特許拒絶査定不服審判
2016-001668
照明器具及びそれを用いた照明システム
- 審判番号
- 2016-001668
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-254423外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月04日
- 審決日
- 2017年06月13日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】板谷 康夫
- 分類
- P18 .536-WZ (F21V) / P18 .537-WZ (F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-254423号「照明器具及びそれを用いた照明システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月 6日出願公開、特開2013-109973号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月21日の出願であって、平成27年4月23日付けで拒絶理由が通知され、平成27年6月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月5日付けで拒絶査定がされ、平成28年2月4日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において同年9月14日付けで拒絶理由が通知され、同年11月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月29日に手続補正書(方式)が提出され、平成29年2月15日付けで拒絶理由が通知され、同年4月21日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 当審拒絶理由の概要
平成29年2月15日付けで、当審より通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は以下のとおりである。
「<理由1>この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
<理由2>この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
<理由3>この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
<理由1>~<理由3>について
請求項1に「前記点灯装置は、前記発光パネルの一辺と平行に伸びる長尺かつ平板形状とされ、」と記載され、発明の詳細な説明の段落【0019】、【0029】、【0030】に「平板形状」の記載があるが、平板形状の回路基板には、回路部品が載置されるものであるから、「点灯装置」が「平板形状」となっているとは認められない。上記の指摘事項は、従属請求項についても同様である。
したがって、請求項1~6に係る発明は、明確でないし、発明の詳細な説明に記載したものでもない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。
<理由1><理由2>について
(1)請求項1に「前記発光パネルは、前記収納部の長手方向の一方側に偏って配置された溝に嵌め込まれることで前記収納部に取り付けられる」との記載があり、発明の詳細な説明の段落【0013】、【0019】、【0024】に、発光パネルが収納部の長手方向の一方側に偏って配置されているので、複数の照明器具を各々の収納部を介して連結した場合に、それぞれの発光パネルを互いに近接させて大きな発光面を形成することができる旨の記載があるが、請求項1には、上記作用効果を得る上での前提として、複数の照明器具を連結することや発光パネルを近接させるための「収納部の長手方向の一方側に偏って配置された溝」同士の位置関係の特定がないため、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に開示した範囲を超えて特許を請求することになっている。また、同様の理由により、上述の前提のない状態では、偏らせたことによる技術的意義が明らかとはいえない。上記の指摘事項は、従属請求項についても同様である。
したがって、請求項1~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。
(2)本願各請求項に係る発明は、段落【0006】に記載される「有機EL素子を光源とする発光パネルを有する照明器具において、薄型化及び発光パネルの縁を狭くすること(狭額縁化)が可能な照明器具を提供すること」を解決しようとする課題としているものと認められるが、【図6】、【図7】(b)のような点灯装置を2つに分けて上下方向に重ねた例の場合、回路基板に対し回路部品を載置したため、全体として回路基板の垂直方向にある程度高さを持ったもの同士をさらに重ね合わせることになっており、このようなものにおいて、先行技術に対しなぜ縁が狭くなるといえるのかその理由が明らかでない。
また、そのようなものまで包含する請求項1~6に係る発明は、課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。
したがって、請求項1~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。」
第3 平成29年4月21日に提出の手続補正書の概要
上記当審拒絶理由に対し、請求人が提出した上記手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、その請求項1の記載は以下のとおりであり(下線部は補正箇所。)、請求項2~6の記載については変更はない。また、発明の詳細な説明の段落【0007】も請求項1と同様内容の補正をしている。
「有機EL素子を光源とする平板形状の発光パネルと、この発光パネルに駆動電圧を供給する点灯装置と、この点灯装置を収納する収納部と、を備えた照明器具であって、
前記発光パネルは、その外周線の一辺が前記収納部に取り付けられた状態で前記点灯装置と電気的に接続され、
前記点灯装置は、前記発光パネルの一辺と平行に伸びる長尺かつ全体として略平板形状とされ、
前記点灯装置の長手方向長さ又は前記点灯装置の長手方向長さの合計は、前記発光パネルの前記収納部に取り付けられている一辺の長さよりも長く、
前記収納部は、前記発光パネルの一辺と平行に伸びる長尺形状とされ、
前記発光パネルは、前記収納部の長手方向の一方の端部側に偏って配置された溝に嵌め込まれることで前記収納部に取り付けられることを特徴とする照明器具。」
第4 当審の判断
1 本件補正後の請求項1における「前記点灯装置は、前記発光パネルの一辺と平行に伸びる長尺かつ全体として略平板形状とされ」という事項(以下「事項A」という。)について
(1)事項Aに関して、発明の詳細な説明には「全体として略平板形状」という用語は、本件補正により請求項1と同様内容に補正された段落【0007】を除けば直接的な記載がないが、同【0019】に「このように、点灯装置3を長尺かつ平板形状とすることで、」、同【0029】、【0030】に「点灯装置3が平板形状」と記載されている。
ここで、同【0015】に「点灯装置3は、長尺かつ平板形状の回路基板31を備え、」、「回路基板31は、その一面に発光パネル2の点灯、調光及び消灯を制御する回路部品32が載置された部品載置面3Aを有し」、同【0019】に「点灯装置3に搭載可能な回路部品32の数を減らすことなく」、同【0028】に「点灯装置3の回路部品32」と記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
そして、請求人は、平成28年11月21日に提出の意見書において、「更に、点灯装置は、回路基板及びこの回路基板に搭載される回路部品を含み、」と主張し、平成29年4月21日に提出の意見書(以下単に「意見書」という。)においても、「本願発明は、先行技術で採用しているような『発光パネル1の厚み方向において背の高い部品7a(段落[0020]参照)』を回路基板に搭載することを避け、図1等からも明らかなように、なるべく背の低い回路部品32を回路基板31に搭載して点灯装置3を薄く、すなわち、点灯装置3を全体として略平板形状に形成しています。」と主張している。
そうすると、請求項1等において「全体として略平板形状」となっているのは、「回路部品」を含むところの「点灯装置」ということになる。
(2)そこで、「回路部品」を含むところの「点灯装置」の形状について以下検討する。
まず、段落【0015】に「長尺かつ平板形状の回路基板31を備え、」、同【0019】に「また、回路基板31が平板形状とされ、」と記載され、各図面の記載及び技術常識も参酌すると、「回路基板」自体は「平板形状」となっていることが理解できる。また、点灯装置が有する具体的な部品の種類として同【0017】に「点灯装置3は、AC/DCコンバータを有し」との記載があるが、それ以外に具体的な種類の記載はない。
ここで、有機EL素子を光源とする照明器具に用いる点灯装置には、IC、トランス、コンデンサ、ダイオード、インダクタ等の各種回路部品が通常用いられるものである。そして、これら回路部品は、厚みを有するものであり、また、通常、それらの部品の厚みはその種類や型番等によって異なることが常識である。そして、それら回路部品を回路基板に搭載した場合、当然その回路部品が回路基板より部分的に突出する形状となり、少なくとも「平板形状」とはならないことは明らかである。また、回路部品の種類や型番等によってその搭載時の回路基板からの高さが異なることが通常であるため、回路基板に対し高さが不均一な凹凸形状となると解するのが自然であるところ、請求項1や発明の詳細な説明に全ての回路部品の回路基板からの高さが均一であることの特定はなく、各図面の「点灯装置3」の記載からみても、このことが裏付けられているといえる。
そして、このような形状であるなら「全体として略平板形状」といえるようなものではない。
上記の指摘事項は、従属請求項についても同様である。
(3)意見書の主張内容(上記(1)参照。)からみて、請求人は、「なるべく背の低い回路部品32を回路基板31に搭載して点灯装置3を薄く」しているものを、上記凹凸形状を有していても「全体として略平板形状」のものとして意図しているようである。
上記(2)で述べたように、回路部品を回路基板に搭載して構成された「点灯装置」であるなら、「全体として略平板形状」とはいえないものであるが、念のため請求人の主張を考慮した場合について以下検討する。
まず、請求項1には「全体として略平板形状」というための条件の特定がないし(個々の回路部品の高さに着目しているとしても、その具体的な最大高さ等のサイズが特定されているわけでもなく、また、回路基板や照明装置の他の部品に対する高さの比率が特定されているわけでもない等。)、発明の詳細な説明においても同様に条件の特定はない。そして、意見書において主張する「なるべく背の低い回路部品」とは、どのような高さのものまで含まれるのかも明らかでない。
そうすると、何をもってして「全体として略平板形状」といえるのか特定できないので、請求項1に係る発明の範囲は不明確と言わざるをえない(どのようなものが権利範囲に含まれるのかあるいは含まれないのかが明確に区別できない。)。
上記の指摘事項は、従属請求項についても同様である。
(4)したがって、請求項1~6に係る発明は、明確でないし、発明の詳細な説明に記載したものでもない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。
2 本件補正後の請求項1における「前記発光パネルは、前記収納部の長手方向の一方の端部側に偏って配置された溝に嵌め込まれることで前記収納部に取り付けられる」という事項(以下「事項B」という。)について
(1)事項Bに関して、発明の詳細な説明の段落【0013】に「また、発光パネルが収納部の長手方向の一方側に偏って配置されているので、複数の照明器具を各々の収納部を介して連結した場合に、それぞれの発光パネルを互いに近接させて大きな発光面を形成することができる。」、同【0019】に「また、発光パネル2が収納部4の長手方向の一方側に偏って配置されているので、複数の照明器具1を各々の収納部4を介して連結した場合に、それぞれの発光パネル2を互いに近接させて大きな発光面2Aを形成することができる(後述する図5(a)(b)参照)。」、同【0024】に「発光パネルが収納部の長手方向の一方側に偏って配置されているので、複数の照明器具を各々の収納部を介して連結した場合に、それぞれの発光パネルを互いに近接させて大きな発光面を形成することができる。」と記載されている。
しかしながら、請求項1には、上記作用効果を得る上での前提として、上記事項Bに関連する複数の照明器具を連結することや発光パネルを近接させるための「収納部の長手方向の一方の端部側に偏って配置された溝」同士の位置関係の特定がないため、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に開示した範囲を超えて特許を請求することになっている。
また、同様の理由により、上述の前提のない状態では、偏らせたことによる技術的意義が明らかとはいえない。(なお、仮に、単に偏らせればよいというのであれば、特段の技術的意義はないことになり、先行技術に対する貢献をもたらすものとはいえないことになる。)
上記の指摘事項は、従属請求項についても同様である。
(2)請求人は、意見書において、「本願発明では発光パネルを嵌め込むための溝が、収納部の長手方向の一方の端部側に偏って配置されています。そのため、例えば、本願の図3に示すように、収納部に複数の溝を設け複数の照明器具を互いに連結した場合には、複数の発光パネルから成る大きな発光面を得ることができます。このようにすることは、本願明細書の段落[0024]や図3等からも明確であり、当業者であれば容易に理解することができると考えます。」と主張するが、請求項1にその作用効果の裏付けとなる事項の特定がないことは、上記(1)で指摘したとおりであるので、当該主張は採用できない。
(3)したがって、請求項1~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。
3 【図6】、【図7】(b)の例について
(1)本願各請求項に係る発明は、段落【0006】に記載される「有機EL素子を光源とする発光パネルを有する照明器具において、薄型化及び発光パネルの縁を狭くすること(狭額縁化)が可能な照明器具を提供すること」を解決しようとする課題としているものと認める。
一方、発明の詳細な説明において、【図6】、【図7】(b)のような点灯装置を2つに分けて上下方向に重ねた例も記載されている。この場合、回路基板に対し回路部品を載置したため、全体として回路基板の垂直方向にある程度高さを持ったもの同士をさらに重ね合わせることになっており、このようなものでは、例えば、段落【0004】に記載される先行技術文献であり、原査定でも引用された特開2007-149465号公報の【図3】に係る例や【図1】に係る例に対し、なぜ縁が狭くなるといえるのかその理由が明らかでない。
また、そのようなものまで包含する請求項1~6に係る発明は、課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。
(2)請求人は、意見書において、「2つの点灯装置を重ね合わせる必要があるとき、先行技術の分厚い点灯装置を2つ重ね合わせる場合よりも、本願発明の薄い点灯装置を2つ重ね合わせる場合の方が照明器具の狭額縁化(及び薄型化)を図ることができます。このようにすることは、本願の図6及び図7(b)等からも明確であり、当業者であれば容易に理解することができると考えます。」と主張するが、先行技術のものは点灯装置を重ね合わせるものでなく、本願の【図6】、【図7】(b)のような点灯装置を2つに分けて上下方向に重ねたものであれば、その厚さは、上記(1)で示した先行技術のものに対し特別薄くなるとも言い切れず、先行技術に対する貢献をもたらすとはいえないものであるから、その技術的意義が明らかでないし、また、上記(1)で指摘したとおり、課題を解決するための手段が反映されているとはいえないので、当該主張は採用できない。
(3)したがって、請求項1~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1~6に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものでない。
第5 むすび
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、また、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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