び【0023】の記載から、「二重容器2の口部20に被着され、内容物を吐出する吐出口78が形成された」ものといえる。
b.外層24、内層25及び空気孔27に関する、段落【0017】、【0031】の記載から、外層24には、内層25との間に外気を流入させる空気孔27が形成されているといえる。
c.逆止弁10は、「外気流入路12を開閉する」(段落【0032】)ものであり、その外気導入路12は、「キャップ本体7の空気孔74、内部空間15、凹溝45、隙間空間14及び外層24の空気孔27によって、上記した層間空間13に外気を流入させるための」ものである(段落【0031】)。
また、図1ないし図4の記載からみて、逆止弁10は空気孔74と空気孔27との間に位置するものであり、この逆止弁10は、「弁体62及び弁座部54により」構成される(段落【0039】)ものであり、弁体62及び弁座部54は、「弁座部材5は、外気流入路12を開閉する逆止弁10の弁座部54を備えた部材」(段落【0032】)であり、「弁部材6は、逆止弁10の弁体62を備えた環状部材」(段落【0036】)である。
そして、吐出容器1は、「ボトル状の二重容器2と、二重容器2の口部20に装着された吐出キャップ3と、二重容器2の口部20の内側に嵌合された中栓4と、中栓4の立上げ筒部43に嵌合された弁座部材5と、中栓4のフランジ部42の上に載置された弁部材6と、を備えている」(段落【0015】)ものである。
よって、吐出キャップ3には、空気孔27と前記空気孔74との間に形成された外気流入路12を開閉する逆止弁10が備えられているといえる。
d.中栓4は、段落【0027】ないし【0030】及び図1ないし図4の記載から、口部20を閉塞するものであることが明らかである。
また、「底壁部40は、軸線Oに対して垂直に配設された平板状の板部である。この底壁部40の中央部分には、上下に貫通した連通口44が形成されている。」(段落【0028】)との記載及び図1ないし図4の記載から、連通口44は、吐出口78と内層25の内部とを連通するものであることが明らかである。
よって、吐出キャップ3には、口部20を閉塞するとともに、吐出口78と内層25の内部とを連通する連通口44が平板状の底壁部40に形成された中栓4が備えられているものといえる。
e.弁座部材5は、「上記した吐出口78と内層25の内部とを連通する連通路11を閉塞する開閉自在な閉塞手段50が備えられている。この閉塞手段50は、筒部51の内側に配設されて上記した中栓4の連通口44を開閉する逆止弁状の弁構造であり、その概略構成としては、連通口44を閉塞する弁体52と、弁体52を弾性支持する複数の連結片53と、を備えている」ものである(段落【0034】)。
よって、吐出キャップ3には、連通口44を開閉する弁座部材5が備えられ、弁座部材5は弁体52を備えるものといえる。
以上のことから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「内容物が収容されるとともに内容物の吐出に伴いスクイズ変形する可撓性を有する内層25、及び、前記内層25が内装される外層24を備える二重容器2と、
前記二重容器2の口部20に被着され、前記内容物を吐出する吐出口78が形成された吐出キャップ3と、を備え、
前記外層24には、前記内層25との間に外気を流入させる空気孔27が形成され、
前記吐出キャップ3には、
外部と前記空気孔27との間で外気流入路12を形成する空気孔74と、
前記空気孔27と前記空気孔74との間に形成された外気流入路12を開閉する逆止弁10と、
前記口部20を閉塞するとともに、前記吐出口78と前記内層25の内部とを連通する連通口44が平板状の底壁部40に形成された中栓4と、
前記連通口44を開閉する弁座部材5と、
が備えられ、
前記弁座部材5は、弁体52を備えている、
吐出容器。」
(イ)引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭46-22330号(実開昭47-16853号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「1.考案の名称 液体容器のキヤツプ
2.実用新案登録請求の範囲
注液孔3及び空気孔15を穿設した中栓4を口部1へ嵌着し、中栓4の外方は容器口部1に嵌着した注出口5を有するキヤツプ6のしめつけ、ゆるめにより外部と連通、遮断するようにした液口7を有するパツキン8を介して押圧し、さらに前記中栓4部分にはその注液孔3を開閉する弁9を弾撥体10により介在させ、且又空気孔15には容器内底部に達するパイプ2を装着してなる液体容器のキヤツプ。
3.考案の詳細な説明
本考案はキヤツプを容器口部に締め付けたまゝで、容器の胴部をしぼる(押圧する)ことによりシヤンプー等の洗剤、化粧液或いは調味料液、その他各種の内容液を適確に注出でき、且使用の都度キヤツプを螺着、脱することなく使用でき、更に不使用時に萬一倒しても内容液が漏れないように改良したものである。
・・・(中略)・・・本考案によると簡単な容器のしぼり出しによつて内容液を注出することができ、しかも注出が終ると注出口は自然に密閉されるように構成されているもので、以下これを図面について説明すると、適宜弾性を有する容器(図示していない)の口部1に注液孔3及び空気孔15を穿設した中栓4を嵌着し、中栓4の外方は容器口部1に嵌着した注出口5を有するキヤツプ6の締め付け、緩めにより外部を連通遮断するようにした液口7を有するパツキン8を介して押圧し、さらに前記中栓4部分には注液孔3を開閉する弁9を一体に付形した合成樹脂の弾撥体10か又は弁9と別体の弾撥体10を介在させ、且又空気孔15にはパイプ2を装着してなる。
なお、前記中栓4は弁9ならびに弾撥体10を介装するために適宜な深さだけ口部1に凹ませるとともに、その周側壁は口部1の内周に密嵌し、またパツキン8の屈曲部11は口部1の外周凹部に食い込ませて容易に抜け落ちないようにし、また図示のように截頭円錐状の突起12を設け、これがキヤツプ6の注出口5ときつく接して通路を閉じまた開くようにしてもよい。キヤツプ6の裏面にはパツキン8を押える小突条13を適当に周設させるとよい。
本考案は上記のように構成してあつて、輸送時にはキヤツプ6をきつく締めておくことにより注出口5と突起12がきつく接して密閉できるので内容液の漏出を完全に防止でき、内容液をしぼり出して使う時には当部のみキヤツプ6を緩めて倒立させ容器の胴部(図示していない)を押圧すると内容液の押圧力によつて弁9を押上げ注液孔3との密閉を開口し、これと同時に弾撥体10が折曲して内容液はパツキン8の液口7を通つて突起12と注出口5との隙間を介してしぼり出される。この時注液孔3が閉塞されてしまうと容器内が減圧され空気が吸引されない限り押圧した容器胴部は復元しないので次回の押圧に手間がかゝるが、本考案はこれを防ぐため空気孔15に容器底部に達するパイプ2を装着しているので前記注液孔3が閉塞されても該空気孔15よりパイプ2を介して空気が容器内に吸引され容器内の減圧は防止でき復元される。
このように本考案によると、容器の胴部を適当な圧力で押圧するだけで弁9が内容液に押されて弾撥体10に抗して注液口3と離れ開口し、注出口5より内容液をしぼり出すことができるので各種シヤンプー等の容器のキヤツプとして使用すると注出操作が著るしく簡便となつて、従来のこの種の容器のキヤツプのように使用の都度キヤツプを螺着、脱する手間がなく当初のみ緩めるだけであるから便利である。しかも容器の胴部の押圧をやめ内容液の押出しを停止すると弁9は弾撥体10の弾撥力により押下げられて中栓4の注液口3を閉塞するので不使用時の塵埃の侵入を防止できて清潔であり、且キヤツプを螺着して注出口を閉塞するのに比べ使用後キヤツプを締め忘れ萬一転倒しても内容液は外部に漏出することがなく、更に又使用後は外気が空気孔15に装着したパイプ2を通つて容器内部に吸引されるので容器胴部はすぐに復元して減圧することもなく次回の押圧が非常に円滑になすことができるものである。」
また、図面より以下の事項が看取される。
第1図において、弁9は截頭円錐状の突起12と同様の断面であるところ、逆錐状の一態様といいうる逆截頭錐状に形成されていること。
第1図、第2図において、弁9は注液孔3に着脱自在に嵌合されていること。
第1図において、弁9の頂部(第1図における弁9の下端部)は、注液孔3に挿入され、中栓4の底壁部から下方に向けて突出していること。
さらに、弁9は、注出孔3を閉塞し、不使用時の塵埃の侵入を防止できて清潔であり、且キヤツプを螺着して注出口を閉塞するのに比べ使用後キヤツプを締め忘れ萬一転倒しても内容液は外部に漏出することがないようにするものであるから、弁9の逆錐状に形成された外周面は、注液孔3に対して全周にわたる接触により当接するものと解するのが自然である。
以上を踏まえると、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。
中栓4に注液孔3と空気孔15とを有し、注液孔3を開閉する弁9を有する、液体を注出する容器のキヤツプにおいて、弁9を逆錐状に形成されるとともに注液孔3に着脱自在に嵌合することにより、弁9の逆錐状に形成された外周面が注液孔3に対して全周にわたる接触により当接し、弁9の頂部は、注液孔3に挿入され中栓4の底板部から下方に向けて突出させることにより、容器の胴部の押圧をやめ内容液の押出しを停止すると弁9は押下げられて中栓4の注液口3を閉塞するので不使用時の塵埃の侵入を防止できて清潔であり、且キヤツプを螺着して注出口を閉塞するのに比べ使用後キヤツプを締め忘れ萬一転倒しても内容液は外部に漏出することがないこと。
(3)引用発明との対比
本件補正発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「内容物」は、本件補正発明1における「内容物」に相当し、本件補正発明1と引用発明は、ともに内容物を吐出する「吐出容器」に関する発明である。
引用発明の「外層24」、「二重容器2」、「吐出キャップ3」、「空気孔27」、「空気孔74」、「逆止弁10」、「中栓4」は、それぞれ本件補正発明1における「外容器」、「容器本体」、「吐出キャップ」、「吸気孔」、「外気導入孔」、「空気弁」、「閉塞板」に相当する。
引用発明における「スクイズ変形」に関し、容器の技術分野において、スクイズとは、圧搾を意味する(必要であれば、特開平9-207953号公報の【0002】、特開平9-226854号公報の【0032】、特開平10-245050号公報の【0002】等を参照。)ことを踏まえると、引用発明の「内容物の吐出に伴いスクイズ変形する」ことは、本件補正発明1の「内容物の減少に伴いしぼみ変形する」ことに相当する。
そして、引用発明の「内層25」と本件補正発明1の「内容器」とは、「内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形し可撓性を有する内容器」である限りにおいて一致する。
さらに、引用発明の「弁座部材5」と本件補正発明1の「吐出弁」とは、「弁体」を備えるものである限りにおいて一致する。
(4)一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性を有する内容器、及び、前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、を備え、
前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、
前記吐出キャップには、
外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、
前記吸気孔と前記外気導入孔との連通及び遮断を切り替える空気弁と、
前記口部を閉塞するとともに、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通孔が平板状の底壁部に形成された閉塞板と、
前記連通孔を開閉する吐出弁と、
が備えられ、
前記吐出弁は、弁体を備え、
ている、吐出容器。」
<相違点1>
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性を有する内容器に関し、本件補正発明1は、可撓性に「富む」ものであるのに対し、引用発明は、可撓性に「富む」かは明らかでない点。
<相違点2>
弁体に関し、本件補正発明1は、「前記吐出弁は、逆錐状に形成されるとともに前記連通孔に着脱自在に嵌合される弁体を備え、前記弁体は、該弁体の逆錐状に形成された外周面が前記連通孔の開口周縁部に対して全周にわたって線接触により当接し、前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出している」ものであるのに対し、引用発明はこのようなものではない点。
(5)判断
以下、相違点1、2について検討する。
ア 相違点1について
本件補正発明1及び本件の明細書では、可撓性に「富む」ことの程度について、数値等による具体的な特定が行われていない。
本件補正発明1及び本件の明細書における内容器の可撓性に関する記載は、「内容物の減少に伴いしぼみ変形する」(【請求項1】)ものであり、「容器本体4は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより成形され、・・・(中略)・・・内容器2はポリエチレン樹脂に対して相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製とされている。」(段落【0020】)というものである。
これに対し、引用発明における内層25も、「内層25の内側に収容された内容物を吐出させる際、・・・(中略)・・・二重容器2の胴部21(外層24の胴部21a)をスクイズ変形させる。これにより、内層25が外層24とともに変形して減容され」るものであり(段落【0041】)、「二重容器2は、外層24(外容器)と内層25(内容器)とが剥離可能に積層された二層構造の積層剥離ボトル(デラミボトル)であり共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することで形成される」(段落【0016】)ものであり、「内層25は、外層24の内側に収納されていると共に内容物を収容する可撓性を有する内装体であり、外層24の樹脂に対して非相溶性の例えばナイロン樹脂などからなる。」(段落【0018】)ものである。
ここで、ナイロン樹脂は、ポリアミド系の合成樹脂の一種である。
そうすると、引用発明における内層25も、「内容物の減少に伴いしぼみ変形する」ものであり、「共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形する」ことにより外層(外容器)とともに成形されるものであり、外層(外容器)に対して「相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製」であることから、本件補正発明1における内容器と同様の可撓性を有するものと解される。
以上のことから、相違点1は、単なる表現上の差異にすぎず、実質的な相違点ではない。
また、仮に実質的な相違点であるとしても、吐出容器のしぼみ変形に必要な可撓性に応じて「可撓性に富む」ものとすることは、当業者にとって容易である。
イ 相違点2について
引用発明の弁体(弁体52)は、連通口44の上端面からの離間あるいは該上端面へ着座することにより、連通路11を開閉し、内容物の吐出あるいは内容器(内層25)を密封する機能を有するものである(段落【0041】)ところ、こうした機能を十分に発揮するための工夫を凝らすこと自体は、当業者が通常行うことである。
一方、引用文献2に記載された事項(上記(2)(イ)参照)に接した当業者であれば、引用発明において、内容物の吐出あるいは内容器(内層25)を密封する機能を向上させるために、弁体(弁体52)を、外周面が逆錐状に形成されたものとし、当該外周面が連通孔に対して全周にわたって接触により当接し、前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出しているように変更する程度のことは、容易に想到し得たことである。
そして、逆錐状の外周面を持った弁体と、弁座となる部材の開口周縁部との接触状態を線接触状態とすることにより、弁の閉塞状態や弁のもたらす密封性をより向上させることは、原査定でも説示したように、従来周知の技術にすぎず(例示が必要であれば、国際公開第2010/134590号の段落[0012]、実願昭62-88425号(実開昭63-197666号)の明細書第6頁第13~19行等を参照。)その採否は、期待される密封性に応じて当業者が適宜決定し得た設計的な事項である。
したがって、引用発明における弁体(弁体52)を、外周面が逆錐状に形成されたものとし、当該外周面が連通孔の開口周縁部に対して全周にわたって線接触により当接し、前記弁体の頂部が、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出しているように変更することは、当業者が容易になし得たことというべきである。
また、本件補正発明1の効果を、以下に検討する。
本件の明細書の段落【0010】には、以下の記載がある。
「本発明に係る吐出容器によれば、吐出弁の弁体が逆錐状に形成されていて、閉塞板の連通孔の開口周縁にその全周にわたって線接触した状態で嵌合し、その接触面積が小さくなるため、吐出弁と閉塞板とが密着するのを抑えることができる。そのため、吐出弁が閉塞板から離間し難くなるのを抑えることができ、内容物を吐出し難くなるのを防ぐことができる。
また、弁体が連通孔に、その開口周縁に線接触することによって嵌合するので、弁体と連通孔の開口周縁との間から内容物を容易に押し退けることが可能となり、確実に弁体で連通孔をシールすることができる。」
しかし、上記のように、逆錐状の外周面を持った弁体と、弁座となる部材の開口周縁部との接触状態を線接触状態とすることにより、弁の閉塞状態や弁のもたらす密封性をより向上させることは、原査定でも説示したように、従来周知の技術にすぎず、本件の明細書の段落【0010】に記載のこのような効果は、このような従来周知の技術が自ずから有するものであって、本件補正発明1に特有のものとはいえない。
以上のことから、本件補正発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
なお、審判請求書において請求人は、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献には、審判請求時の補正によって追加された本件補正発明の構成(G)「前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出している」が記載されていない旨を主張する。
しかし、上記(2)(イ)のとおり、引用文献2には、「弁9の頂部は、注液孔3に挿入され中栓4の底板部から下方に向けて突出させる」という、本件補正発明の構成(G)「前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出している」に相当する構成が記載されている。
また、審判請求書において請求人は、本件補正発明の構成(G)「前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出している」によって、「例えば内容物の吐出後などに、連通孔内に内容物が意図せず保持されてしまうのを抑制することが可能になり、吐出弁と閉塞板とが密着するのを効果的に抑えることができます。」という効果があると主張する。しかし、当該効果は、本件の明細書には記載されていないし、仮に当該効果に係る主張が本件の明細書の記載に基くものであったとしても、当該効果は、同様の構造を有する引用文献2に記載の発明が自ずから奏するものであって、当業者が予測し得る範囲内のものである。
さらに、容器の内容物を吐出する吐出弁において、逆錐状に形成され連通孔に着脱自在に嵌合される弁体を設け、該弁体の頂部を該連通孔に挿入しさらに該連通孔を貫通し下方に向けて突出させることは、例えば下記の文献に記載されるように、従来周知の技術である。
実願昭47-47931号(実開昭49-9657号)のマイクロフィルム(隔壁4のテーパ付透孔3と弁体9について、特に図面を参照)
実願平5-38618号(実開平7-4362号)のCD-ROM(特に段落【0018】、【0019】、図2を参照)
米国特許第5275312号明細書(特に明細書第3欄第37行-第4欄第32行、Fig.1-3を参照)
以上を踏まえると、請求人の上記主張は当を得たものとはいえず、採用することはできない。
(6)本件補正についてのむすび
したがって、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということはできないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるから、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2並びにそれらの記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明1は、本件補正発明1から、「前記弁体の頂部は、前記連通孔に挿入され前記底壁部から下方に向けて突出している」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明1が、前記第2の[理由]2(3)ないし(6)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-001798